JP3541579B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式のプリンターにおいて用いられるインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット記録方式のプリンターに使用されているインクは、各種の色材を水または水と各種有機溶剤からなる媒体に溶解または分散させたものが知られている。カラー画像の再現のためにイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの各色のインクが実用化されている。
【0003】
インクジェット記録用インクとしては、記録ヘッド内のインク流路内で気泡が生じると記録画像にドット抜けが生じることから、消泡性に優れていることが要求される。消泡性に優れたインクを提供するために、例えば特開平6−256696号公報ではアセチレングリコール系の界面活性剤を使用することが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記公報記載のインクは、インクジェット記録用インクに要求される高い保存安定性、特に急激な温度変化に対する保存安定性を満足しない。また、表面張力、および粘度が温度に依存して変化し、印字の際のドット径のバラツキがある等、インクに要求される特性を十分達成しているとは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性が高く、印字の際のドット径のバラツキが小さいインクジェット記録用インクであって、実際の使用温度において温度依存性が小さいインクを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも色材、水溶性有機溶剤、水、およびインク全重量に対して式(A):
【化2】
(式中、R1〜R4は炭素原子数 1 〜 5 の低級アルキル基、lは2または3の整数、mおよびnは1以上の整数を表す)
で示されるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を0.01〜5.0重量%、NaOHとNaHCO3 との混合物およびNaOH とNa2B4O7 との混合物からなる群から選択される少なくとも1種の混合物を0.01〜2.0重量%含有する、インクジェット記録用インクを提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1〜R4は低級アルキル基、lは2または3の整数、mおよびnは1以上の整数を表す)
で示されるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を0.01〜5.0重量%、NaOHとNaHCO3およびNa2B4O7からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物を0.01〜5.0重量%含有する、インクジェット記録用インクを提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のインクに用いる色材としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料、分散染料、油溶性染料、建染染料、各種顔料等いずれも用いられるが、これらの中でも水溶性のものが好ましい。インク組成物中の色材の含有量は、色材とインク媒体成分の種類、インクに要求される特性等によって決まるが、一般にはインク中に0.5〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の範囲で含有させる。
【0010】
インクジェット記録用インクは、インクのにじみを抑制すると共に、インクジェット記録装置のノズル吐出性を安定させるため、インクの表面張力を一定範囲に調整する必要がある。通常、インクへ界面活性剤が添加されるが、本発明においては、界面活性剤として上記式(A)で示されるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物をインクに含有させることによって、インクの表面張力を30〜50dyn/cm(25℃)に調整する。式(A)界面活性剤は化合物自身の温度による変化が少ないため、これを使用することによって、インクの温度変化に対する表面張力および粘度の安定性が向上する。
【0011】
式(A)中、R1およびR2は同一の炭素原子数1〜5の低級アルキル基、好ましくは炭素原子数2〜4の低級アルキル基、特に好ましくはイソブチル基である。R3およびR4は同一の炭素原子数1〜5の低級アルキル基であり、好ましくはメチル基である。付加するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが好ましい。特に好ましくはエチレンオキサイドである。mおよびnは同一であっても異なっていてもよく、m+nは2〜60、好ましくは2〜30、さらに好ましくは6〜20である。
【0012】
アセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物としては、式(A)においてR1=R2=イソブチル、R3=R4=メチル、l=2である市販品、オルフィンE1004(m+n=3.5)(日信化学工業社製)、オルフィンE1010(m+n=10)(日信化学工業社製)およびサーフィノール485(m+n=30)(米国AIR PRODUCTS社製)が知られており、いずれも本発明のインクへ好適に用いられる。
【0013】
本発明のインクにはアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲で含有させる。0.01%より少ないと添加による安定性の増強という効果が不十分となり、5%より多いとインクの温度変化に対する安定性が低下するため好ましくない。
【0014】
