JP3223027B2 - 車両用クラッチディスク - Google Patents

車両用クラッチディスク

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JP3223027B2 JP33219793A JP33219793A JP3223027B2 JP 3223027 B2 JP3223027 B2 JP 3223027B2 JP 33219793 A JP33219793 A JP 33219793A JP 33219793 A JP33219793 A JP 33219793A JP 3223027 B2 JP3223027 B2 JP 3223027B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用クラッチディスク
に関し、より詳しくは差し込みボスと一体に回転するハ
ウジングと、クラッチライニングを支持するライニング
支持板との間に介装されたトーションスプリングの振動
を減衰可能な振動減衰手段を備えた車両用クラッチディ
スクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のエンジンと手動変速
機との間には一般に摩擦クラッチが設けられており、運
転者のクラッチペダル操作に応じてエンジンの駆動力を
変速機に伝達したり遮断したりすることができる。この
種の摩擦クラッチにおける車両用クラッチディスクは、
一般に、変速機の入力軸に係合される差し込みボスと、
エンジンのフライホイールに押圧されるクラッチライニ
ングを支持するライニング支持板とを有し、該ライニン
グ支持板は前記差し込みボスに対して軸線廻りの所定の
相対角度範囲内で正逆方向に相対回転可能である。又、
両者の間にはコイルばね等のトーションスプリングが介
装されており、エンジンのフライホイールにクラッチラ
イニングが当接された際の回転方向の衝撃を吸収すると
共に、このトーションスプリングを介してクラッチライ
ニングに伝達されたエンジンの駆動力を変速機の入力軸
に伝達する。
【0003】従って、前記トーションスプリングは、差
し込みボスとライニング支持板との間で伝達される駆動
力の大きさに応じて伸縮を繰り返すので、エンジンのト
ルク変動等によりねじり振動が起こると、これら差し込
みボスとライニング支持板との間には相対回転振動が生
じる。そこで、この様な相対回転振動を減衰するため
に、差し込みボスとライニング支持板との間に様々な形
態の振動減衰手段を介装した車両用クラッチディスクが
種々提案されている。
【0004】例えば、特開昭63−115915号公報
等に開示されたクラッチディスクのように、差し込みボ
スと一体に回転するハウジングとライニング支持板との
間にトーションスプリングを配設すると共に、差し込み
ボスとライニング支持板との間に粘性流体継手(ビスカ
スカップリング)を配設し、差し込みボスとライニング
支持板との相対角速度に比例する減衰力が得られるよう
にした振動減衰手段がある。
【0005】この様なビスカスカップリングを備えた振
動減衰手段は、無負荷時に振動系モーメントが現れた際
にも減衰作用を生じると共に、振動減衰度を差し込みボ
スとライニング支持板との相対角速度に比例して大きく
することができる。また、該振動減衰手段は摩耗するこ
となく作動し、クラッチライニングの摩擦係数の変動を
受けることもない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記車両用
クラッチディスクには、例えば車両が発進する際や高速
走行時のようにエンジンが発生する大きな駆動力が作用
する場合や、アイドリング時や一定の低速走行時のよう
に小さなエンジン負荷が作用する場合がある。そこで、
振動減衰手段としての前記ビスカスカップリングには、
エンジン負荷が大きい状態で相対回転振動が発生する際
にも、エンジン負荷が小さい状態で相対回転振動が発生
する際にも最適な減衰力を作用させて振動を吸収するこ
とができる振動減衰特性が求められる。
【0007】しかしながら、上記の如きビスカスカップ
リングは、単に差し込みボスとライニング支持板との間
の相対角速度に比例した粘性流体の剪断抵抗による減衰
力を発生するのみで、エンジン負荷の変化に応じた減衰
力を発生することはできない。この為、エンジン負荷が
大きい状態で大きな減衰力が得られるように前記ビスカ
スカップリングを設定した場合には、エンジン負荷が小
さい状態では減衰力が大き過ぎて振動を伝達してしま
い、逆にエンジン負荷が小さい状態で充分な減衰力が得
られるように前記ビスカスカップリングを設定した場合
には、エンジン負荷が大きい状態では減衰力が小さくて
