JP3536664B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JP3536664B2
JP3536664B2 JP11924398A JP11924398A JP3536664B2 JP 3536664 B2 JP3536664 B2 JP 3536664B2 JP 11924398 A JP11924398 A JP 11924398A JP 11924398 A JP11924398 A JP 11924398A JP 3536664 B2 JP3536664 B2 JP 3536664B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
る自動変速機の油圧制御装置、特に一方の摩擦係合要素
を係合すると共に他方の摩擦係合要素を解放する、いわ
ゆるクラッチツークラッチ変速に用いて好適であり、詳
しくは変速の進行時に変化する入力軸回転数の回転加速
度等の実際の変化量が目標値となるようにフィードバッ
ク制御する油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、入力軸回転数の変化率(回転加速
度)を検出し、これを目標回転変化率(目標回転加速
度)に合致させるように、係合側クラッチ又は解放側ク
ラッチを操作する油圧サーボへの供給圧をフィードバッ
ク制御するものが知られている。
【0003】また、特開昭63−266258号公報に
示されるように、変速装置の入力軸トルクの瞬時値を検
出し、これによりクラッチ等の摩擦係合要素を操作する
油圧サーボへの供給圧を調整してトルク容量をフィード
バック制御するものが知られている。このものにあって
も、解放側クラッチが解放されることに基づく入力軸の
回転数変化(実スリップ回転数変化率)が所定目標回転
数変化になるようにフィードバック制御すべく、解放側
摩擦係合要素を操作する油圧サーボへの油圧を調整する
ソレノイド弁に駆動信号を出力するが、この際一般に、
実回転数変化率と目標回転数変化率の偏差及び比例
(P)ゲインに基づく比例(P)制御動作と、上記偏差
の積分(偏差の累積)及び積分(I)ゲインに基づく積
分(I)制御動作と、上記偏差の微分(偏差の変化量)
及び微分(D)ゲインに基づく微分(D)制御動作とが
考慮され、上記比例(P)制御動作又は積分(I)制御
動作単独、これら比例制御動作及び積分制御動作が加算
されるPI制御動作、更に上記微分制御動作も関与する
PID制御動作により油圧補正量が決定され、かつ各ゲ
インの割合を適宜決定することで油圧補正量が設定され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記フィードバック制
御にあって、上記各制御動作及び上記各ゲインは、変速
中にあっては予め一義的に決定されているため、例え
ば、変速初期において実際の回転変化と目標の回転変化
との差が大きい場合、制御ゲインが大きく設定されてい
ると、目標への収束性は良好となるが、ハンチングが生
じ易く、その結果、変速ショックとして運転者に違和感
を与えることになる。また、ハンチングを防止すべく制
御ゲインを小さく設定すると、例えば上記変速初期にお
ける回転変化の大きな差を収束させることができず、フ
ィードバック制御としての精度を低下してしまう。
【0005】そこで、本発明は、実際の値と目標値との
差が大きい場合でも、目標値への収束性を良好に保持す
ると共にハンチングの発生を抑制し、もって上述課題を
解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、
車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との
間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素と、こ
れら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボ(9,1
0)と、該油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段
(SLS,SLU)と、変速の進行時に変化する実際の
変化量(ωr)が目標変化量(ω1)に合致するよう
に、前記油圧制御手段に制御信号を出力するフィードバ
ック制御手段(1)と、を備えてなる自動変速機の油圧
制御装置において、前記フィードバック制御手段(1)
は、少なくとも前記目標変化量と実際の変化量との偏差
(E)及び比例ゲイン(K1)に基づく比例(P)制御
動作(1a)と、上記偏差の積分値及び積分ゲイン(K
3)に基づく積分(I)制御動作(1b)と、を有し、
前記変速の進行の初期段階では主に前記比例(P)制御
動作を機能し、その後の変速の進行により該比例制御動
作から主に前記積分(I)制御動作が機能するように変
更してなり、更に、前記比例ゲイン(K1)は、油温が
高い程小さく設定され、かつ前記積分ゲイン(K3)
は、油温が高い程大きく設定されてなる(図10参
照)、ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置にあ
る。
【0007】請求項2に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段(1)は、前記実際の変化量を演算サイク
ル毎に検出して前記制御信号を出力し、該制御信号を出
力する1回目の演算サイクル(n=0)では、前記比例
(P)制御動作を機能し、2回目以降(n≧1)の演算
サイクルでは、前記積分(I)制御動作を機能してなる
(S48,S50参照)、請求項1記載の自動変速機の
油圧制御装置にある。
【0008】
【0009】請求項に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段(1)は、前記偏差(E)の正負により、
