JP3547686B2 - リチウムイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パック - Google Patents

リチウムイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パック Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池の容量測定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化、高性能化、携帯型化によって、電池の需要が高まっている。それに応じて電池の改良、開発はますます活発化している。また、電池の新しい適用領域も拡大してきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電池の普及とともに、これら搭載された電池の信頼性向上の要求も高くなってきている。特に、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電池(以下、Ni/Cd電池と称す)に比べて体積当たり、あるいは重量当たり大幅な高エネルギー密度を有するニッケル水素電池(以下、Ni/MH電池と称す)やリチウムイオン電池(以下、Liイオン電池と称す)では、その内部に蓄えられているエネルギーが大きいため、電池の異常に伴って起こる事故による被害の程度もより深刻となりうるので、信頼性の確保が重要な課題となっている。
【0004】
また、鉛電池、Ni/Cd電池、およびNi/MH電池が過充電による副反応で発生するガスを吸収する反応機構を有するのに対して、Liイオン電池には過充電により発生するガスの吸収反応を持たないなど安全性維持の点で大きな制約がある。さらに、複数のLiイオン電池を直列に配置して使用する場合には、電池の劣化が進行すると個々の電池特性のアンバランスが過充電や過放電をもたらし、安全性の点で大きな不安要素となりうる。
【0005】
信頼性確保手段のひとつとして、搭載電池の的確な劣化状態の把握とタイムリーな電池の交換が挙げられる。Ni/MH電池やLiイオン電池の高エネルギー密度電池に関しては、1994年に提唱されたスマートバッテリーシステム(SBS)が充電制御、残存容量判定などを含めたバッテリーマネジメントシステムとして、改良を加えながら普及してきている(www.sbs−forum.org 参照)。これらの電池制御・管理は、製造メーカ、電池種類などの情報の他、常時電池の電流、電圧、温度などをモニタする膨大な情報データ管理に基づく方法が採用されているのみであり、このような方式は極めて高価な方式であり、製品価格の高騰を来していた。
【0006】
また、安全性維持の点で重要となる電池の劣化状態の監視については、Liイオン電池搭載の機器のモデルチェンジが頻繁に実施されていることもあって、使用時間の確保と監視を重視する余り、なおざりにされている傾向がある。
【0007】
特に、SBSは電池の充電制御、残存容量などの制御・管理の手段であり、電池の劣化状態まで把握する機能は有しておらず、電池、または電池パックの交換は使用者の勘に頼っているのが現状であった。
【0008】
SBSとは別に、ビデオカメラに搭載するLiイオン電池の制御・管理方式などが提案されているが、その方式においては、電池の劣化は、すでに測定された容量の表示から判断されるのみであり、充電の後に使用される電池が劣化しているか否かを正しく判定することは必ずしも可能でない。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その課題は、Liイオン電池の容量を推定する簡便な方法、Liイオン電池の劣化を判定する簡便な方法および装置、ならびに、電池の容量を推定し、必要に応じて電池の劣化を警告する手段を備えたLiイオン電池パックを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、請求項1に記載したように、
チウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際に、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを求め、該時間tを用いて該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出するリチウムイオン電池の容量推定方法であり、 上記リチウムイオン電池の公称容量をC としたときの上記定電流充電中の充電電流をC /( 30時間)以上C /( 1時間)以下として上記時間tを求め、該時間tを用い、該リチウムイオン電池の上記推定容量Cを関係式、
/ =A×t (1)
(ここに、A、Bは該リチウムイオン電池と上記電圧Vsと該定電流充電中の充電電流とによって定まる正値定数である)によって算出するリチウムイオン電池の容量推定方法であって、
容量推定の対象となるリチウムイオン電池あるいは該リチウムイオン電池と同一種類のリチウムイオン電池を用い、
1回の全充電時間が3時間以上10日以下である定電流定電圧方式による充電期間と、放電期間と、必要に応じて該充電期間と該放電期間との間に設けられる休止期間とを有する充放電サイクルを、
環境温度を10℃以上30℃以下、および−10℃以上5℃以下の2つとし、それぞれの設定温度の差が15℃以上となるように設定して、
2回以上繰り返して、
各サイクルにおいて、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間t (ここに、nは各サイクルに付した番号である)と、各サイクルごとに放電電流を時間に関して積分して得られる放電容量C とを記録し、記録された該時間t と該放電容量C とから、上記関係式(1)におけるA、Bの値を確定することを特徴とするリチウムイオン電池の容量推定方法を構成する。
【0013】
また、本発明においては、請求項に記載したように、
リチウムイオン電池の劣化判定方法であって、上記リチウムイオン電池の推定比容量Cを請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって算出し、該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン電池が劣化したと判定することを特徴とするリチウムイオン電池の劣化判定方法を構成する。
【0014】
また、本発明においては、請求項に記載したように、
リチウムイオン電池の劣化判定装置であって、該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際の、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを測定する手段と、該時間tを用いて、請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出する演算回路と、該演算回路によって算出された該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン電池の劣化を意味する信号を出力する手段とを備えていることを特徴とするリチウムイオン電池の劣化判定装置を構成する。
【0015】
また、本発明においては、請求項に記載したように、
ICを内蔵した充放電制御手段を備えたリチウムイオン電池パックにおいて、該ICあるいは該ICに付設して増設されたICが、該リチウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cの算出に用いる数値を記憶するメモリと、該数値が該メモリに記憶された場合に該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際の上記時間tと該数値とから請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって該推定容量Cを算出する演算回路とを有していることを特徴とするリチウムイオン電池パックを構成する。
【0016】
