JP3548966B2 - 工場生産住宅の屋内気密化構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、工場生産住宅の屋内気密化工法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
遮音のため、或いは、屋内外の空気の出入を遮断して屋内での空調効果を確保するため等の目的をもって屋内を気密化するために、工場生産住宅では、それを構成する建築パネルの面材に気密性の高い石膏ボードやパーティクルボード等を使用したり、ポリエチレンフイルムやポリエステルフイルム、ポリカーボネートフイルム等の気密性を有するシート（以下、気密性シートと言う。）を面材の全面にわたって貼り合わせている。
気密性シートの多くは、輻射熱を遮断するためにアルミニウムが蒸着されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
外壁パネルは、その木口を他の外壁パネルの木口か周縁に突き合わせて施工されるが、その突き合わせ箇所には少なからず隙間が出来るので、気密性シートを貼った気密性外壁パネルを使用しても完全な気密化を期待することは困難である。
【０００４】
そこで屋内を完全に気密化するには、建築パネルの施工後に気密性シートを室内側より床、壁、天井の全面にわたって貼ることになるが、それでは建築部材の全てを工場で製造し、建築現場ではそれをただ組み立てるだけにして工期を短縮化する工場生産住宅のメリットが薄れてしまい、また、気密化シートを貼り合わせる作業者の技量によっては施工後の屋内の気密性にバラツキが生じることにもなる。
【０００５】
【発明の目的】
そこで本発明は、工場生産住宅の建築現場において特別な人手や技量を必要とせず、ただ組み立てるだけで屋内が完全に気密化され、その気密性能がばらつかず、仕上がりのよい外壁パネルを得ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る工場生産住宅は、面材１４の裏面の左右に形枠材１５Ａ・１５Ｂを密着させて取り付け、左右の形枠材１５Ａ・１５Ｂの間に気密性シート１１を張り渡した外壁パネル１２Ａ・１２Ｂの接続箇所において、隣合う外壁パネル１２Ａと外壁パネル１２Ｂの間に気密性シール１３が嵌め込まれており、それらの気密性シート１１・１１に気密性シール１３が密着していることを特徴とするものである。
【０００７】
更に詳細に説明すると、外壁パネル１２Ａ・１２Ｂは、面材１４の裏面の左右の側縁より内側寄りに形枠材１５を取り付けて補強し、気密性シート１１を形枠材１５の木口側の外側に側縁１６を食み出させて左右の形枠材間１５Ａ・１５Ｂに張り渡し、桟木１７を当てて気密性シート１１を形枠材１５に押し付け固定して構成される。
【０００８】
これら２つの外壁パネル１２Ａ・１２Ｂは、コネクター１８を介して形枠材間１５・１５を接合して建て上げられ、その際、気密シート１１の食み出し代１９は折り返され、その折り返された食み出し代１９によって桟木１７の木口面２４が被覆される。
【０００９】
それら２つの外壁パネル１２Ａ・１２Ｂの桟木１７・１７の間には、ポリウレタンフオーム、ラバーフオーム、ポリエチレンフオーム、ポリエステルフオーム等の樹脂気泡体によって構成されて弾性と気密性を有するスペーサー２１が充填されるが、スペーサー２１の桟木１７に向き合う面には長さ方向に連続した気密性シール１３を突設し、その気密性シール１３を外壁パネル１２の気密性シート１１の食み出し代１９に圧着させる。
【００１０】
即ち、本発明に係る外壁パネル１２は、その面材１４の裏面の左右に形枠材１５Ａ・１５Ｂが取り付けられて補強されており、面材１４の側縁２２は左右の各形枠材１５より突き出ており、コネクター１８を介して左右の形枠材１５・１５を連結して接合され、その後面材１４・１４の木口２０と２０の間の目地２３は止水処理される。
【００１１】
気密性シート１１は、形枠材１５の木口側の外側へと側縁１６を食み出させて取り付けられ、形枠材１５と桟木１７の間で挟持されており、その食み出し代１９は折り返されて木口面２４を被覆している。
【００１２】
従ってコネクター１８を介して接続した外壁パネル１２Ａ・１２Ｂの桟木間１７・１７に気密性シール１３を嵌め込むと、気密性シール１３を介して外壁パネル間の気密性シート１１・１１が連続することになって屋内気密化される。
【００１３】
外壁パネル１２Ａ・１２Ｂが平らに連続する接合箇所に使用するスペーサー２１では左右の側面に気密性シール１３を突設し、外壁パネル１２Ａ・１２Ｂが交叉する出隅や入隅に使用するスペーサー２１では交叉する側面と正面、または、側面と背面に気密性シール１３を突設する。
【００１４】
気密性シール１３は、その断面に空隙が出来るように、気密性を有するゴムやプラスチック等の弾性材料を押出成形してつくられる。
その場合のプラスチック等の弾性材料は、ゴムのように完全弾性を有するものである必要はなく、圧縮応力に対してある程度弾性変形するものであればよい。又、図示する気密性シール１３は円筒形を成し、その断面の空隙は円形になっているが、この気密性シール１３は断面形状がヒレ形やオス・メス形を成すチャネル（溝材）状のものであってもよい。
【００１５】
【発明の効果】
本発明によると、突き合わせて施工する外壁パネル間では一方の外壁パネル１１の気密性シール１３が他方の木口面２４に弾性変形して密着するので、それらの外壁パネル間１１・１１に隙間が出来ない。
【００１６】
従って、その突き合わせ箇所を気密化する特別な現場作業を要せず屋内を気密化することが出来る。
【００１７】
そして、そのように気密化のための現場作業を必要としないので、工期を遅らせることなく気密な工場生産住宅を建て上げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る外壁パネルの接合箇所の断面斜視図である。
【図２】本発明に係る外壁パネルの接合箇所の断面図である。
【符号の説明】
１１ 気密性シート
１２ 外壁パネル
１３ 気密性シール
１４ 面材
１５ 形枠材
１６ 側縁
１７ 桟木
１８ コネクター
１９ 食み出し代
２０ 木口
２１ スペーサー
２２ 側縁
２３ 目地
２４ 木口面

