JP3544342B2 - 表示開始位置補正方法および画面表示制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を補正する表示開始位置補正方法、および飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を制御する画面表示制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の画面表示制御装置について説明する。
【0003】
図6は、従来の画面表示制御装置の回路構成を示す概略ブロック図である。図6において、701は表示開始位置設定情報を格納した表示開始位置設定情報格納回路、702は垂直同期信号入力後の水平同期信号の個数をカウントするカウンタ回路、703は表示開始位置設定情報格納回路701から出力される表示開始位置設定情報とカウンタ回路702のカウント値とを比較し、カウンタ回路702の出力値が表示開始位置設定情報と一致もしくはその値を超えたことを判定する比較判定回路、704は比較判定回路の出力に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置信号発生回路である。
【0004】
以上のように構成された画面表示制御装置について、以下その動作を説明する。
【0005】
まず、外部において同期分離された垂直同期信号および水平同期信号がカウンタ回路702に入力される。通常、テレビジョン受像機やビデオテープレコーダの映像信号は、垂直同期信号が入力されてから垂直ブランキング期間を経て映像信号が入ってくる。そのため、垂直同期信号の入力を基準に水平同期信号入力をカウントすることで受像した画像の垂直方向における所定の映像表示開始位置を決定できる。表示開始位置というのは、例えば、画面の中央から表示を始めるとか、上部の数十ラインを開けて表示を始める際に、その表示を開始する位置のことである。
【0006】
この装置は、例えば、ナビゲーション用の表示コントローラに用いられ、ナビゲーション映像あるいはテレビ映像を表示させるのに、上下をカットしたり、左右をカットしたり、周辺回路に応じて垂直ポジションを微調整するためのものである。
【0007】
所定の映像開始位置を示す表示開始位置設定情報を予め記憶した表示開始位置設定情報回路701とカウンタ回路702の出力結果を比較判定回路703で比較する。カウンタ回路702の出力結果が所定のカウント値になれば、表示開始位置信号発生回路704が表示開始位置信号を出力し、表示用駆動回路を経て表示部へ送られる。その結果、表示開始位置信号の発生した垂直方向の位置より映像表示が開始される。
【0008】
一般的に図7に示すように、飛び越し走査方式での映像は、2回の垂直走査で1画面を構成しており、1回の垂直走査をフィールドと呼んでいる。図7において、801は第1フィールド目の垂直走査を示し、802は第2フィールド目の垂直走査を示す。そして、803は801と802を重ね合わせた1画面の状態を示す。以降この垂直走査を繰り返していくことで連続した映像として見えるようになっている。
【0009】
2回の垂直走査のうち奇数回目の垂直走査のフィールドを奇数フィールド、偶数回目の垂直走査のフィールドを偶数フィールドと呼んでいる。804は奇数フィールド、偶数フィールドにおいて各々、同一フィールドでは同一の垂直走査に重なっていることを示す。つまり、奇数フィールドどうしは同じライン上を走査し、偶数フィールド同士も同じライン上を走査する。
【0010】
図8は波形と連続したフィールドの関係を時間経過的に示した波形図である。図8において、901はある映像Nにおける奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においての垂直同期信号入力と水平同期信号入力と画面表示開始位置信号出力との関係を相対的に示したものであり、垂直同期信号入力が水平同期信号入力に対して微妙な位置関係として、水平同期信号入力より少し前(直前)の位置にある状態としている。
【0011】
902はある映像Nにおける偶数フィールド(もしくは奇数フィールド)における垂直同期信号入力と水平同期信号入力と画面表示開始位置信号出力との関係を相対的に示したものであり、901に示す垂直同期信号入力とはフィールドが異なるため、1/2水平期間、位相がずれた関係にあり、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の位相関係は微妙な関係にはない。
【0012】
903はその次の映像(N+1)における奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)における垂直同期信号入力と水平同期信号入力と画面表示開始位置信号出力との関係を相対的に示したもので、垂直同期信号入力は902から1/2水平期間ずれた位置に垂直同期信号入力が来るため再び、微妙な位置関係にくる。
【0013】
このときに、垂直同期信号入力にジッタが含まれて、遅れる状態にあった場合、相対的に垂直同期信号入力が水平同期信号入力をまたいでしまい、垂直垂直同期信号入力が水平同期信号入力(立ち上がり)の直後に位置することがある。画面表示開始位置信号出力は、垂直同期信号入力が入ってから水平同期信号の入力を数えるため、映像Nにおける奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)と比べ、同じ種類(奇数もしくは偶数)のフィールド関係にあるにも関わらず、表示開始位置が異なってしまうことを示す。
【0014】
904は映像(N+1)における偶数フィールド(もしくは奇数フィールド)における垂直同期信号入力と水平同期信号入力と画面表示開始位置信号出力との関係を相対的に示したもので、垂直同期信号入力は903からさらに1/2水平期間ずれるため、微妙な位置関係にはなく、同じ種類のフィールドにおいては同じ位置に画面表示開始位置信号出力があることを示す。
