JP3534806B2 - レーザ切断方法及びその装置 - Google Patents

レーザ切断方法及びその装置

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JP3534806B2
JP3534806B2 JP03009194A JP3009194A JP3534806B2 JP 3534806 B2 JP3534806 B2 JP 3534806B2 JP 03009194 A JP03009194 A JP 03009194A JP 3009194 A JP3009194 A JP 3009194A JP 3534806 B2 JP3534806 B2 JP 3534806B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被加工物にレーザビ
ームを照射し該レーザビームのエネルギで該被加工物を
切断するレーザ切断方法及びその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図27は従来のレーザ切断方法を説明す
る模式図であり、図27において、101は厚板の被加
工物106に照射するレーザビーム、103は切断前
面、107はレーザビーム101を集光する加工レン
ズ、135はアシストガス121をレーザビーム101
の照射される切断部102aへ吹き付けるノズル、矢印
は被加工物106の移動方向を示している。図27で
は、焦点距離の長い加工レンズ107でレーザビーム1
01を集光し、焦点位置Oを被加工物表面から距離Kだ
け離し、被加工物表面でのビーム径を拡げて切断してい
る状態を示している。この従来のレーザ切断方法では、
被加工物106の板厚が厚くなった場合、被加工物10
6の下部までレーザエネルギが有効に伝わるように焦点
距離の長い加工レンズ107を使用したり、加工レンズ
107へ入射するビーム径を小さくすることで焦点深度
を深くしても、安定に切断溝を形成することができなく
なる。例えば、被加工物106が軟鋼の場合、3kWの
レーザビーム101は板厚が22mmを越えると、切断
が非常に困難で、切断できた場合でも図28に示すよう
に被加工物切断面の下部においては、上部条痕104に
比べ下部条痕122のように切断面粗さは非常に粗くな
っており、加工製品の劣化という問題が発生していた。
【0003】このような事態が発生する原因は、焦点深
度を深くしたために、ビームの集光スポット径が大きく
なりすぎ、切断溝深部に入射するレーザエネルギが減少
するためである。集光スポット径が大きくなると、図2
9に示されるように、加工しきい値以下の切断溝102
中に入射しないビームスポット周辺部101aのエネル
ギが多く、切断溝102の中に入射するビームスポット
中央部101bのエネルギが少なくなる。このため、切
断溝102内へのレーザ入射熱量が減少し、切断溝深部
で入熱不足が発生して、溶融物の温度が下がり粘性が高
くなる。
【0004】その結果、被加工物切断面の下部におい
て、溶融物の滞留が生じて切断面粗さが非常に粗くな
る。また、切断溝深さが深くなり、溝深部でアシストガ
ス流による溶融物の除去作用が低下することも、前記被
加工物切断面の下部に溶融物が滞留し切断面粗さが非常
に粗くなることの要因となっている。
【0005】この場合、レーザビーム101をデフォー
カスし、溝幅を広げて溝深部でアシストガス流による溶
融物の除去作用を増加させると、ビームスポット径が拡
がってしまうので、上述したように溝内に入射するレー
ザエネルギが減少し、適当でない。
【0006】さらに、レーザ切断が可能とされる中板厚
の被加工物の場合でも、例えば軟鋼では板厚が22mm
以下の場合でも、切断面の上部と比較すると下部では板
厚が22mm以上の被加工物と同様に切断面粗さが粗く
なる。特に、角部を切断した時に生じる角部頂点の溶け
落ちに起因する切断面粗さの低下が問題となっている。
【0007】これらの問題を解決するレーザ切断方法と
して、例えば、特開平4−284990号公報に示され
たレーザ切断方法がある。このレーザ切断方法は、被加
工物表面におけるレーザビームの断面形状を切断進行方
向に細長い形状、被加工物内部の所定深さ以上では切断
進行方向と直交する方向に細長いビーム形状とし、被加
工物の裏面近くの溝幅を広くし、被加工物切断面の下部
での溶融物の滞留と切断面粗さを改善するものである。
しかし、この方法では、切断面粗さの低下は改善できる
ものの、切断溝の深さ方向での溝幅が大きく変化するた
め、加工後の切断面は平面にならない。このため、切断
後の部品の組立精度や溶接性が悪化してしまう等の問題
点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のよう
な問題点を解消するためになされたもので、請求項1〜
記載の発明は、被加工物切断面の下部における溶融物
の滞留を解消し、切断面粗さの生じない高品質切断を実
現できるレーザ切断方法を得ることを目的とする。
【0009】請求項記載の発明は、切断溝深部の入熱
不足を解消し、切断面粗さ低下の生じない高品質切断を
実現できるレーザ切断装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
るレーザ切断方法は、被加工物にレーザビームを照射し
該レーザビームのエネルギで該被加工物を切断するレー
ザ切断方法において、切断加工中に前記被加工物と前記
レーザビームとを相対的に移動させて、前記被加工物に
対する前記レーザビームの位置あるいは該レーザビーム
径を振動させ、前記レーザビームの振動周波数を、前記
レーザビームを振動させないときに前記被加工物の切断
面に生じる条痕のピッチと切断速度から計算される条痕
の生成周波数より大きく設定することを特徴とするもの
である。
【0011】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、連続波出力であるレーザビームの振動方向を、切断
進行方向と平行としたものである。
【0012】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、レーザビームの切断進行方向と平行な振動振幅を、
前記レーザビームを振動させないときの被加工物表面と
裏面の切断溝長さの差と該レーザビームを振動させない
