JP3370047B2 - リチウムイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パック - Google Patents
リチウムイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パックInfo
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Description
池の容量測定方法、劣化判定方法および劣化判定装置な
らびにリチウムイオン電池パックに関するものである。
化、携帯型化によって、電池の需要が高まっている。そ
れに応じて電池の改良、開発はますます活発化してい
る。また、電池の新しい適用領域も拡大してきている。
これら搭載された電池の信頼性向上の要求も高くなって
きている。特に、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電
池(以下、Ni/Cd電池と称す)に比べて体積当た
り、あるいは重量当たり大幅な高エネルギー密度を有す
るニッケル水素電池(以下、Ni/MH電池と称す)や
リチウムイオン電池(以下、Liイオン電池と称す)で
は、その内部に蓄えられているエネルギーが大きいた
め、電池の異常に伴って起こる事故による被害の程度も
より深刻となりうるので、信頼性の確保が重要な課題と
なっている。
i/MH電池が過充電による副反応で発生するガスを吸
収する反応機構を有するのに対して、Liイオン電池に
は過充電により発生するガスの吸収反応を持たないなど
安全性維持の点で大きな制約がある。さらに、複数のL
iイオン電池を直列に配置して使用する場合には、電池
の劣化が進行すると個々の電池特性のアンバランスが過
充電や過放電をもたらし、安全性の点で大きな不安要素
となりうる。
の的確な劣化状態の把握とタイムリーな電池の交換が挙
げられる。Ni/MH電池やLiイオン電池の高エネル
ギー密度電池に関しては、1994年に提唱されたスマ
ートバッテリーシステム(SBS)が充電制御、残存容
量判定などを含めたバッテリーマネジメントシステムと
して、改良を加えながら普及してきている(www.sbs-fo
rum.org 参照)。これらの電池制御・管理は、製造メー
カ、電池種類などの情報の他、常時電池の電流、電圧、
温度などをモニタする膨大な情報データ管理に基づく方
法が採用されているのみであり、このような方式は極め
て高価な方式であり、製品価格の高騰を来していた。
劣化状態の監視については、Liイオン電池搭載の機器
のモデルチェンジが頻繁に実施されていることもあっ
て、使用時間の確保と監視を重視する余り、なおざりに
されている傾向がある。
などの制御・管理の手段であり、電池の劣化状態まで把
握する機能は有しておらず、電池、または電池パックの
交換は使用者の勘に頼っているのが現状であった。
Liイオン電池の制御・管理方式などが提案されている
が、その方式においては、電池の劣化は、すでに測定さ
れた容量の表示から判断されるのみであり、充電の後に
使用される電池が劣化しているか否かを正しく判定する
ことは必ずしも可能でない。
り、その課題は、Liイオン電池の容量を推定する簡便
な方法、Liイオン電池の劣化を判定する簡便な方法お
よび装置、ならびに、電池の容量を推定し、必要に応じ
て電池の劣化を警告する手段を備えたLiイオン電池パ
ックを提供することにある。
に 、本発明においては、請求項1に記載したように、リ
チウムイオン電池の容量推定方法であって、該リチウム
イオン電池を定電流定電圧方式によって充電する際に、
充電条件を定電流から定電圧に切り替えた時点から、充
電電流が該時点における充電電流Icの1/2倍になる
時点までの時間tを求め、該時間tを用い、該リチウム
イオン電池の推定容量Cを関係式、 C/C0=At+B (1) (ここに、C0は該リチウムイオン電池の公称容量であ
り、A、Bは該リチウムイオン電池と該充電電流Icと
によって定まる正値定数である)によって算出すること
を特徴とするリチウムイオン電池の容量推定方法を構成
する。
したように、容量推定の対象となるリチウムイオン電池
あるいは該リチウムイオン電池と同一種類のリチウムイ
オン電池を用い、1回の全充電時間が3時間以上10日
以下であり、定電流定充電中の充電電流がC0/(5時
間)以上C0/(0.5時間)以下(ここに、C0は該リ
チウムイオン電池の公称容量である)である定電流定電
圧方式による充電期間と、放電期間と、必要に応じて該
充電期間と該放電期間との間に設けられる休止期間とを
有する充放電サイクルを5回以上繰り返して、各サイク
ルにおいて、充電条件を定電流から定電圧に切り替えた
時点から、充電電流が該時点における充電電流Icの1
/2倍になる時点までの時間tn(ここに、nは各サイ
クルに付した番号である)と、各サイクルごとに放電電
流を時間に関して積分して得られる放電容量Cnとを記
録し、記録された該時間tnと該放電容量Cnとから、
上記関係式(1)におけるA、Bの値を確定することを
特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の容量
推定方法を構成する。
したように、リチウムイオン電池の劣化判定方法であっ
て、上記リチウムイオン電池の推定容量Cを請求項1ま
たは2に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によ
って算出し、該推定容量Cがあらかじめ設定された限界
容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン
電池が劣化したと判定することを特徴とするリチウムイ
オン電池の劣化判定方法を構成する。
したように、リチウムイオン電池の劣化判定装置であっ
て、該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって
充電する際の、充電電流が充電条件を定電流から定電圧
に切り替えた時点における充電電流Icの1/2倍にな
る時点までの時間tを測定する手段と、該時間tを用い
て、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池の容
量推定方法によって該リチウムイオン電池の推定容量C
を算出する演算回路と、該演算回路によって算出された
該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cmin
よりも小となったときに該リチウムイオン電池の劣化を
意味する信号を出力する手段とを備えていることを特徴
とするリチウムイオン電池の劣化判定装置を構成する。
したように、ICを内蔵した充放電制御手段を備えたリ
チウムイオン電池パックにおいて、該ICあるいは該I
Cに付設して増設されたICが、該リチウムイオン電池
パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cの算出
に用いる数値を記憶するメモリと、該数値が該メモリに
記憶された場合に該リチウムイオン電池を定電流定電圧
方式によって充電する際の上記時間tと該数値とから請
求項1または2に記載のリチウムイオン電池の容量推定
方法によって該推定容量Cを算出する演算回路とを有し
ていることを特徴とするリチウムイオン電池パックを構
成する。
したように、上記演算回路によって算出された上記リチ
ウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推
定容量Cが、該リチウムイオン電池のあらかじめ設定さ
れた限界容量Cminよりも小となったときに、容量劣
化を意味する警告を出力する手段を具備していることを
特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池パック
を構成する。
したように、上記警告が、電気信号による警告、文字ま
たは画像の表示による警告、信号音による警告または音
声による警告であることを特徴とする請求項6に記載の
リチウムイオン電池パックを構成する。
量推定方法を図面を用いてさらに詳しく説明する。以下
の説明において、「電池パック」とは、単電池、あるい
は複数個の単電池を直列接続、並列接続、あるいは両者
の併用によって接続したものを、安全制御回路あるいは
充放電制御回路と一体化して「自立電源としての二次電
池」としたものを意味する。
池電圧と電流値の経時変化を示した図である。図1にお
いて、該電池、または電池パック中のLiイオン電池
(以下、これらをLiイオン電池と総称する)を、ま
ず、定電流(CC)モードによって、所定の一定電流I
cで、あらかじめ設定された上限電圧Vc(通常は4.
