JP3544681B2 - 断熱性摩擦部品および断熱性油圧ピストン - Google Patents
断熱性摩擦部品および断熱性油圧ピストン Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両や各種機械のブレーキやクラッチ等に好適な断熱性摩擦部品および断熱性油圧ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、自動二輪車等の車両や、建設機械、農業機械、船舶等のブレーキやクラッチのように、動力の伝達、制御を行う操作において、その作動は液体、気体、固体等を介したり、あるいは電磁気力等を介して行われている。
【0003】
ところで、ブレーキやクラッチ等の操作においては、摩擦部材を相手材に押圧することにより、動力の伝達や制御を行っているため、当然摩擦熱が発生する。このような摩擦熱が上記した液体等の作動要素にまで伝達されると、その作動に悪影響を及ぼし、制御が不可能になることがある。
【0004】
例えば、自動車や自動二輪車のディスクブレーキを例にとると、ベーパーロック現象がその一例である。このため、自動車や自動二輪車の油圧作動タイプのディスクブレーキ等においては、摩擦熱が油圧ピストン、さらには作動油にまで伝達されることを抑制する必要がある。そこで、例えばディスクブレーキの場合には、従来、以下の (a)〜 (c)に示すような方策が施されてきた。
【0005】
(a) ブレーキパッド部材と金属裏板との間に、セラミックス系の断熱性フィラーが介挿されるように、パッド部材を断熱性フィラーと複合化した 2重構造とする。
【0006】
(b) 金属裏板と油圧ピストンとの間に、非金属の断熱材を差し込んだ構造とする。
【0007】
(c) 金属裏板の油圧ピストン側の面に、セラミックス溶射を施して断熱構造とする。
【0008】
ここで、ディスクブレーキ用のパッド部材(摩擦部材)としては、一般に樹脂系や金属系のものが用いられている。上記した (a)の断熱対策は、主に樹脂系のブレーキパッドに採用されており、金属系のブレーキパッドでは、断熱性フィラーが多くなると強度上の問題から界面での割れ等が生じやすくなるため、ほとんど採用されていない。よって、金属系のブレーキパッドでは、上記した (b)の断熱対策が広く実用化されているが、この断熱対策では介在させる断熱材の分だけ部品点数が増加すると共、断熱材を介挿する工程を付加しなければならない。一方、 (c)の断熱対策は、コスト高に加えて、断熱性能や耐衝撃性が (b)の対策より劣るという欠点があった。
【0009】
金属系のブレーキパッドは、樹脂系のブレーキパッドに比べて、耐久性や制動性能に優れているものの、熱伝導率が高いために樹脂系のブレーキパッド以上に断熱性を高める必要がある。しかし、上記した (b)や (c)の断熱対策では、樹脂系のブレーキパッドより部品点数や製造工程の増加を招き、製造コストが増大するという難点があった。
【0010】
また、金属系のブレーキライニングは、比較的振動が発生しやすく、またそれを伝達しやすいため、鳴きやジャダー等の振動が起こりやすいという欠点があり、これらの対策も求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のディスクブレーキにおける断熱対策では、金属系のブレーキパッドには強度の点から適用できない、部品点数や製造工程の増加を招いて製造コストが増大する等の問題があった。
【0012】
また、前述したような摩擦熱による問題は、自動車や自動二輪車等のブレーキに限られるものではなく、摩擦熱はブレーキパッドやクラッチ板に寸法変化を生じさせたり、例えば電磁クラッチの場合はコイルの温度を上げて磁気力を低下させる等の不具合を招くため、各種のブレーキパッドやクラッチ板においても同様な対策が施されているが、製造コストの増大等という同様な問題が生じている。このようなことから、摩擦部材の材質を問わずに適用することができ、かつ部品点数や製造工程の増加を招くことなく、摩擦熱による性能低下を抑制し得る断熱対策、例えば摩擦熱が油等の作動要素にまで伝達されることを有効に抑制することを可能にした断熱対策が強く望まれていた。
