JP3539840B2 - 熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに熱転写用の両面記録用受像紙 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明に係る両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに両面記録用受像紙は、熱転写により画像を形成する画像形成方法において用いられる熱転写用の両面記録用受像紙を製造するための装置及び方法、並びに両面記録用受像紙に関し、特に、白抜けと称される受像の不確実さを防止した両面記録用受像紙とその製造方法及び製造装置を提供すべく考えたものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるパーソナルコンピュータやオフィスコンピュータの晋及に伴い、これらコンピュータ上で作成した画像を、フルカラーで印刷可能な印刷機(プリンタ)が普及している。上述した各種コンピュータで作成したカラ一画像を印刷(プリントアウト)する場合、熱転写型のプリンタが用いられることが多い。以下に、この熱転写方式に就いて、簡単に説明する。
【0003】
上記熱転写プリンタは、インクシートをヘッドの熱で溶かして専用の紙(受像紙)に転写するもので、溶融型熱転写方式と昇華型熱転写方式とに大別される。上記溶融型熱転写方式は、インクシートを加熱し、溶融したインクを用紙に転写するものである。この方式の場合、印字へッド上の各ドットに与えた熱の影響により高解像度化が困難であったが、近時、発熱するへッドを単結晶シリコンとする等の微細化技術により、熱安定性を向上させ、へッドの温度制御を容易に行えるようにして、高解像度化を図れるようにしたものが知られるようになっている。
【0004】
一方、上記昇華型熱転写方式は、昇華性染料を主成分とするインクシートに熱を与え、気化した染料を専用紙(受像紙)上の受像層を構成するポリエステル系の樹脂と反応させて転写する。この方式の場合、加熱量を調整することによりドット単位で階調を表現自在である。尚、上記昇華型熱転写方式がドット単位で階調を表現できるのに対し、前記溶融型熱転写方式によって印字するドットは、サイズや濃度が一定である。
【0005】
上記インクシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(コーティング)等の支持体上に染料の層を形成している。一方、昇華型熱転写方式によって印字される用紙(受像紙)は、次のように構成されている。すなわち、晋通紙や合成紙等、或は合成樹脂シート等の基材紙上に、上記インクシートの染料が拡散或は移行自在な樹脂層から成る受像層と、上記受像層とインクシートとの溶看を防止し、離型性を持たせるための離型層と、を形成することにより構成される。上記受像層としては、飽和ポリエステル樹脂を含む種々の樹脂とともに変性シリコンオイルを有機溶剤に溶解させて成る塗料組成体を、上記合成紙等の基材紙上に塗布し、乾燥させることにより形成している。尚、上記離型層は、上記受像層を高温(100度以上)の温度で加熱処理することによりシリコンオイルをこの受像層の表面にブリードさせ、硬化させることによって形成している。
【0006】
更に、上記受像層を構成する塗料として、従来は液体のものを基材紙に塗布していたが、例えば、上記塗料として粉体を採用する構成も考えられ、又、実際に使用されている。更に、この粉体を白色のものとすることにより、上記受像紙を通常の普通紙と同様、白色のものとする技術も知られている。尚、このように粉体塗料を採用して製造された受像紙は、昇華型熱転写方式のものであっても溶融型熱転写方式のものであっても、いずれにも使用できる。
【0007】
上述したような従来知られた受像紙を製造するための装置の概要を図2に示す。この装置は、基材紙供給部lと、現像部2と、転写部3と、定着部4と、排出部5と、を備えている。上記基材紙供給部lは、1対のローラと搬送手段とを備えている。受像層を未だ形成されていない基材紙は、上記l対のローラを経て搬送手段により転写部3に搬送される。搬送手段としては、例えばローラやべル卜等、従来知られたものを採用できる。
【0008】
上記現像部2は、塗料貯蔵部8(図3参照)と、現像スリーブと、ブレードと、ドット潜像形成器と、を備えている。これら構成各部材のうち、上記塗料貯蔵部8は、粉体塗料9(図3参照)を貯蔵する。すなわち、この例の構造の場合、上述したように塗料として粉体を使用する。このように、粉体塗料9を使用する利点としては、製造工程の簡易化と低コスト化を挙げられる。何となれば、溶液塗料を基材紙に塗布する製造方法の場合、塗布工程、乾燥工程、離型層形成工程等、多数の工程を要する。これに対して、粉体塗料9を使用する製造方法の場合、製造工程の簡略化を図れ、その結果製造コストの低廉化を図れるためである。又、図示の例の場合、完成した受像紙を普通紙と同様、白色とするために上記粉体塗料9を白色粉体塗料としている。上記現像スリーブは上記白色粉体塗料が供給される。上記ブレードは、現像スリーブへの白色粉体塗料の付着厚を制御する。上記トット潜像形成器は、現像スリーブから白色粉体を移行させるもので、一例として図3に示すように、感光体から成る帯電ドラム6を備え、この帯電ドラム6の表面にレーザービームを照射して散点状の潜像を描画する。
【0009】
