JP3542195B2 - ダンパー機構 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、曲がり板ばねと、曲がり板バネが採用されたダンパー機構とに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にダンパーディスク組立体では、エンジン側のトルクが入力される入力側部材と出力側シャフトにトルクを出力するための出力側部材とが、弾性部材により回転方向に連結されている。弾性部材は入力側部材と出力側部材との間で円周方向に弾性変形可能である。ダンパー機構は、弾性部材とヒステリシストルク発生機構とを含み、捩じり振動が入力されると、弾性部材が円周方向に伸縮を繰り返し、これによりヒステリシストルクが発生し、エンジン側からの捩じり振動を減衰する。弾性部材として、通常はコイルスプリングが用いられるが、特開平6−137341号公報に開示されたダンパー機構では曲がり板ばねが用いられている。曲がり板ばねは、複数のリング部と、リング部同士を直列に接続する複数のレバー部とから構成されている。曲がり板ばねは単位容積に占める弾性エネルギーが大きいために、トルク伝達容量を充分に確保しつつばねの幅寸法を小さくできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の曲がり板ばねでは、レバー部が変形しやすく、このためリング部に曲げモーメントが作用しにくく、リング部が十分に弾性変形しない。そのため、リング部が弾性エネルギーを十分に蓄えることができない。
本発明の目的は、曲がり板ばねの弾性エネルギーを蓄える能力を高めることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、第1回転部材と、第2回転部材と、曲がり板ばねとを備えている。第2回転部材は、前記第1回転部材との間に弧状室を形成する。曲がり板ばねは、弧状室内に配置され、開環部を有し千鳥状に対向するように配置された複数の板状リング部と、対向する板状リング部の開環部の一端同士を連結することで複数の板状リング部を直列に接続し、板状リング部より剛性が高い複数の板状レバー部とを有する。曲がり板ばねは本体部分がほぼ均一の厚みを有している。板状レバー部は剛性を高めるための加工部を有する。
請求項2に記載のダンパー機構では、請求項1において、加工部は、板状レバー部の幅方向両端に形成された折り曲げ部を有する。
請求項3に記載のダンパー機構では、請求項2において、板状リング部は、幅方向両端に形成された第2折り曲げ部を有している。第2折り曲げ部は、折り曲げ部から連続し、開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている。
請求項4に記載のダンパー機構では、請求項1〜3のいずれかにおいて、加工部は、板状レバー部の幅方向中央部付近で長手方向に延びる押し出し部を含む。
請求項5に記載のダンパー機構では、請求項4において、板状リング部は、幅方向中央部付近で長手方向に延びる第2押し出し部を有している。第2押し出し部は、押し出し部から連続し、開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている。
【0011】
【作用】
請求項1に記載の発明では、曲がり板ばねはダンパー機構の弧状室内に配置される。そして、曲がり板ばねは第1回転部材と第2回転部材との間でトルクを伝達する。板状レバー部に外力が作用すると、板状レバー部に連続する板状リング部に曲げモーメントが加わる。これにより、各板状リング部が撓み変形して弾性エネルギーを蓄える。このとき、板状レバー部が剛性が高くなっているため、板状リング部の撓み変形量が大きくなり、蓄える弾性エネルギーが大きくなる。
このダンパー機構では、板状レバー部は加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化を付けた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【0012】
請求項2または10に記載の発明では、板状レバー部は前記板状リング部より厚みが大きいために板状リング部より剛性が高い。
請求項3または11に記載の発明では、板状リング部は開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に厚みが小さくなっており、板状リング部の中央部が最も剛性が低くなっている。このように曲げモーメントが最も作用しにくい板状リング部の中央部の剛性が下がることで板状リング部の撓み変形量がさらに大きくなる。
【0013】
請求項4または12に記載の発明では、板状レバー部は第1加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は第1加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化を付けた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【0016】
