JP3541061B2 - ブレーキ液圧制御方法およびその装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、制動中における車輪のロック状態を回避して制動距離を大幅に短くできるようにしたブレーキ液圧制御方法およびその装置に関し、特に標準タイヤよりも小径のテンポラリタイヤを装着した場合の安全性を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に組み込まれるブレーキ装置は、この車両を安全に走行させる上で非常に重要なものであり、従来から種々の補助機構を付設したものが知られている。例えば、特開平3−54059号公報等ではブレーキの作動中に車両が滑走するのを防止するアンチロック機構が付設され、より安全で確実なブレーキ操作を行うことが可能となっている。
【0003】
上述したアンチロック機構は、ブレーキの作動中に車輪のロックの発生を防止するため、車輪がロックぎみとなった場合に、この車輪に対するブレーキ力を一時的に軽減し、車輪をロック状態から離脱させるようにしたものであり、アンチロック機構専用の液圧ポンプとブレーキのホイールシリンダとの間にブレーキ液の供給側の電磁切換弁とブレーキ液の排出側の電磁切換弁とを各車輪毎に設け、上述した液圧ポンプを電動モータによって駆動し、各車輪のロック状態に応じて一対の電磁切換弁と排出側の電磁切換弁との作動を切り換え、ブレーキのホイールシリンダに対するブレーキ液の圧力を調整している。
【0004】
つまり、車輪速が路面との間に最大摩擦力を発生する所定の周速度まで低下したら、ホイールシリンダのブレーキ液圧を一時的に減圧し、車輪速を回復させつつこの車輪加速度を減ずべくブレーキ液圧を徐々に増圧し、車輪加速度が正から0または負となった時点で再度減圧するようにし、以上の操作を繰り返すことで短時間の間に車両を安全に停止させるようにしている。
【0005】
ところで、車両のタイヤと路面との間の摩擦力は、タイヤのスリップ率によって大きく異なり、乾燥した路面に対してはスリップ率が例えば10〜15%前後の場合に最大となることが一般的に知られている。このようなことから、上述したアンチロック機構を搭載した車両の制動時においては、実際の車速よりも車輪の周速度を最大摩擦力が得られるスリップ率、つまりこのスリップ率と対応した周速度となるように、車輪に対する制動力を制御している。
【0006】
通常、車両の走行速度(以下、これを車速と呼称する)は左右の従動輪の周速の平均値で表すことができるが、車両の制動時には路面とタイヤとの間にスリップが発生するため、従動輪の周速度を検出するだけでは正確な車速を検出することが根本的に不可能である。このため、従来では車両の制動中に車輪がロックぎみとなった場合に制動力を一時的に解除し、この時の車輪の周速度(以下、これを車輪速と呼称する)を検出すると共にその加速度を算出し、制動力の解除に伴って変化する車輪の加速度が増速傾向からほぼ0に移行した時点の車輪速を実際の車速として予測している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアンチロック機構によると、路面とタイヤとの間に最大摩擦力が得られ、かつ車両の制動に大きく寄与する状態と、制動力を一時的に解除することによって制動力が不足気味となる状態とを交互に周期的、例えば200〜300ミリ秒毎に繰り返すことになり、制動距離が思いのほか長くなってしまうという問題があった。
【0008】
というのも、上述の周期はホイールシリンダに対するブレーキ液圧の給排状態や路面の摩擦係数の違い等の影響で必ずしも一定ではなく、周期が短いと制動力不足気味の状態が頻繁に起ることとなり、逆に周期が長いと制動力が不足する状態が時間的に長く続くからである。
【0009】
また、従来のアンチロック機構を搭載した車両において、一般走行用の標準タイヤと比較して外径および幅ともに小さいテンポラリタイヤ(以下これをTタイプ応急用タイヤと呼称する)を使用する必要が生じた場合、一般走行用タイヤよりも外径が小さいことに起因してTタイプ応急用タイヤの回転速度が他の一般走行用タイヤの回転速度よりも常に高くなる傾向を持つ。このため、基本的に回転速度の最も大きな車輪のデータに基づいて車速を予想するアンチロック機構では、実際よりも高速側の車速を予想する結果となり、制動力が弱めに働いてしまい、制動距離が長くなってしまう虞がある。
【0010】
このような不具合を解消するため、例えば特開昭58−221752号公報等に記載されているように、任意の車輪の間での回転速度差が予め設定した値を越えた場合、アンチロック制御を解除するようにしたものも知られている。
【0011】
しかし、急制動中に自動的にアンチロック制御が解除されてしまうような機構は、運転者の意図に反するものとなり、あまり好ましいことではない。
【0012】
【発明の目的】
本発明の目的は、従来のものよりも車両の制動距離をより短く、特にTタイプ応急用タイヤを装着している場合でも車両の制動距離を短くすることが可能なブレーキ液圧制御方法およびその装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による第一の形態は、複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出ステップと、これら車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定ステップと、この疑似車速設定ステップにて設定された疑似車速と前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速とに基づき、所定の制動力が得られる第一目標車輪速、ならびに疑似車速および車輪速よりも大きな第二目標車輪速をそれぞれ設定する目標車輪速設定ステップと、この目標車輪速設定ステップにて設定される第一目標車輪速と第二目標車輪速とを所定の条件で切り換える目標車輪速切換ステップと、前記車輪速検出ステップにて検出される車輪速が第一目標車輪速に追従するように、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧をそれぞれ調整するブレーキ液圧調整ステップととを具えたブレーキ液圧制御方法において、前記ブレーキ液圧調整ステップの非実行時に前記車輪速検出ステップにて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差判定ステップと、この車輪速偏差ステップにて応急用タイヤが使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出ステップにて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正ステップとを具え、前記疑似車速設定ステップは、前記車輪速修正ステップにて修正された車輪速と前記車輪速検出ステップにて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするものである。
【0014】
また、この第一の形態と対応する本発明による第二の形態は、複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、これら車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定手段と、この疑似車速設定手段にて設定された疑似車速と前記車輪速検出手段にて検出された車輪速とに基づき、所定の制動力が得られる第一目標車輪速、ならびに疑似車速および車輪速よりも大きな第二目標車輪速をそれぞれ設定する目標車輪速設定手段と、この目標車輪速設定手段にて設定される第一目標車輪速と第二目標車輪速とを所定の条件で切り換える目標車輪速切換手段と、前記車輪速検出手段にて検出される車輪速が第一目標車輪速に追従するように、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧をそれぞれ調整するブレーキ液圧調整手段とを具えたブレーキ液圧制御装置において、前記ブレーキ液圧調整手段の非作動時に前記車輪速検出手段にて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算手段と、この車輪速偏差演算手段が応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出手段にて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正手段とを具え、前記疑似車速設定手段は、前記車輪速修正手段にて修正された車輪速と前記車輪速検出手段にて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするものである。