前記油圧補正量が異なる制御信号を出力してなる、請求
項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置にある(図
11参照)。
【0010】請求項に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段(1)は、前記変速の進行を開始した所定
時間(TIS)後、フィードバック制御信号を出力して
なる(S44参照)、請求項1ないしのいずれか記載
の自動変速機の油圧制御装置にある。
【0011】請求項に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段(1)は、変速中の入力トルク変化に対し
て油圧を補正する手段(ΔT)を有する(S52参
照)、請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の
油圧制御装置にある。
【0012】請求項に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段(1)は、前記比例(P)制御動作(1
a)及び積分(I)制御動作(1b)にそれぞれ微分
(D)制御動作(1c)が付加されてなる、請求項1な
いしのいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置にあ
る。
【0013】請求項に係る本発明は、前記変速の進行
時に変化する変化量は、所定変速段への変速に係るギヤ
比に基づき変化する入力軸回転数(N)の回転加速度
(ωr)である、請求項1ないしのいずれか記載の自
動変速機の油圧制御装置にある。
【0014】請求項に係る本発明は、前記複数の摩擦
係合要素の内の第1の摩擦係合要素を係合すると共に、
第2の摩擦係合要素を解放することにより所定変速段へ
の変速制御を行い、前記油圧制御手段は、前記第1及び
第2の摩擦係合要素のいずれか一方の油圧サーボに作用
する油圧(P)を主体として、他方の油圧サーボに作
用する油圧(P)を制御し、前記フィードバック制御
手段(1)は、前記主体となる一方の油圧サーボに作用
する油圧(P)を制御すべく制御信号を出力してな
る、請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油
圧制御装置にある。
【0015】請求項に係る本発明は、前記フィードバ
ック制御手段は、前記変速の進行が所定割合(a1)を
越えない状態におけるイナーシャ相制御と、前記所定割
合を越えた状態における終期制御とに亘って行われ、前
記終期制御にあっては、前記目標変化量(ω2)が実際
の変化量の遅れ(offset)を加味して設定されて
なる(S56参照)、請求項1ないしのいずれか記載
の自動変速機の油圧制御装置にある。
【0016】[作用]以上構成に基づき、変速の進行時
に変化する変化量、例えば所定変速段への変速に係るギ
ヤ比に基づき変化する入力軸回転数の回転加速度(ω
r)を検出することにより、該変化量が目標変化量(例
えば目標回転加速度)(ω1)に合致するように、油圧
サーボの油圧(例えば係合側油圧)(PA )がフィード
バック制御される。この際、変速の初期段階、例えば演
算サイクルの1回目では、上記目標変化量(ω1)と実
際の変化量(ωr)との偏差(E)及び比例ゲイン(K
1)に基づく比例(P)制御動作(1a)が主に機能
し、その後の変速の進行により、例えば2回目以降の演
算サイクルでは、上記偏差(E)の積分値及び積分ゲイ
ン(K3)に基づく積分(I)制御動作(1b)が主に
機能する。
【0017】なお、上記カッコ内の符号は図面と対照す
るためのものであるが、本発明の構成を何等限定するも
のではない。
【0018】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、実際の
変化量と目標変化量との差が大きい変速初期では、主に
比例(P)制御動作を機能して目標への収束性を向上
し、かつその後に、主に積分(I)制御動作を機能する
ことにより滑らかに制御してハンチングの発生を防止
し、精度の高いフィードバック制御を行うことができ
る。
【0019】請求項2に係る本発明によると、演算サイ
クルの1回目のフィードバック制御で、比例(P)制御
動作によりいっきに目標に収束させ、その後の2回目以
降の演算サイクルによるフィードバック制御では、積分
(I)制御動作によりハンチングを防止して、変速初期
に大きな偏差がある場合でも、良好なフィードバック制
御を行うことができる。更に、変速の進行により比例ゲ
インを線形補間してリアルタイムに低下させる場合、2
回目以降の演算サイクルにおいて、前回の比例ゲインに
よる油圧が応答するまでサイクルタイムを長く設定する
必要があるが、上述のように1回目と2回目の演算サイ
クルで制御動作を変更(P→I)することより、2回目
以降のサイクルにおいて比例ゲインが0となり、比例制
御動作を考慮することなくサイクルタイムを設定するこ
とができるので、精度の高いフィードバック制御を行う
ことができる。
【0020】請求項に係る本発明によると、油温が高
く制御系の応答性が良い場合、比例ゲインを高くすると
ハンチングを発生し易いため、この場合、比例ゲインを
小さくし逆に積分ゲインを大きくすることによりハンチ
ングの発生を防止することができる。また、油温が低く
制御系の応答性が悪い場合、積分ゲインを大きくする
と、積分制御動作が偏差の積分値に積分ゲインを乗じた
補正量となるため、油圧の応答遅れがあると、積分ゲイ
ンによる油圧補正が1回のサイクルタイムでは制御しき
れなくなり、それが各サイクル毎に累積されて油圧が応
答するころには多くの補正が掛って大きなハンチングを
生じてしまうことがあり、従って、この場合、積分ゲイ
ンを小さくし逆に比例ゲインを大きくすることにより、