尚、上記白色粉体塗料は、例えば特開平8−224970号公報に記載されているように、熱可塑性樹脂と白色顔料(白色着色材)と種々のワックス類(オフセット防止剤)とを含んで構成される。上記オフセット防止剤は、上記樹脂と後述する定着手段(定看部)を構成するローラとの離型性を向上させるために設ける。すなわち、溶融したオフセット防止剤が上記ローラと上記樹脂との界面に行き亙ることにより離型性が向上し、基材紙に付着すべき樹脂が、上記ローラに付着してしまうことを防止する。このような白色粉体の組成等に就いては、上記公報に記載されているため、詳細な説明は省略する。
【0010】
上記現像部2において、帯電ドラム6の表面に付着した白色粉体塗料は、この帯電ドラム6の回転に伴って図3に示すような転写部3に移動する。この転写部3においては、基材紙7の裏面(白色粉体塗料の付着面とは反対面で、図3下面)に、白色粉体塗料とは逆極性の電荷が与えられ、上記白色粉体塗料が静電力によって基材紙7上に散点状に転写される。尚、上記現像部2において、基材紙7に転写した後にも帯電ドラム6上に残存する白色粉体塗料9が除去される。この除去工程は、例えば、公知のクリーナ部によって行われる。上記基材紙供給部1と現像部2と転写部3とが塗布手段を構成する。
【0011】
転写部3によって白色粉体塗料9が転写された基材紙7は、搬送手段によって定着部4に搬送される。この定着部は、図4、5に示すように、l対のローラ10、11から成る定着ローラ12から構成されている。この1対のローラ10、11は、上記基材紙7を加圧並びに加熱自在てある。上記基材紙7がこのl対のローラ10、11を通過することにより、基材紙7上に転写された白色粉体塗料9が加圧並びに加熱されて溶融し、受像層13が形成される。このようにして受像層13が形成された基材紙7は、上記排出部5により排出される。尚、この定着部4において、上記加熱により白色粉体に含まれるオフセット防止剤も溶融する。このオフセット防止剤の溶融により、オフセット防止剤が上記ローラと上記樹脂との界面に行き亙り、離型性が向上する。この結果、基材紙に付着すべき樹脂が、上記ローラに付着してしまうことが防止される。従って、上記加熱する際の温度はオフセット防止剤を含む白色粉体塗料9が溶融可能な温度に制御される。
【0012】
上記定着部4における定着方式は、上記図4、5に示すものの他、種々の構成が知られているが、現在、主流となっているのは、図示のような、熱と圧力とを利用した、いわゆるヒートロール定着方式のものである。これは、熱効率の良さ、安全性の高さ、安定した定着性を得られること、等のためである。このヒートロール定着方式の構造に就いて、更に説明すると、図5に示すように、上側のローラ10の内部にヒータ14を設け、上記基材紙7をこのヒータ14により加熱自在としている。上記ヒータ14としては、例えばハロゲンランプを利用したものを採用できる。下側のローラ11は、図示しない弾性材等により、上記上側のローラ10に向けて付勢され、上記基材紙7を加圧する。これら加熱及び加圧により、上記白色粉体塗料9が基材紙7に定着する。尚、図5で、符号15は定着温度を制御するためのサーミスタ、符号16はサーモスイッチ、符号17は基材紙7の巻き付きを防止するための分離爪である。
【0013】
熱転写用の両面記録用受像紙は、上述のような装置を用いて製造される。そして、最終工程で所定の大きさに裁断され、更に所定枚数ごとに包装され、市場に送り出される。このような両面記録用受像紙は、熱転写型のプリンタ等に装着され、コンビュータ等で作成された画像等をカラ一印刷される。
【0014】
尚、本出願人は、先に、受像時におけるオフセット防止剤の悪影響を排除し得る受像紙製造装置及びその製造方法並びに受像紙を考えた。この先発明は、上記加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点よりも低くしたことを特徴としている。このような構成としたのは、次の理由による。すなわち、オフセッ卜防止剤は、粉体塗布面側のローラと、加熱して溶融された塗料と、の剥離性を向上させるために使用される。言い換えれば、オフセット防止剤が溶融して上記ローラと白色粉体塗料組成体との接点周辺に行き亙ることにより、剥離性が向上する。このオフセット防止剤は、上記加熱手段による加熱により溶融して基材紙7全面に拡散し、この状態で加熱終了後(ローラ通過後)に冷却されるため、上記基材紙7の全面にまんべんなく行き亙っている。ところが、このようにまんべんなく行き亙ったオフセット防止剤は、実際に熱転写型のプリンタによって当該受像紙に画像等を転写する際に、インクののりを悪化させてしまう。このことは、溶融型熱転写方式のものであれ、昇華型熱転写方式のものであれ、いずれであっても言えることである。すなわち、溶融型熱転写方式の場合、インクと受像層と接合力が、上記まんべんなく行き亙ったオフセット防止剤によって弱められてしまう。又、昇華型熱転写方式の場合、受像層へのインクの拡散性が、上記まんべんなく行き亙ったオフセット防止剤によって悪化してしまう。そこで、上記定着時に、白色粉体塗料組成体の主成分である上記樹脂は溶融し、上記オフセット防止剤は溶融しないように、上記加熱温度を上述の範囲に設定する。
【0015】
上述のように、上記加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点よりも低くすることにより、上記樹脂は溶融して基材紙7全面に拡散する一方で、上記オフセット防止剤は、さほど溶融せず、上記受像層内に粉体として混入した状態であるため、このオフセット防止剤の悪影響を排除できる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように製造される受像紙は、その片面(表裏両面のうちの一の面)にのみ受像層を形成する、片面記録用の受像紙である。一般には、このような片面記録用の受像紙があれば、実用上の不便を感じることはないが、受像紙の有効利用やランニングコストの低減等を図るべく、その両面に記録可能な受像紙の開発が望まれている。このような両面記録用の受像紙は、原理的には上述した装置を用いて製造することが可能と思われる。すなわち、受像紙をなす基材紙の一面(表面)に上述のようにして受像層を形成し、次いで、その他面(裏面)に同様にして受像層を形成することが考えられる。更には、上述した先発明の技術を用いれば、確実な受像を行える両面記録用の受像紙を得られると考えられる。
