JP3545949B2 - 荷受台昇降装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貨物自動車の後部又は側部に装着され、荷物の積載や荷下ろしに用いられる荷受台昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる格納型で、手動操作併用型の荷受台昇降装置は、折り畳まれて車体の後方下部に格納されており、使用時には油圧シリンダを用いたスライド動作によって引き出される。次に、昇降動作用のアームの下降動作を利用して、折り畳まれた荷受台をある程度起立させる。このとき、一般にガイドローラと呼ばれる部材が荷受台を支えている。次に、作業者が荷受台を手動で起こして地面に倒伏させる。荷受台はメインプレートの上にサブプレートが裏返しで折り畳まれた形になっており、作業者はサブプレートを回動させて表向けに展開する。なお、サブプレートはトーションスプリング等により折り畳み方向に若干付勢されているが、展開されると自重で安定する。一方、格納時には、サブプレートを折り畳んだ状態の荷受台を、作業者がガイドローラに立て掛ける。次に、アームの上昇動作を利用して、立て掛けられた荷受台を寝かせた後、スライド動作によって格納位置まで荷受台を引き込む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の荷受台昇降装置では、作業者が荷受台を起立させてガイドローラに立て掛けるとき、サブプレートが自重によりトーションスプリングに抗して、メインプレートに対して開く方向に揺動する場合がある。このとき、揺動するサブプレートがガイドローラに当たると、サブプレートに傷が付くことがある。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、荷受台の起立時におけるサブプレートの揺動を防止する荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の荷受台昇降装置は、車体に取り付けられる固定側部材と、前記固定側部材によって水平方向へスライド可能に支持された支持基部と、前記支持基部を所定位置へスライドさせるスライド駆動機構と、前記支持基部によって支持され、昇降動作をする平行リンクを構成する2つのアームと、前記アームを駆動する昇降駆動機構と、前記アームの先端側に回動可能に接続されたメインプレートと、このメインプレートの先端側に回動可能に接続され、このメインプレート上に手動で折り畳み可能なサブプレートとからなり、当該サブプレートを折り畳んだ状態で全体として前記アーム上に折り畳み可能な荷受台と、前記メインプレート及び前記サブプレートの一方に設けられた係合部材と、他方に設けられた被係合部材とからなり、前記サブプレートが折り畳まれたとき相互に係合保持状態となり、前記サブプレートが展開されるとき当該係合保持状態を手動解除可能である固縛装置と、前記サブプレートの一側面に設けられたとってとを備えたものである(請求項1)。
上記のように構成された荷受台昇降装置では、とってを握ってサブプレートが折り畳まれたとき、固縛装置の係合部と被係合部とが互いに係合保持状態となり、サブプレートはメインプレート上に折り畳まれた状態に保持される。また、その状態からとってを握って、荷受台を回動させることができる。
なお、とっては、サブプレートの基部側に設けられていてもよい(請求項2)。この場合、サブプレートを折り畳んだ状態において、とっては、荷受台の回動先端側に来る。
【0005】
また、本発明の荷受台昇降装置は、車体に取り付けられる固定側部材と、前記固定側部材によって水平方向へスライド可能に支持された支持基部と、前記支持基部を所定位置へスライドさせるスライド駆動機構と、前記支持基部によって支持され、昇降動作をする平行リンクを構成する2つのアームと、前記アームを駆動する昇降駆動機構と、前記アームの先端側に回動可能に接続されたメインプレートと、このメインプレートの先端側に回動可能に接続され、このメインプレート上に手動で折り畳み可能なサブプレートとからなり、当該サブプレートを折り畳んだ状態で全体として前記アーム上に折り畳み可能な荷受台と、前記荷受台の一方の側部に配置され、前記メインプレート及び前記サブプレートの一方に設けられた係合部材と、他方に設けられた被係合部材とからなり、前記サブプレートが折り畳まれたとき相互に係合保持状態となり、前記サブプレートが展開されるとき当該係合保持状態を手動解除可能である固縛装置と、前記固縛装置の近傍の前記サブプレートに設けられたとってとを備えたものであってもよい(請求項3)。
このように構成された荷受台昇降装置では、とってを握ってサブプレートが折り畳まれたとき、固縛装置の係合部と被係合部とが互いに係合保持状態となり、サブプレートはメインプレート上に折り畳まれた状態に保持される。また、とっては、固縛装置の近傍にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図22は、本発明の一実施形態による荷受台昇降装置に関する図であり、図1は、貨物自動車の車体101の後部における荷箱102の下方に取り付けた荷受台昇降装置1を示す側面図である。
まず図1において、後輪103より後方の、シャーシ104の両側面の各々には、アングル状の取付部材2が垂直に取り付けられ、この取付部材2に対して、I形鋼からなるスライドレール3が水平に固定されている。スライドレール3は、荷受台昇降装置1の後述する可動側部材を支持するとともに、摺動する可動側部材を水平に案内する。これら可動側部材の支持基部となっているのが、第1支持板4、厚肉(25mm程度)の第2支持板5、及び、矩形筒状の連結パイプ6である。
【0007】
スライドレール3に隣接して配置された第1支持板4は、摺動部材(後述のサイドパッド69(図16及び図17の(b)))を介してスライドレール3と係合し、スライドレール3に沿って水平方向にスライド可能である。車体の左右(両側面)にそれぞれ設けられる第1支持板4は、車体の幅方向に水平配置された連結パイプ6の外周部に溶接されている。また、第2支持板5は、連結パイプ6に外挿され、第1支持板4より車体幅方向外側の所定位置で連結パイプ6の外周に溶接されている。従って、左右一対の第1支持板4及び第2支持板5並びに連結パイプ6は、構造的に一体の支持基部を構成している。