大きなハンチングの発生を防止することができる。
【0021】請求項に係る本発明によると、フィード
バック制御において、例えば油圧を下げる方向が変速の
進まない方向である場合、該油圧を下げる方向に大きな
油圧補正を行うと変速の進行を妨げる虞れがあり、偏差
の正負により油圧の補正量を変更することにより、フィ
ードバック制御により変速の進行が妨げられることを防
止することができる。
【0022】請求項に係る本発明によると、変速によ
る回転変化が開始されても、該回転変化量が安定するま
でには回転変化が開始されてから所定時間が必要であ
り、油圧を応答遅れを考慮して変化量が安定してからフ
ィードバック制御を開始することにより、ハンチングの
発生及び収束性の低下を防止した良好なフィードバック
制御を行うことができる。
【0023】請求項に係る本発明によると、変速中に
入力トルク変化が生じた場合、その変化をフィードバッ
ク制御により修正しようとすると、フィードバック制御
による油圧の補正量が不充分となり、目標への収束性の
低下及びハンチング等が生じる虞れがあるが、入力トル
ク変化に対しては、その変化分をフィードフォワード制
御により補正する手段を設けることで、変速中に入力ト
ルク変化が生じた場合でも、良好なフィードバック制御
を行うことができる。
【0024】請求項に係る本発明によると、微分
(D)制御動作を付加することにより、ハンチングの減
少及び応答性の向上を図ることができ、前記フィードバ
ック制御の性能を向上することができる。
【0025】請求項に係る本発明によると、所定変速
段への変速に係るギヤ比に基づき変化する入力軸回転数
は、入力軸回転センサ及び車速センサにより正確かつ確
実に検出することができ、またその回転加速度(変化
率)も容易に演算することができ、簡単な構成にて正確
なフィードバック制御を行うことができる。
【0026】請求項に係る本発明によると、主体とな
る側の油圧をフィードバック制御することにより、いわ
ゆるクラッチツークラッチによる変速を正確に行って、
シフトショック等の違和感を運転者等に与えることを防
止することができる。
【0027】請求項に係る本発明によると、イナーシ
ャ相制御に引続く終期制御にあっては、目標変化量(ω
2)が油圧の応答遅れ等による実際の変化量の遅れ(o
ffset)を考慮して設定されるので、終期制御にあ
っても目標値に基づく正確かつ確実なフィードバック制
御を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本自動変速機は、多数のクラッチ
又はブレーキ等の摩擦係合要素を有し、これら摩擦係合
要素を適宜断・接することによりプラネタリギヤの伝動
経路が選択される自動変速機構(図示せず)を備えてお
り、該自動変速機構の入力軸が、エンジン出力軸にトル
クコンバータを介して連結しており、また該自動変速機
構の出力軸が駆動車輪に連結している。
【0029】図1は、電気制御系を示すブロック図であ
り、Uは、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる
制御部(ECU)で、エンジン回転センサ2、ドライバ
のアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度セン
サ3、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回
転数(=タービン回転数)を検出するセンサ5、車速
(=自動変速機出力軸回転数)センサ6及び油温センサ
7からの各信号が入力しており、また油圧回路のリニア
ソレノイドバルブSLS及びSLUに出力している。前
記制御部Uは、フィードバック制御手段1を有してお
り、かつ該フィードバック制御手段は、所定変速段への
変速に係るギヤ比に基づき変化する入力軸回転数の回転
加速度等の変速の進行に伴い変化する実際の変化量と目
標変化量の偏差及び比例ゲインに基づく比例(P)制御
動作1aと、上記偏差の積分値及び積分ゲインに基づく
積分(I)制御動作1bと、上記偏差の微分値及び微分
ゲインに基づく微分(D)制御動作1cとを有してお
り、変速の初期段階例えば1回目の演算サイクルでは、
主に前記比例制御動作1aが機能し、その後の変速の進
行により、例えば2回目以降の演算サイクルでは、主に
前記積分制御動作1cが機能するように変更され、そし
て該フィードバック制御手段から所定制御信号が油圧制
御手段である前記リニアソレノイドバルブSLS又はS
LUに出力する。
【0030】図2は、油圧回路の概略を示す図であり、
前記2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを
有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニット
の伝達経路を切換えて、例えば前進4速又は5速、後進
1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ
及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ9、1
0を有している。また、前記リニアソレノイドバルブS
LS及びSLUの入力ポートa1 ,a2 にはソレノイド
モジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノ
イドバルブの出力ポートb1 ,b2 からの制御油圧がそ
れぞれプレッシャコントロールバルブ11,12の制御
油室11a,12aに供給されている。プレッシャコン
トロールバルブ11,12は、ライン圧がそれぞれ入力
ポート11b,12bに供給されており、前記制御油圧
にて調圧された出力ポート11c,12cからの調圧油
圧が、それぞれシフトバルブ13,15を介して適宜各
油圧サーボ9,10に供給される。