【0015】
一方、本発明による第三の形態は、複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出ステップと、この車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて車輪加速度を算出する車輪加速度演算ステップと、前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定ステップと、この疑似車速設定ステップにて設定された疑似車速と、前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速と、前記車輪加速度演算ステップにて算出された車輪加速度とに基づき、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を増圧する増圧操作か、変化させずに保持する保持操作か、あるいは減圧する減圧操作を選択するブレーキ液圧選択ステップとを有するブレーキ液圧制御方法において、前記ブレーキ液圧選択ステップの非作動時に前記車輪速検出ステップにて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算ステップと、この車輪速偏差演算ステップにて応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出ステップにて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正ステップとを具え、前記疑似車速設定ステップは、この車輪速修正ステップにて修正された車輪速と前記車輪速検出ステップにて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするものである。
【0016】
また、この第三の形態と対応する本発明による第四の形態は、複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、これら車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて車輪加速度を算出する車輪加速度演算手段と、前記車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定手段と、この疑似車速設定手段にて設定された疑似車速と、前記車輪速検出手段にて検出された車輪速と、前記車輪加速度演算手段にて算出された車輪加速度とに基づき、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を増圧する増圧操作か、変化させずに保持する保持操作か、あるいは減圧する減圧操作を選択するブレーキ液圧選択手段とを有するブレーキ液圧制御装置において、前記ブレーキ液圧調整手段の非作動時に前記車輪速検出手段にて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算手段と、この車輪速偏差演算手段が応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出手段にて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正手段とを具え、前記疑似車速設定手段は、この車輪速修正手段にて修正された車輪速と前記車輪速検出手段にて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするものである。
【0017】
【作用】
本発明の第二の形態によると、ブレーキ開始時点における車輪の回転速度を車輪速検出手段により検出し、この車輪速に基づいて車両の走行速度が所定の減速割合となるように、制動中の車両の疑似車速を疑似車速設定手段にて設定する。そして、この疑似車速に基づいて所定の制動力が得られる第一目標車輪速を目標車輪速設定手段にて設定し、この第一目標車輪速に対して車輪速検出手段により検出される車輪速が追従するように、ブレーキ液圧調整手段によりホイールシリンダに対するブレーキ液圧をそれぞれ調整される。
【0018】
一方、車輪速偏差演算手段が車輪速検出手段にて検出される車輪の回転速度の偏差を算出し、これら車輪の回転速度の偏差が大きい、つまり車輪径が標準タイヤと大きく異なるTタイプ応急用タイヤが装着されていると車輪速偏差判定手段が判断した場合、車輪速修正手段はこのTタイプ応急用タイヤが装着された車輪の回転速度を少なめに修正する。また、疑似車速設定手段は、この車輪速修正手段にて修正された車輪速と車輪速検出手段にて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定する。
【0019】
また、本発明の第四の形態によると、車輪速検出手段によって複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出し、これら車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて車輪加速度演算手段が車輪加速度を算出し、さらに疑似車速設定手段が制動中における車両の疑似車速を設定する。そして、ブレーキ液圧選択手段はこれら車輪速と車輪加速度と疑似車速とに基づき、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を増圧する増圧操作か、変化させずに保持する保持操作か、あるいは減圧する減圧操作を選択する。
【0020】
【実施例】
本発明によるブレーキ液圧制御装置を後輪駆動車に応用した第一実施例について図1〜図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
本実施例の概略機構を表す図2およびそのブレーキ液圧制御回路の一部を表す図3に示すように、マイクロコンピュータを含む制御ユニット(以下、これをECUと記述する)40には、操舵車輪である右前輪10FRおよび左前輪10FLの回転に応じたパルス信号をこのECU40にそれぞれ出力する車輪速センサ30FR, 30FLと、駆動車輪である右後輪20RRおよび左後輪20RLの回転に応じたパルス信号を上述したECU40にそれぞれ出力する車輪速センサ30RR, 30RLとが接続している。各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLにそれぞれ配設されたホイールシリンダ50と、運転者がブレーキペダル52を踏むことによってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ54とは、主液通路56を介して連通しており、この主液通路56の途中には各ホイールシリンダ50のブレーキ液圧を切換制御するアクチュエータユニット60がそれぞれ介装されており、前記ECU40にはブレーキペダル52の踏み込みを検出してそのオン信号をECU40に出力するブレーキスイッチ57が接続している。
【0022】
各アクチュエータユニット60は、ホイールシリンダ50の液圧の増圧を切換え制御するために主液通路56に介設された増圧切換制御弁61と、減圧を切換え制御するために減圧通路58に介設された減圧切換制御弁62と、ホイールシリンダ50の減圧時にこのホイールシリンダ50からのブレーキ液が貯えられるリザーバ63とを具え、これらアクチュエータユニット60のリザーバ63に貯えられたブレーキ液を主液通路54に戻すためのポンプ64と、このポンプ64を駆動するモータ65とが主液通路56とこれらアクチュエータユニット60との間に介装されている。
【0023】
前記ECU40は、運転者がブレーキペダル52を踏み込んだ時点からの車両の減速割合を予め設定し、この状態において路面に対しタイヤが最大摩擦力を発生するような車輪速となるように、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液の給排を自動的に調整するアンチロックブレーキ制御(以下、これをABS制御と記述する)を行う。ただし、この状態を継続したままでは実際の車速の変化を把握することができないので、定期的に制動力を低下させて車輪速を実際の車速まで戻し、この時点から再び車両の減速割合をこの間の実際の車両の減速割合に基づいて設定し直し、この状態において路面に対しタイヤが最大摩擦力を発生するような車輪速の変化となるように、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液の給排を切り換える。
