JP3539279B2 - バケット式垂直コンベア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バケット式垂直コンベアに関し、特に、この種のコンベアの土砂搬送効率を改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下空洞や地下トンネルの構築現場で発生した掘削土砂を外部に搬出する際に用いる装置として、土砂を上下方向に搬送するバケット式垂直コンベアが知られている。
【0003】
この種のバケット式垂直コンベアは、図6にその代表的な構造例を示すように、上下方向に所定の間隔を置いて設置された頭部および底部スプロケットホイール1,2と、頭部および底部スプロケットホイール1,2間に、無端状に捲回されたチェーン3と、チェーン3に係止された複数のバケット4とを備えている。
【0004】
バケット4は、一端が開口した椀形に形成されていて、チェーン3に対して、所定の間隔を隔てて、各開口側がチェーンの走行方向に対して、同じ方向を向くように係止されている。
【0005】
そして、垂直コンベア全体がケーシング5内に収納されていて、底部スプロケットホイール2の下端側の外周を覆うようにして土砂の搬入シュート部6が設けられるとともに、頭部スプロケットホイール1の外側面側に土砂の搬出シュート部7が設けられている。
【0006】
なお、図6に符号8,9で示した部材は、頭部および底部スプロケットホイール1,2間に捲回されたチェーン3を相互に近接する方向に移動させるためのアイドラーホイールである。
【0007】
このように構成されたバケット式垂直コンベアでは、頭部スプロケットホイール1を図示省略の駆動モータにより回転駆動することにより、チェーン3を介してバケット4を、図6の矢印方向に循環走行させ、搬入シュート部6でバケット4が掬い上げた土砂Sを搬出シュート部7に排出させる。
【0008】
しかしながら、このような構造の従来のバケット式垂直コンベアには、以下に説明する技術的な課題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、図6に示したバケット式垂直コンベアでは、バケット4が掬い上げた土砂Sは、図7に示すように、頭部スプロケットホイール1の周りをバケット4が周回する過程で、排出シュート部7側に排出される。
【0010】
ところが、バケット4内に収納されている土砂Sは、図7の頂点部分に示したように、バケット4が所定の角度以上傾き始めると、内部からこぼれ落ち始めて、こぼれ落ちた土砂Sは、排出シュート部7側に排出されず、ケーシング5内を落下する。
【0011】
このような土砂Sのこぼれ落ちが発生すると、ケーシング5内を落下する際に、騒音が発生するとともに、土砂Sの搬送効率が大きく低下するという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、搬送土砂のこぼれ落ちに伴う下方落下を防止することにより、騒音の発生を低下しつつ搬送効率を向上させることができるバケット式垂直コンベアを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、上下方向に所定の間隔を置いて設置された頭部および底部スプロケットホイールと、前記頭部および底部スプロケットホイール間に無端状に捲回されたチェーンと、前記チェーンに係止された複数のバケットとを備え、前記スプロケットホイールのいずれか一方を回転駆動することにより、前記チェーンを介して前記バケットを上下方向に循環走行させ、前記底部スプロケットホイールの近傍に設けられた搬入シュート部で、前記バケットが掬い上げた土砂を、前記頭部スプロケットホイール側に設けられた搬出シュート部に排出するバケット式垂直コンベアにおいて、前記バケットから落下する土砂を受承し、前記頭部スプロケットホイールの回転に伴って回転して、受承した土砂を前記搬出シュート部に排出する集土板を、前記頭部スプロケットホイールに設け、前記集土板は、平板状のプレートと、前記プレートに貼着された可撓性シートとを備え、前記可撓性シートは、土砂を排出し終えた前記バケットの背面側を覆う延設部を有するようにした
このように構成したバケット式垂直コンベアにおいては、バケットから落下する土砂を受承し、頭部スプロケットホイールの回転に伴って回転して、受承した土砂を搬出シュート部に排出する集土板を頭部スプロケットホイールに設けたので、バケットからこぼれ落ちた土砂を落下させることなく、排出シュート部に排出することができ、土砂の搬送効率を大幅に向上させる。
前記バケットは、椀状に形成された本体と、この本体内に取付けられた土砂の付着防止用ゴムシートと、前記ゴムシートと前記本体とが当接する部分に設けられた貫通孔とを有し、前記延設部は、前記貫通孔を背面側から覆うように設けることができる
この構成によれば、貫通孔から土砂がバケット本体内に侵入して、ゴムシートと本体内面との間に介在することが防止される。
前記集土板は、前記頭部スプロケットホイールに常時接触する前記バケット数に対応させて複数設けることができる。
この構成によれば、順次周回する複数のバケットからこぼれ落ちる土砂を集土板に受承することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかるバケット式垂直コンベアの第1実施例を示している。
