JP3544853B2 - 印刷ペースト印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷ペースト例えばクリーム半田を被印刷物である回路基板面上に印刷、塗布する印刷ペースト印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子回路基板の製造においてプリント基板上にチップ部品等の電子部品を半田付けする際には主にクリーム半田が使用され、このクリーム半田を所望のパターンにて印刷、塗布するためにクリーム半田印刷機が用いられる。
従来のクリーム半田印刷機100に塔載されているスキージヘッドの一例としては、図14に示す様な構成のものが挙げられる。通常、印刷動作は、スキージヘッド102が、図14における左から右へ、及び右から左へ各プリント基板5毎に交互に移動するが、この際、上記左から右への右方向印刷では右方向印刷用スキージ101aが、反対の左方向印刷では左方向印刷用スキージ101bが使用される。
このような従来のクリーム半田印刷機100による、プリント基板5へのクリーム半田の印刷動作を図14及び図15に基づいて説明する。図14及び図15において、3は所望のパターンの開口部4が形成されたマスク、5はプリント基板、6はクリーム半田7を印刷するランド、8はソルダーレジストである。尚、マスク3の上記所望のパターンとは、プリント基板5上のランド6に対応して開口部4が形成されてなるパターンをいう。
【0003】
先ず、上記右方向印刷を行う場合、開口部4とランド6とが一致するように、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わした後、左方向印刷用スキージ101bを上昇させた状態で右方向印刷用スキージ101aを下降させてスキージ先端部103をマスク3の表面3aに適正な印圧で接触させる。この状態で、右方向に沿って右方向印刷用スキージ101aを直線移動させることで、予めマスク3の表面3aに設けたクリーム半田7をマスク3の開口部4に充填させていく。右方向印刷用スキージ101aがマスク3の右端まで移動した後、プリント基板5をマスク3から離すことで印刷動作が終了する。又、上記左方向印刷を行う場合には、上述の右方向印刷と同様に、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わした後、今度は反対に右方向印刷用スキージ101aを上昇させたまま、左方向印刷用スキージ101bを下降させてスキージ先端部103を接触させる。その後の動作は上述の右方向印刷と同様である。この様に、これらの動作を各プリント基板5毎に交互に繰り返すことにより、マスク3を介して各プリント基板5のランド6上にクリーム半田7を連続して印刷、塗布するものである。
【0004】
一方、クリーム半田7は、高粘性フラックスに半田粉末を混ぜ合わせたペースト状物質である。よってクリーム半田7の種類は、上記フラックス及び上記半田粉末の種類、若しくはそれらの混合比等の組み合わせによって無数にあり、その流動特性も様々である。クリーム半田7の流動特性は、粘度で表されるのが一般的であるが、通常は定性的に表現されることも多く、粘度が低いときには軟らかいクリーム半田と呼ばれ、逆に粘度が高いときには硬いクリーム半田と呼ばれる。例えば、粘度が低いクリーム半田7では、その流動性が良いために、上記開口部4への充填の際にマスク3の裏面とプリント基板5との間の微小隙間にクリーム半田7、特にフラックスが流出し易く、プリント基板5上での印刷結果としては上記フラックスやクリーム半田7が滲んだ状態になる、いわゆる印刷滲みや、ブリッジ等の印刷不良が発生し易い。これに対し、粘度が高いクリーム半田7では、その流動性が悪いため、開口部4へクリーム半田7が充填され難くなり、未充填や印刷かすれ等の印刷不良が発生し易い。
このように、クリーム半田7の流動特性、即ち粘度により印刷品質が大きく左右されることから、従来のクリーム半田印刷工程では、クリーム半田7の購入時にメーカが添付するクリーム半田7の検査成績書に記載してある粘度を参照したり、印刷前に粘度計によりクリーム半田7の粘度を測定したり等により、クリーム半田7の粘度管理を行っているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回路基板の実際の生産工程でのクリーム半田印刷装置は、生産性の観点から、長時間の連続印刷を行っている。よって、マスク3の表面3a上のクリーム半田7は、上記左、右の印刷方向へ繰り返しスキージングがなされることから、常に応力を受けている。又、上記連続印刷により上記表面3a上のクリーム半田7の量は次第に減少するので、所定時間ごとに新たなクリーム半田7が補給される。又、長時間連続印刷中においては、クリーム半田印刷装置周りの雰囲気温度も変化する。