【0017】
しかしながら、前述した先発明構造を用いて基材紙の一面及び他面にそれぞれ受像層を形成する場合、先に定着作業を施された基材紙の一面側の受像層を構成するオフセット防止剤が、他面側の定着作業時に再び溶融してしまい、このオフセット防止剤が上記一面側にまんべんなく行き亙ってしまう。すなわち、基材紙の両面に受像層を形成する場合、上記先発明構造を利用してオフセット防止剤の拡散を画像の転写の妨げとならないように配慮して形成したとしても、先に定着作業を施された面側では上記オフセット防止剤がまんべんなく行き亙ってしまい、前述した不都合を防止できない。勿論、先発明構造を利用しない従来構造を利用して、基材紙の両面にそれぞれ定着作業を行う場合、いずれの定着作業においてもオフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱するため、基材紙の表裏いずれの面でもオフセット防止剤がまんべんなく行き亙る。このようにオフセット防止剤がまんべんなく行き亙ることによる不都合は、先に述べたとおりであり、当該受像紙のいずれの面においても受像が不確実になってしまう。
【0018】
更に、先発明の技術を適用する場合、後に行う定着作業時においては、先に行う定着作業により、基材紙の一面側のオフセット防止剤は、当該面にまんべんなく行き亙ってはいない状態である。この結果、後に行われる基材紙の他面側の定着作業時に、ローラとこの一面側の受像層との離型性が悪く、この2度目の定着作業時に、上記一面側の受像層が破壊されてしまう。このように、先に定着させた受像層が破壊されると、実際にプリンタによって画像を記録する際に、当該面には品質良く受像できず、意味をなさない。
【0019】
上述のような2度に亙る定着作業の面倒等を解消すべく、1度に基材紙両面の定着作業を行うことも考えられる。しかしながら、白抜けを防止した高品質の受像を可能にするためには、定着ローラを構成する1対のローラのうち粉体塗料塗布面側のローラをいわゆるハードローラとする必要があるため、基材紙の両面を一度に定着する構造を採用する場合、上記1対のローラのいずれをもハードローラとしなければならない。このように構成することは、後述するように、結果的に白抜けが増加し、受像の高品位化を果たすことができない。言い換えれば、同時定着という方法は、採用できない。
【0020】
この発明に係る熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに熱転写用の両面記録用受像紙は、上述のような事情に鑑みて創案されたもので、受像時におけるオフセット防止剤の悪影響を排除し得る熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法を提供し、且つ、オフセット防止剤の悪影響を排除した受像を行える熱転写用の両面記録用受像紙を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに熱転写用の両面記録用受像紙のうち(以下、熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに熱転写用の両面記録用受像紙を、単に、両面記録用受像紙製造装置、両面記録用受像紙の製造方法、両面記録用受像紙という。)、両面記録用受像紙製造装置に関する発明は、請求項1に記載したように、基材紙の両面に、受像層を構成する、少なくとも樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成される粉体塗料組成体を塗布し、更に定着する、両面記録用受像紙製造装置に関する。このような請求項1に記載した両面記録用受像紙製造装置においては、前記基材紙の一面に前記粉体塗料組成体を塗布する第一の塗布手段と、この第一の塗布手段によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第一の定着手段と、前記基材紙の他面に前記粉体塗料組成体を塗布する第二の塗布手段と、この第二の塗布手段によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第二の定着手段と、を備えている。そして、前記第一の定着手段は、前記粉体塗料組成体に含まれる前記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱し、前記第二の定着手段は、前記樹脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度で加熱することを特徴としている。
【0022】
この発明に係る両面記録用受像紙製造装置は、上述のように構成されるため、基材紙の表裏いずれの面にも受像層が確実に形成され、十分に実用的な両面記録用受像紙を得ることができる。尚、先に定着作業を施される基材紙の一面側の受像層においては、オフセット防止剤がまんべんなく行き亙った状態であるため、他面側の受像層の品位には若干劣るものの、実用上は問題ない品質を確保できる。このような、現在知られている片面記録用の受像紙と同程度以上の品質を確保した、両面記録用の受像紙は、十分に実用に供せられるものであり、今まで知られていなかった両面記録式の受像紙を提供できる。