振動を充分に減衰することができず、クラッチディスク
の良好な振動減衰を行うことができなくなってしまうと
いう問題があった。
【0008】また、上記ビスカスカップリングの作動室
内で差し込みボス又はライニング支持板とそれぞれ回転
方向に係合する各プレートには、各プレート間に粘性流
体を行き渡らせるための開口が設けられている。そし
て、ビスカスカップリングが高温になった際に粘性流体
の体積の膨張を吸収できるように、上記作動室内には粘
性流体と共に少量の空気が封入されているが、該ビスカ
スカップリングが作動すると前記開口内の圧力がプレー
ト表面間の圧力よりも低くなるため、この空気は気泡状
となって該開口内に集まる。そこで、この空気はビスカ
スカップリングの作動に伴って該開口内からプレート表
面の周方向に流出して、プレート間にエアフィルムとし
て介在する。
【0009】しかしながら、図9に示すように、従来の
ビスカスカップリング90においては、例えばアウター
プレート91に設けられている開口92が半径方向に延
びるスリット状を有しているので、前記エアフィルムA
は該開口92の半径方向外側や半径方向内側に位置して
安定しない。そして、エアフィルムAの部分には粘性流
体が存在しないから、エアフィルムAに対応したプレー
ト間には粘性流体の剪断抵抗に基づく減衰力が作用しな
い。
【0010】そこで、エアフィルムAの位置が半径方向
に安定しないことによってビスカスカップリングが発生
する減衰力の大きさも安定せず、従来のクラッチディス
クに設けられた振動減衰手段としてのビスカスカップリ
ングにおいては、その減衰力の大きさが安定しないとい
う問題があった。従って、本発明の目的は上記課題を解
消することに係り、クラッチディスクの差し込みボスと
ライニング支持板との間に生じる相対回転振動の減衰力
をクラッチディスクに作用する負荷の大きさに応じて変
化させることができると共に、減衰力の安定性に優れた
良好な振動減衰手段を備えた車両用クラッチディスクを
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、差
し込みボスと一体に回転するハウジングと、クラッチラ
イニングを支持するライニング支持板と、これらハウジ
ングとライニング支持板との間に介装されてトルク伝達
可能なトーションスプリングと、該トーションスプリン
グの振動を減衰可能な振動減衰手段とを備えた車両用ク
ラッチディスクにおいて、前記振動減衰手段が、前記差
し込みボスと前記ライニング支持板の間に形成されて粘
性流体を封入された作動室と、該作動室内で交互に配置
されて前記差し込みボス及び前記ライニング支持板とそ
れぞれ回転方向に係合された一対のプレート組とを備
え、これら一対のプレート組はそれぞれ所定角度範囲を
もって円周方向に延びる複数の開口部が同一円周上に配
設されると共に半径方向に沿って並設されており、前記
トーションスプリングに加わる負荷の増大に伴って相対
移動する互いの相対回転角度に応じて隣接する各プレー
ト間のラップ面積が増大するように構成されていること
を特徴とする車両用クラッチディスクにより達成され
る。
【0012】尚、所定角度範囲をもって円周方向に延び
る前記開口部としては、円周方向に沿って延びる長孔
や、円周方向に沿って並べられた複数の円孔からなる円
孔群等を用いることができる。又、前記開口部をそれぞ
れプレート中心線に対して非対称な形状とすることによ
り、相対移動する互いの相対回転角度に応じて隣接する
各プレート間のラップ面積を連続的に変化させることが
できる。
【0013】
【作用】上記構成によれば、クラッチディスクに入力さ
れる駆動力が増減するにつれて、トーションスプリング
の撓み量が変化して各プレート組の相対回転角度が増減
する。そこで、トーションスプリングの撓み量が小さく
各プレート組の相対回転角度が小さい時には、隣合う各
プレートの開口部同士が互いに大きく重なり合わないの
で、隣合うプレート間において粘性流体の剪断抵抗を発
生させる各プレート間のラップ面積が小さく、得られる
減衰力が小さくなる。反対に、トーションスプリングの
撓み量が大きく各プレート組の相対回転角度が大きい時
には、隣合う各プレートの開口部同士が互いに大きく重
なり合い、粘性流体の剪断抵抗を発生させる各プレート
間のラップ面積が増大されるので、得られる減衰力が大
きくなる。
【0014】更に、円周方向に延びる前記開口部が同一
円周上に配設されると共に半径方向に沿って並設されて
いるので、該開口部により捕捉された作動室内の空気の
気泡は隣接する各プレート間のプレート面を周方向に沿
って流れ、エアフィルムを形成する。従って、前記エア
フィルムは前記開口部が形成されたプレート半径位置の
周方向に沿ったプレート面上にのみ生成されて他のプレ