【実施例】
参考例
図1〜図3は、本発明を説明するための参考例としてのクラッチディスク組立体100を示している。図1においてO−Oはクラッチディスク組立体100の回転軸線である。
【0017】
このクラッチディスク組立体100の中心には、トランスミッションの入力シャフト(図示せず)に連結されるスプラインハブ1が配置されている。スプラインハブ1は、図示しないトランスミッションの入力シャフトに噛み合うスプライン孔1aを中心部に有している。また、スプラインハブ1には、外周側に突出するフランジ部2が一体に形成されている。フランジ部2の外周には、図2及び図3に示すように、径方向に対向する位置に2つの突起部2aが形成されている。フランジ部2の両側面には、円周状に段部2bが形成されており、両段部2bの内周側にはフランジ部2を軸方向に貫通し、円周方向に長い複数の長孔2cが所定の間隔で形成されている。
【0018】
スプラインハブ1の外周側には、概ね円板状のリテーニングプレート4及びクラッチプレート5が配置されている。両プレート4,5の内周端には複数のストップピン用孔4a,5aが所定の間隔で形成されており、プレート4,5は、各孔4a,5a及びフランジ部2の長孔2cに挿入されたストップピン6によりフランジ部2に装着されている。なお、各プレート4,5は、ストップピン6が長孔2cの円周方向端に当たるまでの範囲でフランジ部2に対して相対回転可能である。
【0019】
各プレート4,5の内周部にはOリング3を固定するための環状の屈曲部4b,5bがそれぞれ形成されている。さらに、リテーニングプレート4の外周部にはクラッチプレート5側に延びる外周筒状部4cが形成されている。この外周筒状部4cは、リベット8によりクラッチプレート5の外周部に固定されている。また、外周筒状部4cにおいて、径方向に対向する2か所には内周側に凹む係止部4dがフランジ部2の突起部2aに対向して形成されている。なお、外周筒状部の4cの外周側には摩擦フェーシング7が固定されている。
【0020】
このような構成により、スプラインハブ1の両側方に配置されたプレート4,5は、フランジ部2とともに円環状の流体室10を形成している。流体室10の内部には、所定の粘性を有するダンパーオイル11が充填されている。この流体室10はOリング3により内周部をシールされている。
1対の曲がり板ばね12が流体室10内に配置されている。各曲がり板ばね12は板部材を波状に折り曲げた状態で半円状に延びており、広角度に撓み変形可能である。曲がり板ばね12は、図4及び図5に示すように、複数のリング部20と、リング部20同士を直列に連結するレバー部21とを有している。複数のリング部20は一方向に千鳥状に配置されている。各列のリング部20は、対向する列に対して開く開環部23を有している。レバー部21は、対向するリング部20の開環部23の一端同士を連結している。この結果、複数のリング部20がレバー部21によって直列に接続されている。
【0021】
各リング部20は、ほぼ同径の環状体であり、隣接する各リング部20の間には所定の隙間S1 を有している。また、曲がり板ばね12が円弧状に配置されたセット状態において、各開環部23の両端は密着している。また、開環部23の互いに連結された端部同士は曲がり板ばね12の延びる方向にずれている。すなわち、各レバー部21は斜めになっており、リング部20側から見ればレバー部21が開環部23の両側からそれぞれ外方に延びている。
【0022】
図4に示すように、リング部20はレバー部21に比べて厚みが小さくなっている。また、リング部20は開環部23から中央部に向かうにしたがって徐々に厚みが小さくなっており、中央部が最も薄くなっている。
次に、動作について説明する。
摩擦フェーシング7が図示しないフライホイールに連結されると、クラッチプレート5及びリテーニングプレート4にトルクが入力される。このトルクはリテーニングプレート4の係止部4dから曲がり板ばね12に伝達され、さらにフランジ部2を介してスプラインハブ1へと伝達されて最後に図示しないトランスミッションの入力シャフトに出力される。
【0023】
クラッチディスク組立体100に捩じり振動が入力されると、入力側部材であるプレート4,5と出力側部材であるスプラインハブ1とが相対回転し、両者間で曲がり板ばね12が円周方向に伸縮を繰り返す。このとき、流体室10内に収容されたダンパーオイル11がリテーニングプレート4,クラッチプレート5及びフランジ部2と曲がり板ばね12との間に形成された隙間を通過する。これにより、ダンパーオイル11の流れが絞られ、隙間の断面積に応じた粘性抵抗が生じる。以上の結果、捩じり振動が減衰される。このクラッチディスク組立体100では、低剛性・広捩じり角の特性により捩じり振動減衰に効果がある。
【0024】
曲がり板ばね12が圧縮されるときの動作について説明する。圧縮時には、各レバー部21の開角度が小さくなり、リング部20に曲げモーメントが作用する。このとき、レバー部21は開環部23を支点として移動し、リング部20が撓み変形する。レバー部21は剛性が高くリング部20は剛性が低いため、リング部20の変形量が大きく、蓄える弾性エネルギーが大きくなっている。特に、リング部20の中間部の厚みが両側より薄くなっているために、中間部に作用する曲げモーメントは小さいにもかかわらず充分な弾性変形量が得られる。
