JP3544652B2 - 画像形成装置の現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光プリンタ装置、複写機又はファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に備えられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置である複写機に備えられる従来の現像装置として、例えば図19に示す現像装置がある。この現像装置は、感光体81に対向して形成された長方形状の開口部90を有するケーシング80を備えており、ケーシング80の上部に、トナー補給口83が形成されている。
【0003】
ケーシング80内には、固定のマグネットローラ84aと、このマグネットローラ84aに回転自在に外嵌されたスリーブ84bとからなる現像ローラ84が、感光体81に近接して配設されており、現像ローラ84のスリーブ84bは、反時計回りに回転駆動される。上記スリーブ84bの表面には、内部のマグネットローラ84aの磁気力により、現像剤が磁気的に吸着されて穂立ち状態となる。この現像ローラ84の上方には、現像ローラ84上に形成された現像剤の穂立ちの高さを規制するドクタ85が配設されている。
【0004】
また、ケーシング80内には、上記現像ローラ84の他に、現像ローラ84から上記トナー補給口83に向かって、第1,第2攪拌ローラ86・87が順に配されている。そして、これら第1,第2攪拌ローラ86・87の上方には、搬送マグネットローラ88が配され、この搬送マグネットローラ88と第1攪拌ローラ86との間に、流し板89が配設されている。
【0005】
上記流し板89は、その上端部がドクタ85近傍に位置し、下端部が第1,第2攪拌ローラ86・87の間で、現像剤中に埋没されており、ドクタ85により規制された現像剤が、その上面に沿って下端側へと誘導される。また、この流し板89は、その下端部と対向するケーシング80の内壁面80aとで、第1攪拌ローラ86側へと流れていく現像剤の量を規制する役割も担っている。また、上記第1,第2攪拌ローラ86・87、搬送マグネットローラ88は、図示しないモータによって図中に示す矢印方向に連動して回転駆動されるようになっている。
【0006】
上記構成において、トナー補給口83を介して供給されたトナーは、第2攪拌ローラ87にて現像剤と攪拌され、現像剤中のキャリアと摩擦しあって、感光体81に形成される静電潜像と逆の極性に帯電され、その一部が流し板89に沿って搬送マグネットローラ88に汲み上げられて再び戻され、残りの現像剤は、第1攪拌ローラ86の方へ流れ、さらに攪拌される。そして、現像ローラ84に送られてきた現像剤は、スリーブ84b上に磁気的に吸着して穂立ち状態となり、磁気ブラシが形成され、余分な現像剤はドクタ85にて規制され、必要量の現像剤のみが、スリーブ84bの回転により感光体81側へと搬送され、感光体81上の静電潜像の現像を行う。
【0007】
ところで、昨今、市場からは、さらなるランニングコストの低減が要求されており、上記のような構成の現像装置においても、現像剤にかかる機械的ストレスを減じて現像剤のキャリアの長寿命化を達成し、ランニングコストを低減させることで、市場の要求に応えようとした。ところが、現像剤の機械的ストレスを軽減しようとすると、必然的にトナーの帯電量の低下を伴うため、トナー飛散といった別の問題が発生することとなり、市場の要求に充分に応え得る優れた複写機を提供することができない。
【0008】
つまり、図19に示した現像装置を用いて説明すると、該現像装置において、現像剤にかかる機械的ストレスを減じるためには、スリーブ84bにて搬送される現像剤量を減じて流し板89と現像ローラ84の間に入る現像剤量を減らし、搬入される現像剤が流し板89と現像ローラ84とに挟まれにくいようにすればよい。これにより、現像剤に圧力がかからないため、キャリアにかかる機械的ストレスを小さくできる。しかしながら、その場合、現像剤が現像ローラ84と流し板89との間に挟み込まれた状態でキャリアとトナーとの摩擦が高まって得られていたトナーの帯電が望めないので、必然的にトナーの帯電量が低下してしまう。尚、トナーの帯電量を高めるには、攪拌を多く行えばよいが、攪拌は現像剤のストレスを高めてしまう。
【0009】
その結果、上述したように、トナーのキャリアとの吸着力が低下してしまい、浮遊トナーが多くなる。ケーシング80内は、動作時、現像ローラ84、第1,第2攪拌ローラ86・87等の回転により引き起こされる機内風や、現像剤の流れにより内圧が高くなるため、その高圧となっている空気がケーシング80に形成された開口部90から吹き出し、これに浮遊トナーが巻き込まれることで、トナー飛散が発生する。
【0010】
特に、現像ローラ84の回転軸方向両端部には、通常、現像剤が付着されないため、現像ローラ84表面と上記開口部90との隙間が広くなっており、開口部90の長手方向両端部側からのトナー飛散が顕著である。そして、このような開口部90の長手方向両端部側からのトナー飛散は、現像ローラ84の回転に伴い連れ回る空気流によりドクタ85の前面部分に形成される負圧空間C(図19参照)によって、さらに助長されることとなる。尚、開口部90の長手方向中央部は、現像ローラ44の回転に伴う連れ回り空気流が層流になっていて、浮遊トナーをケーシング80内に引き込み易い構成となっているため、端部側に比べてトナーの飛散量は少ない。
【0011】
さらに、上記のような流し板89を備えた構成では、流し板89の上端側がドクタ85によって規制された現像剤にて詰まる一方、その下端側は現像剤に埋没しているので、流し板89を隔てて二つの空間部A・Bが形成されることとなり、開口部90のある空間部Aの内圧が特に高くなるため、開口部90からのトナーの飛散量も多くなる。
【0012】
一方、このようなトナー飛散を抑制するための手法が、従来、例えば実開平1−142962号公報、実開昭61−196262号公報、特開平2−139587号公報、特開昭61−145570号公報、実開昭62−170953号公報、特開昭62−244072号公報、特公平1−39581号公報に開示されている。