【0008】
荷受台昇降装置1の操作スイッチ、制御回路等を収めたスイッチボックス7は車体の左側にのみ設けられている。このスイッチボックス7は、第2支持板5に固定されており、車両幅方向外側に最も突出している。カバー7aを手前に開くと、キースイッチS1と、昇降スイッチS2とが配置されている。キースイッチS1は、「OFF」、「ON」及び「ST」の3ポジションを有し、「OFF」及び「ON」ポジションでは手を離してもその位置にキーを保持することができるが、「ST」ポジションでは、手を離すとキーは「ON」に戻る。昇降スイッチS2は、中立位置自動復帰型のトグルスイッチであり、中立位置を挟んで「上昇」と「下降」の3ポジションを有する。昇降スイッチS2は、リトラクタ式のケーブルが接続されており、スイッチボックス7から引っぱり出して操作することもできる。
一方、油圧ポンプやバルブ等を収めたパワーユニットボックス8(破線で示す。)は車体の右側にのみ設けられており、右側面の第2支持板5に固定されている。
【0009】
図2は、図1から上記スイッチボックス7及びパワーユニットボックス8の図示を省略して、荷受台昇降装置1のスライド機構及び昇降機構に関する構造を中心に示した図である。また、図3〜図6は、図2の状態の荷受台昇降装置1を引き出して展開する過程を順に示した側面図である。
図2において、ほぼ直線状の下アーム9は、左端部に設けられたピン10を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン10は、連結パイプ6に固定された支持部11に取り付けられている。下アーム9の右端部は、ピン12を介してリンク体(垂直リンク体)13と接続されている。
【0010】
上記下アーム9と共に平行リンクを構成する上アーム14は、左端部に設けられたピン15を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン15は、縦長形状の補助リンク16に取り付けられている。上アーム14の右端部は、ピン17を介してリンク体13と接続されている。なお、上アーム14は、長刀の如き側面形状の根幹部14aと、略L字形状の先端部14bとによって構成されている。この根幹部14aは、第2支持板5を挟んで一対設けられた同一形状の鋼板からなり、その一対の鋼板間に昇降駆動機構としての油圧シリンダ(以下、リフトシリンダという。)20が配置されている。
【0011】
上記補助リンク16は、ピン18を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン18は、第2支持板5に取り付けられている。補助リンク16の下部左端側には、ボルト及びナット等からなるストッパ19が取り付けられており、このストッパ19の頭部(ボルトの頭部)が第2支持板5に当接することで、補助リンク16の時計回り方向への回動が制限される。リフトシリンダ20の両端部は、ピン21及び22によって、それぞれ補助リンク16及び上アーム14に接続されている。左右一対の上アーム14は、先端部14bの部分で、車体の幅方向に水平配置された連結パイプ23によって相互に連結されている。また、上アーム14の根幹部14aの上端面には短いアングル部材24が溶接され、このアングル部材24に、ボルト、ナット等により構成されたストッパ25が取り付けられている。このストッパ25の頭部が第2支持板5に当接することで、上アーム14が回動許容範囲を超えて反時計回り方向に回動することを防止している。
【0012】
上記リンク体13には、ピン26を中心に回動するヒンジ27が取り付けられている。このヒンジ27は、他のピン28を介して荷受台(プラットホーム)29とも接続されており、2箇所の回動支点を有する二重蝶番である。従って、荷受台29はピン28を中心に回動可能であるとともに、ピン26をも中心として回動可能である。
荷受台29は、メインプレート30と、サブプレート31とによって構成されている。メインプレート30とサブプレート31とは、前述のヒンジ27と同様の二重蝶番であるヒンジ32によって相互に接続されている。
【0013】
図9は、展開した状態(図7参照)の荷受台29を裏面側(荷物を載せる面を表面とする。)から見た図である。図2又は図9において、メインプレート30の裏面側には、「コ」の字状のガイド33がその開口側を内方に向けて、スライドレール3に対応して一対設けられている(後掲の図11も参照。)。これら一対のガイド33は、荷受台昇降装置1の格納時に、対応するスライドレール3に係合して荷受台29を支持するとともに、メインプレート30の補強材としての機能も有する。また、メインプレート30の裏面側には弾性部材(ゴム等)からなる当て板34が一対設けられている。この当て板34は荷受台29の展開時に地面に当接してクッションとなり(図5,図6参照)、荷受台29を安定させる。同様に、サブプレート31の裏面にも一対の当て板35が設けられている。また、サブプレート31の一側面には、とって49が取り付けられている。
【0014】
次に、図4において、下アーム9の上端面から若干上方に突出してスイッチ取付板36が設けられており、このスイッチ取付板36に検知スイッチ37が取付られている。検知スイッチ37を動作させるドグ38はサブプレート31の当て板35に隣接して設けられている。折り畳まれた荷受台29が上アーム14の上に重ねられたとき(図3参照)、当て板35はスイッチ取付板36に当接してストッパとなり、ドグ38は検知スイッチ37を動作させる。
【0015】
また、左右のスライドレール3間にはアングル39が車体幅方向に水平に取り付けられ、このアングル39の中央部に取付板40が固定されている。取付板40には、ピン41を介して、スライド駆動機構としての油圧シリンダ(以下、スライドシリンダという。)42のピストンロッド42aの先端が支持されている。スライドシリンダ42のシリンダ部を内部に収めたシリンダ支持部材43は、車体の前後方向に水平配置され、連結パイプ6と交差する位置で、当該連結パイプ6に溶接されている。