ート面上には広がらないので、エアフィルム生成部のプ
レート対向面積が小さくなり、粘性流体のプレート対向
面積が大きくなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例に基づく車両用クラ
ッチディスクを添付図面に基づいて詳細に説明する。ま
ず、図1を用いて本第1実施例における車両用クラッチ
ディスク10の構造について説明する。
【0016】車両用クラッチディスク10は、差し込み
ボス11と一体に回転するハウジング12と、クラッチ
ライニング15を支持するライニング支持板14と、こ
れらハウジング12とライニング支持板14との間に介
装されてトルク伝達可能なトーションスプリング18
と、該トーションスプリング18の振動を減衰可能な振
動減衰手段であるビスカスカップリング20とを備えて
いる。
【0017】前記差し込みボス11は、その内周面に設
けられたスプライン11aが図示されない変速機の入力
軸と回転方向に係合されるとともに、その外周面に設け
られたスプライン11bには後述するハウジング12と
ビスカスカップリング20のインナープレート24とが
回転方向に係合される。尚、本第1実施例におけるイン
ナープレート24は、スプライン11bに外嵌される内
継手部材22を介して該スプライン11bとスプライン
嵌合されている。
【0018】前記ハウジング12は、一対の円環状の板
材を互いに同軸となるように重ね合わせると共に、その
半径方向内周部分がビスカスカップリング20を収納す
べく軸線方向へ拡げられており、外周部分は後述するラ
イニング支持板14を移動可能に挟装すべく重ね合わさ
れている。そして、その半径方向内周端部は前記差し込
みボス11の外側のスプライン11bの両端末近傍にス
プライン嵌合されるとともに、スナップリング13によ
り抜け止めされている。
【0019】前記ライニング支持板14は略円環状の板
材とされ、その外周側部分には図示されないエンジンの
フライホイールに押圧されるクラッチライニング15が
リベット16により固定されている。また、その内周側
部分は前記内継手部材22に相対回転自在に外嵌されて
作動室21を画成する外継手部材23の一部を構成して
おり、その内周面にはスプラインが形成されている。
【0020】更に、このライニング支持板14は前記ハ
ウジング12に対して相対回転可能に挟装されている
が、該ライニング支持板14の周方向に延びるように設
けられた長穴19には、スリーブ17によってライニン
グ支持板14を押圧しないように前記ハウジング12に
かしめられたリベット28が挿通されており、前記ハウ
ジング12に対するこのライニング支持板14の相対回
転角度は、正逆回転方向に定められた範囲内に限定され
ている。
【0021】また、前記ハウジング12と前記ライニン
グ支持板14の間には、駆動力を伝達するとともに、前
記クラッチライニング15がエンジンのフライホイール
に当接された時の回転方向の衝撃を吸収するためのトー
ションスプリングであるコイルばね18が介装されてい
る。該コイルばね18は、互いに対応してハウジング1
2とライニング支持板14の周方向に等間隔に設けられ
た窓29内に受容されている。
【0022】次に、本第1実施例の車両用クラッチディ
スク10における振動減衰手段であるビスカスカップリ
ング20について説明する。該ビスカスカップリング2
0は、前記内継手部材22と外継手部材23とにより画
成されてローリングパッキン27により密封された作動
室21内に、薄板を円環状に打ち抜いて成形された複数
のインナープレート24及びアウタープレート25を交
互に配置すると共にシリコンオイル等の粘性流体を封入
している。
【0023】前記インナープレート24は内周部がスプ
ラインを介して前記内継手部材22と回転方向に係合さ
れ、ハウジング12と一体的に回転する。前記アウター
プレート25は外周部がスプラインを介して前記外継手
部材23と回転方向に係合され、ライニング支持板14
と一体的に回転する。又、これらインナープレート24
及びアウタープレート25には、図2に示すように、所
定角度範囲をもって円周方向に延びる複数の開口部であ
る長孔33及び長孔34がそれぞれ同一円周上に等間隔
に配設されると共に半径方向に沿って並設されている。
【0024】そして、隣接する各インナープレート24
及びアウタープレート25のこれら長孔33及び長孔3
4は、前記ハウジング12に対する前記ライニング支持
板14の相対回転位置が図2に示す初期位置の時には互
いに重なり合うことがなく、ハウジング12に対してラ
イニング支持板14が正逆回転方向に相対的に回転する
に連れて、隣接する長孔33及び長孔34が次第に重な
