JP3544810B2 - 建設機械の旋回体のロック・解除装置 - Google Patents

建設機械の旋回体のロック・解除装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械の走行体上に装備される旋回体の制動、及びこの制動の解除を選択的におこなう建設機械の旋回体のロック・解除装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ショベル等の建設機械に備えられる旋回体のロック・解除装置として、実開平4−12551号公報に記載の技術がある。この公報に示される従来のロック・解除装置は、シリンダ内のボトム側にばねを備えたブレーキシリンダ(油圧シリンダ)により構成されている。このブレーキシリンダは、旋回操作レバーの操作を中立に戻すと、ばねの付勢力によりロッドが押し出され、このロッドの先端が旋回台に圧接され、旋回台すなわち旋回体が旋回不能にロックされるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術では、ロック・解除装置を解除状態とするためには旋回用操作レバーを操作する必要があり、また、エンジン停止時においては、エンジンを駆動し直す必要がある。このため、例えば油圧ショベルの旋回体の一部が道路に掛った状態でエンジントラブルによりエンジンが停止し、エンジンの駆動すらできなくなってしまったような場合には、旋回体のロックを解除することができなくなり、旋回体の向きを変られない事態を招き、交通の妨げ等を生じてしまう問題がある。
【0004】
本発明の目的は、エンジン停止時においてエンジンを駆動しなくても旋回体のロックを解除することができる建設機械の旋回体のロック・解除装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、旋回体を備えた建設機械に設けられ、エンジンによって駆動する主油圧ポンプ及び補助油圧ポンプと、前記主油圧ポンプから吐出された圧油の流出方向及び流量を制御する制御弁と、前記主油圧ポンプから前記制御弁を介して供給された圧油によって前記旋回体を旋回駆動する油圧モータと、前記補助油圧ポンプから供給される圧油によって前記旋回体の旋回動作の制動、及びこの制動の解除を選択的におこなうブレーキ手段とを備えた建設機械の旋回体のロック・解除装置において、前記油圧モータの一対の入出力ポートに接続されたそれぞれの管路に対し高圧側の圧油を前記ブレーキ手段へ導出する高圧選択手段と、この高圧側選択手段と前記ブレーキ手段とを連通、及び遮断の一方に保持する切換手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
このように構成した本発明の請求項1に係る発明では、エンジンが停止している状態であっても、切換手段を高圧選択手段とブレーキ手段との間を連通する位置に切り換えた上で外力により旋回体を回すことにより油圧モータが回り、これによって油圧モータの入出力ポートに接続するいずれかの管路に圧が立ち、その圧が高圧選択手段を介してブレーキ手段に供給され、旋回体のロックが解除される。これにより、このようなエンジン停止状態であっても手動で容易に旋回体の向きを変えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の建設機械の旋回体のロック・解除装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の建設機械の旋回体のロック・解除装置の第1の実施形態を示す回路構成図である。この図1において、1は主油圧ポンプ、2は主油圧ポンプ1の圧油の供給先を選択的に切り換える制御弁、すなわちコントロールバルブである。このコントロールバルブ2は主油圧ポンプ1の圧油を管路bに供給し、管路aの圧油をタンクに戻す位置2aと、主油圧ポンプ1から管路a,bに供給される圧油を遮断する中立位置2bと、主油圧ポンプ1の圧油を管路aに供給し、管路bの圧油をタンクに戻す位置2cとの3つの切り換え位置を有している。3は主油圧ポンプ1から供給される圧油により正逆転可能な油圧モータすなわち旋回モータ、4a,4bは管路aまたは管路bが負圧になったときにタンクから作動油を導き、キャビテーションの発生を防止するメイクアップ用チェック弁、5a,5bは旋回モータ3への圧油の供給を停止した後の慣性による回転を制動するオーバーロードリリーフ弁である。
【0008】
