JP3546324B2 - ビット位相制御装置 - Google Patents

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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信システム等に用いられる、ビット位相制御装置及び制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年通信システムの高速化が進んでいる。それに伴って、機器間での同期確立が、技術開発の重要なテーマになっている。特に、シリアルデータ受け入れの場合は、データの両端に存在する不定領域が、問題になりやすい。この不定領域を避けて、正確なデータを取り込むためには、正確な位相同期が必要とされる。
この問題を解決するための技術として、特開平9−247133号(発明の名称、ディジタル信号再生装置、出願人、日本電信電話株式会社、株式会社日立製作所)が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記、従来の技術においても、正確な位相同期を確立するために、無視できない程度の、制御時間が必要とされていた。
通常、データの伝送速度に比して位相同期制御の速度は極めて遅い。その結果、位相同期を確立するまでの間、かなりのデータ量が、廃棄される場合も発生した。
この問題を解決するための、制御時間短縮化が、大きな解決課題として残されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
本発明は、入力データを一定時間で順次遅延させ、各遅延させた入力データを現用系データ及び予備系データとして選択出力可能な可変位相遅延部を制御して前記現用系データのいずれかをクロックに同期させて出力するためのビット位相制御装置であって、
前記クロックに同期する現用系データを出力させるべく該データの選択を示す初期メインカウント値γを前記可変位相遅延部に供給するメインカウンタと、
遅延量に対応して変化するサブカウント値xを出力するサブカウンタと、
前記変化するサブカウント値xを受信する毎にカウント値γ±xを前記可変位相遅延部に供給して前記予備系データの遅延量を指定するプラス・マイナス演算器と、
前記サブカウント値xの変化による前記予備系データの両側エッジを検出し、検出された両側エッジ位置に基づいて前記クロックに同期する次の現用系データを選択するためのメインカウント値γを前記メインカウンタに設定する制御部とを備えるビット位相制御装置において、
前記制御部は、前記メインカウンタに仮の初期メインカウント値γ’を設定すると共に前記サブカウンタに補正用サブカウント値x’を設定して前記プラス・マイナス演算器から補正用カウント値γ’±x’を出力させ、前記可変位相遅延部から前記仮の初期メインカウント値γ’に対応して選択出力された予備系データの両側エッジに対し前記補正用カウント値γ’±x’に対応して選択出力された予備系データの両側エッジが同一であると前記仮の初期メインカウント値γ’を前記初期カウント値γとして前記メインカウンタに設定し、
前記選択出力された両予備系データの両側エッジが相違すると、前記メインカウンタに再度、異なる仮の初期メインカウント値γ’を設定して初期カウント値の設定動作を繰り返すことを特徴とする。
【0005】
〈構成2〉
請求項1に記載されたビット位相制御装置において、
前記制御部は、前記プラス・マイナス演算器の出力するカウント値γ+x又はγ−xのいずれかが前記可変位相遅延部のデータ選択の限界値と判定すると、該プラス・マイナス演算器を制御して非限界のカウント値のみを出力させることを特徴とするビット位相制御装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
〈具体例1の構成〉
外部からジッタ成分を含んだ入力データを受け入れて、この入力データを、現実の受信データとして外部に出力する現用系データと、この現用系データの位相制御に用いる予備系データに2分割し、その位相を別々に可変させる可変位相遅延部と、装置内部のクロック信号と、上記現用系データと、上記予備系データとを受け入れて、その位相差を検出する位相比較部と、上記現用系データと、上記予備系データを切り替えて出力データとして出力するデータ出力制御部とを備えた、例えば、上記特開平9−247133号に開示されているビット位相同期回路に本発明によるビット位相制御装置が配置される。
【0008】
本発明によるビット位相制御装置は、上記可変位相遅延部の、遅延量の初期値を選択するメインカウント値γをメインカウンタに設定して、動作を開始する。この初期値は通常全遅延量のほぼ中心値に定められる。同時にサブカウント値χをサブカウンタに設定する。プラス・マイナス演算器を用いて、メインカウント値γを中心にして、現用系データに対する、予備系データの位相差を交互にγ+χと、γ−χに切り替えながら、χを増加させる。この動作によってクロック信号に対する現用系データの位相変化を監視する。位相変化が検出された時は、メインカウント値γを変更して、クロック信号に対する現用系データの位相差を正常に維持する。
【0009】
メインカウント値γが変化して、上記全遅延量の片方、例えば、遅延量の少ない方に偏ったと想定する。この状態で上記予備系データの位相差を前記γ−χに設定したときに、サブカウント値χの限界が検出されたとする。この時プラス・マイナス演算器のマイナス演算を停止させて、そのままサブカウント値χを逐次増加させる。その結果予備系データの位相は、上記全遅延量の中心値に向けて戻り始める。ついに予備系データの位相が現用系データの位相に対して、所定の位相差を持つ状態になったとき、上記メインカウント値γに、上記サブカウント値χを加算し、サブカウント値χを0にリセットする。その後切替スイッチを切り替えて現用系データと、予備系データを切り替える。
【0010】
以下、本発明を図示の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のビット位相制御装置のブロック図である。
本発明の説明をする前に、本発明によるビット位相制御装置が、構成要素の一つとして配置される、ビット位相同期回路の概要について図を用いて説明する。
図2は、ビット位相同期回路のブロック図である。
図より、ビット位相同期回路は、ビット位相制御装置1と、可変位相遅延部21と、位相比較部22と、データ出力制御部23を備える。
【0011】
可変位相遅延部21は、外部から入力データDinを受け入れて、その位相を遅延させる部分である。その内部に、セレクタA1と、セレクタA2と、DLY−1〜DLY−nまでn個従属接続された遅延線を備える。従属接続された遅延線は、入力データDinを受け入れてDLY−1〜DLY−nまで、遅延時間tdずつ加算して遅延させる。セレクタA1と、セレクタA2は、従属接続された遅延線の個々の接続部から、それぞれ、遅延時間が加算されたデータD0〜Dnの、いずれか一つを受け入れる。このデータの選択は、ビット位相制御装置1の制御に基づいて行われる。このデータをそれぞれ、現用系データDr、または、予備系データDpとして出力する。ここで現用系データDrとは、実際に受信データとして、ビット位相同期回路から出力される信号である。また予備系データDpとは、位相同期制御のために、このビット位相同期回路内部で使われる信号である。後に説明するが、セレクタA1と、セレクタA2の出力は状況に応じて適宜、現用系データDr、または予備系データDpに変更して使われる。
【0012】
位相比較部22は、可変位相遅延部21から、現用系データDr、予備系データDpに2分割された入力データDinと、内部クロックCLKを受け入れて、入力データDinと内部クロックCLKの位相差を検出する部分である。その内部に、F−1〜F−7まで7個のフリップフロップとEO−1〜EO−3まで3個の排他的論理和回路を備える。フリップフロップF−1、F−3と、フリップフロップF−2とF−4は、セレクタA1とセレクタA2から現用系データDrまたは、予備系データDpを受け入れて、内部クロックCLKのタイミングに併せてデータをラッチする部分である。排他的論理和回路EO−1〜EO−3は、上記F−1〜F−4がラッチしたデータを比較して、入力データDinと内部クロックCLKの位相差を検出する部分である。
