しかしながら、特許文献1の方法では、使用環境や機械的ストレスによりトナーが凝集している場合、格子状部材の目詰まりやトナーの融着によって微小量のトナー補給が困難であった。また、特許文献2の方法では、トナー補給口内のトナーが凝集して形成されるブリッジを崩してトナーを円滑に搬送する効果は期待できるものの、塊状のトナーを完全に分散させることは困難であり、上記問題点の解決手段として十分なものではなかった。
特許文献3の方法では、トナー分散部材がトナーボトル側に取り付けられているため、トナーボトルの交換時にトナー分散機構も交換されてしまい、コストアップに繋がるという問題点があった。また、トナー分散部材として円筒状の発泡部材を用いているため、トナーによる発泡部材の目詰まりが発生し、トナー分散部材の耐久性が低下するという問題点もあった。
また、特許文献4に記載されているスクリュー形状の攪拌搬送部材を備えた補助攪拌容器は、トナー及びキャリアを効率良く混合、攪拌する機能を有するものの、凝集したトナーを粒子単位に分散させる効果は期待できず、トナー分散機構として利用することはできなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、トナー収容容器から補給されるトナーを簡易な構成で分散状態として現像装置内に供給するトナー分散機構、及びそれを備えた現像装置を提供することを目的とする。また、前記トナー分散機構及び現像装置を搭載することにより、濃度むらやカブリ等の画像不具合を効果的に抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、トナー収容容器と現像装置との間に配置され、前記トナー収容容器から補給されるトナーを分散させるトナー分散機構であって、前記トナー収容容器と連通するトナー投入口と、前記現像装置と連通するトナー排出口とが形成されたハウジングと、該ハウジング内に回転自在に支持された回転軸及び該回転軸の外周面に弾性材料で形成された多数の分散用突起で構成されるトナー分散部材と、を有し、前記ハウジングの内壁面には前記分散用突起が接触する突出部が、前記ハウジングの長手方向において少なくとも前記分散用突起が対峙する部分に連続して形成されているトナー分散機構である。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記突出部は、前記分散部材の回転方向に対し前記トナー排出口の開口縁の下流側近傍に形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記分散用突起は、片側に多数の切り込みが形成された可撓性のフィルム部材を、切り込みを外向きにして前記回転軸の外周面に巻き付けて形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記トナー分散部材の回転方向に対し前記突出部の上流側端部には、前記トナー分散部材の回転方向上流側に突出する突起が形成されていることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記ハウジングの内壁面から前記突起までの距離は、前記ハウジングの内壁面から前記回転軸の外周面までの距離の50%以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記分散用突起は前記回転軸の軸方向に対し傾斜して固定されており、前記分散用突起の前記回転軸への投影長が前記回転軸方向における前記分散用突起のピッチよりも大きいことを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記分散部材の長手方向における前記トナー排出口の開口幅は、前記トナー投入口の開口幅よりも大きく形成されており、前記分散部材は前記トナー投入口から前記ハウジング内へ投入されたトナーを分散して前記トナー排出口の略全域から排出することを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記分散用突起は、前記回転軸に対し螺旋状に配列されていることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記回転軸には、前記トナー投入口から前記トナー排出口へ向かう搬送力を有するスクリュー部が前記分散用突起に隣接して形成されており、該スクリュー部の直上に前記トナー投入口が形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記トナー分散部材は、正逆回転可能であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構において、前記トナー分散部材は、スラスト方向に往復移動可能であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のトナー分散機構と、該トナー分散機構が上部に連結された現像容器と、を備えた現像装置である。