【0024】
このような本実施例における基本的な制御機構を図1に示し、その制御手順の流れを図4に示す。すなわち、ECU40はM100のステップにて各車輪速センサ30FR, 30FL, 30RR, 30RLの出力に基づき、各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLの回転速度(以下、これを車輪速と略称する)VFR, VFL, VRR, VRL(以下、これらをまとめてVW と記述する場合がある)と、これらの速度変化率である車輪加速度αW とを算出し、これらを図示しないメモリに順次記憶する。この場合、車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLの何れかにTタイプ応急用タイヤが使用されているか否かを車輪速偏差演算部41にてABS制御が行われていない時に判定し、このTタイプ応急用タイヤが使用中の場合には、このTタイプ応急用タイヤと対応する車輪速センサの出力が他の車輪速センサの出力よりも常に大きめとなるため、Tタイプ応急用タイヤの回転速度に基づいて算出される車輪速を車輪速修正部42にて少なめに修正する。
【0025】
かかる車輪速偏差演算部41および車輪速修正部42における車輪速VW の演算手順を図5に示す。すなわち、ECU40はまずM101のステップにてABS制御中であることを意味するABS制御中フラグFB が1にセットされているか否かを判定し、このABS制御中フラグFB が0にリセットされている、すなわちABS制御中ではないと判断した場合には、M102のステップに移行し、各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLの回転速度VFR, VFL, VRR, VRLのうち、最大の車輪速(以下、これを最大車輪速と略称する)VWSを読み込み、M103のステップにてこの最大車輪速VWSを出力している今回の車輪チャンネル、すなわち最大車輪速VWSを出力しているのが右前輪10FRであるのか、左前輪10FLであるのか、右後輪20RRであるのか、左後輪20RLであるのかを特定する。さらに、M104のステップにて上述した車輪速VFR, VFL, VRR, VRLに基づいて、最小の車輪速VWLを読み込んだ後、M105のステップに移行する。このM105のステップでは、M102のステップにて判定された今回の最大車輪速VWSを出力している車輪チャンネルが前回の最大車輪速を出力していた車輪チャンネルと同じであるか否かを判定し、これが同じ車輪チャンネルからのデータであると判断した場合には、M106のステップにてタイヤ外径比ΔDを上述した最大車輪速VWSと最小の車輪速VWLとに基づいて下式により算出する。
【0026】
【数1】
ΔD=(VWS−VWL)/VWS ・・・ (1)
つまり、上述したM102〜M106のステップが本発明における車輪速偏差演算部41における処理に相当する。そして、(1) 式にて算出されたタイヤ外径比ΔDが所定値、例えば0. 08以上であるか否かをM107のステップにて判定し、これが所定値以上である、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用している可能性が高いと判断した場合には、M108のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT を一つ繰り上げ、M109のステップにてこの応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が10以上であるか否かを判定する。このM109のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が所定値以上、例えば10以上である、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用中であると判断した場合には、M110のステップにて今回の最大車輪速VWSを下式(2) に基づいて修正し、さらにM111のステップにて応急用タイヤ使用中フラグFT を1にセットして再びM101のステップに戻る。
【0027】
【数2】
WS=VWS−(VWS×ΔD) ・・・ (2)
つまり、M105〜M109のステップが本発明における車輪速偏差判定ステップに該当し、上述したM110のステップが本発明における車輪速修正部42における車輪速修正ステップに相当する。なお、今回の最大車輪速VWSを(2) 式に基づいて修正する場合、タイヤ外径比ΔDをそのまま積算せず、制御サイクル毎にタイヤ外径比ΔDを次第に漸増し(例えば、10ミリ秒毎にタイヤ外径比ΔDを0. 2%ずつ増加させる)、最終的にタイヤ外径比ΔDを積算するような演算形態にすることも可能であり、これによって車輪速修正ステップであるM110のステップによる最大車輪速VWSの急激な変化に伴う制御の誤動作を未然に防止することができる。
【0028】
前記M101のステップにてABS制御中フラグFB が1にセットされている、すなわちABS制御中であると判断した場合には、M112のステップにて応急用タイヤ使用中フラグFT が0にリセットされているか否かを判定し、応急用タイヤ使用中フラグFT が1にセットされている、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用中であると判断した場合には、M110のステップに移行して今回の最大車輪速VWSを(2) 式により算出する。また、M112のステップにて応急用タイヤ使用中フラグFT が0にリセットされている、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用していないと判断した場合には、特に問題がないので再びM101のステップに戻る。
【0029】
前記M105のステップにて最大車輪速VWSを出力している今回の車輪チャンネルと前回の最大車輪速VWSを出力していた車輪チャンネルとが異なっている、すなわち外乱等によるノイズが発生していると判断した場合には、M113のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT を0にリセットし、更にM114のステップにて応急用タイヤ使用中フラグFT を0にリセットした後、再びM101のステップに戻ってABS制御中フラグFB が1にセットされているか否かを判定する。また、M107のステップにて前記(1) 式にて算出されたタイヤ外径比ΔDが所定値未満である、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用していないと判断した場合には、M113のステップに移行して応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT を0にリセットする。さらに、前記M109のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が10未満である、すなわちTタイプ応急用タイヤを使用している可能性があるものの、まだ確実ではないと判断した場合には、M114のステップに移行して応急用タイヤ使用中フラグFT を0にリセットする。
【0030】
このように、最大車輪速VWSが所定時間継続して同一の車輪チャンネルから検出された場合、車輪速偏差判定ステップにてTタイプ応急用タイヤを使用中であると判断し、この場合の最大車輪速VWSを(2) 式に基づき、車輪速修正部42にて小さめに修正することにより、車速の推定をより正確に把握することができる。また、上述した実施例では、最大車輪速VWSと最小の車輪速VWLとの差に基づいてタイヤ外径比ΔDを算出したが、最大車輪速VWSとこの最大車輪速VWSの次に大きな二番目の車輪速との差に基づいてタイヤ外形比を算出し、これが所定値、例えば0. 1以上となっている状態が所定時間継続している場合に、Tタイプ応急用タイヤを使用中であると判断するようにしても良い。
【0031】
なお、ECU40は図4のフローチャートに示されたプログラムを所定周期毎、例えば、5ミリ秒毎に実行する。
