JP3545645B2 - ディーゼルエンジンの始動制御方法 - Google Patents
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グロープラグを備えているディーゼルエンジンの始動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジンにおいては、着火・燃焼を促進するために、燃焼室内にグロープラグを配置し、始動直前にグロープラグに通電して赤熱させて、そのグロープラグに対して噴射する燃料の一部を吹きつけるものが知られている。通常、このようなグロープラグを装備するものにあっては、始動が完了するまで燃料を圧縮行程毎に噴射する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、冬期等の低温時には、グロープラグを赤熱させていても、燃料及び燃焼室自体が低温であり、また外気が低いため、吸入空気が着火に十分な温度まで上昇しないことがあり、グロープラグが燃料により冷却されて着火しないことがある。このような不具合に鑑みて、例えば特開昭62−75047号公報に記載されたもののように、燃焼室内に着火センサを配置し、その着火センサの出力信号に基づいて混合気が着火されない場合にメイン噴射を停止するようにしたディーゼルエンジンが知られている。
【0004】
しかしながら、上記公報のものでは、始動時の着火状態を検出するために着火センサと言った特別のセンサを装備しなければならず、シリンダヘッドの構造を複雑にするものとなった。また、シリンダヘッドが複雑になること、及び着火センサを必要とすることにより、製造コストが上昇した。
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るディーゼルエンジンの始動制御方法は、グロープラグを備え、始動時にグロープラグに通電して赤熱させて着火するディーゼルエンジンにおいて、エンジン温度が所定値より低い場合でかつクランキングを開始した後の所定時間内に、未着火の状態であればクランキングを所定の周期で中断し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続する構成とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、燃焼室内にグロープラグを配置し、始動開始直前からそのグロープラグに通電して赤熱させ、赤熱させたグロープラグに燃料の一部を吹きつけて着火するディーゼルエンジンにおいて、グロープラグへの通電を継続している間にクランキングを開始し、クランキング開始後の所定経過時間内の着火状態をエンジン回転数に基づいて検出し、エンジン温度が所定値より低い場合でかつ未着火を検出した場合はグロープラグへの通電を継続している状態で着火を検出するまでクランキングを所定周期で断続するものであって、クランキング中は燃料を供給し、クランキングを中断している間は燃料の供給を停止し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続することを特徴とするディーゼルエンジンの始動制御方法である。
【0007】
このような構成のものであれば、クランキングを開始して所定経過時間内に着火を検出しない場合には、クランキングを所定周期で断続するので、クランキング中断期間中はディーゼルエンジンが回転せず、燃料の供給が中断される。つまり、クランキングを中断することにより、燃料が燃焼室内に供給されないため、着火しない状態で燃焼室内に残留する燃料が減少する。このため、燃焼室内に配置されたグロープラグが燃料により冷却されることがなくなり、再度クランキングを開始する際にはクランキングを中断している間も通電を継続しているグロープラグが赤熱しており、始動を促進する。しかも、クランキングを中断している間は、外気の流入がなくなるために燃焼室内が冷えることを防ぐことができ、しかも燃料の供給も中断しているため、燃料の消費量を低減することとなる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
ディーゼルエンジン100は、例えば3気筒のもので、図1にはその1気筒の断面を示している。このディーゼルエンジン100は、シリンダブロック1に設けられたシリンダ2内にピストン3が往復動するように構成されている。また、シリンダブロック1には、シリンダヘッド4が固定され、吸気路5を開閉する吸気弁6がカムシャフト7に固定されたカム8により駆動されるものである。ピストン3の上面には凹部3aが設けてあり、ピストン3が上死点に位置した場合にその凹部3aが主燃焼室9を形成する。主燃焼室9の外側上方には、副室9aが設けてある。主燃焼室9には、吸気弁6を介して吸気路5から吸入空気が供給される。カムシャフト7には、エンジン回転数NEを検出するための回転数センサ13が設けてある。なお、図示及び説明を省略するが、排気弁が吸気弁6と対をなして設けてあるとともに、排気路がその排気弁に対応して設けてあり、ディーゼルエンジン自体は、この分野で公知のディーゼルエンジンと同等の構成であってよい。
【0009】
