JP3545710B2 - 耐震性柱状構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプレキャスト部材によって構築された柱状構造物の耐震性能向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
柱状構造物が強大な地震力(水平荷重)を受けて破壊する場合、柱状構造物の根元付近の主鉄筋が引張力によって降伏して永久変形を生じ、次に圧縮力が作用したときにかぶりコンクリートを押出し、その結果、かぶりコンクリートが剥離すると共に、コンクリートの耐力がなくなるという現象を生ずる。したがって、この現象を防止する技術が要請されるとともに、損傷を生じたときには補修を要することとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような要請に応える技術を提供することを目的とする。すなわち、地震時に柱状構造物の基部もしくは地盤中に損傷が生じ破壊に至るのを効果的に防止することを課題とし、その破壊に対し、破壊部に耐久性・伸縮性のある材料を介装して、変形性能を高めた構造体を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その技術手段は、プレキャスト部材によって構築される柱状構造物において、地震による破壊予定位置と目地部とを一致させ、該目地部外周に円周切欠を設け、該円周切欠内に弾性材を介装し、構造物の縦主鉄筋は鉄筋挿入前にグラウトを施したシース内に沈下して配置したことを特徴とする耐震性柱状構造物である。
【0005】
また、切欠は目地部の上下の部材に亘って設けてもよく、一方に部材にのみ設けてもよい。弾性材は復元性を有する材料を言い、材質、形状は限定されないが、硬質のゴムリングとすると好適である。
【0006】
本発明の特徴的な点は、次の通りである。
【0007】
(a)プレキャスト部材によって構築される柱状構造物の目地部の位置と破壊予定位置を一致させること。
【0008】
(b)破壊予定位置つまりその目地部外縁周に、弾性材、例えば、耐久性・伸縮性に優れたゴムリングを設置し、その復元性により小規模な地震によるひび割れを吸収し止水性を保ち、大規模な地震に対して圧縮による応力集中を緩和するようにしたこと。このため、かぶりコンクリートの剥離が生じにくく、主筋降伏後も主筋の座屈が起りにくい。
【0009】
(c)被災後の補修範囲をその目地部に限定することができ、小範囲であるため、経済的である。また、補修・補強時にも同時に新規断面外縁周に容易にゴムリングを設置することができ、もとの構造と同様な機能を持たすことができること。
【0010】
(d)グラウトを施したシース内に縦主鉄筋を配設したことにより圧縮荷重に対してグラウト(モルタル)が破壊しにくく、シースの拘束効果により圧縮強度が向上し、主鉄筋のねばり性を高め、靭性を高めることができるようにしたこと。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は上述のように、柱状構造物の破壊予定位置とプレキャスト目地位置を一致させ、そこに弾性材を介在させることにより、コンクリートの圧縮応力の集中を緩和し、破壊を遅らせるようにした。従って、変形性能が著しく向上する。また、構造物の破壊位置を特定することができ、被災後の補修・補強範囲も限定できるので、経済的となる。小規模な地震に対しては、目地部に介装し予め圧縮された弾性材、例えばゴムリングの弾性及び復元力により、目地部にひび割れが生じることなく、その止水性も保たれる。
【0012】
図2は本発明の実施例の模式的斜視図である。基礎(フーチング)40上に円筒状プレキャストコンクリートブロック10が積重されている。その下端近傍の地震による破壊予定位置に目地部12を設けている。この目地部12近傍のプレキャストコンクリートブロック10の側面図を図3に、図3のA−A矢視図を図4に、図3のB部の拡大断面図を図1に示した。図1では、基礎40と一体化した下ブロック20と、その上に上方から降下させて積重されるべき上ブロック10を示している。下ブロック20には断面矩形状の円周切欠21を設けている。この円周切欠21にゴムリング31が嵌合されている。ゴムリング31は切欠21中に嵌め込まれていると共にその高さは切欠の高さより大きく、ゴムリング31の上辺32は下ブロック20の上面22より上に突出している。すなわち、上のブロック10の目地部12と下ブロック20の目地23を接合したとき、ゴムリング31は上下方向に圧縮されることとなる。
【0013】
図1,図4において、シース13は、この例では円筒状ブロック10の壁内に円周方向に2列に配設されており、主鉄筋がこの中に配置される。主鉄筋は例えばPC鋼材を用い、積重したブロックのシース13内にグラウトを施した後、グラウトの硬化前に上から主鉄筋をグラウト中に沈下して配置する。このようにすると、グラウトがシース13内に完全に充満して主鉄筋と密着する。構造体に圧縮荷重が作用したときに、シースがグラウトを拘束することによりグラウトは破壊することなく、またかぶりコンクリート及びグラウトが主筋の座屈を抑制し、構造体の変形能を高める。また、グラウトと主筋の付着が外力の大きさに応じて切れ、適当なアンボンド領域が生じ、主筋のひずみが緩和されることにより主筋の伸び能力が向上し座屈現象が遅延する。また、シースとグラウトはかぶりコンクリートの剥離を防止し、破損を防止するように作用する。大きな荷重が掛かってグラウトが破損する状態になっても、シース13はかぶりコンクリートの剥離への影響を効果的に減少させる。