このような諸条件により、上記表面3a上のクリーム半田7の粘度はその都度変化し、又、クリーム半田7自体の経時変化等によっても変化する。したがって、従来のような、購入時の上記検査成績書による粘度値や、印刷前における粘度計での測定値等を用いた粘度管理では、印刷工程中におけるマスク3の表面3a上におけるクリーム半田7の実際の粘度を知ることはできず、連続印刷中のクリーム半田7の粘度変化により印刷不良が発生するという問題点があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、例えばクリーム半田のような印刷ペーストの粘度変化による印刷不良の発生を防止することができる印刷ペースト印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1態様である印刷ペースト印刷装置は、開口部が形成された印刷用マスクの表面をスキージが印刷方向に移動することにより上記表面上の印刷ペーストを上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に上記開口部を介して印刷し塗布する印刷ペースト印刷装置であって、
印刷時には上記表面に対して隙間を隔てた非接触な状態に先端が配置されて上記スキージと同方向に移動し、かつ該移動により上記印刷ペーストに生じる圧力を検出して上記スキージによる上記印刷ペーストの印刷中における粘度を求めるための圧力検出器を有する圧力検出用部材と、
上記圧力検出器にて測定された圧力に基づき求まる上記印刷ペーストの粘度に基づき、少なくとも上記スキージの移動速度、上記スキージと上記表面とのなす角度、上記スキージの押圧力、及び上記印刷ペーストの温度のいずれか一つを制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2態様である印刷ペースト印刷方法は、印刷用マスクの表面をスキージングすることで上記印刷用マスクに形成されている開口部を介して上記表面上の印刷ペーストを上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に印刷し塗布する印刷ペースト印刷方法であって、
上記表面に対して隙間を隔てた非接触な状態に先端が配置された圧力検出用部材に設けた圧力検出器にて、上記スキージングにより塗布されている上記印刷ペーストに生じる圧力を検出して上記印刷ペーストの印刷中における粘度を測定することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態である印刷ペースト印刷装置及び印刷方法について図面を参照しながら以下に説明する。尚、上記印刷方法は上記印刷ペースト印刷装置にて実行されるものである。又、各図において、同一又は同様の機能を果たす構成部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。又、本明細書において、印刷ペーストとして、粉末半田を高粘性フラックスに混ぜ合わせたペースト状半田である、クリーム半田を例に採る。よって、上記印刷ペースト印刷装置として本実施形態ではクリーム半田印刷装置を例に採り、上記印刷ペースト印刷方法としてクリーム半田印刷方法を例に採る。
【0009】
上記クリーム半田印刷装置1001は、従来のクリーム半田印刷装置の構成とほぼ同様で、図11に示すように印刷が行われる基板5を当該クリーム半田印刷装置1001へ搬入する基板搬入装置55と、搬入された基板5のX,Y,θ位置補正装置や、印刷後においてマスク3と基板5との版離れを行う版離れ装置を有するステージ部60と、基板5を支持する基板サポート装置61と、マスク3と基板5との位置合わせ用の情報を得るための基板位置補正用認識カメラ62と、スキージヘッド10と、スキージヘッド10を駆動する駆動装置76と、当該クリーム半田印刷装置1001の動作制御を行う制御装置81とを備える。又、上述の各構成部分の内、本実施形態にて特徴的な構造を有する上記スキージヘッド10及び制御装置81を除いた残りの構成部分は、従来のクリーム半田印刷装置と変わりないので、以下には主として上記スキージヘッド10及び制御装置81について説明する。尚、該クリーム半田印刷装置1001は、上述の左、右の両印刷方向にスキージが移動するタイプである。
