JP3975665B2 - 自動車の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン及び自動変速機を搭載した自動車の変速制御装置において、
変速中のエンジン出力トルク制御に関し、詳しくは、例えばアップシフトのリダクション制御に続いてダウンシフトのリダクション制御を行う状態でスロットル変化が行われる場合に対応するエンジン出力トルク制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パワーオン・ダウンシフト変速は、走行中にトルクが不足し、運転者がアクセルペダルを踏み込むこと、即ちもっとトルクを要求することにより行われる。
【0003】
従来、該パワーオン・ダウンシフト変速において、エンジン出力トルクを調整する制御装置が、例えば特公平7−59904号公報にて提案されている。このものは、タービン(変速機入力軸)回転数が、予想収束回転数(変速後回転数)より所定量低く設定した基準回転数に達した時点でこれを検出し、該時点から、燃料噴射量を減少方向に補正することによりエンジン出力トルクを低下させる。そして、この場合の燃料補正量、即ちエンジン出力トルクの低下補正量をタービン回転数の上昇量(変化量)に応じて設定し、該エンジン出力トルクの低下は、上記タービン回転数の予想収束回転数まで一定に維持して、リダクション制御が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記エンジン出力トルク低下補正量(リダクション制御によるエンジンコントロール量)は、所定時点でのタービン回転数上昇量に基づき設定される一定の値である。そのため、ダウンシフト変速にあっては、特にアップシフト中にアップシフトのトルクリダクション制御している状態でダウンシフトが行われ、更にスロットルがドライバーにより更に踏まれる、即ち変速中のスロットル変化が行われた場合に、実際のエンジン出力トルクの限界を越えて低い値としてリダクション制御されてしまう。すると、エンジン出力トルク復帰に際してのスイープアップ時に実際のエンジン出力トルクを該低い値により制御してしまい、リダクション制御されたエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの間に大きな差異を生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、リダクション制御されたエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの差異をなくしてエンドショックを解消し、シフトフィーリングを向上させた自動車の変速制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、エンジンと、該エンジン出力からの入力回転を、複数の摩擦係合要素を断・接することにより伝達経路を切換えて変速し、該変速された回転を車軸に出力する自動変速機と、を備え、該自動変速機を所定変速してなる、自動車の変速制御装置において、
前記所定変速であるダウンシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するダウンシフトエンジン制御手段(1d)と、前記所定変速であるアップシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するアップシフトエンジン制御手段(1e)と、を有するエンジン制御手段(1c)と、
前記エンジンの実際の出力トルク(T)を検出する実トルク検出手段(1g)と、
前記リダクション制御によるエンジン出力トルクを、前記実トルク検出手段(1g)により検出された前記エンジンの実際の出力トルク(T)に一致させる一致制御手段(1f)と、を備え、
前記アップシフトエンジン制御手段(1e)によるリダクション信号が出力されている状態で、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)によるリダクション信号(T)が出力された際にあって、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)のリダクション信号(T )によるエンジン出力トルクのスイープアップを開始する時点(S55)で、前記一致制御手段(1f)により、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)のリダクション信号(T )によるエンジン出力トルクを前記実際のエンジン出力トルク(T)と差異がないように一致させ(S57)、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)は、前記一致させた前記エンジン出力トルクからスイープアップ(dT1)を開始することを特徴とする、
自動車の変速制御装置にある。
【0007】
請求項2に係る本発明は、エンジンと、該エンジン出力からの入力回転を、複数の摩擦係合要素を断・接することにより伝達経路を切換えて変速し、該変速された回転を車軸に出力する自動変速機と、を備え、該自動変速機を所定変速してなる、自動車の変速制御装置において、
前記所定変速であるダウンシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するダウンシフトエンジン制御手段(1d)と、前記所定変速であるアップシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するアップシフトエンジン制御手段(1e)と、を有するエンジン制御手段(1c)と、
前記エンジンの実際の出力トルク(T)を検出する実トルク検出手段(1g)と、
前記リダクション制御によるエンジン出力トルクを、前記実トルク検出手段(1g)により検出された前記エンジンの実際の出力トルク(T)に一致させる一致制御手段(1f)と、を備え、