り合うように配置されている。
【0025】次に、上記ビスカスカップリング20の作
動について説明する。まず、車両用クラッチディスク1
0に入力する駆動力が小さい場合は、前記クラッチハウ
ジング12と前記ライニング支持板14との間に介装さ
れたコイルばね18の弾性付勢力により、前記クラッチ
ハウジング12及び前記ライニング支持板14の相対回
転位置はほぼ初期位置であり、相対回転角度は小さい。
そこで、図2に示すように、前記インナープレート24
に設けられた長孔33とアウタープレート25に設けら
れた長孔34とは互いに重なり合うことがない。
【0026】これに対して、車両用クラッチディスク1
0に大きな駆動力が入力されると、前記クラッチハウジ
ング12と前記ライニング支持板14は、両者の間に介
装されている前記コイルばね18を圧縮して相対的に回
転し、両部材の相対回転角度が最大値θとなる。これに
伴い、図3に示すように前記インナープレート24とア
ウタープレート25の相対回転角度もθとなるから、前
記インナープレート24に設けられた長孔33とアウタ
ープレート25に設けられた長孔34とは互いに重なり
合う。
【0027】これにより、長孔33と長孔34とが互い
に重なり合う場合は、重なり合わない場合に比べて粘性
流体の剪断抵抗を発生させる各プレート間のラップ面積
が大きくなるから、得られる減衰力が大きいものとな
る。従って、前記ビスカスカップリング20は、車両用
クラッチディスク10に入力する駆動力が大きくなる
と、隣接する前記インナープレート24と前記アウター
プレート25のラップ面積が増加し、粘性流体の剪断抵
抗が増加して減衰力が大きくなる。反対に、車両用クラ
ッチディスク10に入力する駆動力が小さいと、前記イ
ンナープレート24と前記アウタープレート25のラッ
プ面積が減少し、粘性流体の剪断抵抗が減少して減衰力
が小さくなる。
【0028】すなわち、本第1実施例の車両用クラッチ
ディスク10は、入力される負荷に応じてビスカスカッ
プリング20の減衰力が変化するので、差し込みボス1
1とライニング支持板14との間に生じる相対回転振動
の減衰力を車両の走行条件に応じて常に最適とすること
ができる。例えば、車両が発進する時や高速走行時のよ
うに大きな駆動力が前記車両用クラッチディスク10に
入力されてクラッチ振動が始まった場合には、ビスカス
カップリング20が大きな減衰力を発生して発進に伴う
振動を早期に減衰させることができる。また、一定の低
速走行時のように駆動力が大きくはないが、エンジンの
トルク変動により変速機が共振して車内にこもり音が発
生する場合等にも、最適な減衰力によりクラッチ振動を
吸収して不快なこもり音を低減させることができる。
【0029】更に、図8に模式的に示すように、例えば
アウタープレート25に設けられている複数の長孔34
に捕捉されて溜まった気泡状の空気は、ビスカスカップ
リング20の作動によりアウタープレート25のプレー
ト面を周方向に沿って漏れだしてエアフィルムAを形成
するが、各々の長孔34は半径方向に幅が狭くかつ周方
向に延びるように成形され、同一円周上に配設されると
共に半径方向に沿って並設されている。そこで、該長孔
34により捕捉されて溜まった気泡状の空気は、隣接す
る各プレート間のプレート面を周方向に沿って流れ、エ
アフィルムAを形成するが、該エアフィルムAは前記長
孔34が形成されたプレート半径位置の周方向に沿った
プレート面上にのみ生成されて他のプレート面上には広
がらないので、エアフィルム生成部のプレート対向面積
が小さくなり、粘性流体のプレート対向面積が大きくな
ると共に、エアフィルムAの位置は半径方向に変位した
りすることなく安定し、本第1実施例のビスカスカップ
リング20が発生する減衰力はエアフィルムAの位置の
影響を受けて不安定になることがない。
【0030】尚、前記各プレートに形成される開口部
は、上記実施例の形状や数に限らず、種々の形状を採り
うることは言うまでもない。図4及び図5に示した本発
明の第2実施例に基づく車両用クラッチディスクの振動
減衰手段であるビスカスカップリング40は、上記実施
例のビスカスカップリング20におけるインナープレー
ト24及びアウタープレート25に代えてインナープレ
ート41及びアウタープレート42を用いた以外はすべ
て同一である。
【0031】図4に示すように、本第2実施例のビスカ
スカップリング40におけるインナープレート41に
は、所定角度範囲をもって円周方向に延びる図中反時計
回り方向に先細の略三角形状の開口45、及び図中時計
回り方向に先細の略三角形状の開口46が、それぞれ同
一円周上に等間隔に配設されると共に半径方向に沿って
並設されている。また、アウタープレート42にも全く