フリップフロップF−5〜F−7は、上記検出結果をラッチしてビット位相制御装置1へ転送する部分である。
【0013】
データ出力制御部23は、ビット位相制御装置1の制御に基づいて、適宜、現用系データDrと予備系データDpを変更する部分である。更に、ビット位相制御装置1の制御に基づいてデータを1クロック分増加したり削除したり、する部分でもある。
以上の構成、機能、動作は、上記特開平9−247133号と全く同様である。
ビット位相制御装置1は、本発明による制御装置であり、ビット位相同期回路全体を制御する部分である。
【0014】
図1に戻って本発明によるビット位相制御装置1の構成について説明する。
図1より、本発明によるビット位相制御装置1は、メインカウンタ11と、サブカウンタ12と、切替スイッチ13と、プラス・マイナス演算器14と、制御部15を備える。
【0015】
メインカウンタ11は、制御部15の制御に基づいて、メインカウント値γをセレクタA1とセレクタA2のうち現用系データを受け持つセレクタ(以後現用系セレクタと記す)とへ転送する。同時に、メインカウント値γをプラス・マイナス演算器14へも転送する部分である。現用系セレクタに転送されるγを現用系選択信号Srと定義する。現用系セレクタは、この現用系選択信号Srを受け入れて、上記D0〜Dnの中から対応するデータDγを選択する。遅延線DLY−1〜DLY−nの出力D1〜Dnは、それぞれ順番にメインカウント数γ(1〜n)に対応させてある。
【0016】
サブカウンタ12は、制御部15の制御に基づいてサブカウント値χをプラス・マイナス演算器14または、セレクタA1とセレクタA2のうち予備系データを受け持つセレクタ(以後予備系セレクタと記す)へ転送する部分である。
プラス・マイナス演算器14は、メインカウンタ11と、サブカウンタ12から、それぞれ、メインカウント値γとサブカウント値χを受け入れる。この値から、制御部15の制御に基づいて、Sp=γ±χを演算して予備系セレクタへ転送する部分である。ここでSpを予備系選択信号と定義する。
【0017】
切替スイッチ13は、制御部15の制御に基づいて、セレクタA1とセレクタA2をそれぞれ、現用系セレクタ、あるいは、予備系セレクタに切り替える部分である。
制御部15は、フリップフロップF−5〜F−7を介して排他的論理和回路EO−1〜EO−3が出力する位相比較結果を受け入れてビット位相制御装置全体を制御する部分である。
【0018】
〈具体例1の動作〉
次に、図を用いて本発明によるビット位相制御装置の制御動作について説明する。前提条件として以下の条件を定める。
即ち、遅延線DLY−1〜DLY−n(図2)の段数をn=16とし、その各々の遅延時間tdは等しく、5td=T(データ1個の時間長)とする。又、クロックCLK(図2)の1周期は、Tに等しくフリップフロップF1〜F4(図2)は、クロックCLKの立上がり部分でラッチするものとする。更に、初期状態では、セレクタA1が現用系セレクタとして選択されているものとする。
尚、本発明によるビット位相制御装置によって制御されるビット位相同期回路の動作は、上記特開平9−247133号と全く同様とする。
【0019】
図3は、ビット位相制御装置の動作説明図(その1)である。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。上記前提条件によりγの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。理解を容易にするためにデータ信号を、HighレベルとLowレベルを繰り返すパルス信号に置き換えて表している(排他的論理和回路EO−1〜EO−3によって位相差を検出しているので、この置き換えが可能になる)。(d)はセレクタA2の出力を表している。
【0020】
(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。同様に(g)と(h)、(i)と(j)、(k)と(l)は、χをそれぞれ2、3、4にしたときのセレクタA2の出力を表している。(m)と(n)は、メインカウンタ11(図1)のカウント値γを+1したとき、即ちセレクタA1が、データD9を受け入れたときの出力を上記(a)〜(l)と、同一時間軸上に表している。
【0021】
図3の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
位相同期の前提条件を以下のように定める。
即ち、図3上でメインカウント値8に最も近いクロックパルスをCLK−0とする。このCLK−0の立上がり部分がデータ出力の中心(時間的に)に一致した状態を位相一致状態、と定める。
更に、初期状態では、セレクタA1を現用系セレクタとし、セレクタA2を予備系セレクタとして動作しているものとする。
【0022】
以下に動作をS1〜S12までの段階に分けて、それぞれ図3の(a)〜(n)に対応させて説明する。
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして制御を開始する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分に対し、データ出力の中心がα(=−1)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もα(=−1)進んだ状態であり(d)となる。排他的論理和回路EO−1〜EO−3(図1)は、フリップフロップF1(図1)、F2(図1)、及び、F3(図1)、F4(図1)の出力を監視してその変化点を測定する。F1(図1)、F2(図1)の測定点はCLK−0の立上がり部分であり、F3、F4の測定点はCLK+1の立上がり部分になる。(c)、(d)では、それぞれ、HighとLowを示している。図上にH、Lとして示した。
【0023】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+(プラス)にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0024】
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−(マイナス)にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0025】
S4.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=2にする。
Sr=8、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は2Td遅れて(g)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0026】
S5.制御部15(図1)が、γ=8、χ=2のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=6になる。その結果セレクタA2の出力は2Td進んで(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化を検出する。
このとき、制御の一方法としては、制御部15(図1)が、メインカウント値をγ+1=9に変更すると同時に、サブカウント値をχ=0にリセットして、メインカウント値γ=9で、上記A2.からの動作を開始する方法がある。
更に、別の方法を示すと、F2、F4の出力が、それぞれL、Hとなり変化を検出した後、制御部15(図1)は、このときのサブカウント値χ1(=2)を記憶する。ここでは、後者に従う。
【0027】
S6.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=3にする。
Sr=8、Sp=11になる。その結果セレクタA2の出力は3Td遅れて(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0028】