【0016】
上記シリンダ支持部材43の右端部には複数の孔44aを有するロック部材44が取り付けられている。また、三角形状のガイドローラ支持部材45は、シリンダ支持部材43の右端に取り付けられたピン46を中心に鉛直平面に沿って回動可能であり、右端側に設けられたピン47によりガイドローラ48を回転自在に支持している。上記ロック部材44の孔44aは、ガイドローラ支持部材45の左端側に設けた孔45aがピン46を中心に描く円周軌道上に形成されている。従って、ガイドローラ支持部材45の孔45aを任意の孔44aと合わせてボルト締めすることにより、ガイドローラ支持部材45を所望の取付角度で取り付けることができる。
【0017】
上記スライドシリンダ42が油圧の給排に伴って伸縮動作をすることにより、連結パイプ6がピン41に対してスライド動作する。従って、連結パイプ6に直接又は間接に支持された全ての部材は可動側部材となる。すなわち、取付部材2、スライドレール3、アングル39、取付板40、及び、ピン41が荷受台昇降装置1の固定側部材であり、この固定側部材との連結の役目をするピストンロッド42aを含む残りの部材が可動側部材である。
荷受台昇降装置1は車両本体とは別個に製作され、完成された車両のシャーシ104に対して取付部材2を固定することにより、1ユニットとして取り付けられる。従って、取付が簡単である。
【0018】
図14は、折り畳まれて格納された荷受台昇降装置1を車体後方から見た図である。リンク体13は、その後端面が略垂直で車体幅方向に連続しており、リヤバンパとして兼用することができる。従って、別途リヤバンパを設ける必要がなく、リヤバンパ取付部材も不要である。また、別途リヤバンパを設ける必要がないことから、荷受台29の車体前後方向への寸法を十分に確保することができる。さらに、リンク体13は、車体幅方向に連続した部材であることにより、上アーム14及び下アーム9における左右各一対間のねじれを防止する効果がある。なお、もう少し上にリヤバンパを設けたい場合には、図2に示すヒンジ27より上のメインプレート30の後端面30aに金属板を取り付けてリヤバンパとすることも可能である。
【0019】
次に、荷受台29の折り畳み部の細部構造について説明する。図9に示すように、メインプレート30とサブプレート31とを接続する一対のヒンジ32には、それぞれトーションバー50が装着されている。図10は、接続部分の側面図であり、メインプレート30に対してサブプレート31が直立した状態を示している。図11は、折り畳んだ状態の荷受台29のヒンジ32周辺を後方(例えば図5の後方)から見た図である。図11に示すように、トーションバー50は1つのヒンジ32に対して4本装着され、上2本は各々の折り曲げた一端がサブプレート31に固定され、折り曲げた他端がヒンジ32の中央部より若干上に挿入されて固定されている。また、下2本は各々の折り曲げた一端がメインプレート30に固定され、折り曲げた他端がヒンジ32の中央部より若干下に挿入されて固定されている。
【0020】
上記トーションバー50は、図10に示すサブプレート31の直立状態において装着される。すなわち、この状態でトーションバー50は自由である。従って、この状態からサブプレート31を回動させるとヒンジ32の背面に対して4本のトーションバー50から均等に力がかかる。この結果、ヒンジ32は常に、サブプレート31の回動角度量の半分に相当する回動を伴ってサブプレート31に追随する。例えば、図10に示す状態では、折り畳み状態又は展開状態からのサブプレート31の回動量は90度であり、これに対してヒンジ32の回動量は45度である。
【0021】
仮に、上記のようなトーションバー50を用いなかったとすれば、ヒンジ32の一方のピンのみを中心としてサブプレート31が回動するため、いわゆるヒンジ32の腰折れを生じて、円滑な回動が妨げられる。そこで、このようにトーションバー50を用いることにより、腰折れを防止して、サイドプレート31を円滑に回動させることができる。
なお、図9に示す展開状態及び図11に示す折り畳み状態では共に、トーションバー50は最大にねじられた状態にあり、サブプレート31はメインプレート30に対して図10に示す状態に戻る方向へ付勢されている。従って、荷受台29の折り畳み状態又は展開状態からサブプレート31を起立させるために要する力を軽減することができる。
【0022】
次に、リンク体13とメインプレート30との接続部分の細部構造について説明する。図12及び図13は、当該接続部分の断面図(上アーム14及び下アーム9は想像線で示す。)である。図において、トーションスプリング51は、ヒンジ27のピン28に巻き付ける形で設けられている(図9も参照)。トーションスプリング51の一端はメインプレート30に、他端はヒンジ27にそれぞれ固定されている。メインプレート30がヒンジ27に対して90度の位置関係にある荷受台29の折り畳み状態(図2及び図3に示す状態)においては、トーションスプリング51は自由な状態である。
【0023】
上記折り畳み状態から荷受台29が持ち上げられると、メインプレート30はヒンジ27のピン26又はピン28を中心として回動する可能性がある。しかし、ピン26を中心とした回動が何も制限されていないのに対して、ピン28を中心とする回動はトーションスプリング51の負荷を受けるため制限される。この結果、図12に示す直立状態にメインプレート30が持ち上げられるまでは、メインプレート30の回動に追随してヒンジ27がピン26を中心に回動する。従って、いわゆるヒンジの腰折れは発生せず、メインプレート30を円滑に回動させることができる。
【0024】
メインプレート30が直立すると、ヒンジ27がリンク体13に当たってそれ以上の回動が制限される。従って、これ以降、メインプレート30はピン28を中心にトーションスプリング51を蓄勢しながら回動する。図13に示すメインプレート30の展開状態において、トーションスプリング51は最大ねじり状態にある。
逆に、展開状態からメインプレート30を畳み込む場合には、直立状態までメインプレート30はピン28を中心として回動し、直立状態から折り畳み状態まではピン26を中心として回動する。
