JP4901031B2 - 位相矛盾検出方法および装置、位相矛盾解消方法および装置、並びに、磁気共鳴撮影装置 - Google Patents

位相矛盾検出方法および装置、位相矛盾解消方法および装置、並びに、磁気共鳴撮影装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相矛盾検出方法および装置、位相矛盾解消方法および装置、並びに、磁気共鳴撮影装置に関し、とくに、2次元位相マップ(map)における位相矛盾を検出する方法および装置、2次元位相マップにおける位相矛盾を解消する方法および装置、並びに、そのような装置を備えた磁気共鳴撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴撮影(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置では、マグネットシステム(magnet system)の内部空間、すなわち、静磁場を形成した撮影空間に撮影の対象を搬入し、勾配磁場および高周波磁場を印加して対象内のスピン(spin)を励起して磁気共鳴信号を発生させ、その受信信号に基づいて画像を再構成する。
【0003】
撮影に利用する磁気共鳴信号は、水素原子核すなわちプロトン(proton)のスピンから発生する信号である。プロトンは生体を構成する最大の成分である水の中に存在するので、生体を磁気共鳴撮影するための信号として好適である。
【0004】
プロトンは脂肪中にも存在するので脂肪からも磁気共鳴信号が発生する。ケミカルシフトがあるために、脂肪のプロトンのスピンから発生する磁気共鳴信号は、水のプロトンのスピンから発生する磁気共鳴信号とは周波数が異なる。脂肪の周波数は、水の周波数からその約3.5ppm相当の周波数だけ低い周波数となる。
【0005】
このような周波数の違いを利用して、脂肪を含まない水だけの像または水を含まない脂肪だけの像を得ることが行われる。水だけの像または脂肪だけの像を得るには、水のプロトンのスピンと脂肪のプロトンのスピンの間にπ/2の位相差を生じさせた状態で磁気共鳴信号を獲得し、この磁気共鳴信号に基づいて複素数画像を再構成し、複素数画像データのリアルパート(real part)によって水像を形成し、イマジナリパート(imaginary part)によって脂肪像を形成する。
【0006】
磁気共鳴信号の位相は静磁場強度の不均一の影響を受けるので、磁場不均一に影響されずに水と脂肪を別々に画像化するために、静磁場不均一を表す2次元的な位相分布すなわち2次元位相マップを求め、それに基づいて予め画像の位相補正を行うようにしている。
【0007】
2次元位相マップは、複素数で与えられる画像データ(data)の位相をピクセル(pixel)ごとに求めることにより得られる。ノイズ(noise)の影響を受けない2次元位相マップを得るために、2次元位相マップの元になる複素画像についてローパスフィルタリング(low−pass filtering)が行われる。
【0008】
2次元位相マップを形成する過程では、位相のラップアラウンド(wrap around)の有無を検出し、ラップアラウンドがある部分ではラップアラウンドの補正すなわちアンラッピング(unwrapping)が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
撮影対象の磁化率の変化、水と脂肪の混在による位相変化、血流や体動によるゴースト(ghost)あるいは大きなノイズ(noise)等によりピクセルデータの位相が局所的に乱れた場合、その部分ではあたかもラップアラウンドがあるかのような位相状態となり、それに基づいてアンラッピングを行うと正しい位相マップを得ることができない。
【0010】
そこで、本発明の課題は、2次元位相マップにおける局所的な位相の矛盾を検出する方法および装置、2次元位相マップにおける局所的な位相の矛盾を解消する方法および装置、並びに、そのような装置を備えた磁気共鳴撮影装置を実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の課題を解決するための1つの観点での発明は、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する、ことを特徴とする位相矛盾検出方法である。
【0012】
(2)上記の課題を解決する他の観点での発明は、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、を具備することを特徴とする位相矛盾検出装置である。
【0013】
(1)および(2)に記載の各観点での発明では、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定するので、2次元位相マップにおける位相矛盾を検出することができる。
【0014】
(3)上記の課題を解決する他の観点での発明は、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定し、前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する、ことを特徴とする位相矛盾解消方法である。
【0015】
(4)上記の課題を解決する他の観点での発明は、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する平均化手段と、を具備することを特徴とする位相矛盾解消装置である。
【0016】
(3)および(4)に記載の各観点での発明では、2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定し、前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化するので、2次元位相マップにおける位相矛盾を解消することができる。
【0017】
(5)上記の課題を解決する他の観点での発明は、撮影の対象から磁気共鳴信号を獲得し、この磁気共鳴信号に基づいて画像を生成し、この画像の2次元位相マップを求め、この2次元位相マップを用いて前記画像の位相補正を行う磁気共鳴撮影装置であって、前記2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する平均化手段と、を具備することを特徴とする磁気共鳴撮影装置である。
【0018】
(5)に記載の観点での発明では、磁気共鳴撮影によって得られた断層像の2次元位相マップにについて、局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定し、前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化するので、位相矛盾を解消した2次元位相マップ得ることができ、それを用いて画像の位相補正を正しく行うことができる。
【0019】
前記閾値は±πであることが、位相矛盾の検出を適切に行う点で好ましい。
前記局所データマトリクスは正方マトリクスであることが、矛盾検出の等方性を維持する点で好ましい。
【0020】
前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2であることが、矛盾検出の位置分解能を最高にする点で好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。図1に磁気共鳴撮影装置のブロック(block)図を示す。本装置において、2次元位相マップの位相矛盾の検出および位相矛盾の解消が行われる。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。
【0022】
先ず、磁気共鳴撮影装置の構成およびその撮影動作について説明する。同図に示すように、本装置はマグネットシステム100を有する。マグネットシステム100は主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106およびRFコイル部108を有する。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、互いに同軸的に配置されている。マグネットシステム100の概ね円柱状の内部空間(ボア:bore)に、撮影の対象1がクレードル(cradle)500に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。
【0023】
主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね対象1の体軸の方向に平行である。すなわちいわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、超伝導コイルに限らず常伝導コイル等を用いて構成してもよいのはもちろんである。
【0024】
勾配コイル部106は、互いに垂直な3軸すなわちスライス(slice)軸、位相軸および周波数軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を生じる。
【0025】
静磁場空間における互いに垂直な座標軸をx,y,zとしたとき、いずれの軸もスライス軸とすることができる。その場合、残り2軸のうちの一方を位相軸とし、他方を周波数軸とする。また、スライス軸、位相軸および周波数軸は、相互間の垂直性を保ったままx,y,z軸に関して任意の傾きを持たせることも可能である。本装置では対象1の体軸の方向をz軸方向とする。
【0026】
スライス軸方向の勾配磁場をスライス勾配磁場ともいう。位相軸方向の勾配磁場を位相エンコード(phase encode)勾配磁場ともいう。周波数軸方向の勾配磁場をリードアウト(read out)勾配磁場ともいう。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は図示しない3系統の勾配コイルを有する。以下、勾配磁場を単に勾配ともいう。
【0027】
RFコイル部108は静磁場空間に対象1の体内のスピン(spin)を励起するための高周波磁場を形成する。以下、高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信ともいう。また、RF励起信号をRFパルスともいう。RFコイル部108は、また、励起されたスピンが生じる電磁波すなわち磁気共鳴信号を受信する。
【0028】
RFコイル部108は図示しない送信用のコイルおよび受信用のコイルを有する。送信用のコイルおよび受信用のコイルは、同じコイルを兼用するかあるいはそれぞれ専用のコイルを用いる。
【0029】
勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0030】
RFコイル部108にはRF駆動部140が接続されている。RF駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信し、対象1の体内のスピンを励起する。
【0031】
RFコイル部108にはデータ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信した受信信号をサンプリング(sampling)によって取り込み、それをディジタルデータ(digital data)として収集する。
【0032】
勾配駆動部130、RF駆動部140およびデータ収集部150には制御部160が接続されている。制御部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御して撮影を遂行する。
【0033】
制御部160は、例えばコンピュータ(computer)等を用いて構成される。制御部160は図示しないメモリ(memory)を有する。メモリは制御部160用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。制御部160の機能は、コンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0034】
データ収集部150の出力側はデータ処理部170に接続されている。データ収集部150が収集したデータがデータ処理部170に入力される。データ処理部170は、例えばコンピュータ等を用いて構成される。データ処理部170は図示しないメモリを有する。メモリはデータ処理部170用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。
【0035】
データ処理部170は制御部160に接続されている。データ処理部170は制御部160の上位にあってそれを統括する。本装置の機能は、データ処理部170がメモリに記憶されたプログラムを実行することによりを実現される。
【0036】
データ処理部170は、データ収集部150が収集したデータをメモリに記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。このデータ空間は2次元フーリエ(Fourier)空間を構成する。以下、フーリエ空間をkスペース(k−space)ともいう。データ処理部170は、kスペースのデータを2次元逆フ−リエ変換することにより対象1の画像を再構成する。データ処理部170は、本発明における画像生成手段の実施の形態の一例である。
【0037】
データ処理部170には表示部180および操作部190が接続されている。表示部180は、グラフィックディスプレー(graphic display)等で構成される。操作部190はポインティングデバイス(pointingdevice)を備えたキーボード(keyboard)等で構成される。
【0038】
表示部180は、データ処理部170から出力される再構成画像および各種の情報を表示する。操作部190は、使用者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。使用者は表示部180および操作部190を通じてインタラクティブ(interactive)に本装置を操作する。
【0039】
図2に、他の方式の磁気共鳴撮影装置のブロック図を示す。本装置においても、2次元位相マップの位相矛盾の検出および2次元位相マップの位相矛盾の解消が行われる。同図に示す磁気共鳴撮影装置は、本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。
【0040】
本装置は、図1に示した装置とは方式を異にするマグネットシステム100’を有する。マグネットシステム100’以外は図1に示した装置と同様な構成になっており、同様な部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
マグネットシステム100’は主磁場マグネット部102’、勾配コイル部106’およびRFコイル部108’を有する。これら主磁場マグネット部102’および各コイル部は、いずれも空間を挟んで互いに対向する1対のものからなる。また、いずれも概ね円盤状の形状を有し中心軸を共有して配置されている。マグネットシステム100’の内部空間(ボア)に、対象1がクレードル500に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。
【0042】
主磁場マグネット部102’はマグネットシステム100’の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね対象1の体軸方向と直交する。すなわちいわゆる垂直磁場を形成する。主磁場マグネット部102’は例えば永久磁石等を用いて構成される。なお、永久磁石に限らず超伝導電磁石あるいは常伝導電磁石等を用いて構成してもよいのはもちろんである。
【0043】
勾配コイル部106’は、互いに垂直な3軸すなわちスライス軸、位相軸および周波数軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を生じる。
【0044】
静磁場空間における互いに垂直な座標軸をx,y,zとしたとき、いずれの軸もスライス軸とすることができる。その場合、残り2軸のうちの一方を位相軸とし、他方を周波数軸とする。また、スライス軸、位相軸および周波数軸は、相互間の垂直性を保ったままx,y,z軸に関して任意の傾きを持たせることも可能である。本装置でも対象1の体軸の方向をz軸方向とする。
【0045】
スライス軸方向の勾配磁場をスライス勾配磁場ともいう。位相軸方向の勾配磁場を位相エンコード勾配磁場ともいう。周波数軸方向の勾配磁場をリードアウト勾配磁場ともいう。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106’は図示しない3系統の勾配コイルを有する。
【0046】
RFコイル部108’は静磁場空間に対象1の体内のスピンを励起するためのRFパルスを送信する。RFコイル部108’は、また、励起されたスピンが生じる磁気共鳴信号を受信する。
【0047】
RFコイル部108’は図示しない送信用のコイルおよび受信用のコイルを有する。送信用のコイルおよび受信用のコイルは、同じコイルを兼用するかあるいはそれぞれ専用のコイルを用いる。
【0048】
図3に、磁気共鳴撮影に用いるパルスシーケンス(pulse sequence)の一例を示す。このパルスシーケンスは、スピンエコー(SE:Spin Echo)法のパルスシーケンスである。
【0049】
すなわち、(1)はSE法におけるRF励起用の90°パルスおよび180°パルスのシーケンスであり、(2)、(3)、(4)および(5)は、同じくそれぞれ、スライス勾配Gs、リードアウト勾配Gr、フェーズエンコード勾配GpおよびスピンエコーMRのシーケンスである。なお、90°パルスおよび180°パルスはそれぞれ中心信号で代表する。パルスシーケンスは時間軸tに沿って左から右に進行する。
【0050】
同図に示すように、90°パルスによりスピンの90°励起が行われる。このときスライス勾配Gsが印加され所定のスライスについての選択励起が行われる。90°励起から所定の時間後に、180°パルスによる180°励起すなわちスピン反転が行われる。このときもスライス勾配Gsが印加され、同じスライスについての選択的反転が行われる。
【0051】
90°励起とスピン反転の間の期間に、リードアウト勾配Grおよびフェーズエンコード勾配Gpが印加される。リードアウト勾配Grによりスピンのディフェーズ(dephase)が行われる。フェーズエンコード勾配Gpによりスピンのフェーズエンコードが行われる。
【0052】
スピン反転後、リードアウト勾配Grでスピンをリフェーズ(rephase)してスピンエコーMRを発生させる。スピンエコーMRはデータ収集部150によりビューデータ(view data)として収集される。このようなパルスシーケンスが周期TR(repetition time)で64〜512回繰り返される。繰り返しのたびにフェーズエンコード勾配Gpを変更し、毎回異なるフェーズエンコードを行う。これによって、64〜512ビューのビューデータが得られる。
【0053】
スピンエコーMRは、エコー中心に関して対称的な波形を持つRF信号となる。中心エコーは90°励起からTE(echo time)後に生じる。時間TEを適切に選ぶことにより、水のエコーと脂肪のエコーの位相差をπ/2とすることができる。位相差をπ/2にするTEは静磁場強度が0.2Tの場合で2τ+8.6msまたは2τ−8.6ms程度である。なお、τは90°励起から180°励起までの時間間隔である。この程度のTEで得られるスピンエコーは十分な信号強度を有する。
【0054】
磁気共鳴撮影用パルスシーケンスの他の例を図4に示す。このパルスシーケンスは、グラディエントエコー(GRE:Gradient Echo)法のパルスシーケンスである。
【0055】
すなわち、(1)はGRE法におけるRF励起用のα°パルスのシーケンスであり、(2)、(3)、(4)および(5)は、同じくそれぞれ、スライス勾配Gs、リードアウト勾配Gr、フェーズエンコード勾配GpおよびスピンエコーMRのシーケンスである。なお、α°パルスは中心信号で代表する。パルスシーケンスは時間軸tに沿って左から右に進行する。
【0056】
同図に示すように、α°パルスによりスピンのα°励起が行われる。αは90以下である。このときスライス勾配Gsが印加され所定のスライスについての選択励起が行われる。
【0057】
α°励起後、フェーズエンコード勾配Gpによりスピンのフェーズエンコードが行われる。次に、リードアウト勾配Grにより先ずスピンをディフェーズし、次いでスピンをリフェーズして、グラディエントエコーMRを発生させる。グラディエントエコーMRはデータ収集部150によりビューデータとして収集される。このようなパルスシーケンスが周期TRで64〜512回繰り返される。繰り返しのたびにフェーズエンコード勾配Gpを変更し、毎回異なるフェーズエンコードを行う。これによって、64〜512ビューのビューデータが得られる。
【0058】
グラディエントエコーMRは、エコー中心に関して対称的な波形を持つRF信号となる。中心エコーはα°励起からTE後に生じる。時間TEを適切に選ぶことにより、水のエコーと脂肪のエコーの位相差をπ/2とすることができる。位相差をπ/2にするTEは静磁場強度が0.2Tの場合で8.6ms程度である。この程度のTEで得られるグラディエントエコーは十分な信号強度を有する。
【0059】
図3または図4のパルスシーケンスによって得られたビューデータが、データ処理部170のメモリに収集される。なお、パルスシーケンスはSE法またはGRE法に限るものではなく、例えばファーストスピンエコー(FSE:FastSpin Echo)法やエコープラナーイメージング(EPI:Echo Planar Imaging)等、他の適宜の技法のものであってよいのはいうまでもない。
【0060】
データ処理部170は、ビューデータを2次元逆フーリエ変換して対象1の断層像を再構成する。再構成した画像はメモリに記憶する。データ処理部170は、再構成した画像から、水分を画像化した像および脂肪分を画像化した像をそれぞれ生成する。以下、水分を画像化した像を水像、脂肪分を画像化した像を脂肪像ともいう。
【0061】
水像および脂肪像を生成するに当たり、データ処理部170は、静磁場の強度分布に相当する位相分布すなわち2次元位相マップを求め、それを用いて、磁場不均一の影響を除去する位相補正を行う。以下、2次元位相マップを単に位相マップともいう。なお、位相マップは水・脂肪分離撮影のためばかりでなく、通常の撮影における位相補正のために求めるようにしてもよいのはもちろんである。
【0062】
水像と脂肪像を分離して生成する観点から見たデータ処理部170のブロック図を図5に示す。同図の各ブロックの機能は、大部分が例えばコンピュータプログラム(computer program)等により実現される。以下同様である。
【0063】
同図に示すように、データ処理部170はフィルタリング部704を有する。
フィルタリング部704には、前段の画像再構成部700から再構成画像が入力される。再構成画像としては、例えば標準ファントム(phantom)を撮像して得た像等が用いられる。なお、標準ファントムは水成分だけを含むものである。
【0064】
再構成画像のピクセルデータ(pixel data)は複素数で与えられる。すなわち、ピクセルデータは実数成分と虚数成分を有する。以下、実数成分および虚数成分をそれぞれリアルパート(real part)およびイマジナリパート(imaginary part)ともいう。
【0065】
このような入力画像について、フィルタリング部704がフィルタリングを行う。フィルタリングは例えばローパスフィルタリング(low−pass filtering)であり、これによってピクセルデータに含まれるノイズが除去される。
【0066】
フィルタリング後の画像につき、位相マップ形成部706で位相マップを形成する。位相マップ形成部706は、ピクセルごとに複素数データの位相すなわちリアルパートとイマジナリパートのアークタンジェント(arc tangent)を求め、この位相をピクセル値とする画像すなわち位相マップを形成する。
【0067】
位相マップの模式図を図6の(a)に示す。同図は、位相マップの1次元プロファイル(profile)である。位相マップの1次元プロファイル(以下、単に位相マップという)は、静磁場が均一な場合は、同図の一点鎖線で示すように、位相0に相当する水平な直線になるべきであるが、例えば静磁場がリニア(linear)に変化するような不均一性を持つとすると、それに対応した傾斜で位相が変化する位相マップとなる。撮影空間での静磁場強度は予めシミング(shimming)が行われているにより、局所的に急激に変化することはなく概ね滑らかに変化する。
【0068】
位相マップには、±πの範囲を逸脱した位相が±πの範囲内に折り返すいわゆるラップアラウンドが生じる。このような位相マップにつき位相アンラッピング(unwrapping)部708で位相アンラッピングを行う。
【0069】
位相アンラッピング部708は、図6の(a)に示すようにラップアラウンドすなわち2πの位相差が生じている部分で、位相差とは逆符号で2πを加算し、位相マップを(b)のようにラップアラウンドのないものにする。位相アンラッピングが施された位相マップは位相マップメモリ712に記憶される。
【0070】
位相マップメモリ712に記憶された位相マップは、位相補正部714において再構成画像の位相補正に利用される。位相補正部714は、画像再構成部700から位相補正すべき再構成画像を入力し、そのピクセルデータの位相を位相マップにおける対応するピクセルの位相によって補正する。
【0071】
位相を補正した複素画像は水・脂肪分離部716に入力される。水・脂肪分離部716は、位相補正済みの複素画像のリアルパートを用いて水像を生成し、イマジナリパートを用いて脂肪像を生成する。これによって、正確な水像および脂肪像を得ることができる。生成した水像は水像メモリ718に記憶し、脂肪像は脂肪像メモリ720に記憶する。
【0072】
位相マップを求めるための元画像として対象1を撮影したものを用いる場合は、上記のパルスシーケンスにより、水像と脂肪像はπ/2の位相差を持つので、位相マップは脂肪像に相当するところでは静磁場不均一よる位相からπ/2異なる位相を持つ。
【0073】
このような位相マップで位相補正を行うと、水像と脂肪像の位相差までも補正してしまい、水・脂肪分離画像を得ることができなくなる。そこで、対象1を撮影した画像から位相マップを求める場合は次のような処理を行う。
【0074】
図7に、水像と脂肪像がπ/2の位相差を持つ画像から位相マップを求める観点でのデータ処理部170のブロック図を示す。同図に示すように、データ処理部170はパワー(power)画像形成部902および位相分布計算部904を有する。パワー画像形成部902および位相分布計算部904には、再構成画像が入力される。
【0075】
パワー画像形成部902は、ピクセルごとの複素数データのパワーを求め、このパワーをピクセル値とする画像すなわちパワー画像を形成する。位相分布計算部904は、再構成画像の位相分布を求める。求められた位相分布の模式図を図8の(a)に示す。同図は、断層像が脂肪像とその周囲を囲む水像からなる場合の、位相分布の1次元プロファイル(profile)である。
【0076】
位相分布の1次元プロファイル(以下、単に位相分布という)は、静磁場が均一であるとすると、水像の位相が0になることにより、同図の一点鎖線で示すような図形になるべきであるが、例えば静磁場がリニアに傾斜す不均一性を持つとすると、実線で示すような位相分布となる。
【0077】
位相分布は位相4倍部906に入力される。位相4倍部906は位相分布における各位相を4倍する。これにより、図8の(b)に示すような位相分布が得られる。同図に示すように、4倍したことにより水と脂肪の位相差が2πになり両者は同相となる。なお、位相分布にはラップアラウンドが生じる。また、それに加えて、水と脂肪の境界部分では位相の不連続ないし急変が生じる。
【0078】
このような位相分布が複素画像形成部908に入力される。複素画像形成部908にはパワー画像形成部902からパワー画像も入力される。複素画像形成部908は、位相分布とパワー画像に基づいて複素画像を形成する。
【0079】
複素画像のリアルパートは、パワー画像データのコサイン(cosine)として求められる。複素画像のイマジナリパートは、パワー画像データのサイン(sine)として求められる。なお、コサインおよびサインの演算に用いる角度は位相角度である。
【0080】
複素画像はローパスフィルタ部910を通して位相分布計算部912に入力される。位相分布計算部912は、ローパスフィルタリングされた複素画像から位相分布を形成する。ローパスフィルタリングにより、位相分布は、図9の(a)に示すような位相の不連続ないし急変部分が、例えば(b)に示すように連続化ないし急変緩和されたものとなる。
【0081】
このような位相分布が矛盾検出・解消部914を経て位相アンラッピング部916に入力される。矛盾検出・解消部914については後にあらためて説明する。位相アンラッピング部916は、図10の(a)に示すようにラップアラウンドしている位相を(b)のようにアンラッピングする。
【0082】
アンラッピングされた位相分布は位相1/4倍部918に入力される。位相1/4倍部918は入力位相を1/4倍する。これにより、図10の(c)に示すような位相分布が得られる。この位相分布は、対象1が水だけからなる場合の位相分布に相当する。したがって、この位相分布は静磁場の強度分布すなわち静磁場不均一を表すものとなる。このような位相マップを、図5に示した位相補正部714における位相補正に使用することにより、脂肪像に影響されない位相マップを得ることができる。
【0083】
次に、位相マップの位相矛盾の検出および位相矛盾の解消について説明する。位相マップに位相矛盾が生じる例を図11および図12によって説明する。1ピクセル中に水と脂肪が混在する場合、そのピクセルの位相は水の位相と脂肪の位相の中間的な値を持つ。このため、位相分布計算部904で計算した位相マップは例えば図11に示すようになり、水・脂肪混在部分において、位相が水の位相から脂肪の位相へ連続的に変化するようになる。
【0084】
このような位相マップについて位相4倍部906で位相4倍処理を行うことにより、図12の(a)に示すような4倍位相マップが得られる。このような4倍位相マップに基づいて複素画像形成部908で複素画像を形成し、ローパスフィルタ部910でローパスフィルタリングし、位相分布計算部912で位相分布を計算することにより、同図の(b)に示すような位相マップが得られる。
【0085】
同図に示すように、水・脂肪混在部分での位相変化は位相のラップアラウンドに匹敵するほど大きなものとなる。このような位相マップについて位相アンラッピング部916で位相アンラッピングを行うと、水・脂肪混在部分をラップアラウンド部を見なして位相アンラッピングが行われるおそれがある。
【0086】
この部分は、破線で示すように、本来はリニアな位相を持つはずのところであって位相アンラッピングを行うべきところではない。したがって、もしここで位相アンラッピングが行われた場合は位相マップが意味をなさなくなる。そこで、矛盾検出・解消部914で位相マップにおける矛盾を検出して解消する。
【0087】
図13に、矛盾検出・解消部914の動作のフロー(flow)図を示す。同図に示すように、ステップ(step)922で、マトリクス(matrix)設定が行われる。これによって、例えば位相マップの中央に所定の大きさの画素マトリクスが設定される。マトリクスサイズは例えば図14に示すように2×2である。この画像マトリクスにおける各画素をA,B,C,Dとする。画素A,B,C,Dはそれぞれ位相を持つ。
【0088】
なお、マトリクスサイズは2×2に限るものではなく適宜でよい。ただし、2×2のマトリクスは矛盾検出の位置分解能を最高にする点で好ましい。また、正方マトリクスの代わりに適宜の異方マトリスとしてもよい。ただし、正方マトリクスは、矛盾検出の等方性を維持する点で好ましい。
【0089】
次に、ステップ924で、画素A,B,C,Dの位相について周回アンラッピングを行う。周回アンラッピングとは、例えば画素Aを出発点として時計回りに順次に画素間の位相差を調べて、ラップアラウンドしている位相について位相アンラッピングを行うことである。なお、出発点はいずれの画素であってもよく、また周回方向は反時計回りであってもよい。ステップ924で周回アンラッピングを行うデータ処理部170は、本発明における位相アンラッピング手段の実施の形態の一例である。
【0090】
図15に、周回アンラッピングの一例を示す。同図の(a)に示すように、画素A,B,C,Dの位相はそれぞれ0,3π/4,−3π/4,0であるとする。これらの位相を極座標平面における単位ベクトル(vector)で表したものが同図の(b)である。
【0091】
最初に画素Aから画素Bを見た位相差を調べるとこれは3π/4となる。この位相差は±π以内であるので、画素Bの位相はラップアラウンドしていないと判定する。したがって、位相アンラッピングを行わない。なお、ラップアラウンドの有無の判定は±πに限らず予め定めた適宜の閾値を基準として行ってよい。ただし、±πは理論に忠実な判定を行う点で好ましい。以下、閾値が±πである例で説明するが、他の値の場合も同様になる。
【0092】
次に、画素Bから画素Cを見た位相差を調べるとこれは−6π/4となる。この位相差は±πを超えているので、画素Cの位相はラップアラウンドしていると判定し、位相アンラッピングを行う。
【0093】
すなわち、画素Cの位相はラップアラウンドにより見かけ上−3π/4になっているもの判定し、位相アンラッピングによりラップアラウンド前の位相に戻す。これによって、画素Cの位相は極座標平面において反時計回り測った位相5π/4となる。
【0094】
次に、ラップアラウンド後の画素Cから画素Dを見た位相差を調べるとこれは−5π/4となる。この位相差は±πを超えているので、画素Dの位相はラップアラウンドしていると判定し、位相アンラッピングによりラップアラウンド前の位相に戻す。これによって、画素Dの位相は極座標平面において反時計回り測った位相2πとなる。
【0095】
次に、ラップアラウンド後の画素Dから画素Aを見た位相差を調べるとこれは−2πとなる。この位相差は±πを超えているので、画素Aの位相はラップアラウンドしていると判定することになるが、画素Aは周回アンラッピングの出発点であり、その位相はラップアラウンドしていないことを前提としているので矛盾が生じる。
【0096】
図16に、周回アンラッピングの他の例を示す。同図の(a)に示すように、画素A,B,C,Dの位相はそれぞれ0,π/4,π/2,π/4であるとする。これらの位相を極座標平面における単位ベクトルで表すと同図の(b)のようになる。
【0097】
最初に画素Aから画素Bを見た位相差を調べるとこれはπ/4となる。この位相差は±π以内であるので、画素Bの位相はラップアラウンドしていないと判定する。したがって、位相アンラッピングを行わない。
【0098】
次に、画素Bから画素Cを見た位相差を調べるとこれはπ/4となる。この位相差も±π以内であるので、画素Bの位相はラップアラウンドしていないと判定する。したがって、位相アンラッピングを行わない。
【0099】
次に、画素Cから画素Dを見た位相差を調べるとこれは−π/4となる。この位相差は±π以内であるので、画素Bの位相はラップアラウンドしていないと判定する。したがって、位相アンラッピングを行わない。
【0100】
次に、画素Dから画素Aを見た位相差を調べるとこれは−π/4となる。この位相差は±π以内であるので、画素Bの位相はラップアラウンドしていないと判定する。したがって、位相アンラッピングを行わない。画素Aは周回アンラッピングの出発点であり、その位相はラップアラウンドしていないことを前提としているので矛盾は生じない。
【0101】
上記の要領で周回アンラッピングを行った後に、ステップ926で、矛盾の有無を検出する。ステップ924で矛盾の有無を検出するデータ処理部170は、本発明における矛盾検出手段の実施の形態の一例である。矛盾がある場合は、ステップ928で矛盾があった画素の位置を特定しその位置を記憶する。
【0102】
次に、ステップ930で、マトリクスを更新する。これによって、例えば図17の(a)示すように、隣のマトリクス等が次の矛盾検出の対象として設定され、このマトリクスについて、ステップ924の周回アンラッピングおよびステップ926の矛盾検出がそれぞれ行われる。なお、更新するマトリクスは隣のマトリクスに限らず適宜でよい。また、隣のマトリクスを構成する画素は、例えば図17の(b)および(c)に示すように、部分的に重複していても良い。
【0103】
ステップ928で矛盾が検出されないときは、ステップ932で、すべてのマトリクスすなわち位相マップ全体について処理済みであるか否かを判定し、否の場合はステップ930でマトリクスを更新する。そして、ステップ924の周回アンラッピングおよびステップ926の矛盾検出をそれぞれ行う。以下、同様な処理を繰り返す。
【0104】
すべてのマトリクスについて上記の処理を済ませた後は、ステップ934で、位置限定ローパスフィルタリングを行う。位置限定ローパスフィルタリングとは、上記のようにして矛盾を検出した画素を中心とする所定の半径の領域についてのみ、位相のローパスフィルタリングすなわち位相平均を行う処理である。この位置限定ローパスフィルタリングも、複素画像を形成したうえで行うことはいうまでもない。ステップ934で位置限定ローパスフィルタリングを行うデータ処理部170は、本発明における平均化手段の実施の形態の一例である。
【0105】
このように位置限定ローパスフィルタリングを行うことにより、例えば図18の(a)に示すように、水・脂肪混在により位相が急変した部分においては、位相分布が例えば図15に示したようになって矛盾が検出されることにより強いローパスフィルタリングが行われ、脂肪だけまたは水だけの部分では位相分布が例えば図16に示したようになることにより矛盾が検出されず、強いローパスフィルタリングは行われない。
【0106】
したがって、同図の(b)に示すように、位相の急変が大幅に緩和され本来の位相マップにほぼ一致する位相マップを得ることができる。強いローパスフィルタリングは位相が急変した部分についてのみ行われるので、それ以外の部分まで過度に平滑化されることはない。
【0107】
位相マップの矛盾は水・脂肪混在部分ばかりでなく、撮影対象の磁化率の変化、血流や体動によるゴーストあるいは大きなノイズ等によても生じるが、それらに由来する矛盾も上記の処理によって検出および解消できることはもちろんである。したがって、矛盾検出・解消部914は図5に示したブロックにおいて位相マップ形成部706と位相アンラッピング部708の間に設けるようにしてもよい。
【0108】
また、位相マップは水・脂肪分離画像を撮影するための位相マップに限るものではなく、例えばマグネットシステムの静磁場強度分布を自動補正するためのオートシミング(auto shimming)用の位相マップ等、他の用途の位相マップであってよい。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、2次元位相マップにおける局所的な位相の矛盾を検出する方法および装置、2次元位相マップにおける局所的な位相の矛盾を解消する方法および装置、並びに、そのような装置を備えた磁気共鳴撮影装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例の装置が実行するパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例の装置が実行するパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図5】データ処理部のブロック図である。
【図6】図5に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図7】データ処理部のブロック図である。
【図8】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図9】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図10】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図11】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図12】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【図13】図7に示したデータ処理部の動作のフロー図である。
【図14】周回アンラッピングを説明するための図である。
【図15】周回アンラッピングを説明するための図である。
【図16】周回アンラッピングを説明するための図である。
【図17】局所マトリクスを示す図である。
【図18】図7に示したデータ処理部の機能を説明する図である。
【符号の説明】
1 対象
100,100’ マグネットシステム
102 主磁場コイル部
102’ 主磁場マグネット部
106,106’ 勾配コイル部
108,108’ RFコイル部
130 勾配駆動部
140 RF駆動部
150 データ収集部
160 制御部
170 データ処理部
180 表示部
190 操作部
500 クレードル
700 画像再構成部
704 フィルタリング部
706 位相マップ形成部
708 位相アンラッピング部
712 位相マップメモリ
714 位相補正部
716 水・脂肪分離部
718 水像メモリ
720 脂肪像メモリ
902 パワー画像形成部
904 位相分布計算部
906 位相4倍部
908 複素画像形成部
910 ローパスフィルタ部
912 位相分布計算部
914 矛盾検出・解消部
916 位相アンラッピング部
918 位相1/4倍部

Claims (20)

  1. 磁気共鳴撮影画像の2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、
    始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する、
    ことを特徴とする位相矛盾検出方法。
  2. 前記閾値は±πである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の位相矛盾検出方法。
  3. 前記局所データマトリクスは正方マトリクスである、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位相矛盾検出方法。
  4. 前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の位相矛盾検出方法。
  5. 磁気共鳴撮影画像の2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、
    始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、
    を具備することを特徴とする位相矛盾検出装置。
  6. 前記閾値は±πである、
    ことを特徴とする請求項5に記載の位相矛盾検出装置。
  7. 前記局所データマトリクスは正方マトリクスである、
    ことを特徴とする請求項または請求項に記載の位相矛盾検出装置。
  8. 前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2である、
    ことを特徴とする請求項7に記載の位相矛盾検出装置。
  9. 2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行い、
    始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定し、
    前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する、
    ことを特徴とする位相矛盾解消方法。
  10. 前記閾値は±πである、
    ことを特徴とする請求項9に記載の位相矛盾解消方法。
  11. 前記局所データマトリクスは正方マトリクスである、
    ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の位相矛盾解消方法。
  12. 前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2である、
    ことを特徴とする請求項11に記載の位相矛盾解消方法。
  13. 磁気共鳴撮影画像の2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、
    始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、
    前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する平均化手段と、
    を具備することを特徴とする位相矛盾解消装置。
  14. 前記閾値は±πである、
    ことを特徴とする請求項13に記載の位相矛盾解消装置。
  15. 前記局所データマトリクスは正方マトリクスである、
    ことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の位相矛盾解消装置。
  16. 前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2である、
    ことを特徴とする請求項15に記載の位相矛盾解消装置。
  17. 撮影の対象から磁気共鳴信号を獲得し、この磁気共鳴信号に基づいて画像を生成し、この画像の2次元位相マップを求め、この2次元位相マップを用いて前記画像の位相補正を行う磁気共鳴撮影装置であって、
    前記2次元位相マップにおける局所データマトリクスごとに周回順に隣り合うデータ間の位相アンラッピングを順次に行う位相アンラッピング手段と、
    始点のデータと終点のデータの間の位相差が予め定めた閾値を超える局所データマトリクスを特定する矛盾検出手段と、
    前記特定した局所データマトリクスのデータを含む予め定めた領域に限定して前記2次元位相マップを平均化する平均化手段と、
    を具備することを特徴とする磁気共鳴撮影装置。
  18. 前記閾値は±πである、
    ことを特徴とする請求項17に記載の磁気共鳴撮影装置。
  19. 前記局所データマトリクスは正方マトリクスである、
    ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の磁気共鳴撮影装置。
  20. 前記正方マトリクスのマトリクスサイズは2×2である、
    ことを特徴とする請求項19に記載の磁気共鳴撮影装置。
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