JP3540027B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ハウジングと軸との間の隙間に設けられて、例えばオイル等の漏れを防止する密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体機器、例えば、油圧を用いる自動車のパワーステアリング装置では、ハウジングと軸との間の隙間に流体(オイル)の漏れを防止する密封装置が設けられている。
【0003】
この種の密封装置として、従来より、ゴム状弾性体で形成された環状のオイルシールが用いられており、軸が摺動するような部位ではバックアップリングが併設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、オイルシール(或いはバックアップリング)と相手部材(ハウジング又は軸)とは、材質が異なり、また、大きさも異なるため、温度上昇によってオイルシール(或いはバックアップリング)及び相手部材の何れか一方が他方に対して早く膨張することがあり、オイルシール(或いはバックアップリング)と相手部材との間の締代が少なくなったり、隙間を生じ、シール不良を生ずる場合がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、温度変化が生じても良好なシール性を保つことのできる密封装置を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、互いに同心的に相対回転または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間の環状の隙間を密封するシールを備えた密封装置において、前記シールは、外周面が前記ハウジングに形成された穴の内周面に密着するように前記穴に嵌合する環状の嵌合部と、前記嵌合部の外周部に設けられ前記外周部から径方向外側へ延びるフランジ部と、前記フランジ部の先端に設けられ前記ハウジングの前記穴よりも径方向外側に形成された環状溝部に嵌合する屈曲部と、を有し、前記ハウジングは、前記穴の径方向外側に、前記嵌合部と前記フランジ部との間に配置される凸部を有する、ことを特徴としている。
【0007】
【作用】
請求項1に記載の密封装置では、嵌合部の外周部から径方向外側へ延びるフランジ部の先端に設けられた屈曲部が、ハウジングの穴よりも径方向外側に形成された環状溝部に嵌合しているので、ハウジングの熱膨張がシールの熱膨張よりも早い場合でも、凸部が拡径して屈曲部の内周側を押圧するので、温度変化によるシール性の低下を防止することができる。
【0008】
【実施例】
[第1の比較例]
本発明を説明する前に、第1の比較例を図1及び図2にしたがって説明する。
【0009】
図1に示すように、ハウジング(例えば、パワーステアリングのステアリングボックス)10には、軸としてのシャフト12を挿通する穴14が形成されている。この穴14は、ベアリング16の圧入される大径部14Aと、環状のオイルシール18の圧入される中径部14Bと、シャフト12を外部へ突出させる小径部14Cとを有する。
【0010】
大径部14Aには、ベアリング16が圧入され、このベアリング16及び図示しない他のベアリングによってシャフト12が回転自在に支持されている。
【0011】
本比較例では、ハウジング10にアルミ(熱伝導率0.49cal ・cm-1・sec -1・deg -1、体積膨張係数0.70×10-4°C -1)が用いられており、シャフト12にスチール(熱伝導率0.107cal ・cm-1・sec -1・deg -1、体積膨張係数0.35×10-4°C -1)が用いられている。
【0012】
図2に示すように、オイルシール18は、環状の溝部20を有して断面が略U字状とされており、外周側には穴14の中径部14Bに嵌合する外周密着手段としての嵌合部22が設けられ、内周側にはシャフト12に密着する内周密着手段としてのシールリップ24が設けられている。
【0013】
オイルシール18には、金属の環状部材26が一体的に埋設されている。環状部材26は、溝部20の外側部分に埋設される円筒部26Aと円筒部26Aの一方から内側に延びるフランジ部26Bとを備え、断面形状がL字状とされている。
【0014】
また、溝部20の径方向内側の壁面には、シールリップ24の径方向外側に、半円弧溝28が形成されている。この半円弧溝28には、環状に形成された金属の締付スプリングとしてのコイルスプリング30が嵌められている。
【0015】
このオイルシール18は、径方向外周側がゴム状弾性体32、内周側がゴム状弾性体34で形成されている。ゴム状弾性体32とゴム状弾性体34との境界Sは、溝部20の底部に位置しており、前述した環状部材26はゴム状弾性体32に埋設されて加硫接着されている。
【0016】
