JP3548782B2 - 制御装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はPLC等の制御装置及び方法に関し、特にこれらの制御装置で実行プログラムを複数の実行単位に分割して実行する場合の起動条件を動的に変更できるようにした制御装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)のような制御装置では、制御装置で使用される実行プログラムは複数の実行単位で構成されているので、実行プログラムのテストやデバッグ時は、プログラムの各実行単位ごとに起動をかけ、プログラムの各実行単位ごとにテストやデバッグを行っている。
【0003】
そして、この場合、各実行単位の起動は、予め実行プログラムにオンラインエディットまたはオフラインエディットで起動条件を挿入することにより各実行単位に起動をかけ、各実行単位のテストやデバッグを行っていた。
【0004】
なお、各実行単位として、イベントが発生した場合のタスクも含まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各実行単位のテストやデバッグを行う場合、例えばテスト時には微妙な起動タイミングが要求されることがあるし、デバック時にはデバックの必要でない実行単位がある。
【0006】
しかしながら、上記従来例では、起動条件は実行プログラムの停止時に設定されるので、テスト時に要求される微妙な起動タイミングを実現できないという問題点があった。
【0007】
また、上記従来例では、オンラインエディットまたはオフラインエディットで起動条件を挿入するので、そのためにプログラムを編集する必要があり、上記問題点と同様、各実行単位の効率的なテストやデバッグを行うことができないという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、各実行単位の効率的なテストやデバッグを行うことのできる制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、
実行プログラム実行処理を周辺処理とともにサイクリックに実行し、かつ実行プログラムを複数個の実行単位に分割して実行する制御装置において、
上記実行単位を起動する条件を個々の実行単位ごとに設定する起動条件設定手段を有し、
上記起動条件設定手段は、
上記個々の実行単位について起動条件を指定するか否かを指定する起動条件管理テーブルと、上記起動条件管理テーブルで起動条件が指定された実行単位に対して、その実行単位の起動条件を設定する起動条件テーブルと、を含み、当該制御装置につながるマンマシン・インタフェース部によって設定されるものであり、
上記起動条件設定手段の起動条件管理テーブルに対する起動条件の指定および起動条件テーブルに対する起動条件の設定は、マンマシン・インタフェース部の動的な設定要求によって、各サイクリック実行のうち上記周辺処理実行時に行われるものであり、
上記実行プログラムの実行処理は、その起動条件設定手段に対して動的に設定された起動条件管理テーブルの指定と起動条件テーブルの設定とに基づいて、個々の実行単位ごとに設定された起動条件を満たした場合にのみその実行単位を個々に起動して実行するものである
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、
上記起動条件設定手段は、
上記実行プログラムのテスト時又はデバッグ時に設定される
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、
上記起動条件設定手段における起動対象には、イベント発生時のタスクが含まれる
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の発明において、
上記実行単位起動条件設定手段は、
起動条件設定のための特定の接点情報より実行単位の起動条件を設定する
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の発明において、
上記起動条件設定手段で設定される起動条件は自動モード、手動モードまたはティーチモードのいずれかで設定される
ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、
実行プログラム実行処理を周辺処理とともにサイクリックに実行し、かつ実行プログラムを複数個の実行単位に分割し、分割された個々の実行単位について起動条件を指定されたか否かを指定する起動条件管理テーブルと、この起動条件管理テーブルで起動条件が指定された実行単位に対してその実行単位の起動条件を設定する起動条件テーブルとを有する制御装置の制御方法において、