同様に、所定角度範囲をもって円周方向に延びる図中反
時計回り方向に先細の略三角形状の開口47、及び図中
時計回り方向に先細の略三角形状の開口48が、それぞ
れ同一円周上に等間隔に配設されると共に半径方向に沿
って並設されている。即ち、インナープレート41及び
アウタープレート42のこれら開口45,46及び開口
47,48は、それぞれプレート中心線に対して非対称
な形状とされている。
【0032】そして、隣接する各インナープレート41
及びアウタープレート42のこれら開口45,46及び
開口47,48は、前記ハウジング12に対する前記ラ
イニング支持板14の相対回転位置が図4に示す初期位
置の時には互いに重なり合うことがなく、ハウジング1
2に対してライニング支持板14が正逆回転方向に相対
的に回転するに連れて、図5に示すように隣接する開口
45,46及び開口47,48が、その略三角形状の開
口の先細の部分から次第に重なり合うように配置されて
いる。
【0033】これにより、インナープレート41に対す
るアウタープレート42の正逆回転方向の相対回転角度
が増加するにつれて、隣合う各プレート間のラップ面積
は連続的にゆっくりと増加するから、ビスカスカップリ
ング40は差し込みボス11とライニング支持板14と
の間に生じる減衰力が連続的にゆっくりと増加する特性
に設定される。
【0034】図6及び図7に示した本発明の第3実施例
に基づく車両用クラッチディスクの振動減衰手段である
ビスカスカップリング50は、上記第2実施例のビスカ
スカップリング40におけるインナープレート41及び
アウタープレート42に代えてインナープレート51及
びアウタープレート52を用いた以外はすべて同一であ
る。
【0035】すなわち、図6に示すように、本第3実施
例のビスカスカップリング50におけるインナープレー
ト51には、所定角度範囲をもって円周方向に延びる開
口部として、円周方向に沿って並べられた直径の大きさ
が図中時計回り方向に小さくなる複数の円孔からなる円
孔群53、及び図中反時計回り方向に小さくなる複数の
円孔からなる円孔群54が、それぞれ同一円周上に等間
隔に配設されると共に半径方向に沿って並設されてい
る。また、アウタープレート52にも全く同様に、所定
角度範囲をもって円周方向に延びる開口部として、円周
方向に沿って並べられた直径の大きさが図中時計回り方
向に小さくなる複数の円孔からなる円孔群55、及び図
中反時計回り方向に小さくなる複数の円孔からなる円孔
群56が、それぞれ同一円周上に等間隔に配設されると
共に半径方向に沿って並設されている。即ち、インナー
プレート51及びアウタープレート52のこれら円孔群
53,54及び円孔群55、56は、それぞれプレート
中心線に対して非対称な形状とされている。
【0036】そして、隣接する各インナープレート51
及びアウタープレート52のこれら円孔群53,54及
び円孔群55、56は、前記ハウジング12に対する前
記ライニング支持板14の相対回転位置が図6に示す初
期位置の時には互いに殆ど重なり合うことがなく、図7
に示すようにハウジング12に対してライニング支持板
14が正逆回転方向に相対的に回転した時には、その直
径の小さい円孔から次第に重なり合うように配置されて
いる。
【0037】これにより、インナープレート51に対す
るアウタープレート52の正逆回転方向の相対回転角度
が増加するにつれて、開口部53および開口部54が、
その直径の小さい円孔から次第に重なり合うので、隣合
うプレート間において粘性流体の剪断抵抗を発生させる
各プレート間のラップ面積は連続的にゆっくりと増加
し、ビスカスカップリング50は差し込みボス11とラ
イニング支持板14との間に生じる減衰力が連続的にゆ
っくりと増加する特性に設定される。
【0038】尚、本発明の車両用クラッチディスクは、
上記各実施例における構成及び各構成部品の形状に限定
されるものではなく、例えばハウジング、ライニング支
持板、トーションスプリング及び各プレート組等は、本
発明の主旨に基づいて種々の形態を採りうる。更に、差
し込みボス及びライニング支持板にそれぞれ各プレート
組を回転方向に係合させる係合手段も上記実施例の如き
スプライン結合に限らず、又、各プレート組がそれぞれ
差し込みボス及びライニング支持板と一体的に回転可能
であれば、直接的な係合でも間接的な係合でも良い。
【0039】
【発明の効果】本発明の車両用クラッチディスクによれ
ば、クラッチディスクに入力される駆動力が小さくてト
ーションスプリングの撓み量が小さい場合には、差し込
みボスとライニング支持板との間に配設されたビスカス
カップリングの各プレート組における隣接したプレート
同士のラップ面積が小さく、該ビスカスカップリングの
