JP3545607B2 - ボウル傾倒式便器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、従来の便器に用いられているサイフォン及びジグザグ形のトラップを無くして、慣用の便器にみられる欠点の大半を解消した、新規な傾倒式便器に関する。サイフォンから出る騒音は無くなり、詰まりも最小限に抑えることができる。さらに、任意に周期的に水を流すことにより、水圧が低くても、最適な洗浄効果を容易に得ることができ、よって顕著な節水効果があり、慣用のタンクは不要になる。
【0002】
【従来の技術】
従来の便器は、水圧を上げて、サイフォン作用によって水及び排泄物をジグザグのトラップを通して強制的に流すために、タンク又はポンプが必要であり、大量の水を消費し、サイフォンの騒音がうるさいという主要な欠点がある。現在利用できる低流便器では、騒音がうるさい上に、洗浄が充分ではなく、水を二度流す必要があるという不満がよく聞かれる。
【0003】
他の従来技術としては、複雑な機構を介して手で操作するフラップ式の小さな栓が排出孔に設けてあり、通常乗り物のトイレにのみ使用されているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の便器に使用されるサイフォンから出る騒音を無くし、詰まりを最小限に抑えることができる便器を提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、任意に周期的に水を流すことにより、水圧が低くても、最適な洗浄効果を容易に得ることができる便器を提供することにある。
【0006】
また本発明のさらに別の目的は、従来の便器に使用されるタンクを必要とせず、顕著な節水効果をあげることができる便器を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、従来の便器に使用されるタンクを必要としないため、使用者が自分で組み立てて使用することができる、持ち運び可能な便器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、便器であって、チャンバーを規定するフレームと、該フレームと連結し、該チャンバーを上方チャンバー領域と下方チャンバー領域とに仕切る便器水盤とを備え、該便器水盤は、該上方チャンバー領域と該下方チャンバー領域とを連通させる少くとも一つの水盤排出開口を規定し、前記便器はさらに、略前記下方チャンバー領域内に配置される傾倒ボウルを備え、該ボウルは流体を受容する空間を規定し、前記傾倒ボウルが、前記少くとも一つの水盤排出開口を通して流体を受理、貯溜する実質的に水平な第一位置と、流体が前記便器水盤から前記少くとも一つの水盤排出開口を通して、及び流体を受容する前記空間から、前記下方チャンバー領域へ流れるようにする第二位置との間で、便器水盤に対して枢動するように載置されており、前記便器はさらに、便器の操作を開始するための作動手段を備える便器において、前記傾倒ボウルは、該ボウルにかけられた力の合力によって前記第一位置に留まるように遅延され、該合力は、前記傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクと少くとも充分に釣り合うだけの遅延トルクを、枢動軸を中心として発生させ、
前記傾倒トルクが、傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクよりも小さくなると、前記傾倒ボウルは、前記第一位置から第二位置へと移動し、前記作動手段は、前記遅延トルクを低下させて、傾倒ボウルを前記第一位置から第二位置へと移動させるように作動することを特徴とする便器が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の構成及び実施態様を列挙する。
【0010】
1.便器であって、チャンバーを規定するフレームと、該フレームと連結し、該チャンバーを上方チャンバー領域と下方チャンバー領域とに仕切る便器水盤とを備え、該便器水盤は、該上方チャンバー領域と該下方チャンバー領域とを連通させる少くとも一つの水盤排出開口を規定し、前記便器はさらに、
略前記下方チャンバー領域内に配置される傾倒ボウルを備え、該ボウルは流体を受容する空間を規定し、前記傾倒ボウルが、前記少くとも一つの水盤排出開口を通して流体を受理、貯溜する実質的に水平な第一位置と、流体が前記便器水盤から前記少くとも一つの水盤排出開口を通して、及び流体を受容する前記空間から、前記下方チャンバー領域へ流れるようにする第二位置との間で、便器水盤に対して枢動するように載置されており、前記便器はさらに、便器の操作を開始するための作動手段を備える便器において、前記傾倒ボウルは、該ボウルにかけられた力の合力によって前記第一位置に留まるように遅延され、該合力は、前記傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクと少くとも充分に釣り合うだけの遅延トルクを、枢動軸を中心として発生させ、前記傾倒トルクが、傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクよりも小さくなると、前記傾倒ボウルは、前記第一位置から第二位置へと移動し、前記作動手段は、前記遅延トルクを低下させて、傾倒ボウルを前記第一位置から第二位置へと移動させるように作動することを特徴とする便器。
【0011】
