JP3540660B2 - スタンド付き農作業機、および、スタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法 - Google Patents

スタンド付き農作業機、および、スタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタンド付き農作業機、および、スタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法に係り、特に、農作業機本体の重心がこの農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合であっても、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業を簡単にできるスタンド付き農作業機、および、スタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、畦塗り機、溝堀機等の農作業機の倉庫内での移動等を容易にするために、農作業機本体の両側部にスタンド装置を着脱自在に取り付け、この取り付けたスタンド装置にてその農作業機本体を地上から持ち上げた状態に支持するようにしている。
【0003】
そして、このスタンド装置を備えた農作業機、すなわち、スタンド付き農作業機では、倉庫内での移動等が容易になるばかりでなく、トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けたクイックカプラへの連結作業が簡単になる。
【0004】
すなわち、このスタンド付き農作業機の農作業機本体の3点係合部の上部係合部の下方に、クイックカプラの上部係合部を位置させた後、トラクタの3点リンクヒッチ部を上方へ回動させると、農作業機本体の上部係合部がクイックカプラの上部係合部に係合し、続いて、その3点リンクヒッチ部を更に上方へ回動させると、農作業機本体の左右一対の下部係合部が略同一の地上高さ位置からクイックカプラの左右一対の下部係合部に略同時に係合し、この農作業機本体がクイックカプラに自動的に連結されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この農作業機本体の重心が、この農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合にあっては、農作業機本体の上部係合部とクイックカプラの上部係合部とが係合した状態で、3点リンクヒッチ部を更に上方へ回動させたときに、農作業機本体が傾き、農作業機本体の左右一対の下部係合部が互いに異なる地上高さ位置に位置することになる。
【0006】
そして、この農作業機本体の下部係合部が互いに異なる地上高さ位置に位置する結果、これら下部係合部がクイックカプラの下部係合部に適切に係合されない。
【0007】
このため、農作業機本体の重心が、この農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合には、作業補助者が、農作業機本体が傾かないように補助しなければならず、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業が煩雑となる問題を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作業機本体の重心が、この農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合であっても、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業を簡単にできるスタンド付き農作業機、および、スタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のスタンド付き農作業機は、トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けられたクイックカプラの上部係合部および左右一対の下部係合部にそれぞれ係合する上部係合部および左右一対の下部係合部を有する3点係合部を前部に備えるとともに両側部にスタンド取付け部を備え、重心が幅方向の中央から幅方向の一端側に偏心した農作業機本体と、この農作業機本体の両スタンド取付け部に取り付けられ、前記農作業機本体を地上から持ち上げた状態に支持するスタンド装置とを備え、前記スタンド装置は、前記農作業機本体の重心が偏心した側の一側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた重荷重側スタンド体と、前記農作業機本体の重心が偏心した側とは反対側の他側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた軽荷重側スタンド体とを備え、これら重荷重側スタンド体および軽荷重側スタンド体にて前記農作業機本体をこの農作業機本体が地面に平行な水平線に対して所定の角度をもって幅方向の一端側から他端側に向って下方向に傾斜した状態に支持するものであり、前記スタンド装置にて支持された前記農作業機本体を前記トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けたクイックカプラに連結する場合に、前記トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動により、前記農作業機本体の上部係合部が前記クイックカプラの上部係合部に係合し、前記トラクタの3点リンクヒッチ部の更なる上方への回動により、前記農作業機本体の軽荷重側の一方の下部係合部が、前記クイックカプラの対応する一方の下部係合部に、他方の下部係合部の係合に先立って係合するように、前記農作業機本体が所定の回動中心軸を中心として回動して、前記農作業機本体の左右一対の下部係合部が前記クイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するものである。