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像容器内の、前記トナー排出口から排出されたトナーが落下するトナー落下位置には、攪拌搬送用回転軸の外周面に攪拌搬送羽が形成された攪拌搬送部材と、該攪拌搬送部材により現像容器内を循環搬送される現像剤とが存在することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー落下位置に存在する現像剤の嵩は、前記攪拌搬送部材の回転軸の上面よりも低いことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置と、前記トナー分散機構の上方に着脱可能に配置され前記トナー分散機構を介して前記現像装置内に補給するためのトナーを貯留するトナー収容容器と、が搭載された画像形成装置である。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記トナー収容容器からのトナー補給量とトナーの流動性の少なくとも一方に基づいて前記トナー分散部材の回転速度を変化させる制御手段を備えたことを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、トナー分散部材の回転に伴い分散用突起がハウジングの内壁面に形成された突出部に接触して揺動するため、分散用突起の間に抱え込まれて軽凝集したトナーを効果的に除去できる。従って、分散用突起の目詰まりによる分散性能の低下のおそれがない簡易且つ低コストなトナー分散機構となる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のトナー分散機構において、突出部をトナー排出口の開口縁の下流側近傍に形成することにより、分散用突起の揺動により跳ね飛ばされたトナーが突出部の上面に沿ってトナー排出口に滑り落ちるため、ハウジング内部でのトナーの滞留を抑制することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のトナー分散機構において、長手方向の片側に沿って多数の切り込みが形成されたフィルム部材を、回転軸の外周面に巻き付けて分散用突起を形成することにより、回転軸の外周面に分散用突起を簡単に形成することができる。また、ブラシローラーやスポンジローラーのように抜け毛やスポンジの千切れが発生せず、組み立て性も向上する。従って、簡便且つ低コストで耐久性にも優れたトナー分散部材となる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成のトナー分散機構において、突出部にトナー分散部材の回転方向上流側に突出する突起を形成することにより、トナー分散部材の回転により分散用突起の先端部よりも中央付近が最初に突起に接触する。その結果、フィルム部材で形成された散用突起の中央付近から根元部分にかけて大きく変形するため、分散用突起を大きく揺動させることができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成のトナー分散機構において、ハウジングの内壁面から突起までの距離を、ハウジングの内壁面から回転軸の外周面までの距離の50%以上とすることにより、分散用突起の中央よりも根元寄りの部分が最初に突起に接触するため、分散用突起を十分に変形させることができる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第3乃至第5のいずれかの構成のトナー分散機構において、分散用突起は回転軸の軸方向に対し傾斜して固定されており、分散用突起の回転軸への投影長を回転軸方向における分散用突起のピッチよりも大きくすることにより、塊状のトナーが分散用突起をすり抜けることによるトナーの分散不良を防止することができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第3乃至第6のいずれかの構成のトナー分散機構において、分散部材の長手方向におけるトナー排出口の開口幅をトナー投入口の開口幅よりも大きく形成し、分散部材がトナー投入口からハウジング内へ投入されたトナーを分散してトナー排出口の略全域から排出することにより、現像装置への単位面積当たりのトナー補給量を少なくすることができ、現像剤の混合性が向上する。
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成のトナー分散機構において、分散用突起を回転軸に対し螺旋状に配列することにより、ハウジング内における回転軸方向へのトナーの搬送力が高くなるため、トナー排出口からトナーを広範囲に排出することができる。
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1乃至第8のいずれかの構成のトナー分散機構において、回転軸に、トナー投入口からトナー排出口へ向かう搬送力を有するスクリュー部を分散用突起に隣接して形成することにより、トナー投入口から投入されたトナーはスクリュー部によってトナー排出口方向に搬送され、分散用突起に到達するため、トナー投入口の直下にトナー排出口を形成できない場合にもトナーを効果的に分散させることができる。
また、本発明の第10の構成によれば、上記第1乃至第9のいずれかの構成のトナー分散機構において、トナー分散部材を正逆回転可能とすることにより、正回転時に除去し切れなかった分散用突起の間の軽凝集トナーを効果的に除去することができる。
また、本発明の第11の構成によれば、上記第1乃至第10のいずれかの構成のトナー分散機構において、トナー分散部材は、スラスト方向に往復移動可能とすることにより、分散用突起を捩れるように複雑に揺動させて、分散用突起に抱え込まれた軽凝集トナーを一層効果的に除去することができる。
また、本発明の第12の構成によれば、上記第1乃至第11のいずれかの構成のトナー分散機構と、該トナー分散機構が上部に連結された現像容器と、を備えることにより、短時間で十分なトナーの混合が可能となり、エージング時間の短い現像装置となる。
また、本発明の第13の構成によれば、上記第12の構成の現像装置において、現像容器内のトナー落下位置には、攪拌搬送用回転軸と攪拌搬送羽とで構成される攪拌搬送部材と、該攪拌搬送部材により現像容器内を循環搬送される現像剤とが存在することにより、トナー分散機構から補給されたトナーを現像容器内の現像剤と迅速に攪拌、混合することができる。
また、本発明の第14の構成によれば、上記第13の構成の現像装置において、トナー落下位置に存在する現像剤の嵩を、攪拌搬送用回転軸の上面よりも低くすることにより、トナーは攪拌搬送用回転軸の近傍に補給され、攪拌搬送羽により上昇と落下を繰り返しながら搬送される。従って、トナー分散機構から補給されたトナーと現像容器内の現像剤とを効率良く攪拌することができる。
また、本発明の第15の構成によれば、上記第12乃至第14のいずれかの構成の現像装置と、トナー分散機構の上方に着脱可能に配置されトナー分散機構を介して現像装置内に補給するためのトナーを貯留するトナー収容容器と、を搭載することにより、トナー収容容器から補給されるトナーと現像装置内に存在する現像剤との混合性を向上させることができ、濃度むらやカブリ等の画像不具合を効果的に抑制できる画像形成装置となる。
また、本発明の第16の構成によれば、上記第15の構成の画像形成装置において、トナー収容容器からのトナー補給量とトナーの流動性の少なくとも一方に基づいてトナー分散部材の回転速度を変化させる制御手段を設けることにより、トナー補給量が多い場合やトナーの流動性が低い場合はトナー分散部材の回転速度を速くしてトナーの分散能力を高めることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明のトナー分散機構及びそれを備えた現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1に示すように、画像形成装置100は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラー5、フィードローラー6、中間搬送ローラー7、レジストローラー対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラー対11が配置されている。更に、画像形成装置100内には、上記の各ローラー、画像形成部9、定着部10等の動作を制御する制御部(CPU)30が配置されている。
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラー5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラー6に圧接するようにリタードローラー13が配設されており、ピックアップローラー5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラー6とリタードローラー13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
そして、フィードローラー6とリタードローラー13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラー7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラー対8へと搬送され、レジストローラー対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計回りに回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラー18及び感光体ドラム14の上方に配置される露光ユニット(LSU)19から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。現像装置16とトナーコンテナ20の間には、現像装置16に補給されるトナーを分散するためのトナー分散機構21が配置されている。
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラー15aが備えられており、この導電性ゴムローラー15aが感光体ドラム14に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム14が回転すると、導電性ゴムローラー15aが感光体ドラム14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラー15aに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が一様に帯電させられることとなる。
次いで、露光ユニット(LSU)19からのレーザービームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成され、転写ローラー18により感光体ドラム14の表面のトナー像が、感光体ドラム14と転写ローラー18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。
トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラー22、及びこの加熱ローラー22に圧接される加圧ローラー23によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
そして、画像形成部9及び定着部10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラー対11によって排紙部3に排出される。一方、転写後に感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
続いて、図2及び図3を参照して本発明のトナー分散機構を備えた現像装置16について詳述する。図2は本発明の現像装置の側面断面図であり、図3は現像装置を上方から見た平面図である。なお、図2は図3におけるXX′矢視断面図に相当し、図3においては説明の便宜上、カバー31bを外した状態を示している。
図2及び図3に示すように、現像装置16は、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤が収容される容器本体31aと、容器本体31aに収容された現像剤が外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される現像容器31内に、第1攪拌搬送スクリュー32、第2攪拌搬送スクリュー33、現像ローラー35、規制ブレード36が備えられている。
容器本体31aの内部は、長手方向に延在する仕切板37によって第1貯留室38と第2貯留室39とに区画されており、第1貯留室38には第1攪拌搬送スクリュー32が、第2貯留室39には第2攪拌搬送スクリュー33がそれぞれ配設されている。また、仕切板37は、図3に示すように容器本体31aの左右両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室38と第2貯留室39の間を現像剤が移動する通路(現像剤受け渡し部)40となっている。
第1攪拌搬送スクリュー32及び第2攪拌搬送スクリュー33は、それぞれ回転軸32a、33aと、その外周面に一体形成された螺旋羽32b、33bから構成され、互いに略平行となるように容器本体31a内に回転可能に軸支されており、第1攪拌搬送スクリュー32及び第2攪拌搬送スクリュー33が所定方向に回転することによって第1貯留室38内の現像剤を矢印A方向に搬送し、第2貯留室39内の現像剤を矢印B方向に搬送するように構成されている。また、後述するトナー濃度センサー44の検出結果に応じて容器本体31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口34が設けられている。
そして、第1攪拌搬送スクリュー32及び第2攪拌搬送スクリュー33の回転軸32a、33aには駆動入力ギヤ41a、41bが連結されており、駆動入力ギヤ41a、41bには駆動出力ギヤ42を介してモーター43が接続されている。この駆動入力ギヤ41a、41b、駆動出力ギヤ42及びモーター43により第1及び第2攪拌搬送スクリュー32、33を所定方向に回転駆動することによって、現像剤が第1貯留室38及び第2貯留室39内を搬送され、また、上述したように容器本体31aの左右両端部に設けられた通路40を通過して、第1貯留室38と第2貯留室39とを循環するようになっている。
現像ローラー35は、第1攪拌搬送スクリュー32及び第2攪拌搬送スクリュー33と略平行となるように第1貯留室38内に回転可能に軸支され、ギヤ列(図示せず)を介してモーター43が接続されている。この現像ローラー35には、内面に永久磁石から成る磁界発生部材(図示せず)が固定されたマグネットローラーが使用されており、感光体ドラム14の回転に応じて現像ローラー35が回転すると、この磁界発生部材の磁力により現像ローラー35の表面に現像剤が付着(担持)されて現像剤層が形成される。
そして、所定の現像域において現像ローラー35に付着した現像剤中のトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラー35に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。なお、現像ローラー35が独立して駆動するように現像ローラー35にモーター43とは別個の駆動手段を接続しても良い。
規制ブレード36は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラー35への現像剤付着量を規制するものであり、例えばSUS303等の非磁性体のSUS(ステンレス)が用いられる。そして、規制ブレード36は、その先端と現像ローラー35との間に所定の隙間が形成されるように配設されており、この規制ブレード36と現像ローラー35との隙間によって現像ローラー35への現像剤付着量が規制され、現像ローラー35の表面には数百ミクロンの現像剤薄層が形成される。
第2貯留室39の内壁面にはトナー濃度センサー44が配置されている。トナー濃度センサー44としては、容器本体31a内におけるトナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサー44により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を制御部30(図1参照)に出力するよう構成されており、制御部30によってトナー濃度センサー44の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
トナー分散機構21は、現像装置16のカバー31bと一体形成されたハウジング24と、ハウジング24内に回転可能に支持されたトナー分散部材25とで構成されている。ハウジング24の上面にはトナー投入口24aが形成されており、ハウジング24aの下面には現像装置16のトナー補給口34に連通するトナー排出口24bが形成されている。トナー濃度センサー44の出力に応じてトナー投入口24aから所定量のトナーがトナー分散機構21内に投入されると、トナー分散部材25の回転により塊状のトナーが分散された後、トナー排出口24bから排出され、トナー補給口34を経て現像装置16内に補給される。
なお、本明細書中で使用する「分散」とは、トナーが1粒子単位にまで細粒化された状態を意味し、スクリューやスパイラルによる「混合」とは明確に区別される。
図4及び図5は、本発明の第1実施形態に係るトナー分散機構の斜視図及び平面図である。図2及び図3を参照しながら、図4及び図5を用いてトナー分散機構の構成について説明する。トナー分散機構21は、ハウジング24と、ハウジング24内に回転可能に支持されたトナー分散部材25とで構成されている。なお、説明の便宜上、図4及び図5ではハウジング24の上面を開放して内部が見える状態としている。
ハウジング24の上面にはトナー投入口24aが形成されており、ハウジング24の下面には現像装置16のトナー補給口に連通するトナー排出口24bが形成されている。トナー濃度センサー44の出力に応じてトナー投入口24aから所定量のトナーがトナー分散機構21内に投入されると、トナー分散部材25の回転により塊状のトナーが分散された後、トナー排出口24bから排出され、現像装置16内に補給される。また、トナー投入口24aには、トナーコンテナ20の装着により開放し、トナーコンテナ20の取り外しにより閉鎖するシャッター部材(図示せず)が付設されている。
トナー分散部材25は、回転軸25aの外周面に弾性材料で形成された多数の分散用突起25bを形成したものである。回転軸25aの一端はハウジング24の外側に延在しており、駆動入力ギヤ50が固定されている。駆動入力ギヤ50はギヤ列を介して駆動機構(図示せず)に連結されている。また、分散用突起25bの先端はトナー排出口24bの開口縁に接触するように配置されている。
図6は、第1実施形態のトナー分散機構に用いられるトナー分散部材の分散用突起の一例を示す展開図であり、図7は、図6の分散用突起を回転軸に螺旋状に巻き付けてトナー分散部材とした斜視図である。本実施形態におけるトナー分散部材25は、リボン状のフィルム部材51の、長手方向の片側(図6では上側)に多数の切り込み53を形成し、切り込み53が形成されていない部分を固定部54として、切り込み53を外向きにしてフィルム部材51を回転軸25aの外周面に螺旋状に巻き付けて分散用突起25bとしたものである。
図6に示すように、切り込み53はフィルム部材51の長手方向に垂直ではなく、斜めに形成されている。これにより、フィルム部材51を回転軸25aの外周面に巻き付けたときに切り込み53を入れた部分が回転軸25aに対して一定の角度で立ち上がるため、分散用突起25bを手で広げたりすることなく均一に且つ容易に形成することができる。分散用突起25bの回転軸25aに対する立ち上がり角度は、切り込み53の角度により任意に調整することができる。
また、フィルム部材51の両端部には係合突起55が形成されており、回転軸25aの外周面の2箇所には係合突起55が係合する係合部57が突設されている。また、フィルム部材51の固定部54には長手方向全域に亘って両面テープ56が貼り付けられている。トナー分散部材25を組み立てる際は、フィルム部材51の一端の係合突起55を一方の係合部57のスリット57aに差し込み、フィルム部材51を回転軸25aに巻き付けながら両面テープ56で貼り付け、最後に他端の係合突起55をもう一方の係合部57のスリット57aに差し込むことにより、フィルム部材51を回転軸25aに簡単に固定することができる。
本実施形態の構成によれば、トナーコンテナ20(図1参照)からトナー投入口24aへのトナー投入タイミングに合わせてトナー分散部材25を回転させることで、分散用突起25bの先端がハウジング24の内面やトナー排出口24bの端縁と接触して揺動し、トナー投入口24aからハウジング24内に進入した塊状のトナーを1粒子単位まで効率良く分散することができる。
また、分散用突起25bをフィルム部材51で形成することにより、植毛ブラシローラーやスポンジローラーのように抜け毛やスポンジの千切れが生じないため、耐久性に優れたトナー分散部材となる。さらに、トナー分散部材25に起因する異物が現像容器30内へ進入するおそれがないため、規制ブレード36と現像ローラー35との隙間に異物が挟まることによる白抜け画像等の画像不良を効果的に防止することができる。フィルム部材51の材質としては、可撓性、復元性(弾性)に優れたPETフィルムやウレタンシート等が好ましい。
また、フィルム部材51を回転軸25aに巻き付けてトナー分散部材25としたときに分散用突起25bに負荷が掛かり、切り込み53がさらに裂けて分散用突起25bが千切れてしまう可能性もある。そこで、両面テープ56を固定部54に貼り付ける際、図8に示すように、両面テープ56が切り込み53の基端部53aに重なるように貼り付けることが好ましい。このように貼り付けることで、切り込み53の基端部53aが両面テープ56により補強されるため、分散用突起25bの千切れを防止することができる。