【0031】なお、本油圧回路は、基本概念を示すため
のものであって、各油圧サーボ9,10及びシフトバル
ブ13,15は、象徴的に示すものであり、実際には、
自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられてお
り、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブ
も多数備えている。また、油圧サーボ10に示すように
油圧サーボは、シリンダ16にオイルシール17により
油密状に嵌合するピストン19を有しており、該ピスト
ン19は、油圧室20に作用するプレッシャコントロー
ルバルブ12からの調圧油圧に基づき、戻しスプリング
21に抗して移動し、外側摩擦プレート22及び内側摩
擦材23を接触する。該摩擦プレート及び摩擦材は、ク
ラッチで示してあるが、ブレーキにも同様に対応するこ
とは勿論である。
【0032】ついで、本発明に係る油圧制御装置につい
て、図3ないし図9に沿って説明する。
【0033】ドライバのアクセルペダル操作に基づくス
ロットル開度センサ3及び車速センサ6からの信号によ
り、制御部U内の変速マップに基づき変速判断、例えば
2→3変速のアップシフト判断がなされる。そして、図
3ないし図5に示すように、所定シフトバルブの操作等
の前処理のための所定時間経過後、係合油圧PA 及び解
放油圧PB の変速制御が開始される(S1)。なお、該
変速制御にあっては、ドライバは、アクセルペダルを略
々一定な操作を保持して、変速中、エンジンから車輪側
へ動力伝達されるパワーオン状態でアップシフト制御さ
れる。そして、係合側の油圧サーボへの油圧(係合油
圧)PA が所定圧PS1になるように所定信号をリニアソ
レノイドバルブSLS(又はSLU)に出力する(S
2)。該所定圧(限界圧)PS1は、油圧サーボの油圧室
20を満たすために必要な油圧に設定されており、所定
時間tSA保持される。該所定時間tSAが経過すると(S
3)、係合油圧PA は、所定勾配[(PS1−PS2)/t
SB]で油圧を減少し(以下スイープダウンという)(S
4)、係合油圧PA が所定低圧PS2になると(S5)、
該スイープダウンが停止され、該所定低圧PS2に保持・
待機される(S6)。該所定低圧PS2は、ピストンスト
ローク圧以上でかつ入力軸の回転変化を生じさせない圧
に設定されており、該所定低圧PS2は、計時tが所定時
間tSE経過するまで保持される(S7)。上記ステップ
S1〜S7が、摩擦係合要素の摩擦プレート22,23
の遊びをなくして(ガタ詰め)トルク容量が発生する直
前の状態に油圧サーボ10のピストン19を移動するサ
ーボ起動制御となる。
【0034】ついで、入力トルクTt に対応する係合側
分担トルクTA が算出され(例えば、aをトルク分担率
とすると、TA =1/a・Tt )(S8)、そして該係
合側分担トルクTA に基づく所定関数により、入力軸回
転数NT の回転変化が開始する直前(イナーシャ相の開
始直前)の係合目標油圧PTAを算定する(S9)。該イ
ナーシャ相開始時直前の係合側油圧PTAは、BA ;ピス
トンストローク圧(=スプリング荷重)、AA ;摩擦板
有効半径×ピストン面積×摩擦板枚数×摩擦係数、dP
TA;油圧の遅れ分の油圧量とすると、PTA=(TA /A
A )+BA +dPTAにて算出される。更に、余裕率(タ
イアップ度合)S11,S21により、解放側摩擦係合要素
とのタイアップ度合をドライブフィーリングを考慮して
設定して、係合目標油圧PTAが補正されて設定される
(S10)。そして、該入力トルクTt に応じて算定さ
れたイナーシャ相開始時直前の係合油圧PTAに基づき、
予め設定された所定時間tTAにより所定勾配が算定され
[(PTA−PS2)/tTA]、該勾配に基づき係合側油圧
が増加する(以下スイープアップという)(S11)。
該比較的急な勾配からなる第1のスイープアップによ
り、係合トルクが増加し、入力軸回転数変化が開始する
直前の状態、即ち前記算出された所定目標係合油圧PTA
まで油圧が上昇する(S12)。
【0035】なお、入力トルクTt (=タービントル
ク)は、車輌走行状況に基づき、マップによりスロット
ル開度とエンジン回転数に基づき線形補間してエンジン
トルクを求め、ついでトルクコンバータの入出力軸回転
数から速度比を計算し、該速度比からマップによりトル
ク比を求め、そして前記エンジントルクに上記トルク比
を乗じて求められる。
【0036】そして、上記目標係合油圧PTAに達する
と、即ち入力軸回転数の回転変化が開始されるイナーシ
ャ相に入ったと予測される時点で、前記油圧の変化δP
TAが入力軸回転数NT の回転変化開始時における目標と
する目標回転変化率(角加速度)ωaに応じた関数[δ
TA=fδPTA (ωa)]により算出される(S1
3)。即ち、kを定数、taim を目標変速開始時間、ω
aを目標回転変化率[目標回転数への勾配]、Iをイナ
ーシャ量とすると、前記油圧変化δPTA=[I・ωa]
/[k・taim ]にて算定される。そして、該油圧変化
δPTAによる勾配でスイープアップされる(S14)。
該第2のスイープアップは、回転変化開始時の入力軸回
転数NTSからの回転変化分ΔNが所定変速開始判定回転
数dNS に達するまで続けられ(S15)、係合側油圧
A は、エンジントルクと略々同じクラッチ容量となる
イナーシャ相開始油圧PINになる。
【0037】なお、上記ステップS8〜S14が、係合
側クラッチが担持するトルクが増大すると共に、解放側
クラッチの担持トルクが減少し、ギヤ比はアップシフト
前(2速)の状態にあってトルク分担だけが変化するト
ルク相制御となる。また、上記入力軸回転数NT の回転
変化開始とは、イナーシャ相に入ったこと、即ちギヤ比
に基づく変速(2→3変速)が開始され、出力軸の回転
数に対する該ギヤ比に係る入力軸回転数の変化が開始さ
