JP3548630B2 - Mr画像生成方法及びmri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は磁気共鳴イメージング(MRI)におけるMR画像生成方法及びMRI装置に係り、とくに複素数として取り扱われるMRデータの絶対値データとリアル成分(実部)データとを混合して1画像をつくるようにしたハイブリッド構成のMR画像生成方法及びMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、被検体中の原子核スピンの磁気共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージングでは、収集されたMR信号は直交検波器を用いて位相検波され、実部データ及び虚部データの複素数データとして処理される。
【0003】
MR信号を収集するMRI装置にはハードウエア的に完全には除去困難な磁場不均一性などの問題があり、ピクセル間でのMR信号の位相誤差の原因になっている。
【0004】
この位相誤差は画像むらを引き起こすので、通常、複素数データであるMR信号の絶対値を演算し、絶対値に拠る画像(絶対値画像)を表示して画像むらの低減を図っている。
【0005】
一方、スピンエコー(SE)法によりMR信号を収集する場合、上述した磁場不均一性の影響はかなりキャンセルされる。したがって、実部データのみを使った画像(リアル成分画像)であっても、渦電流の影響が無ければ、空間的に十分均一な画像となり、画像むらも少ない。渦電流の影響はハードウエアの調整やソフトウエアによる位相補正処理により低減できる。
【0006】
リアル成分画像は絶対値画像に比べて、磁場不均一性の影響が表われ易いが、S/N比が良く、またモーション(体動)に拠るアーチファクト(ゴースト)が少ないという利点がある。
【0007】
絶対値画像はリアル成分画像に対して上述とは反対に、磁場不均一性には優れているが、S/N比に劣り(元となるMR信号のS/N比が悪い場合にとくに顕著)、モーションアーチファクトが出易く、さらにk空間上での位相不連続に因るゴーストが出易いという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように絶対値画像及びリアル成分画像共に利点,欠点が共存し、何れか一方のみの画像では高品質で診断能に優れたものは望めない。
【0009】
とくに、画像診断上、重要な臓器、組織などの信号はk空間上の中心部(低周波部分)に来ることが多いが、リアル成分画像の場合、そのような低周波部分はモーションアーチファクトやゴーストの影響が大きく、誤診の原因になり易いという不都合が指摘されていた。これに対し、高周波成分には比較的ゴーストや磁場不均一性の影響は少ない。
【0010】
また、リアル成分画像を表示する場合、実際には前述した位相補正処理は必須であり、信号処理の演算負荷増大の一因になっていたのに加え、0次や1次程度の低次の位相補正では十分ではなかった(むらが低減しきれない)。
【0011】
本発明は上述した従来のMR画像の不都合に鑑みてなされたもので、磁場不均一性に強く、S/N比が高く、モーションアーチファクトが少ないMR画像生成方法及びMRI装置を提供することを、その目的とする。さらに、本発明は上記目的に加え、k空間上でのMRデータの位相不連続に因るゴーストを減らすことができるMR画像生成方法及びMRI装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述目的を達成するため、本発明のMR画像生成方法は、被検体から収集したMR信号をk空間上に複素数データとして配置し、前記k空間上のデータからMR画像を生成する方法であって、前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像を再構成し、前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像を再構成し、前記絶対値画像及びリアル成分画像を加算して前記MR画像を生成することを特徴とする。
【0013】
例えば、この生成方法は、前記k空間を複数のセグメント領域に分割して行うスキャン法を用いるMRイメージングに適用するMR画像生成方法とし、前記低周波成分及び高周波成分は前記セグメント領域の分割位置に対応して分離されている。例えば、前記スキャン法は高速SE法である。
【0014】
さらに、好適な態様では、前記絶対値画像を再構成する処理は、前記k空間上の前記低周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第1のk空間データを形成し、この第1のk空間データをフーリエ変換する処理であり、前記リアル成分画像を再構成する処理は、前記k空間上の前記高周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第2のk空間データを形成し、この第2のk空間データをフーリエ変換する処理である。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のMRI装置は、被検体からMR信号を収集し、このMR信号をk空間上に複素数データとして配置し、前記k空間上のデータからMR画像を得るMRI装置であり、前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像を再構成する手段と、前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像を再構成する手段と、前記絶対値画像及びリアル成分画像を加算して前記MR画像を生成する手段と、を備えたことを特徴とする。