本発明のインクは、NaOHとNaHCO3およびNa2B4O7からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物をインク全重量に対して0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%含有する。混合物中のNaOHとNaHCO3等との重量比は1:2〜1:50、好ましくは1:5〜1:30に調整することが好ましい。これらの混合物を添加することにより、従来技術では達成できなかった急激な温度変化に対する高い保存安定性および実際の使用温度内での温度変化に対する安定性が達成され、ノズルの目詰まりも解消される。また、従来技術において問題となっているドット径のばらつきが抑制される。
【0015】
本発明のインクに用いる水溶性有機溶剤は、好ましくは水酸基数3の多価アルコール、式:
OH(CxH2xO)yH
(式中、xおよびyは2≦xかつ2≦x×y≦6である整数を示す)
で示される(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール、該(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。
水酸基数3の多価アルコールとしてはグリセリンが例示される。
【0016】
(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のモノアルキレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジアルキレングリコール、トリエチレングリコール等のトリアルキレングリコールが例示される。水溶性有機溶剤として多価アルコールを用いる場合にはインク全量に対して、1〜20重量%、好ましくは6〜14重量%となるように添加するのが好ましく、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールを用いる場合には、インク全重量に対して1〜30重量%、好ましくは6〜14重量%となるように添加するのが好ましい。
【0017】
(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテルとしてはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル等が例示される。(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテルを含有させる場合にはインク全重量に対して1〜30重量%、特に4〜10重量%とすることが好ましい。
【0018】
本発明のインクに用いる水溶性有機溶剤は、好ましくは分子量150以上のポリアルキレングリコールを含有する。分子量150以上のポリアルキレングリコールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体が好適に用いられる。特に、分子量150〜600のポリエチレングリコールが好適に用いられる。ポリアルキレングリコールはインク全重量に対して2〜8重量%とすることが好ましい。
【0019】
上述の多価アルコール、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテルおよびポリアルキレングリコールを添加することによって、インクの保湿性が向上し、さらには粘度および表面張力の安定化にも役に立つ。多価アルコール、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテルおよびポリアルキレングリコールは、その合計量がインク全重量に対して10〜30重量%、好ましくは13〜25重量%となるように添加する。添加量が10重量%未満では上記効果を達成することができず、30重量%を越えて添加すればインクの粘性が高くなりすぎ、インク飛翔応答性や補給性が低下するとともに、定着速度も遅くなるため好ましくない。
【0020】
本発明のインクは、好ましくは脂肪族アルコールを含有する。脂肪族アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3のアルキルアルコールが用いられる。脂肪族アルコールはインク全重量の0.1〜15重量%、より好ましくは1〜6重量%添加する。脂肪族アルコールの添加により、インクの乾燥性が高まりインクの定着性が改善されるが、添加量が少なければこの効果が得られず、また15重量%を越えて添加するとノズルの目詰まり等の不都合が生じやすくなるため好ましくない。
【0021】
本発明のインクは、好ましくは両親媒性物質を含有する。両親媒性物質としては尿素、アミド、環式アミド、アルカノールアミン等が例示され、特にアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンが好ましい。両親媒性物質は、インク全重量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%含有させる。インクへ両親媒性物質を添加することにより、経時での結晶析出が防止され、インクの安定性が増加するが、添加量では0.01重量%未満では当該効果が得られず、また5重量%を越えて添加するとにじみが大きくなるため好ましくない。
【0022】
本発明のインクにはエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ金属塩を含有させることが好ましい。かかるエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ金属塩としては、ジナトリウム塩、トリナトリウム塩、テトラナトリウム塩等が例示されるが、特にテトラナトリウム塩が好ましい。エチレンジアミンテトラ酢酸塩の添加により、ノズル吐出口の目詰まりが防止され、温度や湿度等の環境変化に対するインクの安定性が向上する。エチレンジアミンテトラ酢酸塩はインク全重量に対して0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%含有させる。0.01重量%未満の場合には添加による効果が得られず、2重量%を越えて添加した場合にはインクの安定性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0023】