【0014】
本発明の耐震性柱状構造物の耐震性を実証するため、図2に示すような形状の供試体を製作し、試験を行った。以下その内容について説明する。
【0015】
1.試験の目的
高性能モルタルで付着固定されたプレキャスト鉄筋コンクリート構造物の大規模供試体の耐震性能に関する下記事項を確認することを目的とする。
【0016】
(1)破壊位置を特定するためにプレキャストコンクリートの目地部にゴム材を設置し、その効果を確認すること。
【0017】
(2)以前の小供試体の試験で生じたシース内モルタルが圧縮コラムを形成する現象及び引張り鉄筋のひずみが緩和される現象を再確認すること。
【0018】
(3)載荷後に補修を行い、その耐力を確認すること。
【0019】
3.試験の内容
供試体基部のプレキャスト部材目地部において、下ブロックに切欠を設け、部材製作時予め設置されたゴム材が、部材のかぶり部分のコンクリート外周に介在する。このゴム材は下ブロックのコンクリート上面より上方に2〜10mm程度突出しており、上ブロックが設置されたときに上ブロックの自重及びプレストレスによって圧縮される。プレキャスト部材断面のゴム材以外のコンクリート表面には他のブロック目地部と同様にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する。
【0020】
従来技術の供試体では、基部に近いプレキャスト目地部に破壊が集中し、その結果最終的にはそこのコンクリートの圧壊によって耐力を失った。実施例の供試体ではこの基部の目地部にゴム材を設置し、圧壊の遅延効果の確認を行った。また、ゴムを事前に圧縮しているため、軽微な地震に対しては、ゴム材が目地部の開きに追従することができ、コンクリートの破壊を生ずることもなく、防食効果も期待できる。
【0021】
破壊箇所が基部付近目地部に集中することにより、通常の鉄筋コンクリート構造の橋脚での鉄筋座屈による破壊と比較し、破壊範囲が非常に狭く、変形性能が著しく改善された。また、補修が容易になる利点も確認された。載荷後破壊部分の補修を行いその耐力の確認を行い好成績を得た。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、かぶりコンクリートの剥落が防止され、柱状構造体の耐震性及び靭性が向上する。また、大きな地震による破損が生じたとき、破損個所が特定され、補修、復旧も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の目地の説明図で、上下ブロックの接合直前の状態を示す拡大断面図(図3のB部)である。
【図2】本発明の実施例の模式的斜視図である。
【図3】図2の下端目地近傍の側面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【符号の説明】
10 円筒状プレキャストコンクリートブロック
11 破壊予定位置
12 目地部
13 シース
20 下ブロック
21 切欠
22 上面
23 目地部
24 せん断補強筋
25 せん断補強筋
26 上下ブロック接合用PC鋼棒
31 ゴムリング
32 上辺
40 基礎(フーチング)
Claims (2)
- プレキャスト部材によって構築される柱状構造物において、地震による破壊予定位置と目地部とを一致させ、該目地部外周に円周切欠を設け、該円周切欠内に弾性材を介装し、構造物の縦主鉄筋は鉄筋挿入前にグラウトを施したシース内に沈下して配置したことを特徴とする耐震性柱状構造物。
- 前記弾性材はゴムリングであることを特徴とする請求項1記載の耐震性柱状構造物。
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JP2001019646A JP3545710B2 (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 耐震性柱状構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001019646A JP3545710B2 (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 耐震性柱状構造物 |
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JP2002227128A JP2002227128A (ja) | 2002-08-14 |
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Family Applications (1)
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JP2001019646A Expired - Lifetime JP3545710B2 (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 耐震性柱状構造物 |
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2001
- 2001-01-29 JP JP2001019646A patent/JP3545710B2/ja not_active Expired - Lifetime
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