副室9aは、いわゆる渦流室式あるいは予燃焼室式と呼ばれるもののいずれであってもよく、主燃焼室9と連結孔9bで連通している。この副室9aには、燃料噴射弁10とグロープラグ11とが配置してある。すなわち、燃料噴射弁10はその噴射口を副室9a内に向けて突出させて配置されるとともに、グロープラグ11は、燃料噴射弁10から噴射された燃料の一部が直接に接触するように、その先端部分が副室9a内に配置してある。このグロープラグ11は、燃料噴射弁10に燃料を供給する噴射ポンプPとともに、マイクロコンピュータを主体にしたエンジンコントローラ12により制御される。
【0010】
図2に示すエンジンコントローラ12は、回転数センサ13から出力される回転数信号によりディーゼルエンジン100のエンジン回転数NEを検出するとともに、以下に説明する手順でグロープラグ11への通電を制御する。またエンジンコントローラ12には、スタータスイッチSSが接続してあるとともに、スタータモータMが接続してある。そして、エンジンコントローラ12は、燃焼室を形成する副室9a内にグロープラグを配置し、始動開始直前からそのグロープラグ11に通電して赤熱させ、赤熱させたグロープラグ11に燃料の一部を吹きつけて着火するディーゼルエンジン100において、グロープラグ11への通電を継続している間にクランキングを開始し、クランキング開始後の所定経過時間内の着火状態をエンジン回転数NEに基づいて検出し、エンジン温度が所定値より低い場合でかつ未着火を検出した場合はグロープラグ11への通電を継続している状態で着火を検出するまでクランキングを所定周期で断続するものであって、クランキング中は燃料を供給し、クランキングを中断している間は燃料の供給を停止し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続するようにプログラムしてある。
【0011】
図3は、このディーゼルエンジン100の始動制御の概略手順を示すフローチャートである。
最初に、スタータスイッチSSをオン位置Lonにすることによりグロープラグ11への通電が開始され、スタータスイッチSSを始動位置Lstに切り換えることによりグロープラグ11への通電を継続した状態でスタータモータMに通電するようになっている。これにより始動が開始されると、各気筒の圧縮行程に対応して噴射ポンプPから燃料が副室9aに供給され、クランキングが開始する。
【0012】
以上のようにして、始動が開始されると、まず、ステップS1では、クランキング中であるか否かを判定する。クランキング中の判定は、スタータスイッチSSが始動位置Lstにあることにより判定する。ステップS2では、冷間始動であるか否かを判定する。すなわち、クランキング中のエンジン温度例えば冷却水温度を検出し、その検出した冷却水温度が所定値を下回っているか否かを判定する。この判定は、冷却水温度が高い場合には、クランキング中であってもこの制御を実行しないようにして、例えば暖機完了後にエンジンが始動しない状態でクランキングで車両を移動する必要がある場合に、確実にクランキングにより車両を移動させることができるようにするためである。ステップS3では、正常に着火したか否かを判定するために、エンジン回転数NEが所定値NEsを下回るか否かを判定する。この場合、エンジン回転数NEは、例えばそのクランキング中における最大値を採用し、その最大値と所定値NEsとを比較する。所定値NEsは、始動後を検出するつまり完爆判定を行う回転数、例えば1000回転/毎分より低く、爆発が連続して起こる下限の回転数、例えば400〜500回転/毎分に基づいて設定すればよい。そして、エンジン回転数NEが所定値NEs以上であれば、着火したと判定する。
【0013】
ステップS4では、所定時間Tstdが経過したか否かを判定する。つまり、クランキングを開始した後、エンジン回転数NEが所定時間Tstdの間、所定値NEs以上となることがない場合に、未着火であると判定する。ステップS5では、クランキングを設定時間Tsetの間、中断する。この設定時間Tsetは、あらかじめ設定されてエンジンコントローラ12内に保存してある。設定時間Tsetとしては、例えば1〜2秒程度で、クランキングの中断はスタータスイッチSSを始動位置Lstに保持した状態で実行されるので、短いほど違和感がないものとなる。ステップS6では、設定時間Tsetだけ中断した後クランキングを再開する。ただし、クランキングを再開するのは、スタータスイッチSSが始動位置Lstにある場合である。
【0014】
このような構成において、スタータスイッチSSをオン位置Lonにすると、グロープラグ11に通電を開始していわゆるプレグロー状態となる。これによって、グロープラグ11の温度は、図4に示すように、急激に上昇する。この後スタータスイッチSSを始動位置Lstに切り換えると、スタータモータMが回転して、クランキングが始まる。クランキングが始まると、圧縮行程において噴射ポンプPが駆動され、燃料が副室9aに噴射される。この時、噴射された燃料の一部はグロープラグ11に吹きつけられるので、グロープラグ11の温度は低下する傾向になる。
【0015】
