JP3542019B2 - 電界発光灯 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は液晶のバックライト等に好適する電界発光灯に関し、特に、リード接続部の補強強度を向上させた信頼性の高い電界発光灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電界発光灯30は、例えば図6の要部斜視図に示す構造を有し、図7に示す工程により製造されている。すなわち、図6、図7において、PET等の透明フィルム31上にITO等の透明電極32が蒸着、スパッタ等により形成され(図7(a))、透明電極32上に集電体形成領域32aを除く形状で、防湿コーティングしたZnS蛍光体を樹脂バインダ中に分散させた発光層33がスクリーン印刷等で形成され(図7(b))、発光層33上にこれと同一形状でチタン酸バリウム粉を樹脂バインダ中に分散させた反射絶縁層34が印刷形成され(図7(c))、反射絶縁層34の延在部(裏面電極側リード形成領域)の上に樹脂からなる絶縁層35が印刷形成されている(図7(d))。反射絶縁層34上にこれより小さい形状でカーボンからなる裏面電極36が印刷形成され、裏面電極36の一部は絶縁層35上へ延在され、裏面電極側リード接続部36aとなっている(図7(e))。また、透明電極32上の集電体形成領域32aには、カーボン、銀等の集電体37が形成されている。集電体37がカーボンの場合は、裏面電極36と同時にスクリーン印刷できる。集電体37が銀等の場合は、裏面電極36と別工程で形成される。次いで、透明電極側リード接続部37aと裏面電極側リード接続部36aを露出させる形状で、樹脂からなるオーバーコート層38が印刷形成される(図7(f))。次いで、リード39、40が導電性接着剤を介してそれぞれ透明電極側リード接続部37a、裏面電極側リード接続部36aに熱圧着して接続される(図7(g))。最後に、透明電極側リードと裏面電極側リードの各形成領域、及びオーバコート層38の周縁凸部38a、38b上にまたがって絶縁性のヒートシールテープ41が接着剤層(図示しない)を介して熱圧着され(図7(h))、電界発光灯30を得る。なお、ヒートシールテープ41は、リード39、40の接続強度を向上させるための補強手段である。ところで、絶縁層35は、裏面電側リード接続部周辺の発光層の不要発光を防止するために、また、電極間の絶縁低下を防止するために必要なものであり、ポリエステル、エポキシ等の比誘電率が5以下の低比誘電率材料が好適する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来の電界発光灯30では、オーバコート層38は樹脂であり表面が滑らかであるため、オーバコート層38の周縁凸部38a、38bに対するヒートシールテープ41の接着強度が弱く、さらに裏面電極側リードの周辺でも、樹脂からなる絶縁層35とヒートシールテープ41が接するので、ヒートシールテープ41の接着強度が弱いという問題があった。このため、リード接続に対するヒートシールテープ41による補強効果が不十分となり、リード39、40が外れやすいという問題があった。また、ヒートシールテープ41の下地にあらかじめ接着剤層を形成しておくことにより、ヒートシールテープ41の接着強度を向上できるが、材料、工数がかかりコストが増加するという問題もあった。また、絶縁層35の段差で裏面電極のカーボンが断線するという問題もあった。
【0004】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その主たる目的はヒートシールテープの接着強度を向上させて、リードの接続強度を補強し、リードの剥離を防止した安価で信頼性の高い電界発光灯を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界発光灯は、透明電極上に集電体が形成され、該集電体を回避した形状で透明電極上に発光層、反射絶縁層、裏面電極が積層して形成され、前記集電体と前記裏面電極とにリードが接続された電界発光灯において、前記集電体、両リード接続部、前記裏面電極のリード接続部周辺の反射絶縁層を回避した形状で樹脂からなるオーバーコート層が形成され、前記オーバーコート層が形成されていない領域に絶縁性ヒートシールテープが熱圧着されるとともに、前記ヒートシールテープが熱圧着される領域における前記反射絶縁層の延在部から前記裏面電極側リード接続部を引いた面積が前記裏面電極側リード接続部の面積よりも大きく、前記集電体の面積が前記透明電極の集電体形成領域から前記集電体を引いた面積よりも大きいことを特徴とする。