JP3538305B2 - 数値制御装置 - Google Patents

数値制御装置

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JP3538305B2
JP3538305B2 JP00129498A JP129498A JP3538305B2 JP 3538305 B2 JP3538305 B2 JP 3538305B2 JP 00129498 A JP00129498 A JP 00129498A JP 129498 A JP129498 A JP 129498A JP 3538305 B2 JP3538305 B2 JP 3538305B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーバーライドス
イッチ等により送り速度や主軸回転数を調整する数値制
御装置に関し、特に、オーバーライドスイッチ等のオー
バーライド指示手段により得られる各加工工程に共通な
オーバーライド値と、加工工程ごとのオーバーライド値
とに基づいて送り速度や主軸回転数を調整する数値制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加工プログラムに従って数値制御しなが
ら加工を行なう数値制御工作機械において、加工プログ
ラムの各加工工程には予め、送り軸の送り速度や主軸の
回転数に関する指令速度が設定されている。加工図面等
に基づいて加工プログラムを作成する際には、工作機械
の加工能力や工具の材質等を想定して指令速度が決定さ
れる。しかし、加工を開始する時点になって初めて、加
工プログラムの指令速度が適切でないことが判明するこ
とがある。例えば、加工計画の変更により予定の工作機
械が使用できない場合や、他の工作機械の都合やツーリ
ング状態によって予定の工具が使用できない場合等であ
る。この場合、オペレータはオーバーライドスイッチ等
のオーバーライド指示手段を操作して、加工時の実速度
が最適になるように調整する。
【0003】このため、同じ加工プログラムを実行する
際にはオーバーライドスイッチ等のオーバーライド指示
手段をその都度操作しなくても最適な加工を行なえるよ
うにする必要がある。特公平4−59105には、入力
装置からの指示により、実行している加工工程の指令速
度を調整後の指令速度に書き換える技術が開示されてい
る。また、特開平7−227739には、オーバーライ
ドスイッチ等のオーバーライド指示手段を操作して得ら
れるオーバーライド値を加工工程ごとに記録して、各加
工工程の指令速度を調整後の指令速度に書き換える技術
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来技
術には以下のような問題がある。加工プログラムがサブ
プログラムを含み、複数の加工工程からサブプログラム
が呼び出される場合は、サブプログラムの指令速度にオ
ーバーライド値を乗算しようにも、一つの指令速度に対
して複数のオーバーライド値が存在することになるた
め、最適な指令速度への変更は不可能である。さらに、
一つ前の加工工程と指令速度が同じであるために指令速
度が設定されていない加工工程が存在する場合は、オー
バーライド値を乗算する対象、つまり指令速度が存在し
ないことになるため、最適な指令速度への変更は不可能
である。これらの問題は、加工プログラムがISO/E
IAプログラムの場合に顕著となるため致命的となる。
【0005】また、加工プログラム作成時点に想定して
いた工具が使用できない場合は、工具のマニュアル値に
より加工プログラムを実行しなくても、ある程度、指令
速度を調整することができる。しかし、オーバーライド
スイッチ等のオーバーライド指示手段を操作して得られ
たオーバーライド値に基づいて指令速度を書き換える方
法であるため、加工プログラムを実行する前に指令速度
を調整しておくことは不可能である。さらにこの場合
は、想定していた工具が使用できない加工工程について
指令速度を調整すれば最適な加工は得られる。しかし、
全ての加工工程を実行する必要があるため、指令速度の
調整が長時間に渡る作業となる。
【0006】また、ワークの個数が多い場合は工具の摩
耗に応じて指令速度を調整して、新しい工具と入れ換え
る際には指令速度を調整前の状態に戻さなければならな
い。しかし、加工プログラムの指令速度を修正する方法
であるため、一旦書き換えられた指令速度を調整前の状
態に戻すのは事実上、不可能である。
【0007】本発明は、上述のような事情からなされた
ものであり、本発明の目的は、ISO/EIAプログラ
ムを含めたあらゆる加工プログラムに関して加工工程ご
とに指令速度が調整できる数値制御装置、さらには、調
整が必要な加工工程に限定して簡単かつ短時間に加工工
程ごとに指令速度が調整できる数値制御装置、さらに
は、オーバーライドスイッチ等のオーバーライド指示手