【0013】
▲1▼ 実開平1−142962号公報
これには、ケーシング内に、現像ローラの回転に伴って圧力の高まる空間と、圧力の低下する空間とが形成される場合に、各空間部を形成している現像槽の周壁にフィルタ付き通気孔を設けて、それぞれを外気と導通させることで、現像槽内外の圧力差を是正し、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0014】
▲2▼ 実開昭61−196262号公報
これには、現像ローラ、攪拌ローラ、及びケーシングに囲まれた、高圧となる空間と、ケーシング外部とを導通させるフィルタ付きの導通手段を設けることで、ケーシング内の圧力を低減させて、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0015】
▲3▼ 特開平2−139587号公報
これには、ケーシングに形成された開口部の下部側に、気流案内板を設けると共に、ケーシングにフィルタ付きの通気孔(圧抜き孔)を設けて、内圧上昇を防ぎ、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0016】
▲4▼ 特開昭61−145570号公報
これには、ケーシングに形成された開口部の上部側に、感光体と開口部の縁との隙間を塞ぐシール材が備えられた現像装置において、ケーシングに取り付けられたドクタ近傍に、ケーシング内の圧力上昇を抑えるフィルタ付きの通気孔(圧抜き孔)を設けて、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0017】
▲5▼ 実開昭62−170953号公報
これには、現像ローラの回転軸方向両端部付近に、外気を導入する通気孔(外気取入れ孔)を設けると共に、ケーシングに形成された開口部の縁部と感光体との外表面部との隙間を所定の寸法に設定し、現像装置の外部から内部に向かう空気流を生じさせることで、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0018】
▲6▼ 特開昭62−244072号公報
これには、ケーシング内の圧力抜きを行うと共に、ケーシングに形成された開口部の縁部と現像ローラ表面との隙間寸法を、現像ローラ上の現像剤層の厚さに関連付けて規定し、ケーシング内の空気流をケーシング内で循環させて吹き出しを抑え、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0019】
▲7▼ 特公平1−39581号公報
これには、現像ローラの下部に空気の吐出口を設けると共に、この吐出口に、気流を案内するように、ケーシングの開口部から現像ローラ下流に向かうにつれて現像ローラとの間隔が拡大する形状に気流案内板を設けて、開口部からケーシング内へと吸い込まれる空気流を形成し、トナー飛散を抑制することが記載されている。
【0020】
尚、本明細書中の以下の説明において、特に断らない限り、トナー飛散は、ケーシングに設けられた開口部からのものであり、また、端部側、中央部といった記載についても、特に断らない限り、現像剤担持体である現像ローラの回転軸方向、及びこれに沿った現像装置の長手方向に対してのものとする。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した▲1▼〜▲5▼の各公報の手法では、トナー飛散は抑制し得るものの、低メンテナンス性、コストアップ、トナーのフィルタすり抜け、或いは黒芯による画質低下といった課題を有しており、また、上記した▲6▼▲7▼の各公報の手法では、トナー飛散の抑制力に現像ローラの回転軸方向で不均一性を生じる。
【0022】
つまり、▲1▼▲2▼の手法では、ケーシング内の最も圧力の高い部分と外気とを導通させるため、高圧部の圧力を低下させるのに必ずフィルタ等の部材が必要となり、部材点数の増加によるコストアップを招来する。また、高圧部の空気が直接フィルタを通るため、フィルタの寿命が短く、フィルタ交換が頻繁に必要となり、メンテナンス性が低くなる。また、高圧部の空気が直接フィルタを通るとき、浮遊トナーがフィルタをすり抜ける可能性が高くなり、現像装置外にトナーが飛散して画像形成装置内部を汚染することにもなる。
【0023】
▲3▼▲4▼の手法は、ケーシング内の最も圧力の高い部分ではないものの、外気と導通させることで、ケーシング内の圧力を低下させるようになっているので、やはり、浮遊トナーのフィルタすり抜けが起こり易く、また、フィルタの短期サイクルでの交換が必要となる。特に、現像ローラと攪拌ローラとが駆動を開始した直後に急激に圧力が上がった場合に、トナー飛散が生じ易い。
【0024】
▲5▼の手法では、現像ローラの両端部付近に、外気を導入する通気孔を設けて、トナー飛散を抑制するようになっているが、この構成では、両端シール部材から空気を導入するため、ドクタの前部へのトナー付着を防止できず、ドクタに付着したトナーが塊になって落ちることによる黒芯が発生し、画質の低下が起こる。
【0025】
▲6▼▲7▼の手法では、ケーシングに形成された開口部の下端側の形状を、何れもその長手方向全体にわたって一様としている。しかしながら、現像ローラの両端部ではローラ表面に現像剤が付着していないことや、それによりケーシング内部からの空気の吹き出しの生じ易いこと、現像ローラの磁力がその両端部ではだれてしまうこと等の理由により、開口部における中央部と両端部とでは、現像ローラ回りの空気の流れが異なり、トナー飛散の様相が変わってくる とに何ら着目していない。そのため、トナー飛散の抑制力に長手方向で不均一性を生じている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する第1の本発明の画像形成装置の現像装置は、感光体に対向して形成された開口部を有するケーシング内に、感光体に現像剤を供給する回転可能な現像剤担持体と、現像剤を攪拌して上記現像剤担持体へと供給する回転可能な攪拌部材とが備えられた画像形成装置の現像装置において、
該現像剤担持体表面に形成される現像剤層の厚さを規制する現像剤層厚規制部材と、