【0032】
次に、ECU40に組み込まれた疑似車速演算部43は、M100のステップにて算出された車輪速VW のうち、上述した最大車輪速VWSに基づいてブレーキの制動操作中に設定される車両の走行速度(以下、これを疑似車速と呼称する)VI をM200のステップにて算出する。この疑似車速VI を算出するのは、従動輪である前輪10FR, 10FLが制動中はスリップ状態にあるため、非制動時のようにこれら前輪10FR, 10FLの回転速度の平均値をそのまま車両の実際の走行速度として制動時に利用できないためである。また、制動中における車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLは少なくともスリップ状態にあり、実際の車速よりも低回転状態となっているため、最もスリップ量が少ないと予想される最大車輪速VWSを疑似車速VI として採用する。
【0033】
このような本実施例における疑似車速演算部43による疑似車速VI の演算手順を図6に示す。すなわち、ECU40はまずM201のステップにてブレーキスイッチ57がオンか否かを判定し、ブレーキスイッチ57がオフである、すなわちブレーキペダル52が踏まれていないと判断した場合には、従動輪である左右の前輪10FR, 10FLにスリップが発生していないので、M202のステップに移行し、下式のように左右の前輪10FR, 10FLの車輪速VFR, VFLの平均値を疑似車速VI として採用する。
【0034】
【数3】
I =(VFR+VFL)/2
そして、このM202のステップにて算出された疑似車速VI をM203のステップにてブレーキ開始時点t0 における車両の走行速度(以下、これをブレーキ開始車速と呼称する)VO として採用した後、M204のステップにて後述する初回減速割合算出済フラグFVPおよび周期カウンタのカウント値CS をそれぞれ0にリセットする。
【0035】
一方、M201のステップにてブレーキスイッチ57がオン、すなわちブレーキペダル52が踏まれていると判断した場合には、M205のステップに移行してECU40に内蔵された図示しないクロックパルスを上述した制御サイクル毎に積算、すなわち周期カウンタのカウント値CS を1つカウントアップする。この周期カウンタは、車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLに対する制動力を周期的に低下させて車輪速VW を実際の車速まで戻すためのものであり、上述したカウント値CS が予め設定した値Aに達する度に、制動力をそれぞれ一時的に低下させるようになっている。次に、最大車輪速VWSから算出される最大車輪加速度αWSが加速傾向から減速傾向へ変わったか否かがM206のステップにて判定される。このM206のステップにおける判定操作は、制動操作後の車輪速が実際の車速よりも遅くなるため、制動力を一時的に解除した状態では路面との摩擦に伴って実際の車速まで車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLの回転が復帰することから、最大車輪速VWSが実際の車速にまで復帰したか否かを判断するために行われる。
【0036】
このM206のステップにて前回の最大車輪加速度αWS(n-1) が0以上であって、かつ今回の最大車輪加速度αWS(n) が負である、すなわち今回初めて最大車輪加速度αWS(n) が負に転じたと判断した場合には、M207のステップに移行してブレーキペダル52を踏み込んでから最初の車両の減速割合が算出されたことを意味する初回減速割合算出済フラグFVPを1にセットし、この車輪速復帰時点t2 での疑似車速VI として当該車輪速復帰時点t2 における車両の走行速度(以下、これを復帰実車速と呼称する)VP を採用する。なお、M206のステップにて最大車輪加速度αWSが正である、すなわち最大車輪速VWSが実際の車速にまで復帰していないと判断した場合には、M207のステップを介することなくM208のステップへ移行し、初回減速割合算出済フラグFVPが1にセットされているか否かを判定する。
【0037】
このM208のステップにて初回減速割合算出済フラグFVPが0にリセットされている、すなわち実際の車速を検知するために制動力の一時的な低下操作を一回も行っていないと判断した場合には、M209のステップへ移行し、前回の疑似車速VI に基づいて下式(3) により今回の疑似車速VI を算出する。
【0038】
【数4】
I =VI −K1 ・・・ (3)
ただし、K1 は摩擦係数μの大きい乾燥状態の路面に対する車両の最大の減速度を想定して予め設定した速度差であり、上記(3) 式によってブレーキ開始時点t0 からの車両の減速割合が設定される。
【0039】
そして、M208のステップにおいて、減速度設定済フラグFVPが1にセットされている、すなわち実際の車速を検知するために制動力の一時的な低下操作をすでに行っていると判断した場合には、M210のステップに移行してブレーキ開始時点t0 におけるブレーキ開始車速VO と、車輪速復帰時点t2 における復帰実車速VP および周期カウンタのカウント値CS とを用いて下式(4) により、上述した1制御サイクル当りの実際の車両の減速量γVKを算出する。
【0040】
【数5】
γVK=(VO −VP )/CS ・・・ (4)
次に、M211のステップにて1制御サイクル当りの減速量γVKを用い、上述した(3) 式に代えて下式(5) により疑似車速VI を算出する。
【0041】
【数6】
I =VI −γVK−K2 ・・・ (5)
ただし、K2 は、路面状況等の変化や(4) 式にて算出される1制御サイクル当りの実際の車両の減速量γVKの誤差等により、疑似車速VI が実際の車速より大きく設定されてしまい、これに伴って制動力が弱すぎる状態が発生するのを確実に防止するための安全性を考慮した毎時0km以上の速度補正量である。
【0042】
つまり、実際の車両の減速割合が(4) 式にて算出されるまでは、予め設定された減速割合となるように、(3) 式に基づいて制動中の疑似車速VI を推定するが、実際の車両の減速割合が(4) 式にて算出された後は、これに対応した(5) 式に基づいて制動中の疑似車速VI をより正確に推定することができる。
【0043】
このようにして、M209またはM211のステップにて制動中の疑似車速VI を推定した後、この疑似車速VI が最大車輪速VWSよりも小さいか否かをM212のステップにて判定する。そして、このM212のステップにて疑似車速VI が最大車輪速VWSよりも小さい、すなわち上述した制動力の一時的な低下操作が開始されたと判断した場合や、路面状況の変化等が発生したと判断した場合には、(3) 式あるいは(5) 式にて算出された疑似車速VI を採用せず、M213のステップにて上述した最大車輪速VWSを今回の疑似車速VI として採用し、再びM201以降のステップを繰り返す。また、M212のステップにて疑似車速VI が最大車輪速VWS以上である、すなわち制動操作により車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLがスリップ状態にあると判断した場合には、特に問題がないので再びM201以降のステップを繰り返す。
【0044】
上述した疑似車速VI の演算ルーチンにより算出される疑似車速VI に基づき、M300のステップにて各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLのスリップ率Sが疑似車速VI と各車輪速VW とを用いて下式(6) によりそれぞれ算出される。
【0045】
【数7】
S=(VI −VW ) /VI ・・・ (6)
次に、M400のステップにてホイールシリンダ50に対してブレーキ液圧の制御を行う前記ABS制御において、上述したホイールシリンダ50に対する減圧や増圧、あるいは液圧保持のモードを決定するルーチンが実行される。本実施例では、これを後述する目標車輪速VS と各車輪速VW との偏差ΔVおよびその変化率βに基づいて比例微分制御により、ECU40内のブレーキ液圧調整部44にて行っている。
【0046】