段とキーボード等の入力装置とを組み合わせて簡単かつ
短時間に加工工程ごとに指令速度が調整できる数値制御
装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、加
工工程を複数有し、前記加工工程のうち少なくとも最初
の加工工程に主軸の回転数及び送り軸の送り速度に関す
る指令速度が設定された加工プログラムを記憶する加工
プログラム記憶手段と、少なくとも前記加工工程ごとの
オーバーライド値である工程単位オーバーライド値を含
む加工工程情報を記憶する加工工程情報記憶手段と、前
記各加工工程に共通なオーバーライド値である共通オー
バーライド値を指示する共通オーバーライド指示手段
と、前記加工工程情報を表示装置に表示し、入力装置か
らの入力データに基づいて前記加工工程情報を変更する
加工工程情報変更手段と、実行中の加工工程を検出する
実行工程検出手段と、前記入力装置からの入力データに
基づいて前記工程単位オーバーライド値の有効又は無効
を決定し、前記工程単位オーバーライド値が有効な場合
は、実行中の加工工程に対応する前記工程単位オーバー
ライド値と前記共通オーバーライド値とに基づいて前記
指令速度を調整し、前記工程単位オーバーライド値が無
効な場合は、前記共通オーバーライド値に基づいて前記
指令速度を調整し、前記調整された指令速度に基づいて
前記加工プログラムを実行する加工プログラム実行手段
とを有する数値制御装置により達成される。この場合、
加工プログラムを修正しないため、ISO/EIAプロ
グラムを含めたあらゆる加工プログラムに関して加工工
程ごとに指令速度が調整できる。さらには、キーボード
等の入力装置を操作して工程単位オーバーライド値を変
更することにより、加工プログラムを実行しなくても加
工工程ごとに指令速度を調整することができる。さらに
は、工程単位オーバーライド値を無効にすれば即座に、
指令速度を調整前の状態に戻すことができる。
【0009】また、前記加工工程情報が前記加工工程ご
に前記各加工工程の有効又は無効を示す工程実行フラ
グを含み、前記加工工程情報変更手段が前記工程実行フ
ラグを変更し、前記加工プログラム実行手段が前記工程
実行フラグに基づいて有効な加工工程のみを実行するこ
とにより達成される。この場合、調整が必要な加工工程
に限定して工程単位オーバーライド値を変更することに
より簡単かつ短時間に指令速度を調整することができ
る。
【0010】また、前記共通オーバーライド値を前記加
工工程ごとにバックアップ共通オーバーライド値として
記憶したバックアップ共通オーバーライド記憶手段と、
前記記憶しておいたバックアップ共通オーバーライド値
に基づいて前記工程単位オーバーライド値を一括して変
更する工程単位オーバーライド変更手段とを上述の数値
制御装置に加えることにより達成される。この場合、オ
ーバーライドスイッチ等のオーバーライド指示手段を操
作して加工プログラム実行中に指令速度を調整しても、
その結果を工程単位オーバーライド値に反映することが
できる。つまり、オーバーライドスイッチ等のオーバー
ライド指示手段とキーボード等の入力装置とを組み合わ
せて簡単かつ短時間に指令速度を調整することができ
る。
【0011】また、前記加工工程情報記憶部の記憶内容
を加工工程情報ファイルとして出力する加工工程情報出
力手段と、前記加工工程情報ファイルを前記加工工程情
報記憶手段に格納する加工工程情報入力手段とを上述の
数値制御装置に加えることによって達成される。この場
合、キーボード等の入力装置やオーバーライドスイッチ
等のオーバーライド指示手段を操作して得られた最適な
加工が加工工程情報ファイルとして保存できるため、最
適な加工を簡単に繰り返すことができる。
【0012】また、前記加工工程情報記憶部の記憶内容
を含めて前記加工プログラムを加工プログラムファイル
として出力する加工プログラム出力手段と、前記加工プ
ログラムファイルの加工プログラム部分を前記加工プロ
グラム記憶手段に格納し、それ以外の部分を前記加工工
程情報記憶手段に格納する加工プログラム入力手段とを
上述の数値制御装置に加えることによって達成される。
この場合、キーボード等の入力装置やオーバーライドス
イッチ等のオーバーライド指示手段を操作して得られた
最適な加工が加工プログラムファイルとして保存できる
ため、最適な加工を簡単に繰り返すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の数値制御装置の
第1の実施形態及び第2の実施形態を示すブロック図で
ある。加工プログラム記憶部1が加工プログラム記憶手
段に相当し、加工工程情報記憶部2が加工工程情報記憶
手段に相当し、共通オーバーライド指示部3が共通オー
バーライド指示手段に相当し、加工工程情報変更部6が
加工工程情報変更手段に相当し、主制御部7の実行工程
検出部8が実行工程検出手段に相当し、主制御部7の加