【0010】
そして、トラクタの3点リンクヒッチ部を上方に回動させると、農作業機本体の上部係合部がクイックカプラの上部係合部に係合し、次いで、トラクタの3点リンクヒッチ部を更に上方に回動させると、農作業機本体の軽荷重側の一方の下部係合部がクイックカプラの対応する一方の下部係合部に、他方の下部係合部の係合に先立って係合するように、農作業機本体が所定の回動中心軸を中心として回動して、農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するので、農作業機本体の重心が幅方向の中央から偏心している場合であっても、従来とは異なり、農作業機本体が傾かないよう補助する必要がない。
【0011】
請求項2記載のスタンド付き農作業機は、請求項1記載のスタンド付き農作業機において、スタンド装置は、重荷重側スタンド体の高さ寸法を軽荷重側スタンド体の高さ寸法より大きくし、トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動時に、農作業機本体がこの農作業機本体の上部係合部と前記重荷重側スタンド体の後端部とを結んだ軸線を回動中心軸として回動して、前記農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するものである。
【0012】
そして、トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動時に、農作業機本体が、この農作業機本体の上部係合部と重荷重側スタンド体の後端部とを結んだ軸線を回動中心軸として回動して、農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するので、農作業機本体の重心がこの農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合であっても、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業が確実に簡単になる。
【0013】
請求項3記載のスタンド付き農作業機は、請求項1又は2記載のスタンド付き農作業機において、重荷重側スタンド体の後端部を、軽荷重側スタンド体の後端部より後方位置に配設したものである。
【0014】
そして、重荷重側スタンド体の後端部を軽荷重側スタンド体の後端部より後方位置に配設したため、互いに向い合う位置に配設した構成に比べて、低い地上高さ位置にて、農作業機本体をクイックカプラに連結できる。
【0015】
請求項4記載のスタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法は、トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けられたクイックカプラの上部係合部および左右一対の下部係合部にそれぞれ係合する上部係合部および左右一対の下部係合部を有する3点係合部を前部に備えるとともに両側部にスタンド取付け部を備え、重心が幅方向の中央から幅方向の一端側に偏心した農作業機本体と、この農作業機本体の両スタンド取付け部に取り付けられ、前記農作業機本体を地上から持ち上げた状態に支持するスタンド装置とを備え、前記スタンド装置は、前記農作業機本体の重心が偏心した側の一側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた重荷重側スタンド体と、前記農作業機本体の重心が偏心した側とは反対側の他側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた軽荷重側スタンド体とを備え、これら重荷重側スタンド体および軽荷重側スタンド体にて前記農作業機本体をこの農作業機本体が地面に平行な水平線に対して所定の角度をもって幅方向の一端側から他端側に向って下方向に傾斜した状態に支持するものであるスタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法であって、前記スタンド装置にて支持された前記農作業機本体の3点係合部の上部係合部の下方に、前記クイックカプラの上部係合部を位置させる工程と、前記トラクタの3点リンクヒッチ部を上方に回動させることにより、前記農作業機本体の上部係合部を前記クイックカプラの上部係合部に係合させる工程と、前記トラクタの3点リンクヒッチ部を更に上方に回動させることにより、前記農作業機本体を所定の回動中心軸を中心としてこの農作業機本体の前側が上方に引き起こされる方向に回動させて、この農作業機本体の軽荷重側の一方の下部係合部を前記クイックカプラの対応する一方の下部係合部に係合させる工程と、前記トラクタの3点リンクヒッチ部をより更に上方に回動させることにより、前記農作業機本体の重荷重側の他方の下部係合部を前記クイックカプラの対応する他方の下部係合部に向けて引き寄せるようにして係合させる工程とを具備したものである。