この構成により、ヒートシールテープの下地が樹脂からなるオーバーコート層よりも接着強度の大きい材料で構成されるので、新規に接着剤層を介在させることなくヒートシールテープの接着強度を向上できる。すなわち、裏面電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が最も大きい反射絶縁層の面積が大きくなるとともに、透明電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が反射絶縁層に次いで大きい集電体の面積が大きくなるので、この結果、リードの接続強度が補強され、リードの剥離が防止された信頼性の高い安価な電界発光灯を提供することができる。
【0006】
また、本発明の電界発光灯は、透明電極上に集電体が形成され、該集電体を回避した形状で透明電極上に発光層、反射絶縁層、裏面電極が積層して形成され、これらの発光層、反射絶縁層、裏面電極はあらかじめ透明電極の裏面電極側リード周辺部に形成された絶縁層上に延在して形成されており、前記集電体と前記裏面電極とにリードが接続された電界発光灯において、前記集電体、両リード接続部、前記裏面電極のリード接続部周辺の反射絶縁層を回避した形状で樹脂からなるオーバーコート層が形成され、前記オーバーコート層が形成されていない領域に絶縁性ヒートシールテープが熱圧着されるとともに、前記ヒートシールテープが熱圧着される領域における前記反射絶縁層の延在部から前記裏面電極側リード接続部を引いた面積が前記裏面電極側リード接続部の面積よりも大きく、前記集電体の面積が前記透明電極の集電体形成領域から前記集電体を引いた面積よりも大きいことを特徴とする。この構成により、裏面電極側リード接続部周辺の発光層の不要発光を防止できると共に、裏面電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が最 も大きい反射絶縁層の面積が大きくなるとともに、透明電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が反射絶縁層に次いで大きい集電体の面積が大きくなるので、リードの接続強度が補強され、リードの剥離が防止された信頼性の高い安価な電界発光灯を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の電界発光灯の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の電界発光灯1の構造を示す要部斜視図であり、図2は製造工程の一例を示す要部平面図である。図1、図2において、厚さ75〜188μmのPET等の透明フィルム2上に、厚さ数千nmのITOからなる透明電極3が蒸着、スパッタ等により形成され(図2(a))、透明電極3の一部(裏面電極側リード形成領域)にエポキシ樹脂等の低比誘電率の絶縁層4が厚さ10〜30μm印刷形成されている(図2(b))。絶縁層4は、裏面電極側リード周辺部の不要発光を防止するため、及び発光層、反射絶縁層の下地を強固にするために形成される。透明電極3上に集電体形成領域3aを除く形状で、防湿コーティングしたZnS蛍光体(例えば、SYLVANIA蛍光体Type20)を樹脂バインダ中に分散させた厚さ30〜50μmの発光層5がスクリーン印刷等で形成され、発光層5の一部は絶縁層4上へ延在されている(図2(c))。絶縁層4と重なる部分の発光層5の形状は絶縁層4よりも若干小さめである。これは発光層5の延在部が発光しないようにするためである。発光層5上にチタン酸バリウム粉を樹脂バインダ中に分散させた厚さ10〜30μmの反射絶縁層6が発光層と同一形状で印刷形成され、反射絶縁層6の一部も絶縁層4上へ延在されている(図2(d))。