前記アップシフトエンジン制御手段(1e)によるリダクション信号が出力されている状態で、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)によるリダクション信号(T)が出力された際にあって、前記ダウンシフトの完了制御を開始する時点(S54のYES)で、前記一致制御手段(1f)により、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)のリダクション信号(T )によるエンジン出力トルクを前記実際のエンジン出力トルク(T)と差異がないように一致させ(S57)、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)は、前記一致させた前記エンジン出力トルクからスイープアップ(dT1)を開始することを特徴とする、
自動車の変速制御装置にある。
【0009】
請求項に係る本発明は、前記ダウンシフトエンジン制御手段(1d)は、目標値(NTA)に対して、前記エンジンから前記自動変速機に供給されるトルクの余分量及び不足量を検出・演算するトルク差検出手段(1b)を有し、該トルク差検出手段(1b)に基づき演算されたトルクが余分な場合、前記エンジンからの出力トルクの基準値(Tca)に対して該余分なトルクを減じるように、また前記演算されたトルクが不足する場合、前記基準値に対して該不足するトルクを加えるように、制御してなる、
請求項1または2記載の自動車の変速制御装置にある。
【0011】
[作用]
以上構成に基づき、目標値に対するエンジンからの出力トルクの差、即ちエンジンから自動変速機へ供給されるエネルギの差は、例えば計算に基づく入力軸回転数(NTA)と、センサ5による実際の入力回転数(N又はN)の差(ΔNd)に加速度ゲイン及びエンジンイナーシャを乗じて求められる(S53)。パワーオンダウンシフト変速にあって、変速が所定量(a1[%])進行した時点でのエンジン出力トルク基準値、例えば上記所定量進行した時点での入力軸回転数加速度(dN)に基づき設定されるリダクション量(Tca)に(S51)、上記エネルギの差に基づく補正値が加減されて、エンジン出力トルクが制御される(S53)。そして、該トルクリダクション制御の状態で、例えばダウンシフトによる変速が達成された時点で(解放側完了制御開始)(S54)、トルクリダクション信号(Tによるエンジン出力トルクが実トルク検出手段(1g)に基づく実際のエンジン出力トルク(T)に一致される(S57)。その後、例えば所定時間(t2)でリダクション量(Tca)がスイープアップされる。
【0012】
例えば、アップシフト中にダウンシフトする際にスロットル変化が行われた場合、まず、アップシフトエンジン制御手段(1e)からのトルクリダクション信号(T)に続いてダウンシフトエンジン制御手段(1d)からのトルクリダクション信号(T)によりトルクリダクション制御される。該トルクリダクション制御中にスロットル開度(θd)が上昇すると、トルクリダクション信号(T)の限界を越えて実際のエンジン出力トルク(T)が上昇する。すると、リダクション信号(Tによるエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルク(T)に差異が生じる。そこで、一致制御手段(1f)は、リダクション信号(Tによるエンジン出力トルクを実トルク検出手段(1g)により検出された実際のエンジン出力トルク(T)に一致させる。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、理解の容易・迅速化を図る便宜的なものであり、これにより特許請求の範囲の構成に何等影響を与えるものではない。
【0014】
【発明の効果】
請求項1の本発明によると、アップシフトのトルクリダクションとダウンシフトのトルクリダクションとにより、トルクリダクション信号によるエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの差異が大きく生じる場合であっても、エンジンコントロール量のスイープアップを開始する時点で、一致制御手段により、エンジン制御手段のリダクション信号によるエンジン出力トルクを実際のエンジン出力トルクに一致させ、一致させたエンジン出力トルクからスイープアップを開始するので、変速中にスロットル変化が行われることにより生じるトルクリダクション信号によるエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの差異が引き起こす出力トルクの引き込み感(ブレーキ作用感)を防止することができる。また、リダクションのスイープアップを実際のエンジン出力トルクに合わせて行うことができ、変速のエンドショックを防止して、シフトフィーリングを向上することができる。
【0015】
請求項2の本発明によると、アップシフトのトルクリダクションとダウンシフトのトルクリダクションとにより、トルクリダクション信号によるエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの差異が大きく生じる場合であっても、ダウンシフトの完了制御を開始する時点で、一致制御手段により、エンジン制御手段のリダクション信号によるエンジン出力トルクを実際のエンジン出力トルクに一致させ、一致させたエンジン出力トルクからスイープアップを開始するので、変速中にスロットル変化が行われることにより生じるトルクリダクション信号によるエンジン出力トルクと実際のエンジン出力トルクとの差異が引き起こす出力トルクの引き込み感(ブレーキ作用感)を防止することができる。また、リダクションのスイープアップを実際のエンジン出力トルクに合わせて行うことができ、変速のエンドショックを防止して、シフトフィーリングを向上することができる。
【0017】