【0015】
これまでの表示装置では、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力が相対動作として水平同期信号出力をまたぐかまたがないかによってカウンタ回路702がそのまたぐかまたがないか、すなわち、水平同期信号をカウントするかどうかによって比較回路703の結果も1水平同期期間、遅れるかどうかの現象が起こり、垂直方向における表示開始位置信号発生回路704の表示開始位置信号も変化してしまい、映像画面として1水平走査分、下がってしまい、垂直同期信号と水平同期信号の相対的な位相関係が微妙な位置にあるときは垂直方向に映像画面が揺れたり、ちらつきを発生してしまうという問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の画面表示制御装置では、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態では、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)にあるにも関わらず、表示開始位置信号の位置が変ってしまい、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきを発生してしまうという問題があった。
【0017】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するものであり、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる表示開始位置補正方法および画面表示制御装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示開始位置補正方法は、飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を補正する方法であり、前記映像信号から同期分離された垂直同期信号が前記映像信号から同期分離された水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定する位相判定ステップと、前記位相判定ステップでの判定結果に応じて異なる表示開始位置補正情報を選択する補正情報選択ステップと、通常の表示開始位置設定情報と前記表示開始位置補正情報とを加算する加算ステップと、前記垂直同期信号の入力後の前記水平同期信号の個数をカウントし、そのカウント値と前記加算ステップの結果とを比較し、前記カウンタ値が前記加算ステップの結果と一致もしくは前記加算ステップの結果を超えたことを判定する比較判定ステップと、前記比較判定ステップの判定に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置発生ステップとを備え、前記補正情報選択ステップにおいて、前記画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように前記表示開始位置補正情報を選択することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の画面表示制御装置は、飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を制御するものであり、映像信号から同期分離された垂直同期信号が映像信号から同期分離された水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定する位相判定手段と、位相判定手段による判定結果に応じて異なる表示開始位置補正情報を選択的に出力する補正情報選択回路と、通常の表示開始位置設定情報を格納する表示開始位置設定情報格納回路と、通常の表示開始位置設定情報と表示開始位置補正情報とを加算する加算回路と、垂直同期信号の入力後の水平同期信号の個数をカウントするカウンタ回路と、カウンタ回路の出力値と加算回路の出力値とを比較し、カウンタ回路の出力値が加算回路の出力値と一致もしくは加算回路の出力値を超えたことを判定する比較判定回路と、比較判定回路の出力に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置信号発生回路とを備えている。そして、補正情報選択回路は、画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択している。
【0021】
この構成によれば、位相判定手段の判定結果に応じて補正情報選択回路が画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択するので、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0022】
また、本発明の画面表示制御装置において、前記位相判定手段が、映像信号から同期分離された垂直同期信号の入力に応答してカウント値がリセットされるとともに水平周波数より高い周波数のクロックのカウントを開始し、映像信号から同期分離された水平同期信号の入力に応答してクロックのカウントを停止するとともにカウント値を保持する位相差抽出用カウンタ回路と、垂直同期信号と水平同期信号との位相差を判定するための位相差判定基準値を格納した判定基準値格納回路と、位相差判定基準値と位相差抽出用カウンタ回路で保持されたカウント値とを比較し、カウント値が位相差判定基準値を超えているかどうかを判定する位相差比較判定回路とで構成されている。
【0023】