2.前記流体を受理する空間は、前記第一位置にある際に、少くとも部分的に前記便器水盤と重なり合い、前記少くとも一つの水盤排出開口を通る気体の流れを制限するように、該開口を包囲するのに充分な所定量の流体を貯溜する、上記1に記載の便器。
【0012】
3.前記傾倒ボウルは、前記第一位置にある際に、便器水盤と共に不通気性接続部を形成し、前記下方チャンバー領域内の気体が前記流体を受理する空間へ流入するのを制限する、上記1又は2に記載の便器。
【0013】
4.前記便器が、下水管からの気体が前記下方チャンバー領域内へ流入するのを制限するための手段をさらに備える、上記1〜3のいずれか1に記載の便器。
【0014】
5.前記下水管からの気体が前記下方チャンバー領域内へ流入するのを制限するための手段が、液体シール及びカバーを含む、上記4に記載の便器。
【0015】
6.前記便器が、洗浄のために前記便器水盤に水を導くように配置配列された複数の出口を通して送水するための手段をさらに備える、上記1〜5のいずれか1に記載の便器。
【0016】
7.前記送水するための手段が、洗浄効果を高めるために、連続する出口群から周期的に水を噴出するためのシーケンス手段をさらに備える、上記6に記載の便器。
【0017】
8.前記シーケンス手段が、複数のトグルスイッチを作動させて、前記複数の出口へ順次洗浄用水を送給するための回転手段を備える、上記7に記載の便器。
【0018】
9.前記便器は、前記傾倒ボウルが前記第一位置にある場合に、前記流体を受理する空間において所定水位を維持するための手段をさらに備え、該水位を維持するための手段は、所定水位よりも低い水位が検出されると、給水を開始させ、少くとも該所定水位と等しい水位が検出されると、給水を停止する、上記1〜8のいずれか1に記載の便器。
【0019】
10.前記便器は、前記流体を受理する空間内の水位が、前記所定水位を越えると、過剰な流体を排出するための、前記傾倒ボウルに形成された排出手段をさらに備える、上記に記載の便器。
【0020】
11.前記複数の出口への送水、並びに前記第一位置から第二位置への傾倒ボウルの運動が、同時に開始する、上記6又は7に記載の便器。
【0021】
12.前記複数の出口への送水、並びに前記第一位置から第二位置への傾倒ボウルの運動が、異なる時間間隔で開始する、上記6又は7に記載の便器。
【0022】
13.前記作動手段がさらに洗浄用水の供給を行なわせ、上記1〜12のいずれか1に記載の便器。
【0023】
14.前記便器の操作中には、傾倒ボウルを前記第一位置から第二位置へ移動させるための起動手段を作動不能とするための手段をさらに含む、上記1〜13のいずれか1に記載の便器。
【0024】
15.前記作動不能とするための手段が、前記流体を受理するための空間内の水位によって制御される、上記14に記載の便器。
【0025】
16.前記便器が、手動作動及び/又は電子的作動及び/又は遠隔作動及び/又は使用者が立ち去るとそれに応答する自動作動に対応している、上記1〜15のいずれか1に記載の便器。
【0026】
17.前記傾倒ボウルにかけられた合力が、重量及び/又は磁力及び/又は空気力及び/又は油圧力及び/又はバネ力及び/又は電力及び/又は電磁力成分を含む、上記1〜16のいずれか1に記載の便器。
【0027】
18.前記傾倒ボウルが、前記第二位置から第一位置へ戻るように付勢されている、上記1〜17のいずれか1に記載の便器。
【0028】
19.前記傾倒ボウルが第二位置から第一位置へ戻るのを遅延させるための遅延手段をさらに備える、上記18に記載の便器。
【0029】
20.前記少くとも一つの水盤排出開口が、底部排出孔の略上方に配置され、該水盤排出開口を垂直投影した場合の影が、前記底部排出孔を垂直投影した場合の影と少くとも部分的に重複している、上記1〜19のいずれか1に記載の便器。
【0030】
21.前記複数の出口が、少くとも一つの水盤排出開口及び/又は底部排出孔の略上方に位置する便器水盤の下方領域を包囲する包囲領域を規定するように配置され、該包囲領域を垂直投影した場合の影が、該少くとも一つの水盤排出開口を垂直投影した場合の影及び/又は該底部排出孔を垂直投影した場合の影と少くとも部分的に重複する、上記6又は7に記載の便器。
【0031】
22.前記傾倒ボウルが、多数のボウル部品からなり、少くとも一つのボウル部品が、実質的に水平な軸を中心として枢動するように載置されている、上記1〜21のいずれか1に記載の便器。
【0032】
23.前記便器が、別個の部品として提供され、別個及び/又は折畳み可能なフレーム、別個及び/又は折畳み可能な便器水盤、別個及び/又は折畳み可能な傾倒ボウル、別個及び/又は折畳み可能な貯水容器、及び/又は別個及び/又は折畳み可能な廃水容器を含む、上記1〜22のいずれか1に記載の便器。
【0033】
【実施例】
本発明の目的、利点、及び特徴を、添付図面を参照して以下の好ましい実施態様の非限定的説明によって解説するが、これらは例示に過ぎない。
【0034】
本発明の便器の好ましい実施態様を図1に示し、全体を参照番号1で示す。
【0035】
便器1は、フレーム2を有し、フレームは水盤排出開口4を有する便器水盤3を支持する。水盤は、フレーム2によって規定されるチャンバーを上方チャンバー領域5と下方チャンバー領域6とに仕切っており、排出開口4はこの二つの領域間の連通路となっている。下方チャンバー領域6には、排泄物及び水を便器の外の下水管(図示せず)へ排出するための底部排出孔7が設けてある。
【0036】