【0025】
このように上記参考例においては、曲がり板ばね12を用いることにより、従来のコイルスプリングと同等の低いばね剛性を維持しつつ、軸方向への寸法を小さくできるために、クラッチディスク組立体100の軸方向寸法を充分に小さくできる。
本発明の実施例
図5及び図6に示す本願発明の一実施形態としての曲がり板ばね12について説明する。
【0026】
曲がり板ばね12は本体部分がほぼ均一の厚みを有している。レバー部21には幅方向中央部に押し出し部41が形成され、幅方向両端に折り曲げ部42が形成されている。押し出し部41及び折り曲げ部42はレバー部21全体に延びており、さらにリング部20側にも連続している。押し出し部41及び折り曲げ部42はリング部20において開環部23から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなり、中央部に到達する前に無くなっている。さらに、リング部20において、押し出し部41及び折り曲げ部42が無くなった付近から中央部に向かって板厚が徐々に薄くなっている。この結果、中央部の厚みが最も薄い。
【0027】
曲がり板ばね12が圧縮されるときの動作について説明する。
圧縮時には、各レバー部21の開角度が小さくなり、リング部20に曲げモーメントが作用する。このとき、レバー部21は開環部23を支点として移動し、リング部20が撓み変形する。レバー部21には押し出し部41及び折り曲げ部42が形成されているため、剛性が高い。リング部20には途中までしか押し出し部41及び折り曲げ部42が形成されていないために剛性が低い。以上の結果、リング部20の変形量が大きく、蓄える弾性エネルギーが大きくなっている。特に、リング部20の中間部の厚みが両側より薄くなっているために、中間部に作用する曲げモーメントは小さいにもかかわらず充分な弾性変形量が得られる。
【0028】
この実施例では、レバー部21の剛性を高めるために、押し出し部41及び折り曲げ部42を形成している。このような加工方法ではレバー部21の重量を増加させることなく剛性を高めることができる。この結果曲がり板ばね12全体の重量が小さくなっており、材料費の軽減が達成されている。また、曲がり板ばね12の重量の低減により、曲がり板ばね12に作用する遠心力が小さくなり、曲がり板ばねと流体室の外周壁との間で生じる摩擦抵抗が小さくなる。
本発明の他の実施例
前記実施例ではレバー部に押し出し部と折り曲げ部との両方を形成したが、図7に示すように押し出し部41のみでもよい。また、折り曲げ部のみでもよい。さらには、他の形状によって剛性を高めてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る発明では、板状レバー部に外力が作用すると、板状レバー部に連続する板状リング部に曲げモーメントが加わる。これにより、各板状リング部が撓み変形して弾性エネルギーを蓄える。このとき、板状レバー部が剛性が高くなっているため、板状リング部の撓み変形量が大きくなり、蓄える弾性エネルギーが大きくなる。
さらに、板状レバー部は加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化をつけた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例におけるクラッチディスク組立体の縦断面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図1のIII −III 断面図。
【図4】曲がり板ばねの正面部分図。
【図5】本発明の実施例としての曲がり板ばねの正面部分図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】本発明の他の実施例の図5に相当する図。
【符号の説明】
1 スプラインハブ
2 フランジ部
4 リテーニングプレート
5 クラッチプレート
10 流体室
12 曲がり板ばね
20 リング部
21 レバー部
23 開環部
41 押し出し部
42 折り曲げ部
【産業上の利用分野】
本発明は、曲がり板ばねと、曲がり板バネが採用されたダンパー機構とに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にダンパーディスク組立体では、エンジン側のトルクが入力される入力側部材と出力側シャフトにトルクを出力するための出力側部材とが、弾性部材により回転方向に連結されている。弾性部材は入力側部材と出力側部材との間で円周方向に弾性変形可能である。ダンパー機構は、弾性部材とヒステリシストルク発生機構とを含み、捩じり振動が入力されると、弾性部材が円周方向に伸縮を繰り返し、これによりヒステリシストルクが発生し、エンジン側からの捩じり振動を減衰する。弾性部材として、通常はコイルスプリングが用いられるが、特開平6−137341号公報に開示されたダンパー機構では曲がり板ばねが用いられている。曲がり板ばねは、複数のリング部と、リング部同士を直列に接続する複数のレバー部とから構成されている。曲がり板ばねは単位容積に占める弾性エネルギーが大きいために、トルク伝達容量を充分に確保しつつばねの幅寸法を小さくできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の曲がり板ばねでは、レバー部が変形しやすく、このためリング部に曲げモーメントが作用しにくく、リング部が十分に弾性変形しない。そのため、リング部が弾性エネルギーを十分に蓄えることができない。
