JPH08257773A - レーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接方法

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JPH08257773A
JPH08257773A JP7087604A JP8760495A JPH08257773A JP H08257773 A JPH08257773 A JP H08257773A JP 7087604 A JP7087604 A JP 7087604A JP 8760495 A JP8760495 A JP 8760495A JP H08257773 A JPH08257773 A JP H08257773A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚さの異なる板材をレーザ光によって突き合
わせ溶接する際に、突き合わせ接合部に良好な溶接ビー
ドを形成し、溶接欠陥の発生を防止する。突き合わせギ
ャップがある場合においても、確実に両板材を突き合わ
せ溶接する。 【構成】 薄板鋼板1と厚板鋼板2とを突き合わせた状
態で配置し、レーザ光Lを照射する。このとき、レーザ
光Lは、振幅Wで突き合わせ接合部5を溶接方向に対し
て交差する方向に往復動され、ウィービングされてい
る。また、レーザ光Lの振幅中心における光軸LC1は、
突き合わせ中心25から厚板鋼板2側に角度θで傾斜され
ている。薄板鋼板1と厚板鋼板2との突き合わせ接合部
5に突き合わせギャップが生じた場合でも、レーザ光L
は傾斜した状態でウィービングしながら照射されるた
め、突き合わせギャップを通過することなく、薄板鋼板
1と厚板鋼板2の端縁を溶融して、確実に滑らかな突き
合わせ溶接を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光の照射によっ
て被溶接物の溶接を行う溶接方法に関し、特に、被溶接
物としての厚さの異なる板材を突き合わせ溶接するため
のレーザ溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ溶接装置として、図7に示すよう
に、トーチ50内にパラボリックミラー51とスキャニング
ミラー52とを備えてなるものが従来から用いられてい
る。このレーザ溶接装置は、レーザ光の光源(図示を省
略した)から発振されたレーザ光Lがパラボリックミラ
ー51によって集光されながら反射され、スキャニングミ
ラー52に反射されて被溶接物53を照射して溶融すること
によって溶接するものである。被溶接物53として板材5
4,55 を突き合わせ溶接する場合には、スキャニングミ
ラー52を揺動させ、図8に示すように、レーザ光Lを振
幅Wで突き合わせ接合部56に対して往復動(ウィービン
グ)させる。この場合においては、レーザ光Lは、板材
54,55 に対して鉛直に照射されている。
【0003】図8に示すように、被溶接物53として厚さ
の異なる板材54,55 をレーザ溶接によって突き合わせ溶
接する場合においては、薄板54側と厚板55側とでは溶融
させるための熱量が異なるため、薄板54側と厚板55側と
にレーザ光Lを同様に照射すると溶接欠陥が生じる。す
なわち、厚板55側の条件に合わせて板材54,55 の突き合
わせ接合部56にレーザ光Lを照射すると、薄板54側の溶
融熱量が過大となるため、図9に示すように、突き合わ
せ接合部56の薄板54側に溶け落ち57が発生し、良好な溶
接ビードを形成することができない。また、薄板54側の
条件に合わせて板材54,55 の突き合わせ接合部56にレー
ザ光Lを照射すると、厚板55側の溶融熱量が不足するた
め、厚板55側の溶融が不十分となる。
【0004】そこで、従来の厚さの異なる板材を突き合
わせ溶接するためのレーザ溶接方法として、例えば、特
公平3−62516号公報に開示されているように、レ
ーザ光の方向を薄板側から厚板の切断端に向けて板材の
表面に対して傾斜させ、厚板側の溶融領域の比率をより
大きくして溶接を行うものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、突き合
わせ溶接する場合においては、図10に示すように、被
溶接物53としての板材54,55 の突き合わせ接合される端
面の加工精度や、板材54,55 を互いに突き合わせて保持
させる治具の精度によって、突き合わせギャップ(すき
ま)Gが生じている。
【0006】レーザ光の方向を薄板側から厚板の切断端
に向けて板材の表面に対して傾斜させる上記従来の技術
によって、突き合わせギャップGが生じた板材54,55 に
レーザ溶接を行う場合、図11に示すように、突き合わ