【0010】
図1は、本実施形態におけるクリーム半田印刷装置1001におけるスキージヘッド10の周りの概略を示している。スキージヘッド10は、図14を参照した従来のスキージヘッドと同様に、右方向印刷時に使用する右方向印刷用スキージ14a及び上記左方向印刷時に使用する左方向印刷用スキージ14bを有し、さらに、クリーム半田7の印刷中において該クリーム半田7の粘度を求めるための圧力を測定する圧力検出器35を有する圧力検出用部材30を有する。
まず、印刷用スキージ14a,14bについて説明する。
印刷時においてクリーム半田7をマスク3の開口部4へ充填する印刷用スキージ14a,14bのそれぞれは、当該クリーム半田印刷装置51を構成するスキージヘッド10の台板17にそれぞれ取り付けられた印刷用スキージ用の上下駆動装置15,16の各出力軸13a,13bの先端に取り付けられており、上記上下駆動装置15,16にて、待機位置18とスキージング位置19との間で昇降可能である。尚、上記台板17は、制御装置81にて動作制御される駆動装置76にて左、右の印刷方向へ移動される。図1では、右方向印刷を行っている状態を示しているので、右方向印刷用スキージ14aがスキージング位置19に下降し、左方向印刷用スキージ14bが待機位置18に上昇した状態を図示している。右方向印刷用スキージ14a又は左方向印刷用スキージ14bがスキージング位置19に位置した状態にあっては、各スキージの先端部20a,20bは、適宜な圧力がマスク3の表面3aに印加されるような状態でマスク3の表面3aに接触し、マスク3の開口部4へのクリーム半田7の充填動作を行う。
又、上記駆動装置76、上下駆動装置15,16のそれぞれは、当該クリーム半田印刷装置51の動作制御を行う制御装置81に接続される。
【0011】
圧力検出用部材30は、上記台板17に取り付けられた圧力検出用部材用の駆動装置31の出力軸32の先端に取り付けられる。圧力検出用部材30は、マスク3の表面3aに対向する対向面を、図2に詳しく示すように、圧力検出用部材30の先端33から上記印刷方向に向かって上り傾斜となる圧力検出用斜面34とした、クサビ形状の断面を有し、本実施形態では圧力検出器35の圧力検出面35aを上記圧力検出用斜面34と同一面となるようにして上記先端33部分に圧力検出器35を埋設している。このような圧力検出器35は、本実施形態では図4に示すように、圧力検出用部材30の幅W方向におけるほぼ中央部に一つ設けられる。尚、上記幅W方向における圧力検出用部材30の配置位置及び数は、上述のものに限定されるものではない。
このような圧力検出用部材30は、図3に示すように、クリーム半田7が印刷される基板5の領域の外側、つまりマスク3上であって開口部4が形成されていない非開口領域91に対応して配置され、かつ上記幅Wは上記非開口領域91内の一部分をスキージするだけの長さである。尚、該非開口部分91であってもクリーム半田7は存在する。
又、圧力検出器35は制御装置81に接続されており、制御装置81では圧力検出器35から供給されるクリーム半田7の圧力情報(下記の「p」)に基づき、印刷中におけるクリーム半田7の粘度を求める。
【0012】
駆動装置31は、制御装置81に接続され制御装置81の制御により圧力測定時において、図2に示すように、マスク3の表面3aと圧力検出用部材30の先端33との間に寸法h2にてなる隙間H2を形成するように、圧力検出用部材30を配置する。尚、上記圧力測定中、上記隙間H2の寸法h2は変化しない。上述のように隙間H2をあけて圧力検出用部材30が配置されたとき、圧力検出用部材30の印刷方向側の側面36と上記圧力検出用斜面34との交線部分37と、上記表面3aとの隙間H1の寸法はh1となる。又、隙間H1と隙間H2との間隔はLである。
【0013】
