JP3538852B2 - 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3538852B2
JP3538852B2 JP9450393A JP9450393A JP3538852B2 JP 3538852 B2 JP3538852 B2 JP 3538852B2 JP 9450393 A JP9450393 A JP 9450393A JP 9450393 A JP9450393 A JP 9450393A JP 3538852 B2 JP3538852 B2 JP 3538852B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slab
heating
magnetic properties
annealing
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9450393A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06306470A (ja
Inventor
芳宏 尾崎
峰男 村木
俊人 高宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP9450393A priority Critical patent/JP3538852B2/ja
Publication of JPH06306470A publication Critical patent/JPH06306470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3538852B2 publication Critical patent/JP3538852B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧延方向に優れた磁
気特性を有する一方向性けい素鋼板の製造方法に関し、
スラブ加熱から熱間圧延に至る一連の工程における問題
点の有利な解決策についての開発成果を開示するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一方向性けい素鋼板は、主として変圧器
その他の電気機器の鉄心材料として使用され、磁束密度
および鉄損値等の磁気特性に優れることが基本的に重要
である。
【0003】一方向性けい素鋼板の製造において特に重
要なことは、いわゆる仕上げ焼鈍工程で一次再結晶粒を
{110}<001>方位の結晶粒に二次再結晶させる
ことである。このような二次再結晶を効果的に促進させ
るためには、まず一次再結晶粒の成長を抑制するインヒ
ビターと呼ばれる分散相を、均一かつ適正なサイズに分
散させることである。かかるインヒビターとして代表的
なものは、MnS,MnSe,AlNおよびVNのよう
な硫化物や窒化物等で、鋼中への溶解度が極めて小さい
物質が用いられている。このため従来、熱間圧延前にス
ラブを高温加熱して、インヒビター成分を完全に固溶さ
せる方法がとられ、熱間圧延工程以降、二次再結晶まで
の工程で析出分散状態を抑制している。なお、Sb,S
n,As,Pb,Ce,CuおよびMo等の粒界偏析形
元素もインヒビターとして利用されている。
【0004】さらには、1回または2回以上の冷間圧延
および1回または2回以上の焼鈍によって得られる一次
再結晶粒組織を、板厚方向全体にわたって適当な大きさ
の結晶粒でしかも均一な分布とすることである。かかる
2つの条件を満足することが重要であることは、周知の
とおりである。
【0005】従来、一方向性けい素鋼板を製造するに
は、厚さ100〜300mmのスラブを1250℃以上の
温度で長時間にわたって加熱し、インヒビターを完全に
固溶させた後、熱延板とし、次いでこの熱延板を1回ま
たは中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延によって最終
板厚とし、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、二
次再結晶および純化を目的として最終仕上げ焼鈍を行な
うのが一般的である。
【0006】ところが、スラブに高温加熱を施した場
合、インヒビター成分の溶体化のため、スラブ表面にふ
くれがしばしば発生する。このふくれがひどい場合は、
熱間圧延が不能になるのは勿論であるが、軽度の場合で
も二枚板、板切れ、穴あき等の重大な欠陥の原因とな
る。
【0007】発明者らは、このような高温加熱によるス
ラブ表面のふくれについて詳細に調査したところ、その
原因は成分元素の不均一な偏析による部分的な溶融であ
ることを見出した。即ち、ふくれの発生した部分では亀
裂が粒界に沿って生じ、また加熱後においても鋳込み時
と同程度の小さな結晶粒が残存し、加熱時に結晶粒成長
が抑制されていたことがわかった。さらに、ふくれの発
生したサンプルの表面部には内部から溶湯が流れ出た痕
跡があった。
【0008】以上の事実から、ふくれの発生は粒界部の
溶融に起因するものとわかった。
【0009】通常、連続鋳造したスラブにはその中心付
近に溶質成分の濃化した濃厚偏析帯が存在する。スラブ
加熱時のふくれは、この濃厚偏析帯での粒界溶融が原因
である。さらにミクロ的に見れば、濃厚偏析帯でも、特
に粒界部には溶質元素が濃化、偏析しやすく、元来の構
造的不安定さとあいまって、粒界部の融点低下は特に著
しい。このような状態のスラブをインヒビター溶体化の
ために超高温に加熱した時、他の部分に先立って、濃厚
偏析帯内の粒界が溶融をきたす。溶融により液相を生じ
ると、鋼中のH,N等は液層中に濃化される。なぜな
ら、これらの成分の溶解度が、δFe中よりも溶鉄中で