【0023】
又、この発明に係る両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに両面記録用受像紙のうち、両面記録用受像紙製造方法に関する発明は、請求項9に記載したように、基材紙の両面に、受像層を構成する、少なくとも樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成される粉体塗料組成物を塗布し、更に定着する、両面記録用受像紙製造方法に関する。このような請求項9に記載した両面記録用受像紙製造方法においては、上記基材紙の一面に上記粉体塗料組成体を塗布する第一工程と、この第一工程によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる第二工程と、上記基材紙の他面に上記粉体塗料組成体を塗布する第三工程と、この第三工程によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる第四工程と、を備えている。そして、上記第二工程は、上記粉体塗料組成体に含まれる上記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱し、上記第四工程は、上記樹脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度で加熱することを特徴としている。
【0024】
この発明に係る両面記録用受像紙製造方法は、上述のように構成されるため、基材紙の一側、他側、いずれの面にも受像層が確実に形成され、十分に実用的な両面記録用受像紙を得ることができる。
【0025】
更に、この発明に係る両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法並びに両面記録用受像紙のうち、両面記録用受像紙に関する発明は、請求項17に記載したように、基材紙の両面に、その主成分である樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成された粉体塗料組成体を塗布され、更に、該粉体塗料組成体を基材紙のそれぞれ両面に定着されて成る、両面記録用受像紙に関する。このような請求項17に記載した両面記録用受像紙においては、l対のローラから構成されるとともにいずれかーのローラの内部に加熱手段が設けられ、且つ、前記加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点よりも低くした定着工程を施されて成ることを特徴としている。
【0026】
この発明に係る両面記録用受像紙は、上述のように構成されるため、基材紙の一側、他側、いずれの面にも受像層が確実に形成されおり、十分に実用的な両面記録用受像紙として使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態例について、図1を参照しつつ説明する。図1は、この発明に係る両面記録用受像紙製造装置の要部を示している。尚、この発明は、それぞれ2か所の位置に設けた第一、第二の塗布手段20、21及び第一、第二の定着手段22、23のうちの特に第一、第二の定着手段22、23の構造に特徴を有しており、その他の構成に就いては、前述した従来の構造と同様である。従って、前述した従来構造と重複する部分に就いての説明は省略若しくは簡略化し、以下、この発明の特徴部分を中心に説明する。
【0028】
本形態例に係る両面記録用受像紙製造装置は、基材紙7の両面に、受像層を構成する、少なくとも樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成される粉体塗料組成体を塗布し、更に定着する、両面記録用受像紙製造装置に関する。このような本形態例に係る両面記録用受像紙製造装置においては、上記基材紙7の一面に上記粉体塗料組成体を塗布する第一の塗布手段20と、この第一の塗布手段20によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第一の定着手段22と、上記基材紙7の他面に上記粉体塗料組成体を塗布する第二の塗布手段21と、この第二の塗布手段21によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第二の定着手段23と、を備えている。上記第一、第二の各塗布手段20、21は、前述した従来構造と同様に、或いはその他の周知の従来構造と同様に構成できる。尚、上記粉体塗料組成体は白色顔料を含んでいる。又、上記基材紙7の一面とは、第一の塗布手段20によって粉体塗料組成体が塗布される面を指し、基材紙7の他面とは、第二の塗布手段21によって粉体塗料組成体が塗布される面を指す。
【0029】
上記第一の定着手段22は、前記基材紙7を挟み込むことにより加圧する1対のローラ24、25から成る第一の定着ローラ26と、上記1対のローラ24、25のうちの上記基材紙7の他面側に設けられるローラ25の内部に設けられた第一の加熱手段(ヒータ)と、を備えている。又、上記第二の定着手段23は、前記基材紙7を挟み込むことにより加圧する1対のローラ27、28から成る第二の定着ローラ29と、上記1対のローラ27、28のうちの上記基材紙7の一面側に設けられるローラ28の内部に設けられた第二の加熱手段(ヒータ)と、を備えている。
【0030】
