JP4171663B2 - ステンシル印刷方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を回路基板に半田付けするためのソルダーペーストを回路基板にステンシル印刷するための方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品を回路基板に半田付けするためのソルダーペーストの多くは、ステンシル印刷により回路基板の回路パターンのランド上に印刷されている。この場合、ソルダーペーストは、滲みや掠れあるいは欠けなどが発生しない良好な仕上がり状態に印刷することが要求される。ソルダーペーストには多くの種類があり、これらのソルダーペーストは、それぞれの粘度やチキソ性などの物理特性あるいは保存特性などの性質が個々に異なる。特に、近年のソルダーペーストは、鉛フリー化が進むなかで、金属成分の多様化だけでなく、フラックス成分の多様化も進み、その結果、種類が大幅に増えている。そのために、温度や湿度などの環境の変化に対するソルダーペーストの変化の仕方も多様化している。そこで、印刷装置のオペレータは、ソルダーペーストの印刷の仕上がり状態を良い状態に維持するために、印刷時のスキージの移動速度、スキージをステンシルに押し付けるときの印圧、印刷済み回路基板をステンシルから離間する際の版離れ速度などを調整しながら生産を行っている。
【0003】
オペレータによる一般的な具体的調整作業としては、印刷に滲みが発生する傾向がある場合にスキージの印圧を下げるとともに、掠れが発生し易い傾向にある場合に印圧を上げるようにしている。さらに、印刷パターンが複雑であって、大きい印刷パターンから小さい印刷パターンまで存在する場合には、スキージ移動速度を遅くするとともに版離れ速度を遅くすることで対応している。また、印刷に滲みが発生した場合には、ステンシルの下面側のクリーニングを行うのが一般的である。
【0004】
従来では、オペレータがスキージの移動速度、版離れ速度および印圧などの印刷パラメータを種々に変更しながら試し刷りを多数回繰り返して印刷パラメータを設定していたので、長大な時間と労力とを要するとともに、多量の材料を無駄に消費してしまう問題があった。そこで、近年では、印刷パラメータを自動的に設定できるクリーム半田のスクリーン印刷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスクリーン印刷方法について、以下に図面を参照しながら説明する。
【0005】
図6は、上記スクリーン印刷方法を具現化した印刷装置の概略構成を示したもので、同図において、回路基板1に印刷すべき印刷パターンに対応したパターン開口部(図示せず)が形成されたステンシル2は、一般にスクリーン枠と呼称されているステンシルホルダー3に保持されている。左右一対のスキージ4,7は、シリンダ8,9のロッド10,11にそれぞれ取り付けられて、ロッド10,11が突没して上下動されることにより、ステンシル2の上面に対し接離する。両シリンダ8,9が結合されたナット12は、水平の配置でねじホルダ14に回転自在に支持された送りねじ13に螺合されている。送りねじ13は駆動モータ17により回転される。したがって、左右一対のスキージ4,7は、駆動モータ17の正,逆回転によりナット12が送りねじ13に沿って移動されるのに伴い、ステンシル2の上面に接触した状態を保持しながら水平方向に移動されるようになっている。
【0006】
回路基板1を所定位置に位置決めするための可動テーブルユニット18は、回路基板1をX方向に移動させるX軸用テーブル19と、回路基板1をY方向に移動させるY軸用テーブル20と、回路基板1を上下方向に変位させるための昇降用テーブル21とが下方から順に積み重ねる配置で設置されているとともに、昇降用テーブル21の上面に、回路基板1を保持する基板ホルダ22が設けられた構成になっている。この基板ホルダ22は、回路基板1を保持して回転する機能を有している。
【0007】
X軸用テーブル19はX軸用モータ23の回転力の伝達を受けて基板ホルダ22をX方向に移動させる。Y軸用テーブル20はY軸用モータ24の回転力の伝達を受けて基板ホルダ22をY方向に移動させる。昇降用テーブル21はZ軸用モータ27の回転力の伝達を受けて基板ホルダ22を上下方向に変位させる。基板ホルダ22は、回転用モータ28の回転力の伝達を受けて水平面内で回転されることにより、自体が保持している回路基板1の回路パターンを上方に位置するステンシル2のパターン開口部に合わせるように調整される。また、回路基板1は、搬入コンベア29により搬送されて、基板ホルダ22上に載置して保持される。このとき、回路基板1は認識カメラ31が撮像した画像に基づき基板ホルダ22に位置決めされる。一方、ステンシル2の上面には、印刷用のソルダーペースト32が載せられる。印刷終了した回路基板1は、基板ホルダ22から取り出されて、搬出コンベア30により搬出される。
【0008】
上記印刷装置による回路基板1への印刷動作について説明する。回路基板1が搬入コンベア29により搬入されて基板ホルダ22上に載置されると、認識カメラ31が回路基板1の上面にある認識マーク(図示せず)を撮像して検出し、その検出結果に基づき回路基板1の位置とステンシル2の位置との相対関係を算出する。その位置関係の算出結果に基づいて、X軸用モータ23、Y軸用モータ24および回転用モータ28がそれぞれ回転制御されることにより、回路基板1がステンシル2の下方の所定位置に移動されて位置決めされる。そののち、回路基板1はZ軸用モータ27の回転制御により基板ホルダ22を介し上昇されて、自体の上面がステンシル2の下面に接触される。
【0009】
つぎに、一方のシリンダ8のロッド10が下方に突出されて、このロッド10に取り付けられているスキージ4がステンシル2の上面に所定の力で押し付けられる。このスキージ4は、つぎに駆動モータ17によって送りねじ13が回転制御されることにより、ステンシル2の上面に沿って接触状態を保持しながら移動される。これにより、図7(a)に示すように、スキージ4の移動方向側のステンシル2上面に乗せられているソルダーペースト32は、ステンシル2のパターン開口部33内にスキージ4により充填される。
【0010】
そして、スキージ4がステンシル2の上面上を移動し終えたならば、図7(b)に示すように、回路基板1を保持している基板ホルダ22が下降されることにより、回路基板1がステンシル2から離間されると、回路基板1上には、ステンシル2のパターン開口部33内に充填されていたソルダーペースト32が転写して印刷される。