1V/セル、または4.2V/セルである、ただし、
「セル」は単電池を意味する)まで充電し、該設定電圧
Vcに充電電圧が到達した後、定電圧(CV)モードの
充電が開始され、充電電圧(図1においては電池電圧と
表示)はVcで一定のまま、充電電流値が時間とともに
減衰する。
法においては、充電条件を定電流(CC)から定電圧
(CV)に切り替えた時点から、充電電流Iが該時点に
おける充電電流Icの1/2倍になる時点までの時間t
をモニタし、この時間tを該Liイオン電池の容量の推
定に用いる。
て、以下に説明する。
極中のLiが正イオンとなって電解液中を移動して負極
中に入り、放電過程においては、逆に、負極中のLiが
正イオンとなって電解液中を移動して正極中に入る。
るいは過充電によって、正極の構成材料であるCo、N
i化合物が電解液中に溶出したり、負極表面でLiと電
解液とが化学反応して分解して不活性膜が生成したり、
電極内にLiの反応物や電極反応に関わらなくなったL
iが残留したり、電極構成物質の粒子の結合が劣化し
て、電子やイオンの移動が円滑に行われなくなる。これ
によって、電池の容量は低下し、それとともに、電池の
内部抵抗は上昇し、充電時におけるLiイオンが正極か
ら離脱して負極に到達し、負極内部に拡散する速度が低
下する。このような状態においては、定電流(CC)モ
ードの充電時間は、電池の内部抵抗が上昇しているの
で、短くなり、定電圧(CV)モード充電では、Liの
負極内拡散が遅くなって、充電電流値の減少が遅くな
る。
電圧(CV)モード充電中の充電電流値の減少との間に
成り立つ顕著な相関関係を発見し、本発明をなすに至っ
た。
明する。 (実施の形態1)まず 、請求項1に係る発明の実施の形態について説明す
る。本実施の形態においては、リチウムイオン電池を定
電流定電圧方式によって充電する際に、充電条件を定電
流から定電圧に切り替えた時点から、充電電流が該時点
における充電電流Icの1/2倍になる時点までの時間
tを求め、該時間tを用い、上記リチウムイオン電池の
推定容量Cを上記の関係式、すなわち、 C/C0=At+B (1) (ここに、C0は該リチウムイオン電池の公称容量であ
り、AおよびBは該リチウムイオン電池と該充電電流I
cとによって定まる正値定数である)によって算出す
る。上記の関係式(1)が近似的に成立するので、この
関係式によって、上記時間tを用いて上記推定容量Cを
算出することができる。
となための、充電電流Icに関する好ましい条件は、容
量推定の対象とするリチウムイオン電池の公称容量をC
0として、 C0/(5時間)≦Ic≦C0/(0.5時間) と表される。この条件を、以下の説明においては、0.
2CmA以上2.0CmA以下、と表す。
場合には、上記関係式(1)によって上記推定容量Cを
算出することは好ましくなくなる。すなわち、充電電流
Icが上記制限範囲よりも小さい場合には、充電が十分
に行われなかったり、自己放電の影響が無視できなくな
り、上記関係式(1)により算定した容量が実際の容量
と異なり劣化判定に好ましくない。また、1.0CmA
を上回る大電浅での充電の場合、充電所要時間自体が短
く、上記時間tの測定値に大きな誤差を生じたり、劣化
による充電時間の変化が異なる場合があり、同様に劣化
判定用としては好ましくない。そのため、ほとんどすべ
てのLiイオン電池搭載機器および充電器に適用されて
いる充電電流値はこの範囲にある。これ以外の範囲の電
流値を採用する機器および充電器は、特殊な用途、例え
ば緊急時に使用するために超急速充電を必要とする場合
など、きわめて限定された用途に用いられるものであ
り、本発明の容量推定方法をほとんど必要としない機器
および充電器である。
イオン電池の搭載機器または充電器の充電条件における
定電圧(CV)モード充電開始から電流値が半減するま
での所要時間tと、その条件下における推定比容量C/
C0との関係を反映していることを前提としている。も
し、該関係式(1)を作成したときの初期の充電電流値
と、電池搭載機器、または充電器の定電圧(CV)モー
ド充電開始初期の充電電流値が異なる場合には、あらか
じめ別途、それぞれの充電条件におけるCVモード充電
開始から電流値半減までの所要時間を求めておき、該関
係式(1)作成時の条件における所要時間teと搭載装
置または充電器に相当する条件での所要時間tmとの比
te/tmを実測されたtに乗じて関係式(1)に代入
する。
おける充電率(全充電期間におけるCCモード充電の充
電割合)は電流値が小さいほど大きくなる。そのため、
CCモードの充電率に依存してCVモードの充電時間も
変化し、併せて電流値の半減に要する時間も影響を受け
ることになるからである。また、その影響は、電池サイ
ズ、電池形状、製造メーカ、電池構成材料などによって
異なるため、別途、実際に試験を実施して電流値の影響
を把握する必要がある。
係式(1)を作成するためには、関係式(1)中の定数
AおよびBの値を決定しなければならない。関係式
(1)作成のためには、容量推定の対象となるLiイオ
ン電池と同種類の電池、または電池パックを試験して定
数AおよびBの値を決定するのが最も妥当である。なぜ
ならば、市販のLiイオン電池は、使用する正極汚物
質、負極カーボンおよび電解液の種類が多様であり、電
池の劣化に伴う充電電圧挙動の変化だけでなく、初期の
電池の充電挙動も異なっているからである。
関しては、つぎの実施の形態2の記述において、詳細に
説明する。 (実施の形態2) つぎに、請求項2に係る発明の実施の形態について説明
する。本実施の形態においては、容量推定の対象となる
リチウムイオン電池あるいは該リチウムイオン電池と同
一種類のリチウムイオン電池を用い、1回の全充電時間
が3時間以上10日以下である定電流定電圧方式による
充電期間と、放電期間と、必要に応じて該充電期間と該
放電期間との間に設けられる休止期間とを有する充放電