この構成によれば、位相差抽出用カウンタ回路により垂直同期信号と水平同期信号の位相差をクロックのカウント値として抽出し、このカウント値と位相差判定基準値とを比較し、カウント値が位相差判定基準値を超えているかどうかによって垂直同期信号が水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定するので、垂直同期信号が水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを容易に判定することができる。
【0024】
また、本発明の表示開始位置補正方法または画面表示制御装置において、位相差判定基準値は1水平周期の4分の3の期間に相当する値である。
【0025】
この構成によれば、上記と同様の作用を有する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における画面表示装置の回路構成を示す概略ブロック図である。図1において、101は映像信号から同期分離された垂直同期信号入力、102は映像信号から同期分離された水平同期信号入力である。
【0028】
103は垂直同期信号101の入力に応答してカウント値がリセットされるとともに水平周波数より高い周波数のクロックのカウントを開始し、水平同期信号102の入力に応答してクロックのカウントを停止するとともにカウント値を保持する位相差抽出用カウンタ回路である。
【0029】
104は垂直同期信号101と水平同期信号102との位相差を判定するための位相差判定基準値(例えば、水平周期の4分の3の期間に相当する値)を格納した判定基準値格納回路である。
【0030】
105は位相差判定基準値と位相差抽出用カウンタ回路103で保持されたカウント値とを比較し、カウント値が位相差判定基準値を超えているかどうかを判定する位相差比較判定回路である。
【0031】
以上の位相差抽出用カウンタ回路103と判定基準値格納回路104と位相差比較判定回路105とで、垂直同期信号101が水平同期信号102の直前に位置するか直後に位置するかを判定する位相判定手段120を構成している。
【0032】
106は位相判定手段120による判定結果に応じて異なる表示開始位置補正情報を選択的に出力する補正情報選択回路であり、画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択する。
【0033】
107は通常の表示開始位置設定情報を格納する表示開始位置設定情報格納回路である。
【0034】
108は通常の表示開始位置設定情報と表示開始位置補正情報とを加算する加算回路である。
【0035】
109は垂直同期信号101の入力後の水平同期信号102をカウントするカウンタ回路である。
【0036】
110はカウンタ回路109の出力値と加算回路108の出力値とを比較し、カウンタ回路109の出力値が加算回路108の出力値と一致もしくは加算回路の出力値を超えたことを判定する比較判定回路である。
【0037】
111は比較判定回路110の出力に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置信号発生回路である。
【0038】
112は表示用駆動回路を経て表示部へ伝達される表示開始位置信号出力である。
【0039】
以上のような構成において、動作を以下に説明する。垂直同期信号入力101および水平同期信号入力102は位相差抽出用カウンタ回路103に入力される。また、垂直同期信号入力101および水平同期信号入力102は垂直同期信号入力後の水平同期信号をカウントするカウンタ回路109にも入力される。
【0040】
位相差抽出用カウンタ回路103の出力と判定基準値格納回路104の出力は位相差比較判定回路105に入力され、前記位相差比較判定回路105の出力は補正情報選択回路106に入力される。そして補正情報選択回路106の出力、および通常の表示開始位置設定情報格納回路107の出力は加算回路108に入力されて加算される。加算回路108の出力、および垂直同期信号入力後の水平同期信号をカウントするカウンタ回路109の出力は、比較判定回路110に入力され、両者が比較される。さらに比較判定回路110の比較結果は表示開始位置信号発生回路111に入力され、表示開始位置信号発生回路111の出力は表示用駆動回路を経て表示部へ伝達される表示開始位置信号出力112へ伝播される。
【0041】
以上のように構成された本実施の形態における画面表示装置および、それによって実施される表示開始位置補正方法について説明する。
【0042】
垂直同期信号入力101および水平同期信号入力102は位相差抽出用カウンタ回路103に入力される。また、垂直同期信号入力101および水平同期信号入力102は垂直同期信号入力後の水平同期信号をカウントするカウンタ回路109にも入力される。
【0043】
位相差抽出用カウンタ回路103の出力と判定基準値格納回路104の出力とを位相差比較判定回路105で比較して、垂直同期信号入力101が水平同期信号入力102をまたいだかどうか、すなわち垂直同期信号入力101が水平同期信号入力102の直前に位置するか直後に位置するかを判定し、比較結果を出力する。
【0044】
上記位相差比較判定回路105での判定結果に応じて、補正情報選択回路106では格納してある補正をするかしないかの値(“1”または“0”の情報)を選択し、出力する。この値が後述の加算回路108で加算される。
【0045】
そして、加算回路108で通常の表示開始位置設定情報格納回路107の出力値と補正情報選択回路106の出力値を加算する。加算回路108の出力結果が、補正後の表示開始位置信号を出力するための水平同期カウント値となる。
【0046】
ここで、上記の水平同期カウント値について具体的に説明する。表示開始位置設定情報格納回路107での値を、例えばNとしたときに、補正しない場合は、N+1で表示開始位置信号発生回路111から表示開始位置信号が出力され、補正がかかるときは、N+0で表示開始位置信号が出力される。そして、垂直同期信号入力101が水平同期信号入力102をまたいだときには、補正がかかるということで、Nで表示開始位置信号が出力される。また、またがないときには、補正がかからないということで、N+1で表示開始位置信号が出力される。
【0047】
一方、垂直同期信号入力後の水平同期信号をカウントするカウンタ回路109は、水平同期信号をカウントしており、このカウント値と加算回路108の出力値とを比較判定回路110で比較し、加算回路106の出力値以上になった場合は表示開始位置信号発生回路111で表示開始位置信号を発生して表示用駆動回路を経て表示部へ伝達される表示開始位置信号出力112として出力する。
【0048】
以上のような画面表示制御装置の動作によって、映像信号から同期分離された垂直同期信号101が映像信号から同期分離された水平同期信号102の直前に位置するか直後に位置するかを判定し、水平同期信号102の直前に位置するか直後に位置するかの判定結果に基づいて、画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように画像の垂直方向の表示開始位置を補正するという表示開始位置補正方法が実施される。
【0049】
ここで、垂直同期信号入力101と水平同期信号入力102の位相差の判定方法について説明する。
【0050】
図2は垂直同期信号入力と水平同期信号入力における同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)での垂直同期信号が水平同期信号を越える、越えない(またぐ、またがない)の範囲として考えられる位相の相対関係を示した波形図である。図2において、201は垂直同期信号入力、202は水平同期信号入力、203は水平同期信号入力202の1水平同期期間、204は垂直同期信号入力201が水平同期信号入力202をまたぐ前の範囲、205は垂直同期信号入力201が水平同期信号入力202をまたいだ後の範囲を示している。
【0051】
上記またぐ前の範囲204、およびまたいだ後の範囲205は、奇数フィールド、偶数フィールドの位相差が1/2Hであることより、水平同期信号入力202の前後、1水平同期期間203の1/4Hの範囲とすることができる。奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)で垂直同期信号入力201が水平同期信号入力202を越える、越えないの近傍にあるときは、もう一方の偶数フィールド(もしくは奇数フィールド)の垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対関係は従来技術における奇数フィールドと偶数フィールドの関係より、必ず1/2水平期間ずれているため、またぐ、またがない近傍位置にはこない。
【0052】
奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)で垂直同期信号入力201が水平同期信号入力202をまたぐ、またがない近傍にあるとすると、その垂直同期信号入力201が水平同期信号入力202を越える、越えない範囲としては越える前の範囲204と越えた後の範囲205の期間で考えることができる。
【0053】
図3は位相差抽出用カウンタ回路の動作を示した模式図である。図3において、301は垂直同期信号入力である。302は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作を示す。303は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作302の1水平同期期間のカウント期間を示し、304は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作302の3/4水平同期期間を示し、305は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作302におけるカウントアップ動作を傾きで示したものである。306は水平同期信号入力である。
【0054】
図3において、垂直同期信号入力301が入ってくると、位相差抽出用カウンタ回路の出力動作302はリセットされる。その後、垂直同期信号入力301が入ってから、水平同期信号306が入ってくるまでカウント動作を行い、水平同期信号306が入るとカウント動作を停止する。そして次に垂直同期信号入力301が入るまではそのカウント値を保持する。
【0055】
上記位相差抽出用カウンタ回路の出力動作302において、そのカウント値が3/4水平同期期間以上から1水平同期期間未満にある場合は時刻的に1つ前の水平同期信号からみれば、1/4水平同期期間未満の位置にあるといえる。すなわち垂直同期信号が水平同期信号を越えた後の範囲205の位置にあるといえる。
【0056】
逆に、3/4水平同期期間未満であればそのフィールドでは垂直同期信号は水平同期信号を越える範囲にはなく、もう一方のフィールドで垂直同期信号が水平同期信号を越える前の範囲204にあるといえる。
【0057】
したがって、3/4水平同期期間304に相当する個数をカウントしたかどうかで位相関係を判定する。
【0058】
ここで、3/4水平同期期間304に相当する個数を位相関係の判定基準とする根拠について説明する。奇数フィールドと偶数フィールドの位相差は、0.5H(飛び越し走査の原理上)である。いま、奇数フィールドで垂直同期信号が水平同期信号をまたぐかまたがないかの微妙な位置にあるとする。0.5Hを超えるようなジッターは、飛び越し走査方式上、有り得ない。いま、水平同期信号をまたぐかまたがないかが問題となる。よって、ジッターが発生する範囲としては、水平同期信号の前の0.25H期間と、後の0.25H期間の範囲としてよい。回路的には、超えたときの範囲(水平同期信号が入ってから0.25H)に対応すればよい。また、回路的には、垂直同期信号が入ってから水平同期信号が入るまでの長さを測定しているので、0.75H(=(3/4)H)を基準にすればよい。