傾倒ボウル8は、載置支持部117によって下方チャンバー領域6内に載置され、傾倒ボウル8が便器水盤3の下方部分を包囲し、水盤排出開口4を通ってくる水を受理、貯溜する基本的に水平な第一位置と、排水を底部排出孔7から排出するために傾倒させた第二位置との間で、実質的に水平な軸9を中心として、水盤3に対して枢動する。通常傾倒ボウル8は第一位置にあって、待機時に充填された水を貯溜しておき、水位10を維持して水盤排出開口4を包囲することによりガスシールを形成して、気体が開口4を通過してくるのを防ぐ。
【0037】
傾倒ボウル8は、傾倒ボウルの縁にある小さな舌部11が、起動組立体13の一部を構成する支持板70の先端12上に支持された状態で、第一位置に保持されている。起動組立体13は、好ましくはフレーム2内部の水盤前フランジ14の近くに配置し、容易に起動できるようにする。給水バルブ17は好ましくは起動組立体13に隣接して取付け、フレーム2の側面開口15を通して設けた起動スイッチ18を一度押すと、洗浄用水及びボウルの傾倒を同時に起動することができるようにする。側面開口15内には動的Oリング16を嵌装し、完全に不透水性とする。起動については、後に詳述する。
【0038】
水噴出口19は、好ましくは便器水盤のリム20に沿って配置し、便器水盤3を効果的に洗浄するように水を噴射できるように配向される。洗浄用水は、バルブ17から管21を通して噴出口19へと給水される。好ましくは、水盤リム20の内部を中空として、中空チャンネル22にうまく給水管21を収容、配管する。
【0039】
便器を操作するには、使用者は起動スイッチ18を押すだけでよい。ここに示す起動スイッチ18は、単純なプッシュボタンであるが、この目的を果たすことができる機構であれば、例えばレバーハンドル、回転装置等、いかなる機構を用いてもよい。
【0040】
図2にバルブ17の基本構造を示す。バルブ17は、この好ましい実施態様に示すとおり、最適な洗浄効果が得られるように、噴出口19から予め決められた周期で加圧水を噴射するためのシーケンスバルブである。しかし、給水圧の高い領域には、非シーケンスバルブを設けてもよい。
【0041】
円筒形バルブーケーシング29は水密性である。給水は、ケーシング29内部の特別な入水通路30を通って指向され、タービン31を効果的に駆動する。タービン31の平面図を図3に示す。このタービン31は、一組の減速ギア32を駆動する。このギア32のギア比は、便器を洗浄する所定の時間サイクルに合わせて選択されている。この減速ギア32は、プログラムディスク33を駆動する。プログラムディスク33の下方には、枢動することにより管21に給水するためのオン−オフスイッチとして機能するトグルスイッチ34が環状に配列されている。管21は洗浄用水を噴出口19へと送水する。
【0042】
図4は、オン−オフトグルスイッチ34が環状に配置されたバルブ基部35の平面図である。各トグルスイッチの外側アーム41の下面には、ゴム製の円錐形ストッパー36が設けてある。水管21の吸入口植入ボルト37は、円錐形ストッパー36の真下にあり、吸入口植入ボルト37の入口にある凹所38は、円錐形ストッパー36の外面の湾曲に合わせて成形されているのでぴったりと係合し、トグルスイッチ34が平らな「オフ」位置にある場合に、水が流入するのを防止する。トグルスイッチ34の内側アーム40の上面には、小さな球状突起39が形成されている。内側アーム40は、外側アーム41よりもかなり短いので、外側アーム41のほうがより大きいトルクを発生する。従ってトグルスイッチ34は通常平らな「オフ」位置にあり、円錐形ストッパー36は凹所38内に嵌合している。外側アーム41にかかる水圧もまた、水が吸入口植入ボルト37から流入するのを防止している。
【0043】
図5はプログラムディスク33の平面図である。プログラムディスク33の下面には、円形の作動リブ42が取り付けてある。このリブ42は、プログラムディスク33の回転に伴って、球状突起39上を通過してトグルスイッチ34を枢動させて「オン」位置とし、外側アーム41を持ち上げて、ゴム製円錐形ストッパー36を凹所38から脱離させ、水が管21の吸入口植入ボルト37から流入して最終的に噴出口19から噴射されるようにする配置及び高さである。操作をスムーズに行なうために、作動リブ42の端部は先細とする。プログラムディスク33の下面には保護リブ43も設けられている。このリブ43は、トグルスイッチ34の外側アーム41の上面44にちょうど接触して、水が吸入口植入ボルト37から流入するのを確実に防ぐような配置及び高さで設けられる。当然ながら、保護リブ43は、トグルスイッチ34を「オフ」にすることが求められる回転角度にのみ設置され、反対に作動リブ42は、トグルスイッチ34を「オン」にすることが求められる回転角度に設置される。
【0044】
プログラムディスク33上面の縁部近くには、小さなスターターボード45が設けてある。待機時には、スターターボード45は、不透水性を高めるために動的Oリング48を設けたバルブケーシング29の側面穴47に貫設したプランジャー46と垂直に対向している。プランジャー46は、スターターボード45の軌道の外側に配置されているので、プログラムディスク33の回転を妨げるものではない。スムーズに操作するためには、バルブ17を待機時を含め常に水で満たしておくことが望ましい。
【0045】
