JP3544692B2 - 眼内レンズ挿入固定補助具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、眼内レンズを水晶体嚢内に挿入する前に、予め前記水晶体嚢内に挿入しておく眼内レンズ挿入固定補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼内レンズを水晶体嚢(以下、単に「嚢」と略称する場合がある)内に挿入する前に、予め水晶体嚢内に挿入しておくことにより、水晶体嚢の形状を維持して眼内レンズの水晶体嚢内への挿入及び固定作業を容易にするとともに、眼内レンズの水晶体嚢内への固定を確実・安定にする眼内レンズ挿入固定補助具(以下、単に「補助具」と略称する場合がある)としては、例えば、特開平4ー364840号公報あるいは実開平5ー58118号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
特開平4ー364840号公報に開示された補助具は、要するに、円環体(楕円形状のものも含む)の内周側に眼内レンズの支持部と係合するための溝を設けたものである。すなわち、円形レンズ部の外周から延長された2本の湾曲したワイヤ状の支持腕を有するタイプの眼内レンズの支持腕を溝に係合させて補助具に眼内レンズを確実に固定しようとしたものである。
【0004】
また、実開平5ー58118号公報に開示された補助具は、要するに、円環体の外周側に嚢の赤道部に内接する少なくとも2本の突条を構成する角部を設けたものである。
【0005】
このような補助具を用いることなく上記タイプの眼内レンズを嚢内に挿入しようとすると、水晶体が除去された嚢は、形状が不安定であるため、所望の場所に設置することが必ずしも容易でない。また、挿入した後は、眼内レンズの支持腕が嚢内の赤道部に沿って嚢内に接するようにして折り曲げられた状態で設置されることになるが、支持腕部の接する部位は嚢内の赤道部の一部であり、したがって、嚢内の一部に嚢を内部から押し拡げる力が加わることになる。これがために、嚢の赤道面の断面形状が真円でなくなり、これにともなって眼内レンズの設置位置も本来の位置からずれる等の不都合が生ずることになる。上記補助具は、水晶体を除去した嚢内に予め挿入することにより嚢の形状を維持できるのでこのような弊害を防止することができる。
【0006】
なお、眼内レンズとして、レンズ部の外側を囲む円形ループ状体を支持腕に固定したタイプのものがある(例えば、特開平1ー285258号公報参照)。このタイプの眼内レンズは、上述の補助具に相当するループ状体をレンズ部自体に予め固定したものであり、挿入後における嚢の形状維持や設置位置の安定性はよいが、挿入作業が困難であるという欠点がある。すなわち、挿入は、可能なかぎり小さく押さえられた切開部を通じて行われるので、レンズ部よりはるかに大きいループ状体を縮めて挿入することになるが、ループ状体には支持腕が接続され、かつ、ループ内にレンズ部があるので、所望の形状に押し縮めることが必ずしも容易ではなく、実際上は、かなり困難な作業となっている。上記補助具を用いた場合は、補助具は単なるループ状体であるので、比較的容易に任意の形状に変形できるから、挿入も容易である。また、レンズ部に支持腕部が設けられたタイプの眼内レンズの挿入も比較的容易である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平4ー364840号公報及び実開平5ー58118号公報に開示の補助具は、いずれも補助具を眼内に挿入する際に、挿入治具(例えば、ピンセットやインジェクター)によって把持あるいは係合して挿入する作業が必ずしも容易でないことが判明した。すなわち、例えば、補助具の円環体を外周側からピンセット等で挾んで略楕円形状にし、楕円の短径部を先端にして可能な限り小さく切開した部分を通じて眼内に挿入しようとした際、把持の力加減を微妙に調節しながら挿入しないと、生体との接触による力の作用によって楕円形が崩れると同時に補助具がピンセットから離脱してしまう場合が少なからず生ずることが判明した。また、例えば、針金状の先端が屈曲して係合曲線部を形成している挿入治具を用い、その係合曲線部を円環体の内側にいれて円環体を内側から係合し、その係合部を先端にして切開部から補助具を引き入れるようにして挿入する場合においても、生体との接触による力の作用が挿入の過程で種々変化することから、引き入れる際の形状が一定にならずに変化し、その形状変化によって係合が外れる場合が少なからず生ずることが判明した。この場合、この挿入作業は、手術工程全体の重要な一工程ではあるが、他のさらに微妙な配慮が必要な工程が多く控えていることから、この工程で少しでもトラブルが生ずることは、極めて迅速かつ精密性が要求される手術全体の良否を左右することにもなりかねない。
【0008】
本発明者等がその原因を究明した結果、主たる原因は、補助具を構成する円環体全周の形状がほぼ一様に形成されていて、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の全周にわたってほぼ均一に作用することから、円環体のどの部分に生体との間で力が働くかによって、その都度形状が任意に変化してしまい、その形状変化に対応して把持の力加減や係合の具合を変化させてやらないと離脱するおそれが生じてくるということがわかった。
【0009】