請求項の本発明によると、ダウンシフト変速に際して、目標値より余分なエネルギがエンジンから供給されてエンジン吹きが生じる状況では、該余分なエネルギに相当するトルクをエンジン出力トルク基準値から減じるので、エンジン吹きに起因する出力トルクのピークを抑えて、シフトショックを低減することができ、またタイアップ等によりエンジンからのエネルギが不足する状況では、該不足エネルギに相当するトルクをエンジン出力トルク基準値に加えるので、タイアップ等による出力トルクの落ち込みを抑えて、引き込み感(ブレーキ作用感)を減少して、シフトフィーリングを向上することができる。更に、変速中のスロットル変化によりトルクリダクション信号と実際のエンジン出力トルクとの差異が生じる状況では、該トルクリダクション信号と該実際のエンジン出力トルクを一致させてからエンジンの制御を解除するので、出力トルクの引き込み感(ブレーキ作用感)を防止して、シフトフィーリングを向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本自動変速機は、多数のクラッチ又はブレーキ等の摩擦係合要素を有し、これら摩擦係合要素を適宜断・接することによりプラネタリギヤの伝動経路が選択される自動変速機構(図示せず)を備えており、該自動変速機構の入力軸が、エンジン出力軸にトルクコンバータを介して連結しており、またその出力軸が駆動車輪に連結している。具体的には、本自動変速機は、特開平9−21448号公報に開示されている前進5速、後進1速のものに適用される。
【0020】
図1は、電気制御系を示すブロック図であり、1は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(ECU)で、エンジン回転センサ2、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するアクセルペダル開度センサ3、実際のエンジンにおけるスロットル開度を検出するセンサ4、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回転数(=タービン回転数)を検出するセンサ5、車速(=自動変速機出力軸回転数)センサ6及び油温センサ7からの各信号が入力しており、またエンジンのスロットルを制御する電子スロットルシステム(エンジン操作手段)8及び油圧回路のリニアソレノイドバルブ(調圧手段)SLS及びSLUに出力している。前記制御部1は、前記リニアソレノイドバルブSLS又はSLUに調圧信号を発信する油圧制御手段1a及び前記電子スロットルシステム8にスロットル開度指令を発信するエンジン制御手段1cを備えており、更に、該エンジン制御手段1cは、ダウンシフトの場合にエンジンに燃料噴射量調整によるトルクリダクションを行うダウンシフトエンジン制御手段1d、及びアップシフトの場合にエンジンに燃料噴射量調整等によるトルクリダクションを行うアップシフトエンジン制御手段1eを備えている。エンジン制御手段1cには、自動変速機(走行系)に入力されるエネルギを検出・演算して、エンジン吹きが生じるようなエンジンから自動変速機に供給されるエネルギが目標値より大きい状況の場合、リダクション信号によるエンジン出力トルク(以下、「エンジンコントロール量」ともする。)が、上記演算されたエネルギに相当するトルクを減少する方向に補正し、またタイアップ等によりエンジンから自動変速機に供給されるエネルギが目標値より不足するような状況の場合、リダクション信号によるエンジン出力トルクが、上記演算したエネルギに相当するトルクを加える方向に補正するトルクリダクション信号を出力するトルク差検出手段1bを有している。更に、制御部1は、実際のエンジン出力トルクを検出する実トルク検出手段1gと、該実トルク検出手段1gにより検出された実際のエンジン出力トルクに前記ダウンシフトエンジン制御手段1dに基づくトルクリダクション信号を一致させる一致制御手段1fと、を備えている。
【0021】
図2は、油圧回路の概略を示す図であり、前記油圧制御手段1aを構成する2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進4速又は5速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ9、10を有している。また、前記リニアソレノイドバルブSLS及びSLUの入力ポートa ,a2 にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートb1 ,b2 からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ11,12の制御油室11a,12aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ11,12は、ライン圧がそれぞれ入力ポート11b,12bに供給されており、前記制御油圧にて調圧された出力ポート11c,12cからの調圧が、それぞれシフトバルブ13,15を介して適宜各油圧サーボ9,10に供給される。
【0022】
なお、本油圧回路は、基本概念を示すためのものであって、各油圧サーボ9,10及びシフトバルブ13,15は、象徴的に示すものであり、実際には、自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられており、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。
【0023】
ついで、図3に沿って、パワーオン・ダウンシフトについて説明するに、まず図4及び図5に基づき、解放側油圧PAの制御について説明する。なお、具体的には、運転者がアクセルペダルを踏込んでトルクを要求するダウンシフト(キックダウン)であって、4−2変速する状態を示し、従って解放側摩擦係合要素は、C3クラッチであって、その油圧サーボの油圧PAは、(調圧専用)リニアソレノイドバルブSLSにて調圧制御される。
【0024】