【0016】
そして、各工程を経て、スタンド装置にて支持した農作業機本体をトラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けたクイックカプラに連結する場合には、農作業機本体の重心が幅方向の中央から偏心している場合であっても、従来とは異なり、農作業機本体が傾かないよう補助する必要がない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスタンド付き農作業機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0018】
図1および図2において、1はトラクタで、このトラクタ1の後部には3点リンクヒッチ部2が設けられ、この3点リンクヒッチ部2には3点リンクヒッチ用のクイックカプラ3が着脱自在に取り付けられている。
【0019】
この3点リンクヒッチ部2は、1本の上部リンク5と、左右一対の下部リンク6a,6bとを備え、この両下部リンク6a,6bはリフティングロッド7を介在して図示しない左右一対のリフトアームに吊り下げられている。
【0020】
そして、このリフトアームが油圧で上下操作されると、前記3点リンクヒッチ部2が上方または下方に回動し、この3点リンクヒッチ部2の回動に基づき、農作業機本体10が上下動する。なお、前記上部リンク5、リフティングロッド7は長さ調節可能になっている。
【0021】
また、前記クイックカプラ3は、前記トラクタ1の3点リンクヒッチ部2に農作業機本体10を自動的に連結させるためのもので、図5に示すように、外形略三角形状に形成されている。
【0022】
そして、このクイックカプラ3は、パイプ材にて略逆U字形状に形成された基体11を有し、この基体11の上部中央には上部係合部12が設けられ、下部には左右一対の下部係合部13a ,13b が設けられている。なお、このクイックカプラ3の両下部係合部13a ,13b は、農作業機本体10の連結前の状態で、略同一高さ位置に位置している。
【0023】
この上部係合部12は、互いに対向した一対の上部プレート15,15を有し、この各上部プレート15の前側上部、すなわち、前記トラクタ1と対向する側の上部には、上部リンク連結用孔16が複数形成され、この各上部リンク連結用孔16のうち適宜に選択された上部リンク連結用孔16に前記上部リンク5の先端部が連結される。また、この各上部プレート15の後側上部には略半円弧状の係合凹部17が下方に向って切り欠き形成され、この係合凹部17に連続してピン案内部18が後上方に向って傾斜状に形成されている。
【0024】
前記各下部係合部13a ,13b は、下部プレート22をそれぞれ有し、この下部プレート22の前側下部、すなわち、前記トラクタ1と対向する側の下部には、下部リンク連結用ピン23が水平状に突出形成され、この下部リンク連結用ピン23に前記下部リンク6a,6bの先端部が連結される。また、この下部プレート22の後側には係合切欠き部25が上下方向の中央に位置して形成されている。
【0025】
さらに、この下部プレート22には、アーム用ピン26が外方に向って水平状に突出形成され、このアーム用ピン26にはロックアーム27の長手方向の略中央部が回動自在に連結され、このロックアーム27はばね28にて後側が上方に向う方向に付勢される。また、このロックアーム27には略半円弧状の係合凹部29が下方に向って切り欠き形成され、この係合凹部29に連続してピン案内部30が後下方に向って傾斜状に形成されている。
【0026】
なお、このロックアーム27のピン案内部30にて、農作業機本体10の後述のロワピン49が案内され、前記ロックアーム27が前記ばね28の付勢力に抗して回動させられ、このロワピン49が係合凹部29に係合されるとともに係合切欠き部25に係合されると、このロワピン49がロックアーム27にてロックされた状態になるが、このロック解除は、ロックアーム27の前端部に連結されたレバー31の操作により簡単に行なうことができる。
【0027】
一方、図1ないし図4に示すように、前記農作業機本体10は、例えば畦塗り機本体であり、この農作業機本体10は、スタンド装置40にて地上から所定距離持ち上げられた状態で移動自在に支持され、この農作業機本体10は圃場、倉庫内で全方向に向けて容易に移動できるようになっている。
【0028】
この農作業機本体10は、幅方向に長手方向を有し、この農作業機本体10の重心Oが幅方向の中央から偏心しており、この重心位置が農作業機本体10の幅方向の中央より一端側の部分、すなわち、前記トラクタ1の進行方向Xに対して右側部分の位置にある。
【0029】
そして、この農作業機本体10の前部の他側、すなわち軽荷重側である左側には、3点係合部41が設けられ、この3点係合部41は、前記クイックカプラ3の上部係合部12に係合する上部係合部42と、前記クイックカプラ3の左右一対の下部係合部13a ,13b にそれぞれ係合する左右一対の下部係合部43a ,43b とを備えている。