【0015】
図1および図2は、本発明の垂直コンベアの要部であって、その基本的な構成は、従来のこの種のコンベアと同様に、図7に示すように、上下方向に所定の間隔を置いて設置された頭部および底部スプロケットホイール1,2と、頭部および底部スプロケットホイール1,2間に、無端状に捲回されたチェーン3と、チェーン3に係止された複数のバケット4とを備えている。
【0016】
バケット4は、一端が開口した椀状に形成されていて、チェーン3に対して、所定の間隔を隔てて、各開口側がチェーンの走行方向に対して、同じ方向をむくように係止されている。
【0017】
そして、垂直コンベア全体がケーシング5内に収納されていて、底部スプロケットホイール2の下端側の外周を覆うようにして土砂の搬入シュート部6が設けられるとともに、頭部スプロケットホイール1の外側面側に土砂の搬出シュート部7が設けられている。
【0018】
頭部および底部スプロケットホイール1,2の近傍には、これらの間に捲回されたチェーン3を相互に近接する方向に移動させるためのアイドラーホイール8,9が設けられている。
【0019】
以上のようなバケット式垂直コンベアとしての基本的な構成は、従来のコンべアと同じであるが、本実施例の垂直コンベアは、以下に示す点に顕著な特徴がある。
【0020】
すなわち、本実施例のバケット式垂直コンベアには、特に、頭部スプロケットホイール1に複数の集土板10が配置されている。本実施例の集土板10は、頭部スプロケットホイール1に常時接触するバケット4の数が3なのでこれに対応するように、実質的に同一構成のものが3個用いられている。
【0021】
3個の集土板10は、平板状のプレート10aと、このプレート10aの内面に貼着された可撓性シート10bとをそれぞれ備えており、可撓性シート10bの一端は、プレート10aの端部から外方に突出した延設部10cとなっている。
【0022】
また、3個の集土板10は、頭部スプロケットホイール1の回転軸部1aの外周に近接して、これを取り巻くようにして固設され、一端側が周方向に隣接する他の集土板10の下面に当接するように配置されている。
【0023】
また、各集土板10は、チェーン3に係止されたバケット4の係止線L1に対して、プレート10aの平坦部の延長線L2が所定の角度となるように、傾斜した状態で設けられている。
【0024】
延設部10cの先端側は、図1に示すように、頭部スプロケットホイール1の回転に伴って回転することで、回転方向の前段側に位置していて、既に土砂Sを排出し終えたバケット4の本体4aの背面側に接触するようになっている。
【0025】
一方、本実施例の垂直コンベアに用いるのバケット4の詳細を図3,4に示している。同図に示したバケット4は、椀状に形成されたバケット本体4aと、個のバケット本体4a内に取付けられた土砂Sの付着防止用ゴムシート4bとを備えている。
【0026】
バケット本体4aは、半円筒状に屈曲形成された底板400aと、この底板400aの両端面に固設された半円盤状の一対の側板401aとを有していて、底板400aの中央には、長円形状の貫通孔4cが貫通形成されている。
【0027】
また、一対の側板401aの外側面には、バケット4をチェーン3に係止するための取付け金具402aが固設されている。一方、ゴムシート4bは、一端が底板400aの一方の端部に固定され、他端が底板400aの他方の端部を迂回して、その背面側で固定されている。
【0028】
このように固定されたゴムシート4bは、バケット4から土砂Sが排出されて、開口が下方を向くようになると、図4に仮想線で示すように、底板400aから離間して、ゴムシート4bに付着した土砂Sが払い落とされるようになっている。
【0029】
底板400aの中央に設けられた貫通孔4cは、ゴムシート4bと底板400aとの間の付着を防止し、このようなゴムシート4bの挙動を容易にするために設けられている。
【0030】
以上のように構成したバケット式垂直コンベアでは、例えば、頭部スプロケットホイール1(底部スブロケットホイール2)を図示省略の駆動モータにより回転駆動することにより、チェーン3を介してバケット4を、図6の矢印方向に循環走行させ、搬入シュート部6でバケット4が掬い上げた土砂Sを搬出シュート部7に排出させる。
【0031】
このとき、搬入シュート部6で土砂Sをバケット4が掬い上げると、土砂Sの性質によっても異なるが、通常、バケット本体4aの上端よりも若干土砂Sが盛りあがった状態となる。
【0032】
このような状態で土砂Sを収容したバケット4が頭部スプロケットホイール1に到達し、バケット4が所定の角度以上傾き始めると、内部から土砂Sがこぼれ落ち始める。
【0033】
ところが、本実施例の場合には、図1に示すように、バケット4からこぼれ落ちる土砂Sを受承する集土板10が設けられているので、こぼれ落ちた土砂Sは、集土板10の上部に堆積し、下方への落下が阻止される。
【0034】
そして、集土板10は、頭部スプロケットホイール1の回転に伴って、同じ方向に回転するので、集土板10上に堆積した土砂Sは、図2に示すように、集土板10が所定角度以上傾斜すると、集土板10上を滑り落ちて、排出シュート部7に排出する。
【0035】