せ溶接部分に肉厚の薄い部分58が発生したり、図12に
示すように、溶け落ち61が発生する等の溶接欠陥を発生
させる原因となるという問題があった。また、突き合わ
せギャップGが大きい場合には、図13に示すように、
レーザ光が突き合わせギャップGを通り抜け、突き合わ
せ溶接を行うことができないという問題があった。
【0007】さらに、上記従来の技術にあっては、厚板
側の上部コーナ (図11参照)がレーザ光の影響を受
けないため、鋭角な段差が生じて滑らかな突き合わせ接
合部を形成することができないという問題もあった。
【0008】厚板側に鋭角な段差が生じた板材は、後工
程においてプレス成形する場合に、この鋭角的段差部が
プレス成形型にくい込むことによってプレス型にかじり
が生じ、プレス型が損傷するという問題がある。また、
プレス成形によって得た製品に力が加わった場合、上述
したように相対的エネルギ不足に起因して応力集中が著
しく、その結果強度が低下するという問題もある。
【0009】鋭角な段差部によるプレス型の損傷を解消
するためには、厚板側の端縁を薄板側の板厚に合わせて
面取り加工しなければならず、新たに加工工程が増加す
るという問題がある。また、軽量化が要求される、例え
ば自動車の外板等には薄板鋼板が用いられるので、グラ
インダ等によって鋭角的段差部を面取り加工する場合に
薄板側まで削り取るおそれがあり、板厚が低下すること
によってレーザ溶接部分の強度の低下を招く。このよう
に、鋭角的段差部を切除することは手間がかかると共に
技術的な困難が伴うこととなる。
【0010】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、厚さの異なる板材を突き合わせギャップに影響され
ることなくレーザ光によって確実に突き合わせ溶接する
ことができ、しかも、突き合わせ接合部に良好な溶接ビ
ードを形成し、滑らかで品質の高い突き合わせ溶接を行
うことができるレーザ溶接方法を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るレーザ溶接方法は、厚さの異なる被溶
接物を突き合わせて配置し、該被溶接物の突き合わせ接
合部に、レーザ光を照射して突き合わせ溶接するレーザ
溶接方法において、前記レーザ光の光軸を被溶接物の突
き合わせ中心から厚板側に傾斜させて照射することを特
徴とするものである。
【0012】また、上記本発明に係るレーザ溶接方法に
おいては、レーザ光を溶接方向に対して交差する方向に
往復動させながら照射することが望ましい。
【0013】さらに、上記本発明に係るレーザ溶接方法
においては、レーザ光の光軸の傾斜角度を、薄板と厚板
との厚さの比に定数を乗じて算出された角度に設定する
ことが望ましい。
【0014】
【作用】本発明のレーザ溶接方法は、上述のように構成
したことにより、レーザ光の光軸を薄板側と厚板側との
突き合わせ接合部より厚板側から傾斜させた状態でレー
ザ光を照射すると、薄板側と厚板側との突き合わせ接合
部に突き合わせギャップが生じている場合であっても、
レーザ光は突き合わせギャップを通過することなく薄板
と厚板の端縁を溶融する。そして、特にレーザ光を溶接
方向に対して交差する方向に往復動させた場合には、レ
ーザ光の焦点の位置が薄板と厚板との両者に適切なエネ
ルギで照射するように調整される。したがって、厚板側
と薄板側は適度に溶融され、突き合わせギャップにおい
ても溶け落ちることなく両者の間で溶融した金属が流動
し、突き合わせ接合部に滑らかで良好な溶接ビードが形
成される。
【0015】上述したレーザ光の光軸の最適な傾斜角度
は、薄板と厚板との厚さを測定することによって、その
比に定数を乗じて設定する角度を容易に算出することが
できる。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の望ましい一実施例を、図を
参照しながら説明する。なお、図において同一符号は同
一部分または相当部分とする。
【0017】まず最初に、本発明を実施するための最適
なレーザ溶接装置について、図1ないし図2に基づいて
説明する。レーザ溶接装置は、概略、光源(図示を省略
した)と、光源からのレーザ光Lを被溶接物の突き合わ
せ接合部5に対して焦点が合うように集光して照射する
光学系を内部に備えたトーチヘッド6とから構成され、
レーザ光Lが、その光軸LC を薄板1と厚板2からなる
被溶接物3の突き合わせ接合部5から厚板2側に傾斜さ
せ、光学系を変位させることによってレーザ光Lを溶接
方向に対して直行する方向(図1の左右方向)に往復動
させて照射するものである。
【0018】トーチヘッド6は、図1に要部縦断正面図
で示すように、光源を備えた固定ヘッド7と、所定の角
度に揺動可能なトーチノズル8とから構成され、固定ヘ