ときの該被加工物表面での切断溝幅から算出した値より
小さく設定したものである。
【0013】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、ーザビームの振動方向を、切断進行方向と直交と
、前記レーザビームの切断進行方向と直交な振動振幅
を、レーザビームを振動させた場合の被加工物表面での
切断溝幅の略1/2より小さく設定するものである
【0014】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、レーザビームのスポットの中心軸が回転移動する
転径の切断進行方向と平行な成分を、前記レーザビーム
を回転させないときの被加工物表面と裏面の切断溝長さ
の差と該レーザビームを振動させないときの該被加工物
表面での切断溝幅から算出した値より小さくし、前記切
断進行方向と直交な成分を、レーザビームを振動させた
場合の前記被加工物表面での切断溝幅の略1/2より小
さく設定したものである。
【0015】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、切断加工中に切断進行方向が変化する場合、その変
化の方向と反対の方向にレーザビームの回転移動の方向
を設定したものである。
【0016】 請求項記載の発明に係るレーザ切断方法
は、レーザビームの振動方向を、前記レーザビームの入
射軸方向と平行とし、前記レーザビームを該レーザビー
ムの入射軸方向と平行に振動させる場合、前記被加工物
表面におけるレーザビーム径の最大値を、前記被加工物
表面での切断溝幅の略1.5倍よりも小さく設定したも
のである
【0017】 請求項記載の発明に係るレーザ切断装置
は、被加工物にレーザビームを照射し該レーザビームの
エネルギで該被加工物を切断するレーザ切断装置におい
て、前記被加工物表面での前記レーザビーム径を変化さ
せるビーム径制御手段と、前記被加工物表面に至る伝送
距離の異なる複数のレーザビーム伝送路と、加工中に前
記レーザビーム伝送路を切り換える切り換え手段とを具
備したものである
【0018】
【作用】請求項1記載の発明におけるレーザビームは、
被加工物に対する位置あるいはビーム径を振動させるこ
とにより、切断溝深部に照射されるレーザエネルギを増
加させることができ、切断溝深部の入熱不足が解消さ
れ、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。その結果、
被加工物切断面の下部において、溶融物の滞留が解消さ
れ、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現され
る。また、レーザビームは、振動周波数を切断面に生じ
る条痕の生成周波数よりも大きくしたことにより、レー
ザビームの振動が切断現象を不安定にすることを防止で
きる。
【0019】 請求項2記載の発明におけるレーザビーム
は、連続波出力で切断進行方向と平行に振動させ、また
請求項記載の発明では、上記振動振幅を切断溝幅より
小さく設定したことにより切断溝深部にパワー密度の
高いビームの中心軸付近が直接照射され、切断溝深部の
入熱不足が解消され、溶融物の温度が上昇し粘性が低く
なる。その結果、被加工物切断面の下部において、溶融
物の滞留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質
切断が実現される。
【0020】 請求項記載の発明におけるレーザビーム
、切断進行方向と直交する垂直方向に振動させ振動
振幅を切断溝幅より小さく設定したことにより、溝内に
入射するレーザエネルギ、レーザのパワー密度Pが増加
し、切断溝深部の入熱不足が解消され、溶融物の温度が
上昇し粘性が低くなる。その結果、被加工物切断面の下
部において、溶融物の滞留が解消され、切断面粗さ低下
の生じない高品質切断が実現される。
【0021】請 求項記載の発明におけるレーザビーム
は、上記回転径の切断進行方向と平行な成分を、切断溝
の長さと幅から算出した値より小さくし、切断進行方向
と直交する成分を、レーザビームを振動させた場合の
断溝幅より小さくしたことにより、ビームを切断進行方
向と平行に振動させる効果と、ビームを切断進行方向に
直交して振動させる効果によって、切断溝深部の入熱不
足が解消され、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。
その結果、被加工物切断面の下部において、溶融物の滞
留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が
実現される。
【0022】 請求項記載の発明におけるレーザビーム
は、回転移動方向を切断進行方向の変化と反対の方向に
したことにより、溶融物がコーナエッジ部に流れること
を防止でき、コーナエッジ部の温度上昇を抑制できる。
その結果、コーナエッジ部の溶け落ちが解消され、切断
面粗さ低下の生じない高品質なコーナ切断が実現され
る。
【0023】 請求項記載の発明におけるレーザビーム
は、レーザビームの入射軸方向に焦点位置を振動させ、
ーザビーム径の最大値を切断溝幅の略1.5倍より小
さく設定したことにより、切断溝幅は最大ビーム径付近
で規定され、それ以下のビーム径の時は全てのレーザエ
ネルギが切断溝内へ入射し、切断溝深部の入熱不足が解
消され、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。その結
果、被加工物切断面の下部において、溶融物の滞留が解
消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現さ
れる。
【0024】 請求項記載の発明におけるビーム径制御
手段は、被加工物表面のビーム径を変化させ、レーザビ
ーム伝送路を切り換え手段で切り換えてビーム径を変化
させていることにより、切断溝幅は最大ビーム径付近で
規定され、それ以下のビーム径の時は全てのレーザエネ
ルギが切断溝内へ入射し、切断溝深部の入熱不足が解消
され、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。その結
果、被加工物切断面の下部において、溶融物の滞留が解
消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現さ