【0030】
この上部係合部42は、図1に示すように、前記トラクタ1側に向って、すなわち、前方に向って突出した一対のマスト45,45を有し、この一対のマスト45の先端部間にはトップピン46が取り付けられ、このトップピン46が、前記クイックカプラ3の上部係合部12の係合凹部17に係脱自在に係合する。
【0031】
前記各下部係合部43a ,43b は、前方に向って突出したロワアーム48をそれぞれ有し、このロワアーム48の先端部にはロワピン49が外方に向って突出形成され、このロワピン49が、前記クイックカプラ3の下部係合部13a ,13b の係合凹部29と係合切欠き部25とに係脱自在に係合する。
【0032】
なお、この農作業機本体10の軽荷重側の一方の下部係合部43a と、重荷重側の他方の下部係合部43b との間には、スプライン軸等からなる入力軸50が回転自在に配設され、この入力軸50が前記トラクタ1の図示しない動力取出軸(PTO軸)に、図示しない動力伝達軸を介して連結される。
【0033】
また、この農作業機本体10の両側部には、左右一対のスタンド取付け部51a ,51b が設けられ、この各スタンド取付け部51a ,51b は上下方向に軸方向を有する細長筒状のホルダ52を有し、このホルダ52には上下に貫通した挿通孔53が形成されている。なお、必要に応じて、このホルダ52はその向きを変更できるように回動可能な構成とする。
【0034】
さらに、この農作業機本体10の重荷重側である一側の下部には、図1および図2に示すように、前記入力軸50から入力された動力を受けて回転して畦を掘削する畦掘削部55が設けられ、この畦掘削部55の後方には畦塗り部56が配設され、この畦塗り部56にて前記畦掘削部55で掘削した土が畦に塗り付けられ、新畦が造成される。なお、57は前記トラクタ1に対して直進性を与える直進走行輪である。
【0035】
一方、前記スタンド装置40は、図1ないし図4に示すように、軽荷重側スタンド体61a と、重荷重側スタンド体61b とを備えている。
【0036】
この軽荷重側スタンド体61a は、前記農作業機本体10の重心Oが偏心した側とは反対側の他側部に設けたスタンド取付け部51a に取り付けられ、この軽荷重側スタンド体61a の下部には、第3キャスタ63および第4キャスタ64が前記農作業機本体10の前後方向に沿って互いに所定距離離間して配設されている。
【0037】
また、前記重荷重側スタンド体61b は、前記農作業機本体10の重心Oが偏心した側の一側部に設けたスタンド取付け部51b に取り付けられ、この重荷重側スタンド体61b の下部には、第1キャスタ65および第2キャスタ66が前記農作業機本体10の前後方向に沿って互いに所定距離離間して配設されている。
【0038】
そして、この重荷重側スタンド体61b の高さ寸法H1 は、軽荷重側スタンド体61a の高さ寸法H2 より大きくなっている。
【0039】
すなわち、この重荷重側スタンド体61b および軽荷重側スタンド体61a にて、前記農作業機本体10を支持した場合、この農作業機本体10が、図3に示すように、地面に平行な水平線に対して所定の角度α゜(例えば、約3゜)をもって、幅方向の一端側から他端側に向って下方向に傾斜した状態となる。この所定の角度α゜は、ロワピン49の中心軸線と地面に平行な水平線とのなす角度と同一である。
【0040】
また、前記重荷重側スタンド体61b の後端部の第2キャスタ66は、前記軽荷重側スタンド体61a の後端部の第4キャスタ64より後方の位置に配設されている。
【0041】
すなわち、図4に示すように、第2キャスタ66と第4キャスタ64とが互いに向い合った位置にある場合と比べて所定の角度β゜(例えば、約3゜)をなす程度互いに前後位置が異なっている。なお、第1キャスタ65および第3キャスタ63についても、同様に、所定の角度β゜をなす程度互いに前後位置が異なっている。
【0042】
一方、この重荷重側スタンド体61b および軽荷重側スタンド体61a は、図4に示すように、ともに略同一長さ寸法で形成された前後方向に長手方向を有する水平棒部としての水平板部71を有し、この水平板部71の長手方向の両端部に、前記第1ないし第4キャスタ63,64,65,66が全方向に対して向き変更可能に取り付けられている。
【0043】
また、この水平板部71の長手方向の中央部から上方に向って立ち上がり棒部72が突設され、この立ち上がり棒部72の上端部が前記ホルダ52の挿通孔53に挿通され、図示しない連結ピン等にて高さ位置調節可能にこの立ち上がり棒部72の上端部がホルダ52に連結固定されている。
【0044】
次に、上記一実施の形態の作用を図7を参照して説明する。
【0045】
スタンド装置40にて支持された農作業機本体10を、トラクタ1の3点リンクヒッチ部2に取り付けたクイックカプラ3に連結する場合、まず、第1ないし第4キャスタ63,64,65,66により、農作業機本体10を適宜に移動させ、この農作業機本体10をトラクタ1の後方に位置させる。なお、図示しない動力伝達軸は、その基端部をトラクタ1のPTO軸に連結し、先端部をクイックカプラ3の所定部位で支持しておく。
【0046】