本発明のインクには上述の成分の他に必要じて公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては例えば抗カビ剤、防腐剤、pH調節剤、キレート剤、酸素吸収剤、妨錆剤、消光剤等が例示される。
本発明のインクは水を60〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%含有する。
【0024】
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録方式のプリンタであればどのような種類のものであっても適用することができる。本発明のインクは粘性および表面張力の温度依存性が極めて小さいため、ピエゾ方式を用いたインクジェット記録装置において飛翔電圧を変化させることにより吐出するインク径を変化させて階調再現を行うものに特に好適に用いることができる。
【0025】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されることはない。
【実施例】
以下記載の実施例および比較例の成分を混合し、十分に撹拌して溶解させた。得られた混合物を濾過した後、真空状態で1時間静置して脱泡処理してインクを調製した。なお、以下の実施例で用いたオルフィン−E1010(日信化学工業社製)は一般式(A)中、R1=R2=イソブチル、R3=R4=メチル、l=2、m+n=10である化合物である。
【0026】
実施例1
組成 組成比(重量%)
水 80.8
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.3
C.I.27755 (黒染料) 4.5
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 0.7
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
EDTA4Na 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン
(防かび剤) 0.1
エチルアルコール 2.0
【0027】
実施例2
組成 組成比(重量%)
水 83.9
トリエチレングリコールブチルエーテル 6.5
ポリエチレングリコール(#300) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.3
オルフィン−E1010(日信化学工業社製) 0.1
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
EDTA4Na 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
【0028】
実施例3
組成 組成比(重量%)
水 71.0
ジエチレングリコール 12.2
ポリエチレングリコール(#400) 4.0
C.I.27755 (黒染料) 5.5
オルフィン−E1010(日信化学工業) 4.5
N(CH2CH2OH)3 0.9
Na2B4O7/NaOH(19:1) 0.6
EDTA4Na 1.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
【0029】
実施例4
組成 組成比(重量%)
水 65.1
ジエチレングリコール 14.0
トリエチレンク゛リコールフ゛チルエーテル 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.19140 (イエロー染料) 2.6
オルフィン−E1010(日信化学工業) 2.8
N(CH2CH2OH)3 1.8
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.8
EDTA4Na 1.3
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
【0030】
実施例5
組成 組成比(重量%)
水 80.8
ジエチレングリコール 6.2
ポリエチレングリコール(#300) 4.3
C.I.45100 (マゼンタ染料) 2.5
オルフィン−E1010(日信化学工業) 1.2
N(CH2CH2OH)3 2.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.4
EDTA4Na 1.5
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
イソプロピルアルコール 0.8
【0031】
実施例6
組成 組成比(重量%)
水 84.8
トリエチレンク゛リコールフ゛チルエーテル 6.5
ポリエチレングリコール(#200) 4.2
C.I.74180 (シアン染料) 3.0
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 0.8
N(CH2CH2OH)3 0.2
Na2B4O7/NaOH(19:1) 0.2
EDTA4Na 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
【0032】
実施例7
組成 組成比(重量%)
水 80.5
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 0.8
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0033】
比較例1
組成 組成比(重量%)
水 81.3
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0034】
比較例2
組成 組成比(重量%)
水 75.8
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 5.5
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0035】
比較例3