高いためである。
【0010】そして加熱が終了し、スラブ温度が低下す
ると、液層が凝固を始め、粒界部はN,Hの過飽和状態
となり、気相が生じ、溶融して強度の低下した粒界部は
内圧によって割れ、ふくれの起点となる。
【0011】一方、一方向性けい素鋼の製造において、
最終仕上げ焼鈍時に適正な二次再結晶をさせ、優れた磁
気特性の製品を得るには、この濃厚偏析帯に偏析したイ
ンヒビター成分、特にMnSeやMnSも熱間圧延前の
加熱時に完全に溶体化させることが極めて重要である。
そのためには、1380℃以上の超高温での長い時間の
保持が必要となる。また、この温度が高いほど保持は短
時間で済む。
【0012】しかし、ここで問題とするスラブ加熱時の
ふくれは、加熱温度が高いほど粒界の部分溶融が起こり
やすく、また時間が長いほど、液相にN,H等が濃化す
るため、発生しやすくなる。即ち、インヒビター成分の
溶体化とふくれ発生の防止の好適条件は相反するものと
なる。従って、このふくれの発生を回避するためには、
まず濃厚偏析帯を解消し部分溶融を防ぐことが考えられ
る。例えば、スラブ中心付近の濃厚偏析を緩和する技術
としては、連続鋳造途中の半凝固の状態で溶鋼を電磁力
により攪拌する電磁攪拌がよく知られている。この電子
攪拌の一方向性けい素鋼スラブの鋳造への適用は、特開
昭53−19913号、特開昭57−89433号、特
開昭59−159934号および特開昭55−8562
9号各公報に提案されている。
【0013】しかしながら、特開昭53−19913号
および特開昭57−89433号各公報に開示の技術
は、スラブ組織の微細化をはかり、等軸晶率の増大に主
眼を置いてあり、ここで問題とするスラブ加熱時のふく
れ防止についての開示はない。なお、電磁攪拌を用いる
と中心付近の濃厚偏析は緩和されるものの完全に解消さ
れるには到らず、また特開昭55−85629号公報に
示されているごとき、ホワイトバンドと呼ばれる負偏析
部が生じ、加えてそれに付随する正偏析が新たに発生す
ることもある。
【0014】電磁攪拌により緩和された中心偏析を消滅
せしめるには、特開昭59−159934号公報に示さ
れるごとく、電磁攪拌を施した後に、未凝固の鋳片に圧
下を加えることが有効である。しかしながら、この手法
によっても前述のホワイトバンドとそれに付随して生じ
る正偏析を消滅させることはできない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、上
記のいかなる手法をもってしても、インヒビターを完全
に溶体化し、優れた磁気特性を得るために、より高い温
度で加熱した場合には、やはり完全にふくれの発生を防
止するには至らなかったのである。
【0016】即ち、従来は、ふくれの発生を防止するに
は、インヒビター成分溶体化のための加熱温度を下げ、
保持時間を充分に確保するしかなく、このため生産性が
低下して成品の磁気特性も安定しにくいという問題があ
った。
【0017】この発明は含けい素鋼スラブの加熱時に発
生するふくれを防止し、しかも良好な磁気特性を有する
一方向性けい素鋼板を製造する方法について提案するこ
とを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記の目的を
達成するため、ふくれの発生とスラブ加熱条件、スラブ
組織および成分偏析の関係について鋭意検討を重ねた結
果、前述のごとく、添加成分元素の偏析とふくれの間に
密接な相関があることを見出した。
【0019】この発明は上記の知見に立脚するものであ
る。すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブを、加熱し
た後、熱間圧延を施し、次いで1回または中間焼鈍をは
さむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたの
ち、脱炭焼鈍を施し、その後鋼板表面に焼鈍分離剤を塗
布してから、最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程によって
一方向性けい素鋼板を製造するに当たり、上記スラブ加
熱に際し、スラブ中心温度1350〜1380℃で15
〜40分間の加熱処理後、引き続き1380℃以上の温
度域で加熱することを特徴とする磁気特性の優れた一方
向性けい素鋼の製造方法である。ここで、1350〜1
380℃で15〜40分間の加熱処理は、該温度域での
保持時間を15〜40分間とするか、または該温度域の
通過時間を15〜40分間とすることのいずれの場合を
も含むものである。
【0020】以下この発明の基礎となった実験結果につ
いて具体的に説明する。 実験1 まず、表1に示す成分の鋼を連続鋳造により、厚み21
0mmおよび幅1000mmサイズのスラブとし、このスラ
ブから210×300×300mmの試験片を切り出し、
予めガス加熱炉にて1250℃で1時間の予備加熱の
後、直ちに誘導加熱炉に装入し、加熱温度:1340〜
1390℃および保持時間:10〜60分間で一次加熱
し、次いで1440℃で40分間の二次加熱を施した。
ここで、該スラブの加熱後に、ふくれの有無を観察し
た。なお、上記のスラブ加熱温度は、スラブ中心での温
度であり、以下に単に加熱温度と示す場合も同様であ
る。
【0021】
【表1】
【0022】次に、ふくれ無し材は粗圧延により厚さ4
0mmのシートバーとしてから2.3 mm厚の熱延板とし、1
次冷間圧延、次いで中間焼鈍を施した後、2次冷間圧延
により0.23mmの最終板厚に仕上げた。その後湿水素中で
800℃で3分間の脱炭、1次再結晶焼鈍を施した後、
MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してからH2
