JP3545882B2 - 自動車ボデ−の耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法 - Google Patents
自動車ボデ−の耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボデーにおける塩化ビニル系樹脂に基づく耐チッピング塗装の上にブラックアウト化粧塗装を重ねた塗装のハジキ現象を防止するブラックアウト塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボデーのロッカー、ホィールハウス等には、走行中の外部からの異物の衝突による塗装の損傷を防ぐために、一般に塩化ビニル系樹脂に基づくいわゆる「耐チッピング塗装」を施すが、その上に「調整層」としてブラックアウト化粧塗装が重ねられる。このブラックアウト塗装は常温乾燥型水性塗料により施すのが経済的及び作業環境的観点から望ましいが、水性塗料を用いた場合には、塗料粒子が均一に付着しないではじかれたような斑点模様を生ずることがあり、これを通常、「ハジキ」と呼んでいる。そのため従来はこのブラックアウト塗装にポリエステル樹脂とメラミン樹脂との混合物を有機溶剤に溶解した熱硬化型塗料やアルキッド樹脂を有機溶剤に溶解した常温硬化型速乾性塗料のような溶剤型塗料が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶剤塗料の使用は火災や爆発の危険、揮発による作業環境の汚染等に対処するための大きい設備費用を必要とする。そのためハジキ現象を生じない水性塗料によるブラックアウト塗装が望まれていた。これまで、水性塗料によるブラックアウト塗装層の形成は、前述のように、塩化ビニル系の下地の塗膜層と相溶性がある通常のビニル系エマルジョン樹脂水性塗料を用いて形成させた場合でも、しばしばその得られた塗装の外観不具合、すなわちハジキ現象を生ずることがあるために成功していなかった。このハジキ現象は一般に、下地塗装の塩化ビニル系樹脂層の脱脂不良や可塑化剤のブリーディング、或いは水分、油、シリコーン等の付着によって引き起こされる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、自動車ボデーにおける塩化ビニル系樹脂にによる耐チッピング塗装上にハジキ現象を回避して水性塗料によりブラックアウト化粧塗装を重ねることのできる自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者はそのような調整層のための水性塗料としてアクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂と、両末端に疎水性基を有し、中央に親水性部分を有する分子構造の界面活性剤とを含む常温乾燥型水性エマルジョン塗料を用いることによって効果的に、かつ経済的に前述のハジキの発生を防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、自動車ボデーの被塗物における塩化ビニル系樹脂に基づく耐チッピング塗装の上にブラックアウト化粧塗装を施すに当り、アクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂と、両末端に疎水性基を有し、中央に親水性部分を有する分子構造の界面活性剤とを含む常温乾燥型水性塗料をブラックアウト化粧塗装として塗装することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の態様】
自動車ボデーのロッカー、ホイールハウス等の被塗物に耐チッピング塗装を施すには通常、エポキシ樹脂塗料等による塗装を施した被塗物の上に耐チッピング塗装として塩化ビニル系樹脂の塗料により、下塗り、比較的薄い中塗り、焼き付けを行なった後、薄い上塗りを施して焼きつける。この耐チッピング塗装の上にブラックアウト化粧塗装を施す際に、本発明が対象とする耐チッピング塗装に用いられる樹脂としてはポリ塩化ビニル(PVC)があげられる。
【0008】
本発明においてはブラックアウト塗装としてアクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂に基づく常温乾燥型水性塗料を特殊な界面活性剤の添加のもとに前述の耐チッピング塗装の上に塗装する。本発明に従い常温乾燥型水性塗料の中に添加されるべき界面活性剤は分子の両末端部に疎水性基を有し、そして中央部に親水性の基を有するもので、具体的には2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等があげられる。この常温乾燥型水性塗料の塗装方法には特に制限はないけれども、常温乾燥型水性塗料の塗装の容易性を利用して簡単なスプレー塗装によるのが有利である。この塗装の後で常温空気乾燥するだけで充分である。得られるブラックアウト塗装はハジキその他の外観の不具合を生ずることなく、そしてそのままで優れた意匠性を示す。
【0009】
【実施例】