図9は、第1実施形態のトナー分散機構の正面断面図(図5のZZ′矢視断面図)である。ハウジング24の内壁面には、トナー分散部材25の回転方向(図9の矢印方向)に対しトナー排出口24bの下流側近傍に突出部26(図9のハッチング部分)が形成されている。突出部26は、ハウジング24の長手方向(図9の紙面表裏方向)において少なくとも分散用突起25bの対峙する部分に連続して形成されており、突出部26の上流側端部にはトナー分散部材25の回転方向上流側に突出する突起26aが形成されている。
トナー分散部材25が図9の矢印方向に回転すると、分散用突起25bが突起26aから突出部26に順次接触して弾性変形し、径方向に撓んだ状態となる。さらにトナー分散部材25が回転すると、径方向に撓んだ分散用突起25bは順次突出部26から離間し、復元力によって元の状態に戻る。
そして、分散用突起25bが撓んだ状態から復元する際に、分散用突起25bの間に抱え込まれて軽凝集したトナーが跳ね飛ばされるため、トナー分散部材25がトナーにより目詰まりすることなく回転する。従って、トナー排出口24bからのトナー搬送(落下)量の低下、分散効果の低減、回転トルクの上昇を効果的に抑制することができる。
また、突出部26の上流側端部に突起26aが形成されているため、トナー分散部材25の回転により分散用突起25bの先端部よりも中央付近が最初に突起26aに接触する。その結果、分散用突起25bは中央部から根元部分にかけて大きく変形し、突出部26から離間して元の状態に復元する際の揺動も大きくなる。
突起26aを形成する高さは特に限定されないが、分散用突起25bを根元部分から十分に湾曲させるためには、ハウジング24の内壁面から突起26aまでの距離が、ハウジング24の内壁面から分散用突起25bの取り付け面(回転軸25aの外周面)までの距離の50%以上となるように形成することが好ましい。
なお、突出部26の配置位置はトナー排出口24bの下流側近傍に限られず、ハウジング24の内壁面の任意の位置に設けることができる。例えば、図10に示すように突出部26をトナー排出口24bの上流側に設けても良い。しかし、図9のように突出部26をトナー排出口24bの下流側近傍に設けた場合、分散用突起25bの揺動により跳ね飛ばされたトナーが突出部26の上面に沿ってトナー排出口24bに滑り落ちるため、ハウジング24内でのトナーの滞留を抑制することができる。また、図11に示すように、突出部26をハウジング24の内壁面の複数個所に設けることもできる。
図12は、第1実施形態のトナー分散機構のトナー分散部材に用いられる分散用突起の他の例を示す展開図であり、図13は、図12の分散用突起を回転軸に巻き付けてトナー分散部材とした斜視図である。本実施形態においては、図12に示すような扇型のフィルム部材51の外周縁から内側に向けて多数の切り込み53を形成し、フィルム部材51の切り込み53が形成されていない内周縁部を固定部54として、固定部54に両面テープ56を貼り付けたものである。このフィルム部材51を所定のピッチで回転軸25aに円錐状に複数(ここでは9枚)巻き付けて分散用突起25bを形成している。
図13に示すトナー分散部材25においても、図7に示したトナー分散部材25と同様にトナー分散部材25に起因する異物が現像容器30内へ進入するおそれがなく、白抜け画像等の不具合を効果的に防止することができる。
また、図13に示すトナー分散部材25では、分散用突起25bが複数のフィルム部材51で形成されるため、一つのトナー分散部材25中で分散用突起25bを形成するフィルム部材51の厚みや硬さ(コシ)を変更することができる。従って、トナー分散部材25の長手方向における分散性を任意に調整できる。また、分散用突起25bが経時変化等により部分的に劣化した場合は、劣化部分のフィルム部材51のみ交換すれば良いため、トナー分散部材25のメンテナンス性も向上する。また、分散用突起25bの千切れを防止するために、図8と同様に、切り込み53の基端部53aに重なるように両面テープ56を貼り付けることが好ましい。
図14は、第1実施形態のトナー分散機構に用いられるトナー分散部材25の断面拡大図である。図14(a)に示すように、回転軸25aのスラスト方向における分散用突起25bの間隔(ピッチ)aと、回転軸25aに対し垂直方向から見た分散用突起25bの投影長bとの関係がa≧bである場合、トナー投入口24aから投入された塊状のトナーが分散用突起25bの隙間をすり抜けてしまい、十分に分散されずにトナー排出口24bから現像装置16内に補給されるおそれがある。
これに対し、図14(b)に示すように、a<bである場合は、トナー投入口24aから投入された塊状のトナーが必ず分散用突起25bと接触し、長手方向に搬送されながら細かく分散される。従って、a<bの関係になるように、分散用突起25bを回転軸25aに対し所定量傾斜させて固定することが好ましい。
図15は、第1実施形態のトナー分散機構と現像装置との位置関係を示す側面断面図である。本実施形態においては、トナー分散部材25の長手方向(図15の左右方向)におけるトナー排出口24bの開口幅は、トナー投入口24aの開口幅よりも大きく形成されている。そして、螺旋状に配置された分散用突起25bが回転することにより、トナー投入口24aからハウジング24内へ投入されたトナーは分散されると共に長手方向に搬送され、トナー排出口24bの略全域からトナー補給口34を介して現像装置16の第2貯留室39へ供給される。