【0013】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、車両や各種機械のブレーキやクラッチ等において、摩擦により生じた熱が油等の作動要素にまで伝達されることを有効に防止することができ、かつそれらの構造および製造工程を簡素化することを可能にした、断熱性摩擦部品および断熱性油圧ピストンを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の断熱性摩擦部品は、支持部材と、この支持部材に積層固定された摩擦部材とを具備する摩擦部品において、前記支持部材はその少なくとも一部が、熱伝導率が0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属板により構成されており、前記断熱性金属板は 3 〜 10 重量%の Si 、 0.3 〜 3.0 重量%の C 、 0.2 〜 1.2 重量%の Mn 、および 15 〜 35 重量%の Ni を含有し、かつ Mn 量(重量%)をW 1 、 C 量(重量%)をW 2 としたときにW 1 ≦ 1.8 − 0.4 W 2 を満足する黒鉛鋳鉄からなることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の断熱性油圧ピストンは、ピストン部材の少なくとも一部が、熱伝導率が0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属板により構成されており、前記断熱性金属板は 3 〜 10 重量%の Si 、 0.3 〜 3.0 重量%の C 、 0.2 〜 1.2 重量%の Mn 、および 15 〜 35 重量%の Ni を含有し、かつ Mn 量(重量%)をW 1 、 C 量(重量%)をW 2 としたときにW 1 ≦ 1.8 − 0.4 W 2 を満足する黒鉛鋳鉄からなることを特徴としている。
【0016】
【作用】
本発明の断熱性摩擦部品においては、摩擦部材の支持部材、例えばブレーキパッドの裏板やクラッチ板の芯板の少なくとも一部として、熱伝導率が0.04cal/cmsec ℃以下の断熱性金属板を用いている。よって、例えば摩擦熱が油等の作動要素にまで伝達されることを有効に抑制することができ、かつ摩擦部品の構造自体は簡素化されているため、部品点数や製造工程の増大を招くこともない。また、摩擦部品の寸法変化等も防止することができる。
【0017】
また、本発明の断熱性油圧ピストンは、ピストン部材の少なくとも一部を、熱伝導率が0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属板により構成しているため、これをブレーキ機構やクラッチ機構の作動系として用いることにより、摩擦熱が油等の作動要素にまで伝達されることを有効に抑制することができる。また、このような断熱性油圧ピストンを用いることによって、ブレーキパッドやクラッチ板自体の断熱対策を省くことができるため、ブレーキ機構やクラッチ機構全体としての簡素化が可能となる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の断熱性摩擦部品を適用した一実施例によるブレーキパッドの構造を示す図である。同図に示すブレーキパッド1は、各種の摩擦部材からなるパッド部材2と、このパッド部材2を補強、支持する裏板3とを有しており、パッド部材2は裏板3に積層固定されている。
【0020】
上記したブレーキパッド1において、支持部材である裏板3は、熱伝導率が 0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属により構成されている。このような熱伝導率を有する断熱性金属を支持部材として用いることによって、部品点数や製造工程の増大を招くことなく、摩擦熱がブレーキフルード、油圧オイル、加圧エアー等の作動要素にまで伝達されることを有効に抑制することができると共に、ブレーキパッド1の熱変形も防止することができる。断熱性金属のより好ましい熱伝導率は、 0.03cal/cm sec ℃以下である。
【0021】
上記熱伝導率を満足する断熱性金属としては、少なくとも3〜10重量%のSiおよび15〜35重量%のNiを含有する鉄合金が用いられる。すなわち、この鉄合金は、Niを15〜35重量%と多量に含有させると共に、Siを3〜10重量%の範囲で含有させ、鉄母相に合金元素を固溶状態で合金化させることによって、熱伝導率0.04 cal/cm sec ℃以下の低熱伝導性を実現したものである。SiおよびNiの含有量が上記範囲外となると、いずれも熱伝導率の増加を招く。なお、ここで言う熱伝導率は、常温から200℃までの温度範囲による測定値を指すものとする。
【0022】