尚、前記第一の定着ローラ26を構成する1対のローラ24、25のうちの基材紙7の一面側に設けられたローラ24と、前記第二の定着ローラ29を構成する1対のローラ27、28のうちの基材紙7の他面側に設けられたローラ27とは、それぞれハードローラとしている。このようにハードローラを構成するための部材としては、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)或いはポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等のフッ素系樹脂を好ましく採用できる。具体的には、アルミニウム合金製の管材にPFA或はPTFEを被覆したものを採用できる。形状としては、円柱状或いは円筒状のストレート形状、クランク形状、逆クランク形状を採用できる。上記PFA或いはPTFEの厚みは、0.2〜1.0mm(好ましくは、0.2〜0.5mm)とする。又、上記第一の定着ローラ26を構成する1対のローラ24、25のうちの基材紙7の他面側に設けられたローラ25と、上記第二の定着ローラ29を構成する1対のローラ27、28のうちの基材紙7の一面側に設けられたローラ28とは、それぞれソフトローラとしている。このソフトローラは、内部にシリコンゴムが充填されており、その表面にパーフルオロアルコキシ樹脂(例えば、PFA或はPTFE)の薄膜を被覆することで構成される。管材としてアルミニウム合金を用いる点、形状に関する点については、上記ローラ24、27と同様である。上記シリコンゴムの厚さは、特に限定されないが、薄い方が好ましく、例えば、0.3〜1.0mmとする。又、上記薄膜の厚さは、0.3〜1.0mm(好ましくは0.3〜0.5mm)とする。但し、この薄膜は必ずしも必要ではない。このようなローラ25、28の硬度は、50度〜90度(好ましくは、70度〜90度)である。
【0031】
上述したように構成される本形態例の場合、上記第一の定着手段22は、上記粉体塗料組成体に含まれる上記オフセット防止剤の融点よりも高い温度(例えば、摂氏145度)で加熱し、上記第二の定着手段23は、上記樹脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度(例えば、摂氏120度)で加熱する。このような加熱を行うための第一、第二の各加熱手段は、それぞれ、前記定着ローラ26、29を構成する各ローラ25、28に設けている。上記第一、第二の各加熱手段として具体的には、前述した従来構造と同様、ハロゲンランプ等の従来知られた各種ヒータを採用できる。尚、定着速度が大きい(基材紙7の通過速度が大きい)場合、定着工程に入る以前に、赤外線ランプ等による予熱処理を施すこともできる。又、定着処理後に、カレンダー処理を行っても良い。
【0032】
又、前記粉体塗料組成体は、その主成分である樹脂とオフセット防止剤とを含んで構成されている。上記樹脂としては、例えば特開平8−112974号公報に記載されているように、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂等を、単独若しくは2種以上の混合物として用いる他、上述した樹脂以外の樹脂も採用できる。具体例としては、上記飽和ポリエステル樹脂においては、例えば東洋紡株式会社製の「バイロンRV200」(商品名)を好ましく採用できる。又、本形態例においては、上記粉体塗料組成体に白色着色剤を含ませているが、この白色着色剤としては、酸化チタン、酸化錫等を好ましく採用できる。このような白色粉体組成体は、通常0.5重量%乃至15重量%の範囲で配合される。
【0033】
本形態例の構造においては、前記第一の加熱手段の加熱温度を、上記樹脂及びオフセット防止剤の各融点(後述するが、例えば、それぞれ摂氏102度、摂氏150度)よりも高く(前述したように、例えば155度)し、第二の加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点(例えば、溶融開始温度が摂氏102度、溶融完了温度が摂氏140度)よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点(例えば、摂氏150度)よりも低く(前述したように、例えば摂氏120度)している。尚、複数の樹脂が混在している場合、その融点に幅ができることが避けられない。従って、上記各加熱温度は、このことを考慮して定める。
【0034】
尚、上記各ローラ24、27をハードローラとした理由は、次のとおりである。すなわち、記録時に前記白抜けを防止するためには、受像層を基材紙7の全面(一側面及び他側面のそれぞれ全面)に、隙間なくまんべんに形成しなければならない。本形態例のように、上記粉体塗料組成体を塗布した面側に位置するローラ24、27をハードローラとすれば、基材紙77の繊維配列の凸部での集中荷重の影響により、白色粉体組成体がこの部分で潰されて拡散する。この結果、粉体塗料組成体を塗布した面側に位置するローラ24、27をソフトローラとした場合に比較して、基材紙7全面に上記白色粉体組成体が定着され、受像層が紙全面に確実に形成される。このため、印刷時に上述した白抜き部分が生じることがなくなり、高品質の印刷を達成できる。尚、上記凸部について簡単に説明しておく。基材紙7の表面形状は完全に水平になっていることはありえず、凸部や凹部が存在する。上記繊維配列の凸部とは、このような不可避的な凹凸のうちの凸部を指す。又、後述する繊維配列の凹部とは、同じく上記凹凸部のうちの凹部を指す。
【0035】