本発明は、上述の解明事実に基いてなされたものであり、嚢内への挿入設置が容易であり、しかも、嚢内において眼内レンズの支持腕部を係合してその固定や位置調整を容易に行うことを可能にする眼内レンズ挿入固定補助具を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明にかかる眼内レンズ挿入固定補助具は、
(構成1) レンズ部とこのレンズ部を水晶体嚢内に支持する支持腕部とを備えた眼内レンズを水晶体嚢内に挿入する前に、予め前記水晶体嚢内に挿入しておくことにより、水晶体嚢の形状を維持して眼内レンズの水晶体嚢内への挿入及び固定作業を容易にするとともに、眼内レンズの水晶体嚢内への固定を確実・安定にする眼内レンズ挿入固定補助具であって、
実質的に円環体をなし、その円環体のいずれかに挿入治具又は眼内レンズの支持腕部を係合する係合部を有することを特徴とした構成、
及び、
(構成2) レンズ部とこのレンズ部を水晶体嚢内に支持する支持腕部とを備えた眼内レンズを水晶体嚢内に挿入する前に、予め前記水晶体嚢内に挿入しておくことにより、水晶体嚢の形状を維持して眼内レンズの水晶体嚢内への挿入及び固定作業を容易にするとともに、眼内レンズの水晶体嚢内への固定を確実・安定にする眼内レンズ挿入固定補助具であって、
実質的に円環体をなし、その円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の特定の部位が他の部位に比較して強く又は弱くなるように形成されていることを特徴とする構成とし、
また、構成1の態様として、
(構成3) 構成1の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の他の部位に比較して強くなるように形成されていることを特徴とする構成、
及び、
(構成4) 構成1の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の他の部位に比較して弱くなるように形成されていることを特徴とする構成とし、
また、構成3の態様として、
(構成5) 構成3の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体の他の部位よりも太く形成されたものであることを特徴とした構成、
(構成6) 構成3の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体の他の部位よりも太く形成され、その太く形成された部位に貫通孔が形成されたものであることを特徴とする構成、
(構成7) 構成3の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体の一部に突起部を設けたものであることを特徴とした構成、
及び、
(構成8) 構成3の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、略均一な太さの円環体の一部を円環体の中心に向けて突出させるか又は外側に向けて突出させるようにしたものであることを特徴とした構成とし、
さらに、構成4の態様として、
(構成9) 構成4の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体の他の部位よりも細く形成されたものであることを特徴とした構成とし、
この構成9の態様として、
(構成10) 構成9の眼内レンズ挿入固定補助具において、
前記係合部は、円環体の一部を除去して該円環体に凹部を形成したものであることを特徴とした構成とした。
【0011】
【作用】
上述の構成1によれば、円環体のいずれかに挿入治具又は眼内レンズの支持腕部を係合する係合部を有するようにしたことにより、眼内に挿入の際には挿入治具をこの係合部に係合して挿入できるから、挿入の際に生体と補助具との間に働く力によって円環体が多少任意に変形しても挿入治具から補助具が離脱するおそれを防止することが可能となる。しかも、嚢内に挿入後は、この係合部を利用して眼内レンズの支持腕部を係合し、あるいは、その固定や位置調整を容易に行うことが可能となり、従来のように、眼内レンズ自体に位置調整用の孔を設ける等の必要をなくすることが可能になった。
【0012】
また、構成2によれば、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の特定の部位が他の部位に比較して強く又は弱くなるように形成されていることによって、挿入の際に、例えば、円環体を外周側からピンセット等で挾むと、弱い部分が簡単に屈曲して略楕円形状になり、この形状は眼内に挿入する際にも把持の力加減をそれ程微妙に調節しなくて一定に保持されることが確認された。また、例えば、針金状の先端が屈曲して係合曲線部を形成している挿入治具を用い、その係合曲線部を円環体の内側にいれて円環体を内側から係合し、その係合部を先端にして切開部から補助具を引き入れるようにして挿入する場合においても、同様に、挿入の際に弱い部分が簡単に屈曲して略楕円形状になり、この形状は眼内に挿入する過程で補助具に作用する力が多少変化しても一定に保持されることが確認された。これにより、挿入作業が著しく容易になった。
【0013】
また、構成3及び4によれば、構成1と2との作用の相乗効果によってさらに著しく挿入作業が容易になるとともに、嚢内に挿入後は、この係合部を利用して眼内レンズの支持腕部を係合し、あるいは、その固定や位置調整を容易に行うことが可能となり、従来のように、眼内レンズ自体に位置調整用の孔を設ける等の必要をなくすることが可能になる。