サイクルを2回以上繰り返して、各サイクルにおいて、
充電条件を定電流から定電圧に切り替えた時点から、充
電電流Iが該時点における充電電流Icの1/2倍にな
る時点までの時間tn(ここに、nは各サイクルに付し
た番号である)と、各サイクルごとに放電電流を時間に
関して積分して得られる放電容量Cnとを記録し、記録
された該時間tnと該放電容量Cnとから、上記関係式
(1)におけるAおよびBの値を確定し、それらの値を
用いて、実施の形態1と同様の方法によって、上記推定
容量を算出する。
て以下に説明する。
池、または電池パックの使用条件と同じ充電上限電圧V
c、充電電流値Ic、放電終止電圧Vdを設定し、充電
時間を3時間以上10日以下、好ましくは充電時間を3
日以上10日以下に設定し、放電電流値Idを0.2C
mA以上2.0CmA以下に設定し、充放電サイクル回
数を好ましくは5回以上、より好ましくは6回以上と
し、試験温度を0℃以上45℃以下、好ましくは15℃
以上30℃以下に設定して充放電サイクル試験を実施
し、各充放電サイクルにおける充電において、定電圧
(CV)モード充電が開始されてから充電電流値が1/
2に減少するまでの所要時間tn(ここに、nはサイク
ルに付した番号である)と、放電電流を時間に関して積
分して得られる放電容量Cnとを記録し、関係式(1)
が、Cn/C0とtとの関係を最もよく表すように、定
数AおよびBの値を決定する。
は、該温度範囲がLiイオン電池の通常の使用温度範囲
であり、この温度における電池の劣化の進行状況を反映
した上記時間tと比容量Cn/C0との関係を把握する
ことがより正確な容量推定を実現できるからである。さ
らに、15℃以上30℃以下の温度で試験を実施する
と、大半の場合の使用温度条件がこの温度範囲内である
ことを考慮することにより、実際の劣化を反映した上記
時間tと比容量Cn/C0との関係を把握できることに
なり、より好ましい。
時間以上10日以下に設定する。この設定により、サイ
クルごとの電池の劣化が適度に進み、精度の良い関係式
(1)を作成するために必要なデータを効率的に取得で
きる。特に、充電時間を3日以上10日以下に設定した
場合、充放電サイクルに伴う容量の低下が明瞭に認めら
れ、上記関係式(1)を作成するために効率のよいデー
タ収集が可能となり、より好ましい。
電池の劣化の進行が遅く、精度の良い関係式(1)を作
成するためのデータ取得に数百サイクルを必要とし、膨
大な時間を浪費することになり、また場合によっては充
電不足となり劣化と充電不良が混在して、正しい劣化と
特性の把握が不可能となり、いずれも好ましくない。
日より長く設定すると、1サイクル当たりの経過時間が
長くなり、データ取得に時間がかかって同様に好ましく
ない。
値は、0.2CmA以上2.0CmA以下に設定する。下
限電流を1.0CmA以上2.0CmA以下に設定すれば
さらに効率のよいデータ取得が可能となる。0.2Cm
A未満の低放電電流の場合、完全放電に時間がかかり好
ましくない。また、2.0CmAより大きな放電電流で
は、放電時間自体が短くなりすぎ、放電容量の測定値に
ばらつきが生じたり、劣化が進むと、容量が急激に低下
して精度の良い関係式(1)を作成することができなく
なるため好ましくない。
は、装置の設定の制約などにより、必要ならば充電と放
電との間に一定時間の休止を設定する。
る充放電サイクル試験においては、4サイクル目以降、
各サイクルごとに、充電の定電流(CC)モードから定
電圧(CV)モードに変更されてから充電電流値が減少
して1/2の値に到達するまでの時間tnと、引き続く
放電の比容量Cn/C0を測定する。測定した時間t n
と比容量Cn/C0とをプロットし、関係式(1)の定
数AおよびBの値を決定する。
するために4サイクル目以降の時間tnと比容量Cn/
C0とを採用する理由は、該試験を開始してから最初の
3サイクル目の容量変化は、Liイオン電池の電解液中
の不純物の負極カーボン上での分解反応などのために、
その後のサイクルに伴う容量変化と異なっている場合が
多く、初期の3サイクル目までのデータを用いると判定
誤差の大きな関係式を導く恐れがあり、好ましくないか
らである。
を実容量の±20%以内の高精度とするために必要な時
間tnと比容量Cn/C0とのデータを充足するため、
5サイクル以上実施する。
用いると、上記関係式(1)の定数AおよびBの値が決
定できず関係式(1)を作成できない。好ましくは、6
サイクル以上のデータを用いることにより、より高精度
の容量推定が可能となる関係式(1)を作成することが
できる。 (実施の形態3) つぎに、請求項3に係る発明の実施の形態について説明
する。
よって、Liイオン電池の推定容量Cを算出し、その推
定容量Cを、あらかじめ設定された限界容量Cminと
比較して、C<Cminとなった場合に、該Liイオン
電池が劣化したと判定する。ただし、この比較は、これ
と同等の、推定比容量C/C0(ここに、C0は公称容
量である)と限界比容量Cmin/C0との比較によっ
て行ってもよい。たとえば、実施の形態1および2にお
いては、C/C0が関係式(1)によって直接算出され
るので、この比較のほうが好都合である。
称容量C0の60%の値を用いる(この場合には、C
min/C0=0.6となる)。 (実施の形態4) つぎに、請求項4に係る発明の実施の形態について説明
する。
実行可能とする装置全体が本実施の形態を構成する。た
とえば、リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によっ
て充電する際の、充電条件を定電流から定電圧に切り替
えた時点から、充電電流Iが該時点における充電電流I
cの1/2倍になる時点までの時間tを測定する手段
と、該時間tを用いて、請求項1または2に記載のリチ
ウムイオン電池の容量推定方法によって該リチウムイオ
ン電池の推定容量Cを算出する演算回路と、該演算回路