例えば、前記MR信号は、前記k空間を複数のセグメント領域に分割して行うスキャン法により収集されるMR信号であって、前記低周波成分及び高周波成分は前記セグメント領域の分割位置に対応して分離されている。前記スキャン法は、例えば高速SE法である。前記絶対値画像を再構成する手段は、前記k空間上の前記低周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第1のk空間データを形成し、この第1のk空間データをフーリエ変換する手段であり、前記リアル成分画像を再構成する手段は、前記k空間上の前記高周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第2のk空間データを形成し、この第2のk空間データをフーリエ変換する手段である。
【0016】
【作用】
本発明に係るMR画像生成方法によれば、複素数データとして取り扱われる、被検体から収集された2チャンネルのデータがエンコード量に応じてk空間上に配置され、このデータからMR画像が生成される。具体的には、前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像が再構成され、前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像が再構成され、前記絶対値画像及びリアル成分画像の画素値を加算して前記MR画像が生成される。
また、本発明に係るMRI装置によれば、複素数データとして取り扱われる2チャンネルのデータが被検体から収集され、このデータがエンコード量に応じてk空間上に配置され、このデータからMR画像が生成される。具体的には、前述と同様に、前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像が再構成され、前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像が再構成され、前記絶対値画像及びリアル成分画像の画素値を加算して前記MR画像が生成される。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。
【0018】
この実施例に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置の概略構成を図1に示す。この磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生用の磁石部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場部と、選択励起用及びMR信号受信用の送受信部と、システムコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【0019】
磁石部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、被検体Pが挿入される円筒状の診断空間のZ軸方向に静磁場Hを発生させる。
【0020】
傾斜磁場部は、磁石1に組み込まれたX,Y,Z軸方向の3組の傾斜磁場コイル3x〜3zと、この傾斜磁場コイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4と、この電源4を制御する傾斜磁場シーケンサ5とを備える。このシーケンサ5はコンピュータを備え、装置全体のコントローラ6(コンピュータを搭載)から例えば高速SE法に係るギャップレスタイプのマルチスライス撮影の収集シーケンス(図3参照)を指令する信号を受ける。これにより、傾斜磁場シーケンサ5は、指令されたシーケンスにしたがってX,Y,Z軸方向の各傾斜磁場の印加及びその強度を制御し、それらの傾斜磁場が静磁場Hに重畳可能になっている。この実施例では、互いに直交する3軸の内のZ軸方向の傾斜磁場をスライス用傾斜磁場Gとし、X軸方向のそれを読出し用傾斜磁場Gとし、さらにY軸方向のそれを位相エンコード用傾斜磁場Gとする。
【0021】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設される高周波コイル7と、このコイル7に接続された送信機8T及び受信機8Rと、この送信機8T及び受信機8Rの動作タイミングを制御するRFシーケンサ9(コンピュータを搭載)とを備える。この送信機8T及び受信機8Rは、RFシーケンサ9の制御のもと、核磁気共鳴(NMR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスを高周波コイル7に供給する一方、高周波コイル7が受信したMR信号(高周波信号)に各種の信号処理を施してデジタル信号の画像データを形成するようになっており、その詳細は図2に示す。
【0022】