スロットル開度センサ3及び車速センサ6からの信号に基づき、制御部1はマップによりダウンシフトを判断すると、該変速判断から所定遅れ時間後、計時が開始されて変速制御が開始される(S1)。該開始時点(t=0)にあっては、解放側油圧PAが係合圧となっており、解放側摩擦係合要素が係合した状態にある。そして、入力トルクTtの関数により解放側トルクTA が算出される(S2)。該入力トルクTtは、マップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータの入出力回転数から速度比を計算し、該速度比によりマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。更に、該入力トルクにトルク分担率等が関与して上記解放側トルクTA が求められる。
【0025】
該解放側トルクTA から解放側の待機係合圧Pwが算出され(S3)、解放側油圧PAが該待機係合圧Pwになるようにリニアソレノイドバルブに制御信号を出力し(S4)、該入力トルク等に基づく解放側油圧の制御が所定時間tw経過するまで続行する(S5)。上記ステップS2からS4までが待機制御となるが、該待機制御時間twは、入力トルクTtにより変更される。
【0026】
そして、所定解放側油圧PAS及び上述と同様に解放側トルクTA が算出され(S7,S8)、更に該解放トルクTA に基づき目標油圧PTAが算出される(S9)。更に、余裕率(タイアップ度合)S11,S21により、ドライブフィーリングを考慮して解放側目標油圧PTAが算出される(S10)。なお、上記余裕率は、油温の相違により選択される多数のスロットル開度・車速マップにて求められるものであり、一般にS11>1.0,S21>0.0からなる。
【0027】
更に、予め設定された時間tTAにより、前記目標油圧PTAまでの勾配が、[(PAS−PTA)/tTA]により設定され、該勾配によりスイープダウンが行なわれる(S11)。即ち、パワーオン状態にあっては、比較的急な勾配からなるスイープダウンが行なわれ、解放側油圧PAが前記イナーシャ相開始時直前の目標油圧PTAになるまで続く(S12)。ついで、解放側油圧変化δPTAが、関数[δPTA=fδPTA (ωa)]に基づき算出される(S13)。なお、上記ωaは、出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)Nの回転変化開始時における目標とする目標入力軸回転変化率(目標回転加速度)である。そして、該油圧変化δPTAによる勾配で(第2の)スイープダウンが行なわれ(S14)、該スイープダウンは、パワーオン状態にあっては、変速開始前の入力軸回転数NTSから、所定精度で回転変化量ΔNが検出される変速開始判定回転数まで続行される(S15)。上記ステップS7〜S14が初期変速制御であり、解放側摩擦係合要素はそのトルク容量を減じるが、変速は進行していない。
【0028】
ついで、予め設定された比較的低い勾配からなる所定油圧変化δPI による勾配にてスイープダウンする(S16)。該スイープダウンは、パワーオン状態にあって、解放側油圧PAが前記戻しスプリングの荷重圧より大きい場合、即ち解放側油圧サーボのトルク容量が0とならない場合、変速開始(回転変化開始)から変速完了するまでの全回転数変化量のaF[%]、即ち所定変速進行度まで行なわれる(S18)。なお、上記変速進行度は、回転変化開始時の入力軸回転数をNTS、該回転変化開始時から現在までのギヤ比に基づく入力軸回転数の変化量(一定回転による出力軸回転数に対する入力軸回転数の変化量)をΔN、変速前ギヤ比をgi 、変速後ギヤ比をgi+1 とすると、
[(ΔN×100)/(NTS/gi )・(gi+1 −gi )]
にて求められる。上記勾配δP1 でのスイープダウンが、イナーシャ相制御となり、ギヤ比に基づく入力軸回転数Nt の変化が開始される。
【0029】
そして、入力軸回転数Nt の変化が安定する所定変速進行度aF[%]、例えば20[%]が経過すると、ダウンシフトフィードバック制御(S20)が行なわれる。該フィードバック制御は、実際の入力軸(タービン)回転数変化率(加速度)と、目標とする入力軸回転数の変化率との差が最小となるようにそれぞれの変速進行段階にて制御される。この際、トルクコンバータの速度比に基づき、上記制御の各段階にて設定されるゲインを補正するようにしてもよい(特願平10−316621号参照)。該フィードバック制御は、変速進行度が上記ダウンシフト完了となるギヤ比の全回転変化回転数近傍のa2[%]、例えば90[%]まで続けられる(S21)。なお、後述する係合側油圧の制御との関係でサーボ起動制御時間tSEの終了まで(S23)、かつ係合側油圧PBが目標油圧PTBより大きくなるまで(S24)は、前記フィードバック制御(S20)は続行される。該ステップS20が、フィードバック制御となる。
【0030】
そして、上記a2[%]までの変速が終了すると、比較的急勾配からなる所定油圧変化δPFAが設定され、該勾配にてスイープダウンを行い(S25)、解放側油圧PAが0になることによりダウンシフト時の解放側油圧制御が完了する(S26)。上記ステップS25が完了制御となる。
【0031】
ついで、図6及び図7のフローチャート及び図3のタイムチャートに沿って、ダウンシフトにおける係合側油圧PBの制御について説明する。なお、具体的には、上述したように4−2ダウンシフトであり、従って係合側摩擦係合要素は、B5ブレーキであって、その油圧サーボの油圧PBは、(ロックアップ制御用)リニアソレノイドバルブSLUにて調圧制御される。
【0032】
まず、制御部1からのダウンシフト指令に基づき計時が開始され(S30)、係合側油圧PBが所定圧PS1になるように所定信号をリニアソレノイドバルブSLUに出力する(S31)。該所定圧PS1は、油圧サーボの油圧室を満たすために必要な油圧に設定されており、所定時間tSA保持される。該所定時間tSAが経過すると(S32)、係合側油圧PBは、所定勾配[(PS1−PS2)/tSB]でスイープダウンし(S33)、係合側油圧PBが所定低圧PS2になると(S34)、該スイープダウンが停止され、該所定低圧PS2に保持される(S35)。該所定低圧PS2は、ピストンストローク圧以上でかつ入力軸の回転変化を生じさせない圧に設定されており、該所定低圧PS2は、計時tが所定時間tSE経過するまで保持される(S36)。上記ステップS31からS36までがサーボ起動制御となる。
