JP3541483B2 - 液体注出用容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液体注出用容器、特に弾性変形可能な容器本体を圧搾して内容物を注出するようにした容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液体注出用容器においては、トイレ清掃用の薬液を収容して便器内縁などの廻り込んだ部分にその薬液を吹き付けることができるように、容器本体の高さ方向に対して注出孔の向きを傾斜させ、薬液を斜め上方に注出するようにしたものがある。そして、容器の転倒などにより内容物が注出孔から不用意に漏れ出ないように、キャップを取り付けて防止するようにしていた。
【0003】
上記容器の一つとして、実開平6−67354号公報に示されているように、容器本体の首部開口に装着される中栓に対して、斜め上方に向けて突出するノズルを設けてそのノズル先端に注出孔を囲む突堤を配置し、さらに、中栓を覆うキャップを容器本体の首部開口に螺着した時に、そのキャップの内面が前記突堤と摺接してノズルを閉鎖するようにした構成のものがある。そして、中栓におけるノズルに対向する反対側の部分と中栓を覆うキャップの内面との間に小隙間が得られるように形成されていて、キャップを螺着した時に、キャップ内面とノズル先端の突堤とが摺接するとともに、ノズル部分が僅かに後退できるようにした工夫がなされていた。即ち、キャップを螺着する際にキャップ内面に連れてノズル先端が下方に下がるのをそのノズル部分の後退によって防ぎ、ノズル先端の突堤を適正にキャップ内面に当接させて注出孔の閉鎖を図るようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図6、7に示すように、上記の容器におけるキャップaと中栓bの構造において、キャップ下部内面に雌ねじcを配し、その雌ねじcの上方に、中栓bを覆いノズルdの先端と接する内面eを備えたドーム状のキャップ本体fが連続する構造となっている。これに加えて、キャップaの雌ねじcと、これが螺合する容器本体gの首部開口における雄ねじhとは、一般的にキャップの締め付け操作性などを考慮して或る程度のガタ付きを有するように成形されている。
しかしながら、ノズル先端の突堤iが接するキャップ本体fと雌ねじcとが上下方向で離れた位置にあり、また、上述したように雌ねじcと雄ねじhとの間で所要のガタ付きを有していること、それに加えてノズルの反対側の部分とキャップとの間に隙間が得られるように成形されていることから、キャップを中栓に被せてから回し始めた際に、キャップ本体側が振れ易く中栓に対するガタ付き量が大きくなるという不都合が生じて、キャップの内面が設定とは異なる不適切な傾斜でノズルの突堤に摺接するようになっている。これはキャップを取り外すために回転させる際にも、不適切な傾斜でノズル先端の突堤を摺るようになっている。
【0005】
キャップを着脱する毎にこのような不適切な傾斜でキャップ本体の内面がノズル先端の突堤を摺ると、その突堤が不良に片減りするなどするようになり、これによってキャップを締め付けても突堤とキャップの内面との間に隙間が開き、液漏れする可能性が生じる不都合があった。
【0006】
そこで本発明は上記した事情に鑑み、キャップを取り付けたり取り外したりする際にそのキャップが不適切に横振れしないようにして、注出孔周りに設けられる突堤に対してキャップの内面を適正な状態で摺接させることを課題として、突堤の不良な変形を無くし液漏れを生じさせないことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、容器本体の首部開口に、注出孔を斜め上方に向けてなる注出部を側面上部に有する中栓を装着し、該中栓を覆うキャップが着脱可能にして取り付けられる液体注出用容器において、前記注出部の注出孔周りに突堤を配し、キャップの内面と前記突堤とが摺接して前記注出部が閉鎖可能に設けられ、前記中栓の注出部と対向する反対側の対応部における前記注出孔の中心と同じ高さ位置に、前記キャップの内面と摺接する凸部を設けたことを特徴とする液体注出用容器を提供して、上記課題を解消するものである。そして、前記中栓の注出部より下位の断面円状の中栓胴部に、該中栓胴部の全周に亘って外方に向けて突出するリング部を設け、該リング部がキャップ内面に摺接するようにしてもよい。さらに、前記キャップは透明素材又は半透明素材から成形されるものとし、かつ、中栓は有色素材から成形されるものとし、キャップを透かして中栓が透視可能に設けられているようにしてもよい。