圧力検出用部材30によって印刷中のクリーム半田7の圧力を検出可能な理由について説明する。図1に示す状態にて、矢印で示すように右方向へ圧力検出用部材30を移動させると、クリーム半田7は、上述した隙間H1側から圧力検出用部材30の上記圧力検出用斜面34へ流入して、上記隙間H2から流出する。この現象は、狭いくさび状の隙間に入り込む物質の流れを考えることにより説明することができる。即ち、図5に示す様なモデルを考える。このモデルは、軸受等における流体潤滑の説明で用いられる一般的に良く知られたモデルであるが、このモデルはちょうど圧力検出用部材30の隙間H2から隙間H1までの形態と近似している。図5において、壁体301と基準面302との流体の入口側の隙間の大きさをh1、出口側の隙間の大きさをh2、入口隙間と出口隙間の間隔をL、入口隙間からxの距離における壁体301と基準面302との隙間の大きさをh、壁体301の移動速度をv、流体の粘度をηとすると、流体の流れにより距離xの位置で発生する圧力pは次式で表されることが良く知られている。
p=(6ηvL/(h1 2−h2 2))・((h1−h)(h−h2)/h2)…(1)
ここで、上記(1)式におけるクリーム半田7の粘度η及び印刷速度v以外の条件である、隙間H1の寸法h1、隙間H2の寸法h2、隙間H1と隙間H2との間隔Lの各条件が一定に保たれるように圧力検出用部材30を配置すると、上記(1)式は(2)式に変形される。
p=A1ηv (但し、A1は定数)
(A1=(6L/(h1 2−h2 2))・((h1−h)(h−h2)/h2)…(2)
したがって、クリーム半田7の粘度ηは、下記(3)式に示すように、圧力検出用部材30によりクリーム半田7に発生する圧力pと印刷速度vで表すことができる。
η=A2(p/v) (但し、A2は定数、A2=1/A1) …(3)
【0014】
このように圧力検出器35によるクリーム半田7の圧力検出にて印刷中のクリーム半田7の粘度測定が可能である。圧力検出用部材30を上記非開口部分91に対応して配置する理由を説明する。仮に、圧力検出用部材30を開口部4が形成されている領域に配置した場合、圧力検出用部材30により発生した圧力によって、クリーム半田7が開口部4に充填されるおそれがあり、この場合には、圧力検出用部材30及び印刷用スキージ14aにより2回の充填が行われることになり、圧力検出用部材30が通過した開口部4と通過しない開口部4とでは充填状態が異なってしまうからである。
又、回路基板5の領域内、つまり開口部4が形成されている領域では、圧力検出器35の配置近傍位置である上記先端33における隙間H2の寸法h2が開口部4の有無により変化する。よって開口部4が形成されている領域では、圧力検出器35によって検出されるクリーム半田7の圧力は変動してしまい、求めるクリーム半田7の粘度が変化してしまうからである。
これらの理由から圧力検出用部材30を上記非開口部分91に対応して配置している。
【0015】
尚、圧力検出用部材30の設置位置は、図3に示す位置に限定されるものではなく、図6に示すように、例えば印刷用スキージ14aの長手方向において印刷用スキージ14aに隣接して配置したり、又は、図7若しくは図7の側面図である図8に示すクリーム半田印刷装置1002のように、例えば印刷用スキージ14aの長手方向における端部に圧力検出用部材30を直接取り付けてもよい。このようなクリーム半田印刷装置1002では、例えば印刷用スキージ14aが充填及び掻き取りを行うとき、即ちその先端20aがマスク3の表面3aに接触したときに圧力検出用部材30の先端33と上記表面3aとの隙間寸法が上記h2となるように、圧力検出用部材30が印刷用スキージ14aに取り付けられている。又、このように圧力検出用部材30を印刷用スキージ14aに直接に取り付けることで、クリーム半田印刷装置1002では圧力検出用部材30を駆動する駆動装置31は設けていない。
【0016】
上述のように圧力検出用斜面34は上記印刷方向に向かって上り傾斜であることから、印刷時においてクリーム半田7は圧力検出用斜面34に沿って徐々に圧縮された後、上記隙間H2から排出される。よって圧力検出用部材30を通過するクリーム半田7の圧力は、図12にグラフ92にて示すように、上記先端近傍部分で最も大きくなり、又、クリーム半田7の粘度による圧力変化が最も大きい部分となる。よって圧力検出器35の配置位置は、本実施形態のように上記先端33の近傍部分とするのが好ましいが、上記先端33部分に限定されるものではない。しかしながら、上記グラフ92に示すように先端33から圧力検出用斜面34の長さの1/4〜1/3の距離を離れることでクリーム半田7の圧力が急激に低下することから、上記配置位置は、先端33から上記1/4〜1/3の距離を離れた位置までの範囲内が好ましい。
【0017】
又、図1では、右方向印刷における圧力検出用部材30の状態を示しているが、クリーム半田印刷装置1001において左方向印刷を行うときには圧力検出用部材30は図9に示す状態となる。即ち、上述のように印刷方向に向かって圧力検出用斜面34は上り傾斜とする必要から、圧力検出用部材30は駆動装置31にて出力軸32の軸回りに180度回転されて配置される。