によって算出された該推定容量C(または推定比容量C
/C0)があらかじめ設定された限界容量Cmin(ま
たは限界比容量Cmin/C0)よりも小となったとき
に該リチウムイオン電池の劣化を意味する信号を出力す
る手段とを備えている装置が本実施の形態となる。
す。
の一般的な電源部周辺の一構成概念を示したものであ
り、1は電源部であり、電源部1には、Liイオン電池
2a、2b、2cが搭載され、これらの電池2a、2
b、2cは電源部1内の電池制御部3で充放電、安全に
関する制御がなされる。4は電源部1内の充電器であ
り、制御部3で制御をうけ、電池2a、2b、2cを充
電する。5は論理部であり、この論理部5に電池制御部
3はインターフェイス6を介して繋がり、搭載電池2
a、2b、2cに関する情報や制御の実施の指示を受
け、制御に関するデータを送出する。論理部5内におい
て、7はCPU、8はメモリであり、電池の制御に関す
る情報の蓄積、制御の指示、データの演算、記憶を行
う。電池2a、2b、2cのID入力などはキーボード
コントローラ9を介して行う。キーボードコントローラ
9にはデータ送出のための配線10が接続されている。
空きメモリなどにあらかじめ入力され、あるいは必要な
らばCPU7に加えてメモリチップを増設して入力され
る。CPU7は、電池制御部3に、充電のモードが定電
流(CC)モードから定電圧(CV)モードに変更され
てから充電電流値が半減するまでの時間tを測定する指
示を行ったり、電池制御部3より所要時間tの測定結果
を受け取る。さらに、CPU7は、受け取った時間tを
判定式(1)に代入して演算を行い、推定容量(あるい
は推定比容量)を算出する。必要ならば、この結果をメ
モリ8に記憶させる。推定容量(あるいは推定比容量)
に基づく劣化判定結果は、システムマネジメントバスな
ど適当な配線10を介して装置本体に入力され、装置本
体は、その入力に応じて、劣化判定結果を装置本体の表
示部に表示したり、必要に応じて、信号音または音声な
どによる警告を発出する。このようにして、本発明にお
けるLiイオン電池の劣化判定機能を有する装置を構成
することができる。ただし、上記概念になるLiイオン
電池の劣化判定が実施できれば、何ら上記の構成に限定
されることはない。 (実施の形態5) つぎに、請求項5、6または7に係る発明の実施の形態
について説明する。
る。図3はLiイオン電池パックの一般的な回路構成を
示した図であり、Liイオン電池(12-1、12-2、
12-3)を3セル直列にして搭載した場合を示してい
る。
り、12-1、12-2、12-3はLiイオン電池であ
る。13は保護用ICであり、電圧、電流、温度などの
モニタ、ソフト的な安全制御を行う。14-A、14-
B、14-C、14-1、14-2、14-3はパック本体
11内、および各電池の充電電流制御を目的とするFE
Tであり、15は温度ヒューズであるPTC素子、16
は電流ヒューズであり、それぞれ温度上昇時、異常大電
流時に電流を遮断する役目を負う。17はプラス端子、
18はマイナス端子であり、19は情報出力、コントロ
ールのための端子である。
13内にタイマーを搭載し、空きメモリに上記に示した
関係式(1)をあらかじめ入力しておき、図3における
Liイオン電池12-1、12-2、12-3の両端の電
圧を端子VccとVssとにより保護用IC13がモニ
タし、充電のモードが定電流(CC)モードから定電圧
(CV)モードに変更されてから充電電流値が半減する
までの時間tを測定し、この測定された時間tの値を関
係式(1)に代入、演算して推定容量Cを算出する。必
要ならば、保護用IC13とは別にパック内の適当な位
置に増設ICを設けることもできる。算出された推定容
量C(または推定比容量C/C0)があらかじめ設定さ
れた限界容量Cmin(または限界比容量Cmin/C
0)よりも小となった場合に、容量劣化を意味する警告
(この場合には電気信号による警告)を、端子19を通
して、適当なディスプレイ、あるいは警告音などに表
示、発出するために、パックを搭載している装置本体に
出力する。
記装置本体に劣化を警告する手段が設けられていない場
合には、パック自体がこの警告を、たとえば、文字また
は画像の表示、信号音あるいは音声などによって出力す
る手段を備えていれば好都合である。そのようなLiイ
オン電池パックは、本発明と従来技術とを併用すること
によって作製可能である。
の最小限の変更によって、本発明に係る劣化判定方法を
実行する手段を具備したLiイオン電池パックを提供す
ることが可能となる。ただし、上記概念になるLiイオ
ン電池の劣化判定が実施できれば何ら上記の構成に限定
されることはない。
方法、および該劣化判定機能を具備したLiイオン電池
の適用対象としては、特に高信頼性を必要とする機器が
考えられ、該劣化判定によって的確な電池の劣化状態を
把握しタイムリーな電池の交換を実現することによっ
て、機器のトラブルを回避することができる。しかしな
がら、Liイオン電池を搭載する機器であれば何ら上記
劣化判定の方法、および劣化判定機能を具備したLiイ
オン電池を採用することに問題はなく、しかもムダのな
い電池交換を実現することができるため使用する利点は
きわめて大きい。
推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにL
iイオン電池パックについて、さらに具体的に、実施例
によって説明するが、本発明は何らこれに限定されるこ
とはない。 (実施例1)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)を25℃の恒温槽に設置し、データ収集・保管機能
を有する電池充放電自動試験装置に該電池を接続し、充
電電流値600mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.