れた状態であって、前記入力軸回転数センサ5及び車速
センサ6から算出される。
【0038】ついで、後述する本発明の要部に係るフィ
ードバック制御が行われる(S16)。該フィードバッ
ク制御が図3、図5におけるイナーシャ相、終期制御と
なる。該フィードバック制御は、油圧変化が所定勾配δ
I を基準値して行われるが、該δPI によるスイープ
アップは、変速開始(回転変化開始)から変速完了まで
の回転変化量ΔNのa2[%]、例えば90[%]まで
続けられる(S19)。即ち、NTSを変速開始時の入力
軸回転数、ΔNを回転変化開始からの回転変化量、gi
を変速前ギヤ比、gi+1 を変速後ギヤ比とすると、
[(ΔN×100)/{(NTS/gi )×(gi −g
i+1 )}]がa2[%]になるまで続けられる。
【0039】更に、上記回転変化量がa2[%]を越え
ると、時間tF が設定され(S20)、この状態はイナ
ーシャ相及び終期制御が終了した状態と略々対応してい
る。更に、比較的急な油圧変化δPF が設定されて、該
油圧変化により油圧が急激にスイープアップし(S2
1)、そして前記計時時間tF から、係合圧まで上昇す
るに充分な時間に設定されている所定時間tFEが経過し
た状態で(S22)、係合側の油圧制御が完了する。上
記ステップ20,S21が完了制御となる。
【0040】ついで、図3及び図6に沿って、上述した
アップシフト変速における解放側油圧PB の制御につい
て説明する。
【0041】まず、制御部Uからの変速指令により、係
合側と同時に解放側油圧制御の計時が開始される(S2
5)。そして、入力トルクTt に基づき解放側摩擦係合
要素の分担トルクTB が算出され(S26)、更に該解
放側分担トルクTB に対する係合圧PW が算出される
(S27)。解放油圧PB は、上記係合圧からなる油圧
W が供給され(S28)、該油圧PW の供給は、係合
油圧PA が第1のスイープアップを開始するまで(トル
ク相の開始)(tSE)待機・保持される(S29)。従
って、上記ステップS26〜S28が待機制御となる。
【0042】そして、係合油圧PA 及び入力トルクTt
の関数[TB =fTB(PA ,TT )]により解放側トル
クTB が算定され(S30)、更に余裕率S11,S21
考慮されて(TB =S11×TB +S21)、解放側分担ト
ルクTB が算出される(S31)。そして、該解放側分
担トルクTB から解放油圧PB が算出される[PB =f
PB(TB )](S32)。即ち、まず、係合側摩擦係合
要素が分担するトルクTA が[TA =AA ×(PA −B
A )]にて算出され(AA ;有効半径×ピストン=面積
×枚数×摩擦係数、BB ;ピストンストローク圧)、更
にこれにより、解放側摩擦係合要素が分担するトルクT
B が、[TB =(1/b)Tt −(a/b)TA ]にて
算出される。なお、ここで、bは解放側のトルク分担、
aは係合側のトルク分担、Tt は入力軸トルクである。
そして、余裕率(タイアップ度合)S11,S21により、
係合側摩擦係合要素とのタイアップ度合を、ドライブフ
ィーリングを考慮して設定し、解放側トルクTB が[T
B =S11×TB +S21]にて算出される(S31)。上
記余裕率S11,S21は、油温の相違により選択される多
数のスロットル開度・車速マップにて、ドライバーのフ
ィーリングに合うように任意に設定されるものであっ
て、一般に、S11>1.0、S21>0.0からなる。更
に、該余裕率を考慮した解放側トルクTB から、解放油
圧PB が、[PB =(TB /AB )+BB ]にて算定さ
れる(AB ;解放側摩擦係合要素の有効半径×ピストン
面積×枚数×摩擦係数,BB ;解放側ピストンストロー
ク圧)(S32)。
【0043】上述のようにして算出された解放油圧PB
によるスイープダウンは係合油圧PA に依存するもので
あるため、入力軸回転数が変化を始めるイナーシャ相開
始時(tTA)にて屈曲する2段の勾配、即ち係合側の第
1のスイープアップに対応する比較的急勾配のスイープ
ダウンと、係合側の第2のスイープアップに対応する比
較的緩勾配のスイープダウンからなる。そして、該スイ
ープダウンは、係合側と同様に、入力軸回転変化量ΔN
が、所定回転変化開始判定回転数dNS になるまで続く
(S33)。ついで、解放油圧の変化δPE が設定さ
れ、該油圧変化による勾配でスイープダウンし(S3
4)、該スイープダウンは、解放側油圧PBが0になる
まで続き(S35)、これにより解放側の油圧制御が完
了する。上記ステップS34が解放制御となる。
【0044】ついで、図7、図8及び図9に沿って、前
記係合側油圧制御のフローチャート(図5参照)におけ
るステップ16のサブルーチンであるフィードバック制
御について説明する。
【0045】該フィードバック制御の開始、即ち所定変
速段への変速に係るギヤ比に基づき変化する入力軸回転
数の変化量ΔNが計測可能な所定値dNS 以上になると
(その時の入力軸回転数NTS)、計時開始され(t=
0)(S40)、かつ制御部(ECU)Uの演算サイク
ルがn=0と設定され(S41)、更にこの際の係合側
油圧PA がイナーシャ相開始油圧PINとして格納される
(S42)。そして、予めマップにて設定されている所
定勾配δP1 にて係合側油圧が上記イナーシャ相開始油
圧PINからスイープアップし(S43)、該スイープア
ップは所定時間tIS経過するまで維持される。即ち、入
力軸回転変化開始直後は、該回転数変化率が安定しない
ため、油圧の応答遅れを考慮して、安定するまでの所定
時間tIS、フィードバック制御は行われない。
【0046】上記所定時間tIS経過後、上記油圧変化δ
1 に、制御量となる前記係合側油圧PA が沿うよう
に、検出量としての上記入力軸回転数の回転加速度(変
化量)の目標値(目標回転加速度)ω1及びその上限値