又、このような圧力検出用部材30の回転動作を省略したタイプとして、図10に示すクリーム半田印刷装置1003を構成することができる。該クリーム半田印刷装置1003は、上述の圧力検出用部材30に代えて船底形状の断面を有する圧力検出用部材40を有し、上述の駆動装置31に代えて上記圧力検出用部材40を昇降させる駆動装置41を有する。圧力検出用部材40は、図13に示すように、図2に示す圧力検出用部材30を対称的に配置した構造であり、先端43の近傍には上記右方向印刷のときにクリーム半田7が圧縮されていく圧力検出用斜面42に圧力検出器35−1が設置され、先端43の近傍には上記左方向印刷のときにクリーム半田7が圧縮されていく圧力検出用斜面44に圧力検出器35−2が設置される。又、駆動装置41は、圧力検出用部材30の場合と同様にマスク3の表面3aに対して先端43が寸法h2の隙間H2を形成するように圧力検出用部材40を配置する。このような圧力検出用部材40を設けることで、上記右方向印刷のときには圧力検出器35−1にてクリーム半田7の圧力を検出し、上記左方向印刷のときには圧力検出器35−2にてクリーム半田7の圧力を検出する。検出された上記圧力は、上記右方向印刷のときには圧力検出器35−1から、上記左方向印刷のときには圧力検出器35−2からそれぞれ制御装置81へ送出される。
【0018】
上述のように構成されるクリーム半田印刷装置1001における動作について以下に説明する。尚、基板5の搬入動作、マスク3と基板5との位置合わせ動作、印刷用スキージ14a,14bによる印刷動作については、従来のクリーム半田印刷装置におけるこれらの動作に同様であるので、ここでの説明は省略し、ここでは主に、圧力検出用部材30に関する動作について説明する。尚、クリーム半田印刷装置1001の動作は制御装置81にて制御される。
印刷用スキージ14aによる上記右方向印刷が行なわれる場合を例として説明する。制御装置81の制御により駆動装置31が動作し、圧力検出用部材30の先端33がマスク3の表面3aに対して寸法h2にてなる隙間H2を形成するように圧力検出用部材30を配置する。又、右方向印刷を行う場合であるので、圧力検出用部材30の上記圧力検出用斜面34は、右方向に向かって上り傾斜となるように駆動装置31によって配置されている。このような状態において、スキージヘッド10を駆動する駆動装置76によりスキージヘッド10は上記右方向に所定速度にて移動される。よって、印刷用スキージ14aの右方向への移動とともに圧力検出用部材30も右方向へ移動する。よって、マスク3の表面3a上に載置されたクリーム半田7の内、基板5に対応して存在するものについては印刷用スキージ14aによってマスク3の開口部4へ充填されていく。又、マスク3の表面3a上に載置されたクリーム半田7の内、上記非開口領域91に存在するクリーム半田7は、圧力検出用部材30の上記隙間H1から上記隙間H2側へ流れ隙間H2を通過していく。このとき圧力検出用部材30の先端33の近傍に設置されている圧力検出器35にて、圧力検出用部材30の上記圧力検出用斜面34とマスク3の表面3aとに挟まれたクリーム半田7の圧力が圧力検出器35にて検出され、その圧力情報はリアルタイムにて制御装置81へ送出される。
【0019】
制御装置81は、本実施形態では供給される上記圧力情報を上記(3)式に代入することで、上記圧力情報に基づき、印刷中のクリーム半田7の粘度を求める。求めた上記粘度に基づき、クリーム半田7の粘度が印刷に適した所定の粘度よりも低下しているときには、制御装置81は、例えば、駆動装置76の作動速度を速めスキージヘッド10の移動速度を速くする、印刷用スキージ14aと上記表面3aとのなす角度αを大きくする、上下駆動装置15を駆動して印刷用スキージ14aが上記表面3aを押圧する力、即ち印圧を低くする、クリーム半田7の温度を低くする、の少なくとも一つの動作を行い、印刷速度やスキージの充填角度等の印刷条件を変更する、又は、クリーム半田7の粘度を上記印刷に適した粘度になるようにする。尚、上記クリーム半田7の温度を低くするための具体的方法としては、例えば当該クリーム半田印刷装置1001の雰囲気温度を下げる等が考えられる。一方、求めた上記粘度が、上記印刷に適した所定の粘度よりも高くなっているときには、制御装置81は、例えば、駆動装置76の作動速度を遅くしスキージヘッド10の移動速度を遅くする、上記スキージ角度αを小さくする、上下駆動装置15を駆動して上記印圧を高くする、クリーム半田7の温度を高くする、の少なくとも一つの動作を行い、上記印刷条件を変更する、又はクリーム半田7の粘度を上記印刷に適した粘度になるようにする。