クランキング中の状態になると、冷却水温度が所定値を下回る場合では、制御は、ステップS1→S2→S3と進み、検出したその時点のエンジン回転数NEが所定値NEsを下回っているかどうかを判定する。クランキングが継続している場合、その初期段階ではエンジン回転数NEが上がらないので、所定値NEsを下回っていることがある。この場合、ステップS4において、そのクランキングの状態で所定時間Tstd経過したかを判定し、所定時間Tstdが経過していない場合は、再度ステップS3を実行してエンジン回転数NEが所定値NEsを下回っているか否かを判定する。検出したエンジン回転数NEが所定値Nes以上である場合は、今回のクランキングにおいて着火したので、この制御を終了する。
【0016】
一方、検出したエンジン回転数NEが所定値NEsを下回る場合は、まだ着火していないので、再度ステップS4を実行する。そして、スタータスイッチSSが始動位置に切り換えられてから所定時間Tstdが経過した場合は、ステップS5に移行してスタータスイッチSSが始動位置に保持されている状態でクランキングを中断する。この中断時間すなわち設定時間Tsetは、クランキングの継続時間からすればごく短いものであるので、使用者はスタータスイッチSSを始動位置Lstに保持していても、クランキングが中断しているのを意識することは少ない。この後、設定時間Tsetが経過した後、ステップS6に移行して、クランキングを再開する。クランキングを再開すると、制御は、ステップS3に戻り、再度エンジン回転数NEが所定値NEsを下回るか否かを判定する。
【0017】
このように、クランキングを中断している間、スタータモータSSが回転しないので、噴射ポンプPも作動せず、燃料は副室9aに供給されず、よってグロープラグ11に吹きかかることもない。また、例えば冬期あるいは寒冷地等における低温の外気も供給されない。したがって、これらの外的要因により、副室9a内やグロープラグ11の温度は低下することがない。逆に、この間もグロープラグ11には通電が継続しているので、プレグローの状態と同じとなりグロープラグ11の温度は上昇する。このため、クランキングの中断後クランキングを再開した際にはグロープラグ11は十分に赤熱しているので、冬期等の外気が低い場合であっても、着火することができる。
【0018】
また、仮に、着火しない場合にあっても、クランキングの再開後、エンジン回転数NEが所定値NEs以上となるまでステップS3〜ステップS6を繰り返し実行するので、グロープラグ11が連続してクランキングを続行している場合のように冷えず、着火を容易にするものである。この結果、低温時においても、クランキングしている場合の着火までの合計時間を短縮することができ、不快になることなく始動することかでき、始動性を向上させることができる。
【0019】
しかも、所定周期でクランキングを断続するので、クランキングを中断している際には燃料が副室9aに供給されず、したがって残留することを低減することができる。このため、燃料の消費量を節約することができるとともに、始動後の白煙及び黒煙の発生を減少させることができる。
【0020】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。上記した所定時間Tstd及び設定時間Tsetは、ディーゼルエンジン100の排気量やグロープラグ11の熱量等に応じて、またクランキングの断続及び燃料カット等の制御方法に応じて適宜設定されるものであってよい。
【0021】
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、クランキングを開始して所定経過時間内に着火を検出しない場合には、クランキングを所定周期で断続するので、クランキング中断期間中はディーゼルエンジンが回転せず、燃料が燃焼室内に供給されないため、着火しない状態で燃焼室内に残留する燃料を減少させることができる。このため、燃焼室内に配置され、クランキングの開始から通電を継続させているグロープラグが燃料により冷却されることがなくなり、再度クランキングを開始する際にグロープラグが赤熱しており、始動を促進することができる。しかも、クランキングを中断している間は、外気の吸入もなくなるために、外気により燃焼室内が冷えることを防ぐことができ、しかも燃料の供給も中断しているため、燃料の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるディーゼルエンジンの構成を示す断面図。
【図2】同実施例の電気制御部分の概略構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の制御手順の概略構成を示すフローチャート。
【図4】同実施例の作用説明図。
【符号の説明】9…主燃焼室9a…副室
10…燃料噴射弁
11…グロープラグ
【発明の属する技術分野】