さらに、制御・演算部は、上述したコントローラ6のほか、受信機8Rで形成された画像データを入力し、画像データの再構成を行う演算ユニット10と、再構成演算した画像データを保管する記憶ユニット11と、画像を表示する表示器12と、オペレータが操作する入力器13とを備えている。演算ユニット10は、具体的には、メモリ空間である2次元フーリエ空間への実測データの配置、画像再構成のためのフーリエ変換などの処理を行う。コントローラ6は傾斜磁場シーケンサ5及びRFシーケンサ9の同期をとりながら、両者の動作内容及び動作タイミングを制御する。
【0023】
上記送信機8T及び受信機8Rは、具体的には図2に示すように形成されている。この内、送信機8Tは、発振周波数がf0 及びΔfの発振部20及び21を有し、その発振部20の出力側に順次配設された位相選択部22、周波数変換部23、振幅変調部24、高周波電力増幅部25、及び変調波発生部26とを備えている。
【0024】
変調波発生部26は、所定のスライス厚に対応した例えばSINC関数の変調波F(t)をRFシーケンサ9から制御信号が到来したときに発生させるようになっている。変調波F(t)は振幅変調部24に供給される。
【0025】
周波数がf0 である発振部20の発振信号を受けた位相選択部22は、その信号の位相をφに選択して後段の周波数変換部23に送る。周波数変換部23には、もう一方の発振部21から周波数Δfの発振信号が入力している。そこで、周波数変換部23は2つの入力信号を用いて、周波数がf0 ±Δfの高周波信号を形成し、この内、一方の周波数f0 +Δfの高周波信号を振幅変調部24に供する。
【0026】
上記振幅変調部24は、キャリアである周波数f0 +Δfの信号(位相φ)を変調波F(t)で変調し、パワー増幅用の高周波電力増幅器25を介して、磁石1内の高周波コイル7に供給する。
【0027】
一方、受信機8Rは、高周波コイル7に接続された前置増幅器40と、その前置増幅器40の出力側に順次接続された中間周波変換部41、位相検波部42、低周波増幅器43、ローパスフィルタ44、及びA−D変換器45を有する。前置増幅器40で増幅されたNMRの高周波信号は、中間周波変換部41により中間周波数に変換されて位相検波部42に供給される。位相検波部42は、複素数信号として取扱い得る、90度位相がずれた2つのMR信号を入力信号から検波するものである。この2つの検波信号は、2チャンネルの低周波数増幅部43及びローパスフィルタ44を介して2チャンネルのA−D変換部45に送られる。A−D変換部45でデジタル信号に変換されたMR信号が演算ユニット11に読み込まれる。
【0028】
続いて、この実施例の作用効果を説明する。
【0029】
まず、傾斜磁場シーケンサ5及びRFシーケンサ9は、コントローラ6からギャップレスのマルチスライス撮像に係る高速SE法の収集シーケンスが指令されると、図3に示すように、そのシーケンスに沿って被検体Pへの傾斜磁場の印加及び高周波信号の送受信を制御する。なお、ここでの高速SE法のエコー数は「5」とし、図4に示す如くk空間を、その位相エンコードk方向の等分割点で5分割したセグメント領域SG1〜SG5の各々に、各エンコード信号が配置されるものとする。
【0030】
最初に、スライス用傾斜磁場Gが傾斜磁場電源4から傾斜磁場コイル3、3を介して印加され、この傾斜磁場Gが一定値まで立上がった時点で送信機8T及び高周波コイル7を介して、90゜RFパルス(選択励起パルス)が1回だけ印加される。これにより、被検体のマルチスライス面の中の一つを形成する所定スライス幅の撮像領域が選択励起されるとともに、その面内の原子核スピンがy′軸(回転座標)までフリップする。
【0031】
次いで、k空間上の所定数のセグメント領域(ここでは5分割を採用)の中の最初のセグメント領域、例えばSG1の各エンコード位置に対応した位相エンコード用傾斜磁場Gが傾斜磁場電源4から傾斜磁場コイル3y、3yを介して被検体Pに印加される。これにより、スライス面内の原子核スピンはエンコード方向の位置に応じた位相だけ回転する。
【0032】
次いで、上述と同様に、スライス用傾斜磁場Gとともに第1の180゜RFパルスP(リフォーカスパルス)が印加される。これにより、原子核スピンが180度、y′軸の回りに回転し、その後、第1のスピンエコー信号Sが生成される。このとき、読出し用傾斜磁場Gが傾斜磁場コイル3x、3xを介して印加されており、第1のスピンエコー信号Sは、その傾斜磁場Gの立上がり期間中に高周波コイル7を介して収集される。
【0033】
この後、2番目のエンコード用セグメント領域、例えばSG2内のエンコード位置に対応した位相エンコード用傾斜磁場Gが印加される。そして、上述と同様に、第2の180゜RFパルスPがスライス用傾斜磁場パルスGと共に印加され、第2のスピンエコー信号Sが生成される。この第2のスピンエコー信号Sは読出し用傾斜磁場Gの印加と共に、高周波コイル7を介して収集される。さらに、同様にして、第3〜第5のスピンエコー信号S〜Sもセグメント領域SG3〜SG5に対して各々、収集される。
【0034】
以上の1つの90゜RFパルスに対するシーケンスは、1ショット分繰り返される。
【0035】
この一連のシーケンスにより受信されたスピンエコー信号S、S、…S、は順次受信機8Rに送られ、そこで増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅の処理を受けた後、前述の如く、複素数のデジタル信号に変換されて、演算ユニット10に出力される。演算ユニット10ではエコー信号が、k空間のセグメント領域SG1〜SG5毎に位相エンコード量に応じて配置される。