上端部が上記現像剤層厚規制部材近傍に位置する一方、下端部が現像剤担持体と上記攪拌部材との間で現像剤中に埋設され、上記現像剤層厚規制部材により規制された余分な現像剤をその上面に沿って下端部側へと誘導する現像剤流れ規制板とが備えられ、
かつ、現像装置作動時に現像剤担持体および攪拌部材がそれぞれ回転開始され、現像装置作動時における上記現像剤担持体および攪拌部材の各回転開始タイミングが相互でずらされていて、上記攪拌部材の回転開始タイミングが、現像剤担持体の回転開始タイミングより遅く設定されていることを特徴としている。
【0027】
具体的には、現像装置作動時に、現像剤担持体および攪拌部材が回転開始される。現像装置の作動開始時は、ケーシング内の現像剤担持体及び攪拌部材の回転及び内圧が安定するまでに圧力上昇が増大する瞬間があるため、まず、現像剤担持体のみが回転され、現像剤担持体の回転により搬送された現像剤の一部が現像剤層厚規制部材にて規制されて現像剤流れ規制板上を流れて攪拌部材側の空間に戻った所で、攪拌部材の回転が開始されることとなる。したがって、機内風を弱めると共に、現像剤の流れを小さくして急激な圧力上昇を抑え、作動開始時のトナー飛散を効果的に抑制できる。
【0028】
また上述の課題を解決する第2の本発明の画像形成装置の現像装置は、現像装置の作動開始時、先ず、上記現像剤担持体のみが回転され、上記現像剤担持体の回転により搬送された現像剤の一部が上記現像剤層厚規制部材にて規制されて現像剤流れ規制板を流れて上記攪拌部材へと戻されたところで、上記攪拌部材の回転を開始するように設定されていることを特徴としている。
【0029】
これによって内圧の急激な圧力上昇が抑制される。したがって現像装置の作動開始時のトナー飛散を効果的に抑制することができる。
【0030】
さらに上述した課題を解決する第3の本発明の画像形成装置の現像装置は、現像剤層厚規制部材が上記ケーシングに固定されており、
上記ケーシングにおける、現像剤層厚規制部材の固定位置近傍で、かつ、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向の両端部側に、現像剤層厚規制部材の前面部分に形成される負圧空間と外気とを連通させる通気孔が形成されていることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、上記ケーシングに形成された通気孔により、現像剤担持体の端部側から外気が吹き込まれ、負圧空間の負圧が緩和される。したがって、この負圧空間により助長されていた、現像剤担持体の両端部の開口部との隙間が広くなった部分からのトナー飛散を効果的に抑制できる。しかも、この場合、上記の通気孔は、ケーシングにおける現像剤層厚規制部材の固定位置近傍に設けられ、取り込まれる外気の流れは、現像剤層厚規制部材の前面に沿ったものとなっているので、現像剤層厚規制部材の前面にトナーが付着することもなく、黒芯による画質低下を回避できる。
【0032】
そこで、上述した第3の発明による現像装置の構成において、現像剤が、磁性を有するキャリアとトナーとからなる二成分現像剤であると共に、上記現像剤担持体が、固定されたマグネットローラと該固定マグネットローラに外嵌された回転可能なスリーブとからなり、上記現像剤層厚規制部材及び通気孔が、上記マグネットローラの磁気パターンの谷間に位置するように設けることができる。
【0033】
これによれば、現像剤層厚規制部材及び通気孔が、上記マグネットローラの磁気パターンの谷間に位置するように設けられているので、通気孔から流入した直後の高速な気流が、現像剤担持体上に形成された現像剤の穂立ちに直接あたって現像剤を舞い上げるようなことがなく、トナー飛散をさらに抑制できる。
【0034】
また、上述した第3の本発明の現像装置の構成において、通気孔を、通気孔を通過する空気流が現像剤担持体の回転軸方向端部側から中央部に向かうように形成することができる。
【0035】
これによれば、通気孔が、空気流が長手方向両端部側から長手方向中央に向かうように形成されているので、中央へ向かう空気流が生じ、この空気流により浮遊しているトナーを現像剤担持体中央部へ運び、現像剤担持体の連れ回りの空気流にのせて、再びケーシング内に引き込むことができる。その結果、トナー飛散をさらに改善できる。
【0036】
さらにまた上述した課題を解決する第4の発明による画像形成装置の現像装置は、前記開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部が、開口部からの現像剤の飛散を抑制し得るように、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向に応じた形状変化を有しており、該縁部と上記現像剤担持体との離間距離が、上記現像剤担持体の長手方向端部側が中央側よりも大となるように設計されていることを特徴とする。
【0037】
この現像装置の構成によれば、開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部が、開口部からの現像剤の飛散を抑制し得るように、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向に応じた形状変化を有しているので、トナー飛散の抑制を最適化できる。
【0039】
また、開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部を、該縁部と上記現像剤担持体との離間距離が、上記現像剤担持体の長手方向端部側が中央側よりも大となるように設計すればよい。これによれば、現像剤担持体の回転に伴う連れ回り空気流が層流になっていて、浮遊トナーをケーシング内に引き入れやすい開口部の中央部で、現像剤担持体と縁部の隙間が絞られているので、上記空気流の流速がより高まり、ケーシング内に引き入れる空気流をより強力にし、浮遊トナーを引き入れてトナー飛散を抑制できる。一方、ケーシング内からの空気の吹き出しと現像剤担持体の連れ回り空気流とで空気の流れが乱れている開口部の両端部では、現像剤担持体と縁部の際問を絞ると、最狭部の手前で流れが滞り、それが感光体の連れ回り空気流に引っ張られてケーシング外への空気流となって飛散トナーが増加するため、両端部では現像剤担持体と縁部との際間が広げられ、トナー飛散を抑制できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態においては、本発明に係る現像装置が、画像形成装置である両面複写機能付きの複写機に搭載された場合を例示する。
