JP3537395B2 - 半導体増幅回路およびシステム - Google Patents

半導体増幅回路およびシステム

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JP3537395B2
JP3537395B2 JP2000558602A JP2000558602A JP3537395B2 JP 3537395 B2 JP3537395 B2 JP 3537395B2 JP 2000558602 A JP2000558602 A JP 2000558602A JP 2000558602 A JP2000558602 A JP 2000558602A JP 3537395 B2 JP3537395 B2 JP 3537395B2
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錠二 林
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Panasonic Holdings Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
(技術分野) 本発明は、カスコードアンプを含む半導体増幅回路およ
びシステムに関する。
【0001】(背景技術) 図3は、従来の半導体増幅回路10の構成を示す。半導
体増幅回路10は、入力端子INに入力される入力信号
INを増幅し、その結果を出力信号VOUTとして出力端
子OUTに出力する。
【0002】半導体増幅回路10は、トランジスタ10
1を含む。トランジスタ101のゲートは、入力端子I
Nに接続されている。トランジスタ101のソースは、
接地されている。トランジスタ101のドレインは、出
力端子OUTに接続されている。また、トランジスタ1
01のドレインには、負荷ZLを介して電源電圧Vdd
供給される。
【0003】図5は、図3に示される半導体増幅回路1
0の動作をシミュレーションした結果を示す。このよう
なシミュレーションは、例えば、HSPICEを用いて
行われる。シミュレーションの条件は以下に示すとおり
である。
【0004】 ・トランジスタ101:nMOSトランジスタ ・入力信号VINの周波数f:1kHz ・負荷ZL:1000Ωの抵抗 ・トランジスタ101の出力コンダクタンスgds:1
mS ・トランジスタ101のトランスコンダクタンスgm:
24mS 図5に示されるように、半導体増幅回路10によって、
入力信号VINを12(=ZL×gm/2)倍に増幅した
出力信号VOUTが得られる。
【0005】しかし、半導体増幅回路10の構成では、
ミラー効果のため、入出力間容量Cgdが約12倍に見え
る。従って、入力信号VINの周波数が高くなるにつれて
入力端子INから出力端子OUTに大きな電流が流れる
ことになる。
【0006】図4は、ミラー効果を低減する従来の半導
体増幅回路20の構成を示す。
【0007】半導体増幅回路20は、カスコードアンプ
500を含む。カスコードアンプ500は、縦続接続さ
れたトランジスタ101およびトランジスタ102を有
している。
【0008】トランジスタ101のゲートは、半導体増
幅回路20の入力端子INに接続されている。トランジ
スタ101のソースは、接地されている。トランジスタ
101のドレインは、トランジスタ102のソースに接
続されている。
【0009】トランジスタ102のゲートには、固定さ
れた電圧Vbが供給される。固定された電圧Vbは、例え
ば、DC電源(図示せず)から供給される。バイパスコ
ンデンサC1は、DC電源から供給される電圧VbのAC
成分を除去するために設けられている。
【0010】トランジスタ102のソースは、トランジ
スタ101のドレインに接続されている。トランジスタ
102のドレインは、半導体増幅回路20の出力端子O
UTに接続されている。また、トランジスタ102のド
レインには、負荷ZLを介して電源電圧Vddが供給され
る。
【0011】図6は、トランジスタ101のドレイン電
圧(すなわち、トランジスタ102のソース電圧)V1
をシミュレーションした結果を示す。トランジスタ10
1およびトランジスタ102が縦続接続されたカスコー
ド構成により、電圧V1の振幅は、入力電圧VINの振幅
とほぼ同等である。このため、入力端子INとトランジ
スタ101のドレインとの間に大きな電流は流れない。
その結果、ミラー効果が低減される。
【0012】また、上述したカスコード構成により、半
導体増幅回路20の出力として大きな電力を得ることが
可能となる。以下、このことについて説明する。
【0013】一般に、増幅器の最大出力電力POUT
(式1)によって表される。
