JP3547868B2 - 原子炉の点検補修装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉の点検補修装置及び方法に係わり、特に、原子炉圧力容器の内部の炉水を排出することなく炉内の点検補修を行うことができる原子炉の点検補修装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽水炉の一種である沸騰水型原子炉は、例えば図8に示したような構成を備えている。図8において符号60は原子炉を示し、この原子炉60は取り外し可能な上蓋61を有する原子力圧力容器62を備えている。原子炉圧力容器62の内部には複数の柱状の燃料集合体63、63…63よりなる炉心64が設けられており、各燃料集合体63は複数の細長の燃料棒(図示を省略)を備え、各燃料棒は二酸化ウランペレットを燃料被覆管で覆うようにして構成されている。炉心64の上方には気水分離器65が設けられており、この気水分離器65の上方には蒸気乾燥器66が設けられている。また、燃料集合体63、63…63の間隙にはその長手方向に移動自在の複数の制御棒67、67…67が挿入されており、これらの制御棒67、67…67は制御棒駆動機構(CRD)68によって上下方向に駆動される。制御棒駆動機構68は制御棒67、67…67に接続されたロッド69、69…69を備えており、これらのロッド69、69…69は原子炉圧力容器62の下部から貫通して延びる円筒状のハウジング(圧力容器貫通ハウジング)70、70…70の内部に挿入されている。これらのハウジング70、70…70の下端部には、制御棒駆動機構本体を取り付けるために、ハウジング70の外径よりも大きな径よりなるフランジ71、71…71が形成されている。
【0003】
炉心64の周囲には略円筒状の炉心シュラウド72が周設されており、この炉心シュラウド72と原子炉圧力容器62の内壁との間隙には複数のジェットポンプ73、73…73が周設されている。原子炉圧力容器62の側周壁には再循環水入口ノズル74及び再循環水出口ノズル75が容器壁を貫通して設けられており、これらの再循環水入口及び出口ノズル74、75は原子炉圧力容器62の外部に設けられた再循環ループ76によって連結されている。この再循環ループ76の一端部は再循環水入口ノズル74を経由してジェットポンプ73のノズル73aに対向しており、また、再循環ループ76の途中には再循環ポンプ77が介装されている。
【0004】
原子炉圧力容器62の側周壁には主蒸気出口ノズル79が容器壁を貫通して設けられており、この主蒸気出口ノズル79には主蒸気配管81が接続されている。また、原子炉圧力容器62の側周壁には、水位計装用の圧力容器貫通ノズル78が貫通して設けられている。図9はこの圧力容器貫通ノズル78付近の詳細を示しており、図9から分かるように原子炉圧力容器62の内壁面にはステンレス鋼よりなる肉盛り部82が溶接によって形成されている。圧力容器貫通ノズル78の炉心64側の端部は耐熱性、耐食性に優れたインコネル合金よりなる溶接部83が形成されている。
【0005】
原子炉圧力容器62の内部は、炉心64が十分に冠水する位置まで炉水(軽水)Wで満たされており、この炉水Wは原子炉60の減速材及び冷却材の機能を有している。
【0006】
また、原子炉圧力容器62の上方には、図10に示したように主として燃料集合体63の交換や配置替えを行うための燃料交換機84が設けられている。この燃料交換機84を用いて燃料集合体63の交換等を実施する際には、原子炉圧力容器62の上蓋61を取り外して行う。
【0007】
上述したような構成を備えた沸騰水型原子炉においては、燃料集合体63を構成する燃料棒の中のウランの核分裂反応によって熱が発生し、この熱によって炉水Wが加熱されて沸騰する。沸騰した炉水Wは気水分離器65によって水蒸気と水に分離され、分離された水蒸気は蒸気乾燥器66によって乾燥された後に主蒸気出口ノズル79及び主蒸気配管81を介して蒸気タービン(図示を省略)へ送られる。蒸気タービンに送られた水蒸気は蒸気タービンを回した後に復水器(図示を省略)によって凝縮され、給水配管(図示を省略)及び給水ノズル(図示を省略)を介して原子炉圧力容器62の内部に環流される。また、再循環ポンプ77によってジェットポンプ73のノズル73aに圧送された炉水Wは、ジェットポンプ73によって加圧されて炉心64の下部に入り、流れを上向きに変えて炉心64の内部に流入する。このようにジェットポンプ73を用いることによって炉水Wを効率的に循環させることができる。