JP3542794B2 - 充填された中空ファイバ複合材料の製造方法 - Google Patents

充填された中空ファイバ複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、充填された中空ファイバ複合材料の製造方法、及びこの方法により作られた材料に関する。
【0002】
従来の技術
プレプレグ中空ファイバ材料を用いて製造され得る中空のガラス繊維複合材料が提案されている。このような複合材料の特性は、適当な材料で中空ファイバを充填することにより変えることができる。個別の中空ファイバ複合材料プライの中空ファイバは、プライが交互に積層される前に充填されて、この積層により得たプライは、次いでオートクレーブ内で高圧及び高温下で処理される。このように高圧及び高圧下にさらすことは、中空ファイバ内への充填の信頼性を劣化させ、特に積層されたプレプレグの異なるプライの中空ファイバ内の充填物が高温及び高圧条件に対する種々の耐性又は許容性により異なる場合には、得られた複合材料の特性に有害となる。これは、得られた複合材料の厚さ方向に不均一な劣化を生じさせて、それが不確かな性質をもつ製品を生じさせることになる。
【0003】
発明が解決しようとする課題
このように、複合材料に用いる材料の製造プロセスにおける劣化を最小にし、そのため、得られた製品の望ましからぬ変化を最小にする、充填されたファイバ複合材料を製造するための改良された方法についての必要性がある。
【0004】
課題を解決するための手段
本発明の第1の態様によると、非粘着性フィルム材料が隣接するプライの選択された領域に差し込まれた状態で、中空ファイバ複合材料の複数のプレプレグプライと非粘着性フィルム材料とを、一方を他方の上に積層する工程と、
積層され、差し込まれたプライを処理し、非粘着性フィルム材料が差し込まれていないプライの領域を樹脂接着して、差し込まれた領域が未接着のままである中空ファイバ複合材料積層体を形成する工程と、
積層体のエッジ領域を処理して開口した未充填の中空ファイバ端部を露出する工程と、
未接着の差し込まれた領域内の非粘着性フィルム材料において、プライを分離して、それぞれのプライの開口中空ファイバ端部へのアクセスを提供する工程と、
未接着の差し込まれた領域の分離されたプライ1つ又はそれ以上における開口中空ファイバ端部を通して中空のファイバ内に、中空ファイバ材料とは異なる所望の特性を有する充填材料を導入して、充填された中空ファイバ複合材料を形成する工程
を具備する充填された中空ファイバ複合材料の製造方法が提供される。
【0005】
好ましくは、前記樹脂接着処理工程は、オートクレーブ内で実施される。
【0006】
好都合なことでは、前記積層体のエッジ領域処理工程は、未接着の差し込まれた領域と接着された領域との両方における積層体のエッジ領域をドライカットして、樹脂接着により樹脂で充填された中空ファイバ端部を除去し、積層体の切断端部を、開口未充填の中空ファイバ端部が露出するままとする工程と、
ドライカットにより、開口未充填の中空ファイバ端部に付着した樹脂を除去するために、液体冷却剤内で積層体切断端部を研磨する工程と、
研磨した積層体切断端部を開口未充填の中空ファイバ端部とともに液体溶剤中で超音波洗浄する工程と、
洗浄した積層体切端端部を乾燥する工程とを含む。
【0007】
有利なことには、前記利用される中空ファイバ複合材料は、中空のガラスもしくはカーボンファイバの樹脂接着したプライである。
【0008】
好ましくは、前記利用される非接着性フィルムは、剥離剤で被覆されたプラスチック材料のシートである。
【0009】
好都合なことでは、前記利用される充填材料は、液体、粉体、または粒体のいずれ1つまたはその組合せである。
【0010】
有利なことには、前記研磨は、シリコンカーバイドペーパにより実施される。
【0011】
好ましくは、前記研磨で利用される液体冷却剤は水である。
【0012】
有利なことには、前記超音波洗浄で利用される液体溶剤はジクロロメタンである。
【0013】
好ましくは、超音波洗浄は2時間実施される。
【0014】
好ましくは、乾燥は90℃で10分間実施される。
【0015】
実施例
本発明をよりよく理解するために、また本発明がどのような効果を持って実施されるかを示すために、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