【0008】
【作用】
中栓の中心線を間にして相対向する注出部と対応部とにおいて、前記注出部には突堤が設けられ、対応部には凸部が設けられており、キャップを中栓の上方から被せて締め付け始めると突堤と凸部とがキャップの内面に同時に接し、振れが抑えられながらキャップが締め付けられ、キャップ内面が適正な傾斜状態となって突堤に摺接するようになる。
また、中栓胴部周りにキャップ内面に摺接するリング部が設けられていると、キャップを回しているときのそのキャップの傾きが更に規制されて、突堤に対応するキャップ内面の傾きが適正に維持されるようになる。
そして、キャップを透かして中栓が透視できるようにすると、キャップ内面に接している中栓の部分の彩度が高まった色合いとなって見え、よって、注出孔周りの突堤がキャップ内面に接していると、その突堤の部分が鮮やかな色合いになって見えるようになって、当接状態が確認できるようになる。
【0009】
【実施例】
つぎに本発明を図1から図5に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は液体注出用容器で、該容器1は例えば縦長とした高密度ポリエチレン製の容器本体2の首部開口に、着色された低密度ポリエチレン製の中栓3を装着し、その中栓3を覆うようにして透明又は半透明のポリプロピレン製のキャップ4が取り付けられているものである(よって、中栓3とキャップ4との硬さの対比ではキャップ側が硬いものとなっている)。
前記中栓3は、図2に示すように中央天面を上方に向けて突出位置させた略門形の縦断面形状を有し、横断面を円筒状とした中栓胴部5からは断面略L形状の係合フランジ6が外方に張り出され、その下縁内周のアンダーカット部7を容器本体2における首部開口8の上縁に係合させている。また、前記中栓胴部5の下部に挿入環部9が連続し、この挿入環部9が首部開口8の内部に嵌入されている。
なお、図示されていないが、上記係合フランジ6の下縁内周にはアンダーカットを設けない平坦部が複数個所あり(即ち、アンダーカット部は不連続である)、また、首部開口8の上縁外周にはその平坦部に対応する縦リブを設けていて、中栓3を装着した後、前記平坦部と縦リブとが相互に係合し合って、中栓の回転を防止するようにしている。
【0010】
中栓胴部5の上方に位置する中栓頭部10には、中栓3を上下に通る中心線A(容器を上下に通る中心線と同一)の方向に対し、上方に傾斜する方向に注出孔11を臨ませてなる注出部12が設けられている。そして、この中栓頭部10の上方から見た形状においては、前記注出部12側を細くするとともに、その注出部12から該注出部12の反対側となる部分、即ち、注出部12と径方向で対向位置する対応部13に向けて広がるようになっており、先細りする側に注出孔11が存在することを一目で確認できるようにしている。
なお、注出部12では中栓頭部10の側壁部分に注出孔11を貫通させており、その中栓3の側面方向から見た状態ではこの注出部12は突出形状を呈しているものではない。このように注出部12自体を側方に突出する形状としていないことから、従来容器のように、キャップ締め時に、ノズル先が下がるというようなことは生じないものである。
【0011】
また、上記注出部12の側方に臨む外側端14(この外側端14に注出孔11が開口している)と、上記対応部13の側方に臨む側端面15とは共に、上記中心線Aを間にして対称な位置にあって同じ傾斜角度となっている。そして、この注出部12の外側端14においては、注出孔11周りにこの注出孔11を囲む円状の突堤16が設けられているとともに、前記突堤16の突出量と同じ突出量とした中栓頭部の円周方向に延びる凸部17が前記対応部13の側端面15に突設されていて、この突堤16と凸部17とが後述するようにキャップ内面に摺接可能となっているものである。
【0012】
キャップ4は、図3に示すように球頭状にして中栓3を覆うキャップ本体18と、雌ねじ19を内周に有するねじ部20とが段部21を介して連続しているものであり、中栓3の上方から被せて前記ねじ部20を容器本体2における首部開口の外周にある雄ねじ22に螺着することにより、このキャップ4が容器本体2に取り付けられ、段部21の内面側が中栓3の係合フランジ6の上面に当接するように設けられているものである。