また、本発明においては、請求項に記載したように、
上記演算回路によって算出された上記リチウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cが、該リチウムイオン電池のあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに、容量劣化を意味する警告を出力する手段を具備していることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池パックを構成する。
【0017】
また、本発明においては、請求項に記載したように、
上記警告が、電気信号による警告、文字または画像の表示による警告、信号音による警告または音声による警告であることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池パックを構成する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るLiイオン電池の容量推定方法を図面を用いてさらに詳しく説明する。以下の説明において、「電池パック」とは、単電池、あるいは複数個の単電池を直列接続、並列接続、あるいは両者の併用によって接続したものを、安全制御回路あるいは充放電制御回路と一体化して「自立電源としての二次電池」としたものを意味する。
【0019】
図1は、Liイオン電池の充電における電池電圧と電流値の経時変化を示した図である。図1において、該電池、または電池パック中のLiイオン電池(以下、これらをLiイオン電池と総称する)を、まず、定電流(CC)モードによって、所定の一定電流Icで、あらかじめ設定された上限電圧Vc(通常は4.1V/セル、または4.2V/セルである、ただし、「セル」は単電池を意味する)まで充電し、該設定電圧Vcに充電電圧が到達した後、定電圧(CV)モードの充電が開始され、充電電圧(図1においては電池電圧と表示)はVcで一定のまま、充電電流値が時間とともに減衰する。
【0020】
本発明に係るLiイオン電池の容量推定方法においては、上記定電流定電圧(CC−CV)方式の充電において、定電流(CC)モードの充電中、放電終止電圧Vd以上で充電上限電圧Vcよりも小となるようにあらかじめ設定された任意の電圧Vsに電池電圧が到達してから、定電流モード充電が定電圧モードに切り替えられるまでの経過時間tをモニタし、この時間tを該Liイオン電池の容量の推定に用いる。
【0021】
このような推定が可能となる理由について、以下に説明する。
【0022】
Liイオン電池の充電過程においては、正極中のLiが正イオンとなって電解液中を移動して負極中に入り、放電過程においては、逆に、負極中のLiが正イオンとなって電解液中を移動して正極中に入る。
【0023】
充電・放電の繰り返し、長期間の休止、あるいは過充電によって、正極の構成材料であるCo、Ni化合物が電解液中に溶出したり、負極表面でLiと電解液とが化学反応して分解して不活性膜が生成したり、電極内にLiの反応物や電極反応に関わらなくなったLiが残留したり、電極構成物質の粒子の結合が劣化して、電子やイオンの移動が円滑に行われなくなる。これによって、電池の容量は低下し、それとともに、電池の内部抵抗は上昇し、充電時におけるLiイオンが正極から離脱して負極に到達し、負極内部に拡散する速度が低下する。このような状態においては、定電流(CC)モードの充電時間は、電池の内部抵抗が上昇しているので、短くなり、定電圧(CV)モード充電では、Liの負極内拡散が遅くなって、電流値の減少が遅くなる。
【0024】
本発明者らは、上記の、容量の減少と定電流(CC)モード充電時間の短縮との間に成り立つ顕著な相関関係を発見し、本発明をなすに至った。
【0025】
以下に、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
(実施の形態1)
まず、請求項1に係る発明の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際に、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを求め、該時間tを用いて該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出する。
【0026】
このような推定を可能とするためには、あらかじめ、上記推定容量Cと上記時間tとの相関関係を求めておく必要があるが、その方法としては、たとえば、次のような方法がある。すなわち、容量推定の対象となるリチウムイオン電池と同一構造、同一仕様(本明細書においては、これを同一種類と称する)のリチウムイオン電池を用意し、その電池を用いて充放電サイクルを繰り返し、各サイクルにおける上記時間tと、放電電流を時間に関して積分して得た電池の放電容量Cとの相関関係を求めておく(ここに、nは各サイクルに付した番号である)。この場合に、放電容量Cの値は広い範囲にわたっていることがのぞましいので、その範囲が狭い場合には、同一種類で異なる容量を持つ複数のリチウムイオン電池を対象として、上記の方法を実行することがのぞましい。
【0027】
上記の相関関係は、かならずしも解析的数式によって表現される必要はなく、たとえば、相関関係図における測定点間を直線で結んだ折線によって表現されていてもよい。
【0028】
記の相関関係として、解析的数式によって表現される相関関係を採用する場合には、上記の定電流充電中の充電電流Icに好ましい範囲がある。
【0029】
なお、各充電の際に算出した該電池の上記推定容量Cの値を記録し、該推定容量Cと充電回数との関係を求めておけば、その関係を用いて、該電池の寿命、すなわち、劣化前に何回の再充電・再使用が可能であるか、を予測することができる。上記リチウムイオン電池が、同等ないしは類似の使用条件下で、充放電を繰り返して使用される場合には、この寿命予測は確度の高いものとなる。
本実施の形態においては、定電流充電中の充電電流Icに制限を設ける。充電電流Icに関する制限は、容量推定の対象とするリチウムイオン電池の公称容量をCとして、
/(30時間)≦Ic≦C/(1時間)
と表される。この条件を、以下の説明においては、0.033CmA以上1.0CmA以下、と表す。
【0030】
充電電流Icが上記の条件を満足すれば、上記関係式、すなわち、
C/C=A×t (1)
(ここに、A、Bは該リチウムイオン電池と上記電圧Vsと上記充電電流Icとによって定まる正値定数である)が近似的に成立するので、この関係式によって、上記時間tを用いて上記推定容量Cを算出することができる。
【0031】
上記充電電流Icが上記条件を満足しない場合には、上記関係式(1)によって上記推定容量Cを算出することは好ましくなくなる。すなわち、充電電流Icが上記制限範囲よりも小さい場合には、充電が十分に行われなかったり、自己放電の影響が無視できなくなったり、上記関係式(1)による算定容量が実際の容量と異なってしまう。また、充電電流Icが上記制限範囲よりも大きい場合には、充電所要時間自体が短く、上記時間tの測定値に大きな誤差を生じたり、劣化による充電時間の変化が異なる場合があり、同様に、正確な容量推定が困難となる。
【0032】
しかしながら、ほとんどすべてのLiイオン電池搭載機器および充電器に適用されている充電電流値は上記の条件範囲内にあるので、通常の条件下で使用されるLiイオン電池に対しては、本実施の形態による容量推定方法が有効となる。
【0033】
これ以外の範囲の電流値を採用する機器および充電器は、特殊な用途、例えば緊急時に使用するために超急速充電を必要とする場合など、きわめて限定された用途のみに用いられるものであり、本発明の容量推定方法をほとんど必要としない機器および充電器である。
【0034】