【0014】POUT〜(gm・VIN2/GOUT・・・
(式1) ここで、gmは増幅器のトランスコンダクタンスを示
し、VINは増幅器に入力される入力信号の電圧を示し、
OUTは増幅器の出力コンダクタンスを示す。
【0015】(式1)から理解されるように、P
OUTは、GOUTに反比例する。
【0016】図3に示されるように増幅器がトランジス
タ単体構成を有する場合には、GOUT=gdsである。
従って、GOUT=gdsを(式1)に代入することによ
り、POUT=(gm・VIN2/gdsが成立する。これ
に対し、図4に示されるように増幅器(すなわち、カス
コードアンプ500)がカスコード構成を有する場合に
は、入力信号VINの周波数が比較的低い帯域では、G
OUT=gds2/gmと近似することができる。従って、
OUT=gds2/gmを(式1)に代入することによ
り、そのような周波数帯域では、POUT=(gm・
IN2・gm/gds2が成立する。
【0017】このように、カスコード構成を有する増幅
器は、トランジスタ単体構成を有する増幅器に比べて、
gm/gds倍のPOUTを得ることができる。例えば、
gm=10mS、gds=1mSである場合には、カス
コード構成を有する増幅器は、トランジスタ単体構成を
有する増幅器に比べて、10倍のエネルギーを得ること
ができる。
【0018】以上、説明したように、カスコード構成を
有する増幅器は、ミラー効果を低減し、かつ、出力コン
ダクタンスを低減するという利点を有している。これら
の利点から、カスコード構成を有する増幅器が通常よく
用いられている。
【0019】しかしながら、入力信号VINの周波数が1
00MHz以上である場合には、半導体増幅回路20の
出力コンダクタンスが負となる周波数帯域が存在し得
る。カスコードアンプ500の出力コンダクタンスG
OUTが負となる周波数帯域が存在し得るからである。
【0020】なお、以下の説明では、増幅器の出力コン
ダクタンスGOUTが負となる(すなわち、GOUT<0が成
立する)ことを「増幅器の出力コンダクタンスGOUT
負性特性を有する」という。
【0021】図7は、カスコードアンプ500の小信号
等価回路の構成を示す。図7に示される例では、トラン
ジスタ101とトランジスタ102とは同一サイズのn
MOSトランジスタであると仮定する。また、ミラー効
果を低減するため、トランジスタ102のゲートは容量
1を介して接地されていると仮定する。なお、図7に
示される記号の意味は以下に示すとおりである。
【0022】 ・Cgs1:トランジスタ101のゲート・ソース容量 ・Cgd1:トランジスタ101のゲート・ドレイン容量 ・gm1:トランジスタ101のトランスコンダクタン
ス ・gds1:トランジスタ101の出力コンダクタンス ・Cds1:トランジスタ101のドレイン・ソース容量 ・Cdsub1:トランジスタ101のドレイン・基板容量 ・Rsub1:トランジスタ101のドレインからグランド
までの基板抵抗 ・Cgs2:トランジスタ102のゲート・ソース容量 ・Cgd2:トランジスタ102のゲート・ドレイン容量 ・gm2:トランジスタ102のトランスコンダクタン
ス ・gds2:トランジスタ102の出力コンダクタンス ・Cds2:トランジスタ102のドレイン・ソース容量 ・Cdsub2:トランジスタ102のドレイン・基板容量 ・Rsub2:トランジスタ102のドレインからグランド
までの基板抵抗 Cds1=Cds2=0と仮定すると、カスコードアンプ50
0の出力コンダクタンスGOUTは、(式2)によって表
される。ここで、Re(X)は、Xの実数部を表す。
【0023】 GOUT=Re(Y1・Y2/(Y1+Y2+gm2))+Re
(Y3) ・・・(式2) ここで、Y1、Y2、Y3は、それぞれ、(式3)、(式
4)、(式5)によって表される。
【0024】 Y1=Y2+Y3 =gds2+jωCds2+jωCdsub2/(1+jωCds2
sub2)・・・(式3) Y2=gds2+jωCds2・・・(式4) Y3=jωCdsub2/(1+jωCds2sub2)・・・
(式5) ここで、ω=2πfである。fは入力信号VINの周波数
を示す。jは虚数単位を示す。
【0025】図9は、半導体増幅回路20のカスコード
アンプ500の出力コンダクタンスGOUTの特性をシミ
ュレーションした結果を示す。図9において、横軸は入
力信号VINの周波数を示し、縦軸はカスコードアンプ5
00の出力コンダクタンスGOUTを示す。
【0026】シミュレーションの条件は、以下に示すと
おりである。
【0027】 ・Rsub1=Rsub2=10Ω ・gds1=gds2=1.0mS ・Cds1=Cds2=0.5pF ・gm2=30mS ・Cdsub1=Cdsub2=0.5pF 図9から理解されるように、カスコードアンプ500の