また、制御棒駆動機構68は、例えば水圧駆動でロッド69、69…69を上下動させて制御棒67、67…67を挿入し又は引き抜くことによって、核分裂によって放出された中性子を適宜吸収して原子炉60の出力を制御する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば圧力容器貫通ノズル78の材料としてオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304等)を使用している場合、圧力容器貫通ノズル78と原子炉圧力容器62との溶接部分又は溶接部近傍の圧力容器貫通ノズル78に一定条件下で応力腐蝕割れ(SCC)が発生する可能性がある。この応力腐蝕割れは、材料の鋭敏化(溶接の熱影響によって結晶粒界近傍にクロム欠乏層を生じ、耐食性が劣化する現象)、溶接部に生じる溶接残留応力、及び微量の溶存酸素を含む高温の炉水環境の3つの要因が重畳した場合に発生する恐れがある。したがって、応力腐蝕割れは、前記3つの因子を軽減するか、1つ以上を消去することによって防止することが可能であり、既に種々の対策が講じられている。また、上記応力腐蝕割れ以外にも、何らかの原因によって圧力容器貫通ノズル78の内面等に錆やクラック等が発生する可能性がある。
【0009】
従来、上述した応力腐蝕割れやその他の原因によって圧力容器貫通ノズル78等に割れが発生した場合、補修作業を行うためには原子炉圧力容器62の内部の炉水Wを炉外に排出する必要があった。そして、炉水Wを排出した後に、原子炉圧力容器62の外側から作業員が配管の切断等の作業を行っていた。
【0010】
このように従来の補修作業は、原子炉圧力容器62の内部の炉水Wを外部に排出した後に実施しなければならなかったために、作業時間が長時間に及ぶばかりでなく、炉水Wによる放射線の遮蔽効果が失われるために作業環境における線量率が増加し、作業員の許容被曝線量との関係から作業を迅速に行うことが極めて困難であった。
【0011】
本発明は上述した事情を考慮した成されたものであって、例えば圧力容器貫通ノズルの内面や溶接部分に欠陥が発生した場合において、原子炉圧力容器内の炉水を排出することなく炉内を点検し、補修することができる原子炉の点検補修装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による原子炉の点検補修装置は、中空体よりなる水密容器と、この水密容器に形成された開口部と、この開口部の周囲に設けられたシール装置と、前記水密容器に設けられたシリンダと、前記水密容器の内部を気相状態にするための気相形成手段とを備え、前記シリンダの出力軸の先端部を炉内構造物に押圧し、その反力によって前記シール装置の先端部を原子炉圧力容器の内周面に押圧して前記水密容器の内部を前記原子炉圧力容器の内部から水密に隔離し、前記気相形成手段によって前記水密容器の内部を気相状態にするようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明による原子炉の点検補修装置は、前記気相形成手段は、前記水密容器の内部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、前記水密容器の内部の炉水及び前記圧縮空気供給手段から供給された圧縮空気を排出する排出手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明による原子炉の点検補修装置は、前記水密容器の内部に液体浸透検査装置を備え、この液体浸透検査装置は、検査用の液体を噴霧する液体噴霧装置と、欠陥を確認するためのブラックライト及びカメラ装置とを有し、前記液体噴霧装置は噴霧方向を調整するための移動機構を有することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明による原子炉の点検補修装置は、炉心シュラウドのシュラウドヘッドボルトブラケットに係合しうる位置決めピンを有する位置決め用吊り装置を備え、前記位置決めピンを前記シュラウドヘッドボルトブラケットに係合させることによって所定位置に位置決めするようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明による原子炉の点検補修装置は、気相状態にある前記水密容器の内部を加熱するための加熱手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明による原子炉の点検補修装置は、前記シール装置の先端部を前記原子炉圧力容器の内周面の湾曲形状に対応するように形成し、この先端部にリップシールを設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明による原子炉の点検補修方法は、請求項4記載の原子炉の点検補修装置を前記位置決め用吊り装置を介して燃料交換機のホイストに吊り下げ、前記ホイストを操作して前記位置決めピンを前記シュラウドヘッドボルトブラケットに係合させて所定位置に位置決めし、前記シリンダを作動してその出力軸の先端部を前記炉心シュラウドの外周面に押圧して前記水密容器の内部を前記原子炉圧力容器の内部から水密に隔離し、前記気相形成手段によって前記水密容器の内部を気相状態にすることを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明による原子炉の点検補修方法は、請求項7記載の原子炉の点検補修方法において、前記炉心シュラウドの外周面と前記原子炉圧力容器の内周面との間隙に放射線遮蔽体を設け、この放射線遮蔽体と前記原子炉圧力容器の内周面との間隙の所定位置に前記点検補修装置を配置し、前記シリンダを作動してその出力軸の先端部を前記放射線遮蔽体に押圧して前記水密容器の内部を前記原子炉圧力容器の内部から水密に隔離するようにしたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態
以下、本発明による原子炉の点検補修装置及び方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、上述した従来技術と同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0021】
図1及び図2において符号1は本実施形態による原子炉の点検補修装置を示し、この点検補修装置1は中空部材によりなる水密容器2を備えており、この水密容器2の一面には円形の開口3が形成されている。この開口3の周縁には短筒状のシール装置4が突設されており、この短筒状のシール装置4の先端部は原子炉圧力容器62の内壁の曲面形状に対応する形状を備えている。また、シール装置4の先端縁には弾性体よりなるリップシール5が設けられており、原子炉圧力容器62の内壁の曲面形状に対応して水密に密着しうるようになっている。
【0022】
水密容器2の両側面には台座6がそれぞれ固着されており、これらの台座6にはそれぞれ上下一対のシリンダ7がボルト8によって締結固定されている。これらのシリンダ7のピストンロッド9の先端部には球状の回転自在部材10が取り付けられており、これらの回転自在部材10はピストンロッド9を進出させることによって炉心シュラウド72の外周面に押圧されるようになっている。ピストンロッド9は、シリンダ7に形成された供給口11から水又は空気を圧入することによって駆動される。
【0023】
水密容器2の内部の中央部には、水中テレビカメラ12がOリング13、14によって気密に固設されている。また、水密容器2の内部には、ベースプレート15が上下動自在に設けられており、このベースプレート15にはナット部16が固着されている。このナット部16には螺旋棒17が螺合されており、この螺旋棒17は駆動ベルト18を介して電動モータ19によってその位置で回転されるようになっている。
【0024】
ベースプレート15には縦長の開口20が上方にやや偏椅して形成されており、この縦長の開口20の中に上記水中テレビカメラ12の先端部が挿通されている。この水中テレビカメラ12の先端部の側方に位置するようにして、上下一対の2組のスプレイノズル21、21、21、21がベースプレート15に配設されており、これらのスプレイノズル21、21、21、21からは液体浸透検査用の洗浄液、浸透液及び現像液が噴霧されるようになっている。ベースプレート15には現像後に欠陥の有無を確認するための第1のブラックライト22a、22a及び第2のブラックライト22b、22bが配設されている。なお、第1のブラックライト22aと第2のブラックライト22bとは視野領域等が異なるものであり、対象物の状態等に応じて適宜使い分けることができる。ベースプレート15の下方には、水密容器2の内部及び気相空間にある原子炉圧力容器62や圧力容器貫通ノズル78の内壁における結露を防止するために一対のヒータ23、23が設けられている。なお、この結露の防止は、溶接補修時の割れの発生を防ぎ、また補修箇所に吹き付けられた洗浄液等の流出を防ぐ上で有効である。
【0025】
水密容器2の下部には水密容器2の内部の水を排出するための排出口24が設けられ、一方、水密容器2の上部には圧縮空気を供給するための供給口25が設けられている。排出口24は、水密容器2の内部の水及び供給口25から供給された空気を排出するための真空ポンプ(図示を省略)に接続されており、一方、供給口25は、水密容器2の内部に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段(図示を省略)に接続されている。
【0026】