本発明は、グロープラグを備えているディーゼルエンジンの始動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジンにおいては、着火・燃焼を促進するために、燃焼室内にグロープラグを配置し、始動直前にグロープラグに通電して赤熱させて、そのグロープラグに対して噴射する燃料の一部を吹きつけるものが知られている。通常、このようなグロープラグを装備するものにあっては、始動が完了するまで燃料を圧縮行程毎に噴射する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、冬期等の低温時には、グロープラグを赤熱させていても、燃料及び燃焼室自体が低温であり、また外気が低いため、吸入空気が着火に十分な温度まで上昇しないことがあり、グロープラグが燃料により冷却されて着火しないことがある。このような不具合に鑑みて、例えば特開昭62−75047号公報に記載されたもののように、燃焼室内に着火センサを配置し、その着火センサの出力信号に基づいて混合気が着火されない場合にメイン噴射を停止するようにしたディーゼルエンジンが知られている。
【0004】
しかしながら、上記公報のものでは、始動時の着火状態を検出するために着火センサと言った特別のセンサを装備しなければならず、シリンダヘッドの構造を複雑にするものとなった。また、シリンダヘッドが複雑になること、及び着火センサを必要とすることにより、製造コストが上昇した。
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るディーゼルエンジンの始動制御方法は、グロープラグを備え、始動時にグロープラグに通電して赤熱させて着火するディーゼルエンジンにおいて、エンジン温度が所定値より低い場合でかつクランキングを開始した後の所定時間内に、未着火の状態であればクランキングを所定の周期で中断し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続する構成とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、燃焼室内にグロープラグを配置し、始動開始直前からそのグロープラグに通電して赤熱させ、赤熱させたグロープラグに燃料の一部を吹きつけて着火するディーゼルエンジンにおいて、グロープラグへの通電を継続している間にクランキングを開始し、クランキング開始後の所定経過時間内の着火状態をエンジン回転数に基づいて検出し、エンジン温度が所定値より低い場合でかつ未着火を検出した場合はグロープラグへの通電を継続している状態で着火を検出するまでクランキングを所定周期で断続するものであって、クランキング中は燃料を供給し、クランキングを中断している間は燃料の供給を停止し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続することを特徴とするディーゼルエンジンの始動制御方法である。
【0007】
このような構成のものであれば、クランキングを開始して所定経過時間内に着火を検出しない場合には、クランキングを所定周期で断続するので、クランキング中断期間中はディーゼルエンジンが回転せず、燃料の供給が中断される。つまり、クランキングを中断することにより、燃料が燃焼室内に供給されないため、着火しない状態で燃焼室内に残留する燃料が減少する。このため、燃焼室内に配置されたグロープラグが燃料により冷却されることがなくなり、再度クランキングを開始する際にはクランキングを中断している間も通電を継続しているグロープラグが赤熱しており、始動を促進する。しかも、クランキングを中断している間は、外気の流入がなくなるために燃焼室内が冷えることを防ぐことができ、しかも燃料の供給も中断しているため、燃料の消費量を低減することとなる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
ディーゼルエンジン100は、例えば3気筒のもので、図1にはその1気筒の断面を示している。このディーゼルエンジン100は、シリンダブロック1に設けられたシリンダ2内にピストン3が往復動するように構成されている。また、シリンダブロック1には、シリンダヘッド4が固定され、吸気路5を開閉する吸気弁6がカムシャフト7に固定されたカム8により駆動されるものである。ピストン3の上面には凹部3aが設けてあり、ピストン3が上死点に位置した場合にその凹部3aが主燃焼室9を形成する。主燃焼室9の外側上方には、副室9aが設けてある。主燃焼室9には、吸気弁6を介して吸気路5から吸入空気が供給される。カムシャフト7には、エンジン回転数NEを検出するための回転数センサ13が設けてある。なお、図示及び説明を省略するが、排気弁が吸気弁6と対をなして設けてあるとともに、排気路がその排気弁に対応して設けてあり、ディーゼルエンジン自体は、この分野で公知のディーゼルエンジンと同等の構成であってよい。
【0009】
副室9aは、いわゆる渦流室式あるいは予燃焼室式と呼ばれるもののいずれであってもよく、主燃焼室9と連結孔9bで連通している。この副室9aには、燃料噴射弁10とグロープラグ11とが配置してある。すなわち、燃料噴射弁10はその噴射口を副室9a内に向けて突出させて配置されるとともに、グロープラグ11は、燃料噴射弁10から噴射された燃料の一部が直接に接触するように、その先端部分が副室9a内に配置してある。このグロープラグ11は、燃料噴射弁10に燃料を供給する噴射ポンプPとともに、マイクロコンピュータを主体にしたエンジンコントローラ12により制御される。