【0041】
まず、本実施の形態の複写機の構成を、図3を参照して、一連の複写処理を基に説明する。
【0042】
複写機1では、複写機本体3の機体上方側面4に、硬質ガラスなどの材料からなる透明板5が配置されており、この透明板5が原稿読取面となる。上記透明板5の上方側には、図示しない回転軸に関して角変位自在に取り付けられた原稿供給装置2が装備されており、この原稿供給装置2により、原稿供給装置2の原稿収納部(図示せず)に積重して載置される原稿が上記読取位置5aへ自動的に順次供給され、その原稿像が呈示される。呈示された原稿像は、複写機1内に備えられた光学的読取手段によって光学的に走査され、原稿像の読取露光動作が行われる。原稿像が読み取られた原稿は、再び原稿収納部へ再収納される。このような原稿の循環供給が、原稿収納部に積重された原稿に対して順次実行され、こうして記録紙への片面複写や両面複写が実行される。
【0043】
前述のように、読取位置5aへ呈示される原稿像に対して、光学的読取手段によって読取露光動作が実行される。光学的読取手段において、ハロゲンランプなどの光源(図示せず)及び複数の反射鏡9を備える移動体7は、読取位置5aに対して水平な矢印8にて示す方向に往復移動し、呈示された原稿に光を照射し、その反射光は反射鏡10・11・12を経て、矢印方向に回転駆動される直円筒状の感光体ドラム(感光体)14上に結像される。
【0044】
上記感光体ドラム14の表面は、帯電用コロナ放電器15によって予め帯電されており、原稿像の結像によって感光体ドラム14上には原稿像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置16によってトナー像に顕像化され、転写用コロナ放電器17によって記録紙の一方表面に転写される。記録紙は、予め給紙カセット18a・18b・18cに収納されており、搬送手段19a・19b・19cによって1枚ずつ給紙され、搬送経路20を搬送された後、転写が行われる転写領域21へと導かれる。
【0045】
上記搬送経路20の転写領域21の近傍には、一対のレジストローラ22が備えられており、レジストローラ22の回転軸には、図示しないクラッチを介して動力伝達手段が連結されている。このクラッチの連結/遮断制御を、原稿供給装置2における原稿の搬送時期の制御に基づいて行うことによって、感光体ドラム14上のトナー像に対して、レジストローラ22により転写紙の搬送時期を合致させることができる。転写用コロナ放電器17によってトナー像か転写された記録紙は、搬送手段26から定着装置27に導かれ、トナー像の定着が行われる。
【0046】
定着後の記録紙は、反転手段23によって記録紙の搬送方向が反転され、中間トレイ24に一旦収納される。中間トレイ24の記録紙は、搬送手段25によって再び搬送経路20に供給され、レジストローラ22によって再び転写領域21へ導かれて記録紙の他方表面にトナー像が転写される。
【0047】
転写が終了した記録紙は、転送手段26、定着装置27、搬送経路28及び排紙機構部29を経て、機外の排紙トレイ30に排出される。このようにして、対応する記録紙の表裏両面にそれぞれ対応する原稿の原稿像が複写される。
【0048】
尚、片面への複写のみの場合には、一方表面に転写された記録紙は、中間トレイ24に収納されることなく、排紙トレイ30へ排出される。給紙カセット18a・18b・18cからは、例えば相互に異なる寸法の有する転写紙が転写領域21に選択的に搬送される。
【0049】
ところで、本実施の形態における上記現像装置16は、現像装置16の中央部断面図である図1、又は現像装置16の端部断面図である図2に示すように、感光体ドラム14と対向して形成された長方形状の開口部43を有するケーシング41を備えており、ケーシング41の上部には、トナーを補給するためのトナー補給口42が形成されている。
【0050】
上記ケーシング41内には、開口部43を通して感光体ドラム14と対向するように現像ローラ44が配設される一方、この現像ローラ44からトナー補給口42に向かって、第1,第2攪拌ローラ45・46が順次配設され、また、上記現像ローラ44の上部にはドクタ47が、さらにケーシング41内のほぼ中央部には、流し板48がそれぞれ配設されている。
【0051】
上記現像ローラ(現像剤担持体)44は、感光体ドラム14へとトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を供給するもので、ケーシング41に回転自在に支持された支持軸44aに外嵌され、ケーシング41に固定されたマグネットローラ44bと、このマグネットローラ44bに回転自在に外嵌されたスリーブ44cとからなる。上記スリーブ44cは、図示しないモータにより矢印方向(反時計方向)に回転駆動されるようになっている。
【0052】
第1攪拌ローラ(攪拌部材)45は、図4の如く、ケーシング41に回転自在に支持されたローラ軸45aと、このローラ軸45aに対して垂直に多数のフィン45bが突設されたものである。第2攪拌ローラ(攪拌部材)46は、図5の如く、ケーシング41に回転自在に支持されたローラ軸46aと、このローラ軸46aに傾斜して多数の楕円フィン46bが取り付けられたものである。これら第1,第2攪拌ローラ45・46は、図示しないモータによって、図中の矢印方向にそれぞれ回転駆動されるようになっている。
【0053】
ドクタ(現像剤層厚規制部材)47は、現像ローラ44の回転軸方向に伸びる平板状を成し、現像ローラ44の外周とドクタ47の先端部とで形成する空間の距離に応じて、現像ローラ44上に形成される現像剤の穂立ちの高さを規制するようになっている。
【0054】