S7.制御部15(図1)が、γ=8、χ=3のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=5になる。その結果セレクタA2の出力は3Td進んで(j)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化した状態のままである。
【0029】
S8.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=4にする。
Sr=8、Sp=12になる。その結果セレクタA2の出力は4Td遅れて(k)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり、変化を検出する。制御部15(図1)はこのときのサブカウント値χ2(=4)を記憶する。
【0030】
S9.制御部15(図1)が、γ=8、χ=4のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=4になる。その結果セレクタA2の出力は4Td進んで(l)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化した状態のままである。
【0031】
S10.制御部15(図1)は、F2、F4が変化した時点でのSpの変化量から、α=(1/2)(χ2−χ1)の演算をして、初期状態での、セレクタA1の出力とCLK−0との位相差、αを求める。ここでは、α=+1と求まる。S11.制御部15(図1)は、メインカウント値に1加算してγ=9に変更する。同時にサブカウンタをχ=0にリセットする。この状態を(m)、(n)に表している。
【0032】
以上の結果、セレクタA1は、データD9を受け入れて、位相一致状態を維持して動作することができる。この状態で制御部15(図1)は、メインカウント値をγ=9の状態で、サブカウント値χを変動させながら、入力データの位相変化を監視する。何らかの状況変化によって位相差αが発生したときは、上記動作を繰り返して位相一致状態を維持することができる。
【0033】
次に、上記制御動作中にメインカウント値γが片方に寄りすぎて、セレクタA1による位相同期調整ができなくなったときの制御動作について説明する。
図4は、ビット位相制御装置の動作説明図(その2)である。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γ=3まで変化した状態を想定する。即ちセレクタA1は、データD3を受け入れている。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。
【0034】
(e)と(f)は、メインカウント値γを3に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。同様に(g)と(h)、(i)と(j)は、χをそれぞれ2、3、にしたときのセレクタA2の出力を表している。(k)と(l)と(m)と(n)と(o)と(p)は、セレクタA2出力を現用系データと予備系データの位相が所定の位相差となるように制御する。この場合、メインカウント値γの増加方向へ動かす制御動作を表している。(q)と(r)は、現用系をセレクタA1の出力からセレクタA2出力に変更する制御動作を表している。
【0035】
以下に動作をS1〜S12までの段階に分けて、それぞれ図3の(a)〜(r)に対応させて説明する。
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続したまま、メインカウンタ11(図1)をγ=3の状態で、サブカウンタをχ=0にリセットして制御を開始する。
この状態では、現用系選択信号Sr=3、予備系選択信号Sp=3(χ=0)なので(c)、(d)となる。F1、F2はH、F3、F4はLを示している。
【0036】
S2.制御部15(図1)が、γ=3のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=3、Sp=4になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0037】
S3.制御部15(図1)が、γ=3、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=3、Sp=2になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0038】
S4.制御部15(図1)が、γ=3のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=2にする。
Sr=3、Sp=5になる。その結果セレクタA2の出力は2Td遅れて(g)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0039】
S5.制御部15(図1)が、γ=3、χ=2のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=3、Sp=1になる。その結果セレクタA2の出力は2Td進んで(h)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
【0040】
S6.制御部15(図1)が、γ=3のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=3にする。
Sr=3、Sp=6になる。その結果セレクタA2の出力は3Td遅れて(i)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化を検出する。
【0041】
S7.制御部15(図1)が、γ=3、χ=3のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=3、Sp=0になる。その結果セレクタA2の出力は3Td進んで(j)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化を検出する。制御部15(図1)はこのときのサブカウント値χ1(=3)を記憶する。同時にSp=0になり、この点が限界値であることを認識する。
【0042】
S8.制御部15(図1)は、限界値を認識したとき、サブカウント値χ1(=3)のまま、プラス・マイナス演算器14を+にする。その結果セレクタA2の出力は(k)になる。この状態は(i)の状態と等しい。
【0043】
S9.制御部15(図1)は、プラス・マイナス演算器14を+の状態に維持したまま、サブカウンタをχ=4にする。この状態は(l)である。
S10.同様にして、制御部15(図1)は、プラス・マイナス演算器14を+の状態に維持したまま、サブカウンタをχ=5にする。この状態は(m)である。
S11.同様にして、サブカウンタをχ=6、7、8とすると、χ=8で位相関係が変わる(F3とF2の出力データが異なる。)。制御部15(図1)は、このときのχ2=8を記憶する。
【0044】
S12.制御部15(図1)は、χ1、χ2より、β=(χ2−χ1)=5を求め、このβにより、サブカウント値をχ=5にセットする。そして、判定信号Ssをデータ出力制御部23(図2)へ転送する。データ出力制御部23(図2)は、内部に備えるビット制御回路29(図2)が、この判定信号Ssを受け入れたとき現用系データをセレクタA1の出力からセレクタA2の出力へ切り替える。同時に制御部15(図1)は、切替スイッチ13をBに切り替えてセレクタA1とセレクタA2を交換する。そのとき、メインカウンタ11のカウント値にサブカウンタ12のカウント値χ=5を加算してγ=8にする。その後サブカウンタ12をリセットしてカウント値χ=0にする。その状態を(q)、(r)に表す。この状態で現用系セレクタと予備系セレクタは、相互に交換されている。以後制御部15(図1)は、サブカウント値χを変化させ、セレクタA1の位相を変動させながら入力データの位相変化を監視する。
【0045】
以上の動作は、メインカウント値γが0に近づく方向に寄りすぎて、セレクタA1による位相同期調整ができなくなったときの制御動作に限定して説明した。メインカウント値γがnに近づく方向に寄りすぎて、セレクタA1による位相同期調整ができなくなる場合も想定できるが、全く同様の動作で対処できるので説明を割愛する。