【0033】
ついで、係合側トルクTB が解放側油圧PA及び入力トルクTtの関数[TB =fTB(PA,Tt)]により算定され(S37)、更に前記余裕率を勘案して、係合側トルクTB が、[TB =S1D×TB +S2D]にて算出される(S38)。そして、該係合側トルクTB から係合側油圧PBが算出される[PB=fPB(TB )](S39)。上記ステップS37〜S39が係合制御となる。そして、上記ステップS39による係合側入力トルクTB (解放側油圧PA及び入力トルクTtに依存する)に基づく係合側油圧PBによる制御が、ダウンシフトの全変速進行度のa1[%]、例えば70[%]まで続く(S40)。即ち、NTSを変速開始時の入力軸回転数、ΔNを回転変化量、gi を変速前ギヤ比、gi+1 を変速後ギヤ比とすると、
[(ΔN×100)/(NTS/gi )・(gi+1 −gi )]がa1[%]になるまで続けられる。
【0034】
ステップS40にて、上記全変速進行度のa1[%]を越えると、終期制御に入る。まず、係合側入力トルクTB から係合側目標圧PTBが算出され(S41)、また上記回転変化量a1[%]時点での係合側油圧PBがPLSB として記憶される(S42)。これにより、予め設定されている所定時間tLEにより、所定勾配[(PTB−PLSB )/tLE]が算出され、比較的緩い該勾配にてスイープアップされ(S43)、該スイープアップは、係合側油圧が上記目標油圧PTBに達するまで続けられる(S44)。更に、所定勾配δPLBが設定され、該勾配にてスイープアップする(S46)。該スイープアップは、変速進行度がa2[%]、例えば90[%]まで続行する(S47)。上記ステップS41からS46までが終期制御となる。
【0035】
更に、終期制御の終了時間tF を設定し(S48)、比較的急な勾配δPFBを設定して該勾配にてスイープアップし(S49)、該スイープアップは、完了制御時間tFE続けられる(S50)。該勾配δPFBのスイープアップは、パワーオンの場合、ステップS25による解放側油圧δPFAに合せて急勾配にて設定される。上記ステップS48,S49が完了制御となる。
【0036】
ついで、図8、図9に沿って、本発明の主要部であるエンジントルク制御について説明する。前述したように、解放側油圧PAのフィードバック制御(S20)により入力軸回転数Nt が上昇し、該入力回転数の制御開始時(NTS)からの変化量ΔNが予め設定された前記所定値a1[%]、例えば70[%](S40参照)に達すると、即ち専ら解放側油圧PAによる変速の進行が終了に近づいて、係合側油圧PBが、係合制御から終期制御に移行する近傍状態になると、エンジンのトルクリダクション制御が作動する(S50)。トルクリダクションのタイミングを常に一定にすると、変速開始時の回転数が大きい場合、即ち変速中の回転変化量が大きい場合、解放側摩擦係合要素の発生する発熱量も大きくなるため、トルクリダクションのタイミングが遅れると、摩擦材の耐久性を損ねる虞れがあるが、本エンジントルク制御では、上述したようにトルクリダクションの開始時点が、変速制御開始時の入力回転数NTS(ΔN=0)に基づき設定されるので(ΔN≧a1)、高車速から低車速まで解放側摩擦係合要素の耐久性の低下を防止できる。
【0037】
そして、上記所定値a1[%]における入力回転数の変化率即ち加速度dN1 を算出し、該変化率に基づき、例えば正比例関数等の所定関係によりトルクリダクション量Tcaを算出する(S51)。更に、該時点でのリダクション信号によるエンジン出力トルクのコントロール量Tc を0に仮想・設定した後(S52)、該コントロール量が制御される。該エンジン出力トルクのコントロール量Tc は、エンジン吹き等により余分に供給されたエネルギ又はタイアップ等による不足するエネルギ(出力トルク)を演算して補正量として、前記入力軸回転数の変速進行度が所定値a1にて設定されたトルクリダクション量Tcaから上記演算された補正量が減ぜられて算出される(S53)。即ち、入力軸回転数Nt の実際の回転数を入力軸回転数センサ5により検出し、該実際回転数(図9に、吹きによる上昇側をNU と表記し、タイアップによる下降側をND と表記する)と、車速センサ6、変速段ギヤ比(4−2速ギヤ比)及びスロットル開度センサ3等による入力トルク等に基づき算出された目標入力軸回転数(ギヤ段に基づく回転変化開始から完了までの直線的な線)NTAとの差ΔNdを演算する。なお、トルククリダクション量に対して上昇側NU との差ΔNd1 がプラス側として作用し、下降側ND との差ΔNd2 がマイナス側として作用する。そして、上記回転差ΔNd[=NTA−NU (又はND )]に、加速度ゲイン及びエンジンイナーシャ量を乗じて、エネルギ(即ち係数により出力トルク)に変換され、該時点でのエンジンから供給される目標エネルギと実際に供給されるエネルギとの差に相当するトルク差が算出され、該値を、前記設定されたトルクリダクション量Tcaから減ぜられてエンジンコントロール量Tc が算出される。
【0038】
そして、上記ステップS53によるエンジンからのエネルギ差に基づくトルクリダクション量Tcaの補正は、前記変速進度がa1[%]になった時点からの経過時間tE が予め設定された所定時間t1 を経過するまで、繰返し行われる。該所定時間t1 は、解放側油圧PAのフィードバック制御(前記ステップS20)及び係合側油圧PAの終期制御(前記ステップS46)の終了時、即ち入力軸回転数の変速進行度ΔNが前記a2[%](前記ステップS21,S27、例えば90[%])に達して、ダウンシフト変速が略々達成されて入力軸回転数が低速側(2速)ギヤ段になった時点又は加速による入力軸回転数の上昇を考慮して安定した時点に略々対応するように設定されており、上記エンジンコントロール制御の開始からの時間tE が上記所定時間t1 を経過すると(tE >t1 )、上述したエンジンの供給エネルギに基づく補正制御が停止されると共に、前記解放側油圧PA(及び係合側油圧PAも)は、完了制御(前記ステップS24,S48)が開始される(S54)。
