JP3544128B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の内燃機関の動弁装置は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブのバルブステムと回転カムとの間に、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタが配置してある。
【0003】
前記リフタは回転カムのリフト量に応じて収容孔内を摺動して、エンジンバルブを開閉動作させる。このとき、前記リフタは、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるから、収容孔との間に適当な摺動隙間を有しており、このため、摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0004】
前記リフタが揺動運動をすると、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突して、衝突音を生じるところから、これを対策するために、例えば実開平3−97506号公報には、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を球面状の凸面とし、他方を一方の凸面に線接触する回転球面状の凹面とした動弁装置が提案されている。
【0005】
ところで、発明者らの研究によれば、前記リフタの衝突音の発生はリフタの揺動に起因しており、リフタの揺動は、回転カムとリフタとの接触点が相対的に移動することによってて生じるのであり、また、接触点の移動はリフタと収容孔との間に摺動隙間があり、回転カムが回転することによって生じるのである。
【0006】
即ち、前記回転カムが時計方向に回転している場合、回転カムがリフトを開始すると、回転カムの初期リフト部がリフタに接することによってリフタは、全体が摺動隙間内を左側(回転カムの回転方向)に寄せられる。このため、前記回転カムとリフタとの接触点は、リフタの軸芯位置よりも右側のA点にある。このとき、前記リフタにはリフタの底面とバルブステムとの接触点から回転カムとリフタとの接触点(A点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタはこのリフタの底面とバルブステムとの接点を支点として時計方向に回動する。
【0007】
つまり、前記リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、リフタには、リフタの軸芯位置から回転カムとリフタとの接触点(A点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタは時計方向に回動することになる。また、前記リフタが時計方向に揺動した状態では、エンジンバルブ及びそのバルブステムも若干傾斜し、エンジンバルブのバルブシート面への着座が均一でなくなるが、エンジンバルブの開動作においては格別問題となることはない。
【0008】
前記回転カムはA点での接触を継続して徐々にリフト量を増大して最大リフト位置に至り、エンジンバルブを開動作させる。このとき、前記回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点(A点)は、リフタの軸芯位置から最も離れた位置になる。
【0009】
更に前記回転カムが回転すると、前記回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点(A点)は、徐々にリフタの軸芯位置に近付き、更にリフタの軸芯位置を越えて左側に移動して、リフタの軸芯位置よりも左側の接触点(B点)に至る。このため、前記リフタには、このリフタの底面とバルブステムとの接触点(例えばリフタの軸芯位置)から回転カムとリフタとの接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタはこのリフタの底面とバルブステムとの接触点を支点として反時計方向に回動することになる。また、前記リフタが反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜することになるが、エンジンバルブがポートを解放した状態においては格別問題となることはない。
【0010】
前記回転カムはB点での接触を継続して徐々にリフト量を減少させ、エンジンバルブを閉動作させる。このとき、前記リフタが反時計方向へ回動した状態では、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜した状態にある。
【0011】
前記回転カムとリフタとの接触点(B点)は、回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点がリフタの軸芯位置から最も離れた位置であり、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタの軸芯位置に近付くが、リフタの摺動隙間があるため、リフタの軸芯位置に合致することはない。このため、前記回転カムがリフタに接触した状態では、リフタには反時計方向のモーメントが作用し続けることになり、リフタは反時計方向に回動した状態が継続され、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜した状態が継続される。
【0012】
前記リフタが反時計方向に回動し、バルブステムも若干傾斜した状態では、エンジンバルブのバルブシート面への着座も均一でなく、先ず、エンジンバルブの一点がバルブシートの一点に接触し、所謂片当りすることなる。このため、前記エンジンバルブにはバルブスプリングによって、エンジンバルブをバルブシート面に正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリングによる矯正力は、回転カムのリフト量が減じられることによって漸増し、回転カムによるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブは(回転カムによるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動する。
【0013】
前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが回動し、リフタの衝突音が生じる。即ち、前記回転カムによるリフト量が零の状態ではリフタに作用する力は零であり、回転カムとリフタとの間(またはリフタとバルブステムとの間)にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブの閉動作時の急激な移動によって、リフタが収容孔内で遊動して、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じるのである。
【0014】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが回動して、このリフタの衝突音が生じるのは、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点で、このエンジンバルブが若干傾斜していることに起因している。
【0015】
また、前記エンジンバルブの閉動作時にエンジンバルブ及びバルブステムが傾斜するのは、リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に合致せず、リフタにモーメントが作用しているからである。
【0016】
つまり、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置、即ちリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタにモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタにはモーメントは作用しないことになる。
【0017】