【0046】
〈具体例1の効果〉
以上説明したように、上記ビット位相同期回路は、本発明によるビット位相制御装置1を備えることによって、位相同期確立に要する制御時間が短縮される。その結果、位相同期を確立するまでの間、廃棄されるデータ量を減少させることが可能になる。
【0047】
〈具体例2〉
上記のように、本発明によるビット位相制御装置は、上記可変位相遅延部の遅延量の初期値が、メインカウント値γによって設定された後動作を開始する。この初期値は、通常全遅延量のほぼ中心値に設定される。以上の設定は、送られてくるデータの信号波形が正常であることを前提にして成り立っている。
ところが、伝送系の環境変化等によって、信号波形が正常に維持されない場合も起こり得る。特に信号波形のデューティ比に関して、最大10%前後の劣化は、通常起こり得る。本具体例の目的は、上記遅延量の初期値をデューティ比の劣化に合わせて初期値補正制御を実施することである。又、デューティ比劣化のない正常なデータに対しても、この初期値補正制御を実施することによってより一層確実なビット位相制御を行うことができる。
【0048】
この目的を達成するために具体例2によるビット位相制御装置は、以下に記す初期値補正制御を行う。
本具体例によるビット位相制御装置は、メインカウント値γによって全遅延量のほぼ中心値が初期値として設定される。次に、本装置の内部に配置されている制御部は、メインカウント値γを中心にして現用系データに対して、所定の量(以下一例として1に限定して説明する)予備系データの遅延量を交互にγ+1と、γ−1に切り替える。制御部は、このとき現用系データに対する予備系データの位相変化を監視する。もし位相変化が検出できなければ、メインカウント値γを変更することなく、初期値補正制御を終了する。もし位相変化を検出したときは、メインカウント値γを1増加する。
【0049】
再度、上記と同様に1増加された後のメインカウント値γを中心にして現用系データに対する予備系データの遅延量を交互にγ+1と、γ−1に切り替える。このとき、現用系データに対する予備系データの位相を監視する。もし位相変化を検出できなければ、補正制御を終了する。もし位相変化を検出したときは、メインカウント値γを再度1増加する。以下上記と同様の動作を繰り返す。現用系データに対する予備系データの位相変化を検出できなくなったとき初期値補正制御を終了する。
【0050】
ここで具体例1の動作を振り返ってみる。
具体例1では、位相変化を検出するために、予備系データの遅延量を交互にγ+1と、γ−1、γ+2と、γ−2、γ+3と、γ−3、…と、変化させて位相変化を検出するまで続けた。この動作の差異がなぜ必要とされるかについては、動作の説明の最後のところで図を用いて詳細に説明する。
【0051】
以下に、図を用いて初期値補正制御の詳細について説明する。
前提条件として以下の条件を定める。
即ち、遅延線DLY−1〜DLY−n(図2)の段数をn=16とし、その各々の遅延時間tdは等しく、5td=T(データ1個の時間長)とする。又、クロックCLK(図2)の1周期は、Tに等しくフリップフロップF1〜F4(図2)は、クロックCLKの立上がり部分でラッチするものとする。更に、初期状態では、セレクタA1が現用系セレクタとして選択されているものとする。
尚、本発明によるビット位相制御装置によって制御されるビット位相同期回路の動作は、上記特開平9−247133号と全く同様とする。以上の条件は具体例1と同様である。
【0052】
図5は、初期値補正制御の動作説明図(その1)である。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。理解を容易にするためにデータ信号を、HighレベルとLowレベルを繰り返すパルス信号に置き換えて表している(排他的論理和回路EO−1〜EO−3によって位相差を検出しているので、この置き換えが可能になる)。(d)はセレクタA2の出力を表している。
【0053】
(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(g)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(g)は、同一時間軸上に表されている。
図5の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
図5は、初期値γ=8のとき、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)がクロックCLK−0の立上がり時点と一致している場合を表している(c)。
図の上から順を追って初期値補正制御の動作について説明する。
【0054】
以下に動作をS1〜S12までの段階に分けて、それぞれ図の(a)〜(g)に対応させて説明する。
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心が一致した状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心が一致した状態(d)となる。排他的論理和回路EO−1〜EO−3(図1)は、フリップフロップF1(図1)、F2(図1)、及び、F3(図1)、F4(図1)の出力を監視してその変化を検出する。F1、F2の測定点はCLK−0の立上がり部分であり、F3、F4の測定点はCLK+1の立上がり部分になる。尚参考までに、CLK−1の立上がり部分を表すF0を示した。F0の仮想測定点は、F1(図1)、F2(図1)の入力である。それぞれ、図上にH(high)、L(low)として示した。
【0055】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S4.γ=8を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=8のまま具体例1の動作へ移行する。
【0056】
図6は、初期値補正制御の動作説明図(その2)である。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(g)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(g)は、同一時間軸上に表されている。図6の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0057】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−1)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−1)進んだ状態(d)となる。
【0058】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S4.γ=8を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=8のまま具体例1の動作へ移行する。
【0059】
図7は、初期値補正制御の動作説明図(その3)である。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0060】
(g)は、メインカウント値γを1増加してγ=9に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。
(h)と(i)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(j)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(j)は、同一時間軸上に表されている。図7の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0061】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−2)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−2)進んだ状態(d)となる。