この好ましい実施態様において、起動スイッチ18を一回押すと、シーケンスバルブ17及び起動組立体13が同時に起動される。この同時起動は、起動組立体13を作動させるプランジャーアーム50と、シーケンスバルブ17を始動させるプランジャーアーム46とを有するツインプランジャー49によって行なうことができる。図2を参照するとわかるように、起動スイッチ18を押すと、プランジャーアーム46がスターターボード45を押して、作動リブ42が少くとも一つのトグルスイッチ34を開く所定角度まで回転させる。一旦水管21中に水が流入すると、水路30から流入してくる水がタービン31を回転駆動し、バルブサイクルが開始する。作動リブ42は、バルブサイクルが一旦開始すると、サイクル中常に少くとも一つのトグルスイッチ34を押し下げて「オン」状態に維持するように配置されており、プログラムディスク33は駆動されて回転し続ける。プログラムディスク33の回転により、作動リブ42は、トグルスイッチ上を所定周期で移動し、水管21に順次給水する。作動リブ42が最後のトグルスイッチを通過した後に、水の流れが停止するように、待機角度に対応する位置は、トグルスイッチがなく空隙となっている。従って、プログラムディスク33が待機角度で静止すると、バルブサイクルが停止する。
【0046】
トグルスイッチ34を回転の中心から異なる半径の地点に配置し、対応する作動リブ42を特定のリブ長さとすることにより、最適な洗浄効果を得るための所望の噴出シーケンスをプログラムすることが基本的に可能である。バルブ17を確実且つスムーズに操作するため、好ましくは入水通路30にフィルターを設けて、ゴミを漉し取ってシンク(図示せず)に送り、廃棄する。
【0047】
起動スイッチ18は離すと直ぐに元に戻るが、プランジャー46は、傾倒ボウル操作と同期して戻るため、後述するように傾倒ボウル8が第一位置に戻った後も水は流れ続けて、所望量の待機水を維持することができる。
【0048】
いかなる適切な起動機構を使用してもよいが、図6には、便器1の好ましい実施態様に使用する起動組立体13の断面図を示す。
【0049】
起動組立体13のケーシング51内部には、小さな円形開口54と、確実に不透水性とするための動的Oリング55とを備える、円筒形の空気室53の形態である戻り遅延手段52がある。ツインプランジャー49のプランジャーアーム50は、ケーシング51内へ進入し、開口54を通して直接空気室53内へ通過している。プランジャーアーム50の端部には、円形ピストン56が取付けられている。実に不透水性とするために、ピストン56の周縁部に沿って動的Oリング57を追加してもよい。ピストン56には二つの孔58、59が設けてあり、孔58は小直径であり、孔59は大直径である。孔59のプランジャー側には、フラップ式蓋60がヒンジ止めされている。フラップ式蓋60で孔59を覆うと空気が孔を通るのを止めることができ、開放すると空気を容易に通すことができるように、フラップ式蓋60の直径は孔59よりも大きい。従ってピストン56は、空気室53を区画室61、62に分割している。
【0050】
図示するように、プランジャーアーム50に隣接してカム63が配置されており、待機時にはストッパー64によって時計周りに回転しないように止められている。カム63の表面には、起動スイッチ18を押すとプランジャーアーム50に設けた可撓性バーブ66と接触する、突出スタッド65が設けられている。
【0051】
起動組立体13の操作は、図7に順次最もよく示されている。
【0052】
起動スイッチ18を押すと、これに応じてツインプランジャー49が押される。プランジャーアーム46はシーケンスバルブ17を作動させ、プランジャーアーム50はピストン56を空気室53の奥へ押し進める。フラップ式蓋60は通過する空気によって強制的に開放され、区画室61内の空気は、孔58及び孔59の両方を通して区画室62へと強制通気される。また、可撓性バーブ66は、図7の(1)に示すように突出スタッド65に到達すると、徐々に押し下げられる。
【0053】
突出スタッド65の形状は先細となっているので、プランジャーアーム50はほとんど抵抗なく進むことができ、可撓性バーブ66は、前進する間に突出スタッド65によって徐々に押し下げられる。図7の(2)に示すように、プランジャーアーム50が空気室53のさらに奥へ進むと、可撓性バーブ66は、突出スタッド65を通過した後、もとの傾斜状態に戻る。
【0054】
起動スイッチ18は、解放されると元の待機位置に戻る。ツインプランジャー49もまた、一つ以上のばね67によって戻り方向に付勢される。しかしながら、プランジャーアーム50が戻ると、空気は区画室62から区画室61へ、フラップ式蓋60を押して大孔59を閉鎖させる方向に強制的に移動させられ、小孔58のみをゆっくりと通過する。従って、プランジャーアーム50は遅延して、ゆっくりと戻る。バーブ66の傾斜上方端が最終的に突出スタッド65の平坦端部と接触すると、カム63が押圧されて反時計回りに回転し始める。カム63が回転すると、カム歯68が好ましくは金属製である支持板70のバーブ69を押し、図7の(3)に示すように支持板70を後退させる。
【0055】
支持板70は、図示するように組立体ケーシング51の外へ突出し、その先端部12は、前述したとおり傾倒ボウル8の舌部11を支持している。支持板70が後退していくと、最終的に先端部12は接触していたボウル舌部11から離れる。傾倒ボウル8は支持を失って、傾倒し始め、その内容物を排出する。カム63が回転し続けると、カム歯68は徐々に上方へ回転して、可撓性バーブ69を越える。バーブ69がカム歯68から解放されると、板用の小さなばね71によって付勢されている支持板70は、図7の(4)に示すように待機位置へと戻り始める。
【0056】