れる。
【0025】
【実施例】実施例1. 図1は請求項1〜記載の発明の一実施例によるレーザ
切断方法を示す模式図である。図1において、1はレー
ザビーム、2は被加工物6に形成された切断溝である。
本実施例1では、被加工物6として厚さ4.5mm、1
2mm、25mmの軟鋼を用い、レーザビーム1は各々
1.5kW、1.75W、3kWの連続波出力で、焦点
距離190.5mmのZnSe製レンズ(図示せず)で
被加工物表面から各々0.5mm、1.5mm、1.5
mm上に焦点を結ぶように被加工物表面に照射した。切
断速度は各々2.5m/分、1.0m/分、0.5m/
分で、この時レーザビーム1と同軸の穴径2mmのノズ
ル(図示せず)から、ノズル元圧を各々1.0kgf/
cm2 、0.6kgf/cm2 、0.5kgf/cm2
として、アシストガスとしての酸素を切断部へ吹き付け
た。このレーザビーム1を被加工物表面から500mm
上方に設置した図示しないビームスキャナを用いて被加
工物表面で矢示の切断進行方向と平行に振動させた。こ
のような操作により、図2に示すように、切断溝深部に
パワー密度の高いビームの中心軸付近が直接照射され、
被加工物6の下部への入熱量が多くなる。この結果、溶
融物の滞留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品
質切断が実現された。図中、3は切断前面である。
【0026】 図3はビームの振動振幅を0.3mmとし
たときの、板厚4.5mm、12mm、25mmの軟鋼
材料に対する、ビーム振動の周波数Fと切断面下部の切
断面粗さRの関係を示す図である。図3から明らかなよ
うに、切断面粗さRは周波数Fがある周波数になると急
激に悪化し、それ以上の周波数では粗さRは悪化以前よ
りも急激に改善され、ある程度周波数が高くなると飽和
する。本実施例1では、この粗さRが急激に悪化する周
波数は板厚4.5mmでは約250Hz、板厚12mm
では約100Hz、板厚25mmでは約50Hzであっ
た。この値は図4に示すレーザビーム1の振動を行わな
いときの切断面上部に形成される条痕4のピッチPと切
断速度Vから計算される条痕4の生成周波数H=P/V
とほぼ一致していた。なお、条痕4のピッチPおよび切
断速度Vは被加工物の材質、板厚、及び加工形状によっ
て異なってくるが、どのような場合においても、条痕4
の生成周波数より大きくレーザビーム1の振動周波数を
設定したところ、切断面粗さの改善効果が得られた。図
5は被加工物としての板厚4.5mm、12mm、25
mmの軟鋼材料に対するビーム周波数を各々300H
z、200Hz、200Hzとしたときのビーム振動の
被加工物表面での振幅Aと切断面下部の切断面粗さRの
関係を示す図である。切断面粗さRは振幅がある値まで
改善されるが、各板厚とも振幅のある値で切断面粗さR
の改善効果は見られなくなり、粗さがビーム振動しない
とき、つまり横軸のO点におけるよりも悪くなってい
る。
【0027】 本実施例では、この振幅の値は板厚4.5
mmでは約0.4mm、板厚12mmでは約1.0m
m、板厚25mmでは約1.5mmであった。この値は
図6に示すビームの振動を行わないときの切断前面3の
上部と下部の差Bから被加工物表面での切断前面3とビ
ーム中心Oとの距離D(被加工物表面での切断溝幅Wの
1/2にほぼ等しい)から計算される(B−W/2)/
2の値Cとほぼ一致している。図7は板厚に対する切断
前面3の遅れ、切断溝幅W、計算値Cを示す加工条件図
である。
【0028】 なお、被加工物表面でのビーム振幅が同じ
であっても、切断前面3の遅れB及び切断溝幅Wは被加
工物の材質、板厚、及び加工形状によって異なってくる
が、どんな場合においても、レーザビーム1の振動を行
わないときの切断前面3の上部と下部の差Bと被加工物
表面での切断溝幅Wの1/2から計算される計算値Cよ
り小さくビームの振幅を設定したところ、切断面粗さR
の改善効果が得られた。
【0029】 実施例2. 図8は請求項記載の発明の一実施例によるレーザ切断
方法を示す模式図であり、前記図1と同一部分には同一
符号を付して重複説明を省略する。本実施例2では、レ
ーザビーム1を被加工物表面から500mm上方に設置
した図示しないビームスキャナを用いて、各々周波数3
00Hz、200Hz、200Hzで被加工物表面にお
いて、矢示の切断進行方向と直交する垂直方向に振動さ
せるもので、図9に示すように、加工しきい値S以上の
構内に入射するレーザエネルギ、レーザのパワー密度P
が増加する。このため、切断溝深部の入熱不足が解消さ
れ、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。この結果、
被加工物6の材質、厚さ、レーザビーム1の出力、切断
速度、アシストガスとしての酸素の吹き付け圧力等を前
記実施例1と同一とすることにより、溶融物の滞留が解
消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現さ
れた。
【0030】 図10は本実施例2において、板厚4.5
mm、12mm、25mmの軟鋼材料の被加工物表面で
のビーム振動の振幅Aと切断面下部の切断面粗さRの関
係を示す図であり、図10から明らかなように、切断面
粗さRは振幅Aがある範囲で改善されている。本実施例
2では、板厚4.5mmでは1.5mm以下、板厚12
mmでは約1.2mm以下、板厚25mmでは約1.0
mm以下であった。この上限値は切断溝幅Wの1/2の
値とほぼ等しくなる。
【0031】 なお、レーザビーム1の振幅Aが同じでも
切断溝幅Wは被加工物の材質、板厚、及び加工形状によ
って異なってくるが、どんな場合においても、切断溝幅
W/2より小さい範囲内にビーム振幅を設定したとこ
ろ、切断面粗さの改善効果が得られた。
【0032】 実施例3. 図11は請求項記載の発明の一実施例によるレーザ切
断方法を示す模式図である。図11において、1はレー
ザビーム、2は被加工物に形成された切断溝である。本
実施例3では、被加工物6として厚さ4.5mm、12
mm、25mmの軟鋼を用い、レーザビーム1は各々
1.5kW、1.75kW、3kWの連続波出力で、焦
点距離190.5mmのZnSe製レンズ(図示せず)
で被加工物表面から各々0.5mm、1.5mm、1.