したがって、前記エンジンバルブの閉動作時、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点でリフタに反時計方向のモーメントが作用しなければ、リフタの衝突音の発生は可及的に防止できるものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例にあっては、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を球面状の凸面とし、他方を一方の凸面に線接触する回転球面状の凹面としてあるから、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点はリフタの軸芯位置に限り無く近付くことになる。
【0019】
このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点がリフタの軸芯位置に限り無く近い位置にあるから、エンジンバルブの閉動作時に、回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあり、リフタにはモーメントが作用することになる。その結果前記エンジンバルブがバルブシートに着座する時点でエンジンバルブが傾くことになり、このエンジンバルブの傾きが矯正されることによってリフタが揺動し、リフタの衝突音が生じることは十分に解消されない。
【0020】
本発明は前記研究の結果案出されたもので、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1記載の発明は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を平面または凹面とし、他方を一方の平面または凹面の外周が線接触する凹面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにした構成にしてある。
【0022】
また、請求項2記載の発明は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにした構成にしてある。
【0023】
斯かる構成において、前記回転カムが回転することにより、リフタを介してエンジンバルブが開閉動作することになる。このとき、前記リフタは収容孔との間の摺動隙間によって、この摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0024】
前記リフタの揺動は、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点から回転カムとリフタとの接触点(A点からB点に移動する)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントがリフタに作用することによって生じ、このリフタが揺動することによってエンジンバルブ及びバルブステムも若干揺動することになり、これに起因してリフタの衝突音が生じる虞がある。
【0025】
即ち、前記したように発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時においては、回転カムとリフタとの接触点が開動作時のA点からリフタの軸芯位置を越えてB点に至る。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、リフタには、リフタの軸芯位置から回転カムとリフタとの接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとする反時計方向のモーメント、即ち回転カムとリフタとが接触点A点で接触していた場合とは逆方向のモーメントが作用する。したがって、前記リフタは反時計方向に回動することになる。
【0026】
また、前記リフタが反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ及びそのバルブステムも若干傾き、エンジンバルブのバルブシートへの着座が均一でなくなり、エンジンバルブの閉動作時、先ず、エンジンバルブの一点がバルブシートの一点に接触し、所謂片当りすることなる。
【0027】
このため、前記エンジンバルブにはバルブスプリングによって、エンジンバルブをバルブシートに正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリングによる矯正力は、回転カムのリフト量が減じられることによって漸増し、回転カムによるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブは(回転カムによるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動することになる。
【0028】
前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが揺動し、リフタの衝突音が生じる。即ち、前記回転カムによるリフト量が零の状態ではリフタに作用する力は零であり、回転カムとリフタとの間(またはリフタとバルブステムとの間)にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブの閉動作時の急激な移動によって、リフタが収容孔内で遊動して、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じる虞があるのである。
【0029】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが揺動して、このリフタの衝突音が生じるのは、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点で、このエンジンバルブが若干傾いていることに起因している。
【0030】
また、前記エンジンバルブの閉動作時にエンジンバルブ及びバルブステムが傾くのは、リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に合致せず、リフタにモーメントが作用しているからである。
【0031】
つまり、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置、即ちリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタにモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタにはモーメントは作用しないことになる。
【0032】
ここで、請求項1記載の発明にあっては、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を平面または凹面とし、他方を一方の平面または凹面の外周が線接触する凹面とした構成にしてある。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点は、接触面の一方の平面または凹面の外周であって、リフタの軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に近付いたとき、この回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0033】
また、請求項2記載の発明にあっては、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とした構成にしてある。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点は、接触面の一方凹面の外周であって、リフタの軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に近付いたとき、この回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0034】