カム63が反時計回りにさらに回転し続けると、突出スタッド65は徐々に上方に移動し、接触していた可撓性バーブ66から最終的に離れる。バーブ66から外れると、ストッパー64に取り付けたバネ(図示せず)によって、若しくは図7の(5)に示すように単に戻り方向に枢動することによって、カム63は待機位置に向けて時計回りに回転し始める。カム63が戻る時、カム歯68は、可撓性であるバーブ69を押し下げる。カム63が待機位置に達すると、バーブ69は解放されて元の直立姿勢に戻り、始動時と同様にカム歯68と係合する。プランジャーアーム50及びツインプランジャー49は、さらに待機位置までゆっくりと戻り続ける。
【0057】
プランジャーアーム50の戻りを遅延させるのは、洗浄水を起動させた後、所望時間だけボウルの傾倒を遅らせて、洗浄水を排出する前に便器水盤の汚れを充分に洗浄するためである。遅延時間は、孔58の直径を調節することによって所望の長さとすることができる。
【0058】
再度図1を参照して、下水管からの気体が下方チャンバー領域6に侵入するのを防ぐために、底部排出孔7を取り囲む環状溝92と、環状溝92と一致する直径の円形カバー91とで、液体シール90を形成する。円形カバー91の縁部は、溝92内の水中に完全に浸漬しているため、完全な液体シールが形成され、気体が通過するのを防止している。カバー91は、コネクター93によってボウル棚部23に接続されている。よって傾倒ボウル8が傾倒すると、同時にカバー91が持ち上げられ、底部排出孔7を開放する。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、シール90の代わりに、例えばゴム製シール等の乾式シールを使用することもできる。
【0059】
図8は、傾倒ボウル8が傾倒した第二位置にあり、カバー91が開いていて、便器水盤3及び傾倒ボウル8から排泄物及び水を底部排出孔7を通して排出することができる状態を示す。傾倒ボウル8は、内容物を排出した後、適当な重量としてあるカバー91によって生じるトルクによって付勢されて簡単に元に戻る。若しくは、ボウル棚部23をフレーム2に接続しているバネによって、又は例えば棚部23に取り付けた油圧プレス又は圧搾空気によって駆動されるピストン等の他の形式の遅延力によって、元に戻るための付勢を加えてもよい。便器水盤3の洗浄を最適な条件で行なうために、傾倒ボウル8を遅延させてゆっくりと戻るようにすることが好ましい。よって、短い鎖74で棚部23と遅延手段24のプランジャーシャフト75とを連結する。この遅延手段24の構造は、先に説明した遅延手段52と同様であり、図示するようにチャンバー6内部の上方領域に固定されている。図9は、傾倒ボウル8が戻る際にどのように遅延されるかを示している。
【0060】
図9の(1)において、傾倒ボウル8が傾倒し始めると、ボウル棚部23が持ち上げられて、屈曲部76と接触するようになり、プランジャーシャフト75を上方に押し上げる。ピストン77は急激に上方へ移動し、フラップ式蓋78が通過する空気によって開放されると、空気は大直径孔79と小直径孔80の両方を通過する。
【0061】
傾倒ボウル8が傾倒すると、ボウル棚部23は円形軌道を描いて上方に移動する。そしてピストン77が図9の(2)に示す所定最大高さまで押し上げられると、ボウル棚部23は接触していたシャフト屈曲部76から最終的に離れる。
【0062】
真っすぐになった短い鎖74を引っ張った後、ピストン77はゆっくりとしか移動できないので、傾倒ボウル8の戻りは遅延する。大孔79はフラップ式蓋78によって閉鎖されているので、図9の(3)に示すように、空気は小孔80のみしか通過することができない。
【0063】
支持板70の先端部12の上面は平坦で、下面は傾斜しているので、ボウル舌部11が戻りながら先端部12を押し上げると、支持板70が後退する。舌部11が先端部12の上方へ通過すると、支持板70が戻り、先端部12は待機位置へ戻って舌部11を支持する。これはドアを閉める際のドアロックのシャトルと同じ原理である。また同時に円形カバー91も待機位置に戻って、底部排出孔7を覆い、液体シールを形成する。
【0064】
シーケンスバルブ17が操作サイクルを完了すると、水の噴射が停止する。サイクル時間は、減速ギア32のギア比及びプログラムディスク33を適切に選択することによって、傾倒ボウル8内に所定量の洗浄用水を保持して、水位10を待機水位に維持するように、予め決められている。バルブ17が停止した時点で水位10に達していない場合には、浮き27によって制御される個別バルブ25が、水位10に到達するまで個別出口26から給水を続ける。一方、水位が高過ぎる場合には、過剰な水は図1に示す傾倒ボウル8の側面開口28から排出される。
【0065】
起動スイッチ18は、便器操作の間には起動されないようにすることが望ましい。そのために、浮き27に連結されている浮き機構72に遮断金属板73を組み込み、水位制御システムが、傾倒ボウル8内の水位が水位10よりも低い場合に起動を不能とする役割をも果たすようにする。図1を参照して、水位が水位10よりも低下すると、浮き27が降下し、よって浮き機構72も下降し、金属板73を引き降ろして、起動スイッチ18が通過すべき通路118を遮断させて、起動不可能とする。傾倒ボウル8が第一位置に戻った後、且つ水位が上昇するにつれ、浮き27は上昇し、金属板73も同時に上昇する。水位10に達すると、遮断金属板73は起動スイッチ18が通過する通路118の外に出るので、再度起動可能な状態に戻る。このようにして、便器操作中の起動を防止する。
【0066】