ω1max、下限値ω1minが設定される(S4
5)。該目標回転加速度ω1は、入力軸が回転変化を開
始する回転数NTSが大きくなる程、その絶対値ωA が大
きくなるように設定される。そして、前記入力軸回転数
(ギヤ比)NT に基づき算出された実際の回転加速度
(の極値)ωrと上記目標回転加速度ω1との偏差E
(=ω1−ωr)が算出される(S46)。
【0047】更に、該偏差Eと上記目標回転加速度の上
限値ω1max及び下限値ω1minとが比較判断され
(S47)、また演算サイクルが1回目(n=0)か否
か判断される(S48)。そして、上記偏差Eが目標回
転加速度の所定範囲内(ω1max<E<ω1min)
にある場合、フィードバック量(指令値)PFBは0に設
定される(S49)。上記偏差Eが上記目標回転加速度
の所定範囲内から外れている場合にあって、演算サイク
ルが1回目(n=0)の場合、ステップS50に進み、
該演算サイクルが2回目以降の場合(n≧1)、ステッ
プS51に進む。
【0048】ここで、K1が比例ゲイン、K2及びK4
が微分ゲイン、K3が積分ゲインであり、Δωが上記偏
差Eの微分値とすると、ステップS50、即ち1回目の
演算サイクルにおけるフィードバック指令値PFB
(0)は、 PFBl(0)=K1×E+K2×Δω となる。また、ステップS51、即ち2回目以降の演算
サイクルにおけるフィードバック指令値PFBl(n)
は、 PFBl(n)=l(n−1)+K3×E+K4×Δω となる。なお、lnは、演算サイクルのn回目の累積値
であり、l(n−1)は、前回サイクルまでの〔K3×
E+K4×Δω〕の累積値である。
【0049】即ち、一般式は、 PFBl(n)=K1×E(n)+K2×Δω(n)+l
(n) ln=l(n−1)+K3×E(n)+K4×Δω
(n) ただし、n=0のときK3=K4=0、即ちl(0)=
0、n≧1のときK1=K2=0となる。
【0050】従って、1回目の演算サイクル(n=0)
では、比例ゲインK1及び前記偏差Eに基づく比例
(P)制御動作(K1*E)と、微分ゲインK2及び前
記偏差の微分値(Δω)に基づく微分(D)制御動作
(K2*Δω)とが加算されたPD制御動作により行わ
れ、主に比例(P)制御動作による応答性の高い制御を
行うことにより、変速初期の大きな入力軸回転変化量に
対して目標値への収束性を向上したフィードバック制御
を行うことができる。また、2回目以降の演算サイクル
(n≧1)では、積分ゲインK3及び前記偏差Eの積分
値に基づく積分(I)制御動作(l(n−1)+K3*
E)と、微分ゲインK4及び前記偏差Eの微分値に基づ
く微分(D)制御動作(K4*Δω)とが加算されたI
D制御動作に行われ、主に積分(I)制御動作による滑
らかな制御を行うことにより、ハンチングを防止したフ
ィードバック制御を行うことができる。
【0051】上記各ゲインによるフィードバック指令値
FB(n)は、上記イナーシャ開始時油圧PINからの所
定勾配δP1 に加えられ、更にフィードフォワード制御
による補正油圧ΔTが加えられ、係合側油圧PA [=P
IN+PFB(n)+δP1 +ΔT]が設定される(S5
2)。上記補正油圧ΔTは、変速中にアクセルオンされ
る等により入力トルクが変化した場合、該入力トルクの
変化分を補正するためのものであり、これは、変速中に
入力トルク変化が生じた場合、その変化をフィードバッ
ク制御により補償しようとすると、該フィードバック制
御による油圧の補正量が不充分となり、目標値への収束
性の低下及びハンチング等が生じる虞れがあるためであ
る。
【0052】ついで、演算サイクルnをインクリメント
しつつ(n=n+1)(S53)、各演算サイクル毎に
上記フィードバック制御(S46〜S52)が行われ、
該フィードバック制御は、前記入力軸回転数(ギヤ比)
の変速開始(回転変化開始)からの変化量ΔNがa1
[%]、例えば70[%]まで続けられる(S54)。
上記ステップS40〜S53がイナーシャ相制御とな
り、係合側油圧PA が、上記油圧変化δP1 によるスイ
ープアップに沿うようにフィードバック制御される。
【0053】上記回転変化量ΔNがa1[%]を越える
と、図8に示す終期制御に進む。該終期制御にあって
は、まず、再度目標回転加速度ω2及びその上限値、下
限値が設定される(S56)。この場合、フィードバッ
ク制御の目標値として使用する回転加速度が油圧応答遅
れ等による遅れを含んでいるので、上記終期制御に用い
られる目標回転加速度ω2を演算する場合、予めその遅
れ分(offset)が考慮される。即ち、上記遅れの
割合offsetは、実際の回転加速度ωrの遅れ時間
(経験値)をtD 、変速開始から終期制御が開始される
までの目標変速時間をtE とすると、offset=
(tD /tE )*100[%]により算出される。更
に、所定変速段へのギヤ比に基づく現在の進行割合をR
=[(ΔN*100)/{(NTS/gi )*(gi+1
g)}]とすると、上記目標回転加速度ω2は、 ω2=min{(100−R+offset)/(10
0−a1)、1}*ω1 にて求められる。
【0054】即ち、現在の実際の入力軸回転状態に基づ
く変速完了までの残りの割合(100−R+offse
t)と、予め設定される終期制御開始時の残りの割合
(100−a1)との比と、1とが比較され、その小さ
い方が前記ステップS45にて設定された目標回転加速
度ω1に乗ぜられる。例えば、実際の変速進行割合Rが
76[%]、実験(経験)値による遅れ割合offse
tが5[%]、終期制御開始時の割合a1が70[%]
の場合、 ω2=min{(100−76+5)/(100−70),1}*ω1 =(29/30)*ω1=0.966ω1 となる。
【0055】そして、前記ステップS46と同様に、実
際の回転加速度ωrと上記目標回転加速度ω2との偏差
Eが算出され(S57)、該偏差Eと上記目標回転加速