6は旋回モータ3の回転軸に一体的に設けられ、旋回体を構成する旋回台、7は旋回台6の制動、および制動の解除をおこなうブレーキ手段、すなわちブレーキシリンダである。このブレーキシリンダ7には、その作動軸先端にブレーキパッド7b、ボトム側にばね7aを取り付けてあり、圧油の供給がないときには、ばね7aの付勢力によりブレーキパッド7bが旋回台6に圧接され、この旋回台6の回転を阻止する。8は管路a,bのうち、高圧側の圧油を選択してブレーキシリンダ7に導く高圧選択手段、すなわちシャトル弁である。cはシャトル弁8と管路aを結ぶ管路、dはシャトル弁8と管路bを結ぶ管路、eはシャトル弁8と、後述する切換手段、例えば手動操作式の切換弁9を結ぶ管路、fは切換弁9とブレーキシリンダ7を結ぶ管路である。上述した切換弁9は、管路eと管路fとを連通させる位置9aと、管路eと管路fとの間を遮断する位置9bとを有している。10はブレーキシリンダ7の作動タイミングを調整するスローリターン弁であり、チェック弁10aと絞り10bとから成っている。11は前述した主油圧ポンプ1とともに、図示しないエンジンによって駆動され、ブレーキシリンダ7に圧油を供給する補助油圧ポンプである。
【0009】
また、12はコントロールバルブ2の制御に用いられるパイロット油圧ポンプ、13は減圧弁13a,13bを備えた操作装置であり、レバーが操作されることにより減圧弁13a,13bが作動し、コントロールバルブ2にパイロット油圧ポンプ12のパイロット圧を減圧して出力する。
【0010】
次に、このように構成した第1の実施形態の動作について説明する。オペレータが図示しないエンジンを起動すると、このエンジンに直結した補助油圧ポンプ11から圧油が吐出され、この圧油がチェック弁10aを介してブレーキシリンダ7に導かれる。これにより、ブレーキシリンダ7の作動軸はばね7aの付勢力に抗して移動し、ブレーキパッド7bの旋回台6に対する圧接、すなわち旋回体のロックが解除される。
【0011】
また、オペレータが操作装置13を操作すると、パイロット油圧ポンプ12の圧油が操作装置13の減圧弁13a(または減圧弁13b)を介して、コントロールバルブ2のパイロット室に導かれ、コントロールバルブ2を位置2c(または2a)に切り換える。主油圧ポンプ1から吐出された圧油は、管路a(または管路b)を介して旋回モータ3に供給され、この旋回モータ3からの圧油は管路b(または管路a)を介してタンクに戻される。これにより旋回モータ3は回転する。この旋回モータ3の駆動により旋回台6が回転する。主油圧ポンプ1から管路a(または管路b)に吐出された圧油は、旋回モータ3に供給されると同時に管路c(または管路d)に供給される。また、旋回モータ3から管路b(または管路a)に吐出された圧油はタンクに導かれる。このとき同時に、管路d(または管路c)とタンクとが連通した状態となる。シャトル弁8は、管路cと管路dのうちの高圧側、すなわち管路aと管路bのうちの高圧側の圧油を、管路eを介して切換弁9に導く。切換弁9は通常、位置9bに設定してある。
【0012】
オペレータが操作装置13を中立に戻すと、コントロールバルブ2へのパイロット圧の供給が断たれ、コントロールバルブ2が中立位置2bに戻される。これにより管路a、管路bは圧力差がなくなって旋回モータ3が停止する。
【0013】
また、エンジンを止めた場合、エンジンに直結した補助油圧ポンプ11も停止するため、ブレーキシリンダ7への圧油の供給がなくなる。ブレーキシリンダ7内の圧油はばね7aの付勢力によって押し出され、スローリターン弁10の絞り10bを介してタンクに導かれる。このとき同時に、ブレーキシリンダ7の作動軸が伸長してブレーキパッド7bが旋回台6を圧接し、この旋回台6すなわち旋回体を旋回不能にロックする。
【0014】
また、このようにエンジンが停止している状態で、手動操作により切換弁9を位置9bから位置9aに切り換えた上で、例えば旋回台6に接続されているフロント部材を押すと、旋回モータ3が回り、管路a,bのいずれかに圧が立つ。この圧が管路cまたは管路d、シャトル弁8、管路e、切換弁9の位置9a、管路fを介してブレーキシリンダ7に供給される。これにより、ブレーキシリンダ7の作動軸は、ばね7aの付勢力に抗して移動し、ブレーキパッド7bの旋回台6に対する圧接、すなわち旋回体のロックが解除される。
【0015】
したがって、この第1の実施形態によれば、エンジンが停止状態にあっても、切換弁9を操作し、旋回台6に外力を加えて旋回させることにより、旋回体のロックを解除した状態に保つことができ、旋回体の向きを容易に手動で変更することができる。
【0016】
図2は本発明の第2の実施形態を示す回路構成図である。この第2の実施形態では、前述した第1の実施形態における手動操作式の切換弁9の代りに、電磁切換弁19を設けてある。この図2において、前述した図1に示すものと同符号のものは、同一部分または相当する部分を示している。
【0017】
