JP3540100B2 - 肝疾患者用栄養組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物由来であるエタノールアミンを含有することを特徴とする、肝疾患者用栄養組成物に関するものであり、さらに好ましくは、果物由来のエタノールアミンを含んでなる、肝疾患者用栄養組成物に関するものである。
本発明に係る栄養組成物は、それ自体で使用できるほか、広く一般に使用されている栄養組成物に、天然植物由来のエタノールアミンを含んでなる栄養組成物とすることも可能であり、肝機能が低下した患者に対しても、そしてまたその予防ないし保健のために健常者に対しても広く使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
肝機能が低下した患者に対する食餌療法は、高エネルギー高たん白質組成の食餌が基礎となっている。さらに肝不全ではアミノ酸の代謝に異常が認められることから、血漿遊離アミノ酸のインバランスの是正を図るべくアミノ酸構成を考慮した食餌療法が必要である。
【0003】
肝不全を特徴づけている肝性脳症の発現機序については、重症肝障害における血漿遊離アミノ酸パターンの異常、特に分岐鎖アミノ酸の減少および芳香族アミノ酸、トリプトファン、メチオニンの上昇が特徴的で、この血漿遊離アミノ酸パターンの乱れに由来する脳内アミン代謝異常が肝性脳症の主な原因であることが明らかになっている。
肝不全時の血中分岐鎖アミノ酸の減少は、肝障害により増加したインシュリンが筋組織や脂肪組織での分岐鎖アミノ酸の取り込みを増加させるためであり、また血中芳香族アミノ酸およびトリプトファンの増加は、肝および筋のたん白質異化亢進、肝のたん白質合成能の低下、さらには肝臓での芳香族アミノ酸およびトリプトファンの処理能力の低下によるものと考えられている。したがって肝不全を対象とした製剤では、芳香族アミノ酸に比べ分岐鎖アミノ酸の配合割合を著しく高くした遊離アミノ酸によって構成されている。
【0004】
肝硬変など重症肝疾患時には脂質代謝に異常が認められ、多価不飽和脂肪酸、特にリン脂質中のアラキドン酸、DHAの欠乏が報告されている。リン脂質は主として肝ミクロソームで合成され、リポ蛋白として血清中に存在する。リン脂質濃度の低下および構成脂肪酸の異常は、肝における合成能の低下によるものと広く考えられている。
リン脂質は、胃粘膜防御機能においても重要であり、肝硬変時のエネルギー利用率の半分以上を脂質によっていることから、栄養補給として脂肪乳剤によるリン脂質の強化とアラキドン酸およびDHAの添加が試行されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の肝疾患用栄養組成物は、肝疾患者における各種栄養成分のインバランスの是正による、肝障害の維持または軽減を目的としているのに対して、本発明は、肝障害を積極的に軽減および修復する成分を含有して長期食餌療法において使用することができるすぐれた栄養組成物を、新たに開発する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために各方面から鋭意検討した結果、エタノールアミンの腹腔内投与ならびに経口投与により、四塩化炭素肝障害ラットの血清トランスアミナーゼが有意に低下し肝障害の修復効果が認められ、肝病理組織像のネクローシス部分の面積が縮小することが認められた点(特願平8−61599)に着目し、肝障害時の長期食餌療法栄養補給にすぐれた栄養組成物の開発が可能であることを初めて発見した。
【0007】
エタノールアミンは広く天然に存在し、情報伝達系物質として生体に必要であることが知られている。急性毒性試験の結果(特願平8−61599)からも毒性は認められていない。エタノールアミンの分子量は61.08と経口投与とした場合にもその吸収能において非常に有利な物質といえる。
また、エタノールアミンは、牛乳1mlあたり約8μg程度含まれている。しかしエタノールアミンは、一般に魚類や獣肉類などの腐敗による生成物としてアミン類が知られていることから、安全性の面において、消費者のニーズに適合しない。
【0008】
そこで、上記のようにエタノールアミン自体は非常に有効であるので、その有効性を生かしながら、特に肝疾患者が摂取するのに適した栄養組成物を開発する必要を認め、具体的には、長期間に亘って摂取することができ、したがって異味、異臭等がなく風味や食感の面でも摂取しやすく、もちろん安全性は確認されているのみでなく、各種タイプの飲食品として加工可能である点をすべて満足しうる組成物を開発する必要を認めた。
【0009】
そこで先ず、天然物由来のエタノールアミンに着目し、各方面から上記した要件を満足しうるエタノールアミン源について検討した結果、天然物由来のエタノールアミン供給源として植物が有効であり、さらに含有量について研究を重ねた結果、特に植物、好ましくは果物に高い水準で存在していることをつきとめた。さらに共存物質の安全性の観点より、供給源として果物を使用することがいっそう有効であることをつきとめた。含有量の測定は、常法にしたがってアミノ酸分析法により、励起波長340nm、蛍光波長455nmにて測定した。
【0010】
また、エタノールアミンの含有量についても検討した結果、次のことがわかり、本発明の完成に至った。
つまり、エタノールアミンの含有量については、本発明に係る栄養組成物は1kcalあたり10〜800μg、さらに望ましくは100〜500μgのエタノールアミンを含むことにより、1日1500kcal摂取した場合150〜750mgのエタノールアミンを長期間摂取することができ、肝障害の修復に十分な効果が期待されるものである。
【0011】