減衰力は小さくなる。又、クラッチディスクに入力され
る駆動力が大きくてトーションスプリングの撓み量が大
きい場合には、前記各プレート組の隣接したプレート同
士のラップ面積が大きくなり、該ビスカスカップリング
の減衰力は大きくなる。
【0040】そこで、クラッチディスクに入力される負
荷に応じてビスカスカップリングの減衰力が変化し、差
し込みボスとライニング支持板との間に生じる相対回転
振動の減衰力を車両の走行条件に応じて常に最適とする
ことができる。また、円周方向に延びる開口部が同一円
周上に配設されると共に半径方向に沿って並設されてい
るので、該開口部により捕捉された作動室内の空気の気
泡は隣接する各プレート間のプレート面を周方向に沿っ
て流れ、エアフィルムを形成する。
【0041】そこで、前記エアフィルムは前記開口部が
形成されたプレート半径位置の周方向に沿ったプレート
面上にのみ生成されて他のプレート面上には広がらない
ので、エアフィルム生成部のプレート対向面積が小さく
なり、粘性流体のプレート対向面積が大きくなると共
に、エアフィルムの位置は半径方向に変位したりするこ
となく安定する。
【0042】従って、クラッチディスクの差し込みボス
とライニング支持板との間に生じる相対回転振動の減衰
力をクラッチディスクに作用する負荷の大きさに応じて
変化させることができると共に、減衰力の安定性に優れ
た良好な振動減衰手段を備えた車両用クラッチディスク
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に基づく車両用クラッチデ
ィスクの部分断面側面図である。
【図2】図1に示した車両用クラッチディスクのビスカ
スカップリング作動状態を説明するための要部正面断面
図である。
【図3】図1に示した車両用クラッチディスクのビスカ
スカップリング作動状態を説明するための要部正面断面
図である。
【図4】本発明の第2実施例に基づく車両用クラッチデ
ィスクのビスカスカップリング作動状態を説明するため
の要部正面断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に基づく車両用クラッチデ
ィスクのビスカスカップリング作動状態を説明するため
の要部正面断面図である。
【図6】本発明の第3実施例に基づく車両用クラッチデ
ィスクのビスカスカップリング作動状態を説明するため
の要部正面断面図である。
【図7】本発明の第3実施例に基づく車両用クラッチデ
ィスクのビスカスカップリング作動状態を説明するため
の要部正面断面図である。
【図8】図3に示した車両用クラッチディスクのビスカ
スカップリングにおけるエアフィルム生成状態を示す要
部正面断面図である。
【図9】従来の車両用クラッチディスクのビスカスカッ
プリングにおけるエアフィルム生成状態を示す要部正面
断面図である。
【符号の説明】
10 車両用クラッチディスク 11 差し込みボス 12 ハウジング 14 ライニング支持板 15 クラッチライニング 18 コイルばね 20 ビスカスカップリング 21 作動室 22 内継手部材 23 外継手部材 24 インナープレート 25 アウタープレート 33 長孔 34 長孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 13/64 F16F 15/16 F16D 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差し込みボスと一体に回転するハウジン
    グと、クラッチライニングを支持するライニング支持板
    と、これらハウジングとライニング支持板との間に介装
    されてトルク伝達可能なトーションスプリングと、該ト
    ーションスプリングの振動を減衰可能な振動減衰手段と
    を備えた車両用クラッチディスクにおいて、 前記振動減衰手段が、前記差し込みボスと前記ライニン
    グ支持板の間に形成されて粘性流体を封入された作動室
    と、該作動室内で交互に配置されて前記差し込みボス及
    び前記ライニング支持板とそれぞれ回転方向に係合され
    た一対のプレート組とを備え、これら一対のプレート組
    はそれぞれ所定角度範囲をもって円周方向に延びる複数
    の開口部が同一円周上に配設されると共に半径方向に沿
    って並設されており、 前記トーションスプリングに加わる負荷の増大に伴って
    相対移動する互いの相対回転角度に応じて隣接する各プ
    レート間のラップ面積が増大するように構成されている
    ことを特徴とする車両用クラッチディスク。
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