本発明に従うブラックアウト塗装の効果を調べるためにテストパネルの上で塗装試験を行なった。テストパネルとして150mm×70mmの矩形の溶融亜鉛メッキ鋼板に燐酸皮膜化を施したものを用い、この上にカチオン性基を有するエポキシ樹脂を主材とする水溶性塗料(関西ペイント社のGT−10)を電着塗装し、焼き付け処理して試験用基板を準備した。
【0010】
このような試験用基板にPVCを基材とする耐チッピング塗装を施し〔下塗り+110℃焼き付け(300−350μm)、中塗り+140℃焼き付け(25μm)、上塗り+140℃焼き付け(20μm)〕、その上に重ねられるべきブラックアウト塗装のために、塩化ビニリデン/塩化ビニル/アクリル酸の3元共重合物エマルジョン樹脂と顔料及び他の添加剤とを含む下記の組成の常温乾燥型水性エマルジョン塗料を用いた。
ブラックアウト用塗料の組成
配合成分 配合%
3元共重合物樹脂 27
カーボンブラック 0.9
タルク 20
ブチルセロソルブ 1.3
分散剤等の通常添加剤 2.3
イオン交換水 46.3
【0011】
このブラックアウト用塗料に本発明に従う特殊界面活性剤として2,4,7,9−テトラメチル−5デシン−4,7−ジオールを添加して前記の耐チッピング塗装した基板の上にブラックアウト塗装を施し、無添加のものとハジキの防止性及び他の塗装表面物性(耐揮発油性及び耐衝撃性)について比較した。ブラックアウト塗装はエヤスプレーガンを用い吐出量150mlで塗装した後、常温で空気中乾燥(3時間)することにより行なった(乾燥塗膜厚20μm)。結果を下記表1に示す。
【0012】
【表1】
註:○は良好、△は従来技術のもよりやや劣る、×は不合格を表わす。
【0013】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、、塩化ビニル系樹脂を基材とする耐チッピング塗装の上に、アクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂と、両末端に疎水性基を有し、中央に親水性部分を有する分子構造の界面活性剤とを含む常温乾燥型水性塗料をスプレー塗装して常温空気乾燥しただけで、従来の溶剤型のものに匹敵する塗装表面物性を有し、しかも従来技術の難点であった「ハジキ」現象を良好に防止できるブラックアウト塗装が形成される。
Claims (5)
- 自動車ボデーの被塗物における塩化ビニル系樹脂に基づく耐チッピング塗装の上にブラックアウト化粧塗装を施すに当り、アクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂と、両末端に疎水性基を有し、中央に親水性部分を有する分子構造の界面活性剤とを含む常温乾燥型水性塗料をブラックアウト化粧塗装として塗装することを特徴とする自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法。
- 耐チッピング塗装の塩化ビニル系樹脂がコポリマー樹脂である、請求項1の自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法。
- 界面活性剤が2,4,7,9−テトラメチル−5デシン−4,7−ジオールである、請求項1の自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法。
- アクリル変性塩化ビニリデンエマルジョン樹脂が塩化ビニリデン/塩化ビニル/アクリル酸3元共重合物である、請求項1の自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法。
- 常温乾燥型水性塗料の中の界面活性剤の量が0.5ないし3.0重量%である、請求項1の自動車ボデーの耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法。
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JPH1015488A JPH1015488A (ja) | 1998-01-20 |
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JP19537196A Expired - Fee Related JP3545882B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 自動車ボデ−の耐チッピング塗装上のブラックアウト塗装方法 |
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JP (1) | JP3545882B2 (ja) |
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1996
- 1996-07-05 JP JP19537196A patent/JP3545882B2/ja not_active Expired - Fee Related
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