【0011】
ところで、従来の印刷条件の調整方法は、印刷滲みが発生する傾向になる場合にスキージ4,7のステンシル2に対する印圧を下げ、印刷の掠れが発生する傾向にある場合にスキージ4,7の印圧を上げるようにしている。そして、回路基板1の印刷パターンに大小があって、印刷の安定性を必要とする場合は、回路基板1をステンシル2から離間させるときの版離れ速度を遅くするように調整している。これは、版離れ速度を遅くすると、ソルダーペースト32の剪断歪み速度を小さくできることから、印刷の安定性が有効に得られるからである。
【0012】
【特許文献1】
特開平2001−219537号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記印刷方法では、印刷の滲みや掠れの発生を印圧の調整によって防止するように図っているので、ステンシル2のパターン開口部33へのソルダーペースト32の充填力の不足に起因する印刷の掠れや充填力の過大に起因する印刷の滲みの発生、或いは印刷パターンの大小に対するソルダーペースト32の抜け性の違いに起因する印刷の掠れ発生などに対して、これを有効に防止することが可能である。
【0014】
しかしながら、上記印刷方法では、印刷する時間間隔の変化に起因する回路基板1とステンシル2との相対位置の位置ずれや掠れの発生を防止することができない問題が残存しており、この点について、以下に説明する。
【0015】
ソルダーペースト32は、半田からできた金属粉とフラックスおよび溶剤からなる液体との混合物であり、印刷性を良くするために、チキソ性を有するようにしてある。そのため、ソルダーペースト32は、剪断力が作用し続けた場合に粘度が低下し、且つ長時間放置され続けると粘度が回復して高くなる性質を有している。さらに、ソルダーペースト32は、溶剤を含んでいることから、長時間放置された場合に比重の小さい溶剤が浮上し易いとともに、溶剤の表面が乾燥し易い性質がある。そこで、長時間保存されていたソルダーペースト32は、印刷に使用するのに先立って、攪拌により溶剤の均一化が図られるとともに粘度を下げた状態とされたのちに、ステンシル2の上面に供給されている。
【0016】
ところが、印刷装置が何らかの原因で比較的長時間停止したような場合には、ステンシル2の上面に供給されているソルダーペースト32の粘度が回復して高くなると同時に、ソルダーペースト32における空気と接しているフラックス表面の溶剤分が蒸発してしまう。特に近年では空調が効いている工場が多く、このような工場の内部では、湿度が低くなってソルダーペースト32における溶剤の蒸発が加速される傾向にある。この傾向は、我が国以外の暑い国や大陸内部の地域において一層顕著である。
【0017】
上述のようにソルダーペースト32の粘度が高くなった場合には、このソルダーペースト32がステンシル2のパターン開口部33内に入り難くなって、パターン開口部33内へのソルダペースト32の充填が不十分になる。このような場合には、図8(a)に示すように、ソルダーペースト32が充填済みのパターン開口部33内にソルーダーペースト32が存在しない空洞34ができることがある。この空洞34ができた場合には、図8(b)に示す版離れ工程後に、空洞34の上方に位置していたソルダーペースト32がステンシル2のパターン開口部33内にそのまま残存してしまい、回路基板1には、2点鎖線で示す所定寸法よりも小さなパターンの印刷が行われる。この小さな寸法に印刷された場合は印刷の「掠れ」と呼ばれており、局部的に印刷されない部分がある場合は「欠け」と呼ばれており、何れも印刷不良である。
【0018】
また、上述のパターン開口部33に残存したソルダーペースト32は、除去されずにそのまま放置された場合に、粘度が一層高くなるとともにステンシル2への付着力も高くなる。その状態で次の印刷工程が実施された場合には、上記ソルダーペースト32が残存した状態のパターン開口部33内にスキージ4,7の移動によってソルダーペースト32が充填されるので、パターン開口部33内のソルダーペースト32には、前回の印刷時に残存した部分と今回の印刷により新たに充填された部分とが共存することになる。前回の印刷時に残存したソルダーペースト32は長時間放置されて同じ形状を維持しているので粘度が高く、今回の印刷時に充填されたソルダーペースト32は、スキージ4,7の移動時にローリング状態にあって、その時に剪断力が発生しているので、粘度が低下したままである。そのため、印刷工程後の版離れ工程では、ソルダーペースト32の粘度の高い部分がそれまでの状態を保持する力が大きく作用してパターン開口部33内に残存し、粘度の低い部分のみが回路基板1に転写されて、印刷時の「掠れ」が直らないだけでなく、一層進行してしまう結果となる。
【0019】
一方、各種印刷条件が適正に設定された場合であっても、図9に示すように、ステンシル2におけるソルダーペースト32が供給される上面側およびパターン開口部33の孔側面には、薄い膜状のフラックス膜37が形成されて残ることがある。このフラックス膜37の厚みは数ミクロンから数十ミクロンと非常に薄いので、単位体積当たりの表面積は非常に大きいものとなり、フラックス膜37が含有している溶剤のうちの僅かでも蒸発すると、その影響が大きくなる。
【0020】
すなわち、上記フラックス膜37は、印刷後長い時間放置されると、残っている僅かな溶剤分が蒸発して粘度が高くなると同時に、粘着性を増すことになる。そのために、つぎの回路基板1の印刷工程では、ステンシル2のパターン開口部33内にソルダーペースト32が充填されると、パターン開口部33の側面近傍に存在する半田粉が、パターン開口部33の孔側面のフラックス膜37に接着されるようになり、その接着した半田粉が版離れ工程においてパターン開口部33側にそのまま残り、印刷の掠れを発生させることになる。なお、図9は、印刷不良が無く適正に印刷された後にフラックス膜37が発生した状態を示したものであって、このフラックス膜37が次回以降の印刷工程において、上述した印刷の掠れを発生させる原因となる。
【0021】
ところで、上記印刷の掠れが一旦発生した場合には、元の適正な印刷状態に戻すために、ステンシル2のパターン開口部33へのソルダーペースト32の充填力を高くする対策手段を講じる必要があり、その対策手段の一つとして、印圧を上げて印刷する方法が有効であることが知られている。すなわち、印圧を上げた場合には、図10に示すようにスキージ4が撓むことによってスキージ4のステンシル2に対する接触角38が小さくなるから、スキージ4とステンシル2とが接している部分に対しスキージ4の移動方向側に存在するソルダーペースト32に発生する動圧力が高くなり、パターン開口部33へのソルダーペースト32の充填力が上がるので、ソルダーペースト32の充填が不十分で発生する掠れに対する印刷性は改善されることになる。