各サイクリック実行のうち周辺処理実行時に、上記起動条件管理テーブルに対して上記個々の実行単位を起動するか否かの指定と、上記起動条件テーブルに対して上記起動指定の実行単位の起動条件の設定とを、当該制御装置につながるマンマシン・インタフェース部の動的な設定要求によって行われ、
上記サイクリック実行における実行プログラム実行処理時に、上記周辺処理実行時に動的に設定された起動条件管理テーブルの指定と起動条件テーブルの設定とに基づいて、上記個々の実行単位ごとに設定された起動条件を満たした場合にのみその実行単位を個々に起動する
ことを特徴とする。
【0019】
図1は本発明に係る制御装置及び方法をPLCに適用した場合の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
同図に示すごとく、PLC10はマンマシン・インタフェース部(MMI)20と、プログラム実行部30より構成されている。
【0021】
ここで、マンマシン・インタフェース部20は表示器や操作部より構成され、この実施形態では特にプログラム実行中、動的にプログラム実行部30に対して起動条件の設定要求を行うものである。
【0022】
また、プログラム実行部30はスケジューラ31と、複数の実行単位32−1(実行単位1)、32−2(実行単位2)、32−3(実行単位3)、…32−n(実行単位n)より構成される実行プログラム32より構成されている。
【0023】
ここで、スケジューラ31は実行プログラム32を実行するとともに、マンマシン・インタフェース部20で設定された起動条件に基づいて各実行単位32−1(実行単位1)、32−2(実行単位2)、32−3(実行単位3)、…32−n(実行単位n)の起動条件を管理している。
【0024】
ところで、PLCでは、図2に示すごとく、所定のサイクルタイムで、制御対象に対してPLC命令実行処理の演算値を出力するOUTリフレッシュ処理41、制御対象を監視するセンサ等の出力値を取り込むINリフレッシュ処理42、実行プログラムを実行するPLC命令実行処理43、及びその他の周辺処理44をサイクリックに実行しているが、本実施形態では周辺処理44の実行時間にマンマシン・インタフェース部20からプログラム実行部30のスケジューラ31に対して起動条件の設定要求を行うようにしている。これによって、プログラム実行中、動的にスケジューラ31に対して起動条件の設定要求を行う。
【0025】
次に、マンマシン・インタフェース部20からスケジューラ31に対して起動条件の設定要求を行う場合の処理について説明する。
【0026】
ここで、スケジューラ31には、図3に示すごとき起動条件テーブル作成のための項目テーブル50が設けられている。
【0027】
ここで、起動条件テーブル作成のための項目テーブル50は、実行単位数、条件数、条件種類、接点位置、接点値の各項目より構成され、
(1)実行単位数項目51には、プログラムまたはタスクの総数データ
(2)条件数項目52には、AND、OR、立上がり、立下がりなどの条件の総数データ
(3)条件種類項目53には、AND、OR、立上がり、立下がりなどの条件の種類データ
(4)接点位置項目54には、接点のアドレス番地とビット位置データ
(5)接点値項目55には、0又は1の値データ
がそれぞれ格納されている。
【0028】
この起動条件テーブル作成のための項目テーブル50の内容を参照しながら、各実行単位を起動するか否かの起動条件テーブル(図5参照)が作成される。
【0029】
そこで、スケジューラ31には、図4に示すごとき起動条件管理テーブル60と図5に示すごとき起動条件テーブル70が設けられている。
【0030】
ここで、図4に示す起動条件管理テーブル60は、図1に示した実行プログラム32を構成する各実行単位32−1(実行単位1)、32−2(実行単位2)、32−3(実行単位3)、…32−n(実行単位n)について、起動条件の指定をするか否かを管理するテーブルで、同図に示す例では、実行単位32−1(実行単位1)は起動条件の指定がない場合であり、実行単位32−2(実行単位2)、32−3(実行単位3)、32−n(実行単位n)は起動条件の指定がある場合を示している。
【0031】
ここで、起動条件の指定がない場合は無条件に起動がかけられることになるが、起動条件の指定がある場合は、所定の起動条件が成立した場合のみ起動がかけられることになり、その起動条件が起動条件テーブル70として図5に示されている。
【0032】