【0010】
図2に示すエンジンコントローラ12は、回転数センサ13から出力される回転数信号によりディーゼルエンジン100のエンジン回転数NEを検出するとともに、以下に説明する手順でグロープラグ11への通電を制御する。またエンジンコントローラ12には、スタータスイッチSSが接続してあるとともに、スタータモータMが接続してある。そして、エンジンコントローラ12は、燃焼室を形成する副室9a内にグロープラグを配置し、始動開始直前からそのグロープラグ11に通電して赤熱させ、赤熱させたグロープラグ11に燃料の一部を吹きつけて着火するディーゼルエンジン100において、グロープラグ11への通電を継続している間にクランキングを開始し、クランキング開始後の所定経過時間内の着火状態をエンジン回転数NEに基づいて検出し、エンジン温度が所定値より低い場合でかつ未着火を検出した場合はグロープラグ11への通電を継続している状態で着火を検出するまでクランキングを所定周期で断続するものであって、クランキング中は燃料を供給し、クランキングを中断している間は燃料の供給を停止し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続するようにプログラムしてある。
【0011】
図3は、このディーゼルエンジン100の始動制御の概略手順を示すフローチャートである。
最初に、スタータスイッチSSをオン位置Lonにすることによりグロープラグ11への通電が開始され、スタータスイッチSSを始動位置Lstに切り換えることによりグロープラグ11への通電を継続した状態でスタータモータMに通電するようになっている。これにより始動が開始されると、各気筒の圧縮行程に対応して噴射ポンプPから燃料が副室9aに供給され、クランキングが開始する。
【0012】
以上のようにして、始動が開始されると、まず、ステップS1では、クランキング中であるか否かを判定する。クランキング中の判定は、スタータスイッチSSが始動位置Lstにあることにより判定する。ステップS2では、冷間始動であるか否かを判定する。すなわち、クランキング中のエンジン温度例えば冷却水温度を検出し、その検出した冷却水温度が所定値を下回っているか否かを判定する。この判定は、冷却水温度が高い場合には、クランキング中であってもこの制御を実行しないようにして、例えば暖機完了後にエンジンが始動しない状態でクランキングで車両を移動する必要がある場合に、確実にクランキングにより車両を移動させることができるようにするためである。ステップS3では、正常に着火したか否かを判定するために、エンジン回転数NEが所定値NEsを下回るか否かを判定する。この場合、エンジン回転数NEは、例えばそのクランキング中における最大値を採用し、その最大値と所定値NEsとを比較する。所定値NEsは、始動後を検出するつまり完爆判定を行う回転数、例えば1000回転/毎分より低く、爆発が連続して起こる下限の回転数、例えば400〜500回転/毎分に基づいて設定すればよい。そして、エンジン回転数NEが所定値NEs以上であれば、着火したと判定する。
【0013】
ステップS4では、所定時間Tstdが経過したか否かを判定する。つまり、クランキングを開始した後、エンジン回転数NEが所定時間Tstdの間、所定値NEs以上となることがない場合に、未着火であると判定する。ステップS5では、クランキングを設定時間Tsetの間、中断する。この設定時間Tsetは、あらかじめ設定されてエンジンコントローラ12内に保存してある。設定時間Tsetとしては、例えば1〜2秒程度で、クランキングの中断はスタータスイッチSSを始動位置Lstに保持した状態で実行されるので、短いほど違和感がないものとなる。ステップS6では、設定時間Tsetだけ中断した後クランキングを再開する。ただし、クランキングを再開するのは、スタータスイッチSSが始動位置Lstにある場合である。
【0014】
このような構成において、スタータスイッチSSをオン位置Lonにすると、グロープラグ11に通電を開始していわゆるプレグロー状態となる。これによって、グロープラグ11の温度は、図4に示すように、急激に上昇する。この後スタータスイッチSSを始動位置Lstに切り換えると、スタータモータMが回転して、クランキングが始まる。クランキングが始まると、圧縮行程において噴射ポンプPが駆動され、燃料が副室9aに噴射される。この時、噴射された燃料の一部はグロープラグ11に吹きつけられるので、グロープラグ11の温度は低下する傾向になる。
【0015】
クランキング中の状態になると、冷却水温度が所定値を下回る場合では、制御は、ステップS1→S2→S3と進み、検出したその時点のエンジン回転数NEが所定値NEsを下回っているかどうかを判定する。クランキングが継続している場合、その初期段階ではエンジン回転数NEが上がらないので、所定値NEsを下回っていることがある。この場合、ステップS4において、そのクランキングの状態で所定時間Tstd経過したかを判定し、所定時間Tstdが経過していない場合は、再度ステップS3を実行してエンジン回転数NEが所定値NEsを下回っているか否かを判定する。検出したエンジン回転数NEが所定値Nes以上である場合は、今回のクランキングにおいて着火したので、この制御を終了する。