工プログラム実行部9が加工プログラム実行手段に相当
し、加工工程情報ファイル入出力部11が加工工程情報
出力手段及び加工工程情報入力手段に相当し、加工プロ
グラムファイル入出力部12が加工プログラム出力手段
及び加工プログラム入力手段に相当する。以下、図1に
基づいて本発明の数値制御装置の第1の実施形態を詳細
に説明する。
【0014】加工プログラム記憶部1には加工プログラ
ムMDが記憶され、加工工程情報記憶部2には加工工程
情報PDが記憶されている。加工工程情報PDは加工工
程ごとの工程識別データPNAMEと工程単位オーバー
ライド値POVから構成される。工程識別データPNA
MEは、表示装置に加工工程の名称を表示するために必
要な文字列又は識別番号である。工程単位オーバーライ
ド値POVは工程単位送り速度オーバーライド値PFO
Vと工程単位主軸オーバーライド値PSOVから構成さ
れる。工程単位送り速度オーバーライド値PFOVは、
送り軸の送り速度に関する指令速度(以降、送り速度F
と称する)に対するオーバーライド値であり、工程単位
主軸オーバーライド値PSOVは、主軸の回転数に関す
る指令速度(以降、主軸回転数Sと称する)に対するオ
ーバーライド値である。つまり、加工工程の番号をiと
すると、加工工程情報PDは以下のような配列データと
して定義できる。 PD(i)=(PNAME(i),POV(i)) POV(i)=(PFOV(i),PSOV(i)) 0%≦PFOV(i)≦200% 0%≦PSOV(i)≦200%
【0015】加工工程情報変更部6は、表示データDS
Pを表示装置4に送出し、表示装置4の画面に加工工程
情報PDを表示する。入力装置5にはキーボードが設け
られており、キーボード操作に応じて入力装置5は入力
データDATAを送出する。加工工程情報変更部6は入
力データDATAに基づいて加工工程情報PDを変更す
る。
【0016】共通オーバーライド指示部3には送り速度
F用と主軸回転数S用の2つのオーバーライドスイッチ
が設けられており、各加工工程に共通なオーバーライド
値である共通オーバーライド値COVを送出する。共通
オーバーライド値COVは、送り速度Fに対するオーバ
ーライド値である共通送り速度オーバーライド値CFO
Vと主軸回転数Sに対するオーバーライド値である共通
主軸オーバーライド値CSOVから構成され、オペレー
タは各々のオーバーライドスイッチを操作することによ
り共通オーバーライド値COVを任意の時点で変更する
ことができる。
【0017】主制御部7は加工プログラム記憶部1から
加工プログラムMDを1ブロックずつ読み込みながら加
工プログラムMDを実行する。主制御部7の実行工程検
出部8は、読み込んだブロックに対応する加工工程の番
号EPN、つまり実行中の加工工程の番号EPN(以
降、実行工程番号EPNと称する)を送出する。なお、
以下の1)〜4)のいづれかの方法により、実行工程番
号EPNを算出することができる。
【0018】1)工程番号指令を設ける方法 工具番号を指令する工具交換指令と同様に、加工工程の
番号を指令する工程番号指令を設け、各加工工程の先頭
ブロックに工程番号指令を指令する。実行工程検出部8
は、加工プログラムMDの各ブロックに工程番号指令が
含まれるか否かをチェックし、工程番号指令が含まれる
ブロックを読み込んだ時に実行工程番号EPNを書き換
える。
【0019】2)工程切替えコードを設ける方法 加工工程の切替えを示す工程切替えコードを設け、各加
工工程の先頭ブロックに工程切替えコードを指令する。
実行工程検出部8は、加工プログラムMDの各ブロック
に工程切替えコードが含まれるか否かをチェックし、工
程切替えコードが含まれるブロックを読み込んだ時に実
行工程番号EPNを書き換える。
【0020】3)工具交換指令を流用する方法 実行工程検出部8は、加工プログラムMDの各ブロック
に工具交換指令が含まれるか否かをチェックし、工具交
換指令が含まれるブロックを読み込んだ時に実行工程番
号EPNを書き換える。
【0021】4)シーケンス番号を流用する方法 シーケンス番号(各ブロックの先頭に指令されるNに続
く番号)の上位桁を実行工程番号とする。実行工程検出
部8は、加工プログラムMDの各ブロックのシーケンス
番号をチェックし、シーケンス番号の上位桁に基づいて
実行工程番号EPNを書き換える。
【0022】主制御部7の加工プログラム実行部9は、
実行工程番号EPNに基づいて加工工程情報記憶部2か
ら実行中の加工工程に関する加工工程情報PD(EP
N)を抽出し、その加工工程情報PD(EPN)及び共
通オーバーライド値COVに基づいて送り速度F及び主
軸回転数Sを調整しながら加工プログラムMDを1ブロ
ックずつ実行する。
【0023】入力装置5にはサイクルスタートを指示す
るキー又はスイッチが設けられており、オペレータはそ
のキー又はスイッチを操作して加工プログラムMDの実
行開始を指示することができる。つまり、入力装置5は