Claims (2)

1. 面材（１４）の裏面の左右に形枠材（１５Ａ・１５Ｂ）を密着させて取り付け、左右の形枠材（１５Ａ・１５Ｂ）の間に気密性シート（１１）を張り渡した外壁パネル（１２Ａ・１２Ｂ）の接続箇所において、隣合う外壁パネル（１２Ａ）と外壁パネル（１２Ｂ）の間にスペーサ（２１）が嵌め込まれており、スペーサ（２１）には、その長さ方向に連続した圧縮応力に対して弾性変形する気密性シールが突設されており、それらの隣合う外壁パネル（１２Ａ）と外壁パネル（１２Ｂ）の気密性シート（１１・１１）に気密性シール（１３）が圧縮応力を受けて弾性変形して密着していることを特徴とする工場生産住宅の屋内気密化構造。
2. 工場生産住宅を構成する２つの外壁パネル（１２Ａ・１２Ｂ）の接合箇所において、それらの外壁パネル（１２Ａ・１２Ｂ）が、面材（１４）の裏面の左右の側縁より内側寄りに形枠材（１５）を取り付けて補強し、気密性シート（１１）を形枠材（１５）の木口側の外側に側縁（１６）を食み出させて左右の形枠材間（１５Ａ・１５Ｂ）に張り渡し、桟木（１７）を当てて気密性シート（１１）を形枠材（１５）に押し付け固定して構成されており、それら２つの外壁パネル（１２Ａ・１２Ｂ）が、コネクター（１８）を介して形枠材間（１５・１５）を接合して建て上げられており、気密シート（１１）の食み出し代（１９）が折り返され、その折り返された食み出し代（１９）によって桟木（１７）の木口面（２４）が被覆されており、ポリウレタンフオーム、ポリエチレンフオーム、ポリエステルフオーム、ラバーフオーム等の樹脂気泡体によって構成されて弾性と気密性を有するスペーサー（２１）によって２つの外壁パネル（１２Ａ・１２Ｂ）の桟木（１７・１７）の間が充填されており、スペーサー（２１）の桟木（１７）に向き合う面に気密性シール（１３）が取り付けられていてスペーサー（２１）の長さ方向に連続して突出しており、スペーサー（２１）の気密性シール（１３）が、外壁パネル（１２）とスペーサー（２１）の間で圧縮応力を受けて弾性変形し、外壁パネル（１２）の気密性シート（１１）の食み出し代（１９）に圧着していることを特徴とする工場生産住宅の屋内気密化構造。

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