最適な洗浄効果を得るために、この好ましい実施態様では戻り遅延手段を用いているが、本発明ではこのような戻り遅延手段を用いても用いなくてもよいということを、繰り返し述べておく。予備洗浄が不要であれば、起動機構を簡単に変更するだけで、ボウルの傾倒を給水と同時に起動することができる。同様に、洗浄用水を送給する前に、ボウルを傾倒させて内容物を排出することもできる。若しくは、独立した起動スイッチを設けることにより、給水せずにボウルの傾倒を起動することもできる。また、戻り遅延手段24を削除することにより、傾倒ボウル8を、内容物の排出直後に戻すこともできる。
【0067】
ここまで、傾倒ボウル8が支持板70によって第一位置に留まるように支持されると説明してきたが、単に舌部11に鉄金属板を取付け、支持板70の先端部に適切な磁力の磁石を取付け、金属板と磁石との間に適切な幅の空隙を設けることにより、磁力を利用することもできる。板70が後退すると、空隙の幅が増加するので磁気引力が低下し、傾倒ボウル8が傾倒する。この構成では、舌部11と板70とが接触しないため、破損や摩耗を最低限とすることができ、有利である。
【0068】
図10は、電子的起動ユニット81を備える実施態様を示す。スターターボード45内には永久磁石82を埋設し、舌部11には鉄金属ブロック83を取り付けてある。待機状態では、磁石82及びブロック83は、図示するようにそれぞれ電磁コイル84、85に対向している。電磁コイル84、85は干渉を防止するために適切に遮蔽され、電子制御ボード86に接続されている。これらの部品は全てハウジング87内部に収容されている。制御ボード86は、起動スイッチ88及び電力供給のための電源コード89に接続されている。
【0069】
待機状態では、電磁コイル85は、傾倒ボウル8を第一位置に保持するのに充分な保持力でブロック83を引き付ける電磁石として給電されるが、電磁コイル84には給電されない。起動スイッチ88を押すと、制御ボード86に信号が送信され、ボード86はパルスを発信して電磁コイル84に給電して、永久磁石82と逆の極性の磁力を発生させ、磁石82及びプログラムディスク33に推力与えて回転させ、給水サイクルを開始する。制御ボード86内部のタイミング装置は、パルスを所定時間だけ遅延させ、電磁コイル85を遮断する。電磁コイル85が遮断されると、保持磁力が消失するので、傾倒ボウル8は第二位置へと傾倒し始める。パルスによって起動するため、電磁コイルは両方ともすぐに待機状態に戻る。通常どおり、傾倒ボウル8は戻るように付勢されている。このように、便器操作を電子的に起動すると、効率が上がる。
【0070】
電子的起動ユニット81にセンサーを設けることによって、さらに進んだ実施態様とすることが可能である。使用者がいることを検知するセンサーを追加することにより、使用者が立ち去ると自動的に操作を起動するように、制御装置をプログラムすることができる。若しくは電波センサー、音センサー、又は赤外線センサーを追加すると、便器の操作を遠隔起動することもできる。当然ながら、電子的手段、遠隔手段、自動手段等の種々の起動手段を、同じ実施態様に組み込んで、使用者の便宜を図ることもできる。先進の起動手段が故障した場合の保障として、手動起動手段を合わせて組み込むこともできる。
【0071】
プランジャーアーム46及び50、及び/又は支持板70を、連帯的若しくは別個に、電気モーターによって制御する、又は圧搾空気又は油圧によって駆動するように設計することは、当業者には容易である。また、重力、電力、電磁力、磁力、空気力、油圧力、及び/又はばね力等の別の力を適宜組み合わせ、ボウル舌部11、平坦な棚部23、及び/又は傾倒ボウル8の他の領域を付勢し、好ましい実施態様を適宜変更して、傾倒ボウル8を水平な第一位置に留まるように遅延させることができる。このような力は列挙したものに限定されない。
【0072】
水位制御を行なわない経済的な実施態様等において好ましい場合には、図11に示すように、傾倒ボウルと便器水盤との間に乾式シールを設けて、下水管からの気体が、水盤排出開口4から侵入するのを防止することができる。この態様では、便器水盤3は、傾倒ボウル8の縁部95の曲率に合った形状とする。先の態様と同様に、傾倒ボウル8は、実質的に水平な軸を中心として枢動するように載置されており、空になったら傾倒した第二位置から傾倒していない第一位置へ戻って、支持板70と係合するように付勢されている。この第一位置では、縁部95は、水盤3の下面94と完全に嵌合して、不透水性接合部を形成しているので、下方チャンバー領域6内の気体が傾倒ボウル8内へ侵入するのを防止している。さらにシール効果を高めるために、図示するように縁部95に沿ってゴム製ライニング96を設けてもよい。
【0073】
図12は、相補的な傾倒ボウル部品98、97を備える好ましい実施態様を示す。大きい方のボウル部品98の最低高さは、最も低い縁部における高さで、所定水位10よりも高いので、気体が漏洩する恐れはない。通常は、起動組立体13の制御によって大きい方のボウル部品98のみが傾倒し、小さい方のボウル部品97は静止させておくことができる。しかしながら、起動組立体13を僅かに変更することにより、若しくは支持板70に相補的部品を加えることにより、相補的な傾倒ボウル部品98及び97の両方を起動して、同時に傾倒させることもできる。この実施態様の利点は、ボウル部品98が傾倒するに際して上方移動空間をあまり必要としないため、便器1の全高を低くすることができるという点である。乾式シールを使用する場合には、両方のボウル部品の縁部にゴム製ライニングを設けてもよい。
【0074】