【0022】
しかし、図9で説明したように、ステンシル2の上面に薄いフラックス膜37が残っている場合には、上述のように印圧を上げた場合に、スキージ4の先端部4aとステンシル2の上面とが薄いフラックス膜37を介して接着される状態となる。この状態で、スキージ4をステンシル2上面に沿って図10の矢印方向に移動させると、ステンシル2がスキージ4の移動に伴って強い力でスキージ4により引っ張られてしまう。すなわち、ソルダーペースト32に含まれるフラックス膜37は、通常の印圧で印刷する場合にスキージ4の先端部4aとステンシル2の上面との間の潤滑剤として作用するが、印圧を上げた場合に接着剤として機能することになる。そのため、ステンシル2は回路基板1に対し位置決めされた正規の相対位置からずれてしまい、回路基板1へのソルダーペースト32による印刷にずれが発生するという重大な問題を招く。
【0023】
さらに、このことは、印刷時の掠れ対策として、1枚の回路基板対1に対して一対のスキージ4,7を用いて1往復のスキージングを行うダブルスキージ方式においては、一方のスキージ4による1回目のスキージングと、他方のスキージ7による2回目のスキージングとで、ステンシル2が回路基板1に対して交互に逆方向にずれる位置ずれが発生する。その結果、先に印刷されているソルダーペースト32にステンシル2を押しつけることになり、印刷の滲みが発生してしまう。
【0024】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、印刷する時間間隔の変化などに拘わらず、印刷の位置ずれや印刷の掠れ、滲みまたは欠けなどの印刷不良の発生を防止して常に安定した印刷を行えるステンシル印刷方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るステンシル印刷方法は、ステンシルにおけるソルダーペーストが供給された上面に沿って一対のスキージを順に移動させるダブルスキージ方式によって回路基板上の所定の位置にソルダーペーストを印刷する印刷手段を採用するものであって、前記回路基板を前記ステンシルの下面に対し所定の相対位置に位置決めして保持したのちに、一方の前記スキージの先端部が前記ステンシルの上面に対し所定の間隔を存して相対向する位置決め状態に保持しながら、前記一方のスキージを前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングする工程と、前記ステンシルの上面に対し他方の前記スキージに所定の印圧を加えながら前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルのパターン開口部内にソルダーペーストを充填する工程と、前記回路基板と前記ステンシルとを相対的に離間させることにより、前記パターン開口部内のソルダーペーストを前記回路基板上に転写させる工程とを備え、前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングする工程と前記ステンシルのパターン開口部内にソルダーペーストを充填する工程とを併用する印刷工程を第1の印刷工程とし、前記ソルダーペーストのコーティングを行う工程を経ることなく、前記スキージを所定の印圧を加えた状態に保持して前記ステンシルの上面に沿いながら移動させてパターン開口部内にソルダーペーストを直接的に充填する第2の印刷工程とし、前記第1および第2の印刷工程を、回路基板上に印刷されたソルダーペーストの印刷状態に応じて選択することを特徴としている。
【0026】
このステンシル印刷方法では、高粘度化した状態でステンシルに残存しているフラックス膜が、一方のスキージの移動によりステンシルの上面にコーティングされたソルダーペーストによって粘度と粘着力を低減されるから、フラックス膜によって他方のスキージの先端部とステンシルの上面との接触部間に強い粘着力が作用することがなくなり、印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、他方のスキージの移動に伴ってステンシルが引っ張られることがないから、ステンシルは回路基板に対する所定の相対位置を保持し、位置ずれの無い正確な印刷を行うことができる。また、他方のスキージが印圧を加えられた状態で移動されることにより、パターン開口部内にソルダーペーストが十分に充填されるので、ダブルスキージ方式で印刷することにより印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、掠れや滲みなどの不良を発生させずに印刷することが可能となる。
【0027】
さらに、前記ソルダーペーストをコーティングする工程と充填する工程とを併用する第1の印刷工程と、ソルダーペーストを直接的に充填する第2の印刷工程を、回路基板上に印刷されたソルダーペーストの印刷状態に応じて選択するので、生産状況の変化に伴い印刷する時間間隔が大きく変わっても、第1および第2の印刷工程を適宜選択して使い分けることにより、印刷の滲みや掠れなどの印刷不良の発生を防止して良好な印刷を行うことができる。
【0028】
同上の印刷方法において、回路基板に印刷後のソルダーペーストの印刷位置の所定位置からのずれ量を印刷状態値とし、予め設定した印刷基準値と前記印刷状態値との比較に基づきソルダーペーストの印刷状態を判別して、前記印刷状態値が前記印刷基準値を越える判別結果を得たときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更することができる。これによれば、ソルダーペーストに含まれる溶剤が比較的蒸発し易いタイプのものであって、ステンシルの上面に残存するフラックス膜が時間の経過に伴い高粘度し易い場合であっても、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更することで、印刷の位置ずれ発生を防止することができる。
【0029】