上記した高Ni鉄合金は、さらに0.3〜3.0重量%のC、0.2〜1.2重量%のMnを含有させて、合金鋳鉄、具体的には黒鉛鋳鉄として用いられる。黒鉛鋳鉄は 0 〜 2 重量%の Cu 等を含有してもよい。このような黒鉛組織とするためには、添加する炭素量に応じてMn量を制御する必要がある。その理由は、炭化物の析出を少なく維持するためであり、このためにはMn量(重量%)をW1、C量(重量%)をW2としたときに、W1≦1.8-0.4W2を満足させるようにする。
【0023】
黒鉛鋳鉄とする理由は、主に熱伝導性をより低下させると共に、鋳造性および被削性を改善して、製造コストを低減することにあるが、黒鉛組織とすることにより振動吸収効果をも得ることができる。これによって、制動時の発生音、いわゆるブレーキの鳴きを低減することができる。黒鉛組織としては、球状黒鉛組織や片状黒鉛組織が知られているが、本発明ではいずれも適用可能である。ただし、振動吸収効果を重視する場合の黒鉛組織は、片状黒鉛組織の方が有利であり、好ましくは黒鉛の平均長さを 200μm 以上とすることにより、 10%以上の固有減衰率(SDC) を得ることができる。一方、断熱性および機械的強度を重視する場合は、球状黒鉛組織の方が有利であり、黒鉛晶出量は切削性を大きく損なわない範囲で少ない方が好ましい。炭素含有量で表現すると、0.8%〜1.5%が好ましい範囲である。さらに、片状黒鉛と球状黒鉛の中間的な形態である疑球状黒鉛組織では、以上の特性のおおよそ中間的な値を示す。
【0025】
図1に示したブレーキパッド1においては、上述したような高Ni鉄合金からなる裏板3に、パッド部材2が積層固定されている。パッド部材2としては、金属系および樹脂系のいずれをも使用可能であり、またそれらの材質も特に問わない。ここで、金属系のパッド部材(摩擦部材)2としては、銅合金をベースとして、各種のセラミックスフィラーを添加した複合焼結材がよく用いられている。このような金属系パッド部材の熱膨張係数は、 8〜16×10-6/℃程度であり、また上述した高Ni鉄合金の熱膨張係数も 8〜16×10-6/℃程度と整合しているため、パッド部材2と裏板3とを 700℃〜1000℃程度の温度で熱間圧接する際に、熱膨張差による熱変形等を防止することができる。これに対して、比較的熱伝導率が低い例えばオーステナイトステンレス鋼の熱膨張係数は、15〜19×10-6/℃程度と高すぎるため、熱間圧接時に熱変形が生じるおそれが大きい。
【0026】
また、パッド部材2としては、上記したように樹脂系の摩擦部材を用いることも可能であり、特に金属成分を多く含むセミメタリックと呼ばれる材料は、金属系材料と同様に熱伝導率が高いため、高Ni鉄合金からなる裏板3の使用が効果的となる。
【0027】
積層固定するには、リベットやボルトによる固定等の各種の方式があるが、具体的には、例えば支持部材の一面にCu等の金属をメッキし、メッキ面に摩擦部材を隣接し、加熱加圧して拡散接合する方法、メッキに代えて、メタライズする方法、または低融点金属の薄板を介在させて、加熱加圧により拡散接合する方法、さらにはAgろうやCuろうでろう付けする方法が好ましい。
【0028】
次に、上記ブレーキパッド1の具体例とその評価結果について述べる。
実施例1〜3、比較例1〜3
まず、表1に材質、合金成分および特性を示す裏板3をそれぞれ用い、これら裏板3にCu、Sn、SiO2、Cからなるパッド部材2を、Cuメッキ層を介在した熱間圧接により固定することによって、それぞれブレーキパッド1を作製した。これらのブレーキパッド1の制動時の摩擦熱の伝達特性を、慣性式摩擦試験機を用いて測定した。その結果を表2に示す。なお、慣性摩擦試験の条件は、慣性体I=7kg m sec2、ディスク形状φ260×φ123×t23(ベンチレーティッドタイプ)、パッド面積S=50cm2で、当たり付け:速度=4.5m/sec,減速度=0.3G,係合開始温度=120℃(パッド表面温度),試験回数=100回、フェード試験:速度=9.0m/sec,減速度=0.45G,サイクル時間=35sec,試験回数=15回とした。また、パッド表面温度は、裏板3の裏面(パッド部材2との接合面と反対側の面)側からパッド部材2の表面近傍に達する温度測定器を挿入して測定した。
【0029】
【表1】
【表2】
表2から明らかなように、高Ni鉄合金からなる裏板を用いた、実施例によるブレーキパッドは、断熱性が高く、摩擦熱が油圧オイル等の作動要素にまで伝達されることを有効に抑制し得ることが分かる。