したがって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置から最も離れた位置(回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点が最も離れた位置となる)から、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタの軸芯位置に近付き、リフタの底面とバルブステムとの接触点よりも半径方向内方に至ることによって、リフタには反時計方向のモーメントは作用しないことになり、リフタは、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面の凹面または凸面によって調芯されてリフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致する。
【0035】
即ち、前記リフタの傾斜が解消されると共に、エンジンバルブ及びバルブステムの傾斜が解消される。
【0036】
このため、前記エンジンバルブはバルブシートへ片当たりすることなく、正しく着座される。これによって、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な移動がないから、リフタが収容孔内で遊動することがなく、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じることがない。
【0037】
したがって、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
【0039】
図1は本発明の実施の形態を示す内燃機関の動弁装置の断面図、図2は図1の要部を拡大して示す断面図、図3は本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面、図4はリフタが反時計方向に回動した状態を説明する図面、図5はリフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致した状態を説明する図面である。
【0040】
図において1は内燃機関のシリンダヘッド、2はシリンダヘッド1に形成した吸気または排気ポート(以下、単にポートと称す)である。
【0041】
3はエンジンバルブで、このエンジンバルブ3は内燃機関のポート2の端部に設けられたバルブシート4に着座し、このポート2を開閉可能である。また、前記エンジンバルブ3は、このエンジンバルブ3のバルブステム5がバルブガイド6に摺動自在に案内されている。
【0042】
7はバルブスプリングで、このバルブスプリング7はシリンダヘッド1とバルブステム5に取付けたばね受け8との間に配置されており、エンジンバルブ3をポート2の閉止方向に常時付勢している。
【0043】
11は前記エンジンバルブ3を開閉動作させる回転カムである。前記回転カム11は基準円12の外周にリフト部13が形成してある。また、前記回転カム11は、その回転中心がバルブステム5の軸芯線Ysに略合致するように配置してある。
【0044】
15は前記エンジンバルブ3のバルブステム5と回転カム11との間に配置されたリフタである。前記リフタ15は円筒状のリフタ本体16と、このリフタ本体16の頂面に設けられたシム17とからなり、シリンダヘッド1に形成した収容孔18内に摺動自在に収容されている。また、常態にあって、前記リフタ15の軸芯線Ylはバルブステム5の軸芯線Ys及び回転カム11の回転中心に合致している。
【0045】
前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が凹面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21がバルブステム5の端面22の凹面の外周が接する凹面としてある。また、前記リフタ15の底面21は図3に示すように、硬質のチップ23を埋設して形成するようにしてもよい。
【0046】
斯かる構成において、前記回転カム11が回転することにより、リフタ15を介してエンジンバルブ3が開閉動作することになる。このとき、前記リフタ15は収容孔18との間の摺動隙間によって、この摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0047】
前記リフタ15の揺動は、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面との接触点から回転カム11とリフタ15との接触点(この接触点は、回転カム11が時計方向に回転している場合、軸芯線Ylよりも右側のA点から左側のB点まで移動する。)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリング7のばね力を力の大きさとするモーメントがリフタ15に作用することによって生じ、このリフタ15が揺動することによってエンジンバルブ3及びバルブステム5も若干揺動することになり、これに起因してリフタ15の衝突音が生じる虞がある。
【0048】
即ち、前記したように発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブ3の閉動作時においては、回転カム11とリフタ15との接触点が開動作時のA点からリフタ15の軸芯位置を越えてB点に至る。このため、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22とがリフタ15の軸芯位置で点接触している場合には、リフタ15には、リフタ15の軸芯位置から回転カム11とリフタ15との接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリング7のばね力を力の大きさとする反時計方向のモーメント、即ち回転カム11とリフタ15とが接触点A点で接触していた場合とは逆方向のモーメントが作用する。したがって、前記リフタ15は反時計方向に回動することになる(図4参照)。
【0049】
また、前記リフタ15が反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ3及びそのバルブステム5も若干傾き、エンジンバルブ3のバルブシート4への着座が均一でなくなり、エンジンバルブ3の閉動作時、先ず、エンジンバルブ3の一点がバルブシート4の一点に接触し、所謂片当りすることなる。
【0050】
このため、前記エンジンバルブ3にはバルブスプリング7によって、エンジンバルブ3をバルブシート4に正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリング3による矯正力は、回転カム11のリフト量が減じられることによって漸増し、回転カム11によるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブ3は(回転カム11によるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動することになる。
【0051】
前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な動作によってリフタ15が揺動し、リフタ15の衝突音が生じる。即ち、前記回転カム11によるリフト量が零の状態ではリフタ15に作用する力は零であり、回転カム11とリフタ15との間にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブ3の閉動作時の急激な移動によって、リフタ15が収容孔18内で遊動して、このリフタ15の端部が収容孔18の内面に衝突することによって衝突音が生じる虞があるのである。
【0052】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な動作によってリフタ15が揺動して、このリフタ15の衝突音が生じるのは、エンジンバルブ3がバルブシート4に着座する時点で、このエンジンバルブ3が若干傾いていることに起因している。
【0053】
また、前記エンジンバルブ3の閉動作時にエンジンバルブ3及びバルブステム5が傾くのは、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22とがリフタ15の軸芯位置で点接触している場合には、回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に合致せず、リフタ15にモーメントが作用しているからである。