【0014】
構成5,7,8によれば、単純な構造によって構成3の補助具の作用効果と同様の作用効果が得られる補助具を得ることができる。
【0015】
構成6によれば、係合部を、円環体の他の部位よりも太く形成してその太く形成した部位に貫通孔を形成したことによって、係合をより確実にすることが可能になった。
【0016】
構成9及び10によれば、単純な構造によって構成4の補助具の作用効果と同様の作用効果が得られる補助具を得ることができる。
【0017】
【実施例】
(第1実施例)
図1は本発明の第1実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図、図2は図1のAーA線断面図、図3は図1のBーB線断面図、図4は補助具の眼内への挿入方法の説明図である。以下、これらの図面を参照にしながら第1実施例を説明する。
【0018】
図1ないし図3において、符号1は眼内レンズ挿入固定補助具(以下、単に補助具と略称する)、符号2は円環体、符号3は係合部、符号4は貫通孔、符号5は挿入治具、符号7は眼内レンズ、符号7aはレンズ部、符号7bは支持腕部である。
【0019】
円環体2は、ポリメチルメタクリレートを直径約10mmの円環状に形成したもので、円環の円周方向において略等間隔で3つの係合部3が形成されている。
【0020】
図2に示されるように、円環体2の係合部3が形成されている部位以外の部位の断面形状は一辺が0.2mmの正方形状をなしている。
【0021】
また、係合部3は、円環体2の一部を円環の中心に向けて山形状に突出させてその分太くし、その太く形成した部位に貫通孔4を形成したものである。図3に示されるように、太く形成した部位の最大幅(半径方向の幅)が0.55mmであり、厚さは他の部位と同じく0.2mmであり、貫通孔4の直径が0.3mmである。
【0022】
本実施例の補助具1を眼内に挿入するには、図4に示されるように、針金状の先端が屈曲して係合曲線部を形成している挿入治具5を用い、その係合曲線部を貫通孔4に入れて係合し、その係合部を先端にして切開部6aから補助具1を引き入れるようにして挿入する。挿入が開始されると、補助具1は切開部6aの大きさに対応して次第に変形して楕円形状になり、補助具1の直径より寸法の小さい切開部6aから眼内に挿入される。その場合、円環体2を撓ませる力に対して働く抗力は、係合部3が形成されている部位が他の部位に比較して強いので、抗力の弱い部分が挿入開始当初から簡単に変形し、それ以後は大略その形状を維持して大幅に形状が変化することがない。それゆえ、挿入の途中において補助具1が挿入治具5から外れるおそれが小さく、挿入を作業を容易に行うことができる。
【0023】
また、補助具1を眼内に挿入した後には、眼内レンズ7の挿入が行なわれるが、図1に示されるように、この眼内レンズ7の一方の支持腕7bの先端部を貫通孔4に挿入することにより、眼内レンズ7を嚢内において、補助具7に緩やかに固定し、次いで、他の貫通孔4に挿入治具5の先端を挿入して補助具1を移動すれば、レンズ部7bに直接治具を接触させることなく嚢内における眼内レンズ7の位置を調節することも可能になる。
【0024】
(第2実施例)
図5は本発明の第2実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図、図6は補助具の眼内への挿入方法の説明図である。
【0025】
この実施例は、第1実施例における係合部3を4つにした点を除けば第1実施例と同じ構成を有するので、共通する部分に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
この実施例の補助具1を眼内に挿入するには、図6に示されるように、補助具1の円環体2を外周側からピンセット5a等で挾んで略楕円形状にする。その場合、ピンセット5aで挾む場所を係合部3の形成部分とする。次いで楕円の短径部を先端にして切開部を通じて眼内に挿入する。その場合、円環体2を撓ませる力に対して働く抗力は、係合部3が形成されている部位が他の部位に比較して強いので、ピンセット5aの挾持力によって楕円形にされた後は、挿入開始から終了までの間、大略その形状が維持されて大幅に形状が変化することがない。それゆえ、挿入の途中において補助具1が挿入治具5から外れるおそれが小さく、挿入作業を容易に行うことができる。また、この実施例では、図5に示されるように、嚢内において、眼内レンズ7の両方の支持腕部7aの先端を貫通孔4に挿通してより確実に係合することができる。なお、この実施例においても、図4に示したと同じ方法でも挿入が可能である。また、眼外において、あらかじめ補助具の貫通孔4に眼内レンズの支持腕部7bの先端を挿入しておき、補助具を眼内レンズと一緒にして挿入することもできる。この場合には、補助具と眼内レンズとが一体になった形式のディスク型眼内レンズに比較して、円環体2と眼内レンズ7とが完全に結合されていないことから自在に変形できるので挿入しやすい。そして、挿入後に貫通孔4から支持腕部7bを抜いて円環体2の内周面に接するようにすることもできる。
【0027】
(第3実施例)
図7は本発明の第3実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図、図8は図7のDーD線断面図である。
【0028】