さらに、同上の印刷方法において、回路基板上に印刷した後のソルダーペーストの長さ、面積および体積のうちの少なくとも一つを印刷状態値とし、予め設定した印刷基準値と前記印刷状態値との比較に基づきソルダーペーストの印刷状態を判別して、前記印刷状態値が前記印刷基準値に満たない判別結果を得たときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更することもできる。これによれば、使用するソルダーペーストがチキソ性を有するものであっても、ソルダーペーストの印刷状態に応じた適切なタイミングで第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更することにより、印刷の掠れや欠けの発生を効果的に防止して良好な印刷を行える。
【0030】
上記各発明において、回路基板に印刷する時間間隔が、予め設定した時間以上になったときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更することが好ましい。これによれば、ソルダーペーストにおけるフラックスに含まれる溶剤の蒸発やチキソ性を有するソルダーペーストが粘度の回復により高粘度化した時点で第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更できるので、印刷の位置ずれの発生を効果的に防止して良好な印刷を行える。
【0031】
上記各発明において、ステンシルのパターン開口部にソルダーペーストを充填して、その充填状態を予め設定した保持時間が経過するまで保持したのち、回路基板と前記ステンシルとを相対的に離間させることが好ましい。これによれば、版抜け性の良くないソルダーペーストを用いる場合であっても、保持時間の経過時に、ソルダーペーストがパターン開口部内に充填された形状を保持したまま高粘度化して、その形状を保持したまま版抜けするので、印刷の掠れや欠けなどの印刷不良の発生を効果的に防止できる。
【0032】
同上の印刷方法において、パターン開口部にソルダーペーストを充填した状態で保持する保持時間を、回路基板上のソルダーペーストの印刷状態に応じて変動させることが好ましい。これによれば、保持時間を、回路基板上のソルダーペーストの印刷状態に応じて変動させるので、印刷の掠れや欠けなどの印刷不良の発生を一層効果的に防止できる。
【0033】
同上の印刷方法において、回路基板に印刷後のソルダーペーストの長さ、面積および体積のうちの少なくとも一つを第1の印刷状態値とし、回路基板に印刷したソルダーペーストの印刷位置の所定位置からのずれ量を第2の印刷状態値とし、この両印刷状態値を各々に対し個々に設定した印刷基準値と比較して、この比較結果に基づいて、第1および第2の印刷工程の選択と、パターン開口部にソルダーペーストを充填した状態で保持する保持時間との双方をそれぞれ決定することが好ましい。これによれば、比較的乾燥した雰囲気の工場で印刷する場合に、ソルダーペーストのフラックスの溶剤が蒸発し易くなっても、第1および第2の印刷工程の選択と、パターン開口部にソルダーペーストを充填した状態で保持する保持時間との双方をそれぞれ設定するので、印刷不良の発生を効果的に防止することができる。
【0034】
上記各発明において、予め設定した印刷場所において所定枚数の回路基板にソルダーペーストを印刷するとともに、前記各回路基板上のソルダーペーストの印刷状態を検査手段で検査しながらサンプリングして、そのサンプリングデータに基づいて第1および第2の印刷工程の何れかを選択することが好ましい。これによれば、印刷の滲みが発生する傾向が不定期に生じるように印刷状態が揺れても、複数のサンプリングデータに基づき検査して印刷工程を選択するので、信頼性の高い印刷を行うことができる。
【0037】
本発明に係るステンシル印刷装置は、印刷前の回路基板が所定位置に待機しているか否かを検知できる印刷前待機ステーションと、回路基板を印刷する印刷ステーションと、印刷後の回路基板が所定位置に待機しているか否かを検知できる印刷後待機ステーションと、コントロール部とを備え、前記コントロール部は、前記印刷後待機ステーションに予め設定された設定時間を越えて回路基板が存在していると判別したときに、前記印刷ステーションにおいて、前記印刷前待機ステーションから搬入した回路基板をステンシルに対し所定の相対位置に位置決めさせたのち、スキージをこれの先端部がステンシルの上面に対し間隔を存して相対向する相対位置に保持しながら前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングさせたのち、他方のスキージに所定の印圧を加えながらステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルのパターン開口部にソルダーペーストを充填し、この状態を、予め設定した保持時間の間保持するか、または前記印刷後待機ステーションの回路基板が排出されるまで保持するかの選択を行う制御機能を有するように構成されていることを特徴としている。
【0038】
このステンシル印刷装置によれば、印刷工程の選択およびソルダーペーストをコーティングしたのちパータン開口部にソルダーペーストを充填した状態での保持時間などを適切に設定できる構成を備えているので、本発明のステンシル印刷方法を忠実に具現化して、その印刷方法と同様の効果を確実に得ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るステンシル印刷方法を具現化した印刷装置を示す概略構成図である。同図において、図6と同一若しくは相当するものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この印刷装置が図6のものと相違するのは、シリンダ39,40として、各々のロッド10,11を介して保持するスキージ4,7の下死点位置を含む位置を調整可能な機能を有したものを用いており、また、搬入コンベア29および搬出コンベア30の各々の近傍箇所に、これらの所定位置に回路基板1が存在するか否かを非接触で検出する基板検出センサ41,42をそれぞれ設けることにより、印刷すべき回路基板1を待機させることのできる印刷前待機ステーション43および印刷後の回路基板1を待機させることのできる印刷後待機ステーション44をそれぞれ設置し、さらに、上記シリンダ39,40の作動を含む装置全体を制御するコントロール部47を設けた構成のみである。
【0040】
上記コントロール部47は、スキージ4,7がステンシル2の上面に沿って移動するときに、通常の印刷動作に加えて、シリンダ39,40をこれらのロッド10,11が設定した突出長だけ突出するように作動制御することにより、スキージ4,7とステンシル2の上面との間に間隔を設けた状態でスキージ4,7を移動させて、ステンシル2の上面にソルダーペースト32をコーティングするように制御する。さらに、コントロール部47は、シリンダ39,40を作動制御することにより、スキージ4,7の先端部4a,7aのステンシル2の上面に対する間隔を任意に可変して、ソルダーペースト32による上記コーティングの厚さを任意に調節するよう制御する。