【0062】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化する。
S4.制御部15(図1)は、メインカウント値を1増加してγ=9にする(g)。
【0063】
S5.制御部15(図1)が、γ=9のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=9、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td遅れて(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S6.制御部15(図1)が、γ=9、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=9、Sp=8になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td進んで(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S7.γ=9を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=9のまま具体例1の動作へ移行する。
【0064】
図8は、初期値補正制御の動作説明図(その4)である。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0065】
(g)は、メインカウント値γを1増加してγ=9に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。
(h)と(i)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(j)は、メインカウント値γを更に1増加してγ=10に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。(k)と(l)は、メインカウント値γを10に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(m)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(j)は、同一時間軸上に表されている。図8の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0066】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−3)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−3)進んだ状態(d)となる。
【0067】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化する。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化しない。
S4.制御部15(図1)は、メインカウント値を1増加してγ=9にする(g)。
【0068】
S5.制御部15(図1)が、γ=9のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=9、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td遅れて(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S6.制御部15(図1)が、γ=9、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=9、Sp=8になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td進んで(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり(g)と比較して変化する。
S7.制御部15(図1)は、メインカウント値を更に1増加してγ=10にする(j)。
【0069】
S8.制御部15(図1)が、γ=10のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=10、Sp=11になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td遅れて(k)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S9.制御部15(図1)が、γ=10、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=10、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td進んで(l)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(j)と比較して変化なし。
S10.γ=10を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=10のまま具体例1の動作へ移行する。
【0070】
図9は、初期値補正制御の動作説明図(その5)である。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(g)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(g)は、同一時間軸上に表されている。図9の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0071】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−4)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−4)進んだ状態(d)となる。
【0072】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化なし。
S4.γ=8を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=8のまま具体例1の動作へ移行する。
【0073】
以上初期値をγ=8に設定した場合において、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)がクロックCLK−0の立上がり時点と一致している場合(α=0に相当する)、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)がクロックCLK−0の立上がり時点よりα(α=−1、α=−2、α=−3、α=−4)進んでいる場合について説明した。
ここでクロックCLK−0、クロックCLK−1、クロックCLK−2、は連続して送られて来るクロックパルスであり、前提条件から、その繰り返し周期はγ=5に相当する。従って、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)とクロックCLK−0の立上がり時点の全ての位相差は、上記α=0からα=−4の、いずれかの状態に等しい。例えばα=−6の状態は、比較するクロックパルスをCLK−1に変更することによってα=−1の状態と等しくなる。
【0074】
即ち、上記のように、初期値は、メインカウント値γを中心にした現用系データに対して、予備系データの位相差を交互にγ+1と、γ−1に切り替えて、位相変化が検出されなくなるまでカウント値γを段階的に増加させることによって補正される。
以上で、デューティ比劣化のない正常なデータに対する初期値補正制御についての説明を終了したので、次にデューティ比が劣化しているデータに対する初期値補正制御について説明する。
【0075】
図10は、初期値補正制御の動作説明図(その6)である。
次にデューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。
【0076】