本発明の目的は、曲がり板ばねの弾性エネルギーを蓄える能力を高めることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、第1回転部材と、第2回転部材と、曲がり板ばねとを備えている。第2回転部材は、前記第1回転部材との間に弧状室を形成する。曲がり板ばねは、弧状室内に配置され、開環部を有し千鳥状に対向するように配置された複数の板状リング部と、対向する板状リング部の開環部の一端同士を連結することで複数の板状リング部を直列に接続し、板状リング部より剛性が高い複数の板状レバー部とを有する。曲がり板ばねは本体部分がほぼ均一の厚みを有している。板状レバー部は剛性を高めるための加工部を有する。
請求項2に記載のダンパー機構では、請求項1において、加工部は、板状レバー部の幅方向両端に形成された折り曲げ部を有する。
請求項3に記載のダンパー機構では、請求項2において、板状リング部は、幅方向両端に形成された第2折り曲げ部を有している。第2折り曲げ部は、折り曲げ部から連続し、開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている。
請求項4に記載のダンパー機構では、請求項1〜3のいずれかにおいて、加工部は、板状レバー部の幅方向中央部付近で長手方向に延びる押し出し部を含む。
請求項5に記載のダンパー機構では、請求項4において、板状リング部は、幅方向中央部付近で長手方向に延びる第2押し出し部を有している。第2押し出し部は、押し出し部から連続し、開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている。
【0011】
【作用】
請求項1に記載の発明では、曲がり板ばねはダンパー機構の弧状室内に配置される。そして、曲がり板ばねは第1回転部材と第2回転部材との間でトルクを伝達する。板状レバー部に外力が作用すると、板状レバー部に連続する板状リング部に曲げモーメントが加わる。これにより、各板状リング部が撓み変形して弾性エネルギーを蓄える。このとき、板状レバー部が剛性が高くなっているため、板状リング部の撓み変形量が大きくなり、蓄える弾性エネルギーが大きくなる。
このダンパー機構では、板状レバー部は加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化を付けた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【0012】
請求項2または10に記載の発明では、板状レバー部は前記板状リング部より厚みが大きいために板状リング部より剛性が高い。
請求項3または11に記載の発明では、板状リング部は開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に厚みが小さくなっており、板状リング部の中央部が最も剛性が低くなっている。このように曲げモーメントが最も作用しにくい板状リング部の中央部の剛性が下がることで板状リング部の撓み変形量がさらに大きくなる。
【0013】
請求項4または12に記載の発明では、板状レバー部は第1加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は第1加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化を付けた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【0016】
【実施例】
参考例
図1〜図3は、本発明を説明するための参考例としてのクラッチディスク組立体100を示している。図1においてO−Oはクラッチディスク組立体100の回転軸線である。
【0017】
このクラッチディスク組立体100の中心には、トランスミッションの入力シャフト(図示せず)に連結されるスプラインハブ1が配置されている。スプラインハブ1は、図示しないトランスミッションの入力シャフトに噛み合うスプライン孔1aを中心部に有している。また、スプラインハブ1には、外周側に突出するフランジ部2が一体に形成されている。フランジ部2の外周には、図2及び図3に示すように、径方向に対向する位置に2つの突起部2aが形成されている。フランジ部2の両側面には、円周状に段部2bが形成されており、両段部2bの内周側にはフランジ部2を軸方向に貫通し、円周方向に長い複数の長孔2cが所定の間隔で形成されている。
【0018】