出力コンダクタンスGOUTは、3GHz付近の周波数帯
域で負性特性を有する。
【0028】図9に示されるように、カスコードアンプ
の出力コンダクタンスGOUTが負性特性を有する場合に
は、カスコードアンプを含む増幅回路の動作が非常に不
安定となり、増幅回路が発振しやすくなる。
【0029】従来、このような問題を解決する方法とし
て、カスコードアンプの出力にダンピング回路を設ける
ことにより、増幅回路の動作を安定化する方法が知られ
ている。
【0030】図10は、カスコードアンプ500の出力
に接続されたダンピング抵抗Rdumpを有する従来の半導
体増幅回路30の構成を示す。
【0031】図11は、異なる値を有するダンピング抵
抗Rdumpのそれぞれについて、半導体増幅回路30のカ
スコードアンプ500の出力コンダクタンスGOUTの特
性をシミュレーションした結果を示す。
【0032】図11から理解されるように、Rdump<5
00Ωである場合には、カスコードアンプ500の出力
コンダクタンスGOUTの負性特性は、すべての周波数に
ついて解消される。例えば、入力信号VINの周波数f=
1GHzである場合には、出力コンダクタンスGOUT
1.6e−3(S)である。
【0033】しかし、ダンピング抵抗Rdumpとして実抵
抗を挿入することは、DC電流による電圧降下を生じさ
せる。例えば、500Ωのダンピング抵抗Rdumpに5m
Aの直流電流が流れると、2.5Vの電圧降下が生じ
る。この場合、カスコードアンプ500の電源電圧Vdd
を3Vとすると、カスコードアンプ500に含まれるト
ランジスタ101、102には0.5Vの電圧しか印加
されないことになる。この状態では、半導体増幅回路3
0が正常に動作することは困難である。また、トランジ
スタ101、102をさらに低電圧で動作させることも
困難である。
【0034】あるいは、ダンピング抵抗Rdumpの代わり
に、インダクタ、容量および抵抗を用いたローパスフィ
ルタを用いることにより、増幅回路の動作を安定化する
ようにしてもよい。
【0035】しかし、このようなローパスフィルタを使
用することは、増幅回路に必要とされる素子数の増大を
招く。素子数削減のために、ローパスフィルタを集積回
路(IC)上で構成すると、チップ面積の大幅な増大を
引き起こす。また、IC上で高いQファクタを有する素
子を作製することは非常に困難であるため、このような
フィルタを実現することは極めて困難である。
【0036】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、電圧降下や素子数の増加を招くことな
く、少なくとも特定の周波数帯域において出力コンダク
タンスの負性特性が改善されたカスコードアンプを有す
る半導体増幅回路およびシステムを提供することを目的
とする。
【0037】(発明の開示) 本発明の半導体増幅回路は、縦続接続された第1トラン
ジスタと第2トランジスタとを有するカスコードアンプ
と、少なくとも特定の周波数帯域において前記カスコー
ドアンプの出力コンダクタンスの負性特性を改善する改
善手段とを備えており、これにより、上記目的が達成さ
れる。
【0038】前記特定の周波数帯域は、100MHz以
上の帯域であってもよい。
【0039】前記改善手段は、前記第2トランジスタの
ゲート・ソース電圧の実数部を前記少なくとも特定の周
波数帯域において小さくすることにより、前記カスコー
ドアンプの出力コンダクタンスの負性特性を改善しても
よい。
【0040】前記改善手段は、前記少なくとも特定の周
波数帯域において抵抗として作用する素子を含み、前記
第2トランジスタのゲートには、前記素子を介して所定
の電圧が供給されてもよい。
【0041】前記素子は、前記少なくとも特定の周波数
帯域において100Ω以上の抵抗として作用してもよ
い。
【0042】前記素子は、前記少なくとも特定の周波数
帯域において10kΩ以下の抵抗として作用してもよ
い。
【0043】前記カスコードアンプの出力に接続された
ハイパスフィルタをさらに備えていてもよい。
【0044】前記ハイパスフィルタは、インダクタと容
量とによって構成されていてもよい。
【0045】本発明のシステムは、信号を受信する受信
部を備えており、前記受信部は、ローノイズアンプとし
て前記半導体増幅回路を含んでいてもよい。
【0046】本発明のシステムは、信号を送信する送信
部を備えており、前記送信部は、パワーアンプとして前
記半導体増幅回路を含んでいてもよい。
【0047】(発明を実施するための最良の形態) はじめに、本発明の原理を説明する。
【0048】図4に示される半導体増幅回路20のカス
コードアンプ500の出力コンダクタンスGOUTは、ト