上記関係式(1)は、これを適用するLiイオン電池の搭載機器または充電器の充電条件における定電流(CC)モード充電中の上記時間tと、その条件下における推定比容量C/Cとの関係であることを前提としている。もし、関係式(1)を作成したときのCCモードの充電電流値と、電池搭載機器または充電器のCCモードの充電電流値が異なる場合には、あらかじめ別途、それぞれの充電条件下において上記時間tを求めておき、関係式(1)作成時の条件における上記時間teと搭載装置または充電器に相当する条件下での上記時間tmとの比te/tmを実測された時間に乗じたものを上記関係式(1)に代入する。
【0035】
なぜならば、CCモード充電における充電率(全充電期間におけるCCモード充電の充電割合)は電流値が小さいほど大きくなり、そのため、電流値が小さいほど充電達成率が大きくなるからである。また、その割合は、電池サイズ、電池形状、製造メーカ、電池構成材料などによって異なるため、別途、実際に試験を実施して電流値の影響を把握する必要がある。
【0036】
上記関係式(1)を作成するためには、関係式(1)中の定数AおよびBの値を決定しなければならない。そのためには、すでに説明したように、容量推定の対象となるLiイオン電池と同一種類の電池または電池パックを用いて上記定数AおよびBの値を決定するのが最も妥当である。なぜならば、市販のLiイオン電池は、使用する正極活物質、負極カーボンおよび電解液の種類が多様であり、電池の劣化に伴う充電電圧挙動の変化だけでなく、初期の電池の充電挙動も異なっているからである。
【0037】
実施の形態においては、容量推定の対象となるリチウムイオン電池あるいは該リチウムイオン電池と同一種類のリチウムイオン電池を用い、1回の全充電時間が3時間以上10日以下である定電流定電圧方式による充電期間と、放電期間と、必要に応じて該充電期間と該放電期間との間に設けられる休止期間とを有する充放電サイクルを2回以上繰り返して、各サイクルにおいて、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間t(ここに、nは各サイクルに付した番号である)と、各サイクルごとに放電電流を時間に関して積分して得られる放電容量Cとを記録し、記録された該時間tと該放電容量Cとから、上記関係式(1)におけるA、Bの値を確定し、それらの値を用いて、上記推定容量を算出する。
【0038】
より具体的なA、Bの値の確定方法について以下に説明する。
【0039】
劣化判定の対象となる同種の電池、または電池パックを用い、環境温度を10℃以上30℃以下、および−10℃以上5℃以下の2つとし、それぞれの設定温度の差が15℃以上となるように設定した2種類の充放電サイクル試験により、関係式(1)の作成に必要なデータを取得するものである。
【0040】
試験を10℃以上30℃以下、および−10℃以上5℃以下の2つとし、それぞれの設定温度の差が15℃以上となるように設定した2種類の環境下で別個に実施する理由は、実際にLiイオン電池を搭載し、劣化判定を行う環境温度、またはそれに極めて近い温度での特性を関係式(1)に反映して高精度化を確保するとともに、これより15℃以上の低温での試験を実施することにより、電池の劣化が大きく進行した場合と同様の極めて低い容量での電池特性データを取得するためである。もし、使用環境、またはそれに近い10℃以上30℃以下の1種類のみの温度下での試験では、電池の劣化が進むまでに膨大な時間を必要とし好ましくない。
【0041】
関係式(1)を作成するための該充放電サイクル試験は、搭載機器の充電上限電圧Vc、および放電終止電圧Vdと同一条件の電圧範囲を設定し、搭載機器の充電電流値と同一か、または、0.033CmA以上1.0CmA以下の任意の充電電流値を設定して行う。
【0042】
また、1サイクル当たりの充電時間は、試験環境温度を10℃以上30℃以下に設定した試験では3時間以上10日以下、好ましくは3日以上10日以下に設定する。1サイクル当たりの充電時間を3時間以上10日以下、好ましくは3日以上10日以下に設定することにより、サイクルごとの電池の劣化が適度に進み、精度の高い関係式(1)を作成するために必要なデータを効率的に取得できる。
【0043】
3時間未満の充電時間の場合、Liイオン電池の劣化の進行が遅く、精度の高い関係式(1)を作成するためのデータ取得に数百サイクルを必要とし、膨大な時間を浪費することになり、また場合によっては充電不足となり、劣化と充電不良とが混在して、正しい劣化と特性の把握が不可能となり、いずれも好ましくない。
【0044】
また、1サイクル当たりの充電時間を10日より長く設定すると1サイクル当たりの経過時間が長くなり、データ取得に時間がかかってしまい、同様に好ましくない。
【0045】
一方、試験環境温度を−10℃以上5℃以下に設定した場合は、上記10℃以上30℃以下での試験より1サイクル当たりの充電時間を短く、3時間以上24時間以下、好ましくは3時間以上12時間以下に設定する。その理由は、低温下での充放電の場合、室温付近での充放電と異なり、設定電圧範囲内での充電における過充電による電池劣化の程度が小さくなるためである。従って、上記低温試験の場合、一定試験期間内での充放電サイクル数を増加させることにより、電池の劣化を促進させる。充電時間上限を12時間とすればさらにその効果が増す。
【0046】
充電時間が24時間(1日)より長いとサイクル数が減少し、電池の劣化が進まなくなり好ましくない。また、充電時間が3時間未満であると充電不足となり、電池の劣化が促進されなくなり、同様に好ましくない。
【0047】
上記充放電サイクル試験における放電電流値は、0.5CmA以上2.0CmA以下に設定する。下限電流を1.0CmA以上2.0CmA以下に設定すればさらに効率のよいデータ取得が可能となる。0.5CmA未満の低放電電流の場合、完全放電に時間がかかり好ましくない。また、2.0CmAより大きな放電電流では、放電時間自体が短くなりすぎ、放電容量の測定値にばらつきが生じたり、劣化が進むと、容量が急激に低下して精度の高い関係式(1)を作成することができなくなるため好ましくない。
【0048】
上記充放電サイクル試験の実施に当たっては、装置の設定の制約などにより、必要ならば充電と放電との間に一定時間の休止を設定する。
【0049】
上記関係式(1)を作成するために実施する充放電サイクル試験においては、各サイクルごとに、充電の定電流(CC)モード充電における放電終止電圧Vd以上で充電上限電圧Vcよりも小である使用電圧範囲内の任意の電圧VsからCCモード充電が終了するまでの時間tと、引き続く放電の際の放電容量C(放電電流を時間に関して積分して求める)とを各充放電サイクルごとに測定する(ここに、nは各サイクルに付した番号である)。測定した時間tと容量Cとをプロットし、関係式(1)に適用して定数AおよびBを決定する。
【0050】
上記充放電サイクル試験は、劣化判定結果を実容量の±20%以内の高精度とするために必要な時間tと容量Cのデータを充足するため、2サイクル以上実施する。1サイクルのみであると、関係式(1)の定数AおよびBの決定に対して、わずか2点のデータのみが使用できるだけとなり、高精度の劣化判定が不可能となって好ましくない。
(実施の形態
つぎに、請求項に係る発明の実施の形態について説明する。
【0051】
上記実施の形態1における方法によって、Liイオン電池の推定容量Cを算出し、その推定容量Cを、あらかじめ設定された限界容量Cminと比較して、C<Cminとなった場合に、該Liイオン電池が劣化したと判定する。ただし、この比較は、これと同等の、推定比容量C/C(ここに、Cは公称容量である)と限界比容量Cmin/Cとの比較によって行ってもよい。たとえば、実施の形態においては、C/Cが関係式(1)によって直接算出されるので、この比較のほうが好都合である。
【0052】
限界容量Cminとしては、たとえば、公称容量Cの60%の値を用いる(この場合には、Cmin/C=0.6となる)。
(実施の形態3)
つぎに、請求項3に係る発明の実施の形態について説明する。
【0053】
上記実施の形態における劣化判定方法を実行可能とする装置全体が本実施の形態を構成する。たとえば、リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際の、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した
