JP3548976B2 - 減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハー上にLSIを製造するに際して、そのエッチング処理工程およびそれに連続する洗浄及び乾燥工程について、新規且つ有効な方法及び装置を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウェハ上にLSIを形成することは近時のコンピュータ技術の発展に伴い重要な産業となっており、その技術革新も様々な側面に対して活発に行われている。
【0003】
半導体ウェハー上に必要とされる大規模集積回路を形成するには、複雑な工程が必要とされるが、電気的回路をウェハー上に適確に形成するためにはエッチング反応を利用した処理が必要不可欠なものとなっている。すなわち、例えば、薬液浸漬によるエッチングとしては、ウェハー上のエッチング不要な箇所にマスク(レジストコート)した上で、薬液槽中に漬け込んで反応を行わしめたり、薬液を塗布又は噴霧した後回転処理して均一化するなどの方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したような従来の技術では近時の省スペース化、低コスト化、更には複数品種のLSIを必要な数量だけ効率良く製造したいなどといった要請に適確に応えることは困難である。
【0005】
すなわち、薬液槽に処理すべき半導体ウェハーを漬け込む場合には、大きな規模の薬液槽が必要であり、単一品種のLSIを大量製造するには適するが多品種少量生産には向いていない。特に装置のサイズが大きなものとなってしまい、薬液の維持・管理にもコストがかかると共に単に漬け込むだけでは薬液の分布が均一にならずに製品の品質が一定化しないといった欠点もある。
【0006】
この点、薬液を塗布・噴霧した上で半導体ウェハーを回転処理して薬液の均一化を図るスピン式エッチング装置では製品品質は一定化されるが、エッチング処理に連続する工程(洗浄・乾燥など)と一体化することにより装置の省スペース化を図るといった技術的思想はなく、また、エッチング処理工程自体を効率化する新たな技術原理を提案するといったことは、何れの従来技術においても行われていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記したような従来技術における課題を解消することについて、実験と検討を繰り返し行い創案されたものであって、エッチング処理や乾燥処理においては通常の大気圧よりも減圧化された状態でこれを行うことが処理効率及び製品の品質向上に有効であることを見出し、これを利用することを提案するものであって以下の各項に示す如きである。
【0008】
なお、本発明においてエッチング処理というのは、純然たるエッチング処理の場合と、本発明方法及び装置を利用することで一体連続化することが可能な洗浄及び乾燥処理をも含めたエッチング処理との両者を含んだものである。
【0009】
(1)通気隙間を有する内側タンク内のローター上の所定位置に処理すべき半導体ウェハーを設置し、該内側タンクを収容する密閉可能な外側タンクを減圧化状態とすることで内外タンク間に気圧差状態に基づく空気流を形成し、該空気流を維持したままで各種エッチング薬液を内側タンク内の半導体ウェハー表面に噴霧または塗布してエッチング反応を進行せしめ、さらにローターに必要最小限の回転を付与することで各種エッチング薬液を半導体ウェハー表面から排除することを特徴とする、減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
【0010】
(2) 内外タンク間の気圧差状態を解消する機構を内側タンクに設けることで、各種エッチング薬液の噴霧・塗布工程、エッチング反応工程、エッチング薬液排除工程といった各工程上の必要に応じて、非減圧化状態、内外タンク間の気圧差による空気流形成状態、内外タンク間の気圧差を解消した減圧化状態の何れかを任意に選択できることを特徴とする、前記(1)項に記載の減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
【0011】
(3)ローター上の所定位置に処理すべき半導体ウェハーを設置したままで、エッチング処理と連続一体化した、半導体ウェハーの洗浄処理および乾燥処理を、必要に応じて減圧化状態を維持・解消・形成して行うことを特徴とする、前記(1)項又は(2)項に記載の減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