このとき、集土板10上を滑り落ちた土砂Sは、回転方向の前段側に位置している既に土砂Sを排出し終えたバケット4の本体4aの背面側に近接するようにして、排出シュート部7に落下するが、このバケット4の背面側は、可撓性シート10bの延設部10cで覆われている。
【0036】
従って、バケット本体4aの背面に貫通孔4cが設けられていても、この貫通孔4cを介して、土砂Sがバケット本体4a内に侵入して、ゴムシート4bと本体4a内面との間に介在することが防止され、前述したゴムシート4bの機能を確保することができる。
【0037】
以上のような集土板10の土砂Sの落下防止機能は、チェーン3の循環走行に伴って、順次頭部スプロケットホイール1に到達するバケット4についてすべて発揮される。
【0038】
さて、以上のように構成されたバケット式垂直コンベアによれば、バケット4から落下する土砂Sを受承し、頭部スプロケットホイール1の回転に伴って回転して、受承した土砂Sを搬出シュート部7に排出する集土板10を頭部スプロケットホイール1に設けたので、バケット4からこぼれ落ちた土砂Sを落下させることなく、排出シュート部7に排出することができ、土砂Sの搬送効率を大幅に向上させることができるとともに、土砂Sの落下がなくなるので、騒音の発生も大幅に低減することができる。
【0039】
図5および図6は、本発明にかかるバケット式垂直コンベアの第2実施例を示しており、上記第1実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下のその特徴点についてのみ説明する。
【0040】
これらの図に示した実施例では、頭部スプロケットホイール1に常時接触するバケット4の数が2なのでこれに対応するように、前記第1実施例と実質的に同一構成の集土板10が2個用いられている。
【0041】
2個の集土板10は、平板状のプレート10aと、このプレート10aの内面に貼着された可撓性シート10bとをそれぞれ備えており、可撓性シート10bの一端は、プレート10aの端部から外方に突出した延設部10cとなっている。
【0042】
また、2個の集土板10は、頭部スプロケットホイール1の回転軸部1aの外周に接触して、これを挟むようにして、ほぼ平行に固設され配置されている。 また、各集土板10は、チェーン3に係止されたバケット4の係止線L1に対して、プレート10aの平坦部の延長線L2が所定の角度?'となるように、傾斜した状態で設けられている。
このように構成したバケット式垂直コンベアにおいても上記実施例と同等の作用効果が得られる。
【0043】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかるバケット式垂直コンベアによれば、搬送土砂の下方落下を防止することにより、騒音の発生を低下しつつ搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバケット式垂直コンベアの第1実施例を示す要部拡大図である。
【図2】図1からチェーンが所定量移動した状態の要部拡大図である。
【図3】図1に示したコンベアのバケットの平面図である。
【図4】図3に示したのバケットの側面図である。
【図5】本発明にかかるバケット式垂直コンベアの第2実施例を示す要部拡大図である。
【図6】バケット式垂直コンベアの一例を示す全体構成図である。
【図7】従来のバケット式垂直コンベアの不具合を示す説明図である。
【符号の説明】
1 頭部スプロケットホイール
2 底部スプロケットホイール
3 チェーン
4 バケット
5 ケーシング
6 搬入シュート部
7 搬出シュート部
10 集土板

Claims (3)

  1. 上下方向に所定の間隔を置いて設置された頭部および底部スプロケットホイールと、
    前記頭部および底部スプロケットホイール間に無端状に捲回されたチェーンと、
    前記チェーンに係止された複数のバケットとを備え、
    前記スプロケットホイールのいずれか一方を回転駆動することにより、前記チェーンを介して前記バケットを上下方向に循環走行させ、
    前記底部スプロケットホイールの近傍に設けられた搬入シュート部で、前記バケットが掬い上げた土砂を、前記頭部スプロケットホイール側に設けられた搬出シュート部に排出するバケット式垂直コンベアにおいて、
    前記バケットから落下する土砂を受承し、前記頭部スプロケットホイールの回転に伴って回転して、受承した土砂を前記搬出シュート部に排出する集土板を、前記頭部スプロケットホイールに設け
    前記集土板は、平板状のプレートと、前記プレートに貼着された可撓性シートとを備え、
    前記可撓性シートは、土砂を排出し終えた前記バケットの背面側を覆う延設部を有することを特徴とするバケット式垂直コンベア。
  2. 前記バケットは、椀状に形成された本体と、この本体内に取付けられた土砂の付着防止用ゴムシートと、前記ゴムシートと前記本体とが当接する部分に設けられた貫通孔とを有し、
    前記延設部は、前記貫通孔を背面側から覆うことを特徴とする請求項1記載のバケット式垂直コンベア。
  3. 前記集土板は、前記頭部スプロケットホイールに常時接触する前記バケット数に対応させて複数設けたことを特徴とする請求項1または2記載のバケット式垂直コンベア。
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