【0054】
つまり、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)が、リフタ15の軸芯位置、即ちリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタ15にモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタ15にはモーメントは作用しないことになる。
【0055】
ここで、本発明にあっては、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、バルブステム5の端面を凹面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の凹面の外周が線接触する凹面とした構成にしてある。このため、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(凹面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0056】
したがって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)が、リフタ15の軸芯位置から最も離れた位置(回転カム11の最大リフト位置とリフタ15との接触点が最も離れた位置となる)から、回転カム11が回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタ15の軸芯位置に近付き、リフタ15の底面21とバルブステム5との接触点22よりも半径方向内方に至ることによって、リフタ15には反時計方向のモーメントは作用しないことになり、リフタ15は、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面の凹面によって調芯されてリフタ15の軸芯線Ylとバルブステム5の軸芯線Ysとが一致する(図5参照)。
【0057】
即ち、前記リフタ15の傾斜が解消されると共に、エンジンバルブ3及びバルブステム5の傾斜が解消される。
【0058】
このため、前記エンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく、正しく着座される。これによって、前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な移動がないから、リフタ15が収容孔18内で遊動することがなく、このリフタ15の端部が収容孔18の内面に衝突することによって衝突音を生じることが防止される。
【0059】
また、前記バルブステム5の傾斜が解消されるから、バルブステム5とバルブガイド6との衝突音も防止することができる。
【0060】
したがって、前記リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0061】
図5及び図7は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、一方を平面とし、他方を一方の平面外周が線接触する凹面とした点である。
【0062】
即ち、前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が平面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21がバルブステム5の端面22の平面の外周が接する凹面としてある。また、前記リフタ15の底面21は図7に示すように、硬質のチップ23を埋設して形成される。
【0063】
斯かる構成においては、バルブステム5の端面を平面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の平面の外周が線接触する凹面としてあるため、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(平面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0064】
このため、前記実施の形態と同様に、エンジンバルブ3の閉動作時、このエンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく正しく着座される。これによって、前記リフタ15が遊動することがなく、衝突音を生じることがない。
【0065】
したがって、この実施の形態においても、リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0066】
図8は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とした点である。
【0067】
即ち、前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が凹面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21が、バルブステム5の端面22の凹面の外周が接する凸面としてある。前記リフタ15の底面21は平面としてもよく、また、硬質のチップを埋設して形成してもよい。
【0068】
斯かる構成においては、バルブステム5の端面を凹面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の凹面の外周が線接触する凸面としてあるため、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(凹面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0069】
このため、前記実施の形態と同様に、エンジンバルブ3の閉動作時、このエンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく正しく着座される。これによって、前記リフタ15が遊動することがなく、衝突音を生じることがない。
【0070】
したがって、この実施の形態においても、リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0071】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す内燃機関の動弁装置の断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図4】リフタが反時計方向に回動した状態を説明する図面である。
【図5】リフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致した状態を説明する図面である。
【図6】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図7】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図8】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【符号の説明】
2 ポート
3 エンジンバルブ
5 バルブステム
11 回転カム
15 リフタ
18 収容孔
21 底面
22 端面
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の内燃機関の動弁装置は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブのバルブステムと回転カムとの間に、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタが配置してある。
【0003】