5mm上に焦点を結ぶように被加工物表面に照射した。
切断速度は各々2.5m/分、1.0m/分、0.5m
/分で、この時レーザビーム1と同軸の穴径2mmのノ
ズル(図示せず)から、ノズル元圧を各々1.0kgf
/cm2 、0.6kgf/cm2 、0.5kgf/cm
2 として、アシストガスとしての酸素を切断部へ吹き付
けた。このレーザビーム1を被加工物表面から500m
m上方に設置した図示しない2枚のビームスキャナを用
いて、各々周波数300Hz、200Hz、200Hz
で被加工物表面で回転させた。このような操作により、
被加工物6の下部への入熱量が多くなるため、溶融物の
滞留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断
が実現された。本実施例3では、前記実施例1と実施例
2で述べた被加工物表面でのレーザビーム1の振動振幅
の条件を満足するようにすることで、適正な回転運動の
半径の範囲が決定できる。すなわち、被加工物表面での
回転半径の切断進行方向と平行な方向の成分の長さが、
レーザビーム1の振動を行わないときの切断前面上部と
下部の差Bから被加工物表面での切断溝幅Wの1/2を
差し引いた値の1/2より小さく、被加工物表面での回
転半径の切断進行方向と直交方向の成分の長さが切断幅
W/2より小さい範囲内に被加工物表面でのレーザビー
ム1の振動振幅を設定すれば、切断面粗さRの改善効果
が得られた。
【0033】 なお、レーザビーム1の被加工物表面での
径、振動振幅が同じでも、切断溝幅Wは被加工物6の材
質、板厚、及び加工形状によって異なってくるが、どん
な場合においても、前記の回転半径の範囲を守り、被加
工物表面での回転半径を設定したところ、切断面粗さの
改善効果が得られた。
【0034】 特に、レーザビーム1の被加工物表面での
回転軌跡を真円とし、前記被加工物表面での回転半径の
条件を満足した場合には、ビーム照射部中心を軸とした
軸対象状態になるため、切断の方向性がなくなるので、
切断進行方向に応じて振動方向を変更することなく、高
品質な形状切断が可能となった。
【0035】 実施例4. 図12は請求項の発明の一実施例によるコーナ部のレ
ーザ切断方法を示す模式図である。図12において、1
はレーザビーム、2は被加工物6に形成された切断溝で
ある。本実施例4では、被加工物として厚さ4.5m
m、12mm、25mmの軟鋼を用い、レーザビーム1
は各々1.5kW、1.75kW、3kWの連続波出力
で、焦点距離190.5mmのZnSe製レンズ(図示
せず)で被加工物表面から各々0.5mm、1.5m
m、1.5mm上に焦点を結ぶように被加工物表面に照
射した。切断速度は各々2.5m/分、1.0m/分、
0.5m/分で、この時レーザビーム1と同軸の穴径2
mmのノズル(図示せず)からノズル元圧を各々1.0
kgf/cm2 、0.6kgf/cm2 、0.5kgf
/cm2 として、アシストガスとしての酸素を切断部へ
吹き付けた。このレーザビーム1を被加工物表面から5
00mm上方に設置した図示しない2枚のビームスキャ
ナを用いて、切断進行方向が変化する場合、その変化の
方向と反対の方向にレーザビーム1の回転移動の方向を
設定し、各々周波数300Hz、200Hz、200H
zで被加工物表面で回転運動しながら切断進行方向に移
動させた。この時の切断進行方向に平行な方向の振幅は
0.2mm、切断進行方向に直交する方向の振幅は0.
2mmとした。このような操作により、被加工物6の下
部への入熱量が多くなり、コーナ部への溶融物の滞留が
解消されるとともに、外側の切断面に流れる溶融物が多
くなり、エッジ部の温度上昇が抑えられるため、エッジ
部の溶け落ちによる切断面粗さ低下の生じない高品質コ
ーナ切断が実現された。
【0036】 実施例5. 図13、14は請求項記載の発明の一実施例によるレ
ーザ切断方法を示す模式図である。図13、14におい
て、1はレーザビーム、3は切断前面、4は上部条痕、
5は下部条痕、6は被加工物である。本実施例5では、
被加工物として厚さ25mmの軟鋼を用い、レーザビー
ム1は3kWの連続波出力で、焦点距離190.5mm
のZnSe製加工用レンズ(図示せず)で被加工物表面
から1.0mm上方に焦点を結ぶように集光した。
【0037】 ここで、加工用レンズの50mm手前のレ
ーザビーム1の伝送路に焦点距離500mmのビーム径
制御用ZnSe製レンズ(図示せず)を配置し、このビ
ーム径制御用レンズをビーム伝送方向に200Hzで前
後させ、加工用レンズに入射するビーム径を変化させ
た。
【0038】 これにより、加工用レンズ透過後のビーム
焦点位置が振幅1.0mmでビーム入射方向と平行方向
(図14の矢示50方向)に200Hzで振動した。ま
た、切断速度は0.5m/分で、レーザビーム1と同軸
の穴径2mmのノズル(図示せず)からノズル元圧を
0.5kgf/cm2 として、アシストガスとしての酸
素を切断部へ吹き付けた。この時、被加工物表面でのビ
ーム径は0.3mm〜0.9mmの範囲で変化し、切断
溝幅は0.8mmとなった。このような操作により、被
加工物6の下部への入熱量が多くなるため、溶融物の滞
留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が
実現された。
【0039】 図15は被加工物6としての板厚25mm
の軟鋼材料に対するレーザビーム1の焦点位置の振動振