度の上限値ω2max及び下限値ω2minとが比較判
断され(S58)、前記偏差Eが上記目標回転加速度の
上下限範囲内(ω2max<E<ω2min)にある場
合、フィードバック指令値PFBは0に設定される(S5
9)。更に、前記偏差Eが目標回転加速度の上下限範囲
から外れている場合、前記ステップS51と同様に、前
記イナーシャ相制御に引続く演算サイクルにより、ID
制御動作に基づくフィードバック制御が行われ、主に積
分(I)制御動作による滑らかな制御が行われる(S6
0)。即ち、フィードバック指令値PFBl(n)は、 PFBl(n)=l(n−1)+K3*E+K4×Δω となる。
【0056】更に、該終期制御にあっては、係合側油圧
A のスイープアップ基準値(油圧変化量)δPL が、
前記イナーシャ相制御の際の基準値δP1 より低く設定
されており、前記ステップS52と同様に、フィードバ
ック制御による補正油圧ΔTが加えられ、係合側油圧P
A は、 PA =PIN+PFB(n)+δPL +δP1 +ΔT により設定される(S61)。更に、演算サイクルnを
インクリメントしつつ(n=n+1)(S62)、各演
算サイクル毎に、前記目標回転加速度ω2の設定(S5
6)からの上記フィードバック制御が繰返され、係合側
油圧PA が、前記イナーシャ相制御の基準値δPI より
緩やかなスイープ勾配からなる基準値δPL に沿うよう
にフィードバック制御される。該終期制御によるフィー
ドバック制御は、前記入力軸回転数(ギヤ比)の変速開
始(回転変化開始)からの変化量ΔNがa2[%]、例
えば90[%]まで続けられ(S63)、該回転変化量
がa2[%]を越えると、前記図5のステップ20によ
る完了制御に進む。
【0057】なお、上記終期制御にあっては、入力軸回
転変化も安定しているので、上記フィードバック制御を
行わなくともよく、また終期制御にあっても、前記イナ
ーシャ相制御における目標回転加速度ω1のままで、フ
ィードバック制御を行ってよい。
【0058】図10は、比例(P)ゲインK1と積分
(I)ゲインK3の油温に対する変化を示す図である。
1回目の演算サイクル(n=0)に機能する比例(P)
ゲインK1は、図10(a) に示すように、油温が高い程
小さくなるように設定される。油温が高い場合は、制御
系の応答性がよくなるが、この場合に比例ゲインを高く
すると、目標値への収束性は高くなるとしてもその後に
ハンチングを越す虞れがあり、上記のように比例ゲイン
を設定することにより、ハンチングを防止できる。
【0059】また、2回目以降の演算サイクル(n≧
1)に機能する積分(I)ゲインK3は、図10(b) に
示すように、油温が高い程大きくなるように設定され
る。該積分ゲインに基づく積分(I)制御動作は、演算
サイクル毎に累積されるが、油圧の応答遅れがあると、
積分ゲインによる油圧補正が1回の演算サイクルタイム
では制御しきれなくなり、それがサイクル毎に蓄積され
て油圧が応答するころにはかなり多くの補正が掛ってし
まう。このため、油温が低い場合、即ち制御系の応答性
が悪い場合、積分(I)ゲインK3を高くすると、大き
なハンチングを生じてしまう。従って、この場合、積分
ゲインを小さくして、逆に比例ゲインを大きくすること
で、大きなハンチングを防止することができる。
【0060】図11は、目標回転加速度偏差Eによるフ
ィードバック制御修正量の設定を示す図である。上記偏
差Eの絶対値が大きくなる程、フィードバック制御修正
量は大きくなる、即ち各ゲインK1,K2,K3,K4
が大きくなるが、その際偏差の正負によって修正量(油
圧補正量)を変更している。クラッチツークラッチによ
る油圧制御にあっては、クラッチを係合する側、即ち油
圧を上昇する側が変速を進行する方向で安全側となる。
上記偏差Eが正の場合、即ち目標回転加速度ωが実際の
回転加速度より大きい場合、係合側油圧を上げる側にフ
ィードバック制御するが、この場合の偏差に対する油圧
修正量の勾配を、下げ側にフィードバック制御する偏差
Eの負側に比して大きく設定する。これにより、油圧を
下げる方向に大きなフィードバック制御することによ
り、変速の進行が妨げられたり又は遅くなったりするこ
とが防止される。
【0061】なお、上記実施例にあっては、演算サイク
ルの1回目のみ比例ゲインK1に基づく比例(P)制御
動作を行い、2回目以降積分ゲインK3に基づく積分
(I)制御動作によりフィードバック制御しているが、
これに限らず、例えば2回目までは比例制御動作で、3
回目以降積分制御動作を行うようにしてもよいことは勿
論であり、更に演算サイクルの増加に伴い、比例ゲイン
を徐々に低下させると共に積分ゲインを徐々に上げるよ
うにしてもよく、要は、変速初期にあっては主に比例
(P)制御動作が機能し、その後の変速進行により比例
制御動作から主に積分(I)制御動作が機能するように
変更するものであれば、本発明の技術的範囲に含まれ
る。また、上記実施例にあっては、係合側油圧を主体と
するアップシフト変速について説明したが、これに限ら
ず、解放側油圧を主体とするダウンシフト変速(特開平
9−296862号公報、特開平9−170654号公
報参照)における解放側油圧のフィードバック制御にも
同様に適用し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子制御部を示すブロック図。
【図2】本発明に係る油圧回路の概略を示す図。
【図3】パワーオン・アップシフト変速におけるギヤ比
に基づく入力軸回転数、係合側油圧及び解放側油圧のタ
イムチャート。
【図4】アップシフトの係合側油圧の制御を示すフロー
チャート。
【図5】図4の続きを示すフローチャート。
【図6】アップシフトの解放側油圧の制御を示すフロー
チャート。
【図7】本発明に係るフィードバック制御を示すフロー
チャート。
【図8】図7の続きを示すフローチャート。
【図9】上記フィードバック制御による入力軸回転数、
加速度、フィードバック指令値のタイムチャート。
【図10】比例ゲイン及び積分ゲインの設定を示す図。
【図11】フィードバック制御修正量の設定を示す図。
【符号の説明】
U 制御部 1 フィードバック制御手段 1a 比例(P)制御動作 1b 積分(I)制御動作 1c 微分(D)制御動作 2〜7 センサ 9,10 油圧サーボ K1 比例ゲイン K2,K4 微分ゲイン K3 積分ゲイン n 演算サイクル ω1 目標変化量(目標回転加速度) ω2 終期制御の目標変化量(回転加速度) ωr 実際の変化量(ギヤ比に基づき変化する入力
軸回転数の回転加速度) tIS 所定時間 ΔT 油圧を補正する手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16H 59:72 F16H 59:72 (72)発明者 斎藤 正雄 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 西田 正明 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−233091(JP,A) 特開 昭60−249759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン出力軸からの動力が入力される
    入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と
    出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合
    要素と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サー
    ボと、該油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段と、
    変速の進行時に変化する実際の変化量が目標変化量に合
    致するように、前記油圧制御手段に制御信号を出力する
    フィードバック制御手段と、を備えてなる自動変速機の
    油圧制御装置において、 前記フィードバック制御手段は、少なくとも前記目標変
    化量と実際の変化量との偏差及び比例ゲインに基づく比
    例制御動作と、上記偏差の積分値及び積分ゲインに基づ
    く積分制御動作と、を有し、前記変速の進行の初期段階
    では主に前記比例制御動作を機能し、その後の変速の進
    行により該比例制御動作から主に前記積分制御動作が機
    能するように変更してなり、 前記比例ゲインは、油温が高い程小さく設定され、かつ
    前記積分ゲインは、油温が高い程大きく設定されてな
    る、 ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記フィードバック制御手段は、前記実
    際の変化量を演算サイクル毎に検出して前記制御信号を
    出力し、該制御信号を出力する1回目の演算サイクルで
    は、前記比例制御動作を機能し、2回目以降の演算サイ
    クルでは、前記積分制御動作を機能してなる、 請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 前記フィードバック制御手段は、前記偏
    差の正負により、前記油圧補正量が異なる制御信号を出
    力してなる、 請求項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 【請求項4】 前記フィードバック制御手段は、前記変
    速の進行を開始した所定時間後、フィードバック制御信
    号を出力してなる、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記フィードバック制御手段は、変速中
    の入力トルク変化に対して油圧を補正する手段を有す
    る、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
  6. 【請求項6】 前記フィードバック制御手段は、前記比
    例制御動作及び積分制御動作にそれぞれ微分制御動作が
    付加されてなる、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
  7. 【請求項7】 前記変速の進行時に変化する変化量は、
    所定変速段への変速に係るギヤ比に基づき変化する入力
    軸回転数の回転加速度である、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の摩擦係合要素の内の第1の摩
    擦係合要素を係合すると共に、第2の摩擦係合要素を解
    放することにより所定変速段への変速制御を行い、 前記油圧制御手段は、前記第1及び第2の摩擦係合要素
    のいずれか一方の油圧サーボに作用する油圧を主体とし
    て、他方の油圧サーボに作用する油圧を制御し、 前記フィードバック制御手段は、前記主体となる一方の
    油圧サーボに作用する油圧を制御すべく制御信号を出力
    してなる、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
  9. 【請求項9】 前記フィードバック制御手段は、前記変
    速の進行が所定割合を越えない状態におけるイナーシャ
    相制御と、前記所定割合を越えた状態における終期制御
    とに亘って行われ、 前記終期制御にあっては、前記目標変化量が実際の変化
    量の遅れを加味して設定されてなる、 請求項1ないしのいずれか記載の自動変速機の油圧制
    御装置。
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