1V、充電時間7日間の定電流定電圧(CC−CV)方
式による充電と、放電電流値600mAh(1.0Cm
A)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電と放電と
の間に休止を1時間はさんだ充放電サイクル試験を10
サイクル実施し、各サイクルにおける定電圧(CV)モ
ード充電開始時から充電電流値がCV充電初期の1/2
に到達するまでの経過時間tnと、放電電流を時間に関
して積分して得られる放電容量Cnの公称容量C0に対
する比容量Cn/C0を測定した(ここに、nは各サイ
クルに付した番号である)。試験により得られた4サイ
クル目から10サイクル目の時間tnと比容量Cn/C
0Cから以下の関係式(2)を得た。
なわち、時間を単位として、tを無次元数で表したもの
でなければならないが、これを、便宜上、単にtで表
す。以下の式においても同様とする。
容量1300mAh)を用意し、充電電流1300mA
(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間3時
間の定電流定電圧(CC−CV)方式による充電と、放
電電流1300mA(1.0CmA)、放電終止電圧2.
75Vの放電と、充電と放電との間に10分間の休止を
はさんだ充放電サイクルを3サイクル実施して、各サイ
クルごとのCCモード充電からCVモード充電に変更と
なってから電流値が半減するまでの所要時間tnと比容
量Cn/C0とを記録し、上記に示した関係式(2)の
妥当性を検討した。
クルで求めたCVモード充電開始から電流値半減までの
所要時間tnと比容量Cn/C0との関係を示した図で
あり、3サイクル目までのデータをプロットしている。
また、図4には、関係式(2)を示す直線を4-Aで、
この判定式の値より20%高い価(すなわち誤差+20
%)を示す曲線を4-Bで、逆に判定式の値より20%
低い値(誤差−20%)を示す曲線を4-Cで併せて示
してある。図4に示したように、データは全て誤差±2
0%以内に収まり、しかも関係式(2)の曲線4-Aは
該データ点に極めて近接しており、優れた劣化判定結果
を示しうることが判る。 (実施例2)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)6個を25℃の恒温槽に設置し、データ収集・保管
機能を有する電池充放電自動試験装置にそれぞれの電池
を個別に接続し、充電電流値600mA(1.0Cm
A)、充電上限電圧4.1V、充電時間を2時間、3時
間、3日間、7日間、10日間、および11日間の各時
間に設定して定電流定電圧(CC-CV)方式による充
電と、放電電流値600mAh(1.0CmA)、放電
終止電圧2.75Vの放電と、充電と放電との間に休止
を1時間はさんだ充放電サイクル試験を10サイクル実
施し、各サイクルにおける定電圧(CV)モード充電開
始時から充電電流値がCV充電初期の1/2に到達する
までの経過時間tnと、比容量Cn/C0を測定した。
サイクル目における時間tnと比容量Cn/C0から表
1に示す関係式を得た。
1300mAh)を調達し、室温で、充電電流1300
mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間
3時間の定電流定電圧(CC-CV)方式による充電
と、放電電流1300mA(1.0CmA)、放電終止
電圧2.75Vの放電と、充電と放電との間に10分間
の休止をはさんだ充放電サイクルを3サイクル実施し
て、各サイクルごとのCCモード充電からCVモード充
電に変更となってから電流値が半減するまでの所要時間
tnと放電容量の公称容量(1300mAh)に対する
比容量C n/C0とを記録し、上記に示した関係式
(2)の妥当性を検討した。
イクルで求めたCVモード充電開始から電流値半減まで
の所要時間tと比容量Cn/C0との関係を示した図で
あり、5-Aは3サイクル目までの測定データを示して
いる。また、図5には、表1に示した各関係式を作成す
るための試験データとともに作成した関係式を直線で示
してあり、5-Bは充電時間2時間のデータから作成し
た判定式であり、5-Cは充電時間3時間の試験データ
から作成した関係式であり、5-Dは充電時間3日間の
試験データから作成した関係式であり、5-Eは充電時
間7日間の試験から作成した関係式であり、5-Fは充
電時間10日間の試験データから作成した関係式であ
り、さらに5-Gは充電時間11日間の試験データから
作成した関係式である。
ード充電に変換されてから充電電流値が半減するまでの
所要時間tを各関係式に代入して算出した比容量と実測
比容量との誤差を併せて表1に示しておいた。
上10日間以内に設定した試験から得られた関係式によ
り算出した比容量は、いずれも誤差±20%であり、優
れた判定結果を示した。特に、表1に示したように、充
電時間を3日以上10日以下に設定すると判定誤差は±
10%以内に収まり、きわめて精度の高い判定が可能に
なることが明らかになった。
は11日間に設定した試験から作成した関係式によると
判定誤差は±20%を上回り、精度のよい劣化判定が困
難であることがわかった。 (実施例3)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)6個を45℃の恒温槽に設置し、データ収集・保管
機能を有する電池充放電自動試験装置にそれぞれの電池
を個別に接続し、充電電流値600mA(1.0Cm
A)、充電上限電圧4.1V、充電時間を7日間に設定
して定電流定電圧(CC-CV)方式による充電と、放
電電流値600mAh(1.0CmA)、放電終止電圧
2.75Vの放電と、充電と放電との間に休止を1時間
はさんだ充放電サイクル試験を10サイクル実施し、各
サイクルにおける定電圧(CV)モード充電開始時から
充電電流値がCV充電初期の1/2に到達するまでの経
過時間tnと、比容量Cn/C0を測定した。
クルの時間tnと比容量Cn/C0から、4および5サ
イクル目の時間tnと比容量Cn/C0から、4サイク
ル目から6サイクル目の時間tnと比容量Cn/C0か
ら、および、4サイクル目から10サイクル目の時間t
nと比容量Cn/C0から、それぞれ4つの関係式を得
た。
験した使用済み角形Liイオン電池(公称容量1300
mAh)の3サイクル分のCCモード充電からCVモー
ド充電に変更となってから電流値が半減するまでの所要