このブレーキ液圧調整部44における制御の流れを図7のフローチャートに示す。すなわち、まず、M401のステップにてABS制御中フラグFB が1にセットされているか否かを判定し、ABS制御中フラグFB が0にリセットされている、すなわちABS制御中ではないと判断した場合には、M402のステップに移行し、前記(6) 式で算出されたスリップ率Sが路面に対してタイヤが最大摩擦力を得られるスリップ率、例えば0. 15以上か否かを判定する。スリップ率Sが0. 15未満である、すなわち車輪がロック気味ではないと判断した場合には、再びM401のステップに戻る。また、このM402のステップにおいてスリップ率Sが0. 15以上である、すなわち車輪がロック気味になっている可能性があると判断した場合には、M403のステップに移行し、ABS制御中フラグFB を1にセットしてM410のステップへ移行する。
【0047】
一方、M401のステップにてABS制御中フラグFB が1にセットされている、すなわちABS制御中であると判断した場合には、M404のステップに移行して増圧カウンタのカウント値CP が所定値B以上か否かを判定する。この増圧カウンタの所定値Bは車両が停止するのに十分な値であって、路面状況や車速等に基づいて予め適当な値に設定される。つまり、このM404のステップにて増圧カウンタのカウント値CP が所定値B未満である、すなわち車両が停止状態にないと推定した場合には、M410のステップに移行する。逆に、増圧カウンタのカウント値CP が所定値B以上である、すなわち車両が停止状態となっている可能性があると判断した場合には、M405のステップに移行してスリップ率Sが上述したスリップ率よりも小さいスリップ率、例えば0. 1未満か否かを判定する。
【0048】
そして、このM405のステップにてスリップ率Sが0. 1以上である、すなわち車両はまだ完全に停止していないと判断した場合には、M410のステップへ移行する。また、M405のステップにてスリップ率Sが0. 1未満である、すなわち車両が停止状態にあると判断した場合には、M406のステップに移行してABS制御中フラグFB を0にリセットし、さらに増圧カウンタのカウント値CP を0にリセットして再びM401のステップに戻る。
【0049】
前記M410のステップでは、後述する目標車輪速VS と各車輪速VW との偏差ΔVを下式(7) に基づいて算出する。
【0050】
【数8】
ΔV=VS −VW ・・・ (7)
さらに、このM410のステップで算出した偏差ΔVとその変化率βとに基づき、M411のステップにて下式(8) により比例微分制御のための評価値Zを算出し、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の減圧や増圧、あるいは液圧保持のモードを決定する。
【0051】
【数9】
Z=G(ΔV+K・β) ・・・ (8)
ただし、GおよびKは車両の特性等に基づいて予め設定された正の値を持つ係数である。
【0052】
次に、ステップM412にて評価値Zが予め設定された0より小さい増圧基準値ZS1以下であるか否かを判定し、評価値Zが増圧基準値ZS1より小さい、すなわち目標車輪速VS が実際の車輪速VW より下回るか、あるいは下回る方向に向かっていると判断した場合には、M413のステップにてホイールシリンダ50に対する増圧指令を出力し、増圧切換制御弁61を開、減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリンダ50のブレーキ液圧を上昇させた後、M414のステップにて増圧カウンタのカウント値CP を1つ加算し、再びM401のステップに戻る。
【0053】
一方、M412のステップにて評価値Zが増圧基準値ZS1を越えていると判断した場合には、M415のステップに移行し、前記評価値Zが予め設定された0よりも大きな減圧基準値ZS2以上であるか否かを判定する。このM415のステップにて評価値Zが減圧基準値ZS2以上である、すなわち目標車輪速VS が実際の車輪速VW より上回るか、あるいは上回る方向に向かっていると判断した場合には、M416のステップに移行してホイールシリンダ50に対する減圧指令を出力し、増圧切換制御弁61を閉、減圧切換制御弁62を開としてホイールシリンダ50のブレーキ液圧を下降させた後、M417のステップに移行して増圧カウンタのカウント値CP を0にリセットして再びM401のステップに戻る。
【0054】
また、M415のステップにて評価値Zが減圧基準値ZS2未満である、すなわち評価値Zが増圧基準値ZS1と減圧基準値ZS2との間にあることから、目標車輪速VS が実際の車輪速VW にほぼ近い状態であると判断した場合には、M418のステップに移行して保持指令を出力し、増圧切換制御弁61を閉、減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリンダ50のブレーキ液圧を保持した後、M417のステップに移行する。
【0055】
なお、増圧カウンタを設けて増圧出力毎にそのカウント値CP をカウントアップして行き、上述したブレーキ液給排モード決定ルーチンの初期段階のM404のステップにて増圧カウンタのカウント値CP が所定値Bを越えたか否かを判定することにより、車両が停止状態であるかを判断する理由は、車両が停止状態にある時には、評価値Zが増圧増圧基準値ZS1と減圧基準値ZS2との間にあり、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の保持出力を行なう必要がないにもかかわらず、増圧切換制御弁61に保持出力を出してしまうからである。
【0056】
M400のステップにおけるブレーキ液給排モード決定ルーチンが終了すると、M500のステップにて目標スリップ率SO および目標車輪速VS の決定のためのルーチンがECU40の目標車輪速設定部45にて実行される。基本的には、周期カウンタのカウント値CS が予め設定した値Aに達する度に、疑似車速VI および車輪速VW よりも大きな第二の目標車輪速VS を設定する一方、これ以外の期間は所定の制動力が得られる第一の目標車輪速VS を設定する。このため、目標車輪速VS の初期値を算出する際に利用される目標スリップ率SO を、第二の目標車輪速VS の場合と第一の目標車輪速VS の場合とで切り換えるようにしており、この初期値を基準として目標車輪速VS をそれまでの疑似車速VI の減速割合に対応して漸次減少させるようにしている。つまり、上述した周期カウンタのカウント値CS と予め設定した値Aとを比較して第一の目標車輪速VS と第一の目標車輪速VS とを切り換える操作が、本発明による目標車輪速切換ステップに該当する。
【0057】
このような本実施例における目標車輪速設定部45の制御手順を図8のフローチャートに示す。すなわち、M501のステップにてABS制御中フラグFB が1にセットされているか否かを判断し、ABS制御中フラグFB が0にリセットされている、すなわちABS制御中ではないと判断した場合には、M502のステップに移行して周期カウンタのカウント値CS および切換フラグFC および目標車輪速設定済フラグFV をそれぞれ0にリセットした後、再びM501のステップに戻る。
【0058】
また、M501のステップにてABS制御中フラグFB が1にセットされている、すなわちABS制御中であると判断した場合には、M503のステップに移行して周期カウンタのカウント値CS を1つ繰り上げてM504のステップに移行する。このM504のステップでは周期カウンタのカウント値CS が所定値A以上か否かを判定し、周期カウンタのカウント値CS が所定値A以上である、すなわち実際の車速を判断するために制動力を一時的に解除する時期に達していると判断した場合には、M505のステップに移行して周期カウンタのカウント値CS を0にリセットし、さらに切換フラグFC を1にセットする。そして、M506のステップにて目標スリップ率SO を車速判定用の目標スリップ率、例えば−0. 1に設定することにより、ホイールシリンダ50に対して減圧出力が実行され、制動力が徐々に解除されて車輪速VW を増速傾向に切り換えることができる。
【0059】
上述したM506のステップに続いてM507のステップでは、目標車輪速設定済フラグFV が1にセットされているか否かを判定し、これが1にセットされていない、すなわち車両の実際の減速割合が算出されていないと判断した場合には、M508のステップにて目標車輪速VS を下式(9) により算出した後、M509のステップにて目標車輪速設定済フラグFV を1にセットし、再びM501のステップに戻る。
【0060】
【数10】
S =(1−SO )・VI ・・・ (9)