そして、トラクタ1を農作業機本体10に向けて後退させ、このスタンド装置40にて支持された農作業機本体10の3点係合部41の上部係合部42の下方に、クイックカプラ3の上部係合部12を位置させる。この農作業機本体10の状態を図6(a) に示す。
【0047】
その後、トラクタ1の3点リンクヒッチ部2を図示しない油圧装置にて上方に回動させると、農作業機本体10の上部係合部42のトップピン46が、クイックカプラ3の上部係合部12のピン案内部18にて案内されて係合凹部17に係合する。
【0048】
次いで、トラクタ1の3点リンクヒッチ部2を更に上方に回動させると、農作業機本体10の軽荷重側の一方の下部係合部43a が、クイックカプラ3の対応する一方の下部係合部13a に、農作業機本体10の他方の下部係合部43b とクイックカプラ3の下部係合部13b との係合に先立って係合するように、農作業機本体10が所定の回動中心軸を中心として回動し、その結果、農作業機本体10の左右一対の下部係合部43a ,43b が、クイックカプラ3の対応する左右一対の下部係合部13a ,13b に係合することとなる。
【0049】
すなわち、農作業機本体10の上部係合部42とクイックカプラ3の上部係合部12とが係合した状態で、3点リンクヒッチ部2を更に上方に回動させると、農作業機本体10の前側が上方に引き起こされて、この農作業機本体10が前方に少し移動し、第1キャスタ65と第3キャスタ63とが地面から離れた図6(b) に示す状態となり、その後、農作業機本体10が、重心Oが偏心していることに基づき、所定の回動中心軸、すなわち、農作業機本体10の上部係合部42のトップピン46と重荷重側スタンド体61b の後端部の第2キャスタ66とを結んだ図6(c) に示す軸線Zを中心として、この農作業機本体10の前側が更に上方に引き起こされる方向に回動する。
【0050】
その結果、この農作業機本体10の軽荷重側の一方の下部係合部43a のロワピン49が前方に移動しつつ、クイックカプラ3の対応する一方の下部係合部13a のピン案内部30にて案内され、ロックアーム27がばね28の付勢力に抗して回動し、このロワピン49が係合凹部29に係合しかつ係合切欠き部25に係合する。
【0051】
続いて、農作業機本体10の上部係合部42とクイックカプラ3の上部係合部12とが係合し、かつ、農作業機本体10の軽荷重側の下部係合部43a とクイックカプラ3の対応する下部係合部13a とが係合した状態で、3点リンクヒッチ部2をより更に上方に回動させると、農作業機本体10の前側が下部係合部13a で支持された状態でさらに上方に引き起こされて、この農作業機本体10が前方に少し移動し、第1キャスタ65および第3キャスタ63に加えて第4キャスタ64が地面から離れる。
【0052】
そして、この第4キャスタ64が地面から離れるに伴い、農作業機本体10の重荷重側の他方の下部係合部43b がクイックカプラ3の対応する他方の下部係合部13b に向けて引き寄せられて、所定の地上高さ位置まで上昇し、この他方の下部係合部43b のロワピン49が前方に移動しつつクイックカプラ3の対応する他方の下部係合部13b のピン案内部30にて案内され、ロックアーム27がばね28の付勢力に抗して回動し、このロワピン49が係合凹部29に係合しかつ係合切欠き部25に係合する。なお、3点リンクヒッチ部2の上方への回動時に、図示しない動力伝達軸の先端部に、農作業機本体10の入力軸50が自動的に連結される。
【0053】
また、農作業機本体10のトラクタ1への連結完了後、スタンド装置40の軽荷重側スタンド体61a および重荷重側スタンド体61b は、農作業機本体10による作業の邪魔にならないよう、農作業機本体10から取り外したり、或いは、正常な向きとは異なる向きにする。なお、水平板部71、立ち上がり棒部72が長さ調節可能な構造である場合には、水平板部71、立ち上がり棒部72のそれぞれの長さを適宜に短くして邪魔にならないようにする。
【0054】
このようにして、上記一実施の形態によれば、スタンド付き農作業機のトラクタ1への連結にあたって、トラクタ1の3点リンクヒッチ部2の上方への回動により、農作業機本体10の上部係合部42がクイックカプラ3の上部係合部12に係合し、この3点リンクヒッチ部2の更なる上方への回動により、農作業機本体10の軽荷重側の一方の下部係合部43a がクイックカプラ3の対応する一方の下部係合部13a に、下部係合部43b ,13aの係合に先立って係合するように、農作業機本体10が所定の回動中心軸、すなわち、農作業機本体10の上部係合部42のトップピン46と重荷重側スタンド体61b の後側の第2キャスタ66とを結んだ軸線Zを中心として前側が上方に引き起こされる方向に回動して、農作業機本体10の左右一対の下部係合部43a ,43b が、クイックカプラ3の左右一対の下部係合部13a ,13b に順次係合するので、農作業機本体10の重心Oがこの農作業機本体10の幅方向の中央から偏心している場合であっても、従来とは異なり、農作業機本体10が傾かないよう補助する必要がなく、クイックカプラ3への農作業機本体10の連結作業を確実に簡単にでき、スムーズに装着できる。
【0055】