幅Aと切断面下部の切断面粗さRの関係を示す図であ
る。切断面粗さRは焦点位置の振動振幅がある範囲で改
善される。本実施例5では、焦点位置の振動振幅の適正
範囲は約3.0mmであった。この値は被加工物表面で
の最大ビーム径に換算すると、約2.0mmであった。
この時の溝幅は約1.4mmであり、最大ビーム径の約
1/1.5倍となった。
【0040】 なお、レーザビーム1の被加工物表面での
変化条件が同じでも、切断溝幅Wは被加工物の材質、板
厚、及び加工形状によって異なってくるが、どんな場合
においても、被加工物表面での最大ビーム径が溝幅の
1.2倍より小さくなるように焦点位置の振動中心、振
幅を設定したところ切断面粗さRの改善効果が得られ
た。
【0041】 本実施例5では、レーザビーム1が常に軸
対象状態を保って変化するため、切断の方向性がなくな
るので、切断進行方向に応じて振動方向を変更すること
なく、高品質な形状切断が可能となった。
【0042】 実施例6. 図16はこの発明の一実施例によるレーザ切断装置(請
求項1〜記載の発明に係るレーザ切断方法を実行する
装置)を示す模式図である。前記図1〜図13と同一部
分には同一符号を付して重複説明を省略した図16にお
いて、7は加工レンズ、8はレーザビーム1を出力する
レーザ発振器、9は不図示の揺動モータにより矢示方向
に駆動される移動手段としてのガルバノスキャナ(以
下、反射ミラーと略称する)、10は被加工物6を載置
して直交軸X,Y,Z方向に移動可能な加工テーブル、
19は折り返しミラー、20はノズルである。図17は
制御回路を示すブロック図であり、図16と同一部分に
は同一符号を付して重複説明を省略する。図17におい
て、11は反射ミラー揺動信号を出力する反射ミラー揺
動回路であり、この反射ミラー揺動回路11は、例えば
NC装置12のCPU12aから揺動スタート命令を受
けるとトリガパルスTPを出力する第1のパルスジェネ
レータ11aと、上記トリガパルスTPとCPU12a
から位相差、振幅値命令を受けると反射ミラー揺動信号
Mを出力する第2のパルスジェネレータ11bとで構成
されており、第2のパルスジェネレータ11bの出力信
号をアンプ27で増幅し、このアンプ27の出力信号で
不図示の揺動モータを駆動して反射ミラー9を揺動させ
る。
【0043】 13はCPU12aから加工テーブル移動
信号を受けると加工テーブル10を、直交するX,Y,
Z軸方向に移動させるサーボ制御回路であり、例えば位
置制御回路13a、サーボアンプ13b、サーボモータ
13cとで構成されている。14はCPU12aから指
令信号を受けてレーザ発振器8を駆動する励起用電源で
ある。
【0044】 以下、本実施例6の動作を説明する。本実
施例6では、被加工物6として厚さ25mmの軟鋼を用
い、レーザビーム1は3kWの連続波出力で、焦点距離
190.5mmのZnSe製加工用レンズで、被加工物
表面から1.5mm上方に焦点を結ぶようにした。切断
速度は0.5m/分で、アシストガスとして、レーザビ
ーム1と同軸の穴径2mmのノズル(図示せず)からノ
ズル元圧を0.5kgf/cm2 として、アシストガス
として酸素を切断部へ吹き付けた。
【0045】 被加工物6はNC装置12により制御され
る加工テーブル10上に固定し、この加工テーブル10
を加工形状に従ってX,Y,Zの直交軸方向に移動させ
た。この時、NC装置12からの加工テーブル移動信号
を反射ミラー揺動回路11に伝送し、反射ミラー9を矢
示方向に揺動させてレーザビーム1を振動させた。この
場合、反射ミラー揺動回路11はNC装置12からの信
号を受け、テーブル移動方向とビーム振動方向が常に一
定となるように反射ミラー9の揺動または加工テーブル
10の移動を制御する。
【0046】 なお、本実施例6では、レーザビーム1を
前記揺動する反射ミラー9により被加工物表面で切断進
行方向と平行または直交する垂直な方向に200Hzで
振動させた。このような操作により、形状切断を行って
もビーム振動方向と切断進行方向がなす角度を一定に保
つことができるようになり、切断面粗さ低下の生じない
高品質な形状切断が実現された。
【0047】 実施例7. 図18はこの発明の他の実施例によるレーザ切断装置を
示す斜視図、図19はその正面図である。上記実施例6
では、反射ミラー9を揺動させて、被加工物6に対する
レーザビーム1の位置を振動させているが、本実施例7
は反射ミラー9は固定し、被加工物6を振動させるよう
にしたもので、図18、図19において、22は加工テ
ーブル10上にコロ23を介して載置した加工台、24
は被加工物6を加工台22上に固定する固定治具、25
a,25bは加工台22を直交軸X,Y方向に振動させ
る加振器、26はCPU12aから駆動信号を受けて、
加振器25a,25bのいずれか一方または双方を同時
に駆動する加振器駆動回路である。本実施例7は上記の
構成であるから、レーザ発振器8からのレーザビーム1
を加工レンズ7を介して被加工物6に照射して切断加工
を行う。この切断加工中に加振器25a,25bのいず
れか一方を駆動させると、加工台22が直交軸Xまたは
Y方向に振動し、実施例6と同様の効果が得られる。
【0048】 実施例8. 図20はこの発明のさらに他の実施例によるレーザ切断
装置(請求項7〜9記載の発明に係るレーザ切断方法を
実行する装置)を示す模式図であり、実施例6における
反射ミラー9として揺動軸(図示せず)を直交させた2