【0012】
(4)処理すべき半導体ウェハーを所定位置に設置して固定させる保持機構を備えて該半導体ウェハーを回転させるローターを有し又は該ローターと一体化され、さらに、通気隙間を有する内側タンク、該内側タンクを収容して密閉可能とされた外側タンク、該外側タンク内を減圧化するための真空ポンプ、ローターを回転させるための動力機構、内側タンク内の所定位置に設置された処理すべき半導体ウェハーに各種薬液を噴霧又は塗布するためのノズルよりなることを特徴とする、減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
【0013】
(5)減圧化によって生じた内外タンク間の気圧差を解消するための機構をさらに内側タンクに備えたことを特徴とする、前記(4)項に記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
【0014】
(6) 各種薬液を噴霧又は塗布しない半導体ウェハー裏面に対して窒素ガス又はクリーンエアーを吹き付けて余剰薬液が裏面に回り込まないようにするエアーノズルを備えたことを特徴とする、前記(4)項又は(5)項の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
【0015】
(7) 処理すべき半導体ウェハーをローター所定位置に設置する保持機構として一点接触保持方式を採用したことを特徴とする、前記(4)項〜(6)項の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
【0016】
(8)ローターの回転による慣性力によって処理すべき半導体ウェハーが所定位置に固定される保持機構となっていることを特徴とする、前記(4)項〜(7)項の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
【0017】
(9)洗浄水噴出ノズルを内側タンク内に有することで、処理すべき半導体ウェハーのエッチング処理と連続一体化した洗浄処理及び乾燥処理を行わしめることを特徴とする、前記(4)項〜(8)項の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング装置。
【0018】
(10)外側タンクから真空ポンプにより排出される気体および液体を分離するセパレータ機構をさらに備えていることを特徴とする、前記(3)項〜(9)項の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記した本発明の具体的な実施の形態について、添付する図面に基づいて説明すると以下の如くである。
【0020】
図1は、本発明によるエッチング処理方法を実施する装置の1例について、その内部構造を断面図的に示したものである。このエッチング装置1は、半導体ウェハー2をエッチング等処理する通気隙間3を形成した内側タンク4、該内側タンク4を収容する外側タンク5、該外側タンク5内を各処理工程の必要に応じて減圧化するための真空ポンプ6、半導体ウェハー2に対して回転処理を行うローター7とその動力機構8、および半導体ウェハー2表面にエッチングやリンス、洗浄のための各種薬液を噴霧又は塗布するためのノズル9とによって基本的に構成されている。
【0021】
上記のような装置によって行われる本発明によるエッチング処理方法は、処理すべき半導体ウェハー2を所定位置に配置した内側タンク4を外側タンク5内に収容せしめ、外側タンク5内を真空ポンプ6により減圧化することで内側タンク4内と外側タンク5内との間に気圧差状態を形成し、且つ、内側タンク4の所定箇所には外側タンク5内に通じている通気隙間3が形成されていることから、前記した気圧差状態に基づいて、該通気隙間3を介して内側タンク4から外側タンク5内への空気流が形成されることとなり、このような空気流が結果として内側タンク4内にも形成されるのでこれによりエッチング処理等用の薬液の半導体ウェハー2表面への定着が促進され反応スピード等も向上することで処理効率がアップすることを技術的特質とするものである。
【0022】