ッド7とトーチノズル8とはベローズ状の可撓性を有す
る接合部9によって接合されている。固定ヘッド7には
トーチノズル8に向かって延在するブラケット10が設け
られ、ブラケットの10先端には、図2に側面図で示すよ
うに、モータ11が取付けられている。モータ10は、その
回転軸(図示を省略した)をトーチノズル8の側壁に接
合され、トーチノズル8を溶接線、すなわち、被溶接物
3の突き合わせ接合部5に対して直行する方向(図1の
左右方向)に揺動するように駆動し、任意の角度で傾斜
させて固定する。
【0019】光学系は、光源から発振されたレーザ光L
を反射し、かつ、集光するためのパラボリックミラー14
と、このパラボリックミラー14によって反射集光された
レーザ光Lをウィービングするために、所定の角度とサ
イクルで反射するように回動変位されるスキャニングミ
ラー15とから構成されている。なお、本発明に係るレー
ザ溶接方法に用いられるレーザ溶接装置は、この実施例
に限定されることなく、例えば、特開昭62−1448
88号公報に開示されているように、集光レンズを傾け
ることによって照射されるレーザ光Lのエネルギ密度を
板厚によって変化させたり、また、特開平5−5027
7号公報や特開平5−57466号公報に開示されてい
るように、集光レンズを往復動させることによってレー
ザ光の焦点を溶接方向に対して交差する方向に往復動さ
せるものとすることもできる。
【0020】パラボリックミラー14は、光源から発振さ
れたレーザ光Lをスキャニングミラー15に向かって集光
するように反射するため、凹状の放物面鏡からなるもの
で、固定ヘッド7内の下端に固定して設けられている。
【0021】スキャニングミラー15は、パラボリックミ
ラー14によって反射集光されたレーザ光Lを溶接方向に
対してウィービングしながら照射するように反射するた
め、平面状の鏡からなるもので、トーチノズル8内の上
部にガルバノメータ16によって支持され(図2参照)、
このガルバノメータ16の駆動によって回動変位される。
【0022】スキャニングミラー15は、光源から発振さ
れてパラボリックミラー14によって反射集光されたレー
ザ光Lの光軸LC が照射されるスキャニングミラー14の
表面上の点20(図1参照)を中心として回動変位され
る、すなわち、ガルバノメータ16のスキャニングミラー
15を支持している回動軸、およびトーチノズル8を揺動
させるモータの回転軸は、点20の延長線上に設定されて
いる。
【0023】スキャニングミラー15を回動変位させるガ
ルバノメータ16と、トーチヘッド6を任意の角度に傾斜
させるモータ11は、図2に示すように、制御装置22に接
続されている。この制御装置22から発信される信号に従
って、ガルバノメータ16が駆動されてスキャニングミラ
ー15を所定の角度とサイクルで回動変位させ、光源から
発振されてパラボリックミラー14によって反射集光され
たレーザ光Lを所定の振幅と周波数でウィービングしな
がらトーチノズル8の先端から照射する。また、制御装
置22は、薄板1と厚板2の板厚を計測する板厚計測装置
(図示を省略した)にも接続されており、この板厚計測
装置からの板厚情報を受け取って後述する方法によって
最適な角度θ0 を算出し、トーチノズル8を算出された
最適な角度に傾斜させるための信号をモータ11に発信す
る。
【0024】このように構成されたレーザ溶接装置は、
溶接ロボットのアーム先端の手首部等に取付けられ(図
示を省略した)、トーチノズル8の先端の下方には、被
溶接物3として、例えば、自動車のボデー外板として用
いられるパネル材を構成するための板厚0.8mmの薄
板鋼板1と板厚1.4mmの厚板鋼板2とが、その端縁
を突き合わせ接合した状態で治具(図示を省略した)等
によって配置される。そして、溶接ロボットは、そのア
ームを薄板鋼板1と厚板鋼板2との突き合わせ接合部
5、すなわち、溶接線に沿って、トーチノズル8の先端
が移動するように駆動される。なお、溶接線5に沿って
レーザ溶接装置を移動させる際に、溶接ロボットのアー
ムの傾斜の変化等によってトーチノズル8の溶接線5に
対する傾斜角度が変化するような場合には、制御装置22
によって溶接線5に対するトーチノズル8の絶対傾斜角
度が一定となるように、溶接ロボットのアームに対する
レーザ溶接装置の相対傾斜角度が補正される。
【0025】次に、上述のレーザ溶接装置を用いて厚さ
の異なる被溶接物を突き合わせ溶接するため、本発明に
係るレーザ溶接方法の具体例について、図3乃至図6に
基づいて説明する。
【0026】薄板鋼板1と厚板鋼板2とを治具等によっ
て所定の位置に突き合わせた状態で配置し、レーザ光L
を光源から発振してトーチノズル8の先端から照射す
る。このとき、例えば、周波数60HZ 、振幅巾W0.