枚の反射ミラー9a,9bを用いたものである。図21
は上記反射ミラー9a,9bを揺動させる反射ミラー揺
動回路11を示すブロック図であり、NC装置12のC
PU12aから揺動スタート命令を受けるとトリガパル
スTPを出力する第1のパルスジェネレータ11aと、
上記トリガパルスTPとCPU12aから位相差、振幅
値命令を受けると反射ミラー揺動信号Mを出力する2つ
の第2のパルスジェネレータ11b−1,11b−2と
で構成され、その第2のパルスジェネレータ11b−
1,11b−2の出力信号はアンプ27a,27bを介
して反射ミラー9a,9bを揺動する反射ミラー揺動モ
ータ28a,28bに供給される。
【0049】 本実施例8では、反射ミラー揺動モータ2
8a,28bによって、それぞれ独立して2枚の反射ミ
ラー9a,9bを揺動させることにより、前記実施例6
と同様の作用効果が得られるとともに、レーザビーム1
のスポットの中心軸を、被加工物表面で回転半径上を回
転移動させ、また、切断進行方向が変化する場合、その
変化の方向と反対の方向にレーザビーム1の回転移動の
方向を設定することができ、高品質なコーナ切断を実現
できる。
【0050】 実施例9. 図22は請求項発明の一実施例によるレーザ切断装置
を示す模式図であり、前記図14に示す実施例6と同一
部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図22
において、29a,29bは軸対称に一部が欠除された
切り換え手段としての回転円盤ミラー、30a,30b
は回転円盤ミラー29a,29bの位置を検出する光電
センサ、31a,31bはレーザビーム1の光路(レー
ザビーム伝送路)32aとは別の光路(レーザビーム伝
送路)32bを作る折り曲げミラー、33a,33bは
回転円盤ミラー29a,29bを回転させるパルスモー
タ、34は光電センサ30a,30bの検出信号を入力
し、パルスモータ33a,33bに駆動信号を供給する
ビーム径制御手段としての回転円盤ミラー制御回路であ
る。
【0051】 図23は上記回転円盤ミラー制御回路34
の一例を示すブロック図であり、NC装置12のCPU
12aから回転速度命令を受けてパルスモータ33a,
33bに駆動信号を供給するドライバ34a−1,34
a−2と、光電センサ30a,30bから検出信号S
1,S2を入力し、両信号の和を計算してマッチング信
号をCPU12aに供給する演算回路34bとで構成さ
れている。本実施例9では、被加工物6として厚さ25
mmの軟鋼を用い、レーザビーム1は3kWの連続波出
力で、焦点距離190.5mmのZnSe製加工用レン
ズ7を用いて集光し、被加工物6に照射した。切断速度
は0.5m/分で、レーザビーム1と同軸の穴径2mm
のノズル(図示せず)からノズル元圧を0.5kgf/
cm2 として、アシストガスとしての酸素を切断部2a
へ吹き付けた。
【0052】 この時、回転円盤ミラー29a,29bの
光反射部29a−1,29b−1と透過部29a−2,
29b−2の位置を光電センサ30a,30bでモニタ
し、レーザ伝送路が図24(a),(b)の如く、光路
32aと光路32bに所望の周波数で順次切り換わるよ
うに、回転円盤ミラー29a,29bの回転数と位相の
ズレを回転円盤ミラー制御回路34で制御した。なお、
本実施例では、光路32aと光路32bの切り換えを2
00Hzで行った。
【0053】 このような操作により、加工レンズ7に入
射するビーム径が200Hzで振動し、焦点位置が被加
工物表面から0mm〜2.0mmの範囲でビーム軸方向
へ振動した。この結果、被加工物6の下部への入熱量が
多くなり、溶融物の滞留が解消され、切断面粗さ低下の
生じない高品質切断が実現された。
【0054】 実施例10. 図25はこの発明の一実施例によるレーザ切断方法を示
す模式図である。図25において、1はレーザビームで
あり、加工レンズ7を介して被加工物6に照射してい
る。本実施例10では、被加工物6として厚さ4.5m
m、12mm、25mmの軟鋼を用い、レーザビーム1
は各々1.5kW、1.75kW、3kWの連続波出力
で、焦点距離190.5mmのZnSe製加工レンズ7
で被加工物表面から各々0.5mm、1.5mm、1.
5mm上に焦点を結ぶように被加工物表面に照射した。
切断速度は各々2.5m/分、1.0m/分、0.5m
/分で、この時、レーザビームと同軸の穴径2mmのノ
ズル20からノズル元圧を各々1.0kgf/cm2
0.6kgf/cm2 、0.5kgf/cm2 として、
アシストガスとして酸素21を切断部2aへ吹き付け
た。この時、液体窒素を用い、ガス冷却装置42により
−50℃まで冷却した。このような操作により、アシス
トガスとしての酸素の溶融物の除去能力が向上し、滞留
が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実
現された。
【0055】 実施例11. 図26はこの発明の一実施例によるレーザ切断方法を示
す模式図である。図26において、1はレーザビームで
あり、加工レンズ7を介して被加工物6に照射してい
る。本実施例11では、被加工物6として厚さ4.5m
m、12mm、25mmの軟鋼を用い、レーザビーム1
は各々1.5kW、1.75kW、3kWの連続波出力
で、焦点距離190.5mmのZnSe製加工レンズ7
で被加工物表面から各々0.5mm、1.5mm、1.