【0025】
次に、荷受台昇降装置1の油圧系統について説明する。図15は、油圧回路図である。油圧回路は、一対のリフトシリンダ20、スライドシリンダ42、モータ80によって駆動される油圧ポンプ81、2位置弁である4個の電磁弁82〜85、同じ動作をする一対の電磁弁86、リザーバタンク87、減圧弁88その他図示の要素によって構成されている。リフトシリンダ20及びスライドシリンダ42を除く要素は、主としてパワーユニットボックス8(図1)に収納されている。油圧回路の動作は、スライドシリンダ42の伸び(引き出し)・縮み(格納)、リフトシリンダ20の伸び(上昇)・縮み(下降)に対応した4モードである。
【0026】
まず、スライドシリンダ42を伸長させるときは、油圧ポンプ81が駆動されるとともに、全ての電磁弁82〜86が非励磁状態となる。これにより、スライドシリンダ42のピストンロッド側室42rに油圧が供給されるとともに、電磁弁84を介してピストンヘッド側室42hにも油圧が供給される。ここで、ピストンロッド側室42rに供給される油圧Pと、ピストンヘッド側室42hに供給される油圧Pとは、相等しい。しかし、ピストンロッド42aの有無により、ピストンロッド側室42rのピストン受圧面積Srはピストンヘッド側室42hのピストン受圧面積Shより小さい。従って、ピストンヘッドの両面にかかる駆動力にはP・(Sh−Sr)の差が生じ、これがピストンロッド42aに対する伸長方向への駆動力となる。
【0027】
また、上記のようにして受圧面積差に基づく駆動力を受けることにより、スライドシリンダ42の伸長に対して過度の抵抗が加わった場合にも、ピストンロッド42aには過剰な圧縮力が加わることがない。従って、ピストンロッド42aの座屈を確実に防止することができる。
なお、電磁弁83が非励磁状態であるので、内部の逆止弁により、リフトシリンダ20への油圧は供給されない。
【0028】
スライドシリンダ42を縮めるときは、油圧ポンプが駆動されるとともに、電磁弁84及び85のみが励磁される。従って、ピストンロッド側室42rにのみ油圧が供給され、ピストンヘッド側室42hの油液は、連通状態の電磁弁85を介してリザーバタンク87に戻される。これにより、ピストンロッド42aは、戻り方向の駆動力を受け、スライドシリンダ42が縮む。この場合の駆動力はほぼP・Srで表される。通常、SrはShの約1/2であるので、この駆動力P・Srは、前述の伸長時の駆動力P・(Sh−Sr)とほぼ等しい。従って、伸長時の速度と、収縮時の速度とは、略同一である。
このように、受圧面積差を利用してスライドシリンダ42を伸縮させる構成によれば、動作に関して必要な2個の電磁弁84及び85はいずれも2位置弁で足りるため、高価な3位置弁を用いる必要がなくなり、経済的である。
【0029】
一方、スライドシリンダ42の伸長動作後、リフトシリンダ20を伸長させるときは、油圧ポンプ81が駆動されるとともに、電磁弁83のみが励磁される。電磁弁83の励磁により、油圧が電磁弁83及び86を介してリフトシリンダ20に供給され、リフトシリンダ20が伸長する。なお、このとき、スライドシリンダ42には、引き続き油圧が供給されている。一方、リフトシリンダ20の伸長後、油圧ポンプ81を停止させても、電磁弁86の逆止作用によりリフトシリンダ20内の油液は戻らない。従って、リフトシリンダ20は、伸長状態に保持される。
また、リフトシリンダ20を収縮させるときは、油圧ポンプ81が停止で、電磁弁82及び86のみが励磁される。従って、リフトシリンダ20内の油液は、連通状態の電磁弁86から電磁弁83を経て、さらに連通状態の電磁弁82を通ってリザーバタンク87に戻される。
【0030】
次に、スライドロック装置について説明する。図1〜図7においては図面の簡略化のため図示を省略しているが、連結パイプ6の近傍に図16に示すスライドロック装置60が設けられている。図17の(a)は、スライドロック装置60の要部の水平断面図であり、(b)は垂直断面図である。
図16及び図17において、ロック棒61は、第2支持板5を貫通して、取付板62により第2支持板5に対して軸回りに回動自在に取り付けられている。ロック棒61の先端側には、圧縮ばね63を介して係合ピン64が軸方向に移動可能に取り付けられている。係合ピン64の先端はテーパ加工されており、このテーパ部64aを含む先端部がスライドレール3に設けられた格納位置孔3b(図3,図4参照)及び引き出し位置孔3a(図16及び図1,図2参照)に係合する。引き出し位置孔3aは、リヤオーバハング(後輪中心から車体後面までの距離)に応じて引き出し位置を調節可能とするため、複数箇所に設けられている。格納位置孔3bと引き出し位置孔3aとの間には、両端部がテーパ部68aとなっているロックスライドパッド68が取り付けられている。
【0031】
スライドレール3に面する第1支持板4には、摺動部材であるサイドパッド69が取り付けられている(図16及び図17の(b)参照)。このサイドパッド69が、スライドレール3に設けられたストッパ3c(図16)に当たる位置が引き出し位置となる。図16に示す位置に取り付けられたサイドパッド69がストッパ3cに当たるとき、係合ピン64は、図中の最も右の引き出し位置孔3aに係合する。サイドパッド69の取付位置は図示の位置から右方向にずらすことができるようになっており、リヤオーバハングに応じてサイドパッド69の取付位置をずらすことにより、中央の引き出し位置孔3a又は最も左の引き出し位置孔3aに係合ピン64を係合させることができる。
【0032】
上記ロック棒61にはつなぎ柄65を介してハンドル66がとりつけられている。ロック棒61及びハンドル66の回動範囲は、180度であり、図16及び図17は、ハンドル66が真下に下げられた状態を示している。引っ張りばね67の一端はハンドル66の一部に係止され、他端が取付板62に取り付けられている。従って、真下位置にあるハンドル66を回動させるには、この引っ張りばね67に抗してハンドル66を半時計回り方向に回動させる。このように回動させると、再び引っ張りばね67に付勢されてハンドル66が真上位置に保持される。ハンドル66が真上になると、係合ピン64のテーパ部64aの向きが図17の(a)とは逆になる(図の下側がテーパ部になる。)。従って、スライド動作が格納方向か引き出し方向かによってハンドル66を操作し、格納時には格納方向にテーパ部64aを向ける。また、引き出し時には引き出し方向にテーパ部64aを向ける。