ランジスタ102のゲート・ドレイン電圧Vgs2を用い
て(式6)によって表される。
【0049】 GOUT=Re(Y1・Y2/(Y1+Y2−(Vgs2/V1)・gm2))+Re
(Y3) =Re((|Y12・Y2+|Y22・Y1)/|Y1+Y2 −(Vgs2/V1)・gm22) +Re(Y3) +Re((−Y1・Y2・(Vgs2/V1)・gm2)/|Y1+Y2 −(Vgs2/V1)・gm22) ・・・(式6) ここで、Y1、Y2、Y3は、それぞれ、上述した(式
3)、(式4)、(式5)によって表される。
【0050】(式6)の右辺の第1項、第2項は常に正
となる。しかし、(式6)の右辺の第3項は負となる可
能性がある。GOUTが負にならないようにするために
は、第1項と第2項の和の絶対値が第3項の絶対値より
大きくなるように、第3項の絶対値を小さくするように
すればよい。例えば、トランジスタ102のゲート・ド
レイン電圧Vgs2の実数部を小さくすることにより、G
OUTが負にならないようにすることができる。
【0051】図8Aは、図4に示される半導体増幅回路
20におけるV1−Vb間の交流等価回路を示す。この場
合、トランジスタ102のドレイン・ソース間電圧V
gs2は、(式7)によって表される。
【0052】 Vgs2=−V1 ・・・(式7) ここで、V1は、トランジスタ101のドレイン電圧を
示す。
【0053】図8Bは、後述する図1に示される半導体
増幅回路1におけるV1−Vb間の交流等価回路を示す。
図8Bに示されるように、V1−Vb間の交流等価回路に
は、抵抗RONが挿入される。この場合、トランジスタ1
02のドレイン・ソース電圧Vgs2は、(式8)によっ
て表される。
【0054】 Vgs2=−V1/(1+jωCgs2ON)=−Y4・V1 ・・・(式8) ここで、V1は、トランジスタ101のドレイン電圧を
示す。Y4は、(式9)によって表される。
【0055】 Y4=1/(1+jωCgs2ON) ・・・(式9) ここで、Cgs2は、トランジスタ102のゲート・ソー
ス容量を示す。RONは、所定の電圧Vbとトランジスタ
102のゲートとの間に挿入された抵抗を示す。
【0056】(式7)と(式8)とを比較すると、(式
7)のVgs2の実数部よりも(式8)のVgs2の実数部が
所定の周波数帯域(例えば、100MHz以上の高周波
帯域)で小さいことが理解される。これにより、所定の
周波数帯域(例えば、100MHz以上の高周波帯域)
におけるカスコードアンプ500の出力コンダクタンス
OUTの負性特性を改善することができる。
【0057】なお、上述したようにVgs2の実数部を高
周波帯域で小さくした場合でも、低周波数帯域では、カ
スコードアンプ500の出力コンダクタンスGOUTの負
性特性が残る。このような低周波数帯域におけるカスコ
ードアンプ500の出力コンダクタンスGOUTの負性特
性は、ハイパスフィルタによって改善することができ
る。
【0058】カスコードアンプ500の出力に接続され
る負荷ZLがインダクタLで構成され、容量Cを通して
信号が出力される場合には、インダクタLと容量Cとが
ハイパスフィルタとして機能する。従って、新たな部品
として容量Cを追加するだけで、カスコードアンプ50
0の出力コンダクタンスGOUTの負性特性を改善するこ
とが可能となる。
【0059】以下、図面を参照しながら本発明の実施の
形態を説明する。
【0060】(実施の形態1) 図1は、本発明の実施の形態1の半導体増幅回路1の構
成を示す。半導体増幅回路1は、入力端子INと出力端
子OUTとを有している。半導体増幅回路1は、入力端
子INに入力される入力信号VINを増幅し、その結果を
出力信号VOUTとして出力端子OUTに出力する。
【0061】半導体増幅回路1は、カスコードアンプ5
00を含む。カスコードアンプ500は、縦続接続され
たトランジスタ101およびトランジスタ102を有し
ている。トランジスタ101およびトランジスタ102
は、例えば、nMOSトランジスタである。
【0062】トランジスタ101のゲートは、半導体増
幅回路1の入力端子INに接続されている。トランジス
タ101のソースは、接地されている。トランジスタ1
01のドレインは、トランジスタ102のソースに接続
されている。
【0063】トランジスタ102のゲートには、トラン
ジスタ400を介して固定された電圧Vbが供給され
る。トランジスタ400は、固定された電圧Vbとトラ
ンジスタ102のゲートとの間にオン抵抗RONを形成す
るために設けられる。オン抵抗RONは、カスコードアン
プ500の出力コンダクタンスの負性特性を改善する改
善手段として機能する。トランジスタ400は、例え
ば、pMOSトランジスタである。固定された電圧Vb