図3及び図4は、上述した本実施形態による原子炉の点検補修装置1を原子炉圧力容器62の内周面と炉心シュラウド72の外周面との間に配置した状態を示している。点検補修装置1には位置決め用吊り装置30が取り付けられており、この位置決め用吊り装置30は燃料交換機84(図10参照)の補助ホイスト(図示を省略)に吊り下げられている。位置決め用吊り装置30にはプレート31が設けられており、このプレート31には一対の位置決めピン32、32が下向きに固着されている。これらの位置決めピン32、32は、炉心シュラウド72に固着された一対のシュラウドヘッドボルトブラケット85、85に係合できるように配置されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、原子炉圧力容器62の内部が炉水Wで満たされた状態で、図3及び図4に示したように、燃料交換機84の補助ホイストに位置決め用吊り装置30を介して点検補修装置1を原子炉圧力容器62の内部に吊り下げ、原子炉圧力容器62の内部の配管86、86等を避けながら、原子炉圧力容器62の内周面と炉心シュラウド72の外周面との間隙に移動させる。そして、補助ホイストを操作しながら点検補修装置1の位置を調整し、位置決め用吊り装置30のプレート31に固着された一対の位置決めピン32、32を炉心シュラウド72に設けられた一対のシュラウドヘッドボルトブラケット85、85に係合させる。すると、点検補修装置1はその中心が圧力容器貫通ノズル78の中心にほぼ対応するようにして位置決めされるので、次に水中テレビカメラ12によって観察しながら補助ホイストを操作して点検補修装置1の位置を微調整し、水中テレビカメラ12が圧力容器貫通ノズル78の正面に位置するようにする。
【0028】
このようにして点検補修装置1を所定の位置に移動させたら、4個のシリンダ7、7、7、7を作動させ、炉心シュラウド72の外周面に向かってピストンロッド9、9、9、9を進出させる。すると、ピストンロッド9の先端に設けられた球状の回転自在部材10が炉心シュラウド72の外周面に押圧される。そして、回転自在部材10は炉心シュラウド72の外周面上を転動できるので、図5に示したように湾曲した外周面に対しても安定した接触面が得られる。回転自在部材10が炉心シュラウド72の外周面に押圧されると、シリンダ7に対して反力が発生し、この反力によって点検補修装置1の全体が原子炉圧力容器62の方向に押される。すると、水密容器2に突設されたシール装置4の先端縁に周設された弾性体よりなるリップシール5が原子炉圧力容器62の内周面に押圧され、水密容器2の内部が密閉されて外部と水密に隔離される。
【0029】
このようにして水密容器2の内部が密閉されたら、水密容器2の内部の炉水Wを排出口24を介して真空ポンプ(図示を省略)によって排出しながら、供給口25を介して圧縮空気供給手段(図示を省略)から圧縮空気を導入する。すると、水密容器2の内部は圧縮空気で満たされて気相空間が形成される。気相空間が形成されたら、ヒータ23、23を作動させて水密容器2の内部の結露を防止する。また、気相空間形成後も、真空ポンプによる排気と圧縮空気供給手段による圧縮空気の導入とを継続して行い、水密容器2の内部に空気が滞留しないようにして結露を防止する。
【0030】
このようにして水密容器2の内部の炉水Wを排出して気相空間を形成したら、液体浸透法によって圧力容器貫通ノズル78及びその周辺の欠陥の有無を点検する。すなわち、スプレイノズル21、21、21、21から圧力容器貫通ノズル78及びその周辺に対して液体浸透検査用の洗浄液、浸透液及び現像液を噴霧し、現像後に欠陥の有無をブラックライト22、22、22、22を用いて水中テレビカメラ12によって点検する。ここで、電動モータ19を駆動してベースプレート15を上下に移動させることによって、スプレイノズル21、21、21、21及びブラックライト22、22、22、22の上下方向の位置を適宜調整し、水中テレビカメラ12が噴霧液によって汚損されないようにしながら適切な画像が得られるようにする。
【0031】
そして、欠陥が確認された場合には、水密容器2の内部に気相空間を維持しつつ、圧力容器貫通ノズル78の補修・交換作業を実施する。この作業において、圧力容器貫通ノズル78の周辺には点検補修装置1によって気相空間が形成されているので、例えば圧力容器貫通ノズル78を原子炉圧力容器62から切断して取り外した場合でも、原子炉圧力容器62の内部の炉水が外部に漏洩するようなことはない。そして、補修作業が終了したら、再びスプレイノズル21、21、21、21から補修箇所に対して液体浸透検査用の洗浄液、浸透液及び現像液を噴霧し、現像後に欠陥の有無をブラックライト22、22、22、22を用いて水中テレビカメラ12によって点検する。なお、液体浸透検査は、補修作業前には実施せずに補修後にのみ行うようにすることもできる。
【0032】
以上述べたように本実施形態によれば、原子炉圧力容器62の内部が炉水Wで満たされている状態において圧力容器貫通ノズル78及びその周辺の点検補修作業を実施することができるので、作業を短時間で確実に行えるばかりでなく、作業員の放射線被曝量を大幅に低減させることができる。