さらに詳述すれば、通気隙間3を介して内側タンク4から減圧化されている外側タンク5に空気流が形成されることで、内側タンク4内も外気圧と比して次第に減圧化状態とされてゆくことになり、このように大気圧よりも減圧化された雰囲気内でエッチング処理を行うと、採用する薬液の種類にもよるが、一般にエッチング反応が促進され、処理後の製品に性能も向上するものであることが経験的に確認されている。つまり、正確な原理は必ずしも明らかではないが、減圧化状態とされることで大気圧状態化と比較して各種薬液の気化が旺盛化して反応のスピードが上がり、さらに減圧化状態とされることで雰囲気中に不可避的に含まれる微細な塵埃の絶対量が減少することとなるので処理後の製品の不良品発生率も減少するものと考えられる。
【0023】
また、上記したような減圧化状態に起因する利点は、純然たるエッチング処理ばかりでなく、半導体ウェハー2に対するリンス処理においても略同様に成り立つものであり、さらに、後述するように本発明の装置によればエッチング処理と連続一体化して行うことができる純水等を用いる洗浄およびその後の乾燥処理工程においてもその効果が認められる技術的特質となっている。
【0024】
図2は、図1に示した本発明装置1を用いて本発明によるエッチング処理方法を実施する場合において、その処理の準備から終了までの一連の工程を一体化して全自動的に行うメカニズムの1例を示した断面図的な説明図面である。図1および図2により示されるところを利用して本発明方法によるエッチング処理工程の1代表例を示すと以下の如くである。
【0025】
まず、処理すべき半導体ウェハー2の所望の枚数がローダー部10に設置されて準備状態となるが、当然にそれ以前に近傍雰囲気はクリーンユニットによって清浄化され無塵状態とされている。次いで、自動制御されるロボット部11を介して稼動される搬送ユニット12によってローダー部10から処理すべき半導体ウェハー2が取り出されてエッチング処理等を行う内側タンク4内に必要に応じて一体化されているローター7の所定箇所に配置される。この時、当然に外側タンク5と内側タンク4のそれぞれのカバー5a、4aは開放状態とされている。なお、後述するように、搬送ユニット12は、処理後の半導体ウェハー2をアンローダー部13(図2上では重なって見えているが、手前がローダー部10、奥がアンローダー部13というが如きに両者は並置されているものである)に移動せしめる場合にも用いられ、また、必要に応じて搬送する半導体ウェハー2の表裏を反転することもできるものとされている。
【0026】
所定箇所に半導体ウェハー2を設置した後、各カバー4a、5aは閉ざされ、外側タンク5は密閉状態とされると共に内側タンク4とそのカバー4aとの間には通気隙間3が形成されるが、該通気隙間3の大きさは各処理状況に応じて一定範囲から適宜に選択されるべきものである。次いで、動力機構8の動力によりローター7を回転して処理すべき半導体ウェハー2に所望の回転運動を付与し、また、真空ポンプ6を稼動して外側タンク5内を減圧化せしめる。
【0027】
以上の準備を終えた後、内側タンク4内に設置され、薬液タンク14から必要な各種薬液の供給を受けるノズル9により回転されている半導体ウェハー2の表面に各工程に応じて必要とされる薬液を噴霧又は塗布す、更に該ノズル9からリンス剤をも噴霧又は塗布せしめ、このようなエッチング薬液とリンス剤の塗布又は噴霧を所望の回路が半導体ウェハー2上に形成されるのに必要な回数繰り返して行う。
【0028】
これら一連のエッチング処理は、ローター7により半導体ウェハー2を工程上の必要に応じて適宜に回転しながら行うべきものであるが、前記したように内側タンク4内に適当な空気流を形成していること、および、本発明の装置1外部の大気圧に比較して処理を行っている内側タンク4内も相対的には減圧化状態となっていることから、薬液の気化や反応が促進されているので、従来技術のスピン式エッチング装置で要求されていたローター回転数の半分以下の回転数で十分であり、したがって、従来技術では相当な高速回転に伴う製品の損傷が一定数どうしても生じていたが、本発明方法とその装置によればローター7の回転数が必要最小限度に著しく低減されるので、このような物理的原因に基づく損傷を殆ど生じなくすることが可能である。
【0029】