は、例えば、DC電源(図示せず)から供給される。バ
イパスコンデンサC1は、DC電源から供給される電圧
bのAC成分を除去するために設けられている。
【0064】なお、カスコードアンプ500の出力コン
ダクタンスの負性特性を改善する改善手段としては、少
なくとも特定の周波数帯域(例えば、100MHz以上
の高周波帯域)において抵抗として作用する素子であれ
ば任意の素子が使用され得る。その素子は、少なくとも
特定の周波数帯域において100Ω以上(好ましくは、
1kΩ以上)の抵抗として作用することが好ましい。一
方、抵抗値が大きくなりすぎるとミラー効果による影響
が出たり、素子サイズが増大することから、その素子
は、少なくとも特定の周波数帯域において10kΩ以下
の抵抗として作用することが好ましい。
【0065】例えば、その改善手段は、固定された電圧
bとトランジスタ102のゲートとの間に挿入される
トランジスタのオン抵抗RONでもよいし、トランジスタ
のオン抵抗RON以外の抵抗でもよい。このような抵抗
は、配線抵抗より大きい抵抗値を有していることから、
配線抵抗と明確に区別される。通常、配線抵抗は1Ω未
満だからである。
【0066】トランジスタ102のソースは、トランジ
スタ101のドレインに接続されている。トランジスタ
102のドレインは、ハイパスフィルタ200を介して
半導体増幅回路1の出力端子OUTに接続されている。
また、トランジスタ102のドレインには、負荷ZLを
介して電源電圧Vddが供給される。
【0067】図1において、V1はトランジスタ101
のドレイン電圧(すなわち、トランジスタ102のソー
ス電圧)を示し、Vgs2はトランジスタ102のゲート
・ソース電圧を示す。
【0068】図8Bを参照して既に説明したようにトラ
ンジスタ102のゲート・ソース電圧Vgs2は、(式
8)によって表される。
【0069】(式8)を(式6)に代入することによ
り、(式10)が得られる。すなわち、半導体増幅回路
1のカスコードアンプ500の出力コンダクタンスG
OUTは、(式10)によって表される。
【0070】 GOUT=Re(Y1・Y2/(Y1+Y2+Y4・gm2))+Re(Y3) ・・・(式10) ここで、Y1、Y2およびY3は、それぞれ、上述した
(式3)、(式4)および(式5)によって表される。
4は、上述した(式9)によって表される。
【0071】図12は、RON=1kΩの場合におけるカ
スコードアンプ500の出力コンダクタンスGOUT
(式10)を用いてシミュレーションした結果を示す。
図12において、横軸は入力信号VINの周波数fを示
し、縦軸はカスコードアンプ500の出力コンダクタン
スGOUTを示す。なお、図12には、RON=0Ωの場合
におけるGOUTと、従来方法(図10)のRdump=50
0Ωの場合におけるGOUTとが比較のために示されてい
る。
【0072】ここで、シミュレーションの条件は、gm
1=gm2=30mS、Cgs1=Cgs2=1pF、gds1
=gds2=1mSである。
【0073】図12に示されるように、RON=1kΩの
場合には、f=1GHzで、GOUT≧0となっている。
f=1GHzでのGOUTの値は、従来方法(図10)の
dump=500Ωの場合に比較して約1/7となる。こ
のことは、従来方法(図10)のRdump=500Ωの場
合に比較して7倍の最大電力が得られることを意味す
る。
【0074】図12は、RON=1kΩの場合でも、入力
信号VINの周波数fが小さい周波数帯域ではGOUT<0
となり得ることを示している。このようなカスコードア
ンプ500の出力コンダクタンスGOUTの負性特性は、
ハイパスフィルタ200によって除去され得る。すなわ
ち、GOUT≧0を満たす周波数帯域についてのみカスコ
ードアンプ500から出力される信号を通過させるよう
にハイパスフィルタ200を構成すればよい。
【0075】図13に示されるように、通常、高周波増
幅器では、負荷ZLがインダクタLで構成され、容量C
でDC除去された後に信号が出力される。インダクタL
と容量Cとがハイパスフィルタ200の機能を果たす。
この場合には、新たな部品として容量Cを追加するだけ
でハイパスフィルタ200を構成することができる。従
って、従来方法に比較して、半導体増幅回路1の部品数
の増加を最小限にとどめることができる。
【0076】また、図14に示されるように、オン抵抗
ONを挿入することにより、電圧V1の振幅は、オン抵
抗RONを挿入しない場合と比較して、約2.5倍とな
る。しかし、電圧V1の振幅の増加によるミラー効果の
影響はほとんど考慮する必要がない。電圧V1の振幅の
増加がわずかであるからである。
【0077】このように、半導体増幅回路1によれば、