【0030】
次に、本発明の断熱性摩擦部品をクラッチ板に適用した実施例について説明する。図2は、本発明の一実施例によるクラッチ板の構造を示す断面図であり、同図に示すクラッチ板11は、ドーナツ板状の芯板12の両面に、各種の摩擦部材からなるクラッチライニング13を形成して構成されている。このクラッチ板11においては、芯板12の構成材料として、前述したブレーキパッドの裏板材料と同様な熱伝導率を有する断熱性金属、例えば高Ni鉄合金が用いられている。
【0031】
このようなクラッチ板11においても、高Ni鉄合金からなる芯板12を用いることによって、作動系に摩擦熱が伝達されることを抑制し得ると共に、振動吸収効果による鳴き(ノイズ)の低減等を図ることができる。
【0032】
なお、上記実施例のブレーキパッドおよびクラッチ板においては、裏板および芯板全体を断熱性金属で構成した例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、裏板および芯板の一部として断熱性金属を用いることも可能である。例えば、ブレーキパッド用裏板やクラッチ板用芯板を、高Ni鉄合金等の断熱性金属と通常の軟鋼等との積層体(圧接材)で構成することができる。
【0033】
次に、本発明の断熱性油圧ピストンの実施例について説明する。
【0034】
図3は、本発明の一実施例による断熱性油圧ピストンを用いたディスクブレーキ機構を示す図である。同図において、21はディスクであり、このディスク21を挟持し得るように、 2つのブレーキパッド22、23が配置されている。これらブレーキパッド22、23は、パッド部材22a、23aと、裏板22b、23bとから構成されている。
【0035】
一方のブレーキパッド22は、油圧シリンダ24と一体化された保持部材25に当接されている。また、他方のブレーキパッド23の裏面側には、油圧ピストン26が当接されている。油圧ピストン26は、油圧シリンダ24内に摺動自在に配置されている。そして、油圧シリンダ24内に油圧オイル27を媒体として圧力が伝達されることによって、ディスク21が 2つのブレーキパッド22、23で挟持され、ブレーキが作動する。
【0036】
この実施例のブレーキ機構において、油圧ピストン26は、前述したブレーキパッドの裏板材料と同様な熱伝導率を有する断熱性金属、例えば高Ni鉄合金により構成された、断熱性油圧ピストンである。このような断熱性金属からなる油圧ピストン26を用いることによって、ブレーキを作動させた際に発生する摩擦熱が油圧オイル27まで伝達されることを抑制することができる。
【0037】
また、油圧ピストン26と、その摺動相手材となる油圧シリンダ24とは、お互いの熱膨張係数が大きく離れていると温度上昇時や寒冷地においてクリアランスの適正さを失い、油圧漏れやロッキングを生じるおそれがある。これに対して、前述した高Ni鉄合金の熱膨張係数は 8〜16×10-6/℃程度であり、また油圧シリンダ24の材質として一般的な炭素鋼の熱膨張係数は10〜13×10-6/℃程度と整合しているため、油圧ピストン26と油圧シリンダ24とのクリアランスを適正に保つことができる。
【0038】
さらに、油圧ピストン26と油圧シリンダ24との磨耗に関しては、断熱性金属として、黒鉛組織を有する高Ni鋳鉄を用いることによって、黒鉛に潤滑オイルが含浸されて潤滑性能を高めることができるため、耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0039】
なお、上記ブレーキ機構におけるブレーキパッド22、23の裏板22b、23bとしては、前述した実施例と同様に断熱性金属を用いてもよいし、また通常の軟鋼等を用いることもできる。このようなブレーキパッドを用いても、油圧ピストン26自体に断熱対策を施しているため、摩擦熱が油圧オイル27まで伝達されることを抑制することができる。
【0040】
次に、上記断熱性油圧ピストン26およびブレーキ機構の具体例とその評価結果について述べる。
実施例4〜6、比較例4〜6
まず、表1に材質、合金成分および特性を示した各金属材料と同一の材料をそれぞれ用いて、油圧ピストン26を作製した。これら油圧ピストン26を使用して、図3に示したブレーキ機構を組み立てた。なお、油圧シリンダ24の材質としては、一般的な炭素鋼を用い、またブレーキパッド22、23の裏板22b、23b材質としては、軟鋼(JIS 3113 SAPH 45)を用いた。
【0041】