本発明においては植物(好適には果物)由来のエタノールアミンが使用されるが、エタノールアミンとしては、充分に精製した精製品が使用されることはもちろんのことであるが、粗精製品でも含有物でもあるいはその処理物でも、自由に使用することができる。
含有物としては、植物(果物)の搾汁液等エタノールアミンを含有する植物由来物がすべて使用可能であり、その処理物としては、濃縮物〜ペースト化物〜乾燥物等各種の処理をして得られたものが適宜使用可能である。
【0012】
植物としては、エタノールアミンを含有する植物が広く使用され、例えば野菜類、果物類が1種又は2種以上好適に使用される。
野菜類としては、ホウレン草、小松菜等葉菜類のほか、ニンジン、大根、ゴボウ等根菜類、芋類等が適宜使用される。
果物としては、パインアップル、ミカン、オレンジ、レモン、ライム、リンゴ、ブドウ、モモ、カキ、キウイ等各種の果物が広く使用される。
【0013】
本発明においては、上記した栄養組成物をそのまま肝疾患者に摂取させてもよいが、その他の食品成分を配合して用いると更に良い結果が得られる。
その他の食品成分としては、蛋白質源、糖質源、及び/又は脂質源があり、必要あれば他の成分も加えて、液状〜ペースト状〜固状の各種形態の飲食品タイプの組成物とすることができる。
【0014】
本組成物におけるたん白質源としては、動物性および植物性たん白質、さらにその加水分解物および結晶アミノ酸を使用することができる。たん白質源としての各原材料の使用割合については特に規制しないが、動物性たん白質としては、牛乳、卵、獣肉、鶏肉、魚肉等を原料として得られる動物由来のたん白質が使用され、また、植物性たん白質としては、小麦、大豆、米、コーン等を原料として得られる植物由来のたん白質が使用される。加水分解物としては、腸管における吸収にすぐれた低分子ペプチドが考えられ、さらに望ましくは肝疾患に対する効果を期待し、分岐鎖アミノ酸を多く含んだ高フィッシャー比の加水分解物が有効である。結晶アミノ酸としては、一般にその有効性が認知されている、L−アルギニンや分岐鎖アミノ酸、その他必須アミノ酸などが使用でき、特に規制されるものではない。
また、たん白質含有量を押さえた組成物を作成し、すでに製剤となっている高フィッシャー比製剤と同時使用することで、肝疾患者に対してさらなる効果が期待される。
【0015】
本組成物における糖質源としては、フルクトース、ラクツロース、グルコース、デキストリン、乳糖等が使用できる。含有量として特に規制するものではないが、エネルギー比率としてみた場合50〜65%を糖質より供給することが望ましい。
【0016】
脂質源としては、植物油、魚油、獣油などが使用でき、含有脂肪酸としてEPA、DHA、アラキドン酸、リノレン酸等の強化が望ましい。脂質のエネルギー比率としては、20〜30%が望ましい。また乳化安定剤として、植物および卵黄由来のレシチンを使用することもできる。
【0017】
以下、本発明組成物の製造例について述べる。
【0018】
【製造例1】
市販パインアップル(ハワイ産)可食部2000kgを圧搾し、果汁を得る。得られた果汁を目開き106μmのフィルターにてろ過する。ろ液を濃縮機に供して加熱減圧濃縮し、1kgあたり2150mgのエタノールアミンを含んだパインアップル濃縮果汁を得た。
次に下記の表1で示す配合組成により、常法に従って肝疾患者に有効な組成物を製造した。
【0019】
【表1】
【0020】
製造した組成物は、1mlあたり1kcalに調整されており、肝疾患者が一日あたり1500ml飲用すれば、およそ300mgのエタノールアミンを摂取することが可能である。
【0021】
【製造例2】
市販温州みかん(佐賀県産)200kg(果肉、じょうのう、アルベド、フラベドなど果実全体)を粉砕し、温水2000リットル中にて一昼夜攪拌浸漬した後、水溶液を目開き106μmのフィルターにてろ過する。このろ液を濃縮機に供して加熱減圧濃縮することで、1kgあたり4620mgのエタノールアミンを含んだ濃縮原料を得た。
次に下記の表2で示す配合組成により、常法に従って肝疾患者に有効な組成物を製造した。
【0022】
【表2】
【0023】
製造した組成物は、1mlあたり1kcalに調整されており、肝疾患者が一日あたり1500ml飲用すれば、およそ750mgのエタノールアミンを摂取することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、有効成分の一つとしてエタノールアミンを含有することにより、肝疾患者のQOLを尊重した長期間の栄養治療(GOT値、GPT値の減少および被障害細胞の再生)にも十分対応可能であり、健常者における肝疾患予防効果も十分期待できる。含有するエタノールアミンは天然物由来であり、肝疾患の治療に対して副作用もなく安全且つ有効に長期治療が可能である。
Claims (3)
- 植物、好ましくは果物より得られたエタノールアミンを1kcal当たり10〜800μg含有すること、を特徴とする肝疾患者用栄養組成物。
- 該エタノールアミンが、エタノールアミン自体及び/又はその含有物であること、を特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 該エタノールアミン含有物が、植物搾汁液、好ましくは果物搾汁液の濃縮液及び/又はその処理物であること、を特徴とする請求項2に記載の組成物。
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JPH1028550A JPH1028550A (ja) | 1998-02-03 |
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-
1996
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