5mm上に焦点を結ぶように被加工物表面に照射した。
切断速度は各々2.5m/分、1.0m/分、0.5m
/分で、この時レーザビーム1と同軸の穴径2mmのノ
ズル20からノズル元圧を各々1.0kgf/cm2
0.6kgf/cm2 、0.5kgf/cm2 として、
アシストガスとしての酸素を切断部2aへ吹き付けた。
さらに、LPガス切断用のストレート形、火口番号#2
(切断酸素出口径1.3mm)ノズル20により、切断
進行方向後方より切断進行面下部を狙って、液体窒素を
用いたガス冷却装置42により−50℃まで冷却された
酸素をノズル元圧3kgf/cm2 で吹き付けた。この
ような操作により、被加工物6の下部での滞留が解消さ
れ、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現され
た。
【0056】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、被加工物に対する位置あるいはビーム径を振動さ
せるように構成したので、切断溝深部に照射されるレー
ザエネルギを増加させることができ、切断溝深部の入熱
不足が解消され、溶融物の温度が上昇し粘性が低くな
る。その結果、被加工物切断面の下部において、溶融物
の滞留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高品質切
断が実現される。また、レーザビームの振動周波数を切
断面に生じる条痕の生成周波数よりも大きくするように
構成したので、レーザビームの振動が切断現象を不安定
にすることを防止できる効果がある。
【0057】 請求項記載の発明によれば、連続波出力
であるレーザビームの切断進行方向と平行に振動させ、
請求項記載の発明によれば、振動振幅を切断溝幅より
小さくなるように構成したので、切断溝深部にパワー密
度の高いビームの中心軸付近が直接照射され、切断溝深
部の入熱不足が解消され、溶融物の温度が上昇し粘性が
低くなる。その結果、被加工物切断面の下部において、
溶融物の滞留が解消され、切断面粗さ低下の生じない高
品質切断が実現できる効果がある。
【0058】 請求項記載の発明によれば、レーザビー
ムを切断進行方向と直交して振動させ、振動幅を切断溝
幅より小さくなるように構成したので、切断溝内に入射
するレーザエネルギ、レーザのパワー密度Pが増加し、
切断溝深部の入熱不足が解消され、溶融物の温度が上昇
し粘性が低くなる。その結果、被加工物切断面の下部に
おいて、溶融物の滞留が解消され、切断面粗さ低下の生
じない高品質切断が実現できる効果がある。
【0059】請 求項記載の発明によれば、回転径の切
断進行方向と平行な成分を、切断溝の長さと幅から算出
した値より小さくし、切断進行方向と直交する成分を、
レーザビームを振動させた場合の切断溝幅より小さくな
るように構成したので、ビームを切断進行方向と平行に
振動させる効果と、ビームを切断進行方向に直交して振
動させる効果によって、切断溝深部の入熱不足が解消さ
れ、溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。その結果、
被加工物切断面の下部において、溶融物の滞留が解消さ
れ、切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現できる
効果がある。
【0060】 請求項記載の発明によれば、レーザービ
ームの回転移動方向を切断進行方向の変化と反対の方向
にするように構成したので、溶融物がコーナエッジ部に
流れることを防止でき、コーナエッジ部の温度上昇を抑
制できる。その結果、コーナエッジ部の溶け落ちが解消
され、切断面粗さ低下の生じない高品質なコーナ切断が
実現できる効果がある。
【0061】 請求項記載の発明によれば、レーザビー
ムの入射軸方向に焦点位置を振動させ、レーザビーム径
の最大値を切断溝幅の略1.5倍より小さくなるように
構成したので、切断溝幅は最大ビーム径付近で規定さ
れ、それ以下のビーム径の時は全てのレーザエネルギが
切断溝内へ入射し、切断溝深部の入熱不足が解消され、
溶融物の温度が上昇し粘性が低くなる。その結果、被加
工物切断面の下部において、溶融物の滞留が解消され、
切断面粗さ低下の生じない高品質切断が実現できる効果
がある。
【0062】 請求項記載の発明によれば、被加工物表
面のビーム径を変化させ、レーザビーム伝送路を切り換
え手段で切り換えてビーム径を変化させるように構成し
たので、切断溝幅は最大ビーム径付近で規定され、それ
以下のビーム径の時は全てのレーザエネルギが切断溝内
へ入射し、切断溝深部の入熱不足が解消され、溶融物の
温度が上昇し粘性が低くなる。その結果、被加工物切断
面の下部において、溶融物の滞留が解消され、切断面粗
さ低下の生じない高品質切断が実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜記載の発明の一実施例によるレー
ザ切断方法を示す模式図である。
【図2】図1のレーザ切断方法の作用を説明する模式図
である。
【図3】図1のレーザ切断方法の作用を説明する特性図
である。
【図4】図1のレーザ切断方法により切断した切断面の
正面図である。
【図5】図1のレーザ切断方法の作用を説明する特性図
である。
【図6】図1のレーザ切断方法により切断した切断面の
正面図である。
【図7】図1のレーザ切断方法における加工条件図であ
る。
【図8】請求項記載の発明の一実施例によるレーザ切
断方法を示す模式図である。
【図9】図8のレーザ切断方法の作用を説明する模式図
である。
【図10】図8のレーザ切断方法の作用を説明する模式
図である。
【図11】請求項記載の発明の一実施例によるレーザ
切断方法を示す模式図である。
【図12】請求項記載の発明の一実施例によるレーザ
切断方法を示す模式図である。
【図13】請求項記載の発明の一実施例によるレーザ
切断方法を示す模式図である。
【図14】図13のレーザ切断方法により切断した切断
面の正面図である。