固定された電圧Vbとトランジスタ102のゲートとの
間に抵抗RONが挿入されている。この抵抗RONにより、
トランジスタ102のゲート・ソース電圧Vgs2の実数
部を高周波帯域で小さくすることができる。これによ
り、少なくとも特定の周波数帯域においてカスコードア
ンプ500の出力コンダクタンスGOUTが負とならない
ように、カスコードアンプ500の出力コンダクタンス
OUTの負性特性を改善することができる。
【0078】さらに、カスコードアンプ500の出力に
接続されたハイパスフィルタ200を設けることによ
り、低周波数帯域におけるカスコードアンプ500の出
力コンダクタンスGOUTの負性特性を改善することがで
きる。
【0079】カスコードアンプ500の出力に接続され
る負荷ZLがインダクタLで構成され、容量CによりD
C成分がカットされて出力される場合には、インダクタ
Lと容量Cとがハイパスフィルタ200として機能す
る。従って、新たな部品として容量Cを追加するだけ
で、カスコードアンプ500の出力コンダクタンスG
OUTの負性特性を改善することが可能となる。
【0080】(実施の形態2) 図2は、本発明の実施の形態2の半導体増幅回路2の構
成を示す。半導体増幅回路2は、上述した本発明の原理
を差動増幅器に適用したものである。
【0081】半導体増幅回路2は、入力端子IN1、I
2と出力端子OUT1、OUT2とを有している。半導
体増幅回路2は、入力端子IN1に入力される入力信号
IN1と入力端子IN2に入力される入力信号VIN2との
差分を増幅し、その結果を出力信号VOUT1と出奥信号V
OUT2として出力端子OUT1、出力端子OUT2にそれぞ
れ出力する。
【0082】半導体増幅回路2は、カスコードアンプ5
01、502を差動に用いる差動増幅器600を含む。
カスコードアンプ501は、縦続接続されたトランジス
タ101およびトランジスタ102を有している。カス
コードアンプ502は、縦続接続されたトランジスタ1
03およびトランジスタ104を有している。トランジ
スタ101、102、103および104のそれぞれ
は、例えば、nMOSトランジスタである。
【0083】カスコードアンプ501、502の構成
は、図1に示されるカスコードアンプ500の構成と同
様である。
【0084】トランジスタ101のゲートは、半導体増
幅回路2の入力端子IN1に接続されている。
【0085】トランジスタ102のゲートには、トラン
ジスタ401を介して固定された電圧Vbが供給され
る。トランジスタ401は、例えば、pMOSトランジ
スタである。トランジスタ102のドレインは、ハイパ
スフィルタ201を介して半導体増幅回路2の出力端子
OUT1に接続されている。また、トランジスタ102
のドレインには、負荷ZL1を介して電源電圧Vddが供
給される。
【0086】トランジスタ103のゲートは、半導体増
幅回路2の入力端子IN2に接続されている。
【0087】トランジスタ104のゲートには、トラン
ジスタ402を介して固定された電圧Vbが供給され
る。トランジスタ402は、例えば、pMOSトランジ
スタである。トランジスタ104のドレインは、ハイパ
スフィルタ202を介して半導体増幅回路2の出力端子
OUT2に接続されている。また、トランジスタ104
のドレインには、負荷ZL2を介して電源電圧Vddが供
給される。
【0088】なお、固定された電圧Vbとトランジスタ
102、104のゲートとの間に挿入される抵抗は、任
意の抵抗であり得る。
【0089】半導体増幅回路2によっても、半導体増幅
回路1と同様の効果を得ることができる。
【0090】以下、実施の形態1および実施の形態2に
共通の変形例を説明する。
【0091】半導体増幅回路1および半導体増幅回路2
は、新たなプロセス開発を必要としない。また、トラン
ジスタ400、401および402として使用されるp
MOSトランジスタはIC上で容易に実現することがで
きる。
【0092】このようにして、低コストで低ノイズ、高
利得、低歪みな半導体増幅回路を製造することが可能と
なる。
【0093】なお、実施の形態1および実施の形態2で
用いた増幅器の種類や、周波数、容量、抵抗の値は一例
にすぎない。本発明がこれらの具体的な種類や値に限定
されないことはいうまでもない。
【0094】抵抗RONとしては、トランジスタのオン抵
抗の他、ポリシリコン抵抗や拡散抵抗などが使用され得
る。
【0095】また、カスコードアンプに含まれるトラン
ジスタとしては、nMOSトランジスタの他、pMOS
トランジスタやバイポーラトランジスタ、GaAsFE
Tなどが使用され得る。
【0096】さらに、抵抗RONに加えて、または、抵抗
ONに代えて、インダクタンスや容量を組み合わせるこ