又、上記粉体塗料組成体を塗布しない面側に位置するローラ25、28をソフトローラとした理由は、次のとおりである。すなわち、上述のように粉体塗料組成体を塗布した面側に位置するローラ24、27をハードローラとしたことにより、他面側のローラ25、28もハードローラとすると、これらローラ24、25及びローラ27、28の接触領域は小さい(狭い)ため、基材紙7の繊維配列の凹部に存在する白色粉体組成体を、この部分で潰して拡散することは難しい。これに対して、本形態例の構造のように、上記粉体塗料組成体を塗布しない面側に位置するローラ25、28をソフトローラとすれば、このソフトローラの弾性により1対のローラ24、25及び1対のローラ27、28の接触領域が拡がるため、上記凹部に存在する白色粉体組成体を、この部分で潰して拡散させる効果が向上する。このため、上述のように、上記粉体塗料組成体を塗布しない面側に位置するローラ25、28をソフトローラとしている。
【0036】
更に、上記第一、第二の加熱手段を、上記粉体塗料組成体を塗布しない面側に位置するローラ25、28に設けるのは、次の理由による。すなわち、記録時に前記白抜けを防止するためには、上述したように受像層を基材紙7の全面に隙間なくまんべんに形成しなければならない。このためには、白色粉体塗料の基材紙7への定着が確実に行われなければならない。ところで、上記加熱手段による加熱を粉体塗布面側から行うと、基材紙7と粉体との接合面が、加熱手段から最も離隔した状態となるため、基材紙7と粉体との接合面部分に作用する加熱量が小さくなり、当該部分の溶融が最も遅くなってしまう。この結果、溶融した後定着する作用が不完全となってしまい、確実な定着を図れない恐れがある。これに対して、上記加熱手段による加熱を粉体塗布面とは逆側から行う本形態例の場合、基材紙7と粉体との接合面が、加熱手段から最も近くなるため、基材紙7と粉体との接合面部分に作用する加熱量が大きくなり、当該部分の溶融が最も早く行われる。この結果、溶融した後定着する作用が完全に行われ、確実な定着を図れる。このため、本形態例においては、上記加熱手段による加熱を粉体塗布面とは逆側から行うように構成している。
【0037】
更に、上記第二の加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点よりも低くしたのは、次の理由による。すなわち、オフセット防止剤は、粉体塗布面側のローラ27と、加熱して溶融された塗料との剥離性を向上させるために使用される。すなわち、オフセット防止剤が溶融して上記ローラ27と白色粉体塗料組成体との接点周辺に行き亙ることにより、剥離性が向上する。このオフセット防止剤は、上記第二の加熱手段による加熱により溶融して基材紙7全面に拡散し、この状態で加熱終了後(ローラ通過後)に冷却されるため、上記基材紙7の全面にまんべんなく行き亙っている。ところが、このようにまんべんなく行き亙ったオフセット防止剤は、実際に熱転写型のプリンタによって当該両面記録用受像紙に画像等を転写する際に、インクののりを悪化させてしまう。このことは、溶融型熱転写方式のものであれ、昇華型熱転写方式のものであれ、いずれであっても言えることである。すなわち、溶融型熱転写方式の場合、インクと受像層と接合力が、上記まんべんなく行き亙ったオフセット防止剤によって弱められてしまう。又、昇華型熱転写方式の場合、受像層へのインクの拡散性が、上記まんべんなく行き亙ったオフセット防止剤によって悪化してしまう。そこで、上記定着時に、白色粉体塗料組成体の主成分である上記樹脂は溶融し、上記オフセット防止剤は溶融しないように、上記加熱温度を上述の範囲に設定する。
【0038】
上述のように、上記第二の加熱手段の加熱温度を、上記樹脂の融点よりも高く、且つ、上記オフセット防止剤の融点よりも低くすることにより、上記樹脂は溶融して基材紙77全面に拡散する一方で、上記オフセット防止剤は、さほど溶融せず、上記受像層内に粉体として混入した状態であるため、このオフセット防止剤の悪影響を排除できる。尚、前記第一の加熱手段は、上記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱する。これは、この第一の定着手段22によって定着される受像層にオフセット防止剤の薄膜を形成させることで、第二の定着手段23での定着作業時における離型性を向上させるためである。この際、画像記録時の転写の確実さは、従来品と同程度となるが、実用上問題ないレベルである。更に、第二の定着手段23で定着された面は、前述した先発明で得られるものと同様、確実な転写を図れ品質の向上を期待できる。従って、その一の面は従来と同程度であるが、その他の面は高品質の両面記録用受像紙を得られる。
【0039】
尚、図1で符号30は巻回された基材紙7を送り出すためのアンコイラ、符号31は完成した両面記録用受像紙を巻き取るリコイラである。又、符号32、33、34はガイドローラである。本形態例の場合、リコイラ26で巻き取られた両面記録用受像紙は、別途裁断施設に送られて所望の寸法、形状に裁断された後、所定枚数ごとに包装され、市場に出される。
【0040】
上述のように構成される本形態例に係る両面記録用受像紙製造装置を使用して両面記録式の受像紙を製造する場合、以下のように行う。すなわち、上記基材紙7の一面に、上記第一の塗布手段20によって上記粉体塗料組成体を塗布する第一工程と、この第一工程によって塗布された粉体塗料組成体を上記第一の定着ローラ26によって加圧及び加熱することにより定着させる第二工程と、上記基材紙7の他面に上記第二の塗布手段21によって上記粉体塗料組成体を塗布する第三工程と、この第三工程によって塗布された粉体塗料組成体を上記第二の定着ローラ29によって加圧及び加熱することにより定着させる第四工程と、を順次施す。尚、上記第二工程は、前述したように、上記粉体塗料組成体に含まれる上記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱し、上記第四工程は、上記樹脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度で加熱する。