【0039】
一方、上述のエンジンコントロール量TC に基づいてリダクションが行われている間である変速進行中にも、例えばドライバーにより更にアクセルが踏まれる、即ちふみましが行われる場合がある。この際、実際のエンジン出力トルクは、入力回転数の変化量よりの演算に基づいたリダクション量Tcaの限界を越えて該実際のエンジン出力トルクが復帰していく。そのため、リダクション量Tcaにより補正された後のエンジンコントロール量TC と実際のエンジントルクとの差異が生じている(詳しくは後述する)。そこで、トルクリダクション信号(即ち、エンジンコントロール量TC )を実際のエンジン出力トルクに対応させるために一致させる(S57)。
【0040】
そして、エンジンコントロール量Tc は、上記ステップS53にて補正されたリダクション量が予め設定された時間t2 によりスイープアップされ(S55)、エンジン出力変化の激変を回避しつつ、エンジン出力は、運転者のアクセルペダル開度センサ3に基づく通常の値に復帰して(S56)、エンジントルク制御は終了する。
【0041】
自動変速機の出力トルクTO は、解放側油圧PAのフィードバック制御により、ダウンシフト(例えば4−2変速)が完了に近づくまでは略々一定の値に保持されるが、入力軸回転数Nt が上昇し、上記ダウンシフトによる低速側ギヤ段(例えば2速)への回転数に近づくと、比較的急激に上昇してダウンシフト後のトルク値に収束するまで過度上昇してピークトルクを生じ易い傾向にある。そこで、ダウンシフト終了前の所定変速進行時(ΔN=a1[%])において、エンジンからの出力をその時点での入力軸加速度dN1 により算出したリダクション量Tcaにて減少する。これにより、上記出力トルクによるピークトルクの発生が抑えられている。
【0042】
しかしながら、係合側油圧PBの終期制御(S41〜S46)が遅れたり、又は解放側油圧PAのフィードバック制御(S20)のミスにより解放側及び係合側の同期タイミングが遅れる方向にずれたりして、エンジン吹きが生じる場合があるが、このような場合、上記一定値のトルクリダクション量Tcaでは間に合わず、出力(アウトプット)トルクTO は、細い一点鎖線で示すように、大きな吹きを生じて大きなシフトショックを発生する。そこで、本発明にあっては、入力軸の目標回転数NTAと実際の回転数NU との差ΔNd1 に基づき演算される余分なエネルギに相当するトルクが、上記リダクション量Tcaに対して加算され、エンジントルクTc は、一点鎖線で示すように、上記リダクション量Tcaが大きくなるように補正され、エンジン吹きの原因となるエンジンからのエネルギ供給を減少し、これにより出力(アウトプット)トルクTO は、太い一点鎖線で示すように、上昇側ピーク量が低くなる。
【0043】
一方、解放側摩擦係合要素のトルク容量が下がり切らない内に係合側摩擦係合要素のトルク容量が増加してタイアップを生じたり、又は上記解放側油圧のフィードバック制御(S20)ミスにより解放側及び係合側の同期タイミングが変速前ギヤ段側(ギヤ比が成立しない側)にずれたりして、エンジンから供給されるエネルギが過度に消費されると、上記一定値のトルクリダクション量Tcaではエネルギの供給不足となり、出力(アウトプット)トルクTO は、細い点線で示すように、過度の落ち込みを生じて、運転者にブレーキがかかるような不快感を与える。そこで、本発明にあっては、入力軸の目標回転数NTAと実際の回転数NDとの差ΔNd2 に基づき演算される不足エネルギに相当するトルクが、上記リダクション量Tcaから減ぜられ、エンジントルクTc は、点線で示すように、リダクション量が小さくなるように補正され、上記不足エネルギを補って、これにより出力(アウトプット)トルクTO は、太い点線で示すように、トルクの落ち込みを減少する。
【0044】
次に、例えばふみましにより発生するエンジンコントロール量TC と実際のエンジン出力トルクとの差異をなくして一致させる制御(S57)について説明する。
【0045】
図10は、例えばスロットル低開度のアップシフトからダウンシフトを行う際を示すタイムチャートである。図10に示すように、運転者が路面状況等によりトルクを望み、即ちドライバリクエストトルクDrが変速進行中に上昇すると、アクセルが踏まれてスロットル開度θdも追従して上昇する。図中下方の解放側油圧PA及び係合側油圧PBにより示すように、アップシフト中(例えば3−4変速中)に上述のようにアクセルが踏まれ、ダウンシフト(例えば4−3変速)がマップに基づき制御部1により判断され、ダウンシフトが指令される。即ち、アップシフト進行区間A1のアップシフトに続きダウンシフト進行区間A2のダウンシフトが行われる。すると、上記アップシフト進行区間A1では、アップシフトのエンジントルクリダクション制御が行われ、続いて上記ダウンシフト進行区間A2では、ダウンシフトのエンジントルクリダクション制御が行われる。この際、実際のエンジン出力トルクTE は、エンジン回転数センサ2及び実際のスロットル開度センサ(エンジン)4等に基づき演算されて検出されている。そして、該実際のエンジン出力トルクTE は、上記アップシフトトルクリダクション制御の開始X1時点から、該トルクリダクション信号に沿うように降下する。しかし、アクセルペダル開度センサ(ドライバ)3によるスロットル開度θdに基づくドライバリクエストトルクDrは、上記ダウンシフトを要求することに基づき急激に上昇しており、上記トルクリダクション制御に基づくエンジン出力トルク信号と大きく離れており、実際のエンジン出力トルクは、エンジン側からの制御に基づき、上記ドライバリクエストトルクDrまでは行かないが、ダウンシフトが開始される時点X2から上記ドライバリクエストトルクDrに引張られるように上昇する。
【0046】
一方、前述したダウンシフトのエンジントルクリダクション制御により、前記トルクリダクション信号TC は出力されており、該エンジンコントロール量TC は図中において実際のエンジン出力トルクTE より下方の一点鎖線のように演算しているので、上述したリダクション量Tcaによる所定時間t1 の補正制御が終了した時点(解放側油圧PAのフィードバック制御及び係合側油圧PBの終期制御が終了した、即ち完了制御の開始時点)では、実際のエンジン出力トルクTE 1とトルクコントロール量TC 1との間に大きな差異Dが生じる。なお、上述の変速制御例は、スロットル低開度の状態のアップシフトからスロットル高開度のダウンシフトが行われるので、実際のエンジン出力トルクTE 1とトルクコントロール量TC 1との間に、特に大きな差異を生じてしまう。
【0047】
ここで、例えば、実際のエンジン出力トルクTE 1とトルクコントロール量TC 1(図中矢印D)の差異をそのままにスイープアップを行うと(S55)、エンジンコントロール量TC は演算式に基づいて図中一点鎖線の斜線dTC 2のようになる。すると、実際のエンジン出力トルクTE は、図中破線Y2で示すように、エンジンコントロール量TC の図中一点鎖線の斜線dTC 2に沿うように制御され、一旦実際のエンジン出力トルクTE をエンジンコントロール量TC に追従させた後に急勾配でドライバーリクエストトルクDrに向けて収束する。即ち、アウトプットトルクTO が、図中破線Z2に示すような一旦横軸に平行となってから急勾配になるように制御され、運転者は一旦引き込み感を与えられた後、急加速感を与えられる。つまり、エンドショックが発生する。
【0048】
本発明では、上述したように、リダクション量Tcaによる所定時間t1 の補正制御が終了した時点における差異Dをなくすために、リダクション信号(即ち、エンジンコントロール量TC )を実際のエンジン出力トルクTE に一致させる(S57)。その後、スイープアップを開始する(S55)ので、エンジンコントロール量TC は図中一点鎖線の斜線dTC 1のような緩い勾配に制御される。すると、実際のエンジン出力トルクTE は、図中破線Y1で示すように、エンジンコントロール量TC の図中一点鎖線の斜線dTC 1に沿うように制御され、緩やかにドライバーリクエストトルクDrに向けて収束する。即ち、アウトプットトルクTO が、図中破線Z1に示すようになり、運転者は滑らかに加速感を与えられる。つまり、完了制御の開始時にエンジンコントロール量TC と実際のエンジン出力トルクTE とを一致させる制御(S57)により、エンドショックの発生を防ぐことができる。
【0049】
なお、上述の実施の形態ではダウンシフトの際について説明したが、アップシフトの際についても本発明を適用し得る。以下に、例えばアップシフトを行う際に発生するエンジンコントロール量TC と実際のエンジン出力トルクTE との差異をなくして一致させる制御(S57)について簡単に説明する。なお、上述のダウンシフトを行う際と同様である部分の説明は省略し、対応する符号は同様のものを使用する。
【0050】
図11は、例えばスロットル一定開度のアップシフトを行う際を示すタイムチャートである。図11に示すように、例えば不図示のスロットル開度が一定である状態で2−3変速を行う場合に、入力軸回転数Nt 、アウトプットトルクTO 、及び実際のエンジン出力トルクTE は一定である。この際に、例えば時点T1においてアップシフトの変速指令が制御部ECUにより出力されると、油圧制御手段1aにより解放側油圧PA及び係合側油圧PBが制御されて変速を開始する。時点T2において解放側油圧PAの制御が終了すると、実際のエンジン出力トルクTE はアップシフトエンジン制御手段1eによりトルクリダクション制御される。一方、アウトプットトルクTO は、該解放側油圧PAにより例えば2速ギアが解放されると共に下降しており、係合側油圧PBにより例えば3速ギアが係合されると共に内部イナーシャによる引きずりトルクにより上昇している。
【0051】
その後、係合側油圧PBがフィードバック制御されて、例えば3速ギアが係合されていくと、上記内部イナーシャによる引きずりトルクが実際のエンジン出力トルクTE に伝達し、図中下方に示すように、エンジンコントロール量TC の限界を越えて実際のエンジン出力トルクTE が上昇してしまう。そこで、上記係合側油圧PBのフィードバック制御が終了した際、つまり、アップシフトエンジン制御手段によるリダクションが終了するときに、エンジンコントロール量TC と実際のエンジン出力トルクTE との差異Dをなくして一致させる制御(S57)を行うことで、エンジンコントロール量TC は図中一点鎖線の斜線dTC 2から図中一点鎖線の斜線dTC 1のようにスイープアップされる。すると、実際のエンジン出力トルクTE は、図中破線Y2から図中破線Y1で示すようになり、時点T3において緩やかに元の値に収束する。それにより、入力時回転数Nt は、時点T3近傍にて、一致させる制御を行わない場合の破線Nt 2よりも滑らかな破線Nt 1で示すようになり、該入力時回転数Nt に応じて油圧制御される係合側油圧PBは、急激な油圧制御PB2から滑らかな油圧制御PB1となる。すると、アウトプットトルクTO は、例えば3速ギアに係合されると共に降下し、破線Z2で示すような振動する状態から滑らかな実線Z1で示すように制御され、これにより、エンドショックの発生を緩和することができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、解放側及び係合側油圧制御は、上述した実施例に限らず、他の制御でもよいことは勿論である。また、エンジントルク制御にあっては、入力軸加速度に基づくリダクション量を基準値として、これに対して補正したが、該リダクション量を設定せずに、通常の運転者アクセルペダル開度に基づくエンジントルクを基準値として、これに対して補正するようにしてもよい。また、吹き等の余分エネルギ及びタイアップ等による不足エネルギを、入力軸回転数の目標値と実際値との差に基づき演算したが、これに限らず、入力軸加速度の差、出力トルクの目標値と実際値との差等の他のものによって演算してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、変速中のスロットル変化によるエンジンコントロール量と実際のエンジン出力トルクとの差異を一致させる制御について、アップシフトからのダウンシフトの場合、及びアップシフトの場合について説明したが、上記実施の形態に限らず、エンジンコントロール量と実際のエンジン出力トルクとの差異を生じる全ての場合に対しても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子制御部を示すブロック図。
【図2】本発明に係る油圧回路の概略を示す図。
【図3】パワーオン・ダウンシフト変速を示すギヤ比に基づく入力軸回転数、解放側油圧及び係合側油圧指令のタイムチャート。
【図4】ダウンシフトの解放側油圧の制御を示すフローチャート。
【図5】図4の続きを示すフローチャート。
【図6】ダウンシフトの係合側油圧の制御を示すフローチャート。
【図7】図6の続きを示すフローチャート。
【図8】本発明によるエンジントルク制御を示すフローチャート。
【図9】エンジントルク制御に係るタイムチャート。
【図10】スロットル低開度のアップシフトからダウンシフトを示すタイムチャート。
【図11】スロットル一定開度のアップシフトを示すタイムチャート。
【符号の説明】
1b トルク差検出手段
1d ダウンシフトエンジン制御手段
1e アップシフトエンジン制御手段
1f 一致制御手段
1g 実トルク検出手段
E 実際のエンジン出力トルク
c トルクリダクション信号
ca 基準値(リダクション量)
TA 目標値(入力軸回転数目標値)

Claims (3)

  1. エンジンと、該エンジン出力からの入力回転を、複数の摩擦係合要素を断・接することにより伝達経路を切換えて変速し、該変速された回転を車軸に出力する自動変速機と、を備え、該自動変速機を所定変速してなる、自動車の変速制御装置において、
    前記所定変速であるダウンシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するダウンシフトエンジン制御手段と、前記所定変速であるアップシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するアップシフトエンジン制御手段と、を有するエンジン制御手段と、
    前記エンジンの実際の出力トルクを検出する実トルク検出手段と、
    前記リダクション制御によるエンジン出力トルクを、前記実トルク検出手段により検出された前記エンジンの実際の出力トルクに一致させる一致制御手段と、を備え、
    前記アップシフトエンジン制御手段によるリダクション信号が出力されている状態で、前記ダウンシフトエンジン制御手段によるリダクション信号が出力された際にあって、前記ダウンシフトエンジン制御手段のリダクション信号によるエンジン出力トルクのスイープアップを開始する時点で、前記一致制御手段により、前記ダウンシフトエンジン制御手段のリダクション信号によるエンジン出力トルクを前記実際のエンジン出力トルクと差異がないように一致させ、前記ダウンシフトエンジン制御手段は、前記一致させた前記エンジン出力トルクからスイープアップを開始することを特徴とする、
    自動車の変速制御装置。
  2. エンジンと、該エンジン出力からの入力回転を、複数の摩擦係合要素を断・接することにより伝達経路を切換えて変速し、該変速された回転を車軸に出力する自動変速機と、を備え、該自動変速機を所定変速してなる、自動車の変速制御装置において、
    前記所定変速であるダウンシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するダウンシフトエンジン制御手段と、前記所定変速であるアップシフトにあって、前記エンジンからの出力トルクをリダクション制御するアップシフトエンジン制御手段と、を有するエンジン制御手段と、
    前記エンジンの実際の出力トルクを検出する実トルク検出手段と、
    前記リダクション制御によるエンジン出力トルクを、前記実トルク検出手段により検出された前記エンジンの実際の出力トルクに一致させる一致制御手段と、を備え、
    前記アップシフトエンジン制御手段によるリダクション信号が出力されている状態で、前記ダウンシフトエンジン制御手段によるリダクション信号が出力された際にあって、前記ダウンシフトの完了制御を開始する時点で、前記一致制御手段により、前記ダウンシフトエンジン制御手段のリダクション信号によるエンジン出力トルクを前記実際のエンジン出力トルクと差異がないように一致させ、前記ダウンシフトエンジン制御手段は、前記一致させた前記エンジン出力トルクからスイープアップを開始することを特徴とする、
    自動車の変速制御装置。
  3. 前記ダウンシフトエンジン制御手段は、目標値に対して、前記エンジンから前記自動変速機に供給されるトルクの余分量及び不足量を検出・演算するトルク差検出手段を有し、該トルク差検出手段に基づき演算されたトルクが余分な場合、前記エンジンからの出力トルクの基準値に対して該余分なトルクを減じるように、また前記演算されたトルクが不足する場合、前記基準値に対して該不足するトルクを加えるように、制御してなる、
    請求項1または2記載の自動車の変速制御装置。
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