時間tnと比容量Cn/C0のデータを適用して算定比
容量と実測の比容量との比較を行った。
電開始から電流値半減までの所要時間tnと比容量Cn
/C0との関係を示した図であり、6-Aは実施例2で測
定した使用済み角形電池のデータであり、6-Bの直線
は全サイクルの測定データから作成した関係式を、6-
Cの直線は4サイクル目と5サイクル目のデータから作
成した関係式を、6-Dは4サイクル目から6サイクル
目までのデータから作成した関係式を、さらに6-Eの
直線は4サイクル目から10サイクル目までのデータか
ら作成した関係式を示している。
係式作成の方法に従えば、精度の高い判定が可能とな
り、4サイクル目と5サイクル目のデータから作成した
関係式で算出した比容量の値は実測値に対して最大誤差
(絶対値)は6.1%に留まり、4サイクル目から6サ
イクル目までのデータから作成した関係式で算出した値
は実測値に対して最大誤差(絶対値)は2.7%に留ま
り、また、4サイクル目から10サイクル目までのデー
タから作成した関係式で算出した値は実測値に対して最
大誤差(絶対値)は2.5%に留まる優れた判定精度で
あった。
ータから作成した関係式で算出すると、データ数が多い
にも関わらず、実測値に対して最大誤差(絶対値)は2
0.4%となり、±20%を越える誤差となって好まし
くないことがわかった。 (実施例4)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)5個を5℃の恒温槽に設置し、データ収集・保管機
能を有する電池充放電自動試験装置にそれぞれの電池を
個別に接続し、充電電流値をそれぞれ90mA(0.1
5CmA)、120mA(0.2CmA)、600mA
(1.0CmA)、1200mA(2.0CmA)、およ
び1500mA(2.5CmA)に設定し、充電上限電
圧4.1V、充電時間を7日間に設定して定電流定電圧
(CC-CV)方式による充電と、放電電流値600m
Ah(1.0CmA)、放電終止電圧2.75Vの放電
と、充電と放電との間に休止を1時間はさんだ充放電サ
イクル試験を10サイクル実施し、各サイクルにおける
定電圧(CV)モード充電開始時から充電電流値がCV
充電初期の1/2に到達するまでの経過時間tnと、比
容量Cn/C0を測定した。
れ4サイクル目から10サイクル目の時間tnと比容量
Cn/C0から5つの関係式を得た。
験した使用済み角形Liイオン電池(公称容量1300
mAh)の3サイクル分のCCモード充電からCVモー
ド充電に変更となってから電流値が半減するまでの所要
時間tnと比容量Cn/C0のデータを適用して算定比
容量と実測の比容量との比較を行った。
電開始から電流値半減までの所要時間tnと比容量Cn
/C0との関係を示した図であり、7-Aは実施例2で測
定した使用済み角形電池のデータであり、7-Bの直線
は充電電流0.15CmAの試験の測定データから作成
した関係式を、7-Cの直線は充電電流0.2CmAの試
験の測定データから作成した関係式を、7-Dは充電電
流1.0CmAの試験の測定データから作成した関係式
を、7-Eの直線は充電電流2.0CmAの試験の測定デ
ータから作成した関係式を、さらに7-Fの直線は充電
電流2.5CmAの試験の測定データから作成した関係
式を示している。
係式作成の方法に従えば、精度の高い判定が可能とな
り、充電電流値が0.2CmA、1.0CmA、および
2.0CmAの試験の測定データから作成した関係式で
算出した比容量の値は実測値に対して最大誤差(絶対
値)はそれぞれ、7.9%、6.1%、および5.1%に
留まり優れた判定精度であった。
および2.5CmAの試験の測定データから作成した関
係式で算出すると、実測値に対して最大誤差(絶対値)
は20.6%、および27.4%となり、±20%を越え
る誤差となって好ましくないことがわかった。 (実施例5)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)6個を、それぞれ−5℃、0℃、15℃、30℃、
45℃、および50℃に設定した各恒温槽内に設置し、
データ収集・保管機能を有する電池充放電自動試験装置
にそれぞれの電池を個別に接続し、充電電流値を600
mA(1.0CmA)、充電上限電圧4.1V、充電時間
を7日間に設定して定電流定電圧(CC-CV)方式に
よる充電と、放電電流値600mAh(110Cm
A)、放電終止電圧2.75Vの放電と、充電と放電と
の間に休止を1時間はさんだ充放電サイクル試験を10
サイクル実施し、各サイクルにおける定電圧(CV)モ
ード充電開始時から充電電流値がCV充電初期の1/2
に到達するまでの経過時間tnと、公称容量に対する比
容量Cn/C0を測定した。
れ4サイクル目から10サイクル目の時間tnと比容量
Cn/C0から6つの関係式を得た。
温で試験した使用済み角形Liイオン電池(公称容量1
300mAh)の3サイクル分のCCモード充電からC
Vモード充電に変更となってから電流値が半減するまで
の所要時間tnと放電容量(公称容量1300mAhに
対する比容量Cn/C0)のデータを適用して算定比容
量と実測の比容量との比較を行った。
電開始から電流値半減までの所要時間tnと比容量Cn
/C0との関係を示した図であり、8-Aは実施例2で測
定した使用済み角形電池のデータであり、8-Bの直線
は−5℃での試験の測定データから作成した関係式を、
8-Cの直線は0℃での試験の測定データから作成した
関係式を、8-Dは15℃での試験の測定データから作
成した関係式を、8-Eの直線は30℃の試験の測定デ
ータから作成した関係式を、8-Fの直線は45℃での
試験の測定データから作成した関係式を、さらに8-G
は50℃での試験の測定データから作成した関係式を示
している。
係式作成の方法に従えば、精度の高い判定が可能とな
り、温度をそれぞれ0℃、15℃、30℃、および45
℃に設定した試験の測定データから作成した関係式で算
出した比容量の値は、実測値に対して最大誤差(絶対
値)がそれぞれ、7.1%、4.1%、6.4%、および
6.8%に留まり、優れた判定精度であった。特にその
中でも、15℃と30℃に設定した試験での場合、より
優れた判定精度を示す関係式を作成できることがわかっ
た。
℃に設定した試験の測定データから作成した関係式で算
出すると、実測値に対して最大誤差(絶対値)は58.
3%、および44.8%となり、±20%を越える誤差
となって好ましくないことがわかった。 (実施例6)角形Liイオン電池(公称容量600mA
h)3本直列の電池パックの充電のため、充電上限電圧
12.3V(2.75V/セル)、充電電流値600mA
(1.0CmA)、充電を終了するためのしきい値であ
る収束電流値を30mA(0.05CmA)とした定電
流定電圧(CC-CV)方式で充電し、充電時に該電池
パックの劣化判定を行う機能を有する充電器を作製し
た。
すなわち、図9は本実施例において作製した充電器の構
成を示した図であり、図中、充電器20は商用電源21
に端子22、および23で接続される。また、充電器2
0に対し、Liイオン電池パック24が充電のために端
子25および26に接続され装着されるようにした。
る電気をAC/DCコンバータ27によって直流に変換
し、充電電流、パック電圧をモニタし、またサーミスタ
28により温度モニタを行いながら、電源マイコン2
9、充電制御用マイコン30により上述の充電条件と、
過充電、過放電、異常大電流、異常電池温度上昇など危
険状態を検知し回避するための制御を行い、電池パック
24を充電する。充電は、スイッチ31により、充電完
了時、あるいは異常を検知した時、停止される。充電の
完了、何らかの異常は制御用マイコン30から表示部3
2に表示するようにした。
D(発光ダイオード、赤は充電中、緑は充電完了をそれ
ぞれ表す)と、劣化判定結果を表示するLED(赤は電
池取りかえ、黄はまもなく電池取りかえ、緑は電池は取
りかえ不要をそれぞれ表す)と、劣化判定結果の数値表
示、異常の表示を行うLCD(液晶ディスプレイ)とか
ら構成されている。
み緑のLEDが点灯し、充電中は赤のLEDが点灯し、
それ以外の異常を示す場合には両方とも点灯しない。
結果である推定比容量C/C0の値が60%未満の場合
は赤のLEDが点灯し、直ちに新しい電池パックに交換
すべきであることを示す。また、推定比容量C/C0の
値が60%以上70%未満の場合には、まもなく、すな
わち使用条件にもよるが、数カ月以内に電池パックを交
換すべきであるため黄のLEDを点灯させる。さらに推
定比容量C/C0の値が70%以上の場合は、電池パッ
クは新品か、相当長期間使用が可能で取りかえる必要が
ないため、緑のLEDを点灯させる。
情報を表示させることを目的として設置している。電池
パックの装着不良をはじめ、安全性に関わる警告情報な
ど、正常に充電を行うことが困難であることを示した
り、劣化判定結果を数値で示したりする。また、商用電
源の突然の停止の場合には、装着した電池パックの電圧
が8.25Vより高い場合のみ、装着電池パックから電
流を供給して電源切れを表示するようにしてある。
劣化判定の手順を図10に示した。
る。
電を開始し、パック電圧をモニタする。パック電圧Vが
充電上限値12.3V(4.1V/セル)に達したら、劣
化判定のための時間計測を開始する。同時に、充電電流
値をモニタする、 手順B:電流値が300mA(0.5CmA)に到達し
たら時間計測を終了。充電上限電圧到達時から電流値3
00mA到達時までの所要時間tを記録する、 手順C:取得した所要時間tを関係式(2)に代入、比
容量C/C0を算出する、 手順D:算出された結果をLCDとLEDに表示する。
判定結果である比容量の値に応じて、上述したように
赤、黄、緑のいずれかのLEDを点灯させ、同時にLC
Dに数値を表示する。LCD表示は30秒間、LEDは
充電器が商用電源に接続されている問点灯させる。
コン30に、実施例1において作成した関係式(2)
と、図10に示したフロー手順をプログラムしてあらか
じめ入力しておき、パック電圧と充電電流値のモニタリ
ングを利用しながら内蔵タイマにより、パック電圧が1
2.3Vに到達してCCモード充電からCVモード充電
に変更されてから充電電流値が1/2の300mAに到
達するまでの時間tを測定し、上記関係式(2)に適用
して、Liイオン電池パックの劣化判定を行い、表示部
32に判定結果を表示するようにした。
池の充電時間が判るよう、LCD上にタイマー表示を行
っている。
使用済みの同タイプの電池パックを装着し、充電した。
この使用済み電池パックは、定電流(CC)モードから
定電圧(CV)モードに充電形態が変更となってから、
48分で劣化判定結果が表示され、4時間6分で充電が
終了した。LCDには92%と表示され、緑色のLED
が点灯した。
動試験装置に設置し、放電電流値600mA(1.0C
mA)、放電終止電圧8.25Vに設定して定電流放電
を実施し、放電容量を求めたところ、542mAhであ
った。これは、比容量にすると90.3%となり、推定
誤差は約1.7%であった。
る充電器では、精度の高い劣化判定を行うことが可能で
あることが明らかになった。 (実施例7)充電上限電圧12.3V、充電電流600
mA(1.0CmA)、収束電流値が60mAの条件で
定電流定電圧(CC-CV)モード充電を行う機能を有
した小型携帯用情報端末機器に搭載する、図3に示す構
成のLiイオン電池パックを作製した。該電池パックは
角形セル(公称容量600mAh)12-1、12-2、
および12-3の3セル直列のパックであり、保護用I
Cに関係式(2)をあらかじめ入力してある。
護用IC13メモリには、Liイオン電池12-1、1
2-2、12-3各セルの両端の電圧を端子VccとVs
sとによりモニタし、充電上限電圧12.3V(4.1V
/セル)に電圧が達してCCモード充電からCVモード
充電に変更となってから電流値をモニタして1/2の3
00mA(0.5CmA)に到達するまでの経過時間t
をカウントし、この測定された時間tの値を関係式
(2)に代入、演算して比容量C/C0を算出するプロ
グラムがあらかじめ入力してある。
ックを搭載する情報端末機器本体の液晶ディスプレイに
表示するために装置本体に出力する機構になっている。
値がパーセントで表示されるとともに、バーの長さのパ
ーセント数値に相当する割合が塗りつぶしで示されるよ
うになっている。
と同時に発出される。劣化判定実施のための手順フロー
は、図10において、結果の表示が機器本体のディスプ
レイに表示されるために本体に結果を送出する以外は図
10と同様である。このような構成になる電池パックを
情報端末機器に装着し、1時間使用した後、商用電源に
接続して充電を開始し、充電開始後に表示されたディス
プレイを見たところ、電池パックの判定結果は75%と
表示された。充電完了のサインがディスプレイ上に現れ
たことを確認して、この情報端末機器をOFFにし、該
電池パックを脱着し、適当な接続コードを用いて、電池
充放電自動試験装置に接続し、放電電流600mA
(1.0CmA)、放電終止電圧8.25V(2.75V
/セル)で放電させて容量を測定した。その結果、放電
容量は472mAh、比容量にして78.7%であっ
た。
た劣化判定機能による判定結果は誤差−3.7%と優れ
た判定精度を示すことが明らかになった。
て、Liイオン電池の容量を推定する簡便な方法、Li
イオン電池の劣化を判定する簡便な方法および装置、な
らびに、電池の容量を推定し、必要に応じて電池の劣化
を警告する手段を備えたLiイオン電池パックを提供す
ることが可能になり、Liイオン電池の管理においてき
わめて大きな貢献を果たすことができる。
流定電圧(CC-CV)方式による電池電圧と充電電流
値の変化の概念を説明した図である。
方法を具体的に適用するLiイオン電池搭載装置の一般
的な電源部周辺の一構成概念を示した図である。
オン電池パックの一般的な回路構成例を示した図であ
る。
から電流値半減に至る所要時間と比容量との関係と、関
係式(2)による関係とを示す図である。
から電流値半減に至る所要時間と比容量との関係と、各
関係式による関係とを示す図である。
から電流値半減に至る所要時間と比容量との関係と、各
関係式による関係とを示す図である。
から電流値半減に至る所要時間と比容量との関係と、各
関係式による関係とを示す図である。
から電流値半減に至る所要時間と比容量との関係と、各
関係式による関係とを示図である。
成を示した図である。
電池制御部、4…充電器、5…論理部、6…インターフ
ェイス、7…CPU、8…メモリ、9…キーボードコン
トローラ、10…配線、11…電池パック本体、12-
1、12-2、12-3…Liイオン電池、13…保護用
IC、14-A、14-B、14-C、14-1、14-
2、14-3…FET、15…PTC素子、16…電流
ヒューズ、17…プラス端子、18…マイナス端子、1
9…情報出力、コントロールのための端子、20…充電
器、21…商用電源、22、23…商用電源と充電器と
を接続する端子、24…Liイオン電池パック、25、
26…充電器と電池パックとを接続する端子、27…A
C/DCコンバータ、28…サーミスタ、29…電源マ
イコン、30…充電制御用マイコン、31…スイツチ、
32…表示部。
Claims (7)
- 【請求項1】リチウムイオン電池の容量推定方法であっ
て、該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって
充電する際に、充電条件を定電流から定電圧に切り替え
た時点から、充電電流が該時点における充電電流Icの
1/2倍になる時点までの時間tを求め、該時間tを用
い、該リチウムイオン電池の推定容量Cを関係式、 C/C0=At+B (1) (ここに、C0は該リチウムイオン電池の公称容量であ
り、A、Bは該リチウムイオン電池と該充電電流Icと
によって定まる正値定数である)によって算出すること
を特徴とするリチウムイオン電池の容量推定方法。 - 【請求項2】容量推定の対象となるリチウムイオン電池
あるいは該リチウムイオン電池と同一種類のリチウムイ
オン電池を用い、 1回の全充電時間が3時間以上10日以下であり、定電
流定充電中の充電電流がC0/(5時間)以上C0/(0.
5時間)以下(ここに、C0は該リチウムイオン電池の
公称容量である)である定電流定電圧方式による充電期
間と、放電期間と、必要に応じて該充電期間と該放電期
間との間に設けられる休止期間とを有する充放電サイク
ルを5回以上繰り返して、 各サイクルにおいて、充電条件を定電流から定電圧に切
り替えた時点から、充電電流が該時点における充電電流
Icの1/2倍になる時点までの時間tn(ここに、n
は各サイクルに付した番号である)と、各サイクルごと
に放電電流を時間に関して積分して得られる放電容量C
nとを記録し、記録された該時間tnと該放電容量Cn
とから、上記関係式(1)におけるA、Bの値を確定す
ることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電
池の容量推定方法。 - 【請求項3】リチウムイオン電池の劣化判定方法であっ
て、上記リチウムイオン電池の推定容量Cを請求項1ま
たは2に記載のリチウムイオン電池の容量推定方法によ
って算出し、該推定容量Cがあらかじめ設定された限界
容量Cminよりも小となったときに該リチウムイオン
電池が劣化したと判定することを特徴とするリチウムイ
オン電池の劣化判定方法。 - 【請求項4】リチウムイオン電池の劣化判定装置であっ
て、該リチウムイオン電池を定電流定電圧方式によって
充電する際の、充電電流が充電条件を定電流から定電圧
に切り替えた時点における充電電流Icの1/2倍にな
る時点までの時間tを測定する手段と、該時間tを用い
て、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池の容
量推定方法によって該リチウムイオン電池の推定容量C
を算出する演算回路と、該演算回路によって算出された
該推定容量Cがあらかじめ設定された限界容量Cmin
よりも小となったときに該リチウムイオン電池の劣化を
意味する信号を出力する手段とを備えていることを特徴
とするリチウムイオン電池の劣化判定装置。 - 【請求項5】ICを内蔵した充放電制御手段を備えたリ
チウムイオン電池パックにおいて、該ICあるいは該I
Cに付設して増設されたICが、該リチウムイオン電池
パック中のリチウムイオン電池の上記推定容量Cの算出
に用いる数値を記憶するメモリと、該数値が該メモリに
記憶された場合に該リチウムイオン電池を定電流定電圧
方式によって充電する際の上記時間tと該数値とから請
求項1または2に記載のリチウムイオン電池の容量推定
方法によって該推定容量Cを算出する演算回路とを有し
ていることを特徴とするリチウムイオン電池パック。 - 【請求項6】上記演算回路によって算出された上記リチ
ウムイオン電池パック中のリチウムイオン電池の上記推
定容量Cが、該リチウムイオン電池のあらかじめ設定さ
れた限界容量Cminよりも小となったときに、容量劣
化を意味する警告を出力する手段を具備していることを
特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池パッ
ク。 - 【請求項7】上記警告が、電気信号による警告、文字ま
たは画像の表示による警告、信号音による警告または音
声による警告であることを特徴とする請求項6に記載の
リチウムイオン電池パック。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000100680A JP3370047B2 (ja) | 2000-04-03 | 2000-04-03 | リチウムイオン電池の容量推定方法、劣化判定方法および劣化判定装置ならびにリチウムイオン電池パック |
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