とによって、カスコードアンプ500(またはカスコー
ドアンプ600)の出力コンダクタンスGOUTの負性特
性を改善するようにしてもよい。
【0097】さらに、カスコードアンプ500の出力に
接続されるフィルタは、図15に示されるようなバンド
パスフィルタ203であってもよい。バンドパスフィル
タ203は、インダクタLと容量Cd、Cと抵抗Rdとを
含んでいる。このようなバンドパスフィルタ203は、
IC上で簡単に構成することができる。
【0098】同様にして、カスコードアンプ600の出
力にバンドパスフィルタを接続するようにしてもよい。
【0099】本発明は、高性能な半導体回路を得ること
に大いに寄与し、極めて有用なものとなる。
【0100】(実施の形態3) 図16は、本発明の実施の形態3の通信システム3の構
成を示す。通信システム3は、信号の送受信の切り換え
タイミングに応答して、アンテナ701と受信部71
0、送信部720との接続を切り換える送受信切換スイ
ッチ702と、アンテナ701からの信号を送受信切換
スイッチ702を介して受信する受信部710と、送信
すべき信号を送受信切換スイッチ702を介してアンテ
ナ701に出力する送信部720と、受信部710およ
び送信部720に所定の周波数を有する発振信号を出力
する周波数シンセサイザ730と、変換器740と、デ
ジタル信号処理プロセッサ(DSP)750とを含む。
【0101】受信部710は、ローノイズアンプ(LN
A)711と、フィルタ712と、ミキサ713と、I
F信号処理部714とを含んでいる。
【0102】アンテナ701によって受信された信号
は、送受信切換スイッチ702を介して受信部710の
ローノイズアンプ(LNA)711に入力される。LN
A711は、受信された信号を増幅する。増幅された信
号は、フィルタ712を介してミキサ713に入力され
る。ミキサ713は、フィルタ712から出力される信
号と周波数シンセサイザ730から出力される発振信号
とを混合する。ミキサ713の出力は、IF信号処理部
714を介して変換器740に供給される。
【0103】変換器740は、IF信号処理部714か
ら出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
DSP750は、そのデジタル信号を処理する。
【0104】DSP750によって処理されたデジタル
信号は、変換器740によってアナログ信号に変換され
る。
【0105】送信部720は、パワーアンプ(PA)7
21と、送信変調器722とを含んでいる。
【0106】送信変調器722は、変換器740から出
力される信号と周波数シンセサイザ730から出力され
る発振信号とを混合する。パワーアンプ(PA)721
は、送信変調器722の出力を増幅する。増幅された信
号は、送受信切換スイッチ702を介してアンテナ70
1から送信される。
【0107】半導体増幅回路1(図1)は、受信部71
0におけるLNA711または送信部720におけるP
A721として使用され得る。半導体増幅回路1は、そ
れの出力として大きな電力を得ることができるので、L
NA711またはPA721に適している。このよう
に、半導体増幅回路1をLNA711またはPA721
として使用することにより、少なくとも特定の周波数帯
域において出力コンダクタンスの負性特性が改善された
カスコードアンプを有するLNA711またはPA72
1を得ることができる。
【0108】(産業上の利用可能性) 本発明の半導体増幅回路は、縦続接続された第1トラン
ジスタと第2トランジスタとを有するカスコードアンプ
と、少なくとも特定の周波数帯域においてカスコードア
ンプの出力コンダクタンスの負性特性を改善する改善手
段とを含む。改善手段によって、少なくとも特定の周波
数帯域においてカスコードアンプの出力コンダクタンス
が負とならないように、カスコードアンプの出力コンダ
クタンスの負性特性を改善することができる。
【0109】さらに、カスコードアンプの出力に接続さ
れたハイパスフィルタを設けることにより、低周波数帯
域におけるカスコードアンプの出力コンダクタンスの負
性特性を改善することができる。
【0110】カスコードアンプの出力に接続される負荷
がインダクタで構成され、容量を通して信号が出力され
る場合には、そのインダクタとその容量とがハイパスフ
ィルタとして機能する。従って、新たな部品として容量
を追加するだけで、カスコードアンプの出力コンダクタ
ンスの負性特性を改善することが可能となる。
【0111】本発明の半導体増幅回路は、通信システム
の送信部におけるローノイズアンプとして好適に使用さ
れ得る。また、本発明の半導体増幅回路は、通信システ
ムの受信部におけるパワーアンプとして好適に使用され