従来の便器のジグザグ形のトラップを不要としたので、本発明では、水盤排出開口4を底部排出孔7の直上に配置して、底部排出孔7を、通常壁から僅かしか離れていない位置にある下水管に直接接続することができる。よって、傾倒ボウル8を傾倒させて排出する場合に、廃水を直接下水出口へ送入することができるので、管が詰まる可能性が非常に低くなり、排泄物を流すために必要な水が少なくて済む。実際に、本発明では、噴出口19に囲まれた領域99と、水盤排出開口4と、底部排出孔7とは、図13に示すように同軸的に配置することができ、好ましくは、垂直投影した際の影が互いに重なり合うように配置することができる。好ましい場合には、水盤排出開口4を二つ以上の開口で構成して、排泄物をより簡単に排出できるようにすることもできる。
【0075】
図14は、フレーム、傾倒ボウル、水盤、及び便器リムが別個の各部品からなり、使用者が組み立てることができる別の好ましい実施態様を示す。フレーム102、水盤103、及び便器リム101は、図示するように適当に配置された接合ねじ穴108を有する接合フランジ105、106、107をそれぞれ備える。使用者は、それぞれの部品をねじ109とナット110とで固定することによって、便器を組み立てることができる。この実施態様の利点は、別個の便器部品及び固定用付属品をコンパクトなパッケージに梱包し、便器を持ち運び可能としたことにある。
【0076】
各部品を折畳み可能にすることによって、パッケージの大きさをさらに小さくすることができる。傾倒ボウル111をナイロンや厚手のPVC等の可撓性材料で作ることによって、折畳み可能な設計とすることができる。フレーム102もまた、折畳み椅子として使用するような、図15に示す接合ねじ穴108を有する折畳み可能な骨組支持体112、及び接合ねじ穴108を有する接合PVC囲包体113と差し替えることができる。このような折畳み可能な部品とすることにより、全ての便器部品並びに載置及び固定用付属品は、アタッシュケース大の容器に梱包することができる。水道が利用できない場所で持ち運び可能な便器として使用するためには、折畳み可能な貯水容器を加えることが望ましい。当然ながら、排泄物を簡単に廃棄するために、PVC製の袋等の形態の折畳み可能な廃水容器を加えることもできる。
【0077】
本発明の特徴を好ましい実施態様を参照して説明してきたが、これらの実施態様は、本発明の精神及び原理から逸脱することなく、請求の範囲内で適宜変更可能であることをもう一度繰り返し述べておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、傾倒ボウルを備える本発明の便器の好ましい実施態様の断面図である。
【図2】図2は、洗浄用水を便器へ給水するための好ましいシーケンスバルブの断面図である。
【図3】図3は、図2に示すシーケンスバルブ内のタービンの平面図である。
【図4】図4は、図2に示すシーケンスバルブの、トグルスイッチを備えるバルブ基部の平面図である。
【図5】図5は、図2に示すシーケンスバルブのプログラムディスクの平面図である。
【図6】図6は、好ましいボウル傾倒起動組立体の断面図である。
【図7】図7は、図6に示すボウル傾倒起動組立体の操作を連続的に示す図である。
【図8】図8は、便器の好ましい実施態様の断面図であり、傾倒ボウルが傾倒位置にある状態を示している。
【図9】図9は、ボウル戻り遅延手段の操作を順番に示す図である。
【図10】図10は、電子的起動ユニットを備える好ましい実施態様を示す図である。
【図11】図11は、乾式ガスシールを備える好ましい実施態様の断面図である。
【図12】図12は、相補的傾倒ボウル部品を備える好ましい実施態様の断面図である。
【図13】図13は、噴出口列、水盤排出開口、及び底部排出孔の好ましい配置を示す、便器の好ましい実施態様を示す平面図である。
【図14】図14は、別個の部品及び/又は折畳み式部品を備える好ましい組立式実施態様の断面斜視図である。
【図15】図15は、別個の部品及び/又は折畳み式部品を備える別の好ましい組立式実施態様の斜視図である。

Claims (23)

  1. 便器であって、
    チャンバーを規定するフレームと、
    該フレームと連結し、該チャンバーを上方チャンバー領域と下方チャンバー領域とに仕切る便器水盤とを備え、該便器水盤は、該上方チャンバー領域と該下方チャンバー領域とを連通させる少くとも一つの水盤排出開口を規定し、前記便器はさらに、
    略前記下方チャンバー領域内に配置される傾倒ボウルを備え、該ボウルは流体を受容する空間を規定し、
    前記傾倒ボウルが、前記少くとも一つの水盤排出開口を通して流体を受理、貯溜する実質的に水平な第一位置と、流体が前記便器水盤から前記少くとも一つの水盤排出開口を通して、及び流体を受容する前記空間から、前記下方チャンバー領域へ流れるようにする第二位置との間で、便器水盤に対して枢動するように載置されており、前記便器はさらに、
    便器の操作を開始するための作動手段を備える便器において、
    前記傾倒ボウルは、該ボウルにかけられた力の合力によって前記第一位置に留まるように遅延され、該合力は、前記傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクと少くとも充分に釣り合うだけの遅延トルクを、枢動軸を中心として発生させ、
    前記遅延トルクが、傾倒ボウルとその内容物とによって生じるトルクよりも小さくなると、前記傾倒ボウルは、前記第一位置から第二位置へと移動し、