組成 組成比(重量%)
水 80.5
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
ホ゜リエーテル変成シリコーンオイルTSF4452(東芝シリコーン社) 0.8
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 0.2
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0036】
比較例4
組成 組成比(重量%)
水 80.7
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 0.8
N(CH2CH2OH)3 0.2
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0037】
比較例5
組成 組成比(重量%)
水 77.7
ジエチレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール(#400) 4.5
C.I.27755 (黒染料) 4.5
オルフィン−E1010(日信化学工業社) 0.8
N(CH2CH2OH)3 0.2
NaHCO3/NaOH(19:1) 3.0
グルコン酸ナトリウム 0.2
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.1
エチルアルコール 2.0
【0038】
得られた実施例及び比較例のインクの25℃における表面張力、粘度およびpH、サーマルショックに対する保存性、および表面張力と粘度の温度依存性を調べた。また、得られたインクを実機に用いて印刷に供した場合の、ドット径のバラツキおよびノズル目詰について測定した。測定方法は以下の通りである:
【0039】
1)サーマルショックに対する保存性
ポリエチレン製ボトル内で25℃にて保存しているインクを、−20℃および50℃の各温度でそれぞれ1時間保持するサーマルショックを1日3回、1週間繰り返して与えた。その前後で粘度(25℃)を測定し、変化率を以下のようにランク付した。
〇:変化率5%以下、
△:変化率10%以下(実用上は問題が無い)、
×:変化率10%以上(使用できない)
【0040】
2)温度依存性
インクの10℃および35℃のそれぞれの温度における表面張力および粘性の変化率を測定した。変化率を1)と同様にランク付した。
【0041】
3)実機試験
エプソン社製インクジェットプリンタ(MJ−500)を用いた。
【0042】
ドット径バラツキ:
プリンタのヘッドへインクを充填し、100ドット印字した時の各ドット径のバラツキを測定した。測定は25℃、65%RHの条件でエプソン社製SF紙を用いて行った。
【0043】
ノズル目詰まりテスト:
高温、高湿(35℃、85%RH)下で100枚の使用するインクと同色のカラーチャート(20%被覆率テストチャート、A4)をエプソン社製SF紙に印字した。
印字後のノズルの目詰まりを顕微鏡で観察した。また、異物が付着したものについては、上記MJ−500に装備されているクリーニング用ゴムブレードによりノズルをクリーニングした。以下のように評価した:
〇:ノズル周辺の異物付着が無く、良好に使用できる。
△:ノズル周辺に異物付着はあるが、異物はクリーニングにより除かれた。印字性能には実質的な問題が無い。
×:ノズル周辺に異物付着が有り、ドットの細り、かけが発生した。クリーニングにより回復しないノズルがあり、使用に耐えない。
なお、上記各試験において「△」を「実用上問題が無い」としたのは実施例で用いた2値印字における評価である。したがって、△の評価が得られた場合であってもドット径を小さくしたり、ドット径を可変として階調印字する場合等には実用上不都合が生じると考えられる。
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明のインクは、急激な温度変化に対する保存安定性が良好であり、従来達成できなかったドット径のバラツキが小さい印字を達成した。また、インクの使用によるノズルの目詰まりが無く、インクが通常使用される温度である10℃〜35℃の間で物性がほとんど変わらないため、極めて安定した、品質の高い印字が可能である。
Claims (6)
- 水溶性有機溶剤が、水酸基数3の多価アルコール、式:
HO(CxH2xO)yH
(式中、xおよびyは2≦xかつ2≦x×y≦6である整数である)で示される(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール、該(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールの低級アルキルエーテル(但し、低級アルキルの炭素数 1 〜 4 )およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む、請求項1記載のインクジェット記録用インク。 - 水溶性有機溶剤が、分子量150以上のポリアルキレングリコールをインク全重量に対して2〜8重量%を含む、請求項1または2記載のインクジェット記録用インク。
- 前記多価アルコール、前記(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール、前記(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコール低級アルキルエーテルおよび前記ポリアルキレングリコールの総含有量がインク全重量に対して10〜30重量%である、請求項3記載のインクジェット記録用インク。
- さらに炭素数1〜5の脂肪族アルコールをインク全重量に対して0.1〜15重量%含有する、請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- さらにアルカノールアミンをインク全重量に対して0.01〜5重量%含有する、請求項1記載のインクジェット記録用インク。
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