ここで、ゴム状弾性体32の熱伝導率はゴム状弾性体34の熱伝導率よりも大きく設定されており、例えばゴム状弾性体32にNBR(熱伝導率0.59×10-3cal ・cm-1・sec -1・deg -1)を用いた場合には、ゴム状弾性体34にはCR(熱伝導率0.46×10-3cal ・cm-1・sec -1・deg -1)やブチルゴム(熱伝導率0.22×10-3cal ・cm-1・sec -1・deg -1)等を用いることができる。なお、ゴム状弾性体32の熱伝導率はゴム状弾性体34の熱伝導率よりも大きく設定されていれば、上記のゴム以外の組み合わせであってもよいのは勿論である。また、ゴム状の弾性を有するものであれば、ゴム以外の材質であっても良く、例えばウレタンや合成樹脂であっても良いのは勿論である。
【0017】
次に、本比較例の作用を説明する。
【0018】
従来、ケーシングとシールリングとの間のシール性を向上させるため、ケーシングにオイルシールを固定した構造があるが(実開昭63−60721号公報)、この構造では、ケーシングが膨張するとシールリングとシャフトとの隙間が大きくなり洩れが発生する虞れがある。
【0019】
また、シール本体に液体を封入した流体室を設け、液体の熱膨張を利用してハウジングとの間の締代を変化可能な密封装置が提案されているが(実開平5−36166号公報)、熱伝導率は流体(空気)よりもハウジングの方が大であるため、温度上昇初期においてはハウジングが先に膨張し、シャフト側に締代の減少や隙間を生じる虞れがある。
【0020】
上記従来例では、各部材の熱伝導率が考慮されていないため、熱がハウジングとシャフトの両方から与えられた場合、ハウジング(ケーシング)にアルミ系の金属を用い、シャフトに鉄系の金属を用いた場合に、温度上昇によってハウジングの穴径がシャフトやオイルシールよりも大きくなり易い。
【0021】
しかしながら、本比較例のオイルシール18では、外周側のゴム状弾性体32の熱伝導率を内周側のゴム状弾性体34の熱伝導率よりも高く設定することにより、温度上昇初期において、シールの外径寸法の拡大を早く、内径寸法の拡大を遅くすることができ、外周側及び内周側での締代の減少を抑えて、温度上昇初期におけるハウジング10側のシール性及びシャフト12側のシール性の両方を良好に保つことができる。
【0022】
なお、オイルシール18の内周側も外周側と同じゴム状弾性体32にすると、温度上昇初期において内径の拡径が大きくなり、シャフト12との間でシール不良を生ずる懸念がある。
【0023】
また、本比較例では、ゴム状弾性体32とゴム状弾性体34とが境界Sで明確に区別されていたが、内側から外側にかけて熱伝導率の変化する傾斜機能材料等で全体を構成してもよい。
[第2比較例]
第2比較例を図3にしたがって説明する。なお、第1比較例と同一構成に関しては同一符号を付しその説明は省略する。
【0024】
図3に示すように、本比較例のオイルシール18は、同一のゴム材で形成されており、溝部20の内周側の部分に、内環状部材40が埋設されている。内環状部材40は、溝部20の内側部分に埋設される円筒部40Aと円筒部40Aの一方から外側に延びるフランジ部40Bとを備え、断面形状がL字状とされている。
【0025】
本比較例では、環状部材26の形成材料は、内環状部材40の形成材料よりも熱伝導率及び体積膨張係数の高いものが用いられており、本比較例では環状部材26の材料が銅(熱伝導率0.91cal ・cm-1・sec -1・deg -1、体積膨張係数0.5×10-4°C -1)であり、内環状部材40の材料がカーボン系(熱伝導率0.67×10-3cal ・cm-1・sec -1・deg -1、体積膨張係数0.16×10-4°C -1)である。
【0026】
即ち、本比較例では熱伝導率がハウジング10<環状部材26>内環状部材40<シャフト12の大小関係となる。したがって、温度上昇初期において、環状部材26をハウジング10よりも先に、内環状部材40よりもシャフト12を先に温度上昇させることができ、各シール面で温度上昇による初期の隙間発生を防止することができる。本比較例では、特に、環状部材26の体積膨張係数を内環状部材40の体積膨張係数よりも大きくしてあるので、熱伝導率に差を付けた効果を更に高めることができる。
[実施例]
本発明の実施例を図4及び図5にしたがって説明する。なお、前記比較例と同一構成に関しては同一符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
図4に示すように、本実施例のオイルシール18は、第2比較例のオイルシール18と同様に全体が同一のゴム材で形成されており、内部には環状部材26が埋設されている。図4及び図5に示すように、本実施例のオイルシール18では、オイル13側の外周部の端部に外側に延びるフランジ部50が形成されており、フランジ部50の先端が大気11側に屈曲された屈曲部としてのキャップ部50Aとなっている。フランジ部50の内部には、断面L字状とされた金属製の環状部材52が埋設されている。なお、図5において、環状部材26及び環状部材52は図示を省略している。
【0028】
図5に示すように、ハウジング10には大径部14Aと中径部14Bとの段部に、環状溝部54が形成されており、この環状溝部54にオイルシール18のキャップ部50Aが嵌合している。