ここで、起動条件テーブル70は、条件数、条件、接点位置、接点値より構成され、
(1)条件数は、その起動条件テーブル70で使用されるAND、OR、立上がり、立下がりなどの条件の総数
(2)条件は、AND、OR、立上がり、立下がりなどの条件
(3)接点位置は接点のアドレス番地とビット位置
(4)接点値は0又は1の値
の各データが格納されている。
【0033】
図5は、図4において起動条件の指定がある場合の起動条件テーブル70の一例で、100番地の1ビット目がオンかつ200番地の2ビット目がオフであるか、300番地の3ビット目がオンで400番地の4ビット目が立ち上がったなら起動するよう設定されている場合、起動条件テーブル70は図5に示すごとき構成となる。
【0034】
図6は、本実施形態で各実行単位に起動をかける場合、スケジューラ31で実行される処理手順を示したフローチャートで、4つの実行単位を起動する場合の処理手順を示している。
【0035】
この処理は図2に示したPLCの1サイクルタイム中、PLC命令実行処理43で行われるもので、まず、実行単位1の起動条件が成立しているか否かが調べられる(ステップ101)。これは、まず図4に示した起動条件管理テーブル60を参照して、起動条件の指定があるか否かを調べることによって行われ、起動条件の指定がない場合は無条件に起動がかけられるので(ステップ101でYES)、実行単位1が起動される(ステップ102)。
【0036】
次に、起動条件管理テーブル60を参照して、起動条件の指定がある場合には、図5に示すごとき実行単位1の起動条件テーブルを調べ、起動条件が成立しているか否かが調べられる。ここで、起動条件が成立しているならば(ステップ101でYES)、実行単位1が起動される(ステップ102)。また、起動条件が成立していないならば(ステップ101でNO)、ステップ103に進む。
【0037】
こうして、以下ステップ103〜ステップ108の処理を同様に行って、実行単位2,3,…nの起動をかけるか否かが調べられることになる。
【0038】
なお、以上の説明では、実行プログラム32を複数の実行単位32−1(実行単位1)、32−2(実行単位2)、32−3(実行単位3)、…32−n(実行単位n)に分割して各実行単位に起動をかける場合について説明したが、各実行単位としてイベントが発生した場合に実行されるタスクに起動をかけるときも、実行プログラム32の各実行単位に起動をかける場合と同様に起動をかけることができることは勿論である。
【0039】
また、以上の説明では、本発明に係る制御装置及び方法をPLCに適用した場合について説明したが、その他の制御装置にも適用できることは勿論である。
【0040】
ところで、以上の説明では手動モード(メンテナンスモード)で起動条件を設定できるようにしたが、次に、手動モードのほか自動モードまたはティーチモードでも各実行単位の起動条件を設定できるようにした場合の処理手順を図7に示す。
【0041】
図7において、起動条件用プログラム80は、自動モード、手動モード及びティーチモードのいずれかで起動条件を設定できるように構成され、例えば自動ボタンONかまたは自動モード設定(自動モードフラグON)で非手動モード(手動モードフラグOFF)及び非ティーチモード(ティーチモードフラグOFF)の場合は自動モードとされ、自動モード用プログラム81を作成する。そして、起動条件が成立したならば対応する実行単位のプログラムを実行する。
【0042】
手動モード用プログラム82及びティーチモード用プログラム83を作成する場合も同様である。
【0043】
このように、手動モードによる起動条件設定以外に自動モードやティーチモードでも起動条件が設定されると、起動条件設定の自由度が向上し、柔軟に起動条件が設定できることになる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、実行プログラムを複数の実行単位に分割して実行する制御装置において、上記実行単位に分割された実行プログラムを起動する条件を設定する起動条件設定手段を有し、上記起動条件設定手段で設定された起動条件を満たした場合のみ実行単位に分割された実行プログラムを起動するようにしたので、プログラム実行中、動的に起動条件を設定でき、各実行単位の効率的なテストやデバッグを行うことのできる制御装置及び方法を得ることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明係る制御装置及び方法がPLCに適用された一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1に示したPLCにおいて、各実行単位の起動条件が周辺処理時に行われることを示す説明図。
【図3】各実行単位の起動条件を設定するために使用される起動条件テーブル作成のための項目テーブルの説明図。
【図4】各実行単位の起動条件を設定するために使用される起動条件管理テーブルの説明図。
【図5】図3に示した起動条件テーブル作成のための項目テーブルを使用して各実行単位の起動条件テーブルが作成される場合の説明図。
【図6】図1に示した実施形態において各実行単位が起動される場合の処理手順を示すフローチャート。
【図7】起動条件を自動モード、手動モード及びティーチモードで選択的に設定できるようにした場合の処理手順を示すラダー図。
【符号の説明】
10 PLC
20 マンマシン・インタフェース部(MMI)
30 プログラム実行部
31 スケジューラ
32 実行プログラム
32−1,32−2,32−3,…32−n 実行単位
41 OUTリフレッシュ処理
42 INリフレッシュ処理
43 PLC命令実行処理
44 周辺処理44
50 起動条件テーブル作成のための項目テーブル
60 起動条件管理テーブル
70 起動条件テーブル
80 起動条件用プログラム
81 自動モード用プログラム
82 手動モード用プログラム
83 ティーチモード用プログラム
Claims (6)
- 実行プログラム実行処理を周辺処理とともにサイクリックに実行し、かつ実行プログラムを複数個の実行単位に分割して実行する制御装置において、
上記実行単位を起動する条件を個々の実行単位ごとに設定する起動条件設定手段を有し、
上記起動条件設定手段は、
上記個々の実行単位について起動条件を指定するか否かを指定する起動条件管理テーブルと、上記起動条件管理テーブルで起動条件が指定された実行単位に対して、その実行単位の起動条件を設定する起動条件テーブルと、を含み、当該制御装置につながるマンマシン・インタフェース部によって設定されるものであり、
上記起動条件設定手段の起動条件管理テーブルに対する起動条件の指定および起動条件テーブルに対する起動条件の設定は、マンマシン・インタフェース部の動的な設定要求によって、各サイクリック実行のうち上記周辺処理実行時に行われるものであり、
上記実行プログラムの実行処理は、その起動条件設定手段に対して動的に設定された起動条件管理テーブルの指定と起動条件テーブルの設定とに基づいて、個々の実行単位ごとに設定された起動条件を満たした場合にのみその実行単位を個々に起動して実行するものである
ことを特徴とする制御装置。 - 上記起動条件設定手段は、
上記実行プログラムのテスト時又はデバッグ時に設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 上記起動条件設定手段における起動対象には、イベント発生時のタスクが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 上記実行単位起動条件設定手段は、
起動条件設定のための特定の接点情報より実行単位の起動条件を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 上記起動条件設定手段で設定される起動条件は自動モード、手動モードまたはティーチモードのいずれかで設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 実行プログラム実行処理を周辺処理とともにサイクリックに実行し、かつ実行プログラムを複数個の実行単位に分割し、分割された個々の実行単位について起動条件を指定されたか否かを指定する起動条件管理テーブルと、この起動条件管理テーブルで起動条件が指定された実行単位に対してその実行単位の起動条件を設定する起動条件テーブルとを有する制御装置の制御方法において、
各サイクリック実行のうち周辺処理実行時に、上記起動条件管理テーブルに対して上記個々の実行単位を起動するか否かの指定と、上記起動条件テーブルに対して上記起動指定の実行単位の起動条件の設定とを、当該制御装置につながるマンマシン・インタフェース部の動的な設定要求によって行われ、
上記サイクリック実行における実行プログラム実行処理時に、上記周辺処理実行時に動的に設定された起動条件管理テーブルの指定と起動条件テーブルの設定とに基づいて、上記個々の実行単位ごとに設定された起動条件を満たした場合にのみその実行単位を個々に起動する
ことを特徴とする制御方法。
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1998
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