流れ板(現像剤流れ規制板)48は、現像ローラ44の軸方向に伸びる略平板状を成し、その上端部がドクタ47の後面側近傍に位置し、下端部が前述の第1,第2攪拌ローラ45・46の間に位置するように斜めに配設されており、ドクタ47にて規制された現像剤が、その上面を流れて下端部側へと誘導される。また、流し板48の下端部は現像剤に埋没されており、その下端部とケーシング41の内壁面41aとの間で、第2攪拌ローラ46から第1攪拌ローラ45側へと供給される現像剤の供給量を制御するようになっている。
【0055】
また、ケーシング41に形成された開口部43の上部縁(現像ローラ44の回転方向上流側の縁部)には、ケーシング41内からのトナーが漏れなようにするための上部シール部材49が長手方向ほぼ全域に設けられている。このシール部材49は、例えば0.1mm厚のウレタンゴムからなり、感光体ドラム14に先端が接触して配される。また、開口部43の下部縁(現像ローラ44の回転方向下流側の縁部)には、感光体ドラム14との間に所定の隙間を有した状態で、気流規制板50が、長手方向ほぼ全域に設けられている。
【0056】
上記の構成を有する現像装置16の内部では、ケーシング41内の現像剤が、第2攪拌ローラ46に攪拌されると共にその回転により、流し板48の下端部とケーシング41の内壁面41aとの間を通って第1攪拌ローラ45側へと搬送される。搬送された現像剤は、第1攪拌ローラ45にて攪拌されると共にその回転により現像ローラ44へと供給される。現像剤が攪拌されることで、トナーはキャリアと摩擦され、感光体ドラム14に形成される静電潜像と逆の極性に帯電される。
【0057】
現像ローラ44へ供給された現像剤は、現像ローラ44におけるスリーブ44cの回転により汲み上げられ、このとき、現像剤は、スリーブ44cの表面にマグネットローラ44bの磁気力により穂立ち状態となる。そして、ドクタ47にて穂立ちの高さが規定された後、感光体ドラム14へと供給され、感光体ドラム14上の静電潜像を顕像化する。一方、ドクタ7にて規制された現像剤は、流し板48の上面を流れて、トナー補給口42から補給された補給トナーと共に、第2攪拌ローラ46にて再び攪拌されることとなる。
【0058】
次に、上記現像装置16に施されている、開口部43からのトナー飛散を抑制するための手法について詳細に説明する。上記現像装置16では、トナー飛散を抑制するために、以下に示す(1)〜(4)の4つの手法が施されている。
【0059】
(1) 流し板48に通気孔60を形成し、空間部Aの圧力を抜く。
【0060】
(2) ドクタ47前方に形成される負圧空間Cと外気とを連通させてドクタ47の前面に沿って外気を取り込む通気孔64を形成し、負圧空間Cの負圧を緩和する。
【0061】
(3) 開口部43の下部縁の形状を、トナー飛散を最適化するように、長手方向で変化させる。
【0062】
(4) 第1,第2攪拌ローラ45・46の回転開始タイミングを、現像ローラ44の開始タイミングより遅らせる。
【0063】
まず、(1)の手法について説明する。上記現像装置16のように、流し板48を備えた構成では、流し板48の上端側がドクタ47によって規制された現像剤にて詰まる一方、その下端側は現像剤に埋没しているので、流し板48を隔てて二つの空間部A・Bが形成されることとなる。そして、現像ローラ44、及び第1,第2攪拌ローラ45・46の回転に伴う機内風、及び現像剤の流れにより、開口部43のある空間部A(第1の空間部)の内圧が空間部B(第2の空間部)よりも特に高くなる。その結果、開口部43から空気が吹き出し、これに浮遊トナーが巻き込まれ、トナー飛散が起こる。
【0064】
そこで、上記現像装置16に備えられた流し板48には、図6に示すように、通気孔(連通手段)60が形成されている。図6(b)は流し板48の正面図であり、同図(a)は同図(b)のA−A’線矢視断面図である。
【0065】
これによれば、空間部Aの高圧空気が通気孔60を通って空間部Bへ流れ、空間部Aの圧力が低下する。したがって、開口部43からの空気の吹き出しが抑制され、トナー飛散が減少することとなる。そして、この場合、流し板48に通気孔60を開けるだけなので部品点数も増加せず、コストアップも伴わない。
【0066】
さらに、上記現像装置16では、ケーシング41における空間部Bを区画する部分に、図示しないフィルタを備えた圧力抜き孔39が形成されている。これにより、空間部Bの空気はこの圧力抜き孔39からフィルタを通してケーシング41外へ排出されることとなる。したがって、空間部Aの圧力がさらに低下し、トナー飛散がより一層抑制されることとなる。
【0067】
尚、このような圧力抜き孔をケーシングに設ける構成は、従来からもあったが、空間部Aの圧力を圧力抜き孔にて直接抜くと、トナー飛散を抑制することはできるが、その場合、圧力抜き孔に設けられたフィルタの交換頻度が高くなってメンテナンス性に劣り、また、高圧空気の吹き出しに伴ってトナーがフィルタをすり抜けるといったことも起こり得た。しかしながら、上記のように、流し板48に通気孔60を設けて空間部Aの高圧空気を空間部Bに導き、ここで一旦高圧を緩和させてから圧力抜き孔39を通すことで、フィルタの交換回数も少なくてすみ、また、トナーのフィルタすり抜けも防止できる。
【0068】
尚、上記現像装置16に備えられる流し板48に設けられる通気孔60の形状や形成位置は、図6にて示したものに限定されるものではなく、例えば、図7に示す流し板のような○形状でももちろんよく、また、図8に示す流し板のように、両端部側にのみ通気孔60を形成した構成としてもよい。この場合、前述したように、トナー飛散は現像ローラ44の端部側にて顕著であるため、端部側部位にのみ通気孔60を形成した構成でも、充分効果がある。
【0069】
また、本実施の形態の現像装置16の流し板48としては、その他、図9〜図11に示すような構成のものを用いることができる。図9〜図11において(b)は流し板の正面図であり、同図(a)は同図(b)のA−A’線矢視断面図である。
【0070】
これら図9〜図11に示す各流し板は、現像剤の攪拌不良を確実に防止し得るものである。つまり、通常、図6に示した流し板48の構成でも、流し板48上を流れる現像剤の速度から考えて、通気孔60からの現像剤の落下は起こり難いが、例えば現像ローラ44の汲み上げ極磁力が小さい場合や、現像剤の流動性が悪い場合などは、現像剤の流れが弱くなって通気孔60から落ちる現像剤が多くなり、攪拌不良を生じる虞れがある。