【0041】
つぎに、上記構成としたステンシル印刷装置を用いたステンシル印刷方法について、以下にその印刷動作を説明する。回路基板1が搬入コンベア29により搬入されて基板ホルダ22上に載置されると、コントロール部47は、X軸用モータ23とY軸用モータ24とを回転制御して、右方に2点鎖線で示すように、回路基板1が認識カメラ31の真下に位置するように基板ホルダ22を移動制御する。つぎに、認識カメラ31が回路基板1の上面にある認識マーク(図示せず)を撮像して検出すると、コントロール部47は、認識マークの検出結果に基づいて回路基板1の位置とステンシル2の位置との相対関係を算出し、その算出した相対関係に基づいて、X軸用モータ23、Y軸用モータ24および回転用モータ28をそれぞれ回転制御することにより、回路基板1をステンシル2の下方の所定位置に移動させて位置決めし、そののち、Z軸用モータ27を回転制御することにより、基板ホルダ22を介して回路基板1を上昇させて、回路基板1の上面をステンシル2の下面に接触させる。
【0042】
続いて、コントロール部47は、一方(図の左方)のシリンダ39に対しロッド10を下方に突出させるよう作動させて、一方(図の左方)のスキージ4をステンシル2の上面に近接させる。このとき、スキージ4は、図2に示すように、先端部4aがステンシル2の上面に対し所定の間隔を存して相対向するように位置決めされる。そののち、コントロール部47は、駆動モータ17を回転制御して、上記スキージ4を図2の矢印方向に移動させる。このとき、スキージ4は、これの先端部4aがステンシル2の上面に対し上記設定された間隔を保持したままステンシル2の上面に沿って移動される。これにより、ステンシル2の上面に供給されているソルダーペースト32の一部は、スキージ4の先端部4aとステンシル2の上面との間隔に相当する厚みでステンシル2の上面にコーティングされる。
【0043】
上記ソルダーペースト32のコーティング時に、前回の印刷工程時に生じたフラックス膜37(図9で説明したものと同じ)がステンシル2の上面に残存していても、スキージ4の先端部4aがステンシル2の上面から離間していることから、移動するスキージ4によってステンシル2に大きな力が作用することがないので、ステンシル2に回路基板1に対する位置ずれが生じることがない。また、ステンシル2の上面にソルダーペースト32がコーティングされると、そのソルダーペースト32に含まれている溶剤が上記フラックス膜37中に自然に拡散していく。これにより、溶剤の蒸発によって高粘度化且つ高粘着化した状態でステンシル2の上面およびパターン開口部33の孔側面に付着しているフラックス膜37は、粘度と粘着力が低減されて、元の特性状態に復元される。
【0044】
そして、一方のスキージ4がステンシル2の上面上を移動し終えたならば、つぎに、図3に示すように、他方のスキージ7が一方のスキージ4の移動方向とは逆方向に移動されて、ダブルスキージングが行われる。この場合、スキージ7は、これの先端部7aを従来と同様に所定の印圧でステンシル2の上面に押し付けられながら移動されるが、ステンシル2の上面にコーティングされたソルダーペースト32によってフラックス膜37の粘度と粘着力が低減されているから、このフラックス膜37によってスキージ7の先端部7aとステンシル2の上面との接触部間に強い粘着力が作用することがない。したがって、印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、スキージ7の移動に伴ってステンシル2が引っ張られることがないから、ステンシル2は回路基板1に対する所定の相対位置を保持し、位置ずれの無い正確な印刷を行うことができる。
【0045】
また、一方のスキージ4の移動によるソルダーペースト32のコーティング時には、図3の左方に示すように、ステンシル2のパターン開口部33にソルダーペースト32が不十分な状態に充填されるだけであるが、他方のスキージ7が印圧を加えられた状態で移動されることにより、図3の右方に示すように、パターン開口部33内にソルダーペースト32が十分に充填される。このようなダブルスキージ方式で印刷することにより、印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、掠れや滲みなどの不良を発生させずに印刷することが可能となる。そして、スキージ4,7による印刷が終了すると、回路基板1を保持している基板ホルダ22が下降されることにより、回路基板1がステンシル2から離間されると、回路基板1上には、ステンシル2のパターン開口部33内に充填されていたソルダーペースト32が転写して印刷される。
【0046】
図4は本発明の第2の実施の形態に係るステンシル印刷方法を具現化した印刷装置を示す概略構成図である。同図において、図1と同一若しくは相当するものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この印刷装置が図1のものと相違するのは、印刷後の回路基板1の印刷状態を検査するための検査カメラ48を付設した構成のみである。そして、この実施の形態では、検査カメラ48で撮像した回路基板1の印刷状態の撮像画像に基づく検査結果に応じて、つまり回路基板1に印刷されたソルダーペースト32の印刷状況に応じて、印刷方法を適宜変更する。例えば、従来と同様の印圧を加えたスキージの移動のみによる印刷方法と、第1の実施の形態のようにソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用した印刷方法とを、適宜使い分ける。
【0047】
すなわち、上記第1の実施の形態のようなダブルスキージ方式による印刷方法では、ステンシル2のパターン開口部33へのソルダーペースト32の充填力が強いので、この印刷方法による印刷工程を連続的に繰り返した場合には、印刷の滲みが発生するおそれがある。そこで、印刷後の回路基板1を検査カメラ48で撮像して、その撮像画面に基づき印刷状態を検査し、印刷の滲みが発生し易い傾向にある場合には、ソルダーペースト32のコーティング工程を割愛して、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷方法を実行する。一方、上述の印刷状態の検査の結果、印刷の掠れが発生し易い傾向にある場合には、第1の実施の形態と同様に、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する。これにより、印刷する時間間隔が大きく変化した場合であっても、印刷の滲みや掠れなどの印刷不良の生じない良好な印刷を常に行うことができる。
【0048】
また、使用するソルダーペースト32に含まれる溶剤が比較的蒸発し易いタイプのものである場合は、印刷の時間間隔が長くなると、ステンシル2の上面に残っているフラックス膜37の粘着性が高くなるので、印刷の位置ずれが発生し易くなる。そこで、検査カメラ48の撮像画像に基づいてソルダーペースト32の印刷位置の所定位置に対するずれ量である印刷状態値を求めて、その印刷状態値と予め設定された印刷基準値とを比較する。いま、スキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程のみを実施している場合において、上記印刷状態値が上記印刷基準値を越えたときには、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法に変更する。例えば、印刷位置ずれの許容範囲が0.1mm の場合、0.05mmのずれ量を印刷基準値に設定して、印刷状態値が0.05mm以上になった場合に、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法に変更する。
【0049】
また、印刷性の向上を目的として大きなチキソ性を有するソルダーペースト32を使用する場合は、印刷の時間間隔が長くなると、ソルダーペースト32の粘度が高くなって印刷の掠れが発生し易くなる。そこで、回路基板1に印刷後のソルダーペースト32の長さ、面積および体積のうちの少なくとも何れか一つを印刷状態値とし、この印刷状態値を予め設定されている印刷基準値と比較し、印刷状態値が印刷基準値に満たない場合には、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷方法から、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法に変更する。これにより、印刷の掠れや欠けなどの印刷不良の生じない良好な印刷を行うことができる。
【0050】
上述のソルダーペースト32の印刷状態を寸法により検査する具体的方法を図5を参照して説明する。図5(a)は正常な印刷状態を示したもので、ソルダーペースト32が回路基板1の回路パターンのランド49上にきれいに印刷されている。このようにソルダーペースト32が正常に印刷されていれば、電子部品の電極をランド49上に正しく接続して実装することができる。この正常な印刷状態のソルダーペースト32の印刷パターンを基準寸法として設定し、同図(b)に示すように、ソルダーペースト32の印刷パターンが基準寸法より大きい場合を印刷の滲みと設定し、同図(c)に示すように、ソルダーペースト32の印刷パターンが基準寸法より小さい場合を印刷の掠れと設定する。そして、(b),(c)にそれぞれ示すように、印刷の滲みおよび掠れにそれぞれに限界寸法を決めて、その限界寸法の2分の1を越えた場合に、それぞれ印刷の滲みおよび掠れと判断する。
【0051】
そして、印刷の掠れであると判断した場合には、次の回路基板を印刷するときに、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷方法から、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法に変更する。一方、印刷の滲みであると判断した場合には、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法から、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷方法に変更する。
【0052】
つぎに、本発明の第3の実施の形態に係るステンシル印刷方法について説明する。図1のように印刷後の検査カメラを具備しない印刷装置では、回路基板1に印刷後のソルダーペースト32の状況を検査できないので、コントロール部47にタイマ機能を備えるようにして、回路基板1への印刷工程の終了時点からの次の回路基板1の印刷工程が開始されるまでの時間を計時する。この計時した印刷の時間間隔が、予め設定された所定時間以上である場合には、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷方法から、ソルダーペースト32のコーティング工程とスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程とを併用する印刷方法に変更する。
【0053】
上述のように印刷方向を変更するのは、印刷の時間間隔が長くなると、上述したように、フラックスに含まれる溶剤の蒸発またはチキソ性を示すソルダーペースト32の粘度の回復によってソルダーペースト32が高粘度になり、印刷の位置ずれや掠れなどが発生し易くなるのを防止するためである。すなわち、この実施の形態では、印刷の時間間隔を管理して印刷方法を適宜変更することにより、印刷の位置ずれや掠れなどの発生を防止する。
【0054】
ところで、最近は少なくなっているが、版抜け性の良くないソルダーペースト32を使用する場合は、版抜け性を改善するため、以下のような印刷方法を採用する。すなわち、ステンシル2のパターン開口部33にソルダーペースト32を充填したのちに、この状態を保持したまま予め設定した保持時間の経過を待ってから、回路基板1を下降またはステンシル2を上昇させる。これにより、ソルダーペースト32は、パターン開口部33に充填された形状を保持しながら、粘度回復により粘度が高くなるので、版離れ時に上記形状を保持したまま版抜けすることになり、印刷性が改善される。さらに、上記保持時間は、検査カメラ48で撮像したパターン開口部33内のソルダーペースト32の状況に応じて適宜変更することにより、印刷の掠れや欠けなどの発生を効果的に防止することができる。
【0055】
一方、比較的乾燥した雰囲気の工場で印刷する場合には、ソルダーペースト32として、蒸発し難い溶剤とチキソ性を持たせたフラックスを有するものを使用しても、フラックスの溶剤が蒸発し易くなる。このような場合には、検査カメラ48の撮像画像に基づき検知した印刷状況と印刷位置との2つの印刷状態値を基準にして、複種類の印刷手段を使い分けると、印刷不良の発生を効果的に防止することができる。
【0056】