ファイバが作られている材料とは特性の異なる材料で予め充填された中空のガラス繊維材料を用いて、中空のガラス繊維複合体を製造することが提案されている。この充填された中空ファイバ材料の複数のプレプレグプライは、積層され、高圧及び高温下でオートクレーブ中で樹脂接着される。このオートクレーブを用いた樹脂接着は、中空ファイバ内に充填された材料の特性に有害な効果を有している。
【0017】
これらの問題は、本発明の充填された中空ファイバ複合材料を製造する方法によって克服される。この複合材料では、中空のガラスまたはカーボンファイバの樹脂接着されたプライのような、中空ファイバ複合材料の複数のプレプレグプライ1と、剥離剤が被覆されたプラスチック材のシートのような非接着性フィルム材料2とが、添付図面の図1で示すように、1つが他のものの上に作られていて、非粘着性フィルム材料2は選択された領域で隣接するプライ1の間に差し込まれている。図1は、このような選択された領域を示している。積層され、間に差し込まれたプライ1は、非粘着性フィルム材料2が差し込まれていないプライの領域3と一緒に樹脂接着するように処理され、中空の複合ファイバ材料積層体を形成し、この積層体では、図1の参照符号4が付された差し込まれた領域は、接着されないままとなっている。このようにして、充填材料がオートクレーブ処理により悪影響を受けないように、充填材料がプライ1の中空ファイバ内に導入される前に、中空ファイバ複合材料積層体が、好ましくは温度及び圧力の条件下でオートクレーブ内で、樹脂接着することにより製造され得る。
【0018】
図1及び2に示す積層体の中空ファイバの開口端部へのアクセスが得られるようにするために、積層体のエッジ領域、例えば5,6で示した領域を処理して、未充填の中空のファイバ端部7を露出させることが必要である。このために、積層体の端部の処理工程は、接着されていない差し込まれた領域4と接着された領域3との両方における積層体のエッジ領域5,6をドライカットして、樹脂接着の際に樹脂で充填された中空ファイバ端部7を除去することを含むことが必要であり、それによって、切断されたエッジを、開口未充填の中空ファイバ端部が露出するままとされる。積層体の切断エッジは、次いで、例えばシリコンカーバイトペーパで、液体冷却剤、好ましくは水中で研磨されて、ドライカット工程により開口未充填中空ファイバ端部7上に付着された樹脂が除去される。
【0019】
研磨された積層体の符号5,6で示されているような切断エッジ、及びそれとともに、領域4における未接着の開口未充填中空ファイバ端部は、液体溶剤中で超音波で洗浄される。溶剤は好ましくはジクロロメタンであり、洗浄は20分ないし2時間の範囲の時間で実施されるのが好ましい。ジクロロメタンは新鮮なものでなければならず、頻繁に取りかえて洗浄残渣物による汚染を最小とするようにする。洗浄された積層体切断エッジは、次いで、例えば90℃で10分間乾燥され、研磨及び洗浄中に付着した溶剤又は水が除去される。エッジの切断は、中空ファイバ端部を露出するプロセスを開始させ、研磨は、更にファイバを露出させ、洗浄は、切断及び研削段階で生じた破片を取り除く。このことは、添付図面の図2に示した露出端部8を通して充填される中空ファイバのための道を残すことになる。
【0020】
研磨され、洗浄されたファイバの開口端部8へのアクセスを可能とするために、図1に示したような未接着の差し込まれた領域4における非粘着性フィルム材料2において、プライ1を先ず分離することが必要である。プライ1と、したがって中空ファイバの開口端部8とは、非粘着性フィルム材料を引き離すことによるプライ同士を引き離す手段によりプライを広げることによる便宜的な方法で、非粘着性フィルム2において分離され得る。こうして広げられて分離された、添付図面の図2に示す位置では、プライ1のファイバの開口端部は、何らかの便宜的方法で充填材料を個別に充填され得る。適当な充填材料は、液体、粉体及び/又は粒体状である。これらの充填材料は、ポンプ作用によるか、あるいは他の方法で圧力の下で中空ファイバ内に導入されるか、或いは、もし液状の充填材料が使用され、毛細管現象か又は重力により充填が可能ならば、中空ファイバが液体内に浸漬される。そのような充填材料は、中空ファイバ材料の特性または特徴とは異なる所望の特性または特徴を有するように選ばれる。他の適切な充填技術は、中空ファイバ内に必要とされる材料に依存して、真空充填もしくは現場反応である。