【0071】
そこで、図9に示す流し板においては、通気孔60の現像剤が流れてくる側に、カバー(落下防止部材)61が形成されている。これにより、現像剤の通気孔60からの落下が確実に防止され、攪拌不良を防ぐことができる。
【0072】
図10に示す流し板においては、通気孔60を覆うようにメッシュ部材からなるメッシュカバー(落下防止部材)62が貼り付けられている。これによれば、図9に示したカバー61のように、カバー61上に現像剤が溜まるようなことがなく、現像剤の流れがスムーズになる。上記メッシュカバー61となるメッシュ部材のメッシュ間隔dは、少なくともキャリアの平均径より小さければよく、例えば、
トナー平均粒径×2<d<キャリア平均粒径×0.8
を満たすものとすればよい。
【0073】
図11に示す流し板においては、プレス加工により、流し板となる平板から通気孔60となる部分を抜いた抜き片を上部に折り曲げてカバー(落下防止部材)63が形成されている。これによれば、カバー63は流し板と一体に形成されるので、図9、図10に示した流し板に設けられているカバー61、メッシュカバー62に比べて、部品点数が削減され、低コストであるといった利点がある。
【0074】
次に、(2)の手法について説明する。現像ローラ44の両端部には、通常、現像剤が付着されないため、現像ローラ44表面と開口部43との隙間が広くなっており、開口部43の両端部側からのトナー飛散が顕著である。そして、このようなトナー飛散は、現像ローラ44の回転に伴い連れ回る空気流によりドクタ47の前面部分に形成される負圧空間Cによって、さらに助長されることとなる。
【0075】
そこで、本実施の形態の現像装置16のケーシング41には、図2に示すように、ドクタ47が取り付けられている位置近傍で、かつ、その両端部分(現像ローラ44の両端部に対応する領域)に、ドクタ47の前面部分に形成される負圧空間Cと外気とを連通させる通気孔64が形成されている。これにより、図中矢印にて示す吹き込み風38が、現像ローラ44の両端部側から負圧空間Cに導入され、負圧空間Cの負圧が緩和されることとなり、開口部43の両端部側からのトナー飛散を抑制できる。そしてこの場合、通気孔64の設ける位置を、ドクタ47の取り付け位置近傍とし、吹き込み風38がドクタ47の前面に沿ったものとなるようにしたので、ドクタ47の前面にトナーが付着し、これが塊となって剥がれ落ちることで生じる黒芯による画質低下も回避できる。
【0076】
具体的には、ケーシング41を組み立てる一つの構成部材であり、ドクタ47の前方側に配され開口部43の上部縁となる部分も有する前カバー部51に、図12に示すように、ドクタ47と接触する側で、かつ、その両端部側にそれぞれ切り欠き51a・51aが形成されており、この切り欠き51a・51aが、通気孔64となる。図12(a)は前カバー部51の正面図であり、同図(b)は前カバー部51の右側面図である。
【0077】
また、本実施の形態の現像装置16のケーシング41を構成する前カバー部51としては、図13に示すような前カバー部とすることもできる。図13(a)は前カバー部の正面図であり、同図(b)は前カバー部の右側面図である。
【0078】
この前カバー部は、ドクタ47と接触する側で、かつ、その両端部側に切り欠き51a・51aが、矢印にて示す吹き込み風38が端部側から中央部に向かうように、位置をずらして形成されている。これによれば、吹き込み風38の中央へ向かう空気流により、浮遊しているトナーを現像ローラ44の中央部へ運び、現像ローラ44の連れ回りの空気流にのせて、再びケーシング41内に引き込むことができるので、トナー飛散をさらに改善できる。
【0079】
ところで、上記通気孔64から流入した空気は、負圧空間Cに到達するまでは、通気孔64が小さいため比較的高速な流れであるが、負圧空間Cに達すると流入空気が現像ローラ44の回転軸方向に沿って長手方向に広がるため減速され、現像ローラ44のスリーブ44cの回転速度と同速の流れになる。したがって、例えば通気孔64が現像ローラ44のマグネットローラ44bの磁気パターンの山になる位置に配設されていたとすると、空気との接触面積の多い穂立ち部に空気流があたり、トナーを舞いあげてしまうこととなり、トナー飛散を効果的に減じることができないこととなる。
【0080】
そこで、上記現像装置16では、ドクタ47及び通気孔64は、図14に示すように、現像剤を穂立ち状態とするマグネットローラ44bの径方向の磁気パターン65の谷間にくるように位置合わせされている。これにより、通気孔64から流入した直後の高速な空気が現像ローラ44上の現像剤の穂立ちに直接当たらず、減速してから穂立ちに当たるため、トナーの舞い上げを防止して、効果的なトナー飛散が可能となる。尚、図中66にて示す磁気パターンは、マグネットローラ44bの周方向の磁気パターンである。
【0081】
次に、(3)の手法について説明する。ケーシング41に形成された開口部43の中央部では、現像ローラ44の回転に伴う連れ回り空気流が層流になっていて、浮遊トナーをケーシング内に引き入れやすい。これに対し、開口部の両端部では、ケーシング41内からの空気の吹き出しと現像ローラ44の連れ回り空気流とで空気の流れが乱れている。
【0082】
そこで、本実施の形態の現像装置16では、ケーシング41の開口部43の下部縁の形状が、開口部43の長手方向で空気の流れに合わせて変化して設計されている。
【0083】
具体的には、図15(a)(b)、図16(a)(b)に示すように、ケーシング41を組み立てる一つの構成部材であり、現像ローラ44の下部側を覆うように配される下部ケーシング部52の、開口部43の下部縁となる部分の形状が、中央部側では、現像ローラ44の表面と下部縁との間隔が小さくなるような形状52aに、端部側では、上記間隔が広くなるような形状52bにそれぞれ設計されている。尚、図15(a)は、中央部側の現像ローラ下部側の要部断面図、同図(b)は、端部側の現像ローラ下部側の要部断面図である。また、図16(a)は、下部ケーシング部52の左側面図、同図(b)は、下部ケーシング部52の正面図である。
【0084】