上記キー又はスイッチの操作に応じて加工開始フラグF
STRTをON又はOFFする。さらに、入力装置5に
は工程単位オーバーライド値POVの有効又は無効を指
示するキー又はスイッチが設けられており、オペレータ
はそのキー又はスイッチを操作して工程単位オーバーラ
イド値POVを有効にしたり無効にしたりすることがで
きる。つまり、入力装置5は上記キー又はスイッチの操
作に応じて工程単位オーバーライド有効フラグFPOを
ON又はOFFする。
【0024】図2は、第1の実施形態における主制御部
7の処理手順の一例を示すフローチャートである。以
下、図2に基づいて第1の実施形態における主制御部7
を詳細に説明する。
【0025】主制御部7は先ず、加工開始フラグFST
RTをチェックする(ステップS20)。加工開始フラ
グFSTRTがONすると加工プログラムMDが終了す
るまでステップS21以降の処理を繰り返す(ステップ
S30まで)。加工開始フラグFSTRTがONすると
先ず、加工プログラム記憶部1から加工プログラムMD
を1ブロックずつ読み込み、そのブロックが終了までス
テップS22以降の処理を繰り返す(ステップS21か
らS29)。続いて、読み込んだブロックに加工工程の
切替えを示す指令が含まれている場合には実行工程番号
EPNを書き換える(ステップS22)。続いて、工程
単位オーバーライド有効フラグFPOをチェックする
(ステップS24)。工程単位オーバーライド有効フラ
グFPOがONの場合は式1により送り速度Fを調整
し、式2により主軸回転数Sを調整する(ステップS2
5)。 送り速度F’=送り速度F×PFOV(EPN)×CFOV ‥‥‥‥式1 主軸回転数S’=主軸回転数S×PSOV(EPN)×CSOV ‥‥式2 EPN:実行工程番号 PFOV(i):工程単位送り速度オーバーライド値 PSOV(i):工程単位主軸オーバーライド値 CFOV:共通送り速度オーバーライド値 CSOV:共通主軸オーバーライド値 一方、工程単位オーバーライド有効フラグFPOがOF
Fの場合は、式3により送り速度Fを調整し、式4によ
り主軸回転数Sを調整する(ステップS26)。 送り速度F’=送り速度F×CFOV ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式3 主軸回転数S’=主軸回転数S×CSOV ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式4 CFOV:共通送り速度オーバーライド値 CSOV:共通主軸オーバーライド値 続いて、調整後の送り速度F’に基づいて単位時間当た
りの軸移動量を算出し、図示しない送り軸制御部に送出
する(ステップS27)。続いて、調整後の主軸回転数
S’に基づいて主軸回転指令を算出し、図示しない主軸
制御部に送出する(ステップS28)。なお、送り軸制
御部は単位時間当たりの軸移動量に基づいて送り軸モー
ターを駆動し、主軸制御部は主軸回転指令に基づいて主
軸モーターを駆動する。
【0026】図3は、第1の実施形態における表示装置
4に表示される画面例である。以下、図3に基づいて第
1の実施形態における加工工程情報変更部6を詳細に説
明する。
【0027】画面600は表示領域603、604、6
10、620、630、640から構成される。表示領
域603は工程単位オーバーライド有効フラグFPOの
状態を表示し、表示領域604は入力装置5に具備され
たファンクションキー601の処理内容を示すガイダン
スを表示し、表示領域610は加工工程の番号(連番)
を表示し、表示領域620は工程識別データPNAME
を表示し、表示領域630は工程単位送り速度オーバー
ライド値PFOVを表示し、表示領域640は工程単位
主軸オーバーライド値PSOVを表示する。表示領域6
04に表示されたガイダンスにより、ファンクションキ
ーF1が工程単位オーバーライド値POVを有効又は無
効にするキーであることを示している。
【0028】オペレータは、ファンクションキーF1を
操作して工程単位オーバーライド値POVを有効又は無
効にする。つまり、ファンクションキーF1により工程
単位オーバーライド有効フラグFPOをON又はOFF
する。なお、工程単位オーバーライド有効フラグFPO
がONの場合は表示領域603に 工程単位運転:有効 と表示され、OFFの場合は表示領域603に 工程単位運転:無効 と表示される。さらにオペレータは、入力装置5に具備
されたキーボードを操作して、カーソル602を表示領
域630又は表示領域640に移動させ、各加工工程の
工程単位送り速度オーバーライド値PFOV又は工程単
位主軸オーバーライド値PSOVを変更する。
【0029】例えば、画面600の状態で加工プログラ
ムPDを実行すると、工程単位オーバーライド有効フラ
グFPOがONしているため、第1の加工工程(荒外端