【0036】
演算ユニット10は予め搭載されているCPUのソフトウエア機能によって図4に示す、1点鎖線で囲んだ部分的に示す処理を行う。
【0037】
すなわち、k空間に位相エンコード量に応じて配置された2次元のエコーデータの内、零エンコード位置k=0を含む中心部のセグメント領域SG3のエコーデータS(k,k)を切り出すとともに、残りのセグメント領域SG1,SG2,SG4,SG5に対応するk空間上のエコーデータS(k,k)の位置には「零(=0)」を詰めてk空間の2次元データを新たに作成する(図4ステップS1)。なお、このとき、トランケーションアーチファクトを除去するために、適宜なウインドウを掛けてもよい。
【0038】
次いで演算ユニット10は、ステップS1で新たに作成したk空間上の2次元エコーデータに2次元フーリエ変換を施し、実時間上の画像V(x,y)を再構成する。この画像V(x,y)は実部データ、虚部データの2チャンネルで成る。
【0039】
次いで、演算ユニット10は、再構成した2次元画像V(x,y)の各画素のデータの絶対値を各々演算し、絶対値画像Iabs =|V(x,y)|を作成する(ステップS3)。
【0040】
これに対し、演算ユニット10は中心部以外の4つのセグメント領域SG1,SG2,SG4,SG5のエコーデータS(k,k)の各々について、そのリアル成分のみを求めるため、ステップS4〜S7の処理を順次行う。
【0041】
まず、エコーデータS(k,k)の各々に対して、0次,1次の低次の位相補正が行われる(ステップS4)。これにより、画素間のある程度大きな位相誤差が補償される。なお、この位相補正は必ずしも行わなくてもよい。またなお、演算負荷の増加が特に問題にならないときは、この段階で、DC成分の除去処理を上記位相補正と併用で、又は単独で行うこともできる。
【0042】
さらに、セグメント領域SG1,SG2,SG4,SG5のエコーデータS(k,k)を切り出すとともに、真中のセグメント領域SG3の位置には零詰めした新たなk空間上の2次元エコーデータが演算で、作成される(ステップ5)。新たなエコーデータは次いで2次元フーリエ変換され、実時間上のもう一方の2次元画像V(x,y)に再構成される(ステップS7)。この画像V(x,y)も前述した直交検波に拠って、実部データと虚部データの2チャンネルで成る。
【0043】
そこで、この複素数データで成る画像V(x,y)のデータから実部データのみが選択される(ステップS7)。これにより、リアル成分画像Ireal=「real part of V(x,y)」が得られる。
【0044】
このように絶対値画像Iabs リアル成分画像Irealが作成されると、演算ユニット10は最後に両画像Iabs ,Irealを画素毎に画素値を加算し、最終的な2次元MR画像I(x,y)=|V(x,y)|+「real part of V(x, y)」が得られる。
【0045】
以上の如く、本実施例ではエコーデータを配置したk空間上の位相エンコードk方向の中心部(低周波部分)については絶対値画像を再構成し、その周辺部(高周波部分)についてはリアル成分画像を再構成し、両者を画素毎に加算して最終画像が作られる。これにより、画像の大局的な濃度分布を決めるのに支配的なk空間上の中心部は絶対値画像となり、絶対値画像の有利さを継承できる。一方、k空間上の周辺部はリアル成分画像となり、リアル成分画像自体の有利さを継承できる。したがって、このようにハイブリッドされたMR画像によれば、従来のリアル成分のみの画像に比べて磁場不均一性に強いことから、位相誤差が少なく、濃度むらが改善されるとともに、従来の絶対値のみの画像に比べて、S/N比も良く、モーションアーチファクトも少ないことから、画像歪も少なくなるという、従来では相反する利点が同時に得られる。
【0046】
また、上記実施例のようにイメージングのパルスシーケンスとして高速SE法を使ったk空間分割スキャンの場合、k空間上でのエコー接続部における不連続性に起因した位相誤差に因るゴーストを低減でき、この点でも画像歪改善に寄与する。なお、この分割スキャン時のゴースト低減の利点は、イメージング用パルスシーケンスとしてGRASE法,EPI法などを使ったときも同様に得られる。
【0047】
さらに、従来のようにリアル成分画像のときは、位相補正は全画素に対し不可欠であったが、本実施例によれば、k空間上の周辺部のエコーデータに対して、それも必要時のみに施せば済むから、エコーデータ収集後の演算負荷の著しい軽減にもなる。
【0048】
さらに、本実施例ではフーリエ変換の処理前に作成する2次元エコーデータの各々には、データが入っていないエンコード位置に零を詰めて、k空間上のマトリクスサイズを同一にしている。このため、フーリエ変換後の再構像のマトリクスサイズも互いに同じになり、画像の補間処理が不要になる。勿論、上記零詰めを行わないで、切り出したサイズのままフーリエ変換を行い、その後の再構成画像で補間処理により同一マトリクスに設定してもよい。
【0049】