さらに、このキャップ本体18の内面にあっては、キャップ4を締め付けた時に、上記外側端14(注出部12)、側端面15(対応部13)と平行に相対する摺接面23を有している。
【0013】
上記摺接面23を有するキャップ4は、このキャップ4を締め付け終わった時点で上記突堤16、凸部17が共に摺接面23と当接状態となっているように成形されているものであり、前記突堤16がこの摺接面23に当接することによって注出部12が閉鎖されることになる。
図5に示すように凸部17は上記突堤16の中心と同じ高さ位置に設定されている。更に詳しくは、注出孔11の中心線とこの注出孔11が貫通する側壁部の外側端14との交点25が位置する高さと、凸部17の頂点の高さとが同じとされている。
【0014】
このようにすることによって、キャップ4を被せて回し始め、キャップ4が少し傾いて摺接面23が先ず突堤16に軽く摺接し、摺接面23と凸部17との間に僅かな離れが生じていたような場合でも、下方に降りるキャップ4に対してキャップ内方から一個所の突堤16が摺接していることから、雌ねじ19と雄ねじ22との螺着が進むうちにキャップの傾きが直されて、直ぐに凸部17にも摺接面23が軽く摺接し始めるようになる。
突堤16が、注出孔11の中心線と側壁部の外側端14との交点25に位置する高さと同じ位置と設定されていることにより、キャップ4の摺接面23が突堤16に軽く摺接し始めたときよりも、若干螺着が進み本格的にキャップ4の摺接面23から力を受ける時点、即ち、外側端14の位置における中心と凸部17の高さとが一致することによって、より一層、突堤16にかかる力が全体的に亘って均一化されるという利点がある。これは後述する交点24、並びに交点26が位置する高さに凸部17a、17bを設ける場合に比べてより有利である。そして、螺着が更に進んで突堤16と凸部17とが摺接面23に摺接し続けて摺接面23の傾斜が適正な状態に維持され、その適正な傾斜状態となっている摺接面23に突堤16が強く摺接するようになる。キャップ4を締め付けし終えた時には、前記摺接面23が適正な傾斜となっているため、突堤16が全体的に摺接面23に強く当接して注出部12が閉鎖される。
【0015】
また、仮に、キャップ4を被せて回し始める時点で、摺接面23が凸部17に軽く摺接し、摺接面23と突堤16との間に僅かな離れが生じていたような場合でも、上記と同様に、下方に降りるキャップ4に対してキャップ内方から一個所の凸部17が摺接していることから、螺着が進むうちにその凸部17によって相対的に押し上げられることとなってキャップの傾きが直ぐに直されて、突堤16にも摺接面23が軽く摺接し始めるようになる。そして、螺着が更に進んで突堤16と凸部17とが摺接面23に摺接し続けて摺接面23の傾斜が適正な状態に維持され、その適正な傾斜の摺接面23に突堤16が強く摺接するようになる。キャップ4を締め付けし終えた時には、前記摺接面23が適正な傾斜となっているため、突堤16が全体的に摺接面23に強く当接して注出部12が閉鎖される。
【0016】
上記とは逆にキャップ4を取り外す場合、キャップ4を緩め方向に回して上記摺接面23に対して共に突堤16と凸部17とが摺接している場合には、その摺接面23の傾斜は適正な状態となっており、不正な力が加わった状態で前記突堤16が摺接することはない。そして突堤16が摺接面23から離れるときには、その突堤16と同じ高さにある凸部17もほぼ同時に離れるようになり、キャップ4が傾き続けた状態のままで摺接面23に突堤16が摺接し続けるすることがない。
【0017】
上記実施例においては、凸部17を中栓3の外周方向に沿って延びるリブ状とし、上記交点25の高さ位置にしている(中栓を上方から見た状態では突堤16と凸部17とは径方向に対向している)が、本発明はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、注出孔11の中心線とこの注出孔11が貫通する側壁部の肉厚方向の中心との交点24の高さ位置に揃えるようにして凸部17aを設けたり、或いは、注出孔11の中心線と突堤16の上縁を結ぶ突出面との交点26の高さ位置に揃えるようにして凸部17bを設けたりしてもよい(なお、図において交点25に対して凸部17が、交点24に対して凸部17aが、交点26に対して凸部17bが対応する)。