また、M507のステップにて目標車輪速設定済フラグFV が1にセットされていると判断した場合には、M510のステップにて今回の目標車輪速VS(n)を下式(10)にて算出し、再びM501のステップに戻る。
【0061】
【数11】
S(n)=VS(n-1)−γVK ・・・(10)
つまり、前記(4) 式により、1制御サイクル当りの実際の車両の減速量γVKが算出されるまでは、(3) 式にて算出される疑似車速VI に基づいて(9) 式により目標車輪速VS を算出するが、1制御サイクル当りの実際の車両の減速量γVKが算出された後は、(10)式にてより正確な目標車輪速VS が算出される。
【0062】
一方、M504のステップにて周期カウンタのカウント値CS が所定値A未満である、すなわち実際の車速を判断するために制動力を一時的に解除する新たな時期にまだ達していないと判断した場合には、M511のステップに移行して切換フラグFC が1にセットされているか否かを判定する。このM511のステップにて切換フラグFC が1にセットされている、すなわち実際の車速を判断するために制動力を一時的に解除している状態にあると判断した場合には、M512のステップに移行して最大車輪速VWSが疑似車速VI にまで回復したかをみるため、最大車輪加速度αWSが0以上で、かつスリップ率Sが所定値、例えば0. 05以下か否かを判定する。このM512のステップにて最大車輪加速度αWSが負であるか、あるいはスリップ率Sが0. 05を越えている、つまり最大車輪速VWSが充分に回復していないと判断した場合には、前記M506のステップに移行して目標スリップ率SO として車速判定用のスリップ率である−0. 1を選択し、M508およびM510のステップにて実際の車速を検出するための第二の目標車輪速VS を算出する。
【0063】
このように、切換フラグFC が1にセットされている状態では、目標スリップ率SO として車速判定用のスリップ率である−0. 1を採用し、前記(9) 式にて算出される第二の目標車輪速VS の初期値をその直前の最大車輪速VWSまたは疑似車速VI よりも大きく設定することにより、ブレーキのホイールシリンダ50からブレーキ液が迅速に排出されるようにし、さらにこの状態からそれまでの疑似車速VI の減速割合に応じて第二の目標車輪速VS を減少させることにより、制動効果の少ない切換フラグFC が1にセットされている期間を短くすることができる。
【0064】
逆に、前記M512のステップにて最大車輪加速度αWSが0以上で、かつスリップ率Sが0. 05以下である、すなわち最大車輪速VWSが疑似車速VI にまで回復していると判断した場合には、M513のステップにて切換フラグFC および目標車輪速設定済フラグFV をそれぞれ0にリセットした後、M514のステップに移行して目標スリップ率SO として路面に対しタイヤが最大摩擦力を得られるスリップ率、例えば0. 15を採用し、M507のステップに移行して所定の制動力が得られる第一の目標車輪速VS を前述したM508およびM510のステップにて設定する。
【0065】
なお、この目標車輪速設定部45にて設定される第一の目標車輪速VS および第二の目標車輪速VS を所定の条件で切り換える本発明の目標車輪速切換手段は、上述した周期カウンタを有するECU40の一部で構成される。また、上述したM512のステップにおいて、スリップ率Sが0ではなく、0. 05以下であるか否かを判断するようにしたのは、ノイズ等の混入による誤判断を防止するためである。さらに、路面に対してタイヤが最大摩擦力を得られる目標スリップ率SO として、本実施例では0. 15を採用したが、車両の走行状態や路面状況等に基づいて変更するようにしても良い。
【0066】
上述した本実施例における制動操作を行った場合の実際の車速と疑似車速と車輪速と目標車輪速との関係を図9に模式的に示しておく。この図9から明らかなように、切換フラグが1にセットされている状態では、第二の目標車輪速Vs が車輪速復帰時点t2 まで常に減少していることから、この車輪速復帰時点t2 から制動力が有効に作用するまでの時間が短くなり、車輪速復帰時点t2 における車輪速を第一の目標車輪速Vs に対して迅速に収束させることができる。
【0067】
このように、本実施例ではブレーキペダル52の踏込みによるブレーキ開始時点t0 から所定の間、摩擦係数の大きな乾燥路における車両の減速度を想定して設定した速度差値K1 を用いてこの間の疑似車速VI を算出し、この疑似車速VI に基づいて設定される第一の目標車輪速VS に車輪速Vw を収束させ、所定時間経過後にホイールシリンダ50の液圧を減圧することにより、最大車輪速VWSを実際の車速まで復帰させ、これにより実際の車両の減速割合を修正するようにしたが、疑似車速VI に基づいて設定される第一の目標車輪速VS に対し、車輪速Vw を所定の許容差で追従させても良く、本実施例で採用した目標車輪速VS を車輪のスリップ率Sに換算して上述した制御を行うようにしても良い。また、ブレーキ開始時点t0 から最大車輪速VWSが所定の閾値以下に達した場合、直ちに減圧を開始して最大車輪速VWSを早急に実際の車速と対応した車輪速にまで復帰させ、実際の車両の減速割合を算出することにより、より早く正確な疑似車速VI を得ることも可能である。
【0068】
上述した実施例では、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の減圧や増圧、あるいは液圧保持のモードを目標車輪速VS と各車輪速VW との偏差ΔVに基づいてブレーキ液圧調整部44にて演算するようにしたが、これを車輪加速度αW に基づいて演算することも可能である。
【0069】
このような本発明の第二実施例の概略構成を図10に示す。すなわち、ECU70の車輪加速度演算部71は、車輪速センサ30からの検出信号に基づいた各車輪10, 20(図2参照)の車輪速VW に対応する車輪加速度αW をそれぞれ算出し、これをブレーキ液圧調整部74に出力する。一方、前記車輪速VW は車輪速修正部72にも同様に出力され、修正された車輪速VW は疑似車速演算部73とブレーキ液圧調整部74とに出力される。疑似車速演算部73は、車輪速修正部72からの車輪速VW に基づき、運転者がブレーキペダル52を踏み込んだ時点からの車速を疑似車速VI として推定し、これをブレーキ液圧調整部74に出力する。
【0070】
そして、ブレーキ液圧調整部74はこれら車輪速修正部72および車輪加速度演算部71および疑似車速演算部73からの情報に基づき、路面に対しタイヤが最大摩擦力を発生するような車輪速となるように、切換制御弁61, 62を駆動して各車輪10, 20のホイールシリンダ50(図3参照)に対してブレーキ液圧の制御、つまりABS制御を行う。
【0071】
このような本発明の第二実施例におけるECU70の制御手順を図11に示す。すなわち、M601のステップにて各車輪速センサ30からの出力に基づき、各車輪10, 20の回転速度VW と、これらの車輪加速度αW とを算出し、これを図示しないメモリに順次記憶する。
【0072】
そして、このM601のステップにて読み込んだ各車輪10, 20の回転速度VW のうちの最大車輪速VWSと、二番目に大きな車輪速(以下、これを第二車輪速と呼称する)VW2とをそれぞれM602のステップにて設定する。
【0073】
このM602のステップにて最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20が、前回の最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20と同一であるか否かをM603のステップにて判定し、これが同一でない、すなわち最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20がTタイプ応急用タイヤを装着していないと判断した場合には、M604のステップにて後述する応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT を0にリセットした後、M605のステップに移行して前回算出した疑似車速VI(n-1)から前回算出した疑似車速変化量ΔVI(n-1)を減じた値および最大車輪速VWSのうち、いずれか大きい方を今回の疑似車速VI(n)として採用する。この場合、今回算出される疑似車速変化量ΔVI(n)は、前回算出した疑似車速VI(n-1)から今回算出した疑似車速VI(n)を減じた値である。
【0074】
つまり、疑似車速演算部73にて今回算出される疑似車速VI(n)