前記リフタは回転カムのリフト量に応じて収容孔内を摺動して、エンジンバルブを開閉動作させる。このとき、前記リフタは、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるから、収容孔との間に適当な摺動隙間を有しており、このため、摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0004】
前記リフタが揺動運動をすると、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突して、衝突音を生じるところから、これを対策するために、例えば実開平3−97506号公報には、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を球面状の凸面とし、他方を一方の凸面に線接触する回転球面状の凹面とした動弁装置が提案されている。
【0005】
ところで、発明者らの研究によれば、前記リフタの衝突音の発生はリフタの揺動に起因しており、リフタの揺動は、回転カムとリフタとの接触点が相対的に移動することによってて生じるのであり、また、接触点の移動はリフタと収容孔との間に摺動隙間があり、回転カムが回転することによって生じるのである。
【0006】
即ち、前記回転カムが時計方向に回転している場合、回転カムがリフトを開始すると、回転カムの初期リフト部がリフタに接することによってリフタは、全体が摺動隙間内を左側(回転カムの回転方向)に寄せられる。このため、前記回転カムとリフタとの接触点は、リフタの軸芯位置よりも右側のA点にある。このとき、前記リフタにはリフタの底面とバルブステムとの接触点から回転カムとリフタとの接触点(A点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタはこのリフタの底面とバルブステムとの接点を支点として時計方向に回動する。
【0007】
つまり、前記リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、リフタには、リフタの軸芯位置から回転カムとリフタとの接触点(A点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタは時計方向に回動することになる。また、前記リフタが時計方向に揺動した状態では、エンジンバルブ及びそのバルブステムも若干傾斜し、エンジンバルブのバルブシート面への着座が均一でなくなるが、エンジンバルブの開動作においては格別問題となることはない。
【0008】
前記回転カムはA点での接触を継続して徐々にリフト量を増大して最大リフト位置に至り、エンジンバルブを開動作させる。このとき、前記回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点(A点)は、リフタの軸芯位置から最も離れた位置になる。
【0009】
更に前記回転カムが回転すると、前記回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点(A点)は、徐々にリフタの軸芯位置に近付き、更にリフタの軸芯位置を越えて左側に移動して、リフタの軸芯位置よりも左側の接触点(B点)に至る。このため、前記リフタには、このリフタの底面とバルブステムとの接触点(例えばリフタの軸芯位置)から回転カムとリフタとの接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントが作用し、リフタはこのリフタの底面とバルブステムとの接触点を支点として反時計方向に回動することになる。また、前記リフタが反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜することになるが、エンジンバルブがポートを解放した状態においては格別問題となることはない。
【0010】
前記回転カムはB点での接触を継続して徐々にリフト量を減少させ、エンジンバルブを閉動作させる。このとき、前記リフタが反時計方向へ回動した状態では、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜した状態にある。
【0011】
前記回転カムとリフタとの接触点(B点)は、回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点がリフタの軸芯位置から最も離れた位置であり、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタの軸芯位置に近付くが、リフタの摺動隙間があるため、リフタの軸芯位置に合致することはない。このため、前記回転カムがリフタに接触した状態では、リフタには反時計方向のモーメントが作用し続けることになり、リフタは反時計方向に回動した状態が継続され、エンジンバルブ及びバルブステムも若干傾斜した状態が継続される。
【0012】
前記リフタが反時計方向に回動し、バルブステムも若干傾斜した状態では、エンジンバルブのバルブシート面への着座も均一でなく、先ず、エンジンバルブの一点がバルブシートの一点に接触し、所謂片当りすることなる。このため、前記エンジンバルブにはバルブスプリングによって、エンジンバルブをバルブシート面に正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリングによる矯正力は、回転カムのリフト量が減じられることによって漸増し、回転カムによるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブは(回転カムによるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動する。
【0013】
前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが回動し、リフタの衝突音が生じる。即ち、前記回転カムによるリフト量が零の状態ではリフタに作用する力は零であり、回転カムとリフタとの間(またはリフタとバルブステムとの間)にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブの閉動作時の急激な移動によって、リフタが収容孔内で遊動して、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じるのである。
【0014】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが回動して、このリフタの衝突音が生じるのは、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点で、このエンジンバルブが若干傾斜していることに起因している。
【0015】
また、前記エンジンバルブの閉動作時にエンジンバルブ及びバルブステムが傾斜するのは、リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に合致せず、リフタにモーメントが作用しているからである。
【0016】
つまり、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置、即ちリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタにモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタにはモーメントは作用しないことになる。
【0017】
したがって、前記エンジンバルブの閉動作時、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点でリフタに反時計方向のモーメントが作用しなければ、リフタの衝突音の発生は可及的に防止できるものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例にあっては、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を球面状の凸面とし、他方を一方の凸面に線接触する回転球面状の凹面としてあるから、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点はリフタの軸芯位置に限り無く近付くことになる。
【0019】
このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点がリフタの軸芯位置に限り無く近い位置にあるから、エンジンバルブの閉動作時に、回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあり、リフタにはモーメントが作用することになる。その結果前記エンジンバルブがバルブシートに着座する時点でエンジンバルブが傾くことになり、このエンジンバルブの傾きが矯正されることによってリフタが揺動し、リフタの衝突音が生じることは十分に解消されない。
【0020】
本発明は前記研究の結果案出されたもので、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1記載の発明は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を平面または凹面とし、他方を一方の平面または凹面の外周が線接触する凹面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにした構成にしてある。
【0022】
また、請求項2記載の発明は、内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにした構成にしてある。
【0023】
斯かる構成において、前記回転カムが回転することにより、リフタを介してエンジンバルブが開閉動作することになる。このとき、前記リフタは収容孔との間の摺動隙間によって、この摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0024】
前記リフタの揺動は、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点から回転カムとリフタとの接触点(A点からB点に移動する)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとするモーメントがリフタに作用することによって生じ、このリフタが揺動することによってエンジンバルブ及びバルブステムも若干揺動することになり、これに起因してリフタの衝突音が生じる虞がある。
【0025】
即ち、前記したように発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時においては、回転カムとリフタとの接触点が開動作時のA点からリフタの軸芯位置を越えてB点に至る。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、リフタには、リフタの軸芯位置から回転カムとリフタとの接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリングのばね力を力の大きさとする反時計方向のモーメント、即ち回転カムとリフタとが接触点A点で接触していた場合とは逆方向のモーメントが作用する。したがって、前記リフタは反時計方向に回動することになる。
【0026】
また、前記リフタが反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ及びそのバルブステムも若干傾き、エンジンバルブのバルブシートへの着座が均一でなくなり、エンジンバルブの閉動作時、先ず、エンジンバルブの一点がバルブシートの一点に接触し、所謂片当りすることなる。
【0027】
このため、前記エンジンバルブにはバルブスプリングによって、エンジンバルブをバルブシートに正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリングによる矯正力は、回転カムのリフト量が減じられることによって漸増し、回転カムによるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブは(回転カムによるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動することになる。
【0028】
前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが揺動し、リフタの衝突音が生じる。即ち、前記回転カムによるリフト量が零の状態ではリフタに作用する力は零であり、回転カムとリフタとの間(またはリフタとバルブステムとの間)にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブの閉動作時の急激な移動によって、リフタが収容孔内で遊動して、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じる虞があるのである。
【0029】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な動作によってリフタが揺動して、このリフタの衝突音が生じるのは、エンジンバルブがバルブシートに着座する時点で、このエンジンバルブが若干傾いていることに起因している。
【0030】
また、前記エンジンバルブの閉動作時にエンジンバルブ及びバルブステムが傾くのは、リフタの底面とバルブステムの端面とがリフタの軸芯位置で点接触している場合には、回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に合致せず、リフタにモーメントが作用しているからである。
【0031】
つまり、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置、即ちリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタにモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタにはモーメントは作用しないことになる。
【0032】
ここで、請求項1記載の発明にあっては、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を平面または凹面とし、他方を一方の平面または凹面の外周が線接触する凹面とした構成にしてある。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点は、接触面の一方の平面または凹面の外周であって、リフタの軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に近付いたとき、この回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0033】
また、請求項2記載の発明にあっては、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とした構成にしてある。このため、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触点は、接触面の一方凹面の外周であって、リフタの軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)がリフタの軸芯位置に近付いたとき、この回転カムとリフタとの接触点(B点)はリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0034】
したがって、前記回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタの軸芯位置から最も離れた位置(回転カムの最大リフト位置とリフタとの接触点が最も離れた位置となる)から、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタの軸芯位置に近付き、リフタの底面とバルブステムとの接触点よりも半径方向内方に至ることによって、リフタには反時計方向のモーメントは作用しないことになり、リフタは、リフタの底面とバルブステムの端面との接触面の凹面または凸面によって調芯されてリフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致する。
【0035】