これによれば、中央部側では、現像ローラ44と下部縁の隙間が絞られているので、上記の現像ローラ44の連れ回り空気流の流速がより高まり、ケーシング41内に引き入れる空気流がより強力となり、浮遊トナーを引き入れてトナー飛散を抑制できる。一方、端部側では、現像ローラ44と下部縁の隙間が広げられているので、例えば、反対に現像ローラ44と下部縁の隙間を絞ると、最狭部の手前で空気の流れが滞り、それが感光体の連れ回り空気流に引っ張られてケーシング41外へと流れる空気流となって飛散トナーが増加することとなるが、これにより、両端部でのトナー飛散も抑制できる。
【0085】
尚、中央部側での現像ローラ44の表面と下部縁との間隔DS 、端部側での現像ローラ44の表面と下部縁との間隔DL は、実際に最も効果的にトナー飛散を抑制し得る間隔を適宜設定すればよく、例えばDS =2.7mm、DL =4.0mmとすることで、トナー飛散を効果的に抑制し得た。
【0086】
最後に、(4)の手法について説明する。前述したように、現像ローラ44の両端部には、通常、現像剤が付着されないため、現像ローラ44表面と開口部43との隙間が広くなっており、端部側からのトナー飛散が顕著である。従来、現像ローラ、攪拌ローラは互いに歯車、タイミングベルトなどにより回転が同調するように設計されている。しかしながら、現像ローラ44の回転開始タイミングと、第1,第2攪拌ローラ45・46の回転開始タイミングを同期させると、現像ローラ44や、第1,第2攪拌ローラ45・46の回転に伴う機内風や、現像剤の流れにより、図18に示すように、回転開始時、回転及び内圧が安定するまでに空間部Aの圧力上昇が瞬間的に増大することとなり、このときの端部側からのトナー飛散は、無視できない量となる。
【0087】
そこで、上記現像装置16では、図17に示すように、現像ローラ44の回転開始タイミングよりも、第1,第2攪拌ローラ45・46の回転開始タイミングが遅く設定されている。
【0088】
これによれば、現像装置16の作動開始時、まず、現像ローラ44のみが回転され、現像ローラ44の回転により搬送された現像剤の一部がドクタ47にて規制されて流し板48を流れて第2攪拌ローラ46へと戻されたところで、第1、第2攪拌ローラ45・46の回転を開始するようになる。
【0089】
これにより、空間部Aの内圧は、図17の実線aに示す如く、破線bにて示す開始タイミングが同期設定されていた場合に比べて、急激な圧力上昇が抑制されることとなり、作動開始時のトナー飛散を効果的に抑制し得る。
【0090】
尚、現像ローラ44、第1,第2攪拌ローラ45・46の各回転開始タイミングをずらせることは、各々を別駆動とするか、或いは電磁クラッチにより第1,第2攪拌ローラ45・46の回転を遅らせるなど、従来から周知の技術を用いればよい。
【0091】
このような(1)〜(4)の手法が施された上記現像装置16の構成により、本複写機においては、たとえトナーの帯電量が低く、キャリアとの吸着が弱くとも、トナー飛散がほぼ確実に防止されることとなる。したがって、本複写機では、現像ローラ44にて汲み上げられる現像剤量を減らし、キャリアの長寿命化によるランニングコスト低減を図っているが、トナー飛散の問題は何ら起こらず、市場の要求に充分に応えることができる。
【0092】
尚、本実施の形態における現像装置16では、上記したトナー飛散を抑制する(1)〜(4)の全手法を全て組み合わせた構成としていたが、もちろん各手法を一つずつ採用することでも、十分にトナー飛散を低減できる。但し、手法(4)に関してのみは、現像装置の動作開始時のトナー飛散を抑制し得る効果はあるものの、動作中の空間部Aの圧力の高まりによるトナー飛散抑制効果を奏するものではないので、(1)〜(3)の手法を組み合わせて用いることで、優れたトナー飛散抑制効果を相乗的に発揮するものである。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明の画像形成装置の現像装置によれば、現像装置作動時における現像剤担持体及び攪拌部材の各回転開始タイミングを攪拌部材が遅れるようにずらすことで、作動開始時の急激なケーシング内の圧力の高まりを抑制し、これに伴うトナー飛散を抑制できる。
【0094】
また本発明の画像形成装置の現像装置において、現像装置作動時における攪拌部材の回転開始タイミングを、現像剤担持体の回転開始タイミングより遅く設定することで、特に現像剤流れ規制板を流れて戻ってきたところで攪拌部材を回転開始することで、現像装置の作動開始時の、急激な圧力上昇を抑えて、作動開始時のトナー飛散を効果的に抑制できる。
【0095】
さらに本発明の画像形成装置の現像装置において、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向の両端部側に、現像剤層厚規制部材の前面部分に形成される負圧空間と外気とを連通させる通気孔を形成することで、現像剤層厚規制部材の前面部分に形成される負圧空間の負圧を緩和することができるので、この負圧空間により助長されていた、現像剤担持体の両端部の開口部との隙間が広くなった部分からのトナー飛散を効果的に抑制でき、加えて、取り込まれる外気の流れが、現像剤層厚規制部材の前面に沿ったものとなるので、現像剤層厚規制部材の前面へのトナー付着を防止して、黒芯による画質低下を回避できる。
【0096】
そこで現像剤が、磁性を有するキャリアとトナーとからなる二成分現像剤であると共に、上記現像剤担持体が、固定されたマグネットローラと該固定マグネットローラに外嵌された回転可能なスリーブとからなり、上記現像剤層厚規制部材及び通気孔が、上記マグネットローラの磁気パターンの谷間に位置するように設けることで、通気孔から流入した直後の高速な気流が、現像剤担持体上に形成された現像剤の穂立ちに当たることがないので、トナー飛散をさらに効果的に抑制できる。
【0097】
また上記の通気孔を通過する空気流が現像剤担持体の回転軸方向端部側から中央部に向かうように形成することで、中央へ向かう空気流により、浮遊しているトナーを現像剤担持体中央部へ運び、現像剤担持体の連れ回りの空気流にのせて、再びケーシング内に引き込むことができるので、トナー飛散をさらに改善できる。
【0098】