上記のエッチング処理を終えた半導体ウェハー2に対しては、続いて純水の噴霧などによる洗浄処理および乾燥処理を施すことになるが、本発明装置ではこれらの処理も内側タンク4内に半導体ウェハー2を設置したままで連続的に行うことが可能である。すなわち、洗浄水噴霧用ノズルは薬液噴霧又は塗布用ノズル9とは別個に設けるべきであるが、洗浄処理と乾燥処理自体は内側タンク4内で適宜に半導体ウェハー2を回転させながら行うことができ、また、それが望ましくもある。つまり、特に、洗浄水の水切り及び乾燥処理は、内側タンク4内に前記の如き内外タンク間の気圧差に基づく空気流が形成され、且つ、外気圧よりも相対的に減圧化状態となっていることによる気化反応促進状態を利用するのが有効であり、また、このような状態を利用すれば従来のスピン式乾燥機よりも大幅に少ない回転数で処理可能なので、ここでの回転処理に伴う物理的損傷も殆ど発生しないようにすることが可能である。
【0030】
以上の洗浄処理および乾燥処理を終えた時点で、内外タンクのカバー4a、5aが開かれて、処理を終えた半導体ウェハー2は搬送ユニット12によってアンローダー部13に移動収納されて本発明方法による一連の処理は終了することとなる。このような本発明による時は、エッチング処理を中心としてそれと連続する洗浄および乾燥処理を同一の装置1内で同様の技術的有利性を利用しながら一体化して行うことができ、したがって、本発明ではこれらの一連の処理を全体として広義のエッチング処理と捉えて理解し、これらを一体化して行うことができるコンパクトな装置1を提案するものである。
【0031】
本発明によるエッチング処理方法の基本的な流れは上記したとおりであるが、さらに本発明では以下の如くに各処理工程の条件に適合して、内外タンク4、5の状態を適宜に制御し、また、本発明に特有の各種機構を採用することが可能となる。
【0032】
つまり、各種エッチング用薬液によるエッチング処理反応は、一般的には前記したように気圧差による空気流が形成され、外気圧よりも相対的に減圧化された内側タンク4内で行うことが望ましいが、薬液の種類によっては却って反応が阻害されてしまう場合もある。このような場合には、外側タンク5に対する真空ポンプ6による減圧化を行わず、あるいは処理工程途中から減圧化状態が不利になるような時は、外側タンク5の密閉状態を解消すると共に内側タンク4のカバー4aを開いて内外タンク4、5間の気圧差を解消すればよい。減圧化状態を回復するには、外側タンク5を再び密閉状態としカバー4aを閉ざして真空ポンプ6により減圧化を図ればよい。したがって、このようにカバー4aを気圧差解消のための機構として用いることで、本発明によれば、処理工程上の必要に応じて、減圧化状態を維持・解消・形成することが可能である。
【0033】
図3は、本発明装置で採用され得る半導体ウェハー2のローター7に対する保持機構14の構造を示す断面図的説明図である。前記したように、本発明によればローター7による処理すべき半導体ウェハー2に与える回転数は大幅に減少されるので、回転による遠心力も従来のスピン式エッチング機に比して遥かに小さいものとなっている。したがって、従来技術による保持機構であればウェハーを複数の点で保持固定する必要があったが、本発明による場合は、図示のように、半導体ウェハー2の中心点部分において真空チャック16によりウェハー2を吸い付けて保持固定する一点接触保持方式を採用することが可能である。なお、図示の保持機構15では、その初期位置は仮想線でしめすUP状態であり、処理すべきウェハー2を適正位置に受け入れることで実線で示すDOWN状態となって保持固定が完成する。
【0034】
また、このように一点保持方式で保持固定された処理すべきウェハー2の裏面に対してエッチング薬液等の噴霧又は吹き付けによる余剰分が付着することは好ましくないので、ローター7による回転処理に併せて保持機構15に備え付けられている噴出ノズル17から窒素ガス等を噴出して余剰薬液を飛散せしめ、後述するセパレータ18で有効に回収することが本発明を実施する上で望ましいものとなる。
【0035】
内側タンク4がローター7と一体化されたタイプの本発明装置を採用する場合には、回転異常などに伴って処理中の半導体ウェハー2が保持機構15から外れて飛び出したりすることがないように、ウェハー保持部分の形状をローター7の回転による慣性力を受け止めて処理中のウェハー2が保持機構15から外れることがないようにすることが望ましい。慣性力を利用してウェハー2が保持固定されるようにしておけば、従来技術と比較して回転数自体が少ないものとされていることと相俟って、ウェハー2の飛び出しなどという異常事態は略完全に無くすことが可能である。
【0036】