横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データ8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)はセレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(g)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(g)は、同一時間軸上に表されている。図10の上から順を追って位相制御装置の制御動作について説明する。
【0077】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−0.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−0.5)進んだ状態(d)となる。
【0078】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S4.γ=8を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=8のまま具体例1の動作へ移行する。
【0079】
図11は、初期値補正制御の動作説明図(その7)である。
デューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)は、セレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0080】
(g)は、メインカウント値γを1増加してγ=9に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。
(h)と(i)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(j)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(j)は、同一時間軸上に表されている。図11の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0081】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−1.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−1.5)進んだ状態(d)となる。
【0082】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化なし。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Lとなり変化する。
S4.制御部15(図1)は、メインカウント値を1増加してγ=9にする(g)。
【0083】
S5.制御部15(図1)が、γ=9のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=9、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td遅れて(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S6.制御部15(図1)が、γ=9、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=9、Sp=8になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td進んで(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S7.γ=9を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=9のまま具体例1の動作へ移行する。
【0084】
図12は、初期値補正制御の動作説明図(その8)である。
デューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
【0085】
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)は、セレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0086】
(g)は、メインカウント値γを1増加してγ=9に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。
(h)と(i)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(j)は、メインカウント値γを更に1増加してγ=10に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。(k)と(l)は、メインカウント値γを10に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(m)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(j)は、同一時間軸上に表されている。図12の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0087】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−2.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−2.5)進んだ状態(d)となる。
【0088】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化する。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化する
S4.制御部15(図1)は、メインカウント値を1増加してγ=9にする(g)。
【0089】
S5.制御部15(図1)が、γ=9のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=9、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td遅れて(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化なし。
S6.制御部15(図1)が、γ=9、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=9、Sp=8になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td進んで(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、となり(g)と比較して変化する。
S7.制御部15(図1)は、メインカウント値を更に1増加してγ=10にする(j)。
【0090】
S8.制御部15(図1)が、γ=10のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=10、Sp=11になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td遅れて(k)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(j)と比較して変化なし。
S9.制御部15(図1)が、γ=10、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=10、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td進んで(l)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(j)と比較して変化なし。
S10.γ=10を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=10のまま具体例1の動作へ移行する。
【0091】