【0033】
ハンドル66を引き出し位置又は格納位置にセットした後、スライド動作を開始させると、スライドロック装置60が第2支持板5等とともにスライドし始め、係合ピン64のテーパ部64aが押圧される。これにより、係合ピン64は圧縮ばね63を押し縮めながら引き出し位置孔3a又は格納位置孔3bを脱して、スライドロック装置60の移動を可能とする。係合ピン64はさらに、上記ロックスライドパッド68に乗り上げて摺動する。
【0034】
格納方向へのスライドの場合は、スライドシリンダ42(図1〜図7)の収縮動作エンドで係合ピン64が格納位置孔3bに係合する。一旦係合すると、テーパ部64aを引き出し方向に向けない限り、係合ピン64が自然に抜けることはない。従って、車両の走行中に、振動により荷受台昇降装置1の可動側部材が引き出されることを防止することができる。一方、引き出し方向へのスライドの場合は、サイドパッド69がストッパ3cに当接してスライド動作が停止され、係合ピン64が対応する引き出し位置孔3aに係合する。一旦係合すると、テーパ部64aを格納方向に向けない限り、係合ピン64が自然に抜けることはない。従って、坂道で車体が前下がりの状態で積み卸しする場合等に、引き出した可動側部材が重力で格納方向に移動することによる荷物の転倒等による危険を回避することができる。
【0035】
次に、荷受台29の固縛装置について説明する。荷受台29には折り畳んだときの状態を保持するための固縛装置が設けられている。図18は、荷受台29の部分のみを示した図であり、メインプレート30に雄側の係合部70が取り付けられ、サブプレート31に雌側の被係合部73が取り付けられている。荷受台29が折り畳まれる前の状態(図の(a))において、係合部70は、メインプレート30の上面から若干突出している。サブプレート31が折り畳まれた状態(図の(b))では、係合部70が被係合部73と相互に係合保持状態となり、サブプレート31はメインプレート30に保持される。
【0036】
図19は、固縛装置の詳細を示す断面図である。図において、係合部70は、取付座71と、先端がキノコ形のピン72とを備えている。雌側の被係合部73は、筐体74と、ピン72との係合片75と、圧縮ばね76と、一方のばね受け77と、他方のばね受け78と、このばね受け78と一体に取り付けられた押しボタン79(図9も参照)とを備えている。係合片75は、3つのスプリット部材の組み合わせからなり、筐体74に収められた係合片75の上下両端部は、自然な状態では内方にすぼんでいる。図19の状態においては、ばね受け77によって係合片75の下端部が押し開かれ、開口75aはピン72を受け入れ可能な大きさになっている。また、係合片75の上端側は内方にすぼんでいる。このときの係合片75を、ピン72との係合側底面から見た形状を図21の(a)に示す。
【0037】
サブプレート31をメインプレート30上に畳むことにより、ピン72が被係合部73内に相対的に押し込まれると、ばね受け77がピン72により突き上げられる。また、図20に示すように、ピン72は圧縮ばね76を介してばね受け78を押し上げるため、ばね受け78の上部側が筐体74より押し出され、押しボタン79が突出する。これにより、係合片75は、その上端部がばね受け78の大径部に外挿された形となって押し開かれる。一方、係合片75の下端部は、ばね受け77による押し開きが解除され、すぼんだ状態となる(図21の(b)参照)。これにより、ピン72の頭部は係合片75に係合した状態で保持される。また、圧縮ばね76の付勢も受けて、ピン72は安定保持される。従って、サブプレート31はメインプレート30に固縛され、自然には外れない状態となる。
【0038】
上記の係合(固縛)を解除するには、押しボタン79を押す。押しボタン79が押し込まれると、係合片75がばね受け78の大径部から外れ、押し開かれていた状態が解除される。これにより、係合片75の上端部は内方にすぼむ。従って、下端部では広がりやすくなる。また、押しボタン79の押圧力により、圧縮ばね76を介してばね受け77が下方に押され、係合片75の下端部が押し開かれて開口75aが大きくなる。この状態において、押しボタン79を押したまま、サブプレート31を持ち上げると、ピン72は係合片75から抜けて、固縛状態が解除される。
【0039】
次に、荷受台29の昇降メカニズムについて詳細に説明する。図8は、昇降動作に関わる主要部のみを示した側面図であり、各部の符号は図1〜図8と共通である。図8において、(a)は車体の荷箱床面と同一面になるように、荷受台29を上昇させた状態、(b)は地上で荷受台29を水平にした状態、(c)は地上で荷受台29を斜めにした状態を、それぞれ示している。ここで、ピン18は補助リンク16の回動支点であり、可動側部材の中における固定点である。一方、ピン15及び21は補助リンク16の回動に従って動く可動点である。また、ピン10は補助リンク16とは関係なく固定された固定点である。その他のピン12,17,22及び28は昇降動作に応じて移動する。
【0040】
まず(c)の状態から(a)に至る上昇動作について説明する。(c)において、リフトシリンダ20は収縮した状態にあり、補助リンク16は、(b)に示す状態を垂直とすると、これより若干反時計回り方向に回動した自由な状態にある。この状態から上昇操作が行われ、リフトシリンダ20が伸長し始めると、ピン21を介して補助リンク16は時計回り方向に少し回動する。この回動によってピン15もわずかに同方向へ回動する。従って、上アーム14を介してピン17が図の左方にわずかに引き寄せられる。一方、ピン10は固定点であるので、ピン12もこの時点では動かず、固定されている。従って、ピン12を回動支点として、リンク体13及び荷受台29が反時計回り方向に回動して、リンク体13の上面13a及び荷受台29は(b)に示すように水平になる。このとき、水平よりさらに回動しないように各ピンの位置を設計するとともに、ストッパ19(図7参照)を調整しておく。