【0029】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0030】
温度上昇初期においてハウジング10がオイルシール18よりも早く膨張すると、嵌合部22と中径部14Bとの間でシール性の低下を生じる虞れがあるが、環状溝部54の内側にあるハウジング10の凸部10Aが拡径してキャップ部50Aの内周側を押圧するので、ここでハウジング10側のシール性を良好に保つことができる。
【0031】
一般的に、新品のオイルシールでは、ハウジングの穴径よりも外径が所定寸法大きくなっており、取り付けた際に圧縮されて良好なシール性を得ることができるが、長期の使用によって劣化したオイルシールでは、外径がハウジングの穴径とほぼ同等となることがある。図6に示すように、一般的な従来のオイルシール100では(本実施例と同一構成には同一符号を付す)、外周部分に本実施例のキャップ部50Aに相当するものが無いため、長期の使用によってハウジング側のシール性が低下する問題があった。
【0032】
しかし、本実施例のオイルシール18では、環状溝部54にキャップ部50Aが嵌合しているので、長期にわたって良好なシール性を保つことができる。
【0033】
なお、前述したハウジング、シャフト、ラックバー、オイルシール、環状部材、内環状部材の材質は実施例に述べた材質に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の材質を用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に記載の密封装置では、ハウジングの熱膨張がシールの熱膨張よりも早い場合でも、凸部が拡径して屈曲部の内周側を押圧するので、シール性の低下を防止できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の比較例を示し、パワーステアリングのハウジング及びシャフトのオイルシール取
付部分を示す断面図である。
【図2】第1の比較例に係るオイルシールの拡大断面図である。
【図3】第2比較例に係るオイルシールの拡大断面図である。
【図4】実施例に係るオイルシールの拡大断面図である。
【図5】パワーステアリングのハウジング及びシャフトのオイルシール取付部分を示す断面図で
ある。
【図6】従来のオイルシールの拡大断面図である。
Claims (1)
- 互いに同心的に相対回転または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間の環状の隙間を密封するシールを備えた密封装置において、
前記シールは、外周面が前記ハウジングに形成された穴の内周面に密着するように前記穴に嵌合する環状の嵌合部と、前記嵌合部の外周部に設けられ前記外周部から径方向外側へ延びるフランジ部と、前記フランジ部の先端に設けられ前記ハウジングの前記穴よりも径方向外側に形成された環状溝部に嵌合する屈曲部と、を有し、
前記ハウジングは、前記穴の径方向外側に、前記嵌合部と前記フランジ部との間に配置される凸部を有する、ことを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24410594A JP3540027B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 密封装置 |
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JP24410594A JP3540027B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 密封装置 |
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JPH08105550A JPH08105550A (ja) | 1996-04-23 |
JP3540027B2 true JP3540027B2 (ja) | 2004-07-07 |
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Family Applications (1)
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JP24410594A Expired - Fee Related JP3540027B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3540027B2 (ja) |
-
1994
- 1994-10-07 JP JP24410594A patent/JP3540027B2/ja not_active Expired - Fee Related
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