【0075】
【数12】
I(n)=VI(n-1)−ΔVI(n-1)
および
【0076】
【数13】
I(n)=VWS
のうち、いずれか大きい方が採用される。
【0077】
このように、前回算出した疑似車速VI(n-1)から前回算出した疑似車速変化量ΔVI(n-1)を減じた値および最大車輪速VWSのうち、いずれか大きい方を今回の疑似車速VI(n)として採用することにより、例えば制動中の路面状況がその摩擦係数の高い、いわゆる高μ路から路面の摩擦係数の低いいわゆる低μ路に急変し、すべての車輪10, 20がロック傾向となって車輪速VW を算出することが困難となっても不都合は生じない。
【0078】
このM605のステップにて今回の疑似車速VI(n)を算出した後、M606のステップに移行して各車輪10, 20のスリップ率Sを前記(6) 式に基づいてそれぞれ算出し、さらに車輪ロック判定値SR を設定する。
【0079】
ところで、車両のタイヤと路面との間の摩擦力は、タイヤのスリップ率によって大きく異なり、乾燥した路面に対してはスリップ率が例えば10〜15%前後の場合に最大となることが一般的に知られている。そこで、本実施例では車輪ロック判定値SR として0. 15を採用し、車輪10, 20のスリップ率Sが0. 15以上の場合には、車輪10, 20がロック状態にあると判断するようにしている。従って、疑似車速VI の0. 85倍を車輪ロック判定値として採用し、車輪速VW がこの車輪ロック判定値以下の場合に車輪10, 20がロック状態にあると判断しても、同様な結果を得ることができる。
【0080】
M606のステップにて車輪10, 20のスリップ率Sと車輪ロック判定値SR とを算出した後、M607のステップに移行して車輪10, 20のスリップ率Sが車輪ロック判定値SR 以上であるか否かを判定する。そして、このM607のステップにて車輪10, 20のスリップ率Sが車輪ロック判定値SR 以上である、すなわち車輪10, 20がロック気味であると判断した場合には、M608のステップに移行してブレーキ液圧調整部74はホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の減圧操作を選択する。そして、増圧切換制御弁61を閉、減圧切換制御弁62を開としてホイールシリンダ50とリザーバ63とを連通すると共にホイールシリンダ50とマスタシリンダ54とを非連通状態にし、ホイールシリンダ50のブレーキ液圧を下げて車輪10, 20のグリップ力を回復させる。これにより、車輪10, 20の制動力が向上して制動距離を短縮化させることができる。
【0081】
また、M607のステップにて車輪10, 20のスリップ率Sが車輪ロック判定値SR 未満である、すなわち車輪10, 20がロック気味ではないと判断した場合には、M609のステップに移行して車輪加速度αW が比較的小さな正の所定値αR 以下である、すなわち車輪速VW の増加傾向があまり大きくないと判断した場合には、M610のステップに移行してブレーキ液圧調整部74はホイールシリンダ50に対してブレーキ液圧を変化させない保持操作を選択する。そして、増圧切換制御弁61を閉、減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリンダ50を遮断状態にし、ホイールシリンダ50内のブレーキ液圧を保持させることにより、車輪10, 20の制動力をそのままの状態に保つ。さらに、M609のステップにて車輪加速度αW が所定値αR を越えている、すなわち車輪速VW の増加傾向が大きいと判断した場合には、M611のステップに移行してブレーキ液圧調整部74はホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の増圧操作を選択する。そして、増圧切換制御弁61を開、減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリンダ50のブレーキ液圧を上昇させ、車輪速VW の上昇を抑えることにより、車輪10, 20のグリップ力を確保する。
【0082】
一方、M603のステップにて最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20が、前回の最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20と同一である、すなわちこの車輪10, 20がTタイプ応急用タイヤを装着している可能性があると判断した場合には、M612のステップに移行して応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT を一つ繰り上げ、M613のステップにてこの応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が3以上であるか否かを判定する。
【0083】
このM613のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が3未満である、すなわち最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20がTタイプ応急用タイヤを装着しているとまだ断定できない場合には、M605のステップに移行して疑似車速VI を算出する。
【0084】
また、前記M613のステップにて応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値CT が3以上である、すなわち最大車輪速VWSを出力している車輪10, 20がTタイプ応急用タイヤを装着していると判断した場合には、M614のステップにて車輪速補正率ΔKを下式(11)に基づいて算出する。
【0085】
【数14】
ΔK=(VWS−VW2)/VW2 ・・・(11)
そして、M615のステップにて今回算出された最大車輪速VWSを下式(12)に基づいて補正した後、M605のステップに移行する。
【0086】
【数15】
WS=VWS−ΔK・VI(n-1) ・・・(12)
この図11に示したECU70の演算処理は、例えば5ミリ秒毎に繰り返し行われるようになっている。
【0087】
【発明の効果】
本発明のブレーキ液圧制御方法およびその装置によると、車輪速検出手段にて検出される複数の車輪の回転速度の偏差を車輪速偏差演算手段にて算出し、これら車輪の回転速度の偏差が所定以上の場合に、車輪速修正手段にて疑似車速設定用の車輪速を修正するようにしたので、Tタイプ応急用タイヤを装着した車両であっても、アンチロックブレーキ機構を何ら問題なく作動させることができ、タイヤの径の如何にかかわらず、制動操作の際における車両の制動距離を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレーキ液圧制御装置を後輪駆動車に応用した第一実施例における制御ブロック図である。
【図2】本実施例におけるアンチロックブレーキ装置のシステム概念図である。
【図3】本実施例におけるブレーキ液圧回路の一部を表す概念図である。
【図4】本実施例における基本的な制御手順の一例を表すフローチャートである。
【図5】本実施例における車輪速偏差演算部および車輪速修正部による処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】本実施例における疑似車速演算部の処理の流れを表すフローチャートである。
【図7】本実施例におけるブレーキ液圧調整部の処理の流れを表すフローチャートである。
【図8】本実施例における目標車輪速設定部の処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】本実施例における実際の車速と疑似車速と車輪速と目標車輪速との関係を表すグラフである。
【図10】本発明によるブレーキ液圧制御装置の第二実施例の制御ブロック図である。
【図11】本実施例におけるブレーキ液圧調整部の処理の流れを表すフローチャートである。
【符号の説明】
10FR, 10FL, 20RR, 20RL 車輪
30FR, 30FL, 30RR, 30RL 車輪速センサ
40 ECU(制御ユニット)
41 車輪速偏差演算部
42 車輪速修正部
43 疑似車速演算部
44 ブレーキ液圧調整部
45 目標車輪速設定部
50 ホイールシリンダ
52 ブレーキペダル
57 ブレーキスイッチ
61 増圧切換制御弁
62 減圧切換制御弁
70 ECU
71 車輪加速度演算部
72 車輪速修正部
73 疑似車速演算部
74 ブレーキ液圧調整部
A 周期カウンタの予め設定した値
B 増圧カウンタの所定値
T 応急用タイヤ使用判定タイマのカウント値
S 周期カウンタのカウント値
P 増圧カウンタのカウント値
ΔD タイヤ外径比
T 応急用タイヤ使用中フラグ
C 切換フラグ
V 目標車輪速設定済フラグ
B ABS制御中フラグ
VP 初回減速割合算出済フラグ
G 係数
K 係数
1 速度差
ΔK 車輪速補正率
S 車輪のスリップ率
O 目標スリップ率
R 車輪ロック判定値
0 ブレーキ開始時点
2 車輪速復帰時点
FR, VFL, VRR, VRL, VW 車輪速
W2 第二車輪速
WS 最大車輪速
WL 最小車輪速
O ブレーキ開始車速
I 疑似車速
S 目標車輪速
P 復帰実車速
ΔV 目標車輪速と車輪速との偏差
ΔVI 疑似車速変化量
Z 評価値
S1 増圧基準値
S2 減圧基準値
αW 車輪加速度
αWS 最大車輪加速度
β 目標車輪速と車輪速との偏差の変化率
γVK 1制御サイクル当りの実際の車両の減速量

Claims (4)

  1. 複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出ステップと、
    これら車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定ステップと、
    この疑似車速設定ステップにて設定された疑似車速と前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速とに基づき、所定の制動力が得られる第一目標車輪速、ならびに疑似車速および車輪速よりも大きな第二目標車輪速をそれぞれ設定する目標車輪速設定ステップと、
    この目標車輪速設定ステップにて設定される第一目標車輪速と第二目標車輪速とを所定の条件で切り換える目標車輪速切換ステップと、
    前記車輪速検出ステップにて検出される車輪速が第一目標車輪速に追従するように、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧をそれぞれ調整するブレーキ液圧調整ステップと
    を有するブレーキ液圧制御方法において、
    前記ブレーキ液圧調整ステップの非実行時に前記車輪速検出ステップにて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差判定ステップと、
    この車輪速偏差ステップにて応急用タイヤが使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出ステップにて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正ステップと
    を具え、前記疑似車速設定ステップは、前記車輪速修正ステップにて修正された車輪速と前記車輪速検出ステップにて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするブレーキ液圧制御方法。
  2. 複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、
    これら車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定手段と、
    この疑似車速設定手段にて設定された疑似車速と前記車輪速検出手段にて検出された車輪速とに基づき、所定の制動力が得られる第一目標車輪速、ならびに疑似車速および車輪速よりも大きな第二目標車輪速をそれぞれ設定する目標車輪速設定手段と、
    この目標車輪速設定手段にて設定される第一目標車輪速と第二目標車輪速とを所定の条件で切り換える目標車輪速切換手段と、
    前記車輪速検出手段にて検出される車輪速が第一目標車輪速に追従するように、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧をそれぞれ調整するブレーキ液圧調整手段と
    を有するブレーキ液圧制御装置において、
    前記ブレーキ液圧調整手段の非作動時に前記車輪速検出手段にて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算手段と、
    この車輪速偏差演算手段が応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出手段にて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正手段と
    を具え、前記疑似車速設定手段は、前記車輪速修正手段にて修正された車輪速と前記車輪速検出手段にて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  3. 複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出ステップと、
    この車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて車輪加速度を算出する車輪加速度演算ステップと、
    前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定ステップと、
    この疑似車速設定ステップにて設定された疑似車速と、前記車輪速検出ステップにて検出された車輪速と、前記車輪加速度演算ステップにて算出された車輪加速度とに基づき、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を増圧する増圧操作か、変化させずに保持する保持操作か、あるいは減圧する減圧操作を選択するブレーキ液圧選択ステップと
    を有するブレーキ液圧制御方法において、
    前記ブレーキ液圧選択ステップの非作動時に前記車輪速検出ステップにて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算ステップと、
    この車輪速偏差演算ステップにて応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出ステップにて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正ステップと
    を具え、前記疑似車速設定ステップは、前記車輪速修正ステップにて修正された車輪速と前記車輪速検出ステップにて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするブレーキ液圧制御方法。
  4. 複数の車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、
    これら車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて車輪加速度を算出する車輪加速度演算手段と、
    前記車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定手段と、
    この疑似車速設定手段にて設定された疑似車速と、前記車輪速検出手段にて検出された車輪速と、前記車輪加速度演算手段にて算出された車輪加速度とに基づき、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を増圧する増圧操作か、変化させずに保持する保持操作か、あるいは減圧する減圧操作を選択するブレーキ液圧選択手段と
    を有するブレーキ液圧制御装置において、
    前記ブレーキ液圧調整手段の非作動時に前記車輪速検出手段にて検出される前記複数の車輪の回転速度の偏差を算出し、応急用タイヤが使用中であるか否かを判定する車輪速偏差演算手段と、
    この車輪速偏差演算手段が応急用タイヤを使用中であることを判定した場合、前記車輪速検出手段にて検出された前記応急用タイヤに対応する車輪速を少なめに修正する車輪速修正手段と
    を具え、前記疑似車速設定手段は、前記車輪速修正手段にて修正された車輪速 と前記車輪速検出手段にて検出される残りの車輪速とから疑似車速を設定することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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