↓)は下記の指令速度にて実行される。 送り速度F×90/100×CFOV 主軸回転数S×96/100×CSOV
【0030】図4は、図1に示した第2の実施形態にお
ける主制御部7の処理手順の一例を示すフローチャート
である。図2のフローチャートに対してステップS23
が追加されている。その他のステップについては図2と
処理内容が同じであるため、図2と同じ番号を付してそ
の説明を省略する。以下、図4に基づいて第2の実施形
態における主制御部7を詳細に説明する。
【0031】加工工程情報PDは、加工工程ごとの工程
識別データPNAMEと工程単位オーバーライド値PO
Vと工程有効フラグFPEXとから構成される。工程識
別データPNAME及び工程単位オーバーライド値PO
Vは第1の実施形態と同じであるためその説明を省略す
る。工程有効フラグFPEXは各加工工程の有効又は無
効を示すデータであり、工程有効フラグFPEXがON
の場合はその加工工程を実行することを意味し、工程有
効フラグFPEXがOFFの場合はその加工工程を実行
しないことを意味する。つまり、加工工程の番号をiと
すると、第2の実施形態における加工工程情報PDは以
下のような配列データとして定義できる。 PD(i)=(PNAME(i),POV(i),FP
EX(i)) POV(i)=(PFOV(i),PSOV(i)) FPEX(i)=ON又はOFF 0%≦PFOV(i)≦200% 0%≦PSOV(i)≦200% 主制御部7は、実行中の加工工程に関する工程有効フラ
グFPEX(EPN)をチェックする(ステップS2
3)。工程有効フラグFPEX(EPN)がOFFの場
合はステップS24からステップS29までの処理を省
略する。
【0032】図5は、第2の実施形態における表示装置
4に表示される画面例である。以下、図5に基づいて第
2の実施形態における加工工程情報変更部6を詳細に説
明する。
【0033】画面700は表示領域603、604、6
10、620、630、640、710から構成され
る。表示領域603、610、620、630、640
については図3の画面600と同じであるため、図3と
同じ番号を付してその説明を省略する。表示領域604
は入力装置5に具備されたファンクションキー601の
処理内容を示すガイダンスを表示し、表示領域710は
工程有効フラグFPEXの状態を表示する。表示領域6
04に表示されたガイダンスにより、ファンクションキ
ーF1が工程単位オーバーライド値POVを有効又は無
効にするキーであり、ファンクションキーF2が各加工
工程を実行するか否かを指定するキーであることがわか
る。
【0034】オペレータは、入力装置5に具備されたキ
ーボードを操作して、カーソル602を表示領域710
に移動させ、加工工程を実行するか否かをファンクショ
ンキーF2により指定する。つまり、ファンクションキ
ーF2により各加工工程の工程有効フラグFPEXをO
N又はOFFする。
【0035】例えば、画面700の状態で加工プログラ
ムPDを実行すると、工程単位オーバーライド有効フラ
グFPOがONしているため、第1の加工工程(荒外端
↓)が下記の指令速度にて実行され、 送り速度F×90/100×CFOV 主軸回転数S×96/100×CSOV 続いて、第2の加工工程(荒外←)が下記の指令速度に
て実行され、 送り速度F×80/100×CFOV 主軸回転数S×98/100×CSOV 続いて、第4の加工工程(仕外←)が下記の指令速度に
て実行されて、加工プログラムPDの実行は終了する。 送り速度F×100/100×CFOV 主軸回転数S×100/100×CSOV
【0036】図6は、本発明の数値制御装置の第3の実
施形態を示すブロック図である。図1のブロック図に対
して共通オーバーライド記憶部12及び共通オーバーラ
イド保存部13が追加されている。また、加工工程情報
変更部6’の処理内容が変更されているために図1と異
なる番号を付してある。共通オーバーライド記憶部12
及び共通オーバーライド保存部13が共通オーバーライ
ド記憶手段に相当し、加工工程情報変更部6’が加工工
程情報変更手段及び工程単位オーバーライド変更手段に
相当する。以下、図6に基づいて本発明の数値制御装置
の第3の実施形態を詳細に説明する。
【0037】共通オーバーライド記憶部12には、加工
工程ごとの共通オーバーライド値COVであるバックア
ップ共通オーバーライド値BCOVが記憶されている。
バックアップ共通オーバーライド値BCOVは工程単位
オーバーライド値POVと同様に、送り速度Fに対する
オーバーライド値であるバックアップ共通送り速度オー
バーライド値BCFOVと、主軸回転数Sに対するオー
バーライド値であるバックアップ共通主軸オーバーライ
ド値BCSOVとから構成される。つまり、加工工程の
番号をiとすると、バックアップ共通オーバーライド値
BCOVは以下のような配列データとして定義できる。 BCOV(i)=(BCFOV(i)、BCSOV