図2中、19は管路eと管路fを連通させる位置19aと、管路eと管路fとの間を遮断する位置19bとを有するとともに、駆動コイル19cを有する電磁切換弁である。14はオン・オフ2つの切り換え位置を有し、電源17に接続した旋回ロック解除スイッチ、15はT,W2つの切り換え位置を有し、図示しないエンジンスタートキーと連動するスイッチ装置である。スタートキーがオンの時にはW、スタートキーがオフの時にはTに自等的に切り換わるようになっている。16は電源17と電磁切換弁19の駆動コイル19cとの間の通電、遮断を切り換える接点式リレーである。
【0018】
以上のように構成した第2の実施形態では、エンジン停止時すなわちスタートキーがオフの時には、スイッチ15は位置Tにある。この場合、リレー16のコイルが励磁されないため、リレー16の接点は閉となっている。この状態でスイッチ14をオンにすると、駆動コイル19cが通電され、電磁切換弁19が位置19bから位置19aに切り換えられる。ここで例えば旋回台6に接続されているフロント部材を押すと、旋回モータ3が回り、管路a,bのいずれかに圧が立ち、その圧が管路cまたは管路d、シャトル弁8、管路e、電磁切換弁19の位置19a、管路fを介してブレーキシリンダ7に供給される。そして、圧油の供給によりブレーキシリンダ7の作動軸はばね7aの付勢力に抗して収縮し、ブレーキパッド7bの旋回台6に対する圧接、すなわち旋回体のロックが解除される。
【0019】
一方、エンジン作動時すなわちスタートキーがオンの時には、スイッチ装置15は位置Wにあるためリレー16のコイルが励磁され、リレー16の接点が開放状態となる。この状態でスイッチ14をオンにしても、電源17と駆動コイル19cの連通は遮断されるため、通常の作業時において電磁切換弁19は位置19bに保持される。このように、この第2の実施形態も第1の実施形態と同様に、エンジンが停止状態にあっても旋回体のロックを解除することができ、旋回体の向きを手動で容易に変更することができる。
【0020】
なお、上述した第1の実施形態、第2の実施形態のいずれも旋回台6の側面にブレーキパッド7bが対向するようにブレーキシリンダ7を配置してあるが、ブレーキ手段は、このように構成することには限られない。例えば、旋回台6の下方に一体的にブレーキ板を設け、このブレーキ板の下面にブレーキパッド7bが対向するようにブレーキシリンダ7を配置する構成にしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジンが停止の状態でも切換手段を操作した上で、旋回体に外力を加えて旋回させることにより旋回体のロックを解除でき、したがって、エンジントラブル等でエンジンが始動できなくなった状況に至っても、従来とは異なって旋回体の向きを容易に変えることができ、この旋回体による交通の妨げ等の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建設機械の旋回体のロック・解除装置の第1の実施形態を示す回路構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 主油圧ポンプ
2 コントロールバルブ(制御弁)
3 旋回モータ(油圧モータ)
7 ブレーキシリンダ(ブレーキ手段)
8 シャトル弁(高圧選択手段)
9 切換弁(切換手段)
9a 位置
9b 位置
11 補助油圧ポンプ
14 旋回ロック解除スイッチ
15 スイッチ装置(検出手段)
16 接点式リレー
19 電磁切換弁(切換手段)
a 管路
b 管路
c 管路
d 管路
e 管路
f 管路

Claims (2)

  1. 旋回体を備えた建設機械に設けられ、エンジンによって駆動する主油圧ポンプ及び補助油圧ポンプと、前記主油圧ポンプから吐出された圧油の流出方向及び流量を制御する制御弁と、前記主油圧ポンプから前記制御弁を介して供給された圧油によって前記旋回体を旋回駆動する油圧モータと、前記補助油圧ポンプから供給される圧油によって前記旋回体の旋回動作の制動、及びこの制動の解除を選択的におこなうブレーキ手段とを備えた建設機械の旋回体のロック・解除装置において、
    前記油圧モータの一対の入出力ポートに接続されたそれぞれの管路に対し高圧側の圧油を前記ブレーキ手段へ導出する高圧選択手段と、
    この高圧選択手段と前記ブレーキ手段とを連通、及び遮断の一方に保持する切換手段とを設けたことを特徴とする建設機械の旋回体のロック・解除装置。
  2. 前記エンジンの起動を検出する検出手段を設け、この検出手段により前記エンジンの起動が検出されたとき前記切換手段を、前記高圧選択手段と前記ブレーキ手段とを遮断する位置に設定することを特徴とする請求項1記載の建設機械の旋回体のロック・解除装置。
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