JP3539236B2 - プリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂付き金属箔の製造方法に関し、詳しくは切断加工を施す際における樹脂の飛散を防ぐことにより成形性が向上した樹脂付き金属箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属箔の一面に樹脂層を形成してなる樹脂付き金属箔は、絶縁樹脂等からなる絶縁層の外面に金属箔等からなる導電層が形成された内層基材の外側に、樹脂付き金属箔の樹脂層が導体層に重なるように積層し、加熱・加圧することにより一体化して、プリント配線板用の積層板を製造するため等に用いられており、このとき樹脂付き金属箔の樹脂層からなる絶縁層の厚みを薄く形成することができるため、プリント配線板の薄型化を達成するために重要なものとなっている。
【0003】
このような樹脂付き金属箔の製造方法としては、例えば、金属箔1を連続的に送りながらその一面にエポキシ樹脂ワニス等の熱硬化性の樹脂ワニスを塗布した後、加熱乾燥してBステージ状態の樹脂層2を形成し、この一面に樹脂層2が形成された金属箔1を所定寸法になるように切断する方法が挙げられる。ここで一面に樹脂層2が形成された金属箔1を切断するにあたっては、図5に示すように、金属箔1の幅方向に回転刃3を移動させながら回転刃3にて金属箔1を切断する方法が行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし図5に示すように、回転刃3にて一面に樹脂層2が形成された金属箔1を切断すると、切断の際に樹脂層2から樹脂が飛散し、この飛散した樹脂が樹脂層2上に付着することにより、樹脂層2表面の平滑性が損なわれて成形性が悪化し、またこの樹脂粉が金属箔1の表面に付着すると、導電性不良が発生したり、積層板を作製する際に金属箔1にへこみが生じて、積層板を作製する際の成形性不良が発生するという問題があった。また回転刃3による樹脂層2の粗い切断端面からは、製造後の樹脂付き金属箔を取り扱う過程において、樹脂粉が欠け落ちやすくなるといった問題もあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、切断加工を施す際における樹脂の飛散を防ぐことにより成形性が向上した樹脂付き金属箔の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の、樹脂層2が形成されている面に、レーザ光7を照射すると共にレーザ光7の照射位置を移動させることにより、レーザ光7が照射された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分8において刃物にて金属箔1を切断することを特徴とするものである。
【0007】
また本発明の請求項2に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の、樹脂層2が形成されている面に、加熱ローラを当接させると共に回転させて金属箔1上を移動させることにより、この加熱ローラが当接された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分8において刃物にて金属箔1を切断することを特徴とするものである。
【0008】
また本発明の請求項3に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、請求項1の構成に加えて、レーザ光7が、集光されない状態で金属箔1の樹脂層2が形成されている面に照射されることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
金属箔1としては、厚み12〜35μmの長尺の銅箔等を使用することができる。この金属箔1には、一面に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とジシアンジアミドを主成分とする、FR−4タイプのエポキシ樹脂ワニス等の熱硬化性樹脂ワニスを塗布するものである。この塗布方法としては、特に限定されないが、例えばこの金属箔1を連続的に送りながら、樹脂ワニスが供給された塗工ロールに接触させることにより、塗布することができる。そしてこのように樹脂ワニスが塗布された金属箔1を加熱乾燥することにより、樹脂ワニスを半硬化させて、金属箔1の一面にBステージ状態の樹脂層2を形成する。樹脂層2の厚みは50〜100μmに形成することが好ましい。そしてこの、一面に樹脂層2が形成された金属箔1に切断加工を施すことにより、樹脂付き金属箔を得るものである。
【0011】
図1に、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の切断方法の一例を示す。図中においては、一面に樹脂層2が形成された金属箔1は、樹脂層2が上方に配置されると共に、長尺方向に移動自在に配置されている。またこの樹脂層2の上側方には、レーザ発振装置5が配置されている。このレーザ発振装置5としては、例えばCO2レーザ発振装置5を用いることができる。このレーザ発振装置5は、金属箔1が配置されている方向に向けて、レーザ光7を照射するように配置されるものである。また一面に樹脂層2が形成された長尺の金属箔1の上方の、レーザ光7の経路上には、レーザ発振装置5から照射されたレーザ光7を垂直下方へ全反射する全反射鏡6が配設されるものである。また全反射鏡6の、レーザ光7の配置位置の反対側には、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を切断するための刃物が配設されるものである。この刃物としては、金属箔1の長尺方向と同一方向の回転軸を有する円盤の外周に刃部を形成した回転刃3を用いることができ、このときその下端が、金属箔1の下面よりも下方に位置するように配置されるものである。またこの回転刃3と全反射鏡6は、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の幅方向に一直線状に配置されると共に、金属箔1の幅方向に移動自在に設けられるものである。
【0012】
そして金属箔1を切断するにあたっては、まず全反射鏡6を、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の、レーザ発振装置5の配置位置と反対側の側方に配置する。このとき回転刃3は、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の、全反射鏡6よりも更に側方に配置される。この状態でレーザ発振装置5からレーザ光7を照射すると、レーザ光7は全反射鏡6によって下方に向けて全反射される。この状態で全反射鏡6と回転刃3をレーザ発振装置5に向けて一定の同一速度で移動させると共に回転刃3を回転させる。このとき一面に樹脂層2が形成された金属箔1上におけるレーザ光7の照射位置は、樹脂層2上面を幅方向に横切るように移動し、樹脂層2上のレーザ光7が照射された箇所の樹脂が除去される。このようにして樹脂層2の樹脂を除去すると、図4に示すように、金属箔1の幅方向に亘って樹脂が除去された部分8が形成される。ここで、本実施形態においては、樹脂の除去と金属箔1の切断を同時に行うものであるが、図4では、樹脂が除去された様子のみを概念的に示している。そして回転刃3は、金属箔1の、樹脂層2が除去された部分8を切断することになり、回転刃3にて金属箔1を切断するにあたって、樹脂層2の樹脂が飛散することがなくなり、従って飛散した樹脂が樹脂層2の上面に付着するようなおそれがなく、樹脂層2の上面の平滑性が損なわれることがなくなって成形性を向上することができ、また飛散した樹脂が金属箔1の表面に付着することを防いで、金属箔1の導電性が損なわれることを防ぐと共に、この樹脂付き金属箔を多層に積層して積層板を成形する際に、金属箔1にへこみが生じて積層板の成形性が悪化するようなことを防ぐことができるものである。ここで樹脂層2における樹脂が除去された部分の幅が狭すぎると、回転刃3をこの樹脂が除去された部分8に正確に位置合わせすることが困難となり、樹脂が残存している部分を切断してしまって樹脂が飛散するおそれがあるため、レーザ発振装置5から出力されるレーザ光7は、集光レンズ等を通さず、集光されていない平行光の状態で樹脂層2に照射するようにして、樹脂層2に照射されるレーザ光7の径が小さくならないようにすることが好ましい。またこのときレーザ光7のビーム径は、φ5〜φ10mmとすることが好ましい。またレーザ発振装置5から照射されるレーザ光7にて樹脂を除去するためには、その出力を例えば100〜750Wとすると共に、全反射鏡6の移動速度を5〜20m/minとするものである。更に具体的な条件を例示すると、CO2レーザ発振装置[松下産業機器(株)製、YB−L48S4、2.0kW]を用いて、
発振モード パルス(パルスデューティー 30〜50%)
アシストガス 空気
アシストガス圧 0.8kg/cm2
加工出力 350W
加工速度 6000〜15000mm/min
という条件にて加工を行うことにより、レーザ光にて樹脂を除去することができるものである。
【0013】
このようにして、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を幅方向に切断することによって、一面に樹脂層2が形成された金属箔1から、所定の長さ寸法を有する樹脂付き金属箔を切り出すことができる。そして、このように樹脂付き金属箔を切り出したら、全反射鏡6及び回転刃3を、元の位置まで移動させた後、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を、その長尺方向に所定長さだけ移動させ、この状態から再び切断加工を行って新たに樹脂付き金属箔を切り出すことができるものである。なお、必要に応じて、この切り出された樹脂付き金属箔、あるいは樹脂付き金属箔を切り出す前の、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を、長さ方向で切断することにより、樹脂付き金属箔を、所定の幅寸法に形成することもできる。
【0014】
図2に、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の切断方法の他例を示す。図中においては、一面に樹脂層2が形成された金属箔1は、樹脂層2が上方に配置されると共に、長尺方向に移動自在に配置されている。また金属箔1の長尺方向と同一方向の回転軸を有する円盤状に形成された加熱ロール4が、その下端が金属箔1の上面に当接するように配置される。また一面に樹脂層2が形成された金属箔1を切断するための刃物が配設されるものである。この刃物としては、金属箔1の長尺方向と同一方向の回転軸を有する円盤の外周に刃部を形成した回転刃3を用いることができ、このときその下端が、金属箔1の下面よりも下方に位置するように配置されるものである。ここでこの回転刃3と加熱ロール4は、金属箔1の幅方向に、同一線上に配置され、金属箔1の幅方向に移動自在に設けられるものである。
【0015】
そして金属箔1を切断するにあたっては、まず加熱ロール4を一面に樹脂層2が形成された金属箔1の側方に配置する。このとき回転刃3は、一面に樹脂層2が形成された金属箔1の、加熱ロール4よりも更に側方に配置される。この状態で、加熱ロール4を加熱し、加熱ロール4と回転刃3を一定の同一速度で移動させると共に加熱ロール4及び回転刃3を回転させる。このとき加熱ロール4の金属箔1との当接位置は、樹脂層2上面を幅方向に横切るように移動し、図3に示すように、樹脂層2上の加熱ロール4と接触した箇所の樹脂層2が、加熱ロール4にて加熱されることによって除去される。このようにして樹脂層2の樹脂を除去すると、図4に示すように、金属箔1の幅方向に亘って樹脂が除去された部分8が形成される。ここで、本実施形態においては、樹脂の除去と金属箔1の切断を同時に行うものであるが、図4では、樹脂が除去された様子のみを概念的に示している。そして回転刃3は、金属箔1の、樹脂層2が除去された部分8を切断することになり、回転刃3にて金属箔1を切断するにあたって、樹脂層2の樹脂が飛散することがなくなり、従って飛散した樹脂が樹脂層2の上面に付着するようなおそれがなく、樹脂層2の上面の平滑性が損なわれることがなくなって成形性を向上することができ、また飛散した樹脂が金属箔1の表面に付着することを防いで、金属箔1の導電性が損なわれることを防ぐと共に、この樹脂付き金属箔を多層に積層して積層板を成形する際に、金属箔1にへこみが生じて積層板の成形性が悪化するようなことを防ぐことができるものである。ここで加熱ロール4の幅は、5〜10mmとすることが好ましい。また加熱ロール4にて樹脂層2の樹脂を除去するためには、例えば加熱ロール4による樹脂層2の加熱温度を100〜300℃とすると共に、加熱ロール4の移動速度を5〜20m/minとするものである。
【0016】
このようにして、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を幅方向に切断することによって、一面に樹脂層2が形成された金属箔1から、所定の長さ寸法を有する樹脂付き金属箔を切り出すことができる。そして、このように樹脂付き金属箔を切り出したら、加熱ロール4及び回転刃3を、元の位置まで移動させた後、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を、その長尺方向に所定長さだけ移動させ、この状態から再び切断加工を行って新たに樹脂付き金属箔を切り出すことができるものである。なお、必要に応じて、この切り出された樹脂付き金属箔、あるいいは樹脂付き金属箔が切り出される前の、一面に樹脂層2が形成された金属箔1を長さ方向で切断することにより、樹脂付き金属箔を、所定の幅寸法に形成することもできる。
【0017】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、一面に樹脂層が形成された金属箔の樹脂層が形成されている面にレーザ光を照射すると共にレーザ光の照射位置を移動させることによりレーザ光が照射された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分において刃物にて金属箔を切断するため、一面に樹脂層が形成された金属箔を切断するにあたって、樹脂層の樹脂が飛散することがなくなり、従って飛散した樹脂が樹脂層の上面に付着するようなおそれがなく、樹脂層の上面の平滑性が損なわれることがなくなって成形性を向上することができ、また飛散した樹脂が金属箔の表面に付着することを防いで、金属箔の導電性が損なわれることを防ぐと共に、この樹脂付き金属箔を多層に積層して積層板を成形する際に、金属箔にへこみが生じて積層板の成形性が悪化するようなことを防ぐことができるものである。
【0018】
また本発明の請求項2に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、一面に樹脂層が形成された金属箔の、樹脂層が形成されている面に加熱ロールを当接させると共に回転させて金属箔上を移動させることによりこの加熱ロールが当接された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分において刃物にて金属箔を切断するため、一面に樹脂層が形成された金属箔を切断するにあたって、樹脂層の樹脂が飛散することがなくなり、従って飛散した樹脂が樹脂層の上面に付着するようなおそれがなく、樹脂層の上面の平滑性が損なわれることがなくなって成形性を向上することができ、また飛散した樹脂が金属箔の表面に付着することを防いで、金属箔の導電性が損なわれることを防ぐと共に、この樹脂付き金属箔を多層に積層して積層板を成形する際に、金属箔にへこみが生じて積層板の成形性が悪化するようなことを防ぐことができるものである。
【0019】
また本発明の請求項3に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法は、レーザ光が、集光されない状態で金属箔の樹脂層が形成されている面に照射されるため、樹脂層における樹脂が除去された部分の幅が狭くなりすぎることを防ぎ、刃物をこの樹脂が除去された部分に正確に位置合わせすることができるようになるものであり、刃物にて樹脂が残存している部分を切断してしまうことを防止して、樹脂の飛散を確実に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す正面の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す正面の概略図である。
【図3】同上の一部の概略縦断面図である。
【図4】樹脂層の樹脂が除去された様子を示す概念図である。
【図5】従来例を示す正面の概略図である。
【符号の説明】
1 金属箔
2 樹脂層
4 加熱ロール
7 レーザ光
8 樹脂が除去された部分
Claims (3)
- 一面に樹脂層が形成された金属箔の、樹脂層が形成されている面に、レーザ光を照射すると共にレーザ光の照射位置を移動させることにより、レーザ光が照射された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分において刃物にて金属箔を切断することを特徴とするプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法。
- 一面に樹脂層が形成された金属箔の、樹脂層が形成されている面に、加熱ローラを当接させると共に回転させて金属箔上を移動させることにより、この加熱ローラが当接された部分の樹脂を切断時に刃物が残存する樹脂と接触しない幅に除去し、この樹脂が除去された部分において刃物にて金属箔を切断することを特徴とするプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法。
- レーザ光が、集光されない状態で金属箔の樹脂層が形成されている面に照射されることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板用の樹脂付き金属箔の製造方法。
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