【0020】
尚、制御装置81において、上記圧力情報に基づいた印刷中のクリーム半田7の粘度の求め方は、測定された上記圧力情報を上記(3)式に直接代入する方法に限定されるものではなく、他に例えば、上記圧力情報に対するクリーム半田粘度を予め算出して列挙したいわゆるテーブルを使用したり、上記圧力情報とクリーム半田粘度との関係を示すグラフを使用したり、種々の公知の方法を用いることができる。
【0021】
このようにして上記右方向印刷を実行して印刷用スキージ14aが右端まで移動した後、印刷用スキージ14aを待機位置18に配置し印刷用スキージ14bをスキージング位置19に配置し、さらに駆動装置31を作動させて左方向に向かって上記圧力検出用斜面34が上り傾斜となるように圧力検出用部材30を180度反転させる。
そして上述の右方向印刷の場合と同様に印刷動作を行いながら、圧力検出用部材30はクリーム半田7の圧力を検出し制御装置81は印刷中のクリーム半田7の粘度を求める。
【0022】
このように本実施形態では、圧力検出器35を有する圧力検出用部材30を設けることで、長時間の連続印刷によってマスク3の表面3a上のクリーム半田7の粘度が変化したときにおいても、マスク3の表面3a上のスキージングにより上記粘度をリアルタイムにて求めることでその変化をリアルタイムにて捕らえることができる。よって、クリーム半田7の粘度の変化に応じて、印刷条件を変更したり、クリーム半田7の交換、又、クリーム半田7の消費によっても圧力が変化することからクリーム半田7の補充等を適時に行うことができる。したがって、印刷不良の発生を防止することができる。
【0023】
尚、クリーム半田7の粘度測定は、上述のようにリアルタイムにて実行してもよいし、各基板5毎や、所定の印刷枚数毎に行ってもよい。
又、本実施形態では、圧力検出用部材30の上記圧力検出用斜面34は、平面であるが、これに限るものではなく、例えばマスク3の表面3a側に凸状となる曲面であってもよい。要するに、印刷方向に向かって、上記圧力検出用斜面34とマスク3の表面3aとの間の隙間における寸法が上記寸法h2よりも上記寸法h1の方が大きい、即ち、h1>h2の関係を有するものであれば上記圧力検出用斜面34の形状は問わない。又、圧力検出用部材30の先端33は、図示するように尖っていてもよいし、印刷方向に沿って適宜な長さにわたり上記表面3aに平行な平面を有していてもよい。
【0024】
又、本実施形態では圧力検出器35を上記圧力検出用斜面34に設けクリーム半田7の圧力を直接に検出するようにした。これは例えば圧力検出用部材30を取り替えて上記圧力検出用斜面34の面積が変化したような場合においても、圧力検出器35そのものを変更しない限りそれまでの使用により得た情報等をそのまま流用できる等の点で有利であるが、この形態に限定するものではない。即ち、クリーム半田7の圧力を検出可能な場所、例えば、圧力検出用部材30と駆動装置31の出力軸32との接続部分に、ロードセルようなセンサを取り付けることもでき、該センサから上記圧力検出用斜面34の全面に生じるクリーム半田7の圧力を検出するようにしてもよい。
【0025】
又、当該クリーム半田印刷装置1001は、左、右の両印刷方向に移動するタイプであるので、印刷用スキージ14a,14bの両方を備えるが、クリーム半田印刷装置はいずれか一方のみに移動するタイプであってもよく、その場合には移動方向に対応する印刷用スキージ14a又は印刷用スキージ14bが設けられる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明の第1態様の印刷ペースト印刷装置及び第2態様の印刷ペースト印刷方法によれば、圧力検出用部材と制御装置とを備え、上記圧力検出用部材にてスキージング中における印刷ペーストの粘度を直接に測定することから、印刷ペーストの粘度変化に対応して印刷条件を適時、適切に変更する事が可能となる。よって印刷ペーストの粘度変化に起因する印刷不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるクリーム半田印刷装置のスキージヘッドの構造を示す図である。