(i)) 共通オーバーライド保存部13は、実行中の加工工程に
対応するバックアップ共通オーバーライド値BCOVを
書き換える。つまり、式5によりバックアップ共通送り
速度オーバーライド値BCFOVを書き換え、式6によ
りバックアップ共通主軸オーバーライド値BCSOVを
書き換える。 BCFOV(EPN)=CFOV ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式5 BCSOV(EPN)=CSOV ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式6 EPN:実行工程番号 BCFOV(i):バックアップ共通送り速度オーバー
ライド値 BCSOV(i):バックアップ共通主軸オーバーライ
ド値 CFOV:共通送り速度オーバーライド値 CSOV:共通主軸オーバーライド値 加工工程情報変更部6’は、表示データDSPを表示装
置4に送出し、表示装置4の画面に加工工程情報PD及
びバックアップ共通オーバーライド値BCOVを表示す
る。入力装置5にはキーボードが設けられており、キー
ボード操作に応じて入力装置5は入力データDATAを
送出する。加工工程情報変更部6’は入力データDAT
A及びバックアップ共通オーバーライド値BCOVに基
づいて加工工程情報PDを変更する。
【0038】図7は、第3の実施形態における加工工程
情報変更6’の処理手順の一例を示すフローチャートで
ある。図8及び図9は、第3の実施形態における表示装
置4に表示される画面例である。以下、図7、図8、図
9に基づいて第3の実施形態における加工工程情報変更
部6’を詳細に説明する。
【0039】画面800は表示領域603、604、6
10、620、630、640、710、810、82
0から構成される。表示領域603、610、620、
630、640、710については図5の画面700と
同じであるため、図5と同じ番号を付してその説明を省
略する。表示領域604は入力装置5に具備されたファ
ンクションキー601の処理内容を示すガイダンスを表
示し、表示領域810はバックアップ共通送り速度オー
バーライド値BCFOVを表示し、表示領域820はバ
ックアップ共通主軸オーバーライド値BCSOVを表示
する。表示領域604に表示されたガイダンスにより、
ファンクションキーF1が工程単位オーバーライド値P
OVを有効又は無効にするキーであり、ファンクション
キーF2が各加工工程を実行するか否かを指定するキー
であり、ファンクションキーF3が工程単位オーバーラ
イド値POVの一括変更を指定するキーであることを示
している。
【0040】加工工程情報変更部6’は先ず、入力装置
5から入力データDATAが有るか否かをチェックする
(ステップS50)。入力データDATAがカーソルキ
ーによるものであれば(ステップS51)、カーソル6
02を移動する(ステップS52)。続いて、入力デー
タDATAが数字キーによるものであれば(ステップS
53)、カーソル602が示す加工工程の工程単位送り
速度オーバーライド値PFOV又は工程単位主軸オーバ
ーライド値PSOVを変更する(ステップS54)。続
いて、入力データDATAがファンクションキーF1に
よるものであれば(ステップS55)、工程単位オーバ
ーライド有効フラグFPOをON又はOFFする(ステ
ップS56)。続いて、入力データDATAがファンク
ションキーF2によるものであれば(ステップS5
7)、カーソル602が示す加工工程の工程有効フラグ
FPEXをON又はOFFする(ステップS58)。続
いて、入力データDATAがファンクションキーF3に
よるものであれば(ステップS59)、全ての加工工程
についてステップS61からステップS64までの処理
を行なう(ステップS60からS66)。工程単位オー
バーライド有効フラグFPOがONの場合は(ステップ
S61)、式7及び式8により工程工程単位オーバーラ
イド値POVを一括して変更する(ステップS62)。 PFOV(i)=PFOV(i)×BCFOV(i) ‥‥‥‥‥‥‥式7 PSOV(i)=PSOV(i)×BSFOV(i) ‥‥‥‥‥‥‥式8 PFOV(i):工程単位送り速度オーバーライド値 PSOV(i):工程単位主軸オーバーライド値 BCFOV(i):バックアップ共通送り速度オーバー
ライド値 BCSOV(i):バックアップ共通主軸オーバーライ
ド値 工程単位オーバーライド有効フラグFPOがOFFの場
合は(ステップS61)、式9及び式10により工程工
程単位オーバーライド値POVを一括して変更する(ス
テップS63)。 PFOV(i)=BCFOV(i) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式9 PSOV(i)=BSFOV(i) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式10 PFOV(i):工程単位送り速度オーバーライド値 PSOV(i):工程単位主軸オーバーライド値 BCFOV(i):バックアップ共通送り速度オーバー