で1200℃、10時間の最終仕上げ焼鈍を施した。
【0023】かくして得られた製品板の磁気特性および
スラブ加熱後のふくれの有無について調査した結果を図
1に示す。ただし、スラブ加熱時にふくれを生じたサン
プルについては、それ以後の工程を実施することは不可
能であるため、磁気特性のデータは得られていない。図
1から、1340℃以下の低温域で1次加熱および保持
を行った場合は、ふくれ防止効果はなく、さらに1次加
熱の保持時間が10分以下と短い場合もふくれ防止効果
がみられないことがわかる。また、1次加熱温度が13
90℃以上、あるいは1次加熱保持時間が60分以上に
なると、ふくれの発生は防止されるものの、磁気特性が
劣化してしまう。即ち、ふくれの発生を有効に防止し、
かつ優れた磁気特性の製品を得るための条件は、1次加
熱温度が1350〜1380℃、保持時間が15〜40
分間の範囲であることが判明した。
【0024】実験2 表3に示す成分の鋼を連続鋳造により、厚み210mmお
よび幅1000mmサイズのスラブとし、このスラブから
210×300×300mmの試片を切り出し、予めガス
加熱炉にて1200℃で1時間の予備加熱の後、直ちに
誘導加熱炉に装入し、1350〜1380℃の温度範囲
を10〜60分間で通過する昇温速度で加熱し、次いで
1440℃で20分間の加熱を施した。ここで、該スラ
ブの加熱後に、ふくれの有無を観察した。
【0025】
【表2】
【0026】次に、ふくれ無し材は粗圧延により厚さ4
0mmのシートバーとしてから2.3 mm厚の熱延板とし、1
次冷間圧延,次いで中間焼鈍を施した後、2次冷間圧延
により0.23mmの最終板厚に仕上げた。その後、MgOを
主成分とする焼鈍分離剤を塗布してからH2 中で120
0℃、10時間の最終仕上げ焼鈍を施した。
【0027】かくして得られた製品板の磁気特性および
スラブ加熱後のふくれの有無について調査した結果を図
2に示す。ただし、スラブ加熱時にふくれを生じたサン
プルについては、それ以後の工程を実施することは不可
能であるため、磁気特性のデータは得られていない。
【0028】図2から、ふくれを防止しかつ優れた磁気
特性の製品を得るには、1350〜1380℃の温度域
の通過に要する時間を15〜40分間とするのが有利で
あることがわかる。
【0029】以上の実験結果より、スラブ加熱時のふく
れを防止しかつ良好な磁気特性の方向性電磁鋼板を得る
には、スラブ加熱に際し、1350〜1380℃で15
〜40分間の加熱処理を施した後、引き続き1380℃
以上の温度域で加熱すると良いことが見出された。
【0030】なお、上記の効果が得られる機構について
は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられ
る。即ち、スラブ加熱時のふくれを防止するには、適度
な結晶粒成長が必要であり、それは、1350℃以上で
15分間以上の加熱処理によりもたらされる。この条件
が満たされないと、結晶粒が未成長のまま超高温加熱に
入るため、ふくれ防止効果は得られない。
【0031】また1380℃をこえるかもしくは40分
間をこえる加熱処理では結晶粒が成長してふくれの発生
は防止されるものの、粗大な結晶粒となるため、熱間圧
延後の未再結晶粒となりやすい。このような部分は、最
終仕上げ焼鈍で二次再結晶不良を起こすため、磁気特性
の劣化をもたらす。
【0032】この発明の素材である含けい素鋼として
は、従来公知の成分組成のものいずれもが適合するが、
代表組成を掲げると次のとおりである。 C:0.01〜0.10wt%(以下、%と示す) Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみな
らず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも
0.01%は含有することが好ましい。しかしながら、0.10
%を超えて含有されると脱炭が困難となり、かえってゴ
ス方位に乱れが生じるので上限は0.01%とすることが好
ましい。
【0033】Si:2.5 〜4.5 % Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与す
るが、4.5 %を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.5 %
に満たないと比抵抗が低下するだけでなく、二次再結晶
・純化のために行われる、最終高温焼鈍中にα−γ変態
によって結晶方位のランダム化を生じ、充分な鉄損改善
効果が得られないので、Si量は2.5 〜4.5 %程度とす
るのが好ましい。
【0034】Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するためには少なくとも0.02%
程度を必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣
化させるので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
【0035】インヒビターとしては、いわゆるMnS,
MnSe系とAlN系とがある。MnS,MnSe系の
場合は、 Se,Sのうちから選ばれる少なくとも一種:0.005 〜
0.06% Se、Sはいずれも方向性けい素鋼板の二次再結晶を制
御するインヒビターとして有力な元素である。抑制力の
観点からは、少なくとも0.005 %程度を必要とするが、
0.06%を超えるとその効果が損なわれる。従って、その
下限、上限はそれぞれ0.005 %、0.06%程度とするのが
好ましい。
【0036】AlN系の場合は、AlおよびNの範囲に
ついても、上述したMnS,MnSe系の場合と同様の