すなわち、検査カメラ48の撮像画像に基づいて検知した、回路基板1に印刷後のソルダーペースト32の長さ、面積および体積のうちの少なくとも何れか一つを第1の印刷状態値とし、回路基板1に印刷後のソルダーペースト32の印刷位置の所定位置からのずれ量を第2の印刷状態値とし、これら2つの印刷状態値と各々の印刷基準値との比較結果に基づいて、ソルダーペースト32のコーティング工程およびスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程を併用する印刷手段と印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷手段との使い分けと、上述のソルダペースト32をパターン開口部33に充填したままで保持する保持時間の長さとの2項目を決定する。これにより、印刷不良の発生を効果的に防止できる。
【0057】
図4の検査カメラ48とコントロール部47とを備えた印刷装置では、印刷後のソルダーペースト32の状況に応じて、ソルダーペースト32のコーティング工程およびスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程を併用する印刷手段と、印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷手段との使い分けが可能になるが、印刷状態が多少揺れることがある。例えば、或る時には印刷の滲み傾向が発生しても、次の回路基板1では印刷の滲みが治まっていることがある。そのような場合には、予め設定した印刷場所で設定枚数の回路基板1に対する印刷を行いながら、それらの印刷状態をサンプリングし、そのサンプリングしたデータの検査結果に基づいて、ソルダーペースト32のコーティング工程およびスキージ4または7に印圧を加えた状態で移動させる印刷工程を併用する印刷手段と印圧を加えたスキージ4または7の移動のみによる印刷手段との使い分けをコントロール部47で判断するようにする。これにより、信頼性の高い検査を行えるから、上述した印刷状態の揺れを防止して常に安定した印刷を継続することができる。
【0058】
また、上述した印刷する時間間隔の変化に対応して印刷手段を変更する印刷方法は、印刷装置に以下のような構成を設けることによって忠実に具現化することができる。すなわち、図1および図4に示すように、搬入コンベア29の所定箇所に回路基板1が存在するか否かを検出する基板検出センサ41を配設することにより、基板検出センサ41の配設箇所に回路基板1の印刷前待機ステーション43を設置するとともに、搬出コンベア30の所定箇所に回路基板1が存在するか否かを検出する基板検出センサ42を配設することにより、基板検出センサ42の配設箇所に回路基板1の印刷後待機ステーション44を設置し、基板ホルダ22を印刷ステーションとする。さらに、上記印刷装置による印刷工程の後工程に電子部品装着機を連結した製造ラインを構成する。
【0059】
そして、コントロール部47は、通常の印刷時に、搬出コンベア30における上記印刷後待機ステーション44に回路基板1が存在しない状態になったのを基板検出センサ42で検出した時点で、搬入コンベア29から回路基板1を基板ホルダ22に搬入して保持させ、印刷を行うように制御する。また、コントロール部47は、基板検出センサ42が回路基板1を検出している時間が設定時間以上になった時点で、後工程の何かが原因で印刷後待機ステーション44に回路基板1が設定時間以上停滞していると判断して、印刷ステーションにおいて、回路基板1が所定の位置決め状態で重合されるステンシル2の上面にソルダーペースト32をコーティングさせたのち、この状態を、予め設定した時間の間保持するか、または印刷後待機ステーション44の回路基板1が搬出される時点まで保持するかの何れかを選択する。これにより、上述したステンシル印刷方法を具現化できる。そして、この印刷方式を採用する場合には、後工程の電子部品実装工程にトラブルが発生して印刷装置の稼働を急遽止むなく停止させる生産タクトの変化が生じた場合であっても、印刷不良を発生させることのない適切な印刷手段を適宜選択して採用することが可能となる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明のステンシル印刷方法によれば、高粘度化した状態でステンシルに残存しているフラックス膜が、一方のスキージの移動によりステンシルの上面にコーティングされたソルダーペーストによって粘度と粘着力を低減されるから、フラックス膜によって他方のスキージの先端部とステンシルの上面との接触部間に強い粘着力が作用することがなくなり、印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、他方のスキージの移動に伴ってステンシルが引っ張られることがないから、ステンシルは回路基板に対する所定の相対位置を保持し、位置ずれの無い正確な印刷を行うことができる。また、他方のスキージが印圧を加えられた状態で移動されることにより、パターン開口部内にソルダーペーストが十分に充填されるので、ダブルスキージ方式で印刷することにより印刷の時間間隔が長くなった場合であっても、掠れや滲みなどの不良を発生させずに印刷することが可能となる。さらに、前記ソルダーペーストをコーティングする工程と充填する工程とを併用する第1の印刷工程と、ソルダーペーストを直接的に充填する第2の印刷工程を、回路基板上に印刷されたソルダーペーストの印刷状態に応じて選択するので、生産状況の変化に伴い印刷する時間間隔が大きく変わっても、第1および第2の印刷工程を適宜選択して使い分けることにより、印刷の滲みや掠れなどの印刷不良の発生を防止して良好な印刷を行うことができる。
【0061】
また、本発明に係るステンシル印刷装置にれば、印刷工程の選択およびソルダーペーストをコーティングした状態での保持時間などを適切に設定できる構成を備えているので、本発明のステンシル印刷方法を忠実に具現化して、その印刷方法と同様の効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステンシル印刷方法を具現化した印刷装置を示す概略構成図。
【図2】同上の印刷装置におけるスキージの移動によりステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングする工程を示す縦断面図。
【図3】同上の印刷装置におけるスキージの移動によりステンシルのパターン開口部内にソルダーペーストを充填する工程を示す縦断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るステンシル印刷方法を具現化した印刷装置を示す概略構成図。