ライド値 BCSOV(i):バックアップ共通主軸オーバーライ
ド値 続いて、バックアップ共通送り速度オーバーライド値B
CFOV及びバックアップ共通主軸オーバーライド値B
CSOVを100%に初期化する(ステップS64)。
【0041】なお、第1の実施形態における加工工程情
報変更部6の処理は、ステップS50からステップS5
6までの処理に相当し、第2の実施形態における加工工
程情報変更部6の処理は、ステップS50からステップ
S58までの処理に相当する。
【0042】画面800は、加工プログラム実行中にオ
ーバーライドスイッチ等のオーバーライドスイッチ指示
手段を操作して、第1の加工工程(荒外端↓)の共通送
り速度オーバーライド値CFOVのみを50%に調整し
たことを示している。この状態にてファンクションキー
F3を押すと、表示装置4は図9の画面900を表示す
る。式7により、第1の加工工程(荒外端↓)の工程単
位送り速度オーバーライド値PFOVが45%に変更さ
れ、バックアップ共通送り速度オーバーライド値BCF
OVが100%に初期化されている。
【0043】図10のファイル1000及びファイル1
010は、2つのファイル(加工工程情報ファイルPD
F、加工プログラムファイルMDF)により加工工程情
報PD及び加工プログラムMDを入出力する場合の例で
あり、ファイル1000が加工工程情報ファイルPDF
を示し、ファイル1010が加工プログラムファイルM
DFを示す。以下、図10に基づいて、2つのファイル
により入出力する場合の図1及び図6における加工工程
情報ファイル入出力部10及び加工プログラムファイル
入出力部11を詳細に説明する。
【0044】ファイル1000(加工工程情報ファイル
PDF)には、加工工程の番号を添数とする配列データ
として、各加工工程の工程識別データPNAME、工程
単位送り速度オーバーライド値PFOV、工程単位主軸
オーバーライド値PSOV、工程有効フラグFPEXが
記述され、その内容は、図8の画面800に表示されて
いる加工工程情報PDに対応している。なお、工程有効
フラグFPEXは0がOFFを、1がONを意味する場
合の例であり、工程識別データPNAMEは下記のよう
に番号ごとに工程名称を定義した例である。 1=荒外← 2=荒内← 3=荒外端↓ 7=仕外← 8=仕内← 13=ネジ外← ファイル1010(加工プログラムファイルMDF)に
は、ISO/EIAプログラムが記述されている。
【0045】加工工程情報ファイル入出力部10は、加
工工程情報記憶部2に記憶された加工工程情報PDをフ
ァイル化して、紙テープやフロッピーディスクや通信回
線等の記憶媒体を介して加工工程情報ファイルPDF
(ファイル1000)として出力する。さらに、上記記
憶媒体を介して加工工程情報ファイルPDF(ファイル
1000)を入力し、その内容を加工工程情報記憶部2
に格納する。加工プログラムファイル入出力部11も同
様に、上記記憶媒体を介して加工プログラムファイルM
DF(ファイル1010)を入出力する。
【0046】図10のファイル1020は、1つのファ
イル(加工プログラムファイルMDF)により加工工程
情報PD及び加工プログラムMDを入出力する場合の加
工プログラムファイルMDFの一例を示す図である。以
下、図10に基づいて、1つのファイルにより入出力す
る場合の図1及び図6における加工プログラムファイル
入出力部11を詳細に説明する。
【0047】ファイル1020(加工プログラムファイ
ルMDF)は、加工工程情報1021と加工プログラム
1022から構成される。加工工程情報1021の内容
は、ファイル1000の内容と同じであるため説明を省
略する。
【0048】加工プログラムファイル入出力部11は、
加工プログラム記憶部1に記憶された加工プログラムM
Dと加工工程情報記憶部2に記憶された加工工程情報P
Dとを組み合わせてファイル化し、上記記憶媒体を介し
て加工プログラムファイルMDF(ファイル1020)
として出力する。さらに、上記記憶媒体を介して加工プ
ログラムファイルMDF(ファイル1020)を入力
し、その内容を加工プログラム記憶部1及び加工工程情
報記憶部2に格納する。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明の数値制御装置によ
れば、ISO/EIAプログラムを含めたあらゆる加工
プログラムに関して加工工程ごとに指令速度が調整でき
るため、加工ノウハウを組み込んだユーザー独自の加工
プログラムにおいても最適な加工を得ることができる。
さらに、オーバーライドスイッチ等のオーバーライド指
示手段とキーボード等の入力装置とを組み合わせて指令
速度が調整できると共にワンタッチ操作により指令速度