【0059】
なお、ジッターの幅はあらかじめ決まっているわけではないので、最大0.5Hのジッターを想定しておかなければならない。そう考えると、設定値は(3/4)Hとなる。
【0060】
ただ、設定値は、上記の(3/4)H以外の値、例えば、0〜(3/4)Hで設定可能であるが、小さい値にすればするほど、大きい幅をもったジッターが入ったときに、補正ができなくなる。
【0061】
図4は同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)における垂直同期信号入力が水平同期信号を越える前の位相関係を示した模式図である。図4において、401は垂直同期信号入力、402は水平同期信号入力、403は1水平同期期間である。404は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作を示す。405は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作404におけるカウントアップ動作を傾きで示したものであり、406は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作404の3/4水平同期期間を示す。407は前記垂直同期信号入力401が入ってから水平同期信号入力402が入るまでの位相差抽出用カウンタ回路の出力動作404のカウント動作期間を示す。
【0062】
位相差抽出用カウンタ回路の出力動作404におけるカウント値は3/4水平同期期間を越えていないため、図2におけるまたぐ前の範囲204とまたいだ後の範囲205より垂直同期信号入力401は水平同期信号入力402をまたいでいないと判定することができる。
【0063】
図5は同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)における垂直同期信号入力が水平同期信号をまたいだ後の位相関係を示した模式図である。図5において、501は垂直同期信号入力、502は水平同期信号入力、503は1水平同期期間である。504は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作を示す。505は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作504におけるカウントアップ動作を傾きで示したものである。506は位相差抽出用カウンタ回路の出力動作504の3/4水平同期期間を示す。507は垂直同期信号入力501が入ってから水平同期信号入力502が入るまでの位相差抽出用カウンタ回路の出力動作504のカウント動作期間を示す。
【0064】
位相差抽出用カウンタ回路の出力動作504におけるカウント値は3/4水平同期期間を超えているため、図2におけるまたぐ前の範囲204とまたいだ後の範囲205より垂直同期信号入力501は水平同期信号入力502をまたいだと判定することができる。
【0065】
すなわち、垂直同期信号入力が入ってから位相差抽出用カウンタ回路をリセットして、その後、最初に水平同期信号入力がくるまでをカウントし、カウント値が3/4水平同期期間をカウントしたかどうかで垂直同期信号入力が水平同期信号入力を越えるか越えないかの判定を行う。
【0066】
なお、図2、図3、図4、図5の垂直同期信号、水平同期信号の波形極性は同期分離の行われかたによって逆の状態も有り得る。
【0067】
以上のように、この実施の形態の表示開始位置補正方法によれば、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0068】
また、この実施の形態の画面表示制御装置によれば、位相判定手段120の判定結果に応じて補正情報選択回路106が画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択するので、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力101と水平同期信号入力102の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0069】
また、位相差抽出用カウンタ回路103により垂直同期信号入力101と水平同期信号入力102の位相差をクロックのカウント値として抽出し、このカウント値と位相差判定基準値とを比較し、カウント値が位相差判定基準値を超えているかどうかによって垂直同期信号が水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定するので、垂直同期信号が水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを容易に判定することができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の表示開始位置補正方法によれば、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0071】
また、本発明の画面表示制御装置によれば、位相判定手段の判定結果に応じて補正情報選択回路が画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択するので、外部で同期分離された垂直同期信号にジッタが含まれていて、垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対的な位相関係が前後する状態においても、同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)においては表示開始位置信号の位置を変えることなく、垂直方向に画面が揺れたり、ちらつきが発生するのを防ぐことができる。