即ち、前記リフタの傾斜が解消されると共に、エンジンバルブ及びバルブステムの傾斜が解消される。
【0036】
このため、前記エンジンバルブはバルブシートへ片当たりすることなく、正しく着座される。これによって、前記エンジンバルブの閉動作時の急激な移動がないから、リフタが収容孔内で遊動することがなく、このリフタの端部が収容孔の内面に衝突することによって衝突音が生じることがない。
【0037】
したがって、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
【0039】
図1は本発明の実施の形態を示す内燃機関の動弁装置の断面図、図2は図1の要部を拡大して示す断面図、図3は本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面、図4はリフタが反時計方向に回動した状態を説明する図面、図5はリフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致した状態を説明する図面である。
【0040】
図において1は内燃機関のシリンダヘッド、2はシリンダヘッド1に形成した吸気または排気ポート(以下、単にポートと称す)である。
【0041】
3はエンジンバルブで、このエンジンバルブ3は内燃機関のポート2の端部に設けられたバルブシート4に着座し、このポート2を開閉可能である。また、前記エンジンバルブ3は、このエンジンバルブ3のバルブステム5がバルブガイド6に摺動自在に案内されている。
【0042】
7はバルブスプリングで、このバルブスプリング7はシリンダヘッド1とバルブステム5に取付けたばね受け8との間に配置されており、エンジンバルブ3をポート2の閉止方向に常時付勢している。
【0043】
11は前記エンジンバルブ3を開閉動作させる回転カムである。前記回転カム11は基準円12の外周にリフト部13が形成してある。また、前記回転カム11は、その回転中心がバルブステム5の軸芯線Ysに略合致するように配置してある。
【0044】
15は前記エンジンバルブ3のバルブステム5と回転カム11との間に配置されたリフタである。前記リフタ15は円筒状のリフタ本体16と、このリフタ本体16の頂面に設けられたシム17とからなり、シリンダヘッド1に形成した収容孔18内に摺動自在に収容されている。また、常態にあって、前記リフタ15の軸芯線Ylはバルブステム5の軸芯線Ys及び回転カム11の回転中心に合致している。
【0045】
前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が凹面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21がバルブステム5の端面22の凹面の外周が接する凹面としてある。また、前記リフタ15の底面21は図3に示すように、硬質のチップ23を埋設して形成するようにしてもよい。
【0046】
斯かる構成において、前記回転カム11が回転することにより、リフタ15を介してエンジンバルブ3が開閉動作することになる。このとき、前記リフタ15は収容孔18との間の摺動隙間によって、この摺動隙間の範囲内で揺動運動をする虞がある。
【0047】
前記リフタ15の揺動は、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面との接触点から回転カム11とリフタ15との接触点(この接触点は、回転カム11が時計方向に回転している場合、軸芯線Ylよりも右側のA点から左側のB点まで移動する。)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリング7のばね力を力の大きさとするモーメントがリフタ15に作用することによって生じ、このリフタ15が揺動することによってエンジンバルブ3及びバルブステム5も若干揺動することになり、これに起因してリフタ15の衝突音が生じる虞がある。
【0048】
即ち、前記したように発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブ3の閉動作時においては、回転カム11とリフタ15との接触点が開動作時のA点からリフタ15の軸芯位置を越えてB点に至る。このため、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22とがリフタ15の軸芯位置で点接触している場合には、リフタ15には、リフタ15の軸芯位置から回転カム11とリフタ15との接触点(B点)までの長さを腕の長さとし、バルブスプリング7のばね力を力の大きさとする反時計方向のモーメント、即ち回転カム11とリフタ15とが接触点A点で接触していた場合とは逆方向のモーメントが作用する。したがって、前記リフタ15は反時計方向に回動することになる(図4参照)。
【0049】
また、前記リフタ15が反時計方向に回動した状態では、エンジンバルブ3及びそのバルブステム5も若干傾き、エンジンバルブ3のバルブシート4への着座が均一でなくなり、エンジンバルブ3の閉動作時、先ず、エンジンバルブ3の一点がバルブシート4の一点に接触し、所謂片当りすることなる。
【0050】
このため、前記エンジンバルブ3にはバルブスプリング7によって、エンジンバルブ3をバルブシート4に正しく着座させようとする力(矯正力)が作用することになる。前記バルブスプリング3による矯正力は、回転カム11のリフト量が減じられることによって漸増し、回転カム11によるリフト量が零になることによって最大となり、この矯正力によって、エンジンバルブ3は(回転カム11によるリフト量が零になると同時に)正しい着座位置に急激に移動することになる。
【0051】
前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な動作によってリフタ15が揺動し、リフタ15の衝突音が生じる。即ち、前記回転カム11によるリフト量が零の状態ではリフタ15に作用する力は零であり、回転カム11とリフタ15との間にはバルブトレイン系の熱膨張を吸収するために所定のバルブクリアランスが設けられているから、エンジンバルブ3の閉動作時の急激な移動によって、リフタ15が収容孔18内で遊動して、このリフタ15の端部が収容孔18の内面に衝突することによって衝突音が生じる虞があるのである。
【0052】
つまり、発明者らの解析によれば、前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な動作によってリフタ15が揺動して、このリフタ15の衝突音が生じるのは、エンジンバルブ3がバルブシート4に着座する時点で、このエンジンバルブ3が若干傾いていることに起因している。
【0053】
また、前記エンジンバルブ3の閉動作時にエンジンバルブ3及びバルブステム5が傾くのは、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22とがリフタ15の軸芯位置で点接触している場合には、回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に合致せず、リフタ15にモーメントが作用しているからである。
【0054】
つまり、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)が、リフタ15の軸芯位置、即ちリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向外方にあるから、リフタ15にモーメントが作用するのであって、回転カムとリフタとの接触点(B点)が、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方にある場合には、リフタ15にはモーメントは作用しないことになる。
【0055】
ここで、本発明にあっては、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、バルブステム5の端面を凹面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の凹面の外周が線接触する凹面とした構成にしてある。このため、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(凹面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0056】