を調整前の状態に戻せるため、簡単かつ短時間に最適な
加工を得ることができる。さらに、調整が必要な加工工
程に限定して指令速度が調整できるため、より簡単かつ
短時間に最適な加工を得ることができる。さらに、この
ような数値制御装置が、廉価でかつコンパクトに構築で
きる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の数値制御装置の第1の実施形態及び
第2の実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の数値制御装置の第1の実施形態にお
ける主制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の数値制御装置の第1の実施形態にお
ける表示装置に表示される画面例の図である。
【図4】 本発明の数値制御装置の第2の実施形態にお
ける主制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 本発明の数値制御装置の第2の実施形態にお
ける表示装置に表示される画面例の図である。
【図6】 本発明の数値制御装置の第3の実施形態を示
すブロック図である。
【図7】 本発明の数値制御装置の第3の実施形態にお
ける加工工程情報変更部の処理手順を示すフローチャー
トである。
【図8】 本発明の数値制御装置の第3の実施形態にお
ける表示装置に表示される画面例の図である。
【図9】 本発明の数値制御装置の第3の実施形態にお
ける表示装置に表示される画面例の図である。
【図10】 本発明の数値制御装置における加工プログ
ラムファイル及び加工工程情報ファイルの一例を示す図
である。
【符号の説明】
1 加工プログラム記憶部、2 加工工程情報記憶部、
3 共通オーバーライド指示部、4 表示装置、5 入
力装置、6 加工工程情報記憶部、7 主制御部、8
実行工程検出部、9 加工プログラム実行部、10 加
工工程情報ファイル入出力部、11 加工プログラムフ
ァイル入出力部、MD 加工プログラム、PD 加工工
程情報、EPN 実行工程番号、COV 共通オーバー
ライド値。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 19/404 G05B 19/416 B23Q 15/00 307

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工工程を複数有し、前記加工工程のう
    ち少なくとも最初の加工工程に主軸の回転数及び送り軸
    の送り速度に関する指令速度が設定された加工プログラ
    ムを記憶する加工プログラム記憶手段と、少なくとも前
    記加工工程ごとのオーバーライド値である工程単位オー
    バーライド値を含む加工工程情報を記憶する加工工程情
    報記憶手段と、前記各加工工程に共通なオーバーライド
    値である共通オーバーライド値を指示する共通オーバー
    ライド指示手段と、前記加工工程情報を表示装置に表示
    し、入力装置からの入力データに基づいて前記加工工程
    情報を変更する加工工程情報変更手段と、実行中の加工
    工程を検出する実行工程検出手段と、前記入力装置から
    の入力データに基づいて前記工程単位オーバーライド値
    の有効又は無効を決定し、前記工程単位オーバーライド
    値が有効な場合は、実行中の加工工程に対応する前記工
    程単位オーバーライド値と前記共通オーバーライド値と
    に基づいて前記指令速度を調整し、前記工程単位オーバ
    ーライド値が無効な場合は、前記共通オーバーライド値
    に基づいて前記指令速度を調整し、前記調整された指令
    速度に基づいて前記加工プログラムを実行する加工プロ
    グラム実行手段とを有することを特徴とする数値制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記加工工程情報が前記加工工程ごと
    前記各加工工程の有効又は無効を示す工程実行フラグを
    含み、前記加工工程情報変更手段が前記工程実行フラグ
    を変更し、前記加工プログラム実行手段が前記工程実行
    フラグに基づいて有効な加工工程のみを実行する請求項
    1に記載の数値制御装置。
  3. 【請求項3】 前記共通オーバーライド値を前記加工工
    程ごとにバックアップ共通オーバーライド値として記憶
    したバックアップ共通オーバーライド記憶手段と、前記
    記憶しておいたバックアップ共通オーバーライド値に基
    づいて前記工程単位オーバーライド値を一括して変更す
    る工程単位オーバーライド変更手段とを有する請求項1
    又は2に記載の数値制御装置。
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