【0021】
本発明の方法は、選ばれる充填材料の特性に依存する多くの用途をもつ充填された中空ファイバ複合材料を製造するのに適している。このような充填材料は、複合材料の特性を、その複合材料全体にわたって一定して変えることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、中空の複合材料の複数のプレプレグプライと非粘着性フィルム材料との積層体の模式的な側面図。
【図2】図1とは異なるスケールで表わされた、本発明により非粘着性フィルム材料の一領域で分離されているプライを樹脂接着した後のプレプレグプライの積層体を示す側面図。
【符号の説明】
1・・・プライ、2・・・非粘着性フィルム材料、3・・・差し込まれていない領域、4・・・差し込まれた領域、5,6・・・積層体のエッジ領域、7・・・中空ファイバ端部、8・・・中空ファイバの開口端部。

Claims (12)

  1. 非粘着性フィルム材料が隣接するプライの選択された領域に差し込まれた状態で、中空ファイバ複合材料の複数のプレプレグプライと非粘着性フィルム材料とを、一方を他方の上に積層する工程と、
    積層され、差し込まれたプライを処理し、非粘着性フィルム材料が差し込まれていないプライの領域を樹脂接着して、差し込まれた領域が未接着のままである中空ファイバ複合材料積層体を形成する工程と、
    積層体のエッジ領域を処理して開口した未充填の中空ファイバ端部を露出する工程と、
    未接着の差し込まれた領域内の非粘着性フィルム材料において、プライを分離して、それぞれのプライの開口中空ファイバ端部へのアクセスを提供する工程と、
    未接着の差し込まれた領域の分離されたプライ1つ又はそれ以上における開口中空ファイバ端部を通して中空のファイバ内に、中空ファイバ材料とは異なる所望の特性を有する充填材料を導入して、充填された中空ファイバ複合材料を形成する工程
    を具備する充填された中空ファイバ複合材料の製造方法。
  2. 前記樹脂接着処理工程は、オートクレーブ内で実施される請求項1に記載の方法。
  3. 前記積層体のエッジ領域処理工程は、未接着の差し込まれた領域と接着された領域との両方における積層体のエッジ領域をドライカットして、樹脂接着により樹脂で充填された中空ファイバ端部を除去し、積層体の切断端部を、開口未充填の中空ファイバ端部が露出するままとする工程と、
    ドライカットにより、開口未充填の中空ファイバ端部に付着した樹脂を除去するために、液体冷却剤内で積層体切断端部を研磨する工程と、
    研磨した積層体切断端部を開口未充填の中空ファイバ端部とともに液体溶剤中で超音波洗浄する工程と、
    洗浄した積層体切端端部を乾燥する工程とを含む請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記利用される中空ファイバ複合材料は、中空のガラスもしくはカーボンファイバの樹脂接着したプライである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記利用される非接着性フィルムは、剥離剤で被覆されたプラスチック材料のシートである請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記利用される充填材料は、液体、粉体、または粒体のいずれ1つまたはその組合せである請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記研磨は、シリコンカーバイドペーパにより実施される請求項3に記載の方法。
  8. 前記研磨で利用される液体冷却剤は水である請求項7に記載の方法。
  9. 前記超音波洗浄で利用される液体溶剤はジクロロメタンである請求項3に記載の方法。
  10. 超音波洗浄は20分ないし2時間の範囲の時間にわたって実施される請求項3に記載の方法。
  11. 乾燥は90℃で10分間実施される請求項3に記載の方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の方法により作られた充填された中空ファイバ複合材料。
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