時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを測定する手段と、該時間tを用いて、請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出する演算回路と、該演算回路によって算出された該推定容量C(または推定比容量C/C)があらかじめ設定された限界容量Cmin(または限界比容量Cmin/C)よりも小となったときに該リチウムイオン電池の劣化を意味する信号を出力する手段とを備えている装置が本実施の形態となる。
【0054】
さらに具体的な本実施の形態を図2に示す。
【0055】
図2は、Liイオン電池を搭載する装置の一般的な電源部周辺の一構成概念を示したものであり、1は電源部であり、電源部1には、Liイオン電池2a、2b、2cが搭載され、これらの電池2a、2b、2cは電源部1内の電池制御部3で充放電、安全に関する制御がなされる。4は電源部1内の充電器であり、電池制御部3で制御をうけて電池2a、2b、2cを充電する。5は論理部であり、論理部5には、インターフェイス6とCPU7とメモリ8とキーボードコントローラ9とがあり、電池制御部3はインターフェイス6を介してCPU7と繋がり、搭載電池2a、2b、2cに関する情報や制御の実施の指示を受け、逆に、電池制御に関するデータをCPU7に送出する。論理部5内において、CPU7とメモリ8とは、制御の指示、データの演算、電池の制御に関する情報の蓄積、データの記憶などを行う。電池2a、2b、2cのID入力などはキーボードコントローラ9を介して行う。キーボードコントローラ9にはデータ送出のための配線10が接続されている。
【0056】
本発明における関係式(1)はCPU7の空きメモリなどにあらかじめ入力されるか、あるいは必要ならばCPU7に加えてメモリチップを増設して入力される。CPU7は、電池制御部3に、定電流(CC)モード充電における充電電圧が、使用電圧範囲内の電圧Vsに達してからCCモード充電がCVモード充電に切り替えられるまでの時間tを測定する指示を行い、逆に、電池制御部3から充電時間tのデータを受け取る。さらに、CPU7は、受け取った時間tを関係式(1)に代入して演算を行い、推定容量C(または推定比容量C/C)の値を算出する。必要ならば、この推定容量C(または推定比容量C/C)の値をメモリ8に記憶させる。この推定容量C(または推定比容量C/C)の値を、あらかじめ設定された限界容量Cmin(または限界比容量Cmin/C)の値と比較して、C<Cmin(またはC/C<Cmin/C)となった場合に、該Liイオン電池が劣化したと判定する。劣化判定結果は、システムマネジメントバスなどの適当な配線10を介して装置本体に入力する。装置本体は、その入力に応じて、劣化判定結果を装置本体の表示部に表示したり、必要に応じて、信号音または音声などによる警告を発出する。このようにして、本発明におけるLiイオン電池の劣化判定機能を有する装置を構成することができる。ただし、上記概念になるLiイオン電池の劣化判定が実施できれば、何ら上記の構成に限定されることはない。
(実施の形態
つぎに、請求項またはに係る発明の実施の形態について説明する。
【0057】
本実施の形態の一例を図3によって説明する。図3はLiイオン電池パックの一般的な回路構成を示した図であり、Liイオン電池(12−1、12−2、12−3)を3セル直列にして搭載した場合を示している。
【0058】
図3において、11は電池パック本体であり、12−1、12−2、12−3はLiイオン電池である。13は保護用ICであり、電圧、電流、温度などのモニタ、ソフト的な安全制御を行う。14−A、14−B、14−C、14−1、14−2、14−3はパック本体11内、および各電池の充電電流制御を目的とするFETであり、15は温度ヒューズであるPTC素子、16は電流ヒューズであり、それぞれ温度上昇時、異常大電流時に電流を遮断する役目を負う。17はプラス端子、18はマイナス端子であり、19は情報出力、コントロールのための端子である。
【0059】
図3において、上記安全機構の保護用IC13内にタイマーを搭載し、空きメモリに上記関係式(1)をあらかじめ入力しておき、図3におけるLiイオン電池12−1、12−2、12−3の両端の電圧を端子VccとVssとにより保護用IC13がモニタし、充電の定電流(CC)モード充電における充電電圧が、放電終止電圧Vd以上で充電上限電圧Vcよりも小となるようにあらかじめ設定された任意の開始電圧Vsに達してからCCモード充電がCVモード充電に切り替えられるまでの経過時間tをカウントし、この測定された時間tの値を該関係式(1)に代入、演算して推定容量Cを算出する。必要ならば、保護用IC13とは別にパック内の適当な位置に増設ICを設けることもできる。算出された推定容量C(または推定比容量C/C)があらかじめ設定された限界容量Cmin(または限界比容量Cmin/C)よりも小となった場合に、容量劣化を意味する警告(この場合には電気信号による警告)を、端子19を通して、適当なディスプレイ、あるいは警告音などに表示、発出するために、パックを搭載している装置本体に出力する。
【0060】
また、Liイオン電池パックを搭載する上記装置本体に劣化を警告する手段が設けられていない場合には、パック自体がこの警告を、たとえば、文字または画像の表示、信号音あるいは音声などによって出力する手段を備えていれば好都合である。そのようなLiイオン電池パックは、本発明と従来技術とを併用することによって作製可能である。
【0061】
このように、既存のLiイオン電池パックの最小限の変更によって、本発明に係る劣化判定方法を実行する手段を具備したLiイオン電池パックを提供することが可能となる。ただし、上記概念になるLiイオン電池の劣化判定が実施できれば何ら上記の構成に限定されることはない。
【0062】
本発明におけるLiイオン電池の劣化判定方法、および該劣化判定機能を具備したLiイオン電池の適用対象としては、特に高信頼性を必要とする機器が考えられ、該劣化判定によって的確な電池の劣化状態を把握しタイムリーな電池の交換を実現することによって、機器のトラブルを回避することができる。しかしながら、Liイオン電池を搭載する機器であれば何ら上記劣化判定の方法、および劣化判定機能を具備したLiイオン電池を採用することに問題はなく、しかもムダのない電池交換を実現することができるため使用する利点はきわめて大きい。
【0063】
【実施例】
以下に、本発明に係るLiイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにLiイオン電池パックについて、さらに具体的に、実施例によって説明するが、本発明は何らこれに限定されることはない。
(実施例1)
角形Liイオン電池(公称容量600mAh)について、データ収集・保管機能を有する電池充放電自動試験装置を用いて、試験温度を25℃および0℃の2種に設定し、充電電流値600mA(充電電流率1.0C、1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、25℃の試験温度では充電時間7日間、0℃の試験温度では充電時間3時間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放電電流値600mAh(放電電流率1.0C、1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電と放電との間に休止を1時間はさんだ充放電サイクル試験を5サイクル実施し、各サイクルにおける充電開始時からCCモード充電完了までの経過時間tと、公称容量に対する比容量C/C(ここに、nは各サイクルに付した番号である)を測定した(この場合、上記電圧VsはCCモード充電開始時の充電電圧に等しい、としている)。
【0064】
求めたデータを図4に示す。図4は、上記充放電サイクル試験の結果を示した経過時間tと比容量C/Cの関係を示した図であり、図中4−Aは25℃における結果の集団、4−Bは0℃における結果の集団である。これらのデータから、推定比容量C/Cを表す時間tの関数関係式(1)の定数AおよびBを求め、以下の関係式(2)を作成した。