また、重荷重側スタンド体61b の後端部の第2キャスタ66を、軽荷重側スタンド体61a の後端部の第4キャスタ64より後方の位置に配設したため、第2キャスタ66の配設位置を第4キャスタ64に合わせるようにして第2キャスタ66と第4キャスタ64とが互いに向い合う位置に配設した構成に比べて、より低い地上高さ位置にて、農作業機本体10をクイックカプラ3に連結できる。
【0056】
なお、上記一実施の形態においては、農作業機本体10は、例えば畦塗り機本体であると説明したが、畦塗り機には限定されず、例えば、溝堀機本体等でもよく、重心Oが幅方向の中央から偏心した構造のものであればよい。
【0057】
また、スタンド装置40にて農作業機本体10を支持した状態で、第1ないし第4キャスタ63,64,65,66に無理な負荷が働かないようにし、農作業機本体10の移動作業を円滑できるようにするために、図7に示すように、スタンド装置40a の第1ないし第4キャスタ63,64,65,66を、これら第1ないし第4キャスタ63,64,65,66が接地面に対して垂直になるように、重荷重側スタンド体61b および軽荷重側スタンド体61a にそれぞれ設けた構成としてもよい。すなわち、この構成では、立ち上がり棒部72が、地面に立てた垂線に対して、所定の角度γ゜(例えば、約3゜)をもって、農作業機本体10の幅方向の一端側から他端側に向かう方向に傾斜状に水平板部71に立設されている。なお、立ち上がり棒部72を傾斜状にする代わりにホルダ52を傾斜状にした構成でもよい。また、第1ないし第4キャスタ63,64,65,66は必ずしも必要ではない。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動により、農作業機本体の上部係合部がクイックカプラの上部係合部に係合し、この3点リンクヒッチ部の更なる上方への回動により、軽荷重側の一方の下部係合部が、クイックカプラの対応する一方の下部係合部に、他方の下部係合部の係合に先立って係合するように、農作業機本体が回動して、農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するので、農作業機本体の重心がこの農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合であっても、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業を簡単にできる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動時に、農作業機本体が、この農作業機本体の上部係合部と重荷重側スタンド体の後端部とを結んだ軸線を回動中心軸として回動して、農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合するので、農作業機本体の重心がこの農作業機本体の幅方向の中央から偏心している場合であっても、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業を確実に簡単にできる。
【0060】
請求項3記載の発明によれば、重荷重側スタンド体の後端部を軽荷重側スタンド体の後端部より後方位置に配設したため、互いに向い合う位置に配設した構成に比べて、低い地上高さ位置にて、農作業機本体をクイックカプラに連結できる。
【0061】
請求項4記載の発明によれば、各工程を経て、スタンド装置にて支持した農作業機本体をトラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けたクイックカプラに連結する場合には、農作業機本体の重心が幅方向の中央から偏心している場合であっても、従来とは異なり、農作業機本体が傾かないよう補助する必要がなく、クイックカプラへの農作業機本体の連結作業を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンド付き農作業機の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上スタンド付き農作業機の平面図である。
【図3】同上スタンド付き農作業機の正面図である。
【図4】同上スタンド付き農作業機の斜視図である。
【図5】トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けられるクイックカプラの背面図である。
【図6】同上スタンド付き農作業機の作用を説明するための説明図で、(a) が上部係合部42の係合前の状態の農作業機本体を示す図であり、(b) が第1キャスタ65および第3キャスタ63が地面から離れた状態の農作業機本体を示す図であり、(c) が所定の回動中心軸Zを中心として回動した後の農作業機本体を示す図である。
【図7】同上スタンド付き農作業機の他の形態のスタンド装置の正面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 3点リンクヒッチ部
3 クイックカプラ
10 農作業機本体
12 クイックカプラの上部係合部
13a ,13b クイックカプラの下部係合部
40,40a スタンド装置
41 3点係合部
42 農作業機本体の上部係合部
43a ,43b 農作業機本体の下部係合部
51a ,51b スタンド取付け部
61a 軽荷重側スタンド体
61b 重荷重側スタンド体
O 重心