【0041】
上記の、荷受台29のチルト動作(傾斜から水平、又はその逆の動作)は、ピン18をA点、ピン15をB点、ピン21をC点とするとき、A点の下にB点があり、さらにB点の下にC点があるという位置関係で行われている。また、距離ABより、距離ACの方が大きいという関係になっている。これにより、リフトシリンダ20のストローク量に対するB点の回動距離が、ほぼAB/ACとなり、リフトシリンダ20の動作に比してチルト動作は緩慢になる。また、ピン17をD点、ピン12をE点とすると、線分ABと線分BDとが交わる角度が、(c)の状態では90度より若干大きく、(b)の状態では90度より若干小さい。すなわち、(c)から(b)への状態変化において、上記角度は90度の前後で変化している。このことは、B点及びD点の回動速度が回動開始から終了までほぼ一定になる効果をもたらす。
例えば、荷受台29に荷物を載せたとき、(c)の状態から(b)の状態へ加速的若しくは減速的にチルト動作したとすれば、荷物が揺動したり、勢い余って転倒するという事態が生じかねないが、上記のようなチルト動作によれば、そのような恐れがない。
【0042】
補助リンク16が(b)に示す状態に達すると、ストッパ19が第2支持板5に当接して、補助リンク16はそれ以上回動できなくなる。ここで、ピン10をF点とすると、上記B点、D点及びE点との間で、線分BFと線分DEとは互いに平行であり、また、線分BDと線分FEとは互いに平行の関係にある。すなわち、四角形BDEFは平行四辺形であり、上アーム14と下アーム9とは、B点及びF点を回動支点とし、D点及びE点を作用点とする平行リンクを構成している。この平行関係は、その後上昇位置まで維持される。従って、リンク体13の上面13a及び荷受台29は水平状態を維持する。
【0043】
リフトシリンダ20が(b)の状態からさらに伸長すると、平行四辺形の下に位置するピン21を支点として平行四辺形の中にあるピン22に駆動力が付与されるので、平行リンクはB点及びF点を中心として半時計回り方向に回動し、荷受台29が上昇する。荷箱床面と、リンク体13の上面13a及び荷受台29とが同一面となったところで、ストッパ25(図7参照)が第2支持板5に当接して上アーム14の回動が停止し、荷受台29の上昇が停止する。上昇停止後、油圧ポンプ81によって発生する油圧が上昇するが、この油圧は減圧弁88により逃がされる(図15参照)。
【0044】
なお、荷箱102の一部にリンク体13や上アーム14等を当てて荷受台29の上昇を停止させることも可能ではある。しかしながら、荷箱102は一般にアルミニウム製であり、リンク体13や上アーム14は鉄若しくはステンレスの鉄系金属であるため、アルミニウムより硬度の高い鉄系金属を荷箱102に当てて荷受台29の上昇を止めると、荷箱102に傷が付く。従って、荷箱102の当たり部分に別途補強を設ける必要が生じて面倒である。その点、上記のように、第2支持板5にストッパ25を当てる構成は、簡単で、かつ、頑丈である。
【0045】
次に、(a)の状態から(c)の状態に至る下降動作について説明する。(a)の状態において、下降操作が行われ、リフトシリンダ20が収縮し始めると、上昇時と逆の動作が行われ、(b)に示す状態に至る。ここで下リンク9の先端は着地し、回動停止する。この時点で、リンク体13及び荷受台29並びにその上に載置された荷物の合計重量は、ピン12を中心に、ピン17を時計回り方向に回動させる方向の力として働く。ここで、さらにリフトシリンダ20が収縮すると、補助リンク16がピン18を中心として反時計回り方向に若干回動する。これにより、ピン15がピン18を中心に反時計回り方向に回動する。ピン15の回動によって、ピン17はピン12を中心として時計回り方向に回動し、荷受台29はその先端を下げるようにチルト動作する。上昇の場合と同様に、チルト動作は、リフトシリンダ20の収縮に対して概ねAB/ACの回動距離で、かつ、ほぼ定速で行われる。従って、荷受台29はほぼ一定速度でゆっくりと傾斜する。従って、荷物が揺動したり、勢い余って転倒するという事態も生じない。
【0046】
次に、以上のように構成された荷受台昇降装置1における一連の操作及び動作(格納・引き出し及び昇降)について、図1〜図7を参照して説明する。
まず、車両を停止してパーキングブレーキを引いた後、乗員が降車してハンドル66(図16,17)を「引き出し」にセットする。次に、スイッチボックス7(図1)に設けられているキースイッチS1を「OFF」から「ON」へ回し、さらにスライド動作を行う「ST」ポジションまで回して保持する。これにより、スライドシリンダ42が伸びて、荷受台昇降装置1の可動側部材が図の右方向へスライドする(図3)。このスライドにより、スイッチボックス7も一緒に右方向へ移動するため、操作者も追随して歩行する。このように操作者が追随歩行することは、操作性及び後方確認等の安全性の観点からむしろ好ましい。第1支持板4に取り付けたサイドパッド69がストッパ3cに当接すると(図16参照)、スライドが停止し、同時にスライドロック装置60の係合ピン64が対応する孔3aに係合するので、引き出し及び格納の双方向に対してロックされた状態となる。
【0047】
次に、操作者は、スイッチボックス7に設けられている昇降スイッチS2を「下降」に操作する。これにより、リフトシリンダ20が収縮し始め、上アーム14及び下アーム9は時計回り方向に回動する。図4に示すように、下アーム9が地面に着地した時点で回動は停止するので、下降操作を停止する。この動作に伴って、荷受台29はガイドローラ48により相対的に押されてリンク体13から開離し、垂直には至らない程度に、やや起立した状態となる。
【0048】
次に、操作者がとって49(図9)を握って、手動で荷受台29をさらに起こして回動させ、地面に倒伏させる(図5)。これにより、荷受台29のメインプレート30は、リンク体13に対して完全に展開された状態となる。なお、荷受台29の倒伏操作に際して、上記のように荷受台29は予めやや起立しているので、操作者に求められる力の負担は少ない。