これらのブレーキ機構の制動時の摩擦熱による油圧オイルの温度上昇を、慣性式摩擦試験機を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、慣性式摩擦試験の条件は、前述した実施例と同様とした。
【0042】
【表3】
表3から明らかなように、断熱性金属からなる油圧ピストンを用いることによって、摩擦熱が油圧オイルまで伝達されることを有効に抑制し得ることが分かる。これによって、ブレーキのベーパーロック現象等をより確実に防止することが可能となる。この効果は、ブレーキパッド22、23の裏板22b、23b材質として、断熱性金属を用いることにより、一層高めることができる。
【0043】
なお、上記実施例においては、油圧ピストン全体を断熱性金属で構成した例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、油圧ピストンの一部として断熱性金属を用いることも可能である。
【0044】
また、本発明による断熱性油圧ピストンは、ブレーキ機構用の油圧ピストンに限らず、各種油圧装置のピストンとして用いることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の断熱性摩擦部品および断熱性油圧ピストンによれば、車両や各種機械のブレーキやクラッチ等において、摩擦により生じた熱が油等の作動要素にまで伝達されることを有効に防止することができると共に、それらの構造および製造工程を簡素化しているため、安価に断熱性摩擦部品や断熱性油圧ピストンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるブレーキパッドの構成を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線による断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるクラッチ板の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例による断熱性油圧ピストンを適用したブレーキ機構の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1………ブレーキパッド
2………摩擦部材からなるパッド部材
3………断熱性金属からなる裏板
11……クラッチ板
12……断熱性金属からなる芯板
13……摩擦部材からなるクラッチライニング
26……断熱性油圧ピストン
Claims (4)
- 支持部材と、この支持部材に積層固定された摩擦部材とを具備する摩擦部品において、
前記支持部材は、その少なくとも一部が熱伝導率が0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属板により構成されており、前記断熱性金属板は 3 〜 10 重量%の Si 、 0.3 〜 3.0 重量%の C 、 0.2 〜 1.2 重量%の Mn 、および 15 〜 35 重量%の Ni を含有し、かつ Mn 量(重量%)をW 1 、 C 量(重量%)をW 2 としたときにW 1 ≦ 1.8 − 0.4 W 2 を満足する黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする断熱性摩擦部品。 - 請求項1記載の断熱性摩擦部品において、
前記摩擦部材はブレーキパッド部材であり、かつ前記支持部材は前記ブレーキパッド部材を支持する裏板であることを特徴とする断熱性摩擦部品。 - 請求項1記載の断熱性摩擦部品において、
前記摩擦部材はクラッチライニングであり、かつ前記支持部材は前記クラッチライニングを支持する芯板であることを特徴とする断熱性摩擦部品。 - ピストン部材の少なくとも一部が、熱伝導率が0.04cal/cm sec ℃以下の断熱性金属板により構成されており、前記断熱性金属板は 3 〜 10 重量%の Si 、 0.3 〜 3.0 重量%の C 、 0.2 〜 1.2 重量%の Mn 、および 15 〜 35 重量%の Ni を含有し、かつ Mn 量(重量%)をW 1 、 C 量(重量%)をW 2 としたときにW 1 ≦ 1.8 − 0.4 W 2 を満足する黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする断熱性油圧ピストン。
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