さらにまた本発明の画像形成装置の現像装置において、開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部が、開口部からの現像剤の飛散を抑制し得るように、現像剤担持体の回転軸方向に沿った長手方向に応じた形状変化を有している、また上記開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部が、該縁部と上記現像剤担持体との離間距離を、上記現像剤担持体の長手方向端部側が中央側よりも大となるように構成することで、開口部からのトナー飛散の抑制を最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる複写機に備えられる現像装置の一例を示す長手方向中央部の断面図である。
【図2】上記現像装置の長手方向端部側の断面図である。
【図3】上記複写機の全体構成を示す構成図である。
【図4】上記現像装置に備えられる第1攪拌ローラの正面図である。
【図5】上記現像装置に備えられる第2攪拌ローラの斜視図である。
【図6】上記現像装置に備えられる流し板の一例を示す説明図である。
【図7】上記現像装置に備えられる流し板の他の例を示す説明図である。
【図8】上記現像装置に備えられる流し板の他の例を示す説明図である。
【図9】上記現像装置に備えられる流し板の他の例を示す説明図である。
【図10】上記現像装置に備えられる流し板の他の例を示す説明図である。
【図11】上記現像装置に備えられる流し板の他の例を示す説明図である。
【図12】上記現像装置におけるケーシングの一構成部材である前カバー部の一例を示す説明図である。
【図13】上記現像装置におけるケーシングの一構成部材である前カバー部の他の例を示す説明図である。
【図14】上記現像装置に備えられた現像ローラの磁気パターンと、ドクタ及びその前方に形成された通気孔との配置関係を示す説明図である。
【図15】上記現像装置におけるケーシングの開口部の下部縁と現像ローラとの間に形成される隙間寸法を示す説明図である。
【図16】上記現像装置におけるケーシングの一構成部材である下部ケーシング部の一例を示す説明図である。
【図17】上記現像装置におけるケーシング内の圧力と、現像ローラ、第1,第2攪拌ローラの動作タイミングとの関係を示す説明図である。
【図18】従来の現像装置におけるケーシング内の圧力と、現像ローラ、第1,第2攪拌ローラの動作タイミングとの関係を示す説明図である。
【図19】従来の複写機に備えられる現像装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 複写機(画像形成装置)
14 感光体(感光体ドラム)
16 現像装置
41 ケーシング
43 開口部
44 現像ローラ(現像剤担持体)
45 第1攪拌ローラ(攪拌部材)
46 第2攪拌ローラ(攪拌部材)
47 ドクタ(現像剤層厚規制部材)
48 流し板(現像剤流れ規制板)
51 前カバー部
52 下部ケーシング部
64 通気孔(現像剤層厚規制部材の固定位置近傍に形成された通気孔)
Claims (6)
- 感光体に対向して形成された開口部を有するケーシング内に、感光体に現像剤を供給する回転可能な現像剤担持体と、現像剤を攪拌して上記現像剤担持体へと供給する回転可能な攪拌部材とが備えられた画像形成装置の現像装置において、
該現像剤担持体表面に形成される現像剤層の厚さを規制する現像剤層厚規制部材と、
上端部が上記現像剤層厚規制部材近傍に位置する一方、下端部が現像剤担持体と上記攪拌部材との間で現像剤中に埋設され、上記現像剤層厚規制部材により規制された余分な現像剤をその上面に沿って下端部側へと誘導する現像剤流れ規制板とが備えられ、
かつ、現像装置作動時に現像剤担持体および攪拌部材がそれぞれ回転開始され、現像装置作動時における上記現像剤担持体および攪拌部材の各回転開始タイミングが相互でずらされていて、上記攪拌部材の回転開始タイミングが、現像剤担持体の回転開始タイミングより遅く設定されていることを特徴とする画像形成装置の現像装置。 - 現像装置の作動開始時、先ず、上記現像剤担持体のみが回転され、上記現像剤担持体の回転により搬送された現像剤の一部が上記現像剤層厚規制部材にて規制されて現像剤流れ規制板を流れて上記攪拌部材へと戻されたところで、上記攪拌部材の回転を開始するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の現像装置。
- 現像剤層厚規制部材が上記ケーシングに固定されており、
上記ケーシングにおける、現像剤層厚規制部材の固定位置近傍で、かつ、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向の両端部側に、現像剤層厚規制部材の前面部分に形成される負圧空間と外気とを連通させる通気孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置の現像装置。 - 上記現像剤が、磁性を有するキャリアとトナーとからなる二成分現像剤であると共に、上記現像剤担持体が、固定されたマグネットローラと該固定マグネットローラに外嵌された回転可能なスリーブとからなり、上記現像剤層厚規制部材及び通気孔が、上記マグネットローラの磁気パターンの谷間に位置するように設けられていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置の現像装置。
- 上記通気孔は、通気孔を通過する空気流が現像剤担持体の回転軸方向端部側から中央部に向かうように形成されていることを特徴とする請求項3記載の現像装置。
- 前記開口部の現像剤担持体回転方向下流側の縁部が、開口部からの現像剤の飛散を抑制し得るように、現像剤担持体回転軸方向に沿った長手方向に応じた形状変化を有しており、該縁部と上記現像剤担持体との離間距離が、上記現像剤担持体の長手方向端部側が中央側よりも大となるように設計されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の現像装置。
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