したがって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)が、リフタ15の軸芯位置から最も離れた位置(回転カム11の最大リフト位置とリフタ15との接触点が最も離れた位置となる)から、回転カム11が回転してリフト量が減じられるにしたがって徐々にリフタ15の軸芯位置に近付き、リフタ15の底面21とバルブステム5との接触点22よりも半径方向内方に至ることによって、リフタ15には反時計方向のモーメントは作用しないことになり、リフタ15は、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面の凹面によって調芯されてリフタ15の軸芯線Ylとバルブステム5の軸芯線Ysとが一致する(図5参照)。
【0057】
即ち、前記リフタ15の傾斜が解消されると共に、エンジンバルブ3及びバルブステム5の傾斜が解消される。
【0058】
このため、前記エンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく、正しく着座される。これによって、前記エンジンバルブ3の閉動作時の急激な移動がないから、リフタ15が収容孔18内で遊動することがなく、このリフタ15の端部が収容孔18の内面に衝突することによって衝突音を生じることが防止される。
【0059】
また、前記バルブステム5の傾斜が解消されるから、バルブステム5とバルブガイド6との衝突音も防止することができる。
【0060】
したがって、前記リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0061】
図5及び図7は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、一方を平面とし、他方を一方の平面外周が線接触する凹面とした点である。
【0062】
即ち、前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が平面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21がバルブステム5の端面22の平面の外周が接する凹面としてある。また、前記リフタ15の底面21は図7に示すように、硬質のチップ23を埋設して形成される。
【0063】
斯かる構成においては、バルブステム5の端面を平面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の平面の外周が線接触する凹面としてあるため、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(平面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0064】
このため、前記実施の形態と同様に、エンジンバルブ3の閉動作時、このエンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく正しく着座される。これによって、前記リフタ15が遊動することがなく、衝突音を生じることがない。
【0065】
したがって、この実施の形態においても、リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0066】
図8は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とした点である。
【0067】
即ち、前記リフタ15の底面21はバルブステム5の端面22に接触しており、この実施の形態において、一方の接触面、即ちバルブステム5の端面22が凹面となっており、他方の接触面、即ちリフタの底面21が、バルブステム5の端面22の凹面の外周が接する凸面としてある。前記リフタ15の底面21は平面としてもよく、また、硬質のチップを埋設して形成してもよい。
【0068】
斯かる構成においては、バルブステム5の端面を凹面とし、リフタ15の端面22をバルブステム5の凹面の外周が線接触する凸面としてあるため、リフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点は、バルブステム5の端面(凹面)の外周であって、リフタ15の軸芯位置から離れた位置にある。これによって、前記回転カム11とリフタ15との接触点(B点)がリフタ15の軸芯位置に近付いたとき、この回転カム11とリフタ15との接触点(B点)はリフタ15の底面21とバルブステム5の端面22との接触点よりも半径方向内方に来ることになる。
【0069】
このため、前記実施の形態と同様に、エンジンバルブ3の閉動作時、このエンジンバルブ3はバルブシート4へ片当りすることなく正しく着座される。これによって、前記リフタ15が遊動することがなく、衝突音を生じることがない。
【0070】
したがって、この実施の形態においても、リフタ15の衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【0071】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、リフタの衝突音が生じることを防止して、騒音の低減を図ることが可能な内燃機関の動弁装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す内燃機関の動弁装置の断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図4】リフタが反時計方向に回動した状態を説明する図面である。
【図5】リフタの軸芯線とバルブステムの軸芯線とが一致した状態を説明する図面である。
【図6】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図7】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【図8】本発明の別の実施の形態を示す図2と同様な図面である。
【符号の説明】
2 ポート
3 エンジンバルブ
5 バルブステム
11 回転カム
15 リフタ
18 収容孔
21 底面
22 端面
Claims (2)
- 内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を平面または凹面とし、他方を一方の平面または凹面の外周が線接触する凹面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにしたことを特徴とする、内燃機関の動弁装置。
- 内燃機関の吸気または排気ポートを開閉可能なエンジンバルブと、このエンジンバルブを開閉動作させる回転カムと、この回転カムとエンジンバルブのバルブステムとの間に配置され、シリンダヘッドに形成した収容孔内に摺動自在に案内されるリフタとを備えてなる内燃機関の動弁装置において、前記リフタの底面とバルブステムの端面との接触面のうち、一方を凹面とし、他方を一方の凹面の外周が線接触する平面または凸面とし、回転カムが回転してリフト量が減じられるにしたがって回転カムとリフタとの接触点がリフタ軸芯から最も離れた位置からリフタ軸芯に近づいたとき、この接触点がリフタの底面とバルブステムの端面との接触点よりも半径方向内方に来るようにしたことを特徴とする、内燃機関の動弁装置。
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-
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- 1998-10-26 JP JP30376398A patent/JP3544128B2/ja not_active Expired - Fee Related
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