理由により、上記の範囲に定めた。ここに上記したMn
S、MnSe系およびAlN系はそれぞれ併用が可能で
ある。
【0037】インヒビター成分としては上記したS,S
e,Alの他、Cu,Sn,Sb,Mo,TeおよびB
iなども有利に適合するので、それぞれ少量併せて含有
させることもできる。ここに上記成分の好適添加範囲は
それぞれ、Cu,Sn:0.01〜0.15%、Sb,Mo,T
e,Bi:0.005 〜0.1 %であり、これらの各インヒビ
ター成分についても、単独使用および複合使用いずれも
が可能である。
【0038】なおスラブは、連続鋳造されたもの、もし
くはインゴットより分塊されたものも対象とするが、連
続鋳造された後に、分塊再圧されたスラブも対象に含ま
れることはいうまでもない。スラブは、通常そのまま、
または仮置き後加熱炉に装入・加熱、あるいは徐冷却
後、表面手入れ等を施した後、加熱炉に装入、そして加
熱される。
【0039】次に、高温のスラブ加熱手段としては、密
閉構造とし易く、容易に酸素濃度を下げられること,保
護ガスによって酸化を防止できること、温度制御が可能
であることおよび高温に効率よく加熱できること等の理
由から、誘導加熱炉や抵抗加熱炉等の電気的加熱炉を用
いるのが有利である。
【0040】インヒビターの溶体化のための超高温加熱
に先立ち1350〜1380℃の温度域での保持時間を
15〜40分間とするか、もしくはこの温度域の通過時
間を15〜40分間とすることでふくれ発生が防止され
る。この温度が1350℃未満、または保持時間および
通過時間のいずれかが15分間未満ではふくれ防止効果
が得られず、また温度が1380℃を超えるか、または
保持時間および通過時間のいずれかが40分間を超える
と、ふくれの発生は防止されるものの磁気特性の劣化を
まねく。これらの理由により、上記のような温度範囲、
保持および通過時間とした。
【0041】次に、インヒビターの大部分を溶体化する
には、1380℃以上の温度域での加熱が必要である。
一方、1440℃を超えると、粒界脆弱化により表面欠
陥が発生しやすくなるので、上限は一般に1440℃程
度とすることが好ましい。
【0042】スラブ加熱後、熱間圧延にて1.4 〜3.5 mm
厚の熱延鋼帯とする。この熱延鋼帯の酸洗工程、その後
の1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延工
程、それに続く脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布および最終仕
上げ焼鈍工程は、それぞれ公知の手段を用いることがで
きる。
【0043】
【実施例】表3に示す化学成分を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法により、厚み
210mmおよび幅1000mmサイズのスラブとし、この
スラブから210×300×300mmの試験片A〜Fを
切出し、それぞれ表4に示す条件で加熱処理した。ここ
で、該スラブの加熱後に、ふくれの有無を観察した。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】ふくれ無し材は粗圧延により厚さ40mmの
シートバーとしてから2.3 mm厚の熱延板とし、1次冷間
圧延,次いで中間焼鈍を施した後、2次冷間圧延により
0.23mmの最終板厚に仕上げた。その後、MgOを主成分
とする焼鈍分離剤を塗布してからH2 中で1200℃、
10時間の最終仕上げ焼鈍を施した。かくして得られた
製品の磁気特性およびスラブ加熱後のふくれの有無につ
いて調査した結果を、表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】表5に示すように、一次加熱温度がこの発
明に従う、サンプルB,C,Dではふくれの発生はな
く、しかも磁気特性も良好であった。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、熱間圧延前のスラブ
加熱においてスラブのふくれ発生を防止し、かつ優れた
磁気特性の製品を得ることが可能となる。また、ふくれ
を防止できるために十分な超高温域での加熱が可能とな
り、インヒビターの完全な溶体化が実現することから、
優れた磁気特性の製品を安定して製造できるようにな
り、製品の品質向上に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次加熱の温度および時間とふくれ発生の有無
および磁気特性との関係を示すグラフである。
【図2】一次加熱での保持時間と磁気特性との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−10214(JP,A) 特開 平3−115525(JP,A) 特開 平3−115528(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/00 101 C21D 9/46 501 H01F 1/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含けい素鋼スラブを加熱した後、熱間圧
    延を施し、次いで1回または中間焼鈍をはさむ2回以上
    の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げた後、脱炭焼鈍を
    施し、その後鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから最終
    仕上げ焼鈍を施す一連の工程によって一方向性けい素鋼
    板を製造するに当たり、 上記スラブ加熱に際し、スラブ中心温度1350〜13