【0016】
一方、検出したエンジン回転数NEが所定値NEsを下回る場合は、まだ着火していないので、再度ステップS4を実行する。そして、スタータスイッチSSが始動位置に切り換えられてから所定時間Tstdが経過した場合は、ステップS5に移行してスタータスイッチSSが始動位置に保持されている状態でクランキングを中断する。この中断時間すなわち設定時間Tsetは、クランキングの継続時間からすればごく短いものであるので、使用者はスタータスイッチSSを始動位置Lstに保持していても、クランキングが中断しているのを意識することは少ない。この後、設定時間Tsetが経過した後、ステップS6に移行して、クランキングを再開する。クランキングを再開すると、制御は、ステップS3に戻り、再度エンジン回転数NEが所定値NEsを下回るか否かを判定する。
【0017】
このように、クランキングを中断している間、スタータモータSSが回転しないので、噴射ポンプPも作動せず、燃料は副室9aに供給されず、よってグロープラグ11に吹きかかることもない。また、例えば冬期あるいは寒冷地等における低温の外気も供給されない。したがって、これらの外的要因により、副室9a内やグロープラグ11の温度は低下することがない。逆に、この間もグロープラグ11には通電が継続しているので、プレグローの状態と同じとなりグロープラグ11の温度は上昇する。このため、クランキングの中断後クランキングを再開した際にはグロープラグ11は十分に赤熱しているので、冬期等の外気が低い場合であっても、着火することができる。
【0018】
また、仮に、着火しない場合にあっても、クランキングの再開後、エンジン回転数NEが所定値NEs以上となるまでステップS3〜ステップS6を繰り返し実行するので、グロープラグ11が連続してクランキングを続行している場合のように冷えず、着火を容易にするものである。この結果、低温時においても、クランキングしている場合の着火までの合計時間を短縮することができ、不快になることなく始動することかでき、始動性を向上させることができる。
【0019】
しかも、所定周期でクランキングを断続するので、クランキングを中断している際には燃料が副室9aに供給されず、したがって残留することを低減することができる。このため、燃料の消費量を節約することができるとともに、始動後の白煙及び黒煙の発生を減少させることができる。
【0020】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。上記した所定時間Tstd及び設定時間Tsetは、ディーゼルエンジン100の排気量やグロープラグ11の熱量等に応じて、またクランキングの断続及び燃料カット等の制御方法に応じて適宜設定されるものであってよい。
【0021】
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、クランキングを開始して所定経過時間内に着火を検出しない場合には、クランキングを所定周期で断続するので、クランキング中断期間中はディーゼルエンジンが回転せず、燃料が燃焼室内に供給されないため、着火しない状態で燃焼室内に残留する燃料を減少させることができる。このため、燃焼室内に配置され、クランキングの開始から通電を継続させているグロープラグが燃料により冷却されることがなくなり、再度クランキングを開始する際にグロープラグが赤熱しており、始動を促進することができる。しかも、クランキングを中断している間は、外気の吸入もなくなるために、外気により燃焼室内が冷えることを防ぐことができ、しかも燃料の供給も中断しているため、燃料の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるディーゼルエンジンの構成を示す断面図。
【図2】同実施例の電気制御部分の概略構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の制御手順の概略構成を示すフローチャート。
【図4】同実施例の作用説明図。
【符号の説明】9…主燃焼室9a…副室
10…燃料噴射弁
11…グロープラグ
Claims (1)
- 燃焼室内にグロープラグを配置し、始動開始直前からそのグロープラグに通電して赤熱させ、赤熱させたグロープラグに燃料の一部を吹きつけて着火するディーゼルエンジンにおいて、グロープラグへの通電を継続している間にクランキングを開始し、クランキング開始後の所定経過時間内の着火状態をエンジン回転数に基づいて検出し、エンジン温度が所定値より低い場合でかつ未着火を検出した場合はグロープラグへの通電を継続している状態で着火を検出するまでクランキングを所定周期で断続するものであって、クランキング中は燃料を供給し、クランキングを中断している間は燃料の供給を停止し、エンジン温度が所定値より高い場合にはクランキングを継続することを特徴とするディーゼルエンジンの始動制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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