また、上記してきたような本発明装置1を用いる場合には、従来技術に比較してその使用する各種薬液量なども節約され得るが、ローター7の回転で飛散された余剰薬液や真空ポンプ6の稼動などに伴う排出気体は、これらをまとめて強制的に取り出し、セパレータ18によって気体と液体を分離した上で再利用可能なものは回収し、排出すべきものは清浄化処理を経て外部に放出する機構とすることが望ましい。図4にはこのセパレータ18の構造の1例を示す。すなわち、真空ポンプ6の稼動によって回収された気体及び液体はセパレータ18の下側タンク18aで気体と液体に分離され、気体は上側タンク18bを経て清浄化等された上で排出され、一方、各種薬液はさらに種類毎に分離された上で再利用可能なものとして回収し、本発明装置1において改めて利用されることとなる。これによりエッチング処理に要する各種薬液の消費量は一層低減化されることとなる。
【0037】
さらに、上記してきたところから明らかなように、本発明装置1による場合には、エッチング処理(広義のエッチング処理を含む)全体を外気から隔離されたタンク内で行うこととなるので、該タンク内の無塵化等は装置を設置した部屋全体をクリーンルーム化するよりも簡便且つレベルの高いものとすることが可能である。また、排気ガスや余剰薬液も前記したセパレータ18によって有効に分離されて再利用等されるので、環境汚染等の危険性も制御しやすく装置全体の安全性を高めることが容易である。
【0038】
【実施例】
本発明によるものの具体的な実施例についてその代表的な例を説明すると以下の如くである。
即ち、上記した各図に示す装置を用いて本発明による一連のエッチング処理を行った。真空ポンプ6による外側タンク5に対する減圧化レベルは400mmHg前後とし、ローター7による回転速度は適宜に各処理工程に応じて選択されるが、最高でも500rpmを超えるものとはせず(乾燥処理工程も含む)、これは一般的なスピン式エッチング装置や乾燥装置の回転数の半分以下レベルとなっている。
前記したように、本発明装置ではエッチング処理の準備段階からエッチング後の洗浄及び乾燥処理までが一体化した同一装置内で行われるので、半導体ウェハーの製造装置としての設置スペースは従来の平均的な装置の半分以下とコンパクトになっており、また、省スペース化および減圧化状態を利用することにより各工程が効率化しており、一連の作業時間も短縮化された。
【0039】
また、処理中の装置の振動量も平均30ミクロン程度であって、従来の装置よりも相当に低減化しているが、これは主にローター7の回転数が低減されたことに基づくものであると考えられる。
更に、本発明装置により製造された半導体ウェハーについて、その不良品の発生率を調べてみると、やはり従来装置よりも低減化しており、また、表面に付着している残存塵埃もその平均粒径が0.16ミクロン程度と、その数も平均8個/1枚であって、何れも従来装置によるものより大幅に向上している。
【0040】
このような本発明装置による性能向上は、減圧状態を利用したことによるエッチング処理および乾燥処理の高性能且つ効率化、さらにローター回転数を減少したことによる物理的ダメージ発生の減少がおもな理由であると考えられる。
【発明の効果】
以上説明したような本発明によるならば、減圧化状態を利用することで半導体ウェハーの製造工程におけるエッチング処理や乾燥処理を効率化し、また、ローター回転数を抑えることで製品への物理的損傷を皆無化することができる。さらに一連の処理を一体化した装置内で行うことで処理時間を短縮すると共に装置設置スペースも小さなもので足りるようになり、装置にかかるコストを低減することができ、従来の如く単一品種を大量生産するのではなく、多様な品種を必要量だけ生産するという生産ラインを省スペース且つ低コストに実現することが可能であり、本発明は工業的にその価値の高いものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエッチング処理装置の1例の内部構造について断面図的に示した説明図である。
【図2】エッチング処理準備段階から洗浄及び乾燥処理までを一体化した本発明装置により行う場合の1例を示した説明図面である。
【図3】本発明装置で採用され得る半導体ウェハーのローターへの保持機構の構造を示す断面図的説明図である。
【図4】本発明装置で用いることができるセパレータの構造を示した断面図的説明図である。
【符号の説明】
1 エッチング装置
2 半導体ウェハー
3 通気隙間
4 内側タンク
4a 内側タンクカバー
5 外側タンク
5a 外側タンクカバー
6 真空ポンプ