    80℃で15〜40分間の加熱処理後、引続き1380
    ℃以上の温度域で加熱することを特徴とする磁気特性の
    優れた一方向性けい素鋼の製造方法。
JP9450393A 1993-04-21 1993-04-21 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3538852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9450393A JP3538852B2 (ja) 1993-04-21 1993-04-21 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9450393A JP3538852B2 (ja) 1993-04-21 1993-04-21 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06306470A JPH06306470A (ja) 1994-11-01
JP3538852B2 true JP3538852B2 (ja) 2004-06-14

Family

ID=14112123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9450393A Expired - Fee Related JP3538852B2 (ja) 1993-04-21 1993-04-21 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3538852B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06306470A (ja) 1994-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1889928B1 (en) Grain-oriented magnetic steel sheet with extremely high magnetic property and process for producing the same
JPH09118964A (ja) 高い体積抵抗率を有する粒子方向性珪素鋼およびその製造法
JP2015501370A (ja) 電気工学用途を意図した方向性電気鋼ストリップ又はシートの製造方法
JP4203238B2 (ja) 一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2001152250A (ja) 磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP4585144B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH08100216A (ja) 磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法
JP3538852B2 (ja) 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法
JP3369443B2 (ja) 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3340754B2 (ja) 板幅方向に均一な磁気特性を有する一方向性けい素鋼板の製造方法
JP4283533B2 (ja) 一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3849146B2 (ja) 一方向性けい素鋼板の製造方法
JP3612717B2 (ja) 方向性けい素鋼板の製造方法
JP2002212635A (ja) 磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法
JPH0967654A (ja) 鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板
JP3538855B2 (ja) 方向性けい素鋼板の製造方法
JPH0726156B2 (ja) 磁気特性および表面性状に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JP3133855B2 (ja) 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JP3536306B2 (ja) 鋼板疵の少ない磁気特性の優れた方向性珪素鋼板の製造方法
JP3849310B2 (ja) 耳割れのない方向性電磁鋼板の製造方法
JP4200526B2 (ja) 一方向性けい素鋼板の製造方法
JP3133868B2 (ja) 方向性けい素鋼スラブの加熱方法
JP4267320B2 (ja) 一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3326083B2 (ja) 高磁場鉄損特性に比較して低磁場鉄損特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JP3536303B2 (ja) 幅方向で磁気特性が均一な方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080402

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120402

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees