JP3536672B2 - ヘリカルギヤおよびその製造装置 - Google Patents

ヘリカルギヤおよびその製造装置

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JP3536672B2 JP20844398A JP20844398A JP3536672B2 JP 3536672 B2 JP3536672 B2 JP 3536672B2 JP 20844398 A JP20844398 A JP 20844398A JP 20844398 A JP20844398 A JP 20844398A JP 3536672 B2 JP3536672 B2 JP 3536672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヘリカルギヤお
よびその製造装置に関し、特に軸線方向への粗材の圧入
によって冷間鍛造されるヘリカルギヤおよびその製造装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両のステアリング装置に用いられるヘ
リカルギヤ、より具体的にはヘリカルピニオンギヤおよ
びその製造装置の一例が特開平7−308729号公報
に記載されている。この公報に記載されたヘリカルピニ
オンギヤは、全体として円筒状をなすとともに、外周面
に螺旋方向に傾斜した歯が形成され、その歯の一端側に
テーパ部を介して円筒部が形成されている。この種のヘ
リカルピニオンギヤを切削加工によって製造する場合
は、工程数が多くなるうえに、加工機が高価なものとな
るから、結局、コスト高になる不都合がある。
【0003】また、上記ヘリカルピニオンギヤを転造に
より製造する場合は、奇数歯の場合に加工荷重の変動が
生じ、これが原因となって歯形の精度が低下する不都合
がある。そこで特開平7−308729号公報の発明で
は、円筒状のダイスに粗材を軸線方向に圧入することに
より、ヘリカルピニオンギヤを冷間鍛造することとして
いる。
【0004】ヘリカルピニオンギヤを鍛造する場合、形
成するべき歯が軸線方向に対して傾斜しているから、歯
の歯先面と、歯の両側の面(歯面)とのなす角度が、各
歯の一方の歯面と他方の歯面とで相違している。そのた
めに、粗材の流動が歯の両側で相違し、これが原因とな
って歯形の精度が悪くなる。
【0005】そこで上記の従来の発明では、図15に示
すように、鍛造時の粗材の流入方向Pを向く面(以下、
仮に歯上面という。)1の粗材流入側端部に、この歯上
面1の傾斜方向に対して反対方向に傾斜した面を有する
三角形状の肉盛り部2を形成している。このような形状
の歯形を形成する鍛造型(ダイス)は、図16に示すよ
うに、歯溝を形成するための凸条3の端面4のうち前記
歯上面1に対応する面(以下、仮に型下面という。)5
側の部分を三角形状に切除し、ここに切り下げ部6を形
成した構成としている。
【0006】したがって上記従来のヘリカルピニオンギ
ヤでは、矢印P3 で示す方向に粗材を流入させると、そ
の一部は、切り下げ部6によって矢印P1 で示す方向に
流れる。また粗材の他の一部は、凸条3の間に流入し、
歯を形成する他の面(以下、仮に歯下面)7に対応する
凸条3の他の面(以下、仮に型上面という。)8に沿っ
て流れる。その方向は図に矢印P2 で示してある。この
ようにして、上記の従来の鍛造方法では、粗材の流動が
両歯面側でほぼ均等に生じ、その結果、歯形の精度が良
好になる、とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のヘリカ
ルピニオンギヤでは、歯の端部に肉盛り部2を備えてい
おり、またこれを形成するための切り下げ部6がダイス
に形成されていることにより、歯上面1側への材料の流
入およびこの部分での材料の流動が促進される。しかし
ながら、歯の端部での材料の流動方向は、上記の矢印P
1 ,P2 で示したように、円周方向に対して反対向きに
なる。すなわち前記切り下げ部6によって生じる粗材に
対する反力と、それより下側の実質的に歯を成形する部
分で生じる粗材に対する反力との方向が、円周方向にお
いては反対向きとなる。そのため、粗材を円周方向に対
して拘束した状態で、その外周側の肉を螺旋方向に捩る
ことになる。
【0008】この様子を図17に示してあり、粗材9の
最大ねじれ角をC°とすると、この最大ねじれ角C°
は、歯の端部に生じる。そしてそのねじれ角度と、粗材
9の押し出し長さL3 との関係を示せば、図18のとお
りである。
【0009】したがって上記従来の発明によるヘリカル
ピニオンギヤでは、歯上面1側への材料の流入が促進さ
れているうえに、粗材の捩りに起因する残留応力が生じ
ているために、鍛造成型後に捩り変形が生じる。このよ
うな捩り変形は、全ての箇所について均一に生じる訳で
はなく、そのため歯形に狂いが生じ、結局、製品として
のヘリカルギヤの精度が低いものとなる可能性があっ
た。
【0010】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、ヘリカルギヤの歯形精度を向上させる
ことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、テーパ部と、
このテーパ部の小径側に接続された軸部とを有し、前記
テーパ部から前記軸部に亘り複数条の歯が螺旋状に形成
され、この複数条の歯が、前記テーパ部に対面する第1
歯面と、この第1歯面の反対側に配置された第2歯面
と、前記第1歯面と前記第2歯面とを接続する歯先面と
を備えているヘリカルギヤにおいて、各歯におけるテー
パ部側の端部に、前記第1歯面と前記テーパ部とを接続
し、かつ、前記第1歯面に対して山部を介して接続され
た副第1歯面と、前記第2歯面と前記テーパ部とを接続
し、かつ、前記第2歯面に対して谷部を介して接続され
た副第2歯面と、前記歯先面と前記テーパ部とを接続
し、かつ、前記歯先面に対して山部を介して接続された
副歯先面とが設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0012】したがって、請求項1の発明によれば、ヘ
リカルギヤをダイスにより鍛造する場合は、導入穴に圧
入された材料が流動してダイスの凸条付近に到達すると
ともに、副第2歯面に対応する部分によって第2歯面側
に向けて材料の流動方向性が付与され、材料の導入が促
進される。またこのような副第2歯面から第2歯面側に
向けた材料の流動に伴って生じる反力は、円周方向にお
ける分力の方向が、軸線方向に対して傾斜している歯を
形成するに伴って生じる反力における分力と同方向にな
るから、粗材に回転が生じる。少なくとも粗材に対して
円周方向で反対となる複数の荷重が同時に作用すること
がない。その結果、捩り方向に対する残留応力が小さく
なり、残留応力による変形やそれに起因する歯形の狂い
が防止もしくは抑制される。
【0013】さらに、第2歯面側に対する材料の流動が
促進されることにより、第1歯面側における材料の供給
(充填)密度が低下する可能性がある。しかしながら、
第1歯面および前記テーパ部に接続された副第1歯面に
対応する部分と、歯先面およびテーパ部に接続された副
歯先面とに対応する部分とにより、材料の流動面積が絞
られている。このため、材料の流動抵抗が増大して材料
の供給(充填)密度が高められ、各歯の第1歯面側にお
ける材料不足(欠肉またはだれ)が抑制される。
【0014】請求項2の発明は、ダイスの粗材導入穴
に、粗材の導入方向に沿って縮径されたテーパ部と、こ
のテーパ部から前記粗材の導入方向に沿って形成された
複数の凸条および溝部が螺旋状に形成され、前記凸条
に、前記粗材導入穴の入口側に向けられた一方の側面
と、この一方の側面の反対側に位置する他方の側面とが
形成され、前記溝部に、前記テーパ部に接続される底面
が形成されているとともに、前記粗材導入穴に粗材を圧
入することにより、この粗材を塑性変形させて粗材の外
周面に複数の歯および歯溝を螺旋状に形成するヘリカル
ギヤの製造装置において、前記凸条における前記粗材導
入穴の入口側の端部に、前記一方の側面と前記テーパ部
とを接続し、かつ、前記一方の側面に対して山部を介し
て接続された第1粗材導入面と、前記他方の側面と前記
テーパ部とを接続し、かつ、前記他方の側面に対して谷
部を介して接続された第2粗材導入面と、前記底面と前
記テーパ部とを接続し、かつ、前記底面に対して谷部を
介して接続された第3粗材導入面とが設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0015】また、請求項2の発明によれば、ダイスに
対して粗材を圧入するにあたり、ダイスの内面に形成し
た凸条の間に材料が流入し、ヘリカルギヤの歯を形成す
る。その場合、粗材導入穴の入口側に形成した第1粗材
導入面が、凸条の傾斜方向と同方向であって傾斜角度が
凸条より大きく設定されているので、材料の流れが、円
周方向においては全体で同一となる。したがって歯を形
成する部分への材料の導入が促進されるとともに、粗材
の捩りが抑制される。そのため製造されたヘリカルギヤ
の歯形の変形が防止もしくは抑制され、高精度のヘリカ
ルギヤを得ることができる。
【0016】さらに、第1粗材導入面により材料の流動
が促進されることにより、凸条の他方の側面側における
材料の供給(充填)密度が低下する可能性がある。しか
しながら、第2粗材導入面および第3粗材導入面により
材料の流動面積が絞られている。このため、材料の流動
抵抗が増大して材料の供給密度が高められ、凸条の他方
の側面側における材料不足(欠肉またはだれ)が抑制さ
れる。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図に示す具体例
を参照しつつ説明する。図1はこの発明のヘリカルギヤ
10の一例を概略的に示す正面図である。このヘリカル
ギヤ10は、例えば車両のステアリング装置に用いられ
る。ヘリカルギヤ10は、軸線A1を中心とする円筒部
11を備えている。円筒部11に代えて円柱部を形成し
てもよい。この円筒部11における軸線方向の一端部に
はテーパ部12が形成されている。このテーパ部12
は、円筒部11の端部から離れるにともない縮径する方
向に傾斜されている。そして、テーパ部12の小径側の
端部には軸部11Aが形成されている。また、テーパ部
12の軸線方向での中間部から軸部11Aに亘り(つま
り、図1の下側に向けて)、複数条の歯13が螺旋状に
形成されている。
【0018】これらの歯13は、ヘリカルギヤ10の軸
線A1を含む平面、もしくはテーパ部12の図1での下
側に連続する円筒部分の母線(図示せず)に対して、所
定の捩れ角αに設定されたはす歯である。また、各歯1
3は歯先面13Aと、歯先面13Aの幅方向の両側に接
続された第1歯面13Bおよび第2歯面13Cとを備え
ている。この第1歯面13Bおよび第2歯面13Cは、
サイクロイド曲線を模した曲面に形成されている。ここ
で、第1歯面13Bはテーパ部12に対面する位置に配
置され、第2歯面13Cは第1歯面13Bの反対側に配
置されている。そして、各歯13同士の間には複数の歯
溝13Dが螺旋状に形成されている。
【0019】図2は、ヘリカルギヤ10の部分的な斜視
図である。歯13におけるテーパ部12側の端部には、
第2歯面13Cとテーパ部12とを接続する副第2歯面
13Eが形成されている。副第2歯面13Eはほぼ平坦
に構成されている。この副第2歯面13Eは、歯13の
延びる方向とは反対方向に凸となっている。副第2歯面
13Eは、円筒部11側に近づくにつれて、歯13の長
手方向の中心線(図示せず)に対する距離が長くなる方
向に傾斜されている。このため、副第2歯面13Eと第
2歯面13Cとの接続部分に谷部13Fが形成されてい
る。また、副第2歯面13Eはほぼ台形に構成され、円
筒部11側に向けて先細りとなる形状を備えている。さ
らに、副第2歯面13Eの一辺がテーパ部12に接続さ
れ、副第2歯面13Eの他の一辺が第2歯面13Cに接
続されている。
【0020】また、第1歯面13Bとテーパ部12とを
接続する副第1歯面13G,13Hが形成されている。
副第1歯面13Gはほぼ平坦に構成され、副第1歯面1
3Gは、円筒部11側に近づくにつれてテーパ部12と
の距離が短くなる方向に傾斜されている。この副第1歯
面13Gはほぼ台形に構成され、副第1歯面13Gの一
辺が第1歯面13Bに接続されている。さらに、副第1
歯面13Hはほぼ三角形状に構成され、副第1歯面13
Hの頂点が円筒部11側に向けて配置されている。副第
1歯面13Hはほぼ平坦に構成され、副第1歯面13H
は、円筒部11側に近づくにつれてテーパ部12との距
離が短くなる方向に傾斜されている。さらにまた、副第
1歯面13Hの一辺と、副第1歯面13Gの一辺とが接
続されている。第1歯面13Bと副第1歯面13Gとの
接続部分に山部13Jが形成され、副第1歯面13Gと
副第1歯面13Hとの接続部分に山部13Kが形成され
ている。
【0021】さらに、歯先面13Aとテーパ部12とを
接続する副歯先面13L,13Mが形成されている。副
歯先面13Lはほぼ平坦に構成され、副歯先面13Lは
ほぼ台形に構成されている。そして、副歯先面13Lの
一辺が歯先面13Aに接続されている。副歯先面Lは、
円筒部11に近づくにつれてテーパ部12との距離が短
くなる方向に傾斜されている。また、副歯先面13Mは
ほぼ平坦に構成され、副歯先面13Mはほぼ台形に構成
されている。そして、副歯先面13Mの一辺と、副歯先
面13Lの一辺とが接続されている。
【0022】副歯先面Mは、円筒部11に近づくにつれ
てテーパ部12との距離が短くなる方向に傾斜されてい
る。また、副歯先面13Mの下辺がテーパ部12に接続
されている。さらにまた、副歯先面13Lと歯先面13
Aとの接続部分に山部13Nが形成され、副歯先面13
Mと副歯先面13Lとの接続部分に山部13Pが形成さ
れている。なお、副歯先面13Lの左右辺は、副第2歯
面13Eおよび副第1歯面13Gに接続されている。ま
た、副歯先面13Mの左右辺は、副第2歯面13Eおよ
び副第1歯面13Hに接続されている。
【0023】上記のヘリカルギヤ10は冷間鍛造によっ
て製造される。その場合、上述した形状から知られるよ
うに、粗材は円筒部11側から加圧されてテーパ形状に
成形した後、さらに材料の流動を生じさせて各歯13お
よび歯溝13Dを形成する。したがって、各歯13にお
ける副第1歯面13G,13H、および副第2歯面13
E、ならびに副歯先面13L,13Mは、ここから歯1
3の部分に材料を供給する箇所になり、鍛造終了に伴っ
て余肉部として形成される。
【0024】図3は、ヘリカルギヤ10を冷間鍛造する
ための鍛造装置14を示す正面断面図である。ラム15
はアクチュエータ(図示せず)により上下動可能に構成
されている。アクチュエータとしては、油圧シリンダー
または空気圧シリンダー等が例示される。ラム15の下
方には、ラム15と対向して定盤16が配置されてお
り、その定盤16の中心部には円筒形状のホルダー17
が配置されている。そして、ホルダー17の内部には、
軸線B1を上下方向に向けた状態で円筒形状のダイス1
8が保持されている。またそのダイス18の内部には、
ノックアウトピン19が配置され、このノックアウトピ
ン19が、スプリングあるいはアクチュエータ(それぞ
れ図示せず)によって上下動するように構成されてい
る。
【0025】またラム15の下面には、パンチ20とマ
ンドレル21とが下向きに取り付けられている。そのパ
ンチ20は円筒形状に構成され、パンチ20は、ダイス
18の内径とほぼ等しい外径を備え、かつ、ヘリカルギ
ヤ10の中心部に形成する孔(図示せず)の内径とほぼ
等しい内径を備えている。また、マンドレル21はパン
チ20の内部に密着嵌合させた中実軸状の部材である。
このマンドレル21の先端部は、パンチ20の長手方向
の先端部から所定寸法が突出している。なお、前記ダイ
ス18およびノックアウトピン19ならびにパンチ2
0,マンドレル21は、それぞれ同一軸線B1を中心と
して配置されている。なお、図3においては、粗材22
の加工前の状態が、軸線B1の左側に示され、粗材22
の加工後の状態が、軸線B1の右側に示されている。
【0026】図4は、ダイス18の構成を示す部分的な
正面断面図である。ダイス18は、粗材22を塑性変形
させてヘリカルギヤ10を製造するためのものである。
つまり、ダイス18の内面形状は、ヘリカルギヤ10の
外面形状と一致している。ダイス18はほぼ円筒形状に
構成され、ダイス18には前記軸線B1を中心とする粗
材導入穴23が形成されている。粗材導入穴23の軸線
方向における一端側(図4での上端側)が入口24とな
る。そして、ダイス18には、入口24に対面する内周
面25が形成されている。内周面25は、軸線方向にお
ける所定長さの範囲でその内径が同一に設定されてい
る。
【0027】この内周面25におけるダイス18の内部
側の端部には、テーパ部26が接続されている。このテ
ーパ部26は、粗材導入穴23の出口側に向けて内径が
減少する方向に傾斜している。このテーパ部26は、ヘ
リカルギヤ10のテーパ部12を形成するためのもので
ある。
【0028】このテーパ部26の軸線方向における中間
部位から、粗材導入穴23の出口側に向けて、複数の凸
条27が螺旋状に形成されている。また、各凸条27同
士の間には、溝部28が螺旋状に形成されている。各凸
条27および各溝部28は、ヘリカルギヤ10の各歯1
3および歯溝13Dを形成するためのものである。これ
らの凸条27は、ダイス18の中心部に向けて突出して
おり、テーパ部26の最少内径部を頂点としている。さ
らに、各凸条27は、軸線B1を含む平面に対して所定
の捩れ角α1に設定されている。
【0029】上記の各凸条27の先端面29は、ヘリカ
ルギヤ10の歯底面13Qに対応する部分である。ま
た、各溝部28がヘリカルギヤ10の歯13に対応す
る。さらに、先端面29の幅方向の両側には側面30,
31が接続されている。このうち、一方の側面30が入
口24側に向けられている。そして、側面30,31
は、ヘリカルギヤ10の各歯面13B,13Cを成形す
るために、サイクロイド曲線を模した曲面に設定されて
いる。なお、側面30,31のうち、入口24側を向く
側面30が、歯13の第2歯面13Cに対応し、また他
の側面31が、歯13の第1歯面13Bに対応してい
る。
【0030】前記側面30における入口24側の端部に
は、ほぼ平坦な第1粗材導入面32が形成されている。
この第1粗材導入面32により、側面30とテーパ部2
6とが接続されている。第1粗材導入面32は、入口2
4に近づくにつれて、溝部28の長手方向の中心線(図
示せず)との距離が短くなる方向に傾斜している。この
第1粗材導入面32は副第2歯面13Eを形成するため
のもので、第1粗材導入面32は、ほぼ台形に構成され
ている。そして、第1粗材導入面32は、内周面25側
に向けて先細りとなる形状を備えている。さらに、第1
粗材導入面32と側面30との接続部分に山部33が形
成されている。また、第1粗材導入面32とテーパ部2
6との接続部分に山部26Aが形成されている。
【0031】また、他方の側面31における入口24側
の端部には、ほぼ平坦な第2粗材導入面34,35が形
成されている。この第2粗材導入面34,35により、
側面31とテーパ部26とが接続されている。第2粗材
導入面34,35は、入口24に近づくにつれて、溝部
28の長手方向の中心線に対する距離が短くなる方向に
傾斜している。第2粗材導入面34は副第1歯面13G
を形成するためのもので、第2粗材導入面35は副第1
歯面13Hを形成するためのものである。
【0032】したがって、第2粗材導入面34は四角形
に構成され、第2粗材導入35は三角形に構成されてい
る。さらに、第2粗材導入面34と側面31との接続部
分に谷部36が形成され、第2粗材導入面34と第2粗
材導入面35との接続部分に谷部37が形成されてい
る。第2粗材導入面35とテーパ部26との接続部分に
山部26Bが形成されている。
【0033】そして、第2粗材導入面34の一辺が側面
31に接続され、第2粗材導入面34の他の一辺がテー
パ部26に接続されている。さらに、第2粗材導入面3
5の一辺と、粗材導入面34の一辺とが接続されてい
る。さらにまた、第2粗材導入面35の一方の斜辺とテ
ーパ部26とが接続されている。
【0034】前記底面38におけるテーパ部26側の端
部には、第3粗材導入面39,40が形成されている。
第3粗材導入面39,40は、入口24に近づくにつれ
て、溝部28の長手方向の中心線に対する距離が短くな
る方向に傾斜している。この第3粗材導入面39,40
により、底面38とテーパ部26とが接続されている。
この第3粗材導入面39は副歯先面13Lを形成するた
めのものであり、第3粗材導入面40は副歯先面13M
を形成するためのものである。したがって、第3粗材導
入面39,40はほぼ平坦に構成されている。
【0035】第3粗材導入面39はほぼ台形に構成さ
れ、第3粗材導入面39の一辺が底面38に接続されて
いる。また、第3粗材導入面39の左右辺が、第1粗材
導入面31および第2粗材導入面34に接続されてい
る。さらに、第3粗材導入面39の一辺と、第3粗材導
入面40の一辺とが接続されている。さらにまた、第3
粗材導入面40の左右辺が、第1粗材導入面31の一
辺、および第2粗材導入面35の斜辺に接続されてい
る。さらにまた、第3粗材導入面40の一辺がテーパ部
26に接続されている。
【0036】そして、底面38と第3粗材導入面39と
の接続部分に谷部41が形成され、第3粗材導入面39
と第3粗材導入面40との接続部分に谷部42が形成さ
れている。さらに、第3粗材導入面40とテーパ部26
との接続部分に山部26Cが形成されている。
【0037】つぎに、鍛造装置14を用いて粗材22を
冷間鍛造し、ヘリカルギヤ10を製造する工程を説明す
る。先ず、図3に示すように、粗材22をダイス18の
内周面25に嵌合させる。ついで、ラム15と共にパン
チ20およびマンドレル21を下降させる。その後、マ
ンドレル21が粗材22に嵌合するとともに、パンチ2
0の先端が粗材22の上端に接触し、パンチ20が粗材
22を押し下げ始める。すると、粗材22の下端部が、
ダイス18のテーパ部26によって小径に絞られ、つい
で凸条27が粗材22に食い込むことにより、粗材22
の外周面に歯13および歯溝13Dが形成される。すな
わち、凸条27および溝部28に沿った材料の流動が生
じる。
【0038】より具体的には、粗材22のうち凸条27
に対応する部分は、材料が押し退けられ、これに対して
凸条27の間の部分すなわち歯13に対応する部分は、
容積の減少要因がない。したがって、凸条27によって
押し退けられた材料が、溝部28に供給・充填される。
【0039】図5および図6ならびに図7は、材料の流
動状態を示す模式的な断面図である。図5は、側面30
および第1粗材導入面32に直交する平面におけるダイ
ス18の断面図である。図6は、底面38および第3粗
材導入面39ならびに第3粗材導入面40に直交する平
面におけるダイス18の断面図である。図7は、側面3
1および第2粗材導入面34ならびに第2粗材導入面3
5に直交する平面におけるダイス18の断面図である。
【0040】そして、図5の矢印C1、および図6の矢
印D1、ならびに図7の矢印E1に示すように、材料の
流動が生じる。ここで、第1粗材導入面32と側面30
とが山部33により接続されている。つまり、粗材22
の流動方向(下降方向)における第1粗材導入面32の
傾斜角度が、粗材22の流動方向における側面30の傾
斜角度よりも小さく、材料の流動面積が徐々に減少して
いる。したがって、第1粗材導入面32に当接した材料
は、流動方向性が付与されて、積極的に溝部28に誘導
される。
【0041】また、材料が第1粗材導入面32により流
動方向性が付与された場合において、円周方向の速度成
分は、凸条27によって変形を受けた後は、同一の円周
方向を向いている。すなわち粗材22に塑性変形を生じ
させることによる反力が、粗材22を一定方向に回転さ
せるトルクとして作用する。また粗材22は軸線方向に
対しては拘束されているが、回転方向に対しては特には
拘束されていないので、鍛造の進行に伴って粗材22が
回転する。そのため、粗材22には捩り荷重が作用する
ものの、捩り変形として内部に蓄積されることが殆どな
い。
【0042】このようにして粗材22の全量をダイス1
8の内部に押し込むことにより、鍛造が終了し、図1に
示す形状のヘリカルギヤ10が形成される。その後、ラ
ム30を上昇させるとともに、ノックアウトピン19を
上昇させることにより、ダイス18からヘリカルギヤ1
0を抜き取る。こうして得られたヘリカルギヤ10は、
円筒部11に続けてテーパ部12が形成され、さらにそ
のテーパ部12から先端側に複数条の歯13が形成され
たものとなる。そして各歯13のテーパ部12側の端部
には、ダイス18の第1粗材導入面32に対応する副第
2歯面13Eが形成される。
【0043】したがって、図3に示す鍛造装置14によ
って製造したヘリカルギヤ10においては、捩り方向の
残留応力が殆ど皆無である。そのため鍛造後の熱処理を
行った場合などに、捩り変形が生じず、あるいは抑制さ
れるから、歯形の精度に狂いが生じず、高精度のヘリカ
ルギヤ10とすることができる。このような作用は、歯
13における円筒部11側の端部に副第2歯面13Eを
形成することとし、またそのためにダイス18に前述し
た第1粗材導入面32を設けたことによって生じる。
【0044】一方、ヘリカルギヤ10の冷間鍛造中に、
凸条27の上端に材料が当接すると、第1粗材導入面3
2により材料の流動方向性が付与されているため、凸条
27の一方の側面30側における材料の供給量が増大
し、他方の側面31側における材料の供給量が不足する
可能性がある。しかしながら、この実施例においては、
第2粗材導入面34と第2粗材導入面35とが谷部37
により接続され、第2粗材導入面34と側面31とが谷
部36により接続されている。また、第3粗材導入面3
9と第3粗材導入面40とが谷部42により接続され、
第3粗材導入面39と底面38とが谷部41により接続
されている。
【0045】すなわち、粗材22の流動経路が二段階に
絞られて、その流動面積が流動方向に沿って狭められて
いる。このため、他方の側面31側に流動する材料は、
その流動抵抗が増大して流動速度が低下する。その結
果、材料充填量(充填密度)が高められつつ流動が進行
する。したがって、ヘリカルギヤ10の歯13の歯先面
13Aおよび側面13B側の材料不足による欠肉(だ
れ)が抑制され、高精度のヘリカルギヤ10を製造で
き、製品品質が向上する。
【0046】図8は、比較例に係るヘリカルギヤ200
の部分的な斜視図である。このヘリカルギヤ200にお
いては、複数の歯201と、複数の歯溝202とが螺旋
状に形成されている。各歯201は、第1歯面203お
よび第2歯面204と、歯先面205とを備えている。
第2歯面204には、谷部206を介して副第1歯面2
07が接続されている。副第2歯面207はテーパ部2
08に接続されている。また、第1歯面203はテーパ
部208に接続され、歯先面205もテーパ部208に
接続されている。
【0047】このヘリカルギヤ200を鍛造装置(図示
せず)により冷間鍛造する場合は、副第1歯面207に
対応して形成されているダイス(図示せず)の粗材導入
面により、粗材が第2歯面204に相当する部分に対し
て導入が促進される。このため、第1歯面203側にお
ける粗材の供給量(充填量)が不足する可能性がある。
その結果、図8に二点鎖線で囲まれた領域F1におい
て、歯201の欠肉(歯先だれ)が生じ、ヘリカルギヤ
200の加工精度が低下する。
【0048】図9は、実施例のヘリカルギヤ10および
鍛造装置14における歯先欠肉量と、比較例のヘリカル
ギヤ200および鍛造装置(図示せず)における歯先欠
肉量とを比較したグラフ図である。ここでは、第1歯面
(上歯面)13Bと第1歯面103とを比較し、第2歯
面(下歯面)13Cと第2歯面104とを比較してい
る。そして、実施例においては、実線で示す矢印の範囲
で欠肉が生じ、比較例においては、点線の矢印で示す範
囲で欠肉が生じている。実施例および比較例のいずれの
場合においても、上歯面の歯先欠肉量よりも、下歯面の
歯先欠肉量の方が少ない。そして、いずれの歯面におい
ても、実施例の歯先欠肉量の方が、比較例の歯先欠肉量
よりも少なかった。
【0049】図10は、この発明の他の実施例のヘリカ
ルギヤ50を示す部分的な斜視図である。ヘリカルギヤ
50は、円筒部51にテーパ部52が接続されており、
テーパ部52の軸線方向での中間部から軸部53に亘
り、複数条の歯54が螺旋状に形成されている。図10
においては、便宜上、1条の歯54のみが示されてい
る。また、各歯54同士の間には歯溝55が形成されて
いる。
【0050】これらの歯54は、ヘリカルギヤ50の軸
線(図示せず)を含む平面、もしくはテーパ部52の下
側に連続する円筒部分の母線(図示せず)に対して、所
定の捩れ角に設定されたはす歯である。また、各歯54
は歯先面56と、歯先面56の幅方向の両側に接続され
た第1歯面57および第2歯面58とを備えている。こ
の第1歯面57および第2歯面58は、サイクロイド曲
線を模した曲面に形成されている。ここで、第1歯面5
7はテーパ部52に対面する位置に配置され、第2歯面
58は第1歯面57の反対側に配置されている。
【0051】歯54におけるテーパ部52側の端部に
は、第2歯面58とテーパ部52とを接続する副第2歯
面59,60,61が形成されている。副第2歯面60
は、歯54の長手方向の中心線(図示せず)と平行に構
成されている。副第2歯面59,60は方形に構成さ
れ、副第2歯面61は扇形に構成されている。そして、
副第2歯面61は、歯54の延びる方向とは反対方向に
凸となっている。つまり、副第2歯面13Eと第2歯面
13Cとの接続部分に谷部13Fが形成されている。ま
た、副第2歯面59の一辺と第2歯面58の一辺とが接
続され、副第2歯面59の一辺と副第2歯面60の一辺
とが接続されている。さらに、副第2歯面60の一辺と
と副第2歯面61の一辺とが接続されている。さらにま
た、副第2歯面61の他の一辺とテーパ部52とが接続
されている。
【0052】また、副第2歯面59と第2歯面58との
接続部分には山部62が形成されている。さらに、副第
2歯面59と副第2歯面60との接続部分には谷部63
が形成されている。副第2歯面60と副第2歯面61と
の接続部分には谷部64が形成されている。さらにま
た、副第2歯面61とテーパ部52との接続部分には谷
部65が形成されている。
【0053】歯54における他方の歯面57側には、第
1歯面57とテーパ部52とを接続する副第1歯面6
6,67,68,69が形成されている。副第1歯面6
7は、歯54の長手方向の中心線とほぼ平行に構成され
ている。副第1歯面66,67,68は方形に構成さ
れ、副第2歯面69は三角形状に構成されている。ま
た、副第1歯面66の一辺と第1歯面57の一辺とが接
続され、副第1歯面66の一辺と副第1歯面67の一辺
とが接続されている。副第1歯面67の一辺と副第1歯
面68の一辺とが接続されている。さらにまた、副第1
歯面68の一辺と副第1歯面69の一辺とが接続されて
いる。さらに、副第1歯69面の一辺とテーパ部52と
が接続されている。
【0054】また、副第1歯面66と第1歯面57との
接続部分には山部70が形成されている。さらに、副第
1歯面66と副第1歯面67との接続部分には谷部71
が形成されている。副第1歯面67と副第1歯面68と
の接続部分には谷部72が形成されている。さらにま
た、副第1歯面68と副第1副歯面69との接続部分に
は山部73が形成されている。副第1副歯面69とテー
パ部52との接続部分には谷部74が形成されている。
【0055】歯54における歯先面56とテーパ部52
との間には、副歯先面75,76,77,78が形成さ
れている。副歯先面76は、歯54の長手方向の中心線
とほぼ平行に構成されている。副歯先面75,76,7
7は、それぞれ方形に構成されている。また、副歯先面
78はほぼ台形に構成されている。副歯先面75のと歯
先面56との接続部分には山部79が形成されている。
副歯先面75と副歯先面76との接続部分には谷部80
が形成されている。副歯先面76と副歯先面77との接
続部分には谷部81が形成されている。副歯先面77と
副歯先面78との接続部分には山部82が形成されてい
る。副歯先面78とテーパ部52との接続部分には谷部
83が形成されている。
【0056】前記副歯先面75と、副第1歯面66およ
び副第2歯面59とが接続されている。また副歯先面7
6と、副第1歯面67および副第2歯面60とが接続さ
れている。さらに副歯先面77と、副第1歯面68およ
び副第2歯面61とが接続されている。さらにまた、副
歯先面78と、副第1歯面69および副第2歯面61と
が接続されている。
【0057】図11は、ヘリカルギヤ50を鍛造するた
めのダイス84を示す正面断面図、図12は、ダイス8
4の平面図である。ダイス84は、粗材85を塑性変形
させてヘリカルギヤ50を製造するためのものである。
つまり、ダイス84の内面形状は、ヘリカルギヤ50の
外面形状と一致している。ダイス84ほぼ円筒状に構成
され、ダイス84には軸線B1を中心とする粗材導入穴
86が形成されている。粗材導入穴86の軸線方向にお
ける一端側(図11での上端側)が入口87となる。そ
して、ダイス84には、入口87に対面する内周面88
が形成されている。内周面88は、軸線方向における所
定長さの範囲でその内径が同一に設定されている。
【0058】この内周面88におけるダイス84の内部
側の端部には、テーパ部89が接続されている。このテ
ーパ部89は、粗材導入穴86の出口90側に向けて内
径が減少する方向に傾斜している。このテーパ部89
は、ヘリカルギヤ50のテーパ部52を形成するための
ものである。
【0059】このテーパ部89の軸線方向における中間
部位から、粗材導入穴86の出口90側に向けて、複数
の凸条91が螺旋状に形成されている。また、各凸条9
1同士の間には、溝部92が螺旋状に形成されている。
各凸条91および各溝部92は、ヘリカルギヤ50の各
歯54および歯溝55を形成するためのものである。こ
れらの凸条91は、ダイス84の中心部に向けて突出し
ており、テーパ部89の最少内径部を頂点としている。
さらに、各凸条91は、軸線B1を含む平面に対して所
定の捩れ角に設定されている。
【0060】図13は、ダイス84の部分的な斜視図で
あり、図14は、ダイス84の部分的な断面図である。
各溝部92は、ヘリカルギヤ50の歯溝55の歯底面9
3に対応する部分である。また、各溝部92がヘリカル
ギヤ50の歯54に対応する。さらに、各凸条91の先
端面91Aの幅方向の両側には側面94,95が接続さ
れている。このうち、一方の側面94が入口87側に向
けられている。そして、側面94,95は、ヘリカルギ
ヤ50の各歯面58,57を成形するために、サイクロ
イド曲線を模した曲面に設定されている。なお、側面9
4,95のうち、入口87側を向く側面94が、歯54
の第2歯面58に対応し、また他の側面95が、歯54
の第1歯面57に対応している。
【0061】前記側面94における入口87側の端部
と、テーパ部89との間には第1粗材導入面96,〜9
8が形成されている。この第1粗材導入面96は副第2
歯面59を形成するためのもので、第1粗材導入面96
は、ほぼ四角形に構成されている。そして、第1粗材導
入面96と側面94とが接続されている。第1粗材導入
面96には、第2粗材導入面97が接続されている。第
2粗材導入面97は副第2歯面60を形成するためのも
ので、第2粗材導入面97はほぼ四角形に構成されてい
る。
【0062】第2粗材導入面97には、第2粗材導入面
98が接続されている。第2粗材導入面98は副第2歯
面61を形成するためのもので、第2粗材導入面98は
平坦に構成されている。第2粗材導入面98はテーパ部
52に接続されている。また、第2粗材導入面98は、
入口87側に近づくにつれて、溝部92の長手方向の中
心線(図示せず)から離れる方向に傾斜している。さら
に第2粗材導入面98はほぼ四角形に構成されている。
【0063】第1粗材導入面96と側面94との接続部
分には谷部99が形成されている。第1粗材導入面96
と第2粗材導入面97との接続部分には山部100が形
成されている。第2粗材導入面97と第2粗材導入面9
8との接続部分には山部101が形成されている。第2
粗材導入面98とテーパ部89との接続部分には山部1
02が形成されている。
【0064】前記側面95における入口87側の端部
と、テーパ部89との間には第2粗材導入面103,〜
106が形成されている。この第2粗材導入面103は
副第1歯面66を形成するためのもので、第1粗材導入
面103は、ほぼ四角形に構成されている。そして、第
1粗材導入面103と側面95とが接続されている。第
1粗材導入面103には、第1粗材導入面104が接続
されている。第1粗材導入面104は副第1歯面67を
形成するためのもので、第2粗材導入面104はほぼ四
角形に構成されている。
【0065】前記第2粗材導入面104には、第1粗材
導入面105が接続されている。この第1粗材導入面1
05は副第1歯面68を形成するためのものである。ま
た第1粗材導入面105は、入口87側に近づくにつれ
て、溝部92の長手方向の中心線から離れる方向に傾斜
している。さらに、第1粗材導入面105は第1粗材導
入面106に接続されている。この第1粗材導入面10
6は、溝部92の長手方向の中心線とほぼ平行に構成さ
れている。この第1粗材導入面106は副第1歯面69
を形成するためのもので、第1粗材導入面106はテー
パ部89に接続されている。
【0066】側面95と第1粗材導入面103との接続
部分には谷部107が形成されている。第1粗材導入面
103と第1粗材導入面104との間には山部108が
形成されている。第1粗材導入面104と第1粗材導入
面105との接続部分には山部109が形成されてい
る。第1粗材導入面105と第1粗材導入面106との
間には谷部110が形成されている。第1粗材導入面1
06とテーパ部89との接続部分には山部111が形成
されている。
【0067】前記底面92Aにおける入口87側の端部
と、テーパ部89との間には第3粗材導入面112,〜
115が形成されている。この第3粗材導入面112は
副歯先面75を形成するためのもので、第3粗材導入面
112は、ほぼ四角形に構成されている。そして、第3
粗材導入面112と第3粗材導入面113とが接続され
ている。第3粗材導入面113は副歯先面76を形成す
るためのもので、第3粗材導入面113はほぼ四角形に
構成されている。
【0068】第3粗材導入面113には、第3粗材導入
面114が接続されている。第3粗材導入面114は、
入口87に近づくにつれて、溝部92の長手方向の中心
線から離れる方向に傾斜している。この第3粗材導入面
114は副歯先面77を形成するためのもので、第3粗
材導入面114はほぼ四角形に構成されている。第3粗
材導入面114は第3粗材導入面115に接続されてい
る。この第3粗材導入面115は、溝部92の長手方向
の中心線とほぼ平行に構成されている。また、第3粗材
導入面115は副歯先面78を形成するためのもので、
第3粗材導入面115はテーパ部89に接続されてい
る。第3粗材導入面115はほぼ台形に構成されてい
る。
【0069】また、第3粗材導入面112は第1粗材導
入面96および第2粗材導入面103に接続されてい
る。さらに第3粗材導入面113は第1粗材導入面97
および第2粗材導入面104に接続されている。さらに
第3粗材導入面114は第1粗材導入面98および第2
粗材導入面105に接続されている。第3粗材導入面1
15は第1粗材導入面98および第2粗材導入面106
に接続されている。
【0070】図14は、ダイス84を、底面92Aから
テーパ部89に亘って切断した場合の断面図である。底
面92Aと第3粗材導入面112との接続部分には谷部
116が形成されている。第3粗材導入面112と第3
粗材導入面113との接続部分には山部117が形成さ
れている。第3粗材導入面113と第3粗材導入面11
4との接続部分には山部118が形成されている。第3
粗材導入面114と第3粗材導入面115との接続部分
には谷部119が形成されている。第3粗材導入面11
5とテーパ部89との接続部分には山部120が形成さ
れている。
【0071】つぎに、ダイス84によりヘリカルギヤ5
0を製造する工程を説明する。粗材85をダイス84の
粗材導入穴86内に挿入していくと、粗材85の下端部
が、ダイス84のテーパ部89によって小径に絞られ、
ついで凸条91が粗材85に食い込むことにより、粗材
85の外周面に歯54および歯溝55が形成される。す
なわち、凸条91および溝部92に沿った材料の流動が
生じる。
【0072】より具体的には、粗材85のうち凸条91
に対応する部分の材料が押し退けられ、凸条91によっ
て押し退けられた材料が、溝部92に供給・充填され
る。ここで、テーパ部89と第1粗材導入面98とが山
部102により接続されており、材料の流動面積が徐々
に減少している。したがって、第1粗材導入面98に当
接した材料は、流動方向性が付与されて、積極的に溝部
92の間に誘導される。したがって、図1ないし図7の
実施例と同様の作用効果を得られる。
【0073】一方、凸条91の上端に材料が当接する
と、第1粗材導入面98により材料の流動方向性が付与
されているため、凸条91の一方の側面94側における
材料の供給量が増大し、他方の側面95側における材料
の供給量が不足する可能性がある。しかしながら、図1
1ないし図14の実施例においては、第2粗材導入面1
06と第2粗材導入面105とが谷部110により接続
され、第3粗材導入面115と第3粗材導入面114と
が谷部119により接続されている。すなわち、粗材8
5の流動経路が絞られて、その流動面積が流動方向に沿
って狭められている。このため、図14の矢印F1に示
すように、他方の側面95および底面92A側に流動す
る材料は、その流動抵抗が増大して流動速度が低下する
ことにより、材料充填量(充填密度)が高められつつ流
動が進行する。このようにして粗材85の全量をダイス
84の内部に押し込むことにより、鍛造が終了し、図1
0に示す形状のヘリカルギヤ50が形成される。そし
て、図10ないし図14の実施例においても、図1ない
し図7の実施例と同様の作用効果を得られる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、歯の傾斜方向に連続して傾斜した第2歯面が、
歯の端部に形成されているから、軸線方向に粗材を押圧
して鍛造を行う場合、その第2歯面に対応する部分から
歯に対応する部分への材料の流動が促進され、また同時
に、粗材に対する捩りが防止もしくは抑制され、その結
果、製造後の捩り変形による歯形誤差の生じない高精度
のヘリカルギヤを得ることができる。
【0075】また、第2歯面側に対する材料の流動が促
進されることにより、第1歯面側における材料の供給
(充填)密度が低下する可能性がある。しかしながら、
第1歯面およびテーパ部に接続された副第1歯面に対応
する部分により、材料の流動面積が絞られている。この
ため、材料の流動抵抗が増大して材料の供給(充填)密
度が高められ、各歯の第1歯面側における材料不足(欠
肉またはだれ)が抑制される。したがって、ヘリカルギ
ヤの加工精度が高められ、その製品品質が向上する。
【0076】また請求項2の発明によれば、第1粗材導
入面によって、第2歯面側に対する材料の導入を促進で
き、また同時に粗材の回転を阻止する荷重の発生を防止
して粗材の回転を促進させるから、捩り応力が残留した
り、それが原因となって歯形誤差が発生するなどの不都
合を未然に防止することができ、結局は、高精度のヘリ
カルギヤを得ることができる。
【0077】また、第2歯面側に対する材料の流動が促
進されることにより、第1歯面側における材料の供給
(充填)密度が低下する可能性がある。しかしながら、
第2粗材導入面により材料の流動面積が絞られている。
このため、材料の流動抵抗が増大して材料の供給(充
填)密度が高められ、各歯の第1歯面側における材料不
足(欠肉またはだれ)が抑制される。したがって、ヘリ
カルギヤの加工精度が高められて製品品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のヘリカルギヤの一実施例を示す正
面図である。
【図2】 図1に示されたヘリカルギヤの部分的な斜視
図である。
【図3】 この発明のヘリカルギヤの製造装置を示す正
面断面図である。
【図4】 図3に示す製造装置のダイスを示す部分的な
断面図である。
【図5】 図4に示すダイスの部分的な断面図である。
【図6】 図4に示すダイスの部分的な断面図である。
【図7】 図4に示すダイスの部分的な断面図である。
【図8】 比較例に係るヘリカルギヤの部分的な斜視図
である。
【図9】 実施例における歯先欠肉量と、比較例におけ
る歯先欠肉量とを比較した図である。
【図10】 この発明に係るヘリカルギヤの他の実施例
を示す部分的な正面図である。
【図11】 図10に示されたヘリカルギヤを製造する
ためのダイスを示す正面断面図である。
【図12】 図11に示されたダイスの平面図である。
【図13】 図11に示されたダイスの部分的な斜視図
である。
【図14】 図11に示されたダイスの部分的な断面図
である。
【図15】 従来のヘリカルピニオンギヤの一例を示す
正面図である。
【図16】 従来のヘリカルピニオンギヤを鍛造する際
に使用するダイスの材料導入部で生じる材料の流動を説
明するための図である。
【図17】 鍛造に伴う粗材の最大捩れ角を示す図であ
る。
【図18】 材料の押し出し長さと捩れ量との関係を示
す図である。
【符号の説明】
10,50…ヘリカルギヤ、 11A,53…軸部、
12,52…テーパ部、 13A,54…歯、 13
B,57…第1歯面、 13C,58…第2歯面、 1
3A,56…歯先面、 13J,13K,13N,13
P,33,73,82…山部、 13G,13H,69
…副第1歯面、 13F,36,37,41,42,6
4…谷部、 13E,61…副第2歯面、 13L,1
3M,56…副歯先面、 18,84…ダイス、 2
2,85…粗材、 23,86…粗材導入穴、 24,
87…入口、 26,89…テーパ部、 27,91…
凸条、30,31,94,95…側面、 32,98…
第1粗材導入面、 32,35,105,106…第2
粗材導入面、 38,93A…底面、 39,40,1
14,115…第3粗材導入面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 51/00 - 55/30 B21J 1/00 - 13/14 B21J 17/00 - 19/04 B21K 1/00 - 31/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テーパ部と、このテーパ部の小径側に接
    続された軸部とを有し、前記テーパ部から前記軸部に亘
    り複数条の歯が螺旋状に形成され、この複数条の歯が、
    前記テーパ部に対面する第1歯面と、この第1歯面の反
    対側に配置された第2歯面と、前記第1歯面と前記第2
    歯面とを接続する歯先面とを備えているヘリカルギヤに
    おいて、 各歯におけるテーパ部側の端部に、前記第1歯面と前記
    テーパ部とを接続し、かつ、前記第1歯面に対して山部
    を介して接続された副第1歯面と、前記第2歯面と前記
    テーパ部とを接続し、かつ、前記第2歯面に対して谷部
    を介して接続された副第2歯面と、前記歯先面と前記テ
    ーパ部とを接続し、かつ、前記歯先面に対して山部を介
    して接続された副歯先面とが設けられていることを特徴
    とするヘリカルギヤ。
  2. 【請求項2】 ダイスの粗材導入穴に、粗材の導入方向
    に沿って縮径されたテーパ部と、このテーパ部から前記
    粗材の導入方向に沿って形成された複数の凸条および溝
    部が螺旋状に形成され、前記凸条に、前記粗材導入穴の
    入口側に向けられた一方の側面と、この一方の側面の反
    対側に位置する他方の側面とが形成され、前記溝部に、
    前記テーパ部に接続される底面が形成されているととも
    に、前記粗材導入穴に粗材を圧入することにより、この
    粗材を塑性変形させて粗材の外周面に複数の歯および歯
    溝を螺旋状に形成するヘリカルギヤの製造装置におい
    て、 前記凸条における前記粗材導入穴の入口側の端部に、前
    記一方の側面と前記テーパ部とを接続し、かつ、前記一
    方の側面に対して山部を介して接続された第1粗材導入
    面と、前記他方の側面と前記テーパ部とを接続し、か
    つ、前記他方の側面に対して谷部を介して接続された第
    2粗材導入面と、前記底面と前記テーパ部とを接続し、
    かつ、前記底面に対して谷部を介して接続された第3粗
    材導入面とが設けられていることを特徴とするヘリカル
    ギヤの製造装置。
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