続いて操作者は、押しボタン79(図19)を押して荷受台29の固縛状態を解除し、サブプレート31を開く(図6)。こうして、荷受台29が展開されると、リンク体13の上面13aから直線状に連続した所定の大きさの荷受面が構成され、荷物を載せ得る状態となる。ここで、当て板34及び35は、地面と荷受台29との間にあってクッションとなるとともに、荷受台29を安定させる。
【0049】
荷受台29に荷物を載せ終わったら、上昇の操作をする。これにより、まず前述のチルト動作が行われ、リンク体13及び荷受台29は水平になる(図7の二点鎖線で示す。)。さらに、リフトシリンダ20が伸長すると、リンク体13及び荷受台29は水平に保たれたまま、荷箱102の床面と一致する高さまで上昇する(図7)。ここで、作業者が荷物を荷箱102に移載する。
荷物を荷箱102から降ろす場合は、図7の状態から図6の状態へ、上述の動作が逆の手順で行われる。
【0050】
荷受台昇降装置1を格納する場合は、図6に示す状態にしてから、操作者がとって49(図9)をもってサブプレート31を折り畳む。折り畳むと同時に、サブプレート31は自動的に固縛され、押しボタン79(図20)が押されない限り、折り畳まれた状態に維持される(図5)。次に、操作者は折り畳まれた荷受台29を持ち上げ、ガイドローラ48に立てかける(図4)。この結果、荷受台29が全体として、リンク体13に対してある程度折り畳まれた状態となる。すなわち、リンク体13から連続した一平面であった荷受面が、リンク体13と荷受台29との接続箇所でも折り畳まれた状態となる。なお、図5に示す状態の荷受台29を持ち上げるに要する力は、トーションスプリング51(図12,図13)によりアシストされ、実際の重量より若干軽くなる。従って、とって49を片手で持つ程度の力で容易に起立させることができる。
【0051】
上記のように図5の状態から図4の状態に変化するとき、荷受台29は、ヒンジ27と荷受台29とが相互に約90度の位置関係になるまでピン28を中心に回動し、その後ピン26を中心に回動する。このピン26は、平行リンクの作用点となるピン17及びピン12とは別個の位置にある。従って、回動する荷受台29が車体102の後部に最も接近して図4の状態に至るときの回動半径には、リンク体13の上面13aの奥行き(車体前後方向の長さ)は含まれず、ピン26から荷受台29の回動先端部までの長さとなる。これにより、上記回動半径はコンパクトになり、荷受台29の回動先端が車体101と干渉しない。ここで、どの程度コンパクトになるかについて補足すると、仮に、図5に示す荷受台29が、平行リンクの作用点であるピン17を中心としてリンク体13と同様の部材と一体に(折り畳まれることなく)回動したとすれば、回動半径が極めて大きくなり、上記の構成との差異は明らかである。
【0052】
次に、スライドロック装置60のハンドル66を操作して、「格納」にセットする。そして、キースイッチS1を「ON」に維持したまま、上昇の操作をする。これにより、上アーム14及び下アーム9は反時計回り方向に回動し、荷受台29はガイドローラ48に転接しながら反時計回り方向に倒れる。
倒れた荷受台29の当て板35がストッパとしてのスイッチ取付板36に当接したとき、ドグ38により検知スイッチ37が作動する(図3)。検知スイッチ37が作動すると、上昇は停止となり、リフトシリンダ20は電磁弁86(図15)の逆止作用によってそのときの油液供給状態に保持される。引き続いてスライドシリンダ42が収縮することによる格納動作が自動的に行われる。
【0053】
スライドシリンダ42が収縮エンドに達して、荷受台昇降装置1の可動側部材が所定の格納位置に達すると、係合ピン64(図17)が格納位置孔3b(図3)に係合して可動側部材は自動的にロックされる。また、荷受台29に設けられたガイド33がスライドレール3に係合する。こうして、荷受台昇降装置1の格納が完了し、走行可能な状態となる。係合ピン64の係合により、走行中の振動に対しても、荷受台昇降装置1が意に反して引き出される事態は防止される。また、ガイド33とスライドレール3との係合により、万一リフトシリンダ20の油漏れがあったとしても、荷受台29やアーム9及び14等の可動側部材が下降する恐れはない。さらに、弾性体からなる当て板35が、下アーム9に取り付けられたスイッチ取付板36に当接していることにより、荷受台29は下アーム9により安定して支持され、格納位置における荷受台29のがたつきが防止される。
【0054】
次に、ガイドローラ48の位置調整について図4及び図22を参照して説明する。ガイドローラ48の位置は、前述のように、ガイドローラ支持部材45を回動させることにより、調整することが可能である。図22は、図4に示す車両の車高H0より高い車高H1を有する車両の場合を示している。この場合、ガイドローラ支持部材45の孔45aを図4に示す位置より時計回り方向にずらしてロック部材44に固定する。この結果、ガイドローラ48はピン46を中心に時計回り方向に回動して、図4の場合より下で、かつ、左側(前方)に移動する。これにより、ガイドローラ48にもたれかかった荷受台29の地面に対する傾斜起立角は、図4の場合とほとんど同じになる。すなわち、ガイドローラ48の位置を調整することにより、車高に関わらず、荷受台29の傾斜起立姿勢を略同一に維持することができる。従って、車高に関わらず、荷受台29を傾斜起立状態から倒伏させるに要する力を、略一定にすることができ、作業が容易である。また、逆に、荷受台29を起立させてガイドローラ48に立てかける際にも、車高に関わらず安定して立てかけることができる。
なお、ガイドローラ48は、上記のように回動することにより、水平方向及び垂直方向の双方向における位置調整が同時になされている。水平方向の調整のみで傾斜起立角の維持を図ると、図の状態から荷受台29を格納する動作の際に荷受台29の先端が車体101の後部と干渉する可能性があるため、このように垂直方向の調整を同時に行うことが好ましい。
【0055】