反射絶縁層6上にこれより小さい形状でカーボンペーストからなる厚さ10〜30μmの裏面電極7が印刷形成され、裏面電極7の一部は延在され、裏面電極側リード接続部7aとなっている。反射絶縁層6の延在部6aは、裏面電極側リード接続部7aよりも十分に面積が大きい。この構成の効果については後で説明する。透明電極3上の集電体形成領域3aには、カーボンペースト、銀ペースト等からなる厚さ10〜30μmの集電体8が形成されている。集電体8がカーボンペーストの場合は、裏面電極7と同時にスクリーン印刷できる。集電体8が銀の場合は、裏面電極7と別工程で形成される(図2(e))。次いで、集電体形成領域3a、集電体8、透明電極側リード接続部8a、反射絶縁層延在部6a、裏面電極側リード接続部7aを回避してこれらを露出させる形状で、ポリエステル等の樹脂からなる厚さ10〜30μmのオーバーコート層9が印刷形成される(図2(f))。次いで、リード39、40が導電性接着剤を介してそれぞれ透明電極側リード接続部8a、裏面電極側リード接続部7aに熱圧着して接続される(図2(g))。リード接続部7a、8aがカーボンペーストの場合、カーボンペースト上の一部に銀ペーストからなる導電ランドを形成し、この導電ランド上にリードを接続してもよい。最後に、オーバーコート層9が形成されず露出している集電体形成領域3a、集電体8、透明電極側リード接続部8a、反射絶縁層延在部6a、裏面電極側リード接続部7a、リード39、40上にまたがって絶縁性のヒートシールテープ10(例えば、商品名TC7907N、ソニーケミカル(株)製)が熱圧着され(図2(h))、電界発光灯1が完成する。
【0008】
次に、図3、図4、図5は、それぞれ図2(h)に示す本発明の電界発光灯の平面図のA−A線、B−B線、C−C線に沿う要部拡大断面図である。図3に示すように、集電体形成領域では、ヒートシールテープ10の接着面は、ITO等の透明電極3とカーボン等の集電体8とに接着している。また、図4に示すように、裏面電極側リード接続部では、ヒートシールテープ10の接着面は、カーボン等の裏面電極7とリード40とに接着している。
また、図5に示すように、反射絶縁層延在部6aでは、ヒートシールテープ10の接着面は、反射絶縁層6に接着している。このように、本発明の電界発光灯1の特徴は、ヒートシールテープ10の接着面の大部分が、樹脂からなるオーバーコート層9とは接着せず、オーバーコート層9よりも接着強度の大きい反射絶縁層、カーボン等の裏面電極、集電体、ITO等の透明電極等と接着していることである。ヒートシールテープ10の接着強度は下地の材料によって異なり、概略、樹脂(オーバーコート層)<ITO<カーボン、銀<反射絶縁層の順で大きくなる。したがって、本発明の電界発光灯1は、従来の電界発光灯30に比べてヒートシールテープの接着強度が大きいので、リードの接着を補強する効果が大きく、リードの剥がれを防止できるのである。
【0009】
ヒートシールテープの補強効果を大きくするためには、ヒートシールテープと接着する反射絶縁層の面積を大きくすることが望ましい。したがって、図2(e)、(f)において、反射絶縁層延在部6aの面積は、裏面電極側リード接続部7aの面積よりも極力大きくすることが望ましい。同様に、集電体8の面積は、集電体形成領域3aの面積よりも極力大きくすることが望ましい。
【0010】
ところで、絶縁層4は、裏面電極側リード接続部周辺すなわち反射絶縁層延在部6aの発光層の不要発光を防止するために必要なものであり、エポキシ等の比誘電率が5以下の低比誘電率材料が好適する。従来の電界発光灯では、同様の効果を得るために図6、図7に示したように、反射絶縁層延在部を絶縁層35で被覆していたが、この構造ではヒートシールテープの接着面が絶縁層35と接するためにヒートシールテープの接着強度が低下するという問題があった。本発明では、発光層5と透明電極3との間に発光層延在部より若干はみ出して絶縁層4を形成するので、ヒートシールテープ10が絶縁層4のはみ出し部と接する面積は極めて小さく、ヒートシールテープ10の接着強度を向上できる。さらに、絶縁層4を発光層5の下層に形成したことにより、発光層5、反射絶縁層6の下地を強固にできるため、裏面電極側リード40を熱圧着する際に、発光層、反射絶縁層などが押圧されて薄くなり絶縁性が低下することを防止できる。また、熱圧着条件を高温、長時間に強化できるので、リードの接続強度をさらに向上できる。さらに、絶縁層4の段差が、その上に発光層、反射絶縁層を塗布することによって緩和されるので、段差での裏面電極のカーボン膜の断線を防止できる。