【0033】
第2の実施形態
以下、本発明による原子炉の点検補修装置及び方法の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、上述した従来技術又は第1実施形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施形態は、上記第1実施形態における点検補修装置1の背面側(炉心64に面する側)にある炉心シュラウド72に、鉛等で形成された放射線遮蔽体を着脱自在に設けた構成を備えている。
【0035】
図6及び図7において符号40は放射線遮蔽体を示し、この放射線遮蔽体40は、炉心シュラウド72の湾曲形状に対応して湾曲した平板よりなる遮蔽本体部41と、この遮蔽本体部41の下端縁に設けられた張出し部42とを備えている。遮蔽本体部41の上端には一対の支持棒43、43の下端が固着されており、これらの支持棒43、43には支持板44が横架されて固定され、この支持板44の上面にはフック部45が固着されている。
【0036】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態によって原子炉の点検補修作業を行う際には、原子炉圧力容器62の内部が炉水Wで満たされた状態において、まず、燃料交換機84(図10参照)の補助ホイスト(図示を省略)によって放射線遮蔽体40を原子炉圧力容器62の内部に吊り下げ、降下させながら原子炉圧力容器62の内周面と炉心シュラウド72の外周面との間隙に移動させる。そして、補助ホイストを操作しながら放射線遮蔽体40の位置を微調整し、一対の支持棒43、43を一対のシュラウドヘッドボルトブラケット85、85に位置合わせすると共に、フック部45を炉心シュラウド72の上端に掛止して放射線遮蔽体40を炉心シュラウド72に着脱自在に固定する。
【0037】
次に、上記第1実施形態において説明した方法によって、点検補修装置1を原子炉圧力容器62の内周面と放射線遮蔽体40の外周面との間の所定位置に移送し、4個のシリンダ7、7、7、7を作動させ、放射線遮蔽体40の外周面に向かってピストンロッド9、9、9、9を進出させる。すると、ピストンロッド9の先端に設けられた球状の回転自在部材10が放射線遮蔽体40の外周面に押圧され、シリンダ7に対して反力が発生し、この反力によって点検補修装置1の全体が原子炉圧力容器62の方向に押される。そして、水密容器2に突設されたシール装置4のリップシール5が原子炉圧力容器62の内周面に押圧され、水密容器2の内部が密閉されて外部と水密に隔離される。
【0038】
このようにして水密容器2の内部が密閉されたら、上記第1実施形態において説明した方法によって、水密容器2の内部に気相空間を形成して所定の点検補修作業を行う。ここで、本実施形態においては、放射線遮蔽体40が炉心64と点検補修箇所との間に設けられているので、水密容器2の内部を気相状態にした場合においても、作業環境における線量率を低く抑えることができる。
【0039】
以上述べたように本実施形態によれば、放射線遮蔽体40によって作業環境における線量率を低く抑えることが可能であり、作業員の放射線被曝量を大幅に低減することができると共に作業効率を大幅に向上させることができる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、原子炉圧力容器の内部に配置された点検補修装置の水密容器の内部に気相空間を形成することによって、原子炉圧力容器の内部が炉水で満たされている状態において点検補修作業を実施することができるので、作業を短時間で確実に行えるばかりでなく、作業員の放射線被曝量を大幅に低減させることができる。
【0041】
請求項2記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、圧縮空気供給手段及び排出手段によって水密容器の内部を迅速かつ確実に気相状態にすることができるので、作業を迅速かつ的確に行うことができ、また、気相状態形成後も圧縮空気の供給及び排出を継続することによって、気相状態を確実に維持できるばかりでなく、点検補修箇所における結露を防止して溶接作業等に適した作業環境を形成することができる。
【0042】
請求項3記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、水密容器の内部に設けられた液体浸透検査装置によって、点検補修箇所の状態を迅速かつ的確に把握することが可能であり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0043】