【0041】
又、本形態例の場合、前記第二工程及び第四工程を構成する加圧工程時に、前記1対のローラから引き出す基材紙7の向きを、上記基材紙7の各定着手段22、23への引き込み方向に対してほぼ垂直な方向としている。これは、少しでも長い時間、加圧及び加熱を行え、定着が十分に行われるようにするためである。
【0042】
上述のように構成される両面記録用受像紙製造装置を用い、上述のような方法によって製造された両面記録用受像紙は、基材紙7の一側、他側、いずれの面にも受像層が確実に形成され、十分に実用的な両面記録用受像紙を得ることができる。尚、先に定着作業を施される基材紙7の一面側の受像層においては、オフセット防止剤がまんべんなく行き亙った状態であるため、現在知られている片面記録用の受像紙と同様の品質しか得られないものの実用上、問題ないレベルであり、基材紙7の他面側の受像層は、前記先発明と同様の品質を確保できる。このような、現在知られている片面記録用の受像紙と同程度以上の品質を確保した、両面記録用の受像紙は、十分に実用に供せられるものであり、今まで知られていなかった両面記録用の受像紙を提供できる。
【0043】
【発明の効果】
この発明に係る熱転写用の両面記録用受像紙製造装置及びその製造方法は、それぞれ上述のように構成されるため、基材紙の一側、他側、いずれの面にも受像層が確実に形成され、十分に実用的な両面記録用受像紙を得ることができる。従って、今まで知られていなかった両面記録用の受像紙を、一面は高品質で白抜けのない受像を可能とし、他面は従来と同程度の十分に実用レベルにある品質を確保して、製造できる。又、この発明に係る製造装置及び製造方法によって製造された受像紙は、その一面は高品質で白抜けのない受像を可能とし、その他面は従来と同程度の品質を確保しているため、十分に実用に供せられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の要部を示す略側面図である。
【図2】従来構造を示すブロック図である。
【図3】同じく転写部の構成を示す略側面図である。
【図4】同じく定着部の構成を示す略側面図である。
【図5】同じく定着ローラを取り出して示す拡大略側面図である。
【符号の説明】
1 基材紙供給部
2 現像部
3 転写部
4 定着部
5 排出部
6 帯電ローラ
7 基材紙
8 塗料貯蔵部
9 粉体塗料
10 ローラ
11 ローラ
12 定着ローラ
13 受像層
14 ヒータ
20 第一の塗布手段
21 第二の塗布手段
22 第一の定着手段
23 第二の定着手段
24、25、27、28 ローラ
26 第一の定着ローラ
29 第二の定着ローラ
Claims (18)
- 基材紙の両面に、受像層を構成する、少なくとも樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成される粉体塗料組成体を塗布し、更に定着する、熱転写用の両面記録用受像紙製造装置であって、
前記基材紙の一面に前記粉体塗料組成体を塗布する第一の塗布手段と、この第一の塗布手段によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第一の定着手段と、前記基材紙の他面に前記粉体塗料組成体を塗布する第二の塗布手段と、この第二の塗布手段によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる、第二の定着手段と、を備え、前記第一の定着手段は、前記粉体塗料組成体に含まれる前記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱し、前記第二の定着手段は、前記樹脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度で加熱することを特徴とする、熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。 - 前記第一の定着手段は、前記基材紙を挟み込むことにより加圧する1対のローラから成る第一の定着ローラと、前記1対のローラのうちの前記基材紙の他面側に設けられるローラの内部に設けられた第一の加熱手段と、を備え、前記第二の定着手段は、前記基材紙を挟み込むことにより加圧する1対のローラから成る第二の定着ローラと、前記1対のローラのうちの前記基材紙の一面側に設けられるローラの内部に設けられた第二の加熱手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記第一の定着手段を構成する1対のローラから引き出す基材紙の向きを、前記基材紙の前記定着部への引き込み方向に対してほぼ垂直な方向としたことを特徴とする、請求項2に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記第一の定着ローラを構成する1対のローラのうちの基材紙の一面側に設けられたローラと、前記第二の定着ローラを構成する1対のローラのうちの基材紙の他面側に設けられたローラとのうちの少なくとも一方のローラを、ハードローラとしたことを特徴とする、請求項2乃至請求項3のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記ハードローラが、パーフルオロアルコキシ樹脂製であることを特徴とする、請求項4に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記第一の定着ローラを構成する1対のローラのうちの基材紙の他面側に設けられたローラと、前記第二の定着ローラを構成する1対のロ一ラのうちの基材紙の一面側に設けられたローラとのうちの少なくとも一方のローラを、ソフトローラとしたことを特徴とする、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記ソフトローラは、内部にシリコンゴムが充填されており、その表面にパーフルオロアルコキシ樹脂の薄膜が被覆されて成るものであることを特徴とする、請求項6に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 前記粉体塗料組成体は白色顔料を含むものであることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造装置。