    前記作動手段は、前記遅延トルクを低下させて、傾倒ボウルを前記第一位置から第二位置へと移動させるように作動することを特徴とする便器。
  2. 前記流体を受理する空間は、前記第一位置にある際に、少くとも部分的に前記便器水盤と重なり合い、前記少くとも一つの水盤排出開口を通る気体の流れを制限するように、該開口を包囲するのに充分な所定量の流体を貯溜する、請求項1に記載の便器。
  3. 前記傾倒ボウルは、前記第一位置にある際に、便器水盤と共に不通気性接続部を形成し、前記下方チャンバー領域内の気体が前記流体を受理する空間へ流入するのを制限する、請求項1又は2に記載の便器。
  4. 前記便器が、下水管からの気体が前記下方チャンバー領域内へ流入するのを制限するための手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の便器。
  5. 前記下水管からの気体が前記下方チャンバー領域内へ流入するのを制限するための手段が、液体シール及びカバーを含む、請求項4に記載の便器。
  6. 前記便器が、洗浄のために前記便器水盤に水を導くように配置配列された複数の出口を通して送水するための手段をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに1項に記載の便器。
  7. 前記送水するための手段が、洗浄効果を高めるために、連続する出口群から周期的に水を噴出するためのシーケンス手段をさらに備える、請求項6に記載の便器。
  8. 前記シーケンス手段が、複数のトグルスイッチを作動させて、前記複数の出口へ順次洗浄用水を送給するための回転手段を備える、請求項7に記載の便器。
  9. 前記便器は、前記傾倒ボウルが前記第一位置にある場合に、前記流体を受理する空間において所定水位を維持するための手段をさらに備え、該水位を維持するための手段は、所定水位よりも低い水位が検出されると、給水を開始させ、少くとも該所定水位と等しい水位が検出されると、給水を停止する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の便器。
  10. 前記便器は、前記流体を受理する空間内の水位が、前記所定水位を越えると、過剰な流体を排出するための、前記傾倒ボウルに形成された排出手段をさらに備える、請求項9に記載の便器。
  11. 前記複数の出口のへの送水、並びに前記第一位置から第二位置への傾倒ボウルの運動が、同時に開始する、請求項6又は7に記載の便器。
  12. 前記複数の出口への送水、並びに前記第一位置から第二位置への傾倒ボウルの運動が、異なる時間間隔で開始する、請求項6又は7に記載の便器。
  13. 前記作動手段がさらに洗浄用水の供給を行なわせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の便器。
  14. 前記便器の操作中には、傾倒ボウルを前記第一位置から第二位置へ移動させるための起動手段を作動不能とするための手段をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の便器。
  15. 前記作動不能とするための手段が、前記流体を受理するための空間内の水位によって制御される、請求項14に記載の便器。
  16. 前記便器が、手動作動及び/又は電子的作動及び/又は遠隔作動及び/又は使用者が立ち去るとそれに応答する自動作動に対応している、請求項1〜15のいずれか1項に記載の便器。
  17. 前記傾倒ボウルにかけられた合力が、重量及び/又は磁力及び/又は空気力及び/又は油圧力及び/又はバネ力及び/又は電力及び/又は電磁力成分を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の便器。
  18. 前記傾倒ボウルが、前記第二位置から第一位置へ戻るように付勢されている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の便器。
  19. 前記傾倒ボウルが第二位置から第一位置へ戻るのを遅延させるための遅延手段をさらに備える、請求項18に記載の便器。
  20. 前記少くとも一つの水盤排出開口が、底部排出孔の略上方に配置され、該水盤排出開口を垂直投影した場合の影が、前記底部排出孔を垂直投影した場合の影と少くとも部分的に重複している、請求項1〜19のいずれか1項に記載の便器。
  21. 前記配列された複数の出口により囲まれた領域が、少くとも一つの水盤排出開口及び/又は底部排出孔の略上方に位置するように配置され、該包囲領域を垂直投影した場合の影が、該少くとも一つの水盤排出開口を垂直投影した場合の影及び/又は該底部排出孔を垂直投影した場合の影と少くとも部分的に重複する、請求項6又は7に記載の便器。
  22. 前記傾倒ボウルが、多数のボウル部品からなり、少くとも一つのボウル部品が、実質的に水平な軸を中心として枢動するように載置されている、請求項1〜21のいずれか1項に記載の便器。
  23. 前記便器が、別個の部品として提供され、別個及び/又は折畳み可能なフレーム、別個及び/又は折畳み可能な便器水盤、別個及び/又は折畳み可能な傾倒ボウル、別個及び/又は折畳み可能な貯水容器、及び/又は別個及び/又は折畳み可能な廃水容器を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の便器。
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