Z 軸線

Claims (4)

  1. トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けられたクイックカプラの上部係合部および左右一対の下部係合部にそれぞれ係合する上部係合部および左右一対の下部係合部を有する3点係合部を前部に備えるとともに両側部にスタンド取付け部を備え、重心が幅方向の中央から幅方向の一端側に偏心した農作業機本体と、
    この農作業機本体の両スタンド取付け部に取り付けられ、前記農作業機本体を地上から持ち上げた状態に支持するスタンド装置とを備え、
    前記スタンド装置は、前記農作業機本体の重心が偏心した側の一側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた重荷重側スタンド体と、前記農作業機本体の重心が偏心した側とは反対側の他側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた軽荷重側スタンド体とを備え、これら重荷重側スタンド体および軽荷重側スタンド体にて前記農作業機本体をこの農作業機本体が地面に平行な水平線に対して所定の角度をもって幅方向の一端側から他端側に向って下方向に傾斜した状態に支持するものであり、
    前記スタンド装置にて支持された前記農作業機本体を前記トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けたクイックカプラに連結する場合に、前記トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動により、前記農作業機本体の上部係合部が前記クイックカプラの上部係合部に係合し、
    前記トラクタの3点リンクヒッチ部の更なる上方への回動により、前記農作業機本体の軽荷重側の一方の下部係合部が、前記クイックカプラの対応する一方の下部係合部に、他方の下部係合部の係合に先立って係合するように、前記農作業機本体が所定の回動中心軸を中心として回動して、前記農作業機本体の左右一対の下部係合部が前記クイックカプラの左右一対の下部係合部に係合する
    ことを特徴とするスタンド付き農作業機。
  2. スタンド装置は、重荷重側スタンド体の高さ寸法を軽荷重側スタンド体の高さ寸法より大きくし、
    トラクタの3点リンクヒッチ部の上方への回動時に、農作業機本体がこの農作業機本体の上部係合部と前記重荷重側スタンド体の後端部とを結んだ軸線を回動中心軸として回動して、前記農作業機本体の左右一対の下部係合部がクイックカプラの左右一対の下部係合部に係合する
    ことを特徴とする請求項1記載のスタンド付き農作業機。
  3. 重荷重側スタンド体の後端部を、軽荷重側スタンド体の後端部より後方位置に配設した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のスタンド付き農作業機。
  4. トラクタの3点リンクヒッチ部に取り付けられたクイックカプラの上部係合部および左右一対の下部係合部にそれぞれ係合する上部係合部および左右一対の下部係合部を有する3点係合部を前部に備えるとともに両側部にスタンド取付け部を備え、重心が幅方向の中央から幅方向の一端側に偏心した農作業機本体と、
    この農作業機本体の両スタンド取付け部に取り付けられ、前記農作業機本体を地上から持ち上げた状態に支持するスタンド装置とを備え、
    前記スタンド装置は、前記農作業機本体の重心が偏心した側の一側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた重荷重側スタンド体と、前記農作業機本体の重心が偏心した側とは反対側の他側部に設けたスタンド取付け部に取り付けられた軽荷重側スタンド体とを備え、これら重荷重側スタンド体および軽荷重側スタンド体にて前記農作業機本体をこの農作業機本体が地面に平行な水平線に対して所定の角度をもって幅方向の一端側から他端側に向って下方向に傾斜した状態に支持するものであるスタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法であって、
    前記スタンド装置にて支持された前記農作業機本体の3点係合部の上部係合部の下方に、前記クイックカプラの上部係合部を位置させる工程と、
    前記トラクタの3点リンクヒッチ部を上方に回動させることにより、前記農作業機本体の上部係合部を前記クイックカプラの上部係合部に係合させる工程と、
    前記トラクタの3点リンクヒッチ部を更に上方に回動させることにより、前記農作業機本体を所定の回動中心軸を中心としてこの農作業機本体の前側が上方に引き起こされる方向に回動させて、この農作業機本体の軽荷重側の一方の下部係合部を前記クイックカプラの対応する一方の下部係合部に係合させる工程と、
    前記トラクタの3点リンクヒッチ部をより更に上方に回動させることにより、前記農作業機本体の重荷重側の他方の下部係合部を前記クイックカプラの対応する他方の下部係合部に向けて引き寄せるようにして係合させる工程と
    を具備したことを特徴とするスタンド付き農作業機のトラクタへの連結方法。
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