スプラインハブ1の外周側には、概ね円板状のリテーニングプレート4及びクラッチプレート5が配置されている。両プレート4,5の内周端には複数のストップピン用孔4a,5aが所定の間隔で形成されており、プレート4,5は、各孔4a,5a及びフランジ部2の長孔2cに挿入されたストップピン6によりフランジ部2に装着されている。なお、各プレート4,5は、ストップピン6が長孔2cの円周方向端に当たるまでの範囲でフランジ部2に対して相対回転可能である。
【0019】
各プレート4,5の内周部にはOリング3を固定するための環状の屈曲部4b,5bがそれぞれ形成されている。さらに、リテーニングプレート4の外周部にはクラッチプレート5側に延びる外周筒状部4cが形成されている。この外周筒状部4cは、リベット8によりクラッチプレート5の外周部に固定されている。また、外周筒状部4cにおいて、径方向に対向する2か所には内周側に凹む係止部4dがフランジ部2の突起部2aに対向して形成されている。なお、外周筒状部の4cの外周側には摩擦フェーシング7が固定されている。
【0020】
このような構成により、スプラインハブ1の両側方に配置されたプレート4,5は、フランジ部2とともに円環状の流体室10を形成している。流体室10の内部には、所定の粘性を有するダンパーオイル11が充填されている。この流体室10はOリング3により内周部をシールされている。
1対の曲がり板ばね12が流体室10内に配置されている。各曲がり板ばね12は板部材を波状に折り曲げた状態で半円状に延びており、広角度に撓み変形可能である。曲がり板ばね12は、図4及び図5に示すように、複数のリング部20と、リング部20同士を直列に連結するレバー部21とを有している。複数のリング部20は一方向に千鳥状に配置されている。各列のリング部20は、対向する列に対して開く開環部23を有している。レバー部21は、対向するリング部20の開環部23の一端同士を連結している。この結果、複数のリング部20がレバー部21によって直列に接続されている。
【0021】
各リング部20は、ほぼ同径の環状体であり、隣接する各リング部20の間には所定の隙間S1 を有している。また、曲がり板ばね12が円弧状に配置されたセット状態において、各開環部23の両端は密着している。また、開環部23の互いに連結された端部同士は曲がり板ばね12の延びる方向にずれている。すなわち、各レバー部21は斜めになっており、リング部20側から見ればレバー部21が開環部23の両側からそれぞれ外方に延びている。
【0022】
図4に示すように、リング部20はレバー部21に比べて厚みが小さくなっている。また、リング部20は開環部23から中央部に向かうにしたがって徐々に厚みが小さくなっており、中央部が最も薄くなっている。
次に、動作について説明する。
摩擦フェーシング7が図示しないフライホイールに連結されると、クラッチプレート5及びリテーニングプレート4にトルクが入力される。このトルクはリテーニングプレート4の係止部4dから曲がり板ばね12に伝達され、さらにフランジ部2を介してスプラインハブ1へと伝達されて最後に図示しないトランスミッションの入力シャフトに出力される。
【0023】
クラッチディスク組立体100に捩じり振動が入力されると、入力側部材であるプレート4,5と出力側部材であるスプラインハブ1とが相対回転し、両者間で曲がり板ばね12が円周方向に伸縮を繰り返す。このとき、流体室10内に収容されたダンパーオイル11がリテーニングプレート4,クラッチプレート5及びフランジ部2と曲がり板ばね12との間に形成された隙間を通過する。これにより、ダンパーオイル11の流れが絞られ、隙間の断面積に応じた粘性抵抗が生じる。以上の結果、捩じり振動が減衰される。このクラッチディスク組立体100では、低剛性・広捩じり角の特性により捩じり振動減衰に効果がある。
【0024】
曲がり板ばね12が圧縮されるときの動作について説明する。圧縮時には、各レバー部21の開角度が小さくなり、リング部20に曲げモーメントが作用する。このとき、レバー部21は開環部23を支点として移動し、リング部20が撓み変形する。レバー部21は剛性が高くリング部20は剛性が低いため、リング部20の変形量が大きく、蓄える弾性エネルギーが大きくなっている。特に、リング部20の中間部の厚みが両側より薄くなっているために、中間部に作用する曲げモーメントは小さいにもかかわらず充分な弾性変形量が得られる。
【0025】
このように上記参考例においては、曲がり板ばね12を用いることにより、従来のコイルスプリングと同等の低いばね剛性を維持しつつ、軸方向への寸法を小さくできるために、クラッチディスク組立体100の軸方向寸法を充分に小さくできる。
本発明の実施例
図5及び図6に示す本願発明の一実施形態としての曲がり板ばね12について説明する。
【0026】