この実施例は、円環体2の中心を挾んで対称的な2つの位置に円環体2の他の部位よりも太い部位を形成して係合部33を形成したものである。
【0029】
係合部33は、図8にその断面形状を示したように、円環体の一部を円環体の中心及び円環を含む面に垂直な方向に突出させて太く形成したものである。
【0030】
この実施例によっても、上述の第1及び第2実施例と同様に、係合部に挿入治具を係合させ、あるいは、係合部の外側からピンセットで挾んで楕円形にして眼内に挿入でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
(第4実施例)
図9は本発明の第4実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【0032】
この実施例は、円環体2の中心を挾んで対称的な2つの位置に突起部34を形成したものである。
【0033】
この実施例によっても、上述の各実施例と同様に、係合部34に挿入治具を係合させ、あるいは、係合部が形成された部位の外側からピンセットで挾んで楕円形にして眼内に挿入でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
(第5実施例)
図10は本発明の第5実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【0035】
この実施例は、円環体2の円周方向において略等間隔で3つの係合部35を設け、この係合部35を、略均一な太さの円環体の一部を円環体の中心に向けて突出させるようにして形成したものである。このように、構成することによって、円環体の太さ自体を変えることなく、円環体2を撓ませる力に対して働く抗力を、係合部35が形成されている部位が他の部位に比較して強くすることができ、同時に、挿入治具等を係合させる作用も得ることができる。
【0036】
この実施例によっても、上述の各実施例と同様に、係合部に挿入治具を係合させ、あるいは、係合部の外側からピンセットで挾んで楕円形にして眼内に挿入でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
(第6実施例)
図11は本発明の第6実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図、図12は図11のC部拡大図である。
【0038】
上述の各実施例では、円環体2を撓ませる力に対する抗力が係合部が強く他の部位が弱くなるようにしたものであるが、本実施例は、その関係を逆にしたもので、円環体2の一部を除去して該円環体2に凹部を形成して係合部36を形成し、係合部36を円環体2の他の部位よりも細く形成したものである。
【0039】
係合部36の形状は、図12にその拡大図を示したように、略U字状をなしたものでもよいし、また、図13に示したように、略V字状をなしたものでもよく、あるいは、図14に示したように、略矩形状をなしたものであってもよい。
【0040】
この実施例によれば、図11に示したように、挿入の際に、挿入治具5を係合部36の近傍に係合して眼内に引き入れるようにすると、係合部36が他の部位に比較して撓ませる力に対する抗力が弱いので、挿入開始とともにこの部分が屈曲して略一定の形状になり、挿入が終了するまでほぼその形状を維持する。
【0041】
この実施例によっても、上述の各実施例と同様に、係合部に挿入治具を係合させ、あるいは、係合部の外側からピンセットで挾んで楕円形にして眼内に挿入でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
なお、上述の各実施例では、補助具1の材料として、ポリメチルメタクリレートの場合を例に掲げたが、補助具1の材料としては、嚢内への挿入及び嚢内での安定した固定のために弾性を有し、生体適合性、形状安定性など、眼科医療用に適したものであればよく、例えば、合成樹脂としてヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルアルコール等の吸水性高分子及びコラーゲン等の生体高分子、そしてシリコーンゴム、アクリルゴム等のエラストマー及びそれらの混合物又は共重合体等が用いられる。
【0043】
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等透明性の劣る、通常の医療用材料として用いられる合成樹脂であってもよく、またポリメチルメタクリレート等の硬質合成樹脂であっても、形状や厚さなどを好適に選択することにより弾力性を付与して、補助具材料として採用することができる。
【0044】
また、上述の各本実施例の補助具1は、製造の容易さから、単一材料で一体に構成されているが、本発明においてはとくに単一材料、一体構成に限定せられることなく、複数材料から複数部を構成することにより、補助具を形成してもよい。なお、本発明の補助具はモールド成形などによって容易に製造される。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の眼内レンズ挿入固定補助具は、実質的に円環体をなし、その円環体のいずれかに挿入治具又は眼内レンズの支持腕部を係合する係合部を有することを特徴とし、また、実質的に円環体をなし、その円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の特定の部位が他の部位に比較して強く又は弱くなるように形成されていることを特徴としたもので、これにより、挿入治具等によって補助具を把持又は係合して挿入する際に、補助具に作用する力によって補助具が任意の形状に変形するおそれを少なくし、変形による把持や係合の離脱を防止して挿入作業を容易にし、しかも、嚢内において眼内レンズの支持腕部を係合してその固定や位置調整を容易に行うことを可能にした眼内レンズ挿入固定補助具を得ているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図2】図1のAーA線断面図である。