【0011】
【発明の効果】
本発明の電界発光灯は、透明電極上に集電体が形成され、該集電体を回避した形状で透明電極上に発光層、反射絶縁層、裏面電極が積層して形成され、前記集電体と前記裏面電極とにリードが接続された電界発光灯において、前記集電体、両リード接続部、前記裏面電極のリード接続部周辺の反射絶縁層を回避した形状で樹脂からなるオーバーコート層が形成され、前記オーバーコート層が形成されていない領域に絶縁性ヒートシールテープが熱圧着されるとともに、前記ヒートシールテープが熱圧着される領域における前記反射絶縁層の延在部から前記裏面電極側リード接続部を引いた面積が前記裏面電極側リード接続部の面積よりも大きく、前記集電体の面積が前記透明電極の集電体形成領域から前記集電体を引いた面積よりも大きいことを特徴とする。この構成により、ヒートシールテープの下地が樹脂からなるオーバーコート層よりも接着強度の大きい材料で構成されるので、ヒートシールテープの接着強度が向上する。すなわち、裏面電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が最も大きい反射絶縁層の面積が大きくなるとともに、透明電極のリード接続部周辺ではヒートシールテープとの接着強度が反射絶縁層に次いで大きい集電体の面積が大きくなるので、この結果、リードの接続強度が補強され、リードの剥離が防止された信頼性の高い安価な電界発光灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の電界発光灯の要部組立斜視図
【図2】図1の電界発光灯の製造方法を説明するための平面図
【図3】図2(h)のA−A線に沿う要部拡大断面図
【図4】図2(h)のB−B線
に沿う要部拡大断面図
【図5】図2(h)のC−C線に沿う要部拡大断面図
【図6】従来の電界発光灯の要部組立斜視図
【図7】図6の電界発光灯の製造方法を説明するための平面図
【符号の説明】
1 電界発光灯
2 透明フィルム
3 透明電極
4 絶縁層
5 発光層
6 反射絶縁層
7 裏面電極
8 集電体
9 オーバーコート層
10 ヒートシールテープ
39、40 リード
Claims (2)
- 透明電極上に集電体が形成され、該集電体を回避した形状で透明電極上に発光層、反射絶縁層、裏面電極が積層して形成され、前記集電体と前記裏面電極とにリードが接続された電界発光灯において、前記集電体、両リード接続部、前記裏面電極のリード接続部周辺の反射絶縁層を回避した形状で樹脂からなるオーバーコート層が形成され、前記オーバーコート層が形成されていない領域に絶縁性ヒートシールテープが熱圧着されるとともに、前記ヒートシールテープが熱圧着される領域における前記反射絶縁層の延在部から前記裏面電極側リード接続部を引いた面積が前記裏面電極側リード接続部の面積よりも大きく、前記集電体の面積が前記透明電極の集電体形成領域から前記集電体を引いた面積よりも大きいことを特徴とする電界発光灯。
- 透明電極上に集電体が形成され、該集電体を回避した形状で透明電極上に発光層、反射絶縁層、裏面電極が積層して形成され、これらの発光層、反射絶縁層、裏面電極はあらかじめ透明電極の裏面電極側リード周辺部に形成された絶縁層上に延在して形成されており、前記集電体と前記裏面電極とにリードが接続された電界発光灯において、前記集電体、両リード接続部、前記裏面電極のリード接続部周辺の反射絶縁層を回避した形状で樹脂からなるオーバーコート層が形成され、前記オーバーコート層が形成されていない領域に絶縁性ヒートシールテープが熱圧着されるとともに、前記ヒートシールテープが熱圧着される領域における前記反射絶縁層の延在部から前記裏面電極側リード接続部を引いた面積が前記裏面電極側リード接続部の面積よりも大きく、前記集電体の面積が前記透明電極の集電体形成領域から前記集電体を引いた面積よりも大きいことを特徴とする電界発光灯。
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