【図2】図1に示す圧力検出用部材を示す図である。
【図3】図1に示す圧力検出用部材の配置位置を示す図である。
【図4】図1に示す圧力検出用部材の斜視図である。
【図5】図1に示す圧力検出用部材によるクリーム半田の充填圧力を求めるためのモデルを示す図である。
【図6】図1に示す圧力検出用部材の配置位置の変形例を示す図である。
【図7】図1に示す圧力検出用部材の配置位置の他の変形例を示す図である。
【図8】図7に示すように圧力検出用部材を配置したときの図7の側面図である。
【図9】図1に示す圧力検出用部材にて左方向印刷を実行する状態を示す図である。
【図10】図1に示す圧力検出用部材の変形例を示す図である、
【図11】図1に示すクリーム半田印刷装置の斜視図である。
【図12】図1に示す圧力検出用部材にて得られるクリーム半田の圧力分布を示す図である。
【図13】図10に示す圧力検出用部材における圧力検出器の配置位置、隙間寸法を示す図である。
【図14】従来のクリーム半田印刷装置におけるスキージヘッドを示す図である。
【図15】図14に示す印刷用スキージによってマスクの開口部へクリーム半田を充填するときのクリーム半田の状態を示す図である。
【符号の説明】
1…クリーム半田印刷装置、3…印刷用マスク、3a…表面、
5…回路基板、7…クリーム半田、
14a,14b…印刷用スキージ、
30…圧力検出用部材、31…駆動装置、33…先端、
34…圧力検出用斜面、35…圧力検出器、
81…制御装置、
1001,1002…クリーム半田印刷装置。
Claims (7)
- 開口部が形成された印刷用マスク(3)の表面(3a)をスキージ(14a,14b)が印刷方向に移動することにより上記表面上の印刷ペースト(7)を上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に上記開口部を介して印刷し塗布する印刷ペースト印刷装置であって、
印刷時には上記表面に対して隙間(H2)を隔てた非接触な状態に先端(33)が配置されて上記スキージと同方向に移動し、かつ該移動により上記印刷ペーストに生じる圧力を検出して上記スキージによる上記印刷ペーストの印刷中における粘度を求めるための圧力検出器(35)を有する圧力検出用部材(30)と、
上記圧力検出器にて測定された圧力に基づき求まる上記印刷ペーストの粘度に基づき、少なくとも上記スキージの移動速度、上記スキージと上記表面とのなす角度、上記スキージの押圧力、及び上記印刷ペーストの温度のいずれか一つを制御する制御装置(81)と、
を備えたことを特徴とする印刷ペースト印刷装置。 - 上記圧力検出用部材は、上記印刷用マスクにおいて上記開口部が形成されていない非開口領域(91)に対応する位置に配置される、請求項1記載の印刷ペースト印刷装置。
- 上記圧力検出用部材は、上記印刷方向において上記スキージの前方に配置される、請求項1又は2記載の印刷ペースト印刷装置。
- 上記圧力検出用部材における上記マスクの表面への対向面は、上記印刷方向に向かって上記先端から上り傾斜となる圧力検出用斜面(34)を形成しており、上記圧力検出器は上記圧力検出用斜面に設置されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷ペースト印刷装置。
- 上記圧力検出器は上記斜面の上記先端近傍に埋設されている、請求項4記載の印刷ペースト印刷装置。
- 印刷用マスク(3)の表面(3a)をスキージングすることで上記印刷用マスクに形成されている開口部を介して上記表面上の印刷ペースト(7)を上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に印刷し塗布する印刷ペースト印刷方法であって、
上記表面に対して隙間(H2)を隔てた非接触な状態に先端(33)が配置された圧力検出用部材(30)に設けた圧力検出器(35)にて、上記スキージングにより塗布されている上記印刷ペーストに生じる圧力を検出して上記印刷ペーストの印刷中における粘度を測定することを特徴とする印刷ペースト印刷方法。 - 測定された上記印刷ペーストの粘度に基づき、少なくとも上記スキージングの速度、上記スキージングを行うスキージと上記表面とのなす角度、上記印刷ペーストの上記開口部への充填圧力、及び上記印刷ペーストの温度のいずれか一つを制御する、請求項6記載の印刷ペースト印刷方法。
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