5mmの設定でレーザ光Lを薄板鋼板1と厚板鋼板2と
の突き合わせ接合部5を往復動させてウィービングさせ
るべく(図3参照)、スキャニングミラー15が回動変位
するように、ガルバノメータ16を駆動する信号が制御装
置22から発信される。また、両鋼板1,2の板厚が板厚
計測装置によって計測され、制御装置22は、板厚に応じ
た最適な角度を算出決定し、トーチノズル8が被溶接物
3の突き合わせ接合部5に対して直行する方向(図1の
場合、左方向)に揺動させるべく、モータ11を駆動する
よう信号を発信する。これによって、レーザ光Lの振幅
中心における光軸LC1は、薄板鋼板1の厚板鋼板2との
突き合わせ接合部5の下面を中心として、突き合わせ中
心25から厚板鋼板2側(図3において右側)に角度θで
傾斜している。
【0027】レーザ光Lの焦点P1 は、図3に示すよう
に、厚板鋼板2側の最大振幅位置26において厚板鋼板2
の上面に位置するように調整されている。上述したよう
に光軸LC が厚板鋼板2側に角度θで傾斜しているた
め、薄板鋼板1側の最大振幅位置27におけるレーザ光L
の焦点P2 は、薄板鋼板1上に高くずれて位置し、薄板
側と厚板側との両者に必要な位置に調整され、レーザ光
のエネルギを突き合わせ接合部に有効に作用させること
ができる。すなわち、厚板鋼板2はレーザ光Lの最大エ
ネルギによって充分に溶融され、薄板鋼板1はレーザ光
Lの焦点がずれて弱められたエネルギによって溶け落ち
ることなく適度に溶融され、薄板鋼板1と厚板鋼板2と
の間で溶融した金属が流動し、図4に示すように、突き
合わせ接合部5に良好な溶接ビード30が形成される。ま
た、薄板鋼板1と厚板鋼板2との突き合わせ接合部5に
突き合わせギャップG(図10参照)が生じた場合であ
っても、図3に示すように、レーザ光Lは傾斜した状態
で照射されるため、突き合わせギャップGを通過するこ
となく、薄板鋼板1と厚板鋼板2の端縁を溶融して、確
実に溶接することができる。
【0028】図5は、溶接ビード30とレーザ光Lの傾斜
角度θとの関係の一例を示したもので、溶接ビード30に
おける表ビード幅30a (図4参照)の変移31と、裏ビー
ド幅30b の変移32を示している。図5から明らかなよう
に、レーザ光Lの光軸LC を厚板鋼板2側に傾斜させる
と、傾斜角度θ0 において裏ビード幅30b が最大とな
り、表ビード幅30a も従来のレーザ光Lを突き合わせ接
合部5に鉛直に照射していた傾斜角度θ=0よりも多く
なる。すなわち、厚板鋼板2から薄板鋼板1にかけて良
好な溶接ビード30を形成し、厚さの異なる板材を滑らか
で品質の高い突き合わせ溶接を行うことができる。また
これとは逆に、レーザ光Lの光軸LC を傾斜角度θ0
りも薄板鋼板1側に傾斜させた場合には、薄板鋼板1側
のレーザ光Lの照射が過大となって薄板鋼板1の溶け落
ちが発生する。
【0029】図6は、薄板鋼板1と厚板鋼板2との突き
合わせ接合部5に突き合わせギャップGが生じた場合の
突き合わせギャップ限界とレーザ光Lの傾斜角度θとの
関係の一例を示したものである。ここで、突き合わせギ
ャップ限界とは、突き合わせギャップによって溶け落ち
等の溶接欠陥が発生する突き合わせギャップ量をいう。
図6から明らかなように、レーザ光Lの光軸LC を厚板
鋼板1側に傾斜させると、突き合わせ接合部5が広く溶
融されて溶融金属が厚板鋼板2側と薄板鋼板1側とにか
けて滑らかに流動するので、従来のレーザ光Lを突き合
わせ接合部5に鉛直に照射していた傾斜角度θ=0の場
合と比較して、突き合わせギャップ限界は大きい値とな
り、傾斜角度θ0 において最大となる。すなわち、突き
合わせギャップGがある場合においても確実に突き合わ
せ溶接することができる。レーザ光Lの光軸を傾斜角度
θ0 よりもさらに厚板鋼板側に傾斜させると、突き合わ
せギャップ限界は減少し、溶接芯ズレが発生する。また
これとは逆に、レーザ光Lの光軸LC を傾斜角度θ0
りも薄板鋼板1側に傾斜させた場合には、薄板鋼板1側
のレーザ光Lの照射が過大となると共に、突き合わせギ
ャップを補うだけの厚板鋼板2と薄板鋼板1とを溶融す
ることができないため、薄板鋼板1の溶け落ちが発生す
る。
【0030】以上のことから、レーザ光Lの光軸LC
傾斜角度θは、θ0 のときが最適であるということがで