なお、上記実施形態において、荷受台昇降装置1は、車体101の後方に引き出されるものとして説明したが、側方に引き出される構成であっても、同様に適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1〜3の荷受台昇降装置によれば、とってを握ってサブプレートが折り畳まれたとき、固縛装置の係合部と被係合部とが互いに係合保持状態となり、サブプレートはメインプレート上に折り畳まれた状態に保持されるので、荷受台を起立させる際、サブプレートが自重により揺動する恐れがない。従って、サブプレートが他の部材に当たって損傷を受けることを防止することができる。
【0057】
また、請求項1の荷受台昇降装置によれば、サブプレートが折り畳まれた状態からとってを握って、荷受台を回動させることができる。
また、請求項2の荷受台昇降装置によれば、サブプレートを折り畳んだ状態において、とっては、荷受台の回動先端側に来るので、荷受台を回動させる操作が容易である。
また、請求項3の荷受台昇降装置によれば、とっては固縛装置の近傍にあるので、荷受台の一側方からとって及び固縛装置を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による荷受台昇降装置の側面図である。
【図2】図1から一部の図示を省略した側面図である。
【図3】後方に引き出された状態の上記荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図4】下アームの先端が着地して、荷受台がガイドローラにもたれて起立している状態の上記荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図5】下アームの先端が着地して、荷受台が折り畳まれた状態で倒伏している状態の上記荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図6】荷受台が完全に展開されて地面に沿った状態の上記荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図7】上記荷受台昇降装置の昇降動作を示す側面図である。
【図8】上記荷受台昇降装置の昇降動作を詳細に示す図である。
【図9】上記荷受台昇降装置における展開された荷受台の底面図である。
【図10】上記荷受台昇降装置における荷受台のヒンジ部分を示す側面図である。
【図11】上記荷受台昇降装置における折り畳まれた荷受台のヒンジ部分を車両の後方側から見た図である。
【図12】上記荷受台昇降装置における荷受台の基部のヒンジ構造を示す断面図であり、荷受台の起立状態を示す。
【図13】上記荷受台昇降装置における荷受台の基部のヒンジ構造を示す断面図であり、荷受台の倒伏状態を示す。
【図14】上記荷受台昇降装置の一部を車両の後方から見た図である。
【図15】上記荷受台昇降装置の油圧系統図である。
【図16】上記荷受台昇降装置のスライドロック装置を示す側面図である。
【図17】上記スライドロック装置の水平断面図及び垂直断面図である。
【図18】上記荷受台昇降装置における荷受台の固縛構造を示す側面図である。
【図19】上記固縛構造の詳細を示す断面図であり、固縛前の状態を示す。
【図20】上記固縛構造の詳細を示す断面図であり、固縛後の状態を示す。
【図21】上記固縛構造における係合片を示す底面図である。
【図22】図4と同様の側面図であり、車高に合わせてガイドローラの位置を調節した状態を示す。
【符号の説明】
1 荷受台昇降装置
2 取付部材
3 スライドレール
4 第1支持板
5 第2支持板
6 連結パイプ
9 下アーム
14 上アーム
20 リフトシリンダ
29 荷受台
30 メインプレート
31 サブプレート
42 スライドシリンダ
70 係合部
73 被係合部
79 押しボタン
102 車体
104 シャーシ
Claims (3)
- 車体に取り付けられる固定側部材と、
前記固定側部材によって水平方向へスライド可能に支持された支持基部と、
前記支持基部を所定位置へスライドさせるスライド駆動機構と、
前記支持基部によって支持され、昇降動作をする平行リンクを構成する2つのアームと、
前記アームを駆動する昇降駆動機構と、
前記アームの先端側に回動可能に接続されたメインプレートと、このメインプレートの先端側に回動可能に接続され、このメインプレート上に手動で折り畳み可能なサブプレートとからなり、当該サブプレートを折り畳んだ状態で全体として前記アーム上に折り畳み可能な荷受台と、
前記メインプレート及び前記サブプレートの一方に設けられた係合部材と、他方に設けられた被係合部材とからなり、前記サブプレートが折り畳まれたとき相互に係合保持状態となり、前記サブプレートが展開されるとき当該係合保持状態を手動解除可能である固縛装置と、
前記サブプレートの一側面に設けられたとってと
を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。 - 前記とっては、前記サブプレートの基部側に設けられている請求項1記載の荷受台昇降装置。
- 車体に取り付けられる固定側部材と、
前記固定側部材によって水平方向へスライド可能に支持された支持基部と、
前記支持基部を所定位置へスライドさせるスライド駆動機構と、
前記支持基部によって支持され、昇降動作をする平行リンクを構成する2つのアームと、
前記アームを駆動する昇降駆動機構と、
前記アームの先端側に回動可能に接続されたメインプレートと、このメインプレートの先端側に回動可能に接続され、このメインプレート上に手動で折り畳み可能なサブプレートとからなり、当該サブプレートを折り畳んだ状態で全体として前記アーム上に折り畳み可能な荷受台と、
前記荷受台の一方の側部に配置され、前記メインプレート及び前記サブプレートの一方に設けられた係合部材と、他方に設けられた被係合部材とからなり、前記サブプレートが折り畳まれたとき相互に係合保持状態となり、前記サブプレートが展開されるとき当該係合保持状態を手動解除可能である固縛装置と、
前記固縛装置の近傍の前記サブプレートに設けられたとってと
を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
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