なお、本発明のMR画像生成方法及びMRI装置は、上述した高速SE法に依る場合に限定されず、k空間上のエコーデータを配置し、この配置データからMR画像を再構成する方法及び装置に適用できる。k空間上における低周波域、高周波域は、例えば前述の如くの高速SE法によるk空間分割スキャンの場合、エコー信号に応じたセグメント領域の切れ目を利用して分離するのが好適である。k空間分割スキャン法を採用していない場合、かかる低周波域及び高周波域は位相エンコードk方向及びリードk方向の各々について任意の位置で分離してよい。通常、k空間でのデータ連続性は位相エンコードk方向の方がリードk方向(周波数エンコード方向)よりも低いので、位相エンコード方向で分割するのが好適である。
【0050】
さらに、高速SE法を利用する場合のエコー数も上述した「5エコー」に限定されず、任意である。
【0051】
さらにまた、高速SE法を用いた場合、生成されるスピンエコー信号を収集する順番と、このスピンエコー信号を配置するk空間上のセグメント領域の順番とは必ずしも上述した実施例のものに限定されることなく任意であり、例えば最初のスピンエコー信号S1を中心部のセグメント領域SG3にエンコード量に応じて配置するようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像生成方法及びMRI装置によれば、k空間上のデータの内、中心部の低周波成分を絶対値画像として再構成し、その周辺部の高周波成分をリアル成分画像として再構成し、両者を加算して最終のMR画像とするハイブリッド構成の手法を採用したので、磁場不均一性に強く、画像むらが減少するとともに、S/N比も良く、またモーションアーチファクトが少なくて画像歪も減少するという効果が同時に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する一実施例に係るMRI装置のブロック図。
【図2】同実施例の送信機及び受信機のブロック図。
【図3】イメージングのための高速SE法の一例を示すパルスシーケンスの図。
【図4】k空間上のセグメント領域の様子及び演算ユニットでのハイブリッド構成による処理を示すフローチャート的説明図。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3x,3y,3z 傾斜磁場コイル
4 傾斜磁場電源
5 傾斜磁場シーケンサ
6 コントローラ
7 高周波コイル
8T 送信機
8R 受信機
10 演算ユニット

Claims (8)

  1. 被検体から収集したMR信号をk空間上に複素数データとして配置し、前記k空間上のデータからMR画像を生成するMR画像生成方法において、
    前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像を再構成し、前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像を再構成し、前記絶対値画像及びリアル成分画像を加算して前記MR画像を生成することを特徴としたMR画像生成方法。
  2. 前記k空間を複数のセグメント領域に分割して行うスキャン法を用いるMRイメージングに適用するMR画像生成方法であって、前記低周波成分及び高周波成分は前記セグメント領域の分割位置に対応して分離されている請求項1記載のMR画像生成方法。
  3. 前記スキャン法は高速SE法である請求項2記載のMR画像生成方法。
  4. 前記絶対値画像を再構成する処理は、前記k空間上の前記低周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第1のk空間データを形成し、この第1のk空間データをフーリエ変換する処理であり、前記リアル成分画像を再構成する処理は、前記k空間上の前記高周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第2のk空間データを形成し、この第2のk空間データをフーリエ変換する処理である請求項1記載のMR画像生成方法。
  5. 被検体からMR信号を収集し、このMR信号をk空間上に複素数データとして配置し、前記k空間上のデータからMR画像を得るMRI装置において、
    前記k空間上の低周波成分のデータから絶対値画像を再構成する手段と、
    前記k空間上の高周波成分のデータからリアル成分画像を再構成する手段と、
    前記絶対値画像及びリアル成分画像を加算して前記MR画像を生成する手段と、を備えたことを特徴としたMRI装置。
  6. 前記MR信号は、前記k空間を複数のセグメント領域に分割して行うスキャン法により収集されるMR信号であって、
    前記低周波成分及び高周波成分は前記セグメント領域の分割位置に対応して分離されている請求項1記載のMRI装置。
  7. 前記スキャン法は高速SE法である請求項6記載のMRI装置。
  8. 前記絶対値画像を再構成する手段は、前記k空間上の前記低周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第1のk空間データを形成し、この第1のk空間データをフーリエ変換する手段であり、
    前記リアル成分画像を再構成する手段は、前記k空間上の前記高周波成分のデータをそのまま残すとともに、その他の成分を零として第2のk空間データを形成し、この第2のk空間データをフーリエ変換する手段である請求項5記載のMRI装置。
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