【0072】
以上に述べたように、垂直同期信号入力が水平同期信号入力をまたぐかまたがないかによる補正情報を加えることによって、垂直同期信号入力にジッタが含まれていても、画面表示位置を一定に保つことができる優れた表示開始位置補正方法および画面表示制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における画面表示制御装置の回路構成を示す概略ブロック図である。
【図2】垂直同期信号入力と水平同期信号入力の相対位相関係を示した波形図である。
【図3】位相差抽出用カウンタ回路の動作を示した模式図である。
【図4】同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)における垂直同期信号入力が水平同期信号をまたぐ前の位相関係を示した模式図である。
【図5】同じ奇数フィールド(もしくは偶数フィールド)における垂直同期信号入力が水平同期信号をまたいだ後の位相関係を示した模式図である。
【図6】従来の画面表示制御装置の回路構成を示す概略ブロック図である。
【図7】飛び越し走査とフィールドの関係を示す模式図である。
【図8】波形と連続したフィールドの関係を時間経過的に示した波形図である。
【符号の説明】
101 同期分離後の垂直同期信号入力
102 同期分離後の水平同期信号入力
103 位相差抽出用カウンタ回路
104 判定基準値格納回路
105 位相差比較判定回路
106 補正情報選択回路
107 表示開始位置設定情報格納回路
108 加算回路
109 カウンタ回路
110 比較判定回路
111 表示開始位置信号発生回路
112 表示開始位置信号出力
120 位相差判定手段
Claims (6)
- 飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を補正する表示開始位置補正方法であって、
前記映像信号から同期分離された垂直同期信号が前記映像信号から同期分離された水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定する位相判定ステップと、
前記位相判定ステップでの判定結果に応じて異なる表示開始位置補正情報を選択する補正情報選択ステップと、
通常の表示開始位置設定情報と前記表示開始位置補正情報とを加算する加算ステップと、
前記垂直同期信号の入力後の前記水平同期信号の個数をカウントし、そのカウント値と前記加算ステップの結果とを比較し、前記カウンタ値が前記加算ステップの結果と一致もしくは前記加算ステップの結果を超えたことを判定する比較判定ステップと、
前記比較判定ステップの判定に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置発生ステップとを備え、
前記補正情報選択ステップにおいて、前記画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように前記表示開始位置補正情報を選択することを特徴とする表示開始位置補正方法。 - 前記位相判定ステップにおいて、前記垂直同期信号と前記水平同期信号の位相差が所定の位相判定基準値を超えているかどうかを判定することを特徴とする請求項1記載の表示開始位置補正方法。
- 前記位相差判定基準値が1水平周期の4分の3の期間に相当する値であることを特徴とする請求項2記載の表示開始位置補正方法。
- 飛び越し走査方式の映像信号を基に画面上に表示される画像の垂直方向の表示開始位置を制御する画面表示制御装置であって、
前記映像信号から同期分離された垂直同期信号が前記映像信号から同期分離された水平同期信号の直前に位置するか直後に位置するかを判定する位相判定手段と、
前記位相判定手段による判定結果に応じて異なる表示開始位置補正情報を選択的に出力する補正情報選択回路と、
通常の表示開始位置設定情報を格納する表示開始位置設定情報格納回路と、
前記通常の表示開始位置設定情報と前記表示開始位置補正情報とを加算する加算回路と、
前記垂直同期信号の入力後の前記水平同期信号の個数をカウントするカウンタ回路と、
前記カウンタ回路の出力値と前記加算回路の出力値とを比較し、前記カウンタ回路の出力値が前記加算回路の出力値と一致もしくは前記加算回路の出力値を超えたことを判定する比較判定回路と、
前記比較判定回路の出力に応答して表示開始位置信号を発生する表示開始位置信号発生回路とを備え、
前記補正情報選択回路は、前記画像の垂直方向の表示開始位置を一定に保つように補正情報を選択することを特徴とする画面表示制御装置。 - 前記位相判定手段は、映像信号から同期分離された垂直同期信号の入力に応答してカウント値がリセットされるとともに水平周波数より高い周波数のクロックのカウントを開始し、前記映像信号から同期分離された水平同期信号の入力に応答して前記クロックのカウントを停止するとともにカウント値を保持する位相差抽出用カウンタ回路と、
前記垂直同期信号と前記水平同期信号との位相差を判定するための位相差判定基準値を格納した判定基準値格納回路と、
前記位相差判定基準値と前記位相差抽出用カウンタ回路で保持されたカウント値とを比較し、前記カウント値が前記位相差判定基準値を超えているかどうかを判定する位相差比較判定回路とで構成されていることを特徴とする請求項4記載の画面表示制御装置。 - 前記位相差判定基準値が1水平周期の4分の3の期間に相当する値であることを特徴とする請求項5記載の画面表示制御装置。
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