- 基材紙の両面に、受像層を構成する、少なくとも樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成される粉体塗料組成体を塗布し、更に定着する、熱転写用の両面記録用受像紙製造方法であって、
前記基材紙の一面に前記粉体塗料組成体を塗布する第一工程と、この第一工程によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる第二工程と、前記基材紙の他面に前記粉体塗料組成体を塗布する第三工程と、この第三工程によって塗布された粉体塗料組成体を加圧及び加熱することにより定着させる第四工程と、を備え、前記第二工程は、前記粉体塗料組成体に含まれる前記オフセット防止剤の融点よりも高い温度で加熱し、前記第四工程は、前記樹脂脂の融点よりも高くオフセット防止剤の融点よりも低い温度で加熱することを特徴とする、熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。 - 前記第二工程は、1対のローラから成る第一の定着ローラにより前記基材紙を挟み込むことによって加圧する加圧工程と、前記1対のローラのうちの前記基材紙の他面側に設けられるローラの内部に設けられた第一の加熱手段による加熱工程と、を備え、前記第四工程は、1対のローラから成る第二の定看ローラにより前記基材紙を挟み込むことによって加圧する加圧工程と、前記1対のローラのうちの前記基材紙の一面側に設けられるローラの内部に設けられた第二の加熱手段による加熱工程と、を備えたものであることを特徴とする請求項9に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記第二工程を構成する加圧工程時に、前記1対のローラから引き出す基材紙の向きを、前記基材紙の前記定着部への引き込み方向に対して、第一の加熱手段が設けられている側にほぼ垂直な方向としたことを特徴とする、請求項10に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記第二工程は、前記1対のローラのうちの基材紙の一面側に設けられたローラをハードローラとした第一の定着ローラを用いて行い、前記第四工程は、前記1対のローラのうちの基材紙の他面側に設けられたローラをハードローラとした第二の定着ローラを用いて行うことを特徴とする、請求項10乃至請求項11のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記ハードローラを、パーフルオロアルコキシ樹脂製としたことを特徴とする、請求項12に記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記第二工程は、前記1対のローラのうちの基材紙の他面側に設けられたローラをソフトローラとした第一の定着ローラを用いて行い、前記第四工程は、前記1対のローラのうちの基材紙の一面側に設けられたローラをソフトローラとした第二の定着ローラを用いて行うことを特徴とする、請求項10乃至請求項13のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記ソフトローラを、内部にシリコンゴムが充填されており、その表面にパーフルオロアルコキシ樹脂の薄膜が被覆されているものとしたことを特徴とする、請求項14に記載の両面記録用受像紙製造方法。
- 前記粉体塗料組成体は白色顔料を含むものであることを特徴とする、請求項9乃至請求項15のいずれかに記載された熱転写用の両面記録用受像紙製造方法。
- 基材紙の両面に、その主成分である樹脂とこの樹脂の融点よりも高い融点を有するオフセット防止剤とを含んで構成された粉体塗料組成体を塗布され、更に、該粉体塗料組成体を基材紙のそれぞれ両面に定着されて成る、熱転写用の両面記録用受像紙であって、
前記基材紙の一面側への粉体塗料組成体の定着工程が施された後に、前記基材紙の他方の面に対して、1対のローラから構成されるとともにいずれか一のローラの内部に加熱手段が設けられ、且つ、前記加熱手段の加熱温度を、前記樹脂の融点よりも高く、且つ、前記オフセット防止剤の融点よりも低くした定着工程を施されて成り、
前記樹脂の融点は、前記基材紙の一面側の定着作業及びその後行われる他面側の定着作業における、それぞれの加熱温度よりも低いものであり、前記オフセット防止剤の融点は、前記基材紙の一面側の定着作業における加熱温度よりも低く且つ他面側の定着作業における加熱温度よりも高いものであることを特徴とする熱転写用の両面記録用受像紙。 - 前記粉体塗料組成体は白色顔料を含むものであることを特徴とする、請求項17に記載された熱転写用の両面記録用受像紙。
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