【0065】
C/C=1.067×t0.228 (2)
上式(2)におけるtは、厳密には、t/(1時間)、すなわち、時間を単位として、tを無次元数で表したものでなければならないが、これを、便宜上、単にtで表す。以下の式においても同様とする。
【0066】
上記関係式(2)が表す関係を図4の4−Cに示す。
【0067】
これとは別に、同種の角形Liイオン電池(公称容量600mAh)を用意し、充電電流600mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間3時間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放電電流600mA/1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電・放電の間に10分間の休止をはさんだ充放電サイクルを実施して、各サイクルごとのCCモード充電の所要時間t(hr)と、公称容量600mAhに対する放電容量Cの比、すなわち比容量C/Cとを記録し、上記に示した関係式(2)の妥当性を検討した。
【0068】
結果を図5に示す。図5は、上記充放電サイクルで求めたCCモード充電の所要時間tと比容量C/Cとの関係を示した図であり、11サイクル目までのデータをプロットしている。また、図5には、図4により求めた関係式(2)が表す関係を示す曲線を5−Aで、この関係式の値より20%高い価(すなわち誤差+20%)を示す曲線を5−Bで、逆に関係式の値より20%低い値(誤差−20%)を示す曲線を5−Cで併せて示してある。
【0069】
図5に示したように、データは全て誤差±20%以内に収まり、しかも関係式(2)の曲線5−Aは該データ点に極めて近接しており、優れた劣化判定結果を示していることが判る。
(実施例2)
角形Liイオン電池(公称容量600mAh)を用いて、データ収集・保管機能を有する電池充放電自動試験装置により、上記実施例1の関係式作成のための試験と同一条件の充放電サイクル試験を実施し、同様に各サイクルにおける充電開始時からCCモード充電完了までの経過時間t(hr)と、公称容量に対する比容量C/Cを測定した。0℃と25℃の2つの試験より取得したデータから、それぞれ1データずつを用いてCCモード充電の所要時間tと比容量C/Cの関係式(1)の係数AおよびBを決定し、関係式、
C/C=1.089×t0.114 (3)
を作成した。
【0070】
これとは別に、同種の角形Liイオン電池(公称容貴600mAh)を用いて、充電電流600mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間3時間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放電電流600mA(10CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電・放電の間に10分間の休止をはさんだ充放電サイクルを12サイクル実施して、各サイクルごとのCCモード充電の所要時間t(hr)と放電容量Cの公称容量600mAhに対する比容量C/Cとを記録した。
【0071】
こうして求めた充放電サイクル試験結果に、作成した関係式(3)を適用し、最大・最小誤差を求めた。その結果、最大誤差−21.7%、最小誤差−1.0%であった。
【0072】
同様にして、2データずつ、3データずつ、5データずつ、10データずつ、11データずつ、および15データずつを用いて作成したそれぞれの関係式を上記試験結果に適用して、それぞれ最大・最小誤差を求め、データ数による作成関係式の精度を検討した。
【0073】
結果を図6に示す。すなわち、図6は、関係式作成に用いたデータ数(図中データポイント/試験と表示)と誤差の絶対値幅を示した図であり、上限が最大誤差(絶対値)下限が最小誤差(絶対値)を示すものである。
【0074】
図6から明らかなように、0℃と25℃の各試験から2データずつ以上で作成した関係式によると誤差が±20%以内に収まり高精度の関係式が得られることがわかった。各試験1データずつのみで作成した関係式によると、誤差が±20%を越える場合が生じ、好ましくない。また、11データずつ以上で作成した関係式によると2データ以上10データ以下の精度とほとんど変わりがないことが明らかとなった。
(実施例3)
Liイオン電池の関係式を作成するために、実施例1で用いたものと同種のLiイオン電池を用い、0℃、および25℃における試験とも、充電電流値600mA(充電電流率1.0C、1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間7日間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電とし、放電を、電流値600mAh(放電電流率1.0C、1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電とし、充電と放電との問に休止を1時間はさんだ条件下で5サイクル実施し、各サイクルにおける充電開始時からCCモード充電完了までの経過時間t(hr)と、公称容量に対する比容量C/Cを測定した。この結果をもとに関係式を作成したところ、
C/C=1.015×t0.0794 (4)
を得た。
【0075】
上記関係式を作成するために用いたものと同種の使用済みの角形Liイオン電池を回収し、充電電流600mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間3時間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放電電流600mA(1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電・放電の間に10分間の休止をはさんだ充放電サイクルを3サイクル実施して、各サイクルごとのCCモード充電の所要時間t(hr)と放電容量の公称容量600mAhに対する比容量C/Cとを記録した。
【0076】
得られた結果に関係式(4)を適用して、その精度を検討した。
【0077】
結果を図7に示す。すなわち、図7は、上記劣化電池のCCモード充電所要時間tと比容量C/Cとの関係を示した図であり、図中、7−Aは上記関係式(4)を示す曲線であり、7−Bは比較のために示した実施例1において作成した本発明における関係式(2)を示す曲線であり、7−Cは、関係式(4)より20%少ない値を示す曲線、すなわち、誤差−20%を示す曲線である。
【0078】
図7より明らかなように、比較例として示した本発明における関係式(2)を示す曲線7−Bは、得られたデータのすべてに極めて近接して存在し、高い判定精度を示しているのに対して、本実施例で求めた関係式(4)では、データから大きくはずれており、しかも誤差−20%を下回る位置にデータが存在することになり誤差が大きく好ましくないことがわかる。すなわち、本実施例で求めた関係式(4)よりも、実施例1において作成した関係式(2)のほうが、容量推定に適していることが判る。
(実施例4)
Liイオン電池の関係式を作成するために、実施例1で用いたものと同種のLiイオン電池を用い、0℃、および25℃における試験とも、充電電流値60mA(充電電流率0.1C)、充電上限電圧4.1V、充電時間3時間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電とし、放電を、電流値600mA(放電電流率1.0C)、放電終止電圧2.75Vの放電とし、充電と放電との間に休止を1時間はさんだ条件で5サイクル実施し、各サイクルにおける充電開始時からCCモード充電完了までの経過時間t(hr)と、公称容量に対する比容量C/Cを測定した。この結果をもとに関係式を作成したところ、
C/C=1.046×t0.219 (5)
を得た。
【0079】
上記関係式(5)を作成するのに用いたものと同種の別の使用済みの角形Liイオン電池を調達し、充電電流60mA(0.1CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間30日間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放電電流600mA/1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電と放電との間に1時間の休止をはさんだ充放電サイクルを4サイクル実施して、各サイクルごとのCCモード充電の所要時間t(hr)と放電容量Cの公称容量C(600mAh)に対する比容量C/Cとを記録した。
【0080】
得られた結果に関係式(5)を適用して、その精度を検討した。
【0081】
結果を図8に示す。すなわち、図8は、上記劣化電池のCCモード充電所要時間tと比容量C/Cとの関係を示した図であり、図中、8−Aは上記関係式(5)を示す曲線であり、8−Bは比較のために示した実施例1において作成した本発明における関係式(2)を示す曲線である。
【0082】
図8より明らかなように、本実施例で求めた関係式(5)と実施例1で求めた比較例の関係式(2)は、ともにデータのすべてに近接して存在し、いずれも高い判定精度を示しているが、比較例として示した実施例1の関係式(2)の方が本実施例で求めた関係式(5)より、より高い精度の劣化判定を可能にすることが判る。従って、関係式を求めるために実施する、異なる2つの設定温度のうち高い温度に設定する試験では、充電時間を3時間以上10日以下とするよりも3日以上10日以下とすることがより好ましいことが判った。
(実施例5)
18650サイズ円筒型Liイオン電池(公称容量1400mAh)を用いて、上限電圧を4.1Vに設定し、充電電流値を1400mA(1.0CmA)に設定した定電流定電圧(CC−CV)方式の充電を行い、放電終止電圧を2.75Vに設定し、放電電流値を2800mA(2.0CmA)に設定した放電を行い、該充電と放電との間にそれぞれ1時間の休止を設定し、この充放電を繰り返すサイクル試験において、設定温度を30℃と5℃の2種設定し、設定温度が30℃の場合には、1サイクル当たりの充電時間を2.5時間以上11日間以下の、下記表1に示した7つの値に設定し、設定温度が5℃の場合には1サイクル当たりの充電時間を5時間に設定して該試験を実施し、各充放電サイクルごとに3.50VからCCモード充電完了までの所要時間t(hr)と放電容量Cの公称容量Cに対する比容量C/Cとを記録した。試験の実施期間を21日間とし、この期間内に得られた30℃での試験のデータと、それと同数の0℃におけるデータとからtとC/Cの関係式(1)の定数AおよびBを決定して関係式を作成した。データ数が各試験5つずつ以上の場合はそれぞれ5つずつのデータから関係式を作成した。
【0083】
これに加えて、上記試験条件のうち、試験温度30℃における充電時間を7日間に設定した場合、充電電流値を別に46mA(0.033CmA)に設定した試験を行い、3.5VからCCモード充電完了までの所要時間tを求め、1400mA(1.0CmA)の試験の3.5VからCCモード充電完了までの所要時間との換算比率を求めたところ、t(1.0)/t(0.033)=0.030を得た。
【0084】
これとは別に、18650サイズの使用済み円筒型Liイオン電池(公称容量1350mAh)を回収し、電池充放電自動試験装置に設定して、上限電圧を4.1Vに設定し、充電電流値を44.6mA(0.033CmA)に設定し、充電時間を7日間に設定した定電流定電圧(CC−CV)方式の充電を行い、次に、電流値を2700mA(2.0CmA)に設定し、放電終止電圧を2.75Vに設定した試験を行い、3.50VからCCモード充電完了までの所要時間t’と放電容量Cの公称容量Cに対す比容量C/Cとを記録した。所要時間t’から、 t=t’×(t(1.0)/t(0.033))=0.030t’
として求めたtの値を、上記で求めた各関係式に代入して推定比容量C/Cを算出し、実測比容量C/Cとの差の絶対値、
Err=(C/C−C/C)の絶対値
を求めた。
【0085】
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0003547686
表1は、本実施例において関係式を作成するための試験のサイクル当たり各充電時間と作成に使用した試験当たりのデータ数、作成した関係式、およびそれを適用した結果である判定誤差の絶対値を示した表である。
【0087】
表1から明らかなように、本発明における関係式の条件である3時間以上10日以下の充電時間においては、判定誤差はいずれも±20%以内にあるという良好な精度を示した。これに対して、3時間未満、および10日を越える充電時間での試験で作成した関係式では±20%を越える大きな誤差を生じ、判定精度上問題があることが明らかになった。
(実施例6)
18650サイズ円筒型Liイオン電池(公称容量1400mAh)を用いて、上限電圧を4.1Vに設定し、充電電流値を1400mA(1.0CmA)に設定した定電流定電圧(CC−CV)方式の充電を行い、放電終止電圧を2.75Vに設定し、放電電流値を2800mA(2.0CmA)に設定した放電を行い、該充電と放電との間にそれぞれ1時間の休止を設定し、この充放電を繰り返すサイクル試験において、高温側設定温度を20℃とし、低温側設定温度をそれぞれ、−11℃、−10℃、0℃、5℃、6℃、および15℃に設定し、高温側設定温度(20℃)では、1サイクル当たりの充電時間を7日間に設定し、低温側設定温度の各試験の場合には1サイクル当たりの充電時間を5時間に設定して該試験を2サイクル実施し、各充放電サイクルごとにCCモード充電の所要時間t(hr)と放電容量Cの公称容量Cに対する比容量C/Cとを記録した。高温(20℃)での試験と、低温側の1つの試験より得られたそれぞれ2つずつのデータからtとC/Cの関係式(1)の定数AおよびBを決定して6つの関係式を作成した。
【0088】
これに加えて、上記試験条件のうち、20℃での高温試験において、充電電流値を別に46mA(0.033CmA)に設定した試験を行い、3.5VからCCモード充電完了までの所要時間tを求め、1400mA(1.0CmA)の試験の3.5VからCCモード充電完了までの所要時間との換算比率を求めたところ、t(1.0)/t(0.033)=0.029を得た。
【0089】
これとは別に、回収した18650サイズの使用済み円筒型Liイオン電池(公称容量1350mAh)を電池充放電自動試験装置に設定して、実施例5と同様の、上限電圧を4.1Vに設定し、充電電流値を44.6mA(0.033CmA)に設定し、充電時間を7日間に設定した定電流定電圧(CC−CV)方式の充電を行い、次に、電流値を2700mA(2.0CmA)に設定し、終止電圧を2.75Vに設定した試験を行い、3.50VからCCモード充電完了までの所要時間t’と放電容量Cの公称容量Cに対す比容量C/Cとを記録した。
【0090】
所要時間t’から、上記のように求めた充電電流値0.033CmAと1.0CmAとの時間の換算率t(1.0)/t(0.033)=0.029を用いて、
t=t’×(t(1.0)/t(0.033))=0.029t’
として求めたtの値を、6つの各関係式に代入して推定比容量C/Cを算出し、実測比容量C/Cとの差の絶対値、
Err=(C/C−C/C)の絶対値
を求めた。
【0091】
結果を表2に示す。すなわち表2は、本実施例において関係式を求めるために行った低温側試験の試験温度と求めた関係式、さらにこれを適用して判定した結果である誤差の絶対値を示した表である。
【0092】
【表2】
Figure 0003547686
表2から明らかなように、関係式を求めるために実施する低温側試験の設定温度が−10℃以上5℃以下であり、かつ高温側試験と低温側試験との設定温度の差が15℃以上の場合、判定誤差は±20%以内にあるという良好な結果を示した。
(実施例7)
角形Liイオン電池(公称容量600mAh)3本直列の電池パックの充電のため、充電上限電圧12.3V、充電電流値600mA(1.0CmA)、充電を終了するためのしきい値である収束電流値を60mAとした定電流定電圧(CC−CV)方式で充電し、充電時に該電池パックの判定を行う機能を有する充電器を作製した。
【0093】
作製した充電器の構成概念を図9に示す。すなわち、図9は本実施例において作製した充電器の構成を示した図であり、図中、充電器20は商用電源21に端子22、および23で接続される。また、充電器20に対し、Liイオン電池パック24が充電のために端子25および26に接続され装着されるようにした。充電器20は、商用電源21から供給される電気をAC/DCコンバータ27によって直流に変換し、充電電流、パック電圧をモニタし、またサーミスタ28により温度モニタを行いながら、電源マイコン29、充電制御用マイコン30により上述の充電条件と、過充電、過放電、異常大電流、異常電池温度上昇など危険状態を検知し回避するための制御を行い、電池パック24を充電する。充電は、スイッチ31により、充電完了時、あるいは異常を検知した時、停止される。充電の完了、何らかの異常は制御用マイコン30から表示部32に表示するようにした。表示部32は、充電関係の表示を行うLED(発光ダイオード、赤は充電中、緑は充電完了をそれぞれ表す)と、劣化判定結果を表示するLED(赤は電池取りかえ、黄はまもなく電池取りかえ、緑は電池は取りかえ不要をそれぞれ表す)と、劣化判定結果の数値表示、異常の表示を行うLCD(液晶ディスプレイ)とから構成されている。
【0094】
充電関係のLEDでは、充電完了の場合のみ緑のLEDが点灯し、充電中は赤のLEDが点灯し、それ以外の異常を示す場合には両方とも点灯しない。
【0095】
劣化判定結果を示すLEDでは、劣化判定結果である推定比容量C/Cの値が60%未満の場合は赤のLEDが点灯し、直ちに新しい電池パックに交換すべきであることを示す。また、推定比容量C/Cの値が60%以上70%未満の場合には、まもなく、すなわち使用条件にもよるが、数カ月以内に電池パックを交換すべきであるため黄のLEDを点灯させる。さらに推定比容量C/Cの値が70%以上の場合は、電池パックは新品か、相当長期間使用が可能で取りかえる必要がないため、緑のLEDを点灯させる。
【0096】
LCD(液晶ディスプレイ)は文字による情報を表示させることを目的として設置している。電池パックの装着不良をはじめ、安全性に関わる警告情報など、正常に充電を行うことが困難であることを示したり、劣化判定結果を数値で示したりする。また、商用電源の突然の停止の場合には、装着した電池パックの電圧が8.25Vより高い場合のみ、装着電池パックから電流を供給して電源切れを表示するようにしてある。
【0097】
本発明になる劣化判定は、充電制御用マイコン30に、実施例1において作成した関係式(2)と、図10に示したフロー手順をプログラムしてあらかじめ入力しておき、電池電圧のモニタリングを利用しながら内蔵タイマによりCC充電時間tを測定し、上記関係式(2)に適用して、Liイオン電池パックの劣化判定を行い、表示部32に判定結果を表示するようにした。
【0098】
なお、本実施例の充電器の場合、充電は必ずしも完全放電後に行われるとは限らないため、充電制御用マイコン内にあらかじめ充電電圧の時間変化のデータを入力しておき、充電開始時の電池パック電圧をモニタし、8.25V(2.75V/セル)以上12V(4.0V/セル)以下の0.15Vきざみの電圧、
8.25+0.15×n(nは整数、0≦n≦25)
で示される、充電開始電圧より高く、この充電開始電圧に最も近い値から時間計測を開始し、充電上限電圧12.3Vに到達しCCモード充電が完了するまでの時間t”を計測して、上記入力データと比較演算を行って8.25Vから12.3VまでのCCモード充電所要時間tに換算して劣化判定を行うようにした。
【0099】
図10に示した、充電制御用マイコン30に入力した劣化判定手順フローは以下の通りである。すなわち、
手順A:充電器に電池パックを装着して充電を開始し、パック電圧をモニタする。パック電圧Vが
V=8.25+0.15×n(nは整数、0≦n≦25) (6)
を満たす値に到達したかどうかを電圧モニタで監視、
手順B:上記式(6)を満たす値にパック電圧Vが到達したら時間計測を開始。タイマカウンタを充電上限電圧12.3Vまで継続、
手順C:パック電圧Vが充電上限電圧12.3Vに到達したら時間計測終了。
充電開始電圧が放電終止電圧8.25Vの場合はそのまま、この時間tを劣化判定に使用、
手順D:充電開始電圧が8.25Vより高かった場合、計測した時間は、あらかじめ内蔵しておいた充電電圧の時間変化のデータと比較演算して、8.25Vから12.3VまでのCCモード充電所要時間に換算し、この値をtとして劣化判定に用いる。求めた時間tを関係式(2)に代入して、推定比容量C/Cを算出、
手順E:算出された結果をLCDとLEDに表示する。判定結果である比容量の値に応じて、上述したように赤、黄、緑のいずれかのLEDを点灯させ、同時にLCDディスプレイに数値を表示する。LCDディスプレイ表示は30秒間、LEDは充電器が商用電源に接続されている問点灯させる。
【0100】
このようにして構成される充電器を用い、使用済みの同タイプの電池パックを装着し、充電した。充電開始後4.5分で劣化判定結果が表示され、LCDディスプレイには65%と表示され、黄色のLEDが点灯した。充電は約2.5時間で完了した。充電された該電池パックを電池充放電自動試験装置に設置し、放電電流値600mA(1.0CmA)、放電終止電圧8.25Vに設定して定電流放電を実施し、放電容量を求めたところ、414.2mAhであった。これは、比容量にすると69%となり、容量推定の誤差は約4%であった。
【0101】
以上の通り、本発明になる充電機能を有する充電器では、精度の高い劣化判定を行うことが可能であることが明らかになった。
(実施例8)
充電上限電圧12.3V、充電電流600mA(1.0CmA)、収束電流値が60mAの条件で定電流定電圧(CC−CV)モード充電を行う機能を有した小型携帯用情報端末機器に搭載する、図3に示す構成のLiイオン電池パックを作製した。該電池パックは角形セル(公称容量600mAh)12−1、12−2、および12−3の3セル直列のパックであり、保護用ICに関係式(2)と、実施例7で示したものと同様に、充電電圧の時間変化の基礎データをあらかじめ入力して、放電終止電圧8.25Vより高いパック電圧から充電された場合でも、8.25Vから12.3Vまでの定電流(CC)モード充電所要時間を算出可能とするようにしてある。
【0102】
また、図3に示す構成の該電池パック内の保護用IC13のメモリには、Liイオン電池12−1、12−2、12−3各セルの両端の電圧をVccとVssによりモニタし、CCモード充電における放電終止電圧Vd以上充電上限電圧Vcよりも小のあらかじめ設定された任意の開始電圧Vsから、該Vsより高い、
V=8.25+0.15×n(nは整数、0≦n≦25) (6)
を満たす最も近い電圧VからCCモード充電が完了する充電上限電圧12.3Vに到達するまでの経過時間tをカウントし、この測定された時間tの値を関係式(2)に代入、演算して比容量C/Cを算出するプログラムがあらかじめ入力してある。
【0103】
演算した結果は端子19を通して該電池パックを搭載する情報端末機器本体の液晶ディスプレイに表示するために装置本体に出力する機構になっている。
【0104】
液晶ディスプレイには、判定結果である数値がパーセントで表示されるとともに、バーの長さのパーセント数値に相当する割合が塗りつぶしで示されるようになっている。
【0105】
劣化判定の指示は、上記機器本体から充電開始と同時に発出される。劣化判定実施のための手順フローは、図10において、結果の表示が機器本体のディスプレイに表示されるために本体に結果を送出する以外は図10と同様である。
【0106】
このような構成になる電池パックを情報端末機器に装着し、1時間使用した後、商用電源に接続して充電を開始し、充電開始後に表示されたディスプレイを見たところ、該電池パックの判定結果は87%と表示された。充電完了のサインがディスプレイ上に現れたのを確認して、この情報端末機器をOFFにし、該電池パックを脱着し、適当な接続コードを用いて、電池充放電自動試験装置に接続し、放電電流600mA(1.0CmA)、放電終止電圧8.25Vで放電させて容量を測定した。その結果、放電容量は534.6mAh、比容量にして89.1%であった。
【0107】
従って、本発明になる電池パックに搭載した劣化判定機能による判定結果は誤差+2.1%と優れた判定精度を示すことが明らかになった。
【0108】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の実施によって、Liイオン電池の容量を推定する簡便な方法、Liイオン電池の劣化を判定する簡便な方法および装置、ならびに、電池の容量を推定し、必要に応じて電池の劣化を警告する手段を備えたLiイオン電池パックを提供することが可能になり、Liイオン電池の管理においてきわめて大きな貢献を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Liイオン電池の一般的な充電方法である定電流定電圧(CC−CV)方式充電における電池電圧Vと充電電流値Iの変化の概念を説明した図である。
【図2】本発明におけるLiイオン電池の劣化判定方法を具体的に適用するLiイオン電池搭載装置の一般的な電源部周辺の一構成概念を示した図である。
【図3】本発明における劣化判定機能を具備しだLiイオン電池パックの一般的な回路構成例を示した図である。
【図4】本発明の実施例1における充放電サイクル試験の結果を示した経過時間tと比容量の関係を示した図である。
【図5】本発明の実施例1における充放電サイクルで求めたCCモード充電の所要時間tと比容量との関係を示した図である。
【図6】本発明の実施例2において実施した関係式作成に用いたデータ数と誤差の絶対値幅を示した図である。
【図7】本発明の実施例3において実施した試験の結果である、劣化電池のCCモード充電所要時間tと比容量との関係を示した図である。
【図8】本発明の実施例4において実施した試験の結果である、CCモード充電所要時間tと比容量との関係を示した図である。
【図9】本発明の実施例7において作製した充電器の構成を示した図である。
【図10】本発明の実施例7において実施した劣化判定手順を示したフロー図である。
【符号の説明】
1…電源部、2a、2b、2c…Liイオン電池、3…電池制御部、4…充電器、5…論理部、6…インターフェイス、7…CPU、8…メモリ、9…キーボードコントローラ、10…配線、11…電池パック本体、12−1、12−2、12−3…Liイオン電池、13…保護用IC、14−A、14−B、14−C、14−1、14−2、14−3…FET、15…PTC素子、16…電流ヒューズ、17…プラス端子、18…マイナス端子、19…情報出力、コントロールのための端子、20…充電器、21…商用電源、22、23…商用電源と充電器とを接続する端子、24…Liイオン電池パック、25、26…充電器と電池パックとを接続する端子、27…AC/DCコンバータ、28…サーミスタ、29…電源マイコン、30…充電制御用マイコン、31…スイツチ、32…表示部。

Claims (6)

  1. チウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際に、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを求め、該時間tを用いて該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出するリチウムイオン電池の容量推定方法であり、 上記リチウムイオン電池の公称容量をC としたときの上記定電流充電中の充電電流をC /( 30時間)以上C /( 1時間)以下として上記時間tを求め、該時間tを用い、該リチウムイオン電池の上記推定容量Cを関係式、
    / =A×t (1)
    (ここに、A、Bは該リチウムイオン電池と上記電圧Vsと該定電流充電中の充電電流とによって定まる正値定数である)によって算出するリチウムイオン電池の容量推定方法であって、
    容量推定の対象となるリチウムイオン電池あるいは該リチウムイオン電池と同一種類のリチウムイオン電池を用い、
    1回の全充電時間が3時間以上10日以下である定電流定電圧方式による充電期間と、放電期間と、必要に応じて該充電期間と該放電期間との間に設けられる休止期間とを有する充放電サイクルを、
    環境温度を10℃以上30℃以下、および−10℃以上5℃以下の2つとし、それぞれの設定温度の差が15℃以上となるように設定して、
    2回以上繰り返して、
    各サイクルにおいて、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間t (ここに、nは各サイクルに付した番号である)と、各サイクルごとに放電電流を時間に関して積分して得られる放電容量C とを記録し、記録された該時間t と該放電容量C とから、上記関係式(1)におけるA、Bの値を確定することを特徴とするリチウムイオン電池の容量推定方法。
  2. リチウムイオン電池の劣化判定方法であって、上記リチウムイオン電池の推定比容量Cを請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって算出し、該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン電池が劣化したと判定することを特徴とするリチウムイオン電池の劣化判定方法。
  3. リチウムイオン電池の劣化判定装置であって、該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際の、定電流充電中の充電電圧があらかじめ設定された電圧Vsに達した時点から、充電条件を定電流から定電圧に切り替える時点までの時間tを測定する手段と、該時間tを用いて、請求項に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって該リチウムイオン電池の推定容量Cを算出する演算回路と、該演算回路によって算出された該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン電池の劣化を意味する信号を出力する手段とを備えていることを特徴とするリチウムイオン電池の劣化判定装置。
  4. ICを内蔵した充放電制御手段を備えたリチウムイオン電池パックにおいて、該ICあるいは該ICに付設して増設されたICが、該リチウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cの算出に用いる数値を記憶するメモリと、該数値が該メモリに記憶された場合に該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際の上記時間tと該数値とから請求項に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によって該推定容量Cを算出する演算回路とを有していることを特徴とするリチウムイオン電池パック。
  5. 上記演算回路によって算出された上記リチウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cが、該リチウムイオン電池のあらかじめ設定された限界容量Cminよりも小となったときに、容量劣化を意味する警告を出力する手段を具備していることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池パック。
  6. 上記警告が、電気信号による警告、文字または画像の表示による警告、信号音による警告または音声による警告であることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池パック。
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