【図5】(a)〜(c)は回路基板へのソルダーペーストによる種々の印刷パターンの説明図。
【図6】従来の印刷装置を示す概略構成図。
【図7】(a)、(b)は回路基板へのソルダーペーストによる印刷過程を順に示した縦断面図。
【図8】(a)、(b)は回路基板へのソルダーペーストによる印刷に掠れの不良が生じる場合の印刷過程を順に示した縦断面図。
【図9】ステンシルにフラックス膜が存在しながらも回路基板へのソルダーペーストによる印刷が正常に行われた状態を示す縦断面図。
【図10】印刷工程においてスキージに印圧を加えたときのスキージの撓み状態を示した縦断面図。
【符号の説明】
1 回路基板
2 ステンシル
22 基板ホルダ(印刷ステーション)
32 ソルダーペースト
33 パターン開口部
43 印刷前待機ステーション
44 印刷後待機ステーション
47 コントロール部
48 検査カメラ

Claims (9)

  1. ステンシルにおけるソルダーペーストが供給された上面に沿って一対のスキージを順に移動させるダブルスキージ方式によって回路基板上の所定の位置にソルダーペーストを印刷するステンシル印刷方法であって、
    前記回路基板を前記ステンシルの下面に対し所定の相対位置に位置決めして保持したのちに、一方の前記スキージの先端部が前記ステンシルの上面に対し所定の間隔を存して相対向する位置決め状態に保持しながら、前記一方のスキージを前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングする工程と、
    前記ステンシルの上面に対し他方の前記スキージに所定の印圧を加えながら前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルのパターン開口部内にソルダーペーストを充填する工程と、
    前記回路基板と前記ステンシルとを相対的に離間させることにより、前記パターン開口部内のソルダーペーストを前記回路基板上に転写させる工程とを備え
    前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングする工程と前記ステンシルのパターン開口部内にソルダーペーストを充填する工程とを併用する印刷工程を第1の印刷工程とし、前記ソルダーペーストのコーティングを行う工程を経ることなく、前記スキージを所定の印圧を加えた状態に保持して前記ステンシルの上面に沿いながら移動させてパターン開口部内にソルダーペーストを直接的に充填する第2の印刷工程とし、前記第1および第2の印刷工程を、回路基板上に印刷されたソルダーペーストの印刷状態に応じて選択する
    ことを特徴とするステンシル印刷方法。
  2. 回路基板に印刷後のソルダーペーストの印刷位置の所定位置からのずれ量を印刷状態値とし、予め設定した印刷基準値と前記印刷状態値との比較に基づきソルダーペーストの印刷状態を判別して、前記印刷状態値が前記印刷基準値を越える判別結果を得たときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更するようにした請求項に記載のステンシル印刷方法。
  3. 回路基板上に印刷した後のソルダーペーストの長さ、面積および体積のうちの少なくとも一つを印刷状態値とし、予め設定した印刷基準値と前記印刷状態値との比較に基づきソルダーペーストの印刷状態を判別して、前記印刷状態値が前記印刷基準値に満たない判別結果を得たときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更するようにした請求項に記載のステンシル印刷方法。
  4. 回路基板に印刷する時間間隔が、予め設定した時間以上になったときに、第2の印刷工程から第1の印刷工程に変更するようにした請求項ないしの何れかに記載のステンシル印刷方法。
  5. ステンシルのパターン開口部にソルダーペーストを充填して、その充填状態を予め設定した保持時間が経過するまで保持したのち、回路基板と前記ステンシルとを相対的に離間させるようにした請求項1ないしの何れかに記載のステンシル印刷方法。
  6. パターン開口部にソルダーペーストを充填した状態で保持する保持時間を、回路基板上のソルダーペーストの印刷状態に応じて変動させるようにした請求項に記載のステンシル印刷方法。
  7. 回路基板に印刷後のソルダーペーストの長さ、面積および体積のうちの少なくとも一つを第1の印刷状態値とし、回路基板に印刷したソルダーペーストの印刷位置の所定位置からのずれ量を第2の印刷状態値とし、この両印刷状態値を各々に対し個々に設定した印刷基準値と比較して、この比較結果に基づいて、第1および第2の印刷工程の選択と、パターン開口部にソルダーペーストを充填した状態で保持する保持時間との双方をそれぞれ決定するようにした請求項に記載のステンシル印刷方法。
  8. 予め設定した印刷場所において所定枚数の回路基板にソルダーペーストを印刷するとともに、前記各回路基板上のソルダーペーストの印刷状態を検査手段で検査しながらサンプリングして、そのサンプリングデータに基づいて第1および第2の印刷工程の何れかを選択するようにした請求項ないしの何れかに記載のステンシル印刷方法。
  9. 印刷前の回路基板が所定位置に待機しているか否かを検知できる印刷前待機ステーションと、
    回路基板を印刷する印刷ステーションと、
    印刷後の回路基板が所定位置に待機しているか否かを検知できる印刷後待機ステーションと、
    コントロール部とを備え、
    前記コントロール部は、前記印刷後待機ステーションに予め設定された設定時間を越えて回路基板が存在していると判別したときに、前記印刷ステーションにおいて、前記印刷前待機ステーションから搬入した回路基板をステンシルに対し所定の相対位置に位置決めさせたのち、スキージをこれの先端部がステンシルの上面に対し間隔を存して相対向する相対位置に保持しながら前記ステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルの上面にソルダーペーストをコーティングさせたのち、他方のスキージに所定の印圧を加えながらステンシルの上面に沿って移動させることにより、前記ステンシルのパターン開口部にソルダーペーストを充填し、この状態を、予め設定した保持時間の間保持するか、または前記印刷後待機ステーションの回路基板が排出されるまで保持するかの選択を行う制御機能を有するように構成されていることを特徴とするステンシル印刷装置。
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