図13は、初期値補正制御の動作説明図(その9)である。
デューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
【0092】
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)は、セレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0093】
(g)は、メインカウント値γを1増加してγ=9に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。
(h)と(i)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(j)は、メインカウント値γを更に1増加してγ=10に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。(k)と(l)は、メインカウント値γを10に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(m)は、メインカウント値γを更に1増加してγ=11に初期値補正制御したときのセレクタA1の出力を表している。(n)と(o)は、メインカウント値γを11に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(p)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(p)は、同一時間軸上に表されている。図13の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0094】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−3.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−3.5)進んだ状態(d)となる。
【0095】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Lとなり変化する。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化しない。
S4.制御部15(図1)は、メインカウント値を1増加してγ=9にする(g)。
【0096】
S5.制御部15(図1)が、γ=9のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=9、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td遅れて(h)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(g)と比較して変化する。
S6.制御部15(図1)が、γ=9、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=9、Sp=8になる。その結果セレクタA2の出力は(g)と比較して1Td進んで(i)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり(g)と比較して変化する。
S7.制御部15(図1)は、メインカウント値を更に1増加してγ=10にする(j)。
【0097】
S8.制御部15(図1)が、γ=10のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=10、Sp=11になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td遅れて(k)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(j)と比較して変化なし。
S9.制御部15(図1)が、γ=10、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=10、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は(j)と比較して1Td進んで(l)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Lとなり(j)と比較して変化する。
【0098】
S10.制御部15(図1)は、メインカウント値を更に1増加してγ=11にする(m)。
S11.制御部15(図1)が、γ=11のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=11、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(m)と比較して1Td遅れて(n)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(m)と比較して変化なし。
【0099】
S12.制御部15(図1)が、γ=11、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=11、Sp=10になる。その結果セレクタA2の出力は(m)と比較して1Td進んで(o)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり(m)と比較して変化なし。
S13.γ=11を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=11のまま具体例1の動作へ移行する。
【0100】
図14は、初期値補正制御の動作説明図(その10)である。
デューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
【0101】
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)は、セレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。(g)は、初期値補正制御終了時のセレクタA1の出力を表している。(a)〜(g)は、同一時間軸上に表されている。図14の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。
【0102】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−4.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−4.5)進んだ状態(d)となる。
【0103】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化なし。S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。
Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でもF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化なし。
S4.γ=8を中心にして遅延量を±1変化させても位相変化が検出されなかったので制御部15(図1)は、初期値補正の必要なしと判断して、γ=8のまま具体例1の動作へ移行する。
【0104】
以上初期値をγ=8に設定した場合において、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)がクロックCLK−0の立上がり時点よりα(α=−0.5、α=−1.5、α=−2.5、α=−3.5、α=−4.5)進んでいる場合について説明した。
【0105】
ここでクロックCLK−0、クロックCLK−1、クロックCLK−2、は連続して送られて来るクロックパルスであり、前提条件から、その繰り返し周期はγ=5に相当する。従って、セレクタA1の出力の中点(図上に○で示した位置)とクロックCLK−0の立上がり時点の全ての位相差は、上記α=−0.5からα=−4.5のいずれかの状態に等しい。例えばα=−5.5の状態は、比較するクロックパルスをCLK−1に変更することによってα=−0.5の状態と等しくなる。