請求項4記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、位置決め用吊り装置の位置決めピンをシュラウドヘッドボルトブラケットに係合させることによって、点検補修装置の位置決めを迅速かつ確実に行うことが可能であり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0044】
請求項5記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、気相状態にある水密容器の内部を加熱手段によって加熱することによって、点検補修箇所における結露を防止して、溶接作業や液体浸透検査に適した作業環境を形成することができる。
【0045】
請求項6記載の発明による原子炉の点検補修装置によれば、シール装置の先端部を原子炉圧力容器の内周面の湾曲形状に対応するように形成し、この先端部にリップシールを設けたので、水密容器の内部の気相状態を確実に達成し、維持することができる。
【0046】
請求項7記載の発明による原子炉の点検補修方法によれば、請求項4記載の原子炉の点検補修装置を位置決め用吊り装置を介して燃料交換機のホイストに吊り下げ、ホイストを操作して位置決めピンをシュラウドヘッドボルトブラケットに係合させて所定位置に位置決めし、シリンダを作動してその出力軸の先端部を炉心シュラウドの外周面に押圧して水密容器の内部を原子炉圧力容器の内部から水密に隔離し、気相形成手段によって水密容器の内部を気相状態にするようにしたので、原子炉圧力容器の内部が炉水で満たされている状態において点検補修作業を実施することが可能であり、このため、作業を短時間で確実に行えるばかりでなく、作業員の放射線被曝量を大幅に低減させることができ、また、位置決め用吊り装置の位置決めピンをシュラウドヘッドボルトブラケットに係合させるようにしたので、点検補修装置の位置決めを迅速かつ確実に行うことが可能であり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0047】
請求項8記載の発明による原子炉の点検補修方法によれば、炉心シュラウドの外周面と原子炉圧力容器の内周面との間隙に放射線遮蔽体を設けたので、この放射線遮蔽体によって作業環境における線量率を低く抑えることが可能であり、作業員の放射線被曝量を大幅に低減することができると共に作業効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による原子炉の点検補修装置の第1実施形態を示した横断面図。
【図2】同実施形態を示した縦断面図。
【図3】同実施形態による点検補修装置を作業位置に配置する方法を示した説明図。
【図4】同実施形態による点検補修装置を作業位置に配置した状態を示した正面図。
【図5】同実施形態による点検補修装置を作業位置に配置した状態を示した平面図。
【図6】本発明による原子炉の点検補修装置の第2実施形態を作業位置に配置した状態を示した縦断面図。
【図7】同実施形態を作業位置に配置した状態を示した正面図。
【図8】沸騰水型原子炉の概略構成を示した縦断面図。
【図9】圧力容器貫通ノズル部を示した拡大断面図。
【図10】原子炉停止時に行われる炉内取扱作業を示した説明図。
【符号の説明】
1 点検補修装置
2 水密容器
3 円形の開口
4 シール装置
5 リップシール
7 シリンダ
9 ピストンロッド
12 水中テレビカメラ
15 ベースプレート
16 ナット部
17 螺旋棒
18 駆動ベルト
19 電動モータ
21 スプレイノズル
22a、22b ブラックライト
23 ヒータ
24 排出口
25 供給口
30 位置決め用吊り装置
32 位置決めピン
40 放射線遮蔽体
62 原子炉圧力容器
72 炉心シュラウド
84 燃料交換機
85 シュラウドヘッドボルトブラケット

Claims (1)

  1. 中空構造の水密容器と、この水密容器に形成された開口部と、この開口部の周囲に設けられた円形のシール装置と、前記水密容器に設けられたシリンダと、このシリンダのピストンロッドの先端部に取り付けられた球状の回転部材と、前記水密容器の内部を気相状態にする気相形成手段と、
    水密容器の内部に上下動自在に設けられたベースプレートと、このベースプレートに形成された縦長の開口と、この開口の側方に複数配設されて検査液を噴霧するスプレイノズルと、水密容器中央部の前記縦長の開口部分を挿通して設けられたテレビカメラとを備え、
    前記ピストンロッドの先端部を炉内構造物に押圧し、その反力によって前記シール装置の先端部を原子炉圧力容器の内周面に押圧して前記水密容器の内部を前記原子炉圧力容器の内部から水密に隔離し、前記気相形成手段によって前記水密容器の内部に気相状態を形成することを特徴とする原子炉の点検補修装置。
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