曲がり板ばね12は本体部分がほぼ均一の厚みを有している。レバー部21には幅方向中央部に押し出し部41が形成され、幅方向両端に折り曲げ部42が形成されている。押し出し部41及び折り曲げ部42はレバー部21全体に延びており、さらにリング部20側にも連続している。押し出し部41及び折り曲げ部42はリング部20において開環部23から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなり、中央部に到達する前に無くなっている。さらに、リング部20において、押し出し部41及び折り曲げ部42が無くなった付近から中央部に向かって板厚が徐々に薄くなっている。この結果、中央部の厚みが最も薄い。
【0027】
曲がり板ばね12が圧縮されるときの動作について説明する。
圧縮時には、各レバー部21の開角度が小さくなり、リング部20に曲げモーメントが作用する。このとき、レバー部21は開環部23を支点として移動し、リング部20が撓み変形する。レバー部21には押し出し部41及び折り曲げ部42が形成されているため、剛性が高い。リング部20には途中までしか押し出し部41及び折り曲げ部42が形成されていないために剛性が低い。以上の結果、リング部20の変形量が大きく、蓄える弾性エネルギーが大きくなっている。特に、リング部20の中間部の厚みが両側より薄くなっているために、中間部に作用する曲げモーメントは小さいにもかかわらず充分な弾性変形量が得られる。
【0028】
この実施例では、レバー部21の剛性を高めるために、押し出し部41及び折り曲げ部42を形成している。このような加工方法ではレバー部21の重量を増加させることなく剛性を高めることができる。この結果曲がり板ばね12全体の重量が小さくなっており、材料費の軽減が達成されている。また、曲がり板ばね12の重量の低減により、曲がり板ばね12に作用する遠心力が小さくなり、曲がり板ばねと流体室の外周壁との間で生じる摩擦抵抗が小さくなる。
本発明の他の実施例
前記実施例ではレバー部に押し出し部と折り曲げ部との両方を形成したが、図7に示すように押し出し部41のみでもよい。また、折り曲げ部のみでもよい。さらには、他の形状によって剛性を高めてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る発明では、板状レバー部に外力が作用すると、板状レバー部に連続する板状リング部に曲げモーメントが加わる。これにより、各板状リング部が撓み変形して弾性エネルギーを蓄える。このとき、板状レバー部が剛性が高くなっているため、板状リング部の撓み変形量が大きくなり、蓄える弾性エネルギーが大きくなる。
さらに、板状レバー部は加工部が形成されているために板状リング部より剛性が高い。その結果、板状リング部の撓み変形量が大きくなる。板状レバー部は加工部によって剛性が高くなっているため、厚みを大きくする必要がない。その結果、厚みの変化をつけた場合と同様の特性を得つつ曲がり板ばねの重量を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例におけるクラッチディスク組立体の縦断面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図1のIII −III 断面図。
【図4】曲がり板ばねの正面部分図。
【図5】本発明の実施例としての曲がり板ばねの正面部分図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】本発明の他の実施例の図5に相当する図。
【符号の説明】
1 スプラインハブ
2 フランジ部
4 リテーニングプレート
5 クラッチプレート
10 流体室
12 曲がり板ばね
20 リング部
21 レバー部
23 開環部
41 押し出し部
42 折り曲げ部
Claims (5)
- 第1回転部材と、
前記第1回転部材との間に弧状室を形成する第2回転部材と、
前記弧状室内に配置され、開環部を有し千鳥状に対向するように配置された複数の板状リング部と、対向する前記板状リング部の前記開環部の一端同士を連結することで前記複数の板状リング部を直列に接続し、前記板状リング部より剛性が高い複数の板状レバー部とを有する曲がり板ばねとを備え、
前記曲がり板ばねは本体部分がほぼ均一の厚みを有しており、
前記板状レバー部は剛性を高めるための加工部を有する、
ダンパー機構。 - 前記加工部は、前記板状レバー部の幅方向両端に形成された折り曲げ部を有する、請求項1に記載のダンパー機構。
- 前記板状リング部は、幅方向両端に形成された第2折り曲げ部を有し、
前記第2折り曲げ部は、前記折り曲げ部から連続し、前記開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている、請求項2に記載のダンパー機構。 - 前記加工部は、前記板状レバー部の幅方向中央部付近で長手方向に延びる押し出し部を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のダンパー機構。
- 前記板状リング部は、幅方向中央部付近で長手方向に延びる第2押し出し部を有し、
前記第2押し出し部は、前記押し出し部から連続し、前記開環部から中央部に向かうにしたがって徐々に高さが低くなっている、請求項4に記載のダンパー機構。
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