得る。 [図面の簡単な説明]
【図1】図1は、本発明の実施の形態1の半導体増幅回
路1の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態2の半導体増幅回
路2の構成を示す図である。
【図3】図3は、従来の半導体増幅回路10の構成を示
す図である。
【図4】図4は、従来の半導体増幅回路20の構成を示
す図である。
【図5】図5は、半導体増幅回路10の動作をシミュレ
ーションした結果を示す図である。
【図6】図6は、トランジスタ101のドレイン電圧
(すなわち、トランジスタ102のソース電圧)V1
シミュレーションした結果を示す図である。
【図7】図7は、カスコードアンプ500の小信号等価
回路の構成を示す図である。
【図8A】図8Aは、半導体増幅回路20(図4)にお
けるV1−Vb間の交流等価回路を示す図である。
【図8B】図8Bは、半導体増幅回路1(図1)におけ
るV1−Vb間の交流等価回路を示す図である。
【図9】図9は、半導体増幅回路20のカスコードアン
プ500の出力コンダクタンスGOUTの特性をシミュレ
ーションした結果を示す図である。
【図10】図10は、従来の半導体増幅回路30の構成
を示す図である。
【図11】図11は、半導体増幅回路30のカスコード
アンプ500の出力コンダクタンスGOUTの特性をシミ
ュレーションした結果を示す図である。
【図12】図12は、RON=1kΩの場合におけるカス
コードアンプ500の出力コンダクタンスGOUTをシミ
ュレーションした結果を示す図である。
【図13】図13は、負荷ZLがインダクタLで構成さ
れ、容量Cを通して信号が出力される場合における半導
体増幅回路1の構成を示す図である。
【図14】図14は、オン抵抗RONを挿入した場合の電
圧V1の振幅とオン抵抗RONを挿入しない場合の電圧V1
の振幅とを対比して示す図である。
【図15】図15は、ハイパスフィルタ203の構成を
示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態3のシステム
3の構成を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 1/22

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦続接続された第1トランジスタと第2
    トランジスタとを有するカスコードアンプと、 少なくとも特定の周波数帯域において前記カスコードア
    ンプの出力コンダクタンスの負性特性を改善する改善手
    段と を備え、 前記改善手段は、前記第2トランジスタのゲート・ソー
    ス電圧の実数部を前記少なくとも特定の周波数帯域にお
    いて小さくする、半導体増幅回路。
  2. 【請求項2】 縦続接続された第1トランジスタと第2
    トランジスタとを有するカスコードアンプと、 少なくとも特定の周波数帯域において前記カスコードア
    ンプの出力コンダクタンスの負性特性を改善する改善手
    段と を備え、 前記改善手段は、前記少なくとも特定の周波数帯域にお
    いて抵抗として作用する素子を含み、前記第2トランジ
    スタのゲートには、前記素子を介して所定の電圧が供給
    される、半導体増幅回路。
  3. 【請求項3】 前記特定の周波数帯域は、100MHz
    以上の帯域である、請求項1または2に記載の半導体増
    幅回路。
  4. 【請求項4】 前記素子は、前記少なくとも特定の周波
    数帯域において100Ω以上の抵抗として作用する、請
    求項2に記載の半導体増幅回路。
  5. 【請求項5】 前記素子は、前記少なくとも特定の周波
    数帯域において10kΩ以下の抵抗として作用する、請
    求項2に記載の半導体増幅回路。
  6. 【請求項6】 前記カスコードアンプの出力に接続され
    たハイパスフィルタをさらに備えている、請求項1また
    は2に記載の半導体増幅回路。
  7. 【請求項7】 前記ハイパスフィルタは、インダクタと
    容量とによって構成される、請求項6に記載の半導体増
    幅回路。
  8. 【請求項8】 信号を受信する受信部を備えたシステム
    であって、 前記受信部は、ローノイズアンプとして請求項1〜7の
    いずれかに記載の半導体増幅回路を含む、システム。
  9. 【請求項9】 信号を送信する送信部を備えたシステム
    であって、 前記送信部は、パワーアンプとして請求項1〜7のいず
    れかに記載の半導体増幅回路を含む、システム。
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