【0106】
即ち、上記のように、初期値は、メインカウント値γを中心にした現用系データに対して、予備系データの位相差を交互にγ+1と、γ−1に切り替えて、位相変化が検出されなくなるまでカウント値γを段階的に増加させることによって補正される。
尚、以上の説明では、サブカウント値の変化量とメインカウント値γの変化量をそれぞれ1に固定して説明したが、この値は、遅延線の遅延時間の大小等によって任意に変更することが可能である。
【0107】
尚、具体例2の冒頭に記した、具体例1の動作と具体例2の動作の差異の必要性について以下に説明する。
図15は、初期値補正制御の動作説明図(その11)である。
デューティ比が劣化しているデータの場合を表している。
前提条件として、データの幅が、遅延線1個分に相当する時間劣化しているものとする。その劣化部分は、(c)の斜線部で表されている。
デューティ比劣化のない正常なデータの場合を表している。
【0108】
(a)は、クロックCLK(図2)の連続状態を示している。(b)は、メインカウント値γを表している。横軸上の数値γはそのまま、従属接続された遅延線(図2)個々の接続部から出力されるデータD0〜Dnに相当する。γの初期値は8に設定される。即ちセレクタA1は、データD8を受け入れる。(c)は、セレクタA1の出力を表している。(d)は、セレクタA2の出力を表している。(e)と(f)は、メインカウント値γを8に固定したまま、サブカウント値χを1にしてプラス・マイナス演算器14(図1)が予備系選択信号Spを変化させたときのセレクタA2の出力を表している。
【0109】
(g)は、補正制御されたセレクタA1の出力を表している。(a)〜(j)は、同一時間軸上に表されている。図12の上から順を追ってビット位相制御装置の制御動作について説明する。以下の動作は、具体例1の制御方法によって進行するものとする。
【0110】
S1.制御部15(図1)が、切替スイッチ13(図1)をaに接続し、メインカウンタ11(図1)をγ=8に、サブカウンタをχ=0にリセットして初期値を設定する。
この状態では、現用系選択信号Sr=8、予備系選択信号Sp=8(χ=0)となる。このとき、セレクタA1の出力の位相が、クロックパルス(CLK−0)の立上がり部分よりも、データ出力の中心がα(=−2.5)進んだ状態であったとする(c)。従って、セレクタA2出力の位相もクロックパルス(CLK−0)の立上がり部分と、データ出力の中心がα(=−2.5)進んだ状態(d)となる。
【0111】
S2.制御部15(図1)が、γ=8のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を+にして、サブカウンタをχ=1にする。
Sr=8、Sp=9になる。その結果セレクタA2の出力は1Td遅れて(e)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれH、Lとなり変化する。制御部15(図1)は、このときのサブカウント値χ1(=+1)を記憶する。
S3.制御部15(図1)が、γ=8、χ=1のまま、プラス・マイナス演算器14(図1)を−にする。Sr=8、Sp=7になる。その結果セレクタA2の出力は1Td進んで(f)になる。この状態でF2、F4の出力は、それぞれL、Hとなり変化する。制御部15(図1)は、このときのサブカウント値χ2(=−1)を記憶する。
【0112】
S4.制御部15(図1)は、上記サブカウント値χ1とサブカウント値χ2からα0=(1/2)(χ2−χ1)を求める。サブカウント値χ2(=−1)とサブカウント値χ1(=+1)からα0=0を得る。即ち(g)となる。
以上の結果からセレクタA1の出力(a)の初期値は、全く移動せず、制御不能の状態におちいっていることが分る。
一方、具体例2の制御方法によれば、図12で説明したように、この例と全く同じ状態でも初期値補正制御が可能になる。
【0113】
上記の説明では、カウント値γを1ずつ段階的に増加させることによって補正する制御方法に限定して説明したが、カウント値γを所定の方向に所定の値変化させればよい。
所定の方向というのは、カウント値γを増加させる方向に、或いはカウント値γを減少させる方向に変化させれば良い。また、所定の値とは、カウント値γの変化量として予め定めておいた単位数(通常1又は2)である。
【0114】
〈具体例2の効果〉
以上説明した初期値補正制御によって以下の効果を得る。
1.入力信号のデューティ比が劣化していても、入力信号と受信機器との間に正確な位相同期を確立できる。
2.入力信号のデューティ比が劣化していない場合においても、より安全な位相差でより正確な位相同期が確立される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビット位相制御装置のブロック図である。
【図2】ビット位相同期回路のブロック図である。
【図3】ビット位相制御装置の動作説明図(その1)である。
【図4】ビット位相制御装置の動作説明図(その2)である。
【図5】初期値補正制御の動作説明図(その1)である。
【図6】初期値補正制御の動作説明図(その2)である。
【図7】初期値補正制御の動作説明図(その3)である。
【図8】初期値補正制御の動作説明図(その4)である。
【図9】初期値補正制御の動作説明図(その5)である。
【図10】初期値補正制御の動作説明図(その6)である。
【図11】初期値補正制御の動作説明図(その7)である。
【図12】初期値補正制御の動作説明図(その8)である。
【図13】初期値補正制御の動作説明図(その9)である。
【図14】初期値補正制御の動作説明図(その10)である。
【図15】初期値補正制御の動作説明図(その11)である。
【符号の説明】
11 メインカウンタ
12 サブカウンタ
13 切替スイッチ
14 プラス・マイナス演算器
15 制御部

Claims (2)

  1. 入力データを一定時間で順次遅延させ、各遅延させた入力データを現用系データ及び予備系データとして選択出力可能な可変位相遅延部を制御して前記現用系データのいずれかをクロックに同期させて出力するためのビット位相制御装置であって、
    前記クロックに同期する現用系データを出力させるべく該データの選択を示す初期メインカウント値γを前記可変位相遅延部に供給するメインカウンタと、
    遅延量に対応して変化するサブカウント値xを出力するサブカウンタと、
    前記変化するサブカウント値xを受信する毎にカウント値γ±xを前記可変位相遅延部に供給して前記予備系データの遅延量を指定するプラス・マイナス演算器と、
    前記サブカウント値xの変化による前記予備系データの両側エッジを検出し、検出された両側エッジ位置に基づいて前記クロックに同期する次の現用系データを選択するためのメインカウント値γを前記メインカウンタに設定する制御部とを備えるビット位相制御装置において、
    前記制御部は、前記メインカウンタに仮の初期メインカウント値γ’を設定すると共に前記サブカウンタに補正用サブカウント値x’を設定して前記プラス・マイナス演算器から補正用カウント値γ’±x’を出力させ、前記可変位相遅延部から前記仮の初期メインカウント値γ’に対応して選択出力された予備系データの両側エッジに対し前記補正用カウント値γ’±x’に対応して選択出力された予備系データの両側エッジが同一であると前記仮の初期メインカウント値γ’を前記初期カウント値γとして前記メインカウンタに設定し、
    前記選択出力された両予備系データの両側エッジが相違すると、前記メインカウンタに再度、異なる仮の初期メインカウント値γ’を設定して初期カウント値の設定動作を繰り返すことを特徴とするビット位相制御装置。
  2. 請求項1記載のビット位相制御装置において、
    前記制御部は、前記プラス・マイナス演算器の出力するカウント値γ+x又はγ−xのいずれかが前記可変位相遅延部のデータ選択の限界値と判定すると、該プラス・マイナス演算器を制御して非限界のカウント値のみを出力させることを特徴とするビット位相制御装置。
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