この構成によれば、第2貯留室39の広い範囲に亘ってトナーが補給されるため、第2攪拌搬送スクリュー33によって第2貯留室39内に存在する現像剤Dと迅速に混合することができる。トナー排出口24bの開口幅は、使用するトナーの特性や現像装置16の仕様等により適宜設定することができる。
また、図15に示すように、トナー排出口24bの直下(トナー落下位置)に位置する現像剤Dの嵩は、他の部分に比べて低くなっており、第2攪拌搬送スクリュー33の回転軸33aの上面が露出している。これにより、トナー排出口24bから排出されたトナーは、トナー補給口34を介して攪拌搬送スクリュー33の回転軸33a近傍に補給され、螺旋羽33bにより上昇と落下を繰り返しながら矢印B方向に搬送される。従って、新たに補給されたトナーを現像剤Dと効率良く攪拌することができる。
トナー排出口24bの直下に位置する現像剤Dの嵩を低くする方法としては、螺旋羽33bのピッチを変化させたり、回転軸33aにリブを設けたりすることにより、第2貯留室39内の現像剤の搬送速度を部分的に変化させる方法が挙げられる。
なお、図13に示したトナー分散部材25では、分散用突起25bを螺旋状に配置した図7のトナー分散部材25に比べてトナー分散部材25の長手方向へのトナーの搬送力がやや低下する。そのため、トナー排出口24bの開口幅を広くして開口幅全域からトナーを供給する場合は、図7のように分散用突起25bを螺旋状に配置することがより好ましい。
図16は、本発明の第2実施形態に係るトナー分散機構の平面図であり、図17は、第2実施形態のトナー分散機構の側面断面図(図16のZZ′矢視断面図)である。本実施形態においては、トナー分散部材25を構成する回転軸25aの外周面のうち、分散用突起25bの設けられていない部分に螺旋状の搬送羽を設けることにより、回転軸25aの一部をスクリュー部29としたものである。また、トナー投入口24aはスクリュー部29の上方に形成されており、トナー排出口24bは分散用突起25bの下方に形成されている。他の部分の構成は第1実施形態と共通するため説明を省略する。
この構成によれば、トナー投入口24aからハウジング24内に投入されたトナーはスクリュー部29の回転によって分散用突起25bに搬送され、分散用突起25bにより粒子単位に分散された後、トナー排出口24bからトナー補給口34(図15参照)に供給される。従って、装置のレイアウト上、トナー投入口24aの直下にトナー排出口24bを形成できない場合にも塊状のトナーを効果的に分散させることができる。
なお、上記各実施形態のトナー分散機構21では、トナー排出口24bをハウジング24の下面に設け、トナー分散機構21を現像装置16の第2貯留室39の直上に配置した例について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、トナー分散機構21を第1貯留室38と第2貯留室39の境界に配置し、ハウジング24の側面に第2貯留室39に連通するトナー排出口24bを形成しても良い。この構成によれば、トナー分散機構21の配置スペースをより小さくすることができる。
また、画像形成装置のレイアウト上、現像装置16の直上にトナー分散機構21を配置できない場合も考えられる。そのような場合は、例えば図19に示すようにトナー分散機構21のハウジング24の側面にトナー排出口24bを形成し、トナー排出口24bと第2貯留室39とを連通するトナー補給口34を屈曲形状とすることで、トナー落下位置をコントロールすることができる。
上記各実施形態で説明したトナー分散機構21では、トナー分散部材25を正逆回転可能としておくことが好ましい。例えば、図9の矢印方向(時計方向)を正回転、反対方向(反時計方向)を逆回転とし、通常の画像形成時においてはトナー分散部材25を正回転させ、画像形成装置100の電源投入時やスリープ(省電力)モードからの復帰時、或いはトナー分散機構21の駆動時間が所定時間に到達した時などのタイミングでトナー分散部材25を逆回転させることにより、正回転によって回転軸25a方向に倒れ込んだ分散用突起25bを再び起立させることができる。
また、逆回転時においては、分散用突起25bは正回転時と反対方向から突出部26に接触し、離間するため、分散用突起25bの揺動状態も正回転時とは異なる。これにより、正回転時に除去し切れなかった分散用突起25bの間の軽凝集トナーを効果的に除去することができる。
また、トナー分散部材25を回転させると共に、スラスト方向(回転軸方向)にも往復移動させることで、分散用突起25bは回転方向だけでなくスラスト方向にも揺動するため、結果として分散用突起25bが捩れるように複雑に揺動する。これにより、分散用突起25bに抱え込まれた軽凝集トナーを一層効果的に除去することができる。
トナー分散部材25を回転させながらスラスト方向に往復移動させる機構としては、図20に示すようなカム機構が挙げられる。図20では、回転軸25aの一端をコイルバネ60で支持するとともに、回転軸25aの他端には偏芯カム61を当接させる。そして、駆動入力ギヤ50に駆動力を伝達する駆動出力ギヤ63の回転軸に、駆動出力ギヤ63と一体に回転するウォームギヤ65を取り付け、偏芯カム61と一体に回転するウォームホイール67をウォームギヤ65に連結させている。