このように凸部17の位置を僅かに変えたものであっても、上述したようにキャップ4の取り付け取り外しに際して摺接面23が適正な傾斜状態で突堤16に摺接させるようにすることができるものである。
【0018】
上記中栓胴部5には、壁の肉厚を部分的に大きくすることによって外周に亘って外方に突出したリング部27が一体に設けられている。このリング部27はキャップ4の内面全周に摺接するものであり、キャップ4を回す際にキャップ4の内面とこのリング部27とが摺接しキャップ4の傾きを更に規制し、修正するものである。
また、この実施例においてキャップ4は透明又は半透明となり、上記中栓は着色されて成形されているため、摺接面23に当接する突堤16の部分は中栓の他の部分の色彩より鮮やかに見えるようになる。これによって、突堤16の当接状態が外部からキャップ4を通して簡単に確認でき、仮に突堤16が片減りして閉鎖状態が不良となった場合でも、早期にその不良を発見できるようになっている。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、容器本体の首部開口に、注出孔を斜め上方に向けてなる注出部を側面上部に有する中栓を装着し、該中栓を覆うキャップが着脱可能にして取り付けられる液体注出用容器において、前記注出部の注出孔周りに突堤を配し、キャップの内面と前記突堤とが摺接して前記注出部が閉鎖可能に設けられ、前記中栓の注出部と対向する反対側の対応部における前記注出孔の中心と同じ高さ位置に、前記キャップの内面と摺接する凸部を設けたことを特徴とするものである。これによって、キャップを中栓の上方から被せて締め付け始めると前記突堤と凸部とが共にキャップの内面に同時に摺接するようになり、キャップの傾き(振れ)を抑えながらそのキャップを締め付けたり緩めたりでき、キャップ内面が適正な傾斜状態となって突堤に摺接して、突堤と摺接面との当接による注出部の閉鎖を確実に行えるようになる。
【0020】
さらに、中栓胴部周りにキャップ内面に摺接するリング部を設けるようにすれば、キャップを回しているときの傾きを一層規制し易くなり、突堤に対応するキャップ内面の傾きを適正に修正し維持できるものとなる。そして、キャップを透かして有色の中栓が透視できるようにすると、注出孔周りの突堤がキャップ内面に接して鮮やかな色合いになって見えるようになり、注出部の閉鎖状態が極めて簡単に確認できるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体注出用容器の一実施例を示す説明図である。
【図2】一実施例における中栓の装着状態を斜め上方から示す説明図である。
【図3】装着状態の中栓を断面で示す説明図である。
【図4】一実施例における中栓を示すもので、(イ)は上面から示す説明図、(ロ)は注出部側の側面を示す説明図、(ハ)は対応部側の側面を示す説明図、(ニ)は注出部と対応部とを横から見た状態で示す説明図、(ホ)は中栓の内部を下方から示す説明図である。
【図5】凸部の高さ位置を示す説明図である。
【図6】従来例を示す説明図である。
【図7】従来例におけるキャップの傾きを示す説明図である。
【符号の説明】
1…液体注出用容器
3…中栓
4…キャップ
8…首部開口
11…注出孔
12…注出部
13…対応部
16…突堤
17,17a,17b…凸部
23…摺接面
A…中心線
Claims (3)
- 容器本体の首部開口に、注出孔を斜め上方に向けてなる注出部を側面上部に有する中栓を装着し、該中栓を覆うキャップが着脱可能にして取り付けられる液体注出用容器において、
前記注出部の注出孔周りに突堤を配し、キャップの内面と前記突堤とが摺接して前記注出部が閉鎖可能に設けられ、前記中栓の注出部と対向する反対側の対応部における前記注出孔の中心と同じ高さ位置に、前記キャップの内面と摺接する凸部を設けたことを特徴とする液体注出用容器。 - 上記中栓の注出部より下位の断面円状の中栓胴部に、該中栓胴部の全周に亘って外方に向けて突出するリング部を設け、該リング部がキャップ内面に摺接する請求項1に記載の液体注出用容器。
- 上記キャップは透明素材又は半透明素材から成形され、かつ、上記中栓は有色素材から成形されて、キャップを透かして中栓が透視可能に設けられている請求項1に記載の液体注出用容器。
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