【図15】図13のレーザ切断方法の作用を説明する特
性図である。
【図16】この発明の一実施例によるレーザ切断装置を
示す模式図である。
【図17】図16のレーザ切断方法を実行する制御回路
のブロック図である。
【図18】この発明の他の実施例によるレーザ切断装置
を示す斜視図である。
【図19】図18のレーザ切断装置の正面図である。
【図20】この発明のさらに他の実施例によるレーザ切
断装置を示す模式図である。
【図21】図20のレーザ切断装置における反射ミラー
揺動回路のブロック図である。
【図22】請求項記載の発明の一実施例によるレーザ
切断装置を示す模式図である。
【図23】図22のレーザ切断装置における回転円盤ミ
ラー制御回路のブロック図である。
【図24】図22のレーザ切断装置における伝送路の説
明図である。
【図25】この発明の一実施例によるレーザ切断方法を
示す模式図である。
【図26】この発明の一実施例によるレーザ切断方法を
示す模式図である。
【図27】従来のレーザ切断方法を示す模式図である。
【図28】図27のレーザ切断方法で切断した切断面の
正面図である。
【図29】図27のレーザ切断方法の作用を説明する模
式図である。
【符号の説明】
1 レーザビーム 2 切断溝 2a 切断部 3 切断前面 4 上部条痕 5 下部条痕 6 被加工物 7 加工レンズ 8 レーザ発振器 9,9a,9b 反射ミラー(移動手段) 11 反射ミラー揺動回路 21 アシストガス 22 加工台 29a,29b 回転円盤ミラー(切り換え手段) 32a 光路(レーザビーム伝送路) 32b 光路(レーザビーム伝送路) 34 回転円盤ミラー制御回路(ビーム径制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 雅之 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 生産技術研究所内 (72)発明者 金岡 優 名古屋市東区矢田南五丁目1番14号 三 菱電機株式会社 名古屋製作所内 (56)参考文献 特開 昭57−181787(JP,A) 特開 平2−142693(JP,A) 特開 平4−237585(JP,A) 特開 昭63−177991(JP,A) 特開 昭61−199591(JP,A) 特開 平4−319087(JP,A) 特開 平3−57585(JP,A) 特開 平6−663(JP,A) 実開 昭61−92487(JP,U) 実開 平3−14086(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 - 26/42

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物にレーザビームを照射し該レー
    ザビームのエネルギで該被加工物を切断するレーザ切断
    方法において、切断加工中に前記被加工物と前記レーザ
    ビームとを相対的に移動させて、前記被加工物に対する
    前記レーザビームの位置あるいは該レーザビーム径を振
    動させ、前記レーザビームの振動周波数を、前記レーザ
    ビームを振動させないときに前記被加工物の切断面に生
    じる条痕のピッチと切断速度から計算される条痕の生成
    周波数より大きく設定することを特徴とするレーザ切断
    方法。
  2. 【請求項2】 連続波出力であるレーザビームの振動方
    向を、切断進行方向と平行としたことを特徴とする請求
    項1記載のレーザ切断方法。
  3. 【請求項3】ーザビームの切断進行方向と平行な振
    動振幅を、前記レーザビームを振動させないときの被
    工物表面と裏面の切断溝長さの差と該レーザビームを振
    動させないときの該被加工物表面での切断溝幅から算出
    した値より小さく設定することを特徴とする請求項
    載のレーザ切断方法。
  4. 【請求項4】ーザビームの振動方向を、切断進行方
    向と直交とし、前記レーザビームの切断進行方向と直交
    な振動振幅を、レーザビームを振動させた場合の被加工
    物表面での切断溝幅の略1/2より小さく設定すること
    を特徴とする請求項記載のレーザ切断方法。
  5. 【請求項5】 前記レーザビームのスポットの中心軸が
    回転移動する回転径の切断進行方向と平行な成分を、前
    記レーザビームを回転させないときの被加工物表面と裏
    面の切断溝長さの差と該レーザビームを振動させないと
    きの該被加工物表面での切断溝幅から算出した値より小
    さくし、前記切断進行方向と直交な成分を、レーザビー
    ムを振動させた場合の前記被加工物表面での切断溝幅の
    略1/2より小さく設定することを特徴とする請求項
    記載のレーザ切断方法。
  6. 【請求項6】 切断加工中に切断進行方向が変化する場
    合、その変化の方向と反対の方向にレーザビームの回転
    移動の方向を設定することを特徴とする請求項記載の
    レーザ切断方法。
  7. 【請求項7】 レーザビームの振動方向を、前記レーザ
    ビームの入射軸方向と平行とし、前記レーザビームを該
    レーザビームの入射軸方向と平行に振動させる場合、前
    記被加工物表面におけるレーザビーム径の最大値を、前
    記被加工物表面での切断溝幅の略1.5倍よりも小さく
    設定することを特徴とする請求項1記載のレーザ切断方
    法。
  8. 【請求項8】 被加工物にレーザビームを照射し該レー
    ザビームのエネルギで該被加工物を切断するレーザ切断
    装置において、前記被加工物表面での前記レーザビーム
    径を変化させるビーム径制御手段と、前記被加工物表面
    に至る伝送距離の異なる複数のレーザビーム伝送路と、
    加工中に前記レーザビーム伝送路を切り換える切り換え
    手段とを具備したことを特徴とするレーザ切断装置。
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