さらに、トナーコンテナ20から現像装置16へのトナー補給量に基づいてトナー分散部材25の回転速度を変化させる構成としても良い。具体的には、現像装置16へのトナー補給量は、トナー濃度センサー44の検出結果に応じて決定されるため、制御部30(図1参照)において受信したトナー濃度センサー44の検出信号に基づいてトナー補給量を算出し、算出されたトナー補給量に応じて駆動入力ギヤ50に連結された駆動機構(図示せず)の回転速度を調整する。
この構成により、トナー補給量が多い場合はトナー分散部材25の回転速度を速くしてトナーの分散能力を高めることができる。また、トナー補給量に代えて、トナーの流動性に応じてトナー分散部材25の回転速度を変化させる構成としても良い。トナーの流動性は、装置内部の温湿度によって変化するため、制御部30に送信された機内温湿度センサー(図示せず)の出力値から推定することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、上記各実施形態を任意に組み合わせた構成も本発明に包含される。また、本発明のトナー分散機構を備えた現像装置は、例えば、図2及び図3に示したような現像装置16に限らず、例えば第1攪拌搬送部材32と現像ローラー35との間に攪拌パドルを備えた現像装置であっても良いし、第1攪拌搬送部材32と現像ローラー35との間に供給ローラー(磁気ローラー)を備えたタッチダウン方式の現像装置であっても良い。また、2本の攪拌搬送部材32、33を備えた構成に限らず、例えば1本の攪拌搬送部材を備えた現像装置にも適用できる。
また、上記各実施形態では、磁性キャリアとトナーとを含む2成分現像剤を用いる現像装置を例に挙げて説明したが、トナーのみから成る1成分現像剤を用いる現像装置にも同様に適用可能である。さらに、本発明の画像形成装置としては、図1に示したようなモノクロプリンターに限らず、モノクロ及びカラー複写機、カラープリンター、ファクシミリ等の他の画像形成装置であっても良い。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明する。
本発明の現像装置を用いた場合の現像性能について調査した。試験条件としては、幅8mmのリボン状のフィルムの片側に、幅75μm、角度75°の多数の切り込み53を形成して図6に示したようなフィルム部材51とした。このフィルム部材51を直径6mmの回転軸25aの外周面に螺旋状に巻き付けて分散用突起25bを形成し、図7に示したようなブラシ径が14mmのトナー分散部材25を作製した。このトナー分散部材を、図4に示したような長手方向の寸法が40mm、幅方向の寸法が15mm(内寸13mm)であるハウジング24に取り付けて、ハウジング24の内壁面への分散用突起25bの食い込み量が0.5mmである第1実施形態のトナー分散機構21を作製した。
そして、図9に示すように、ハウジング24のトナー排出口24bの下流側近傍に突出部26を形成し、形成された突出部26への分散用突起25bの食い込み量を0.5mm(トータルの食い込み量1.0mm)としたものを本発明1、突出部26への食い込み量を1.0mm(トータルの食い込み量1.5mm)としたものを本発明2とした。また、突出部26を設けないものを比較例1とした。
作製された本発明1、2、比較例1のトナー分散機構21を現像装置16とトナーコンテナ20の間に取り付けた図1に示す画像形成装置を用いて、濃度の異なるベタ画像を連続印字し、100k枚(100,000枚)印字後の画像濃度(ID;イメージデンシティ)を反射濃度計(マクベスRD912)により測定した。また、カブリの発生を目視により観察し、カブリの発生が認められなかった場合を○、カブリが発生した場合を×とした。なお、画像形成装置の駆動条件は、ドラム線速(プロセス速度)を260mm/sec、トナー分散部材25の回転速度を126mm/secとした。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、印字率5%から20%の画像を印字した場合は本発明1、2、比較例1ともに画像濃度、カブリ共に問題はなかった。これに対し、印字率30%の画像を印刷した場合は、比較例1でカブリの発生が認められた。これは、ハウジングに突出部26を設けない比較例1ではトナー補給量は減少しないため高印字率の画像を出力しても画像濃度は低下しないが、分散用突起25bの食い込み量が0.5mmと小さいために分散用突起25bの隙間へのトナー詰まりが発生し、塊状のトナーをほぐす効果が低下するため、現像装置内の現像剤と補給トナーとを十分に混合することができず、トナーの帯電が不安定になるためであると考えられる。
また、分散用突起25bのトータルの食い込み量を1.0mmとした本発明1では印字率50%の画像を印刷した場合にカブリの発生が認められたが、トータルの食い込み量を1.5mmとした本発明2ではカブリの発生は認められなかった。これは、分散用突起25bの食い込み量が大きくなるほど分散用突起25bを根元部分から十分に湾曲させることができ、分散用突起25bの隙間へのトナー詰まりを効果的に抑制できるためであると考えられる。
以上の結果より、ハウジングの内壁面には前記分散用突起が接触する突出部を設けた本発明のトナー分散機構を用いることにより、現像装置内の現像剤と補給トナーとを十分に混合することができ、トナーの帯電安定化に有利となることが確認された。