きる。そして、このレーザ光Lの光軸LC の最適な傾斜
角度θ0 は、薄板鋼板1の板厚T1 と厚板鋼板2の板厚
2 との板厚比に相関するため、溶接実験によって求め
られる定数Kに、薄板鋼板1と厚板鋼板2との板厚の比
を乗じた次式、 θ0 =K×T2 /T1 に基づいて制御装置22よって算出される。そして、制御
装置22は、モータ11を駆動するよう信号を発信し、レー
ザ光Lの振幅中心において、薄板鋼板1の厚板鋼板2と
の突き合わせ接合部5の下面を中心とする光軸LC1の傾
斜角度θ(図3参照)が算出された最適な傾斜角度θ0
となるように、トーチノズル8を揺動させる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、厚さの異なる板材をレ
ーザ光によって突き合わせ溶接する際に、レーザ光の光
軸を被溶接物の突き合わせ接合部から厚さの大きい被溶
接物側に傾斜させたことによって、突き合わせギャップ
がある場合においても厚さの異なる板材を、鋭角な段差
部や溶け落ち等の溶接欠陥を発生させることなく、確実
に突き合わせ溶接することができ、しかも、突き合わせ
接合部に良好な溶接ビードを形成して滑らかで品質の高
い突き合わせ溶接を行うことができる等の効果を奏す
る。さらに、本発明によれば、レーザ光の焦点の位置を
薄板側と厚板側との両者に有効に作用させることができ
るように調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ溶接方法を実施するために
用いられるレーザ溶接装置の要部縦断正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明に係るレーザ溶接方法を示す概念図であ
る。
【図4】本発明に係るレーザ溶接方法によって良好な溶
接ビードが形成された状態の板材の突き合わせ溶接部分
を示す断面図である。
【図5】溶接ビードとレーザ光の傾斜角度θとの関係の
一例を示した図である。
【図6】突き合わせ接合部に突き合わせギャップが生じ
た場合の突き合わせギャップ限界とレーザ光の傾斜角度
θとの関係の一例を示した図である。
【図7】従来から一般的に用いられているレーザ溶接装
置の要部縦断正面図である。
【図8】レーザ光を突き合わせ接合部に対してウィービ
ングさせる状態を示す概念図である。
【図9】薄板側の溶融熱量が過大となって、薄板側に溶
け落ちが発生した状態の板材の突き合わせ溶接部分を示
す断面図である。
【図10】突き合わせギャップが生じた状態の板材の突
き合わせ溶接部分を示す断面図である。
【図11】肉厚の薄い部分が発生した状態の板材の突き
合わせ溶接部分を示す断面図である。
【図12】突き合わせギャップを超えたことによって、
突き合わせ溶接部分に溶け落ちが発生した状態の板材を
示す断面図である。
【図13】突き合わせギャップが大きいために、レーザ
光が通り抜けて突き合わせ溶接を行うことができない状
態の板材を示す断面図である。
【符合の説明】
L レーザ光 LC 光軸 1 薄板鋼板 2 厚板鋼板 3 被溶接物 5 突き合わせ接合部 25 突き合わせ中心

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さの異なる被溶接物を突き合わせて配
    置し、該被溶接物の突き合わせ接合部に、レーザ光を照
    射して突き合わせ溶接するレーザ溶接方法において、 前記レーザ光の光軸を被溶接物の突き合わせ中心から厚
    板側に傾斜させて照射することを特徴とするレーザ溶接
    方法。
  2. 【請求項2】 レーザ光を溶接方向に対して交差する方
    向に往復動させながら照射することを特徴とする請求項
    1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 【請求項3】 レーザ光の光軸の傾斜角度を、薄板と厚
    板との厚さの比に定数を乗じて算出された角度に設定す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ溶
    接方法。
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