【図3】図1のBーB線断面図である。
【図4】補助具の眼内への挿入方法の説明図である。
【図5】本発明の第2実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図6】補助具の眼内への挿入方法の説明図である。
【図7】本発明の第3実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図8】図7のDーD線断面図である。
【図9】本発明の第4実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図10】本発明の第5実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図11】本発明の第6実施例にかかる眼内レンズ挿入固定補助具の平面図である。
【図12】図11のC部拡大図である。
【図13】第6実施例の変型例の部分拡大図である。
【図14】第6実施例の変型例の部分拡大図である。
【符号の説明】
1…眼内レンズ挿入固定補助具(補助具)、2…円環体、3,33,34,35,36…係合部、4…貫通孔、5…挿入治具、5a…ピンセット、6…生体、7…眼内レンズ、7a…レンズ部、7b…支持腕部。
Claims (8)
- レンズ部とこのレンズ部を水晶体嚢内に支持する支持腕部とを備えた眼内レンズを水晶体嚢内に挿入する前に、予め前記水晶体嚢内に挿入しておくことにより、水晶体嚢の形状を維持して眼内レンズの水晶体嚢内への挿入及び固定作業を容易にするとともに、眼内レンズの水晶体嚢内への固定を確実・安定にする眼内レンズ挿入固定補助具であって、実質的に円環体をなし、その円環体のいずれかに挿入治具又は眼内レンズの支持腕部を係合する係合部を有し、
前記係合部は、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の他の部位に比較して強くなるように形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入固定補助具。 - レンズ部とこのレンズ部を水晶体嚢内に支持する支持腕部とを備えた眼内レンズを水晶体嚢内に挿入する前に、予め前記水晶体嚢内に挿入しておくことにより、水晶体嚢の形状を維持して眼内レンズの水晶体嚢内への挿入及び固定作業を容易にするとともに、眼内レンズの水晶体嚢内への固定を確実・安定にする眼内レンズ挿入固定補助具であって、実質的に円環体をなし、その円環体のいずれかに挿入治具又は眼内レンズの支持腕部を係合する係合部を有し、
前記係合部は、円環体を撓ませる力に対して働く抗力が円環体の他の部位に比較して弱くなるように形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入固定補助具。 - 請求項1に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、円環体の他の部位よりも太く形成されたものであることを特徴とした眼内レンズ挿入固定補助具。
- 請求項2に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、円環体の他の部位よりも太く形成され、その太く形成された部位に貫通孔が形成されたものであることを特徴とする眼内レンズ挿入固定補助具。
- 請求項1に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、円環体の一部に突起部を設けたものであることを特徴とした眼内レンズ挿入固定補助具。
- 請求項1に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、略均一な太さの円環体の一部を円環体の中心に向けて突出させるか又は外側に向けて突出させるようにしたものであることを特徴とした眼内レンズ挿入固定補助具。
- 請求項2に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、円環体の他の部位よりも細く形成されたものであることを特徴とした眼内レンズ挿入固定補助具。
- 請求項7に記載の眼内レンズ挿入固定補助具において、前記係合部は、円環体の一部を除去して該円環体に凹部を形成したものであることを特徴とした眼内レンズ挿入固定補助具。
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1994
- 1994-01-27 JP JP00782294A patent/JP3544692B2/ja not_active Expired - Fee Related
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