7 ローター
8 動力機構
9 ノズル
10 ローダー部
11 ロボット部
12 搬送ユニット
13 アンローダー部
14 薬液タンク
15 保持機構
16 真空チャック
17 噴出ノズル
18 セパレータ
18a 下側タンク
18b 上側タンク
Claims (10)
- 通気隙間を有する内側タンク内のローター上の所定位置に処理すべき半導体ウェハーを設置し、該内側タンクを収容する密閉可能な外側タンクを減圧化状態とすることで内外タンク間に気圧差状態に基づく空気流を形成し、該空気流を維持したままで各種エッチング薬液を内側タンク内の半導体ウェハー表面に噴霧または塗布してエッチング反応を進行せしめ、さらにローターに必要最小限の回転を付与することで各種エッチング薬液を半導体ウェハー表面から排除することを特徴とする、減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
- 内外タンク間の気圧差状態を解消する機構を内側タンクに設けることで、各種エッチング薬液の噴霧・塗布工程、エッチング反応工程、エッチング薬液排除工程といった各工程上の必要に応じて、非減圧化状態、内外タンク間の気圧差による空気流形成状態、内外タンク間の気圧差を解消した減圧化状態の何れかを任意に選択できることを特徴とする、請求項1に記載の減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
- ローター上の所定位置に処理すべき半導体ウェハーを設置したままで、エッチング処理と連続一体化した、半導体ウェハーの洗浄処理および乾燥処理を、必要に応じて減圧化状態を維持・解消・形成して行うことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の減圧化状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理方法。
- 処理すべき半導体ウェハーを所定位置に設置して固定させる保持機構を備えて該半導体ウェハーを回転させるローターを有し又は該ローターと一体化され、さらに、通気隙間を有する内側タンク、該内側タンクを収容して密閉可能とされた外側タンク、該外側タンク内を減圧化するための真空ポンプ、ローターを回転させるための動力機構、内側タンク内の所定位置に設置された処理すべき半導体ウェハーに各種薬液を噴霧又は塗布するためのノズルよりなることを特徴とする、減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
- 減圧化によって生じた内外タンク間の気圧差を解消するための機構をさらに内側タンクに備えたことを特徴とする、請求項4に記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
- 各種薬液を噴霧又は塗布しない半導体ウェハー裏面に対して窒素ガス又はクリーンエアーを吹き付けて余剰薬液が裏面に回り込まないようにするエアーノズルを備えたことを特徴とする、請求項4又は請求項5の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
- 処理すべき半導体ウェハーをローター所定位置に設置する保持機構として一点接触保持方式を採用したことを特徴とする、請求項4〜請求項6の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
- ローターの回転による慣性力によって処理すべき半導体ウェハーが所定位置に固定される保持機構となっていることを特徴とする、請求項4〜請求項7の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング処理装置。
- 洗浄水噴出ノズルを内側タンク内に有することで、処理すべき半導体ウェハーのエッチング処理と連続一体化した洗浄処理及び乾燥処理を行わしめることを特徴とする、請求項4〜請求項8の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング装置。
- 外側タンクから真空ポンプにより排出される気体および液体を分離するセパレータ機構をさらに備えていることを特徴とする、請求項4〜請求項9の何れか1つに記載の減圧状態を利用した半導体ウェハーのエッチング装置。
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