JP3533987B2 - 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材 - Google Patents

電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材

Info

Publication number
JP3533987B2
JP3533987B2 JP12856799A JP12856799A JP3533987B2 JP 3533987 B2 JP3533987 B2 JP 3533987B2 JP 12856799 A JP12856799 A JP 12856799A JP 12856799 A JP12856799 A JP 12856799A JP 3533987 B2 JP3533987 B2 JP 3533987B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
housing
conduction path
heat conduction
display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12856799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000232284A (ja
Inventor
浩一 木村
昭一 宮原
耕太 西井
元信 河原田
勝英 名取
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP12856799A priority Critical patent/JP3533987B2/ja
Publication of JP2000232284A publication Critical patent/JP2000232284A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3533987B2 publication Critical patent/JP3533987B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器筐体及び
それに用いる熱伝導パス部材に係り、とくにその放熱構
造に関する。
【0002】近年、ノート型パソコン(以下、パソコン
と略記する)に代表される携帯型電子機器は、小型化、
軽量化、高性能化の要求が高まるに伴って、筐体容積が
小さくなってきている。また、プリント配線板上の単位
面積当たりに搭載される電子部品の数が増加し、その電
子部品の発熱量も増大している。例えば高速のMPU
(Microprocesser Unit)やCPU
(Central Processing Unit)
は省電力型でさえ6.5Wを超えるものが使用されるよ
うになって筐体内部の発熱量はさらに増大傾向にある。
【0003】このためパソコンなどにおいて、筐体内部
で発生する熱を効率的に筐体外へ放熱し、電子機器の信
頼性や安定した動作を確保することが強く要望されてい
る。
【0004】
【従来の技術】パソコン筐体は、図19及び図20に示
すように本体部筐体1と表示部筐体2とに分かれ、本体
部筐体1及び表示部筐体2は回動可能なヒンジ部3で接
続されている。
【0005】表示部筐体2は、ヒンジ部3を中心に回動
して本体部筐体1に対し開閉する構造で、非使用時には
閉じられ、使用時には任意の角度に開かれ保持される。
【0006】本体部筐体1は、高発熱体である高速のM
PUなどの電子部品を搭載したメイン配線板4、サブ配
線板5、HDD(Hard Disk Drive)
6、PCMCIAカード(Personal Comp
uter Memory Card Interfac
e Association)7、電池8及びこれらの
上を覆うキーボード9(図19は図示略、図20参照)
などを配設し、他方の表示部筐体2は主に表示パネル
〔液晶ディスプレイ,Liquid Crystal
Display(LCD)〕11を搭載して構成されて
いる。
【0007】このような構成のパソコンで発熱が課題と
されているのは、発熱量の大きな本体部筐体である。本
体部筐体の内部で発生する熱の放熱手段としては、図1
9に示したMPUなどの高発熱体の上に設けたヒートス
プレッダ(熱拡散板)10がある。またこの他、空冷フ
ァン、放熱フィン、ヒートシンク、ヒートパイプ、ソフ
トによるクロックパルス数の減少などがある。
【0008】なお、ヒートパイプは、パイプの一端(高
温部)が加熱されると、内部に減圧封入された熱媒体が
気化されてガス通路を他端(低温部)へ移動し、他端を
冷却して液化され、還流通路を毛細管現象により高温部
へ還流循環して高温部の熱を低温部へ移動(輸送)する
ものである。
【0009】これらの中、強制対流を発生させて冷却す
る空冷ファンは、最も有効な冷却手段の一つで多用され
ている。また、放熱フィンは、この強制対流下や自然対
流下で最も放熱効果が大きいため、筐体外部に露出させ
たものもある。
【0010】あるいは、特開平8−162576号公
報、特開平9−6481号公報、特開平10−3995
5号公報などは、ヒートパイプとヒートシンクを組み合
わせて使用し、本体部筐体の内部全体に熱を拡散させて
放熱する構造や、本体部筐体の内部で発生する熱を受熱
板やヒートパイプを連結したヒンジ部に導き、さらにこ
のヒンジ部に連結した表示部筐体の放熱板に移動し、表
示部筐体から熱放散する構造などが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな上記放熱構造によれば、空冷ファンによる場合、電
子機器筐体の小型、薄型化あるいは電子部品の高密度実
装化により筐体内部の空気の対流が悪くなり、空気の流
出入路や空冷ファンの実装スペースの確保が難しい。
【0012】また、外部に露出した放熱フィンは、意匠
上の外観を悪くするとか、あまり高温のそれに手が触れ
たりすると、低温やけどの恐れがあるという問題があ
る。
【0013】また、筐体内部で熱拡散して放熱する場合
は、逆にHDDやPCMCIAカードなどの低発熱の部
品の温度を上昇させてしまうという問題がある。
【0014】また、ヒンジ部の両側の一方に受熱板やヒ
ートパイプを、他方に放熱板を連結して本体部筐体内部
で発生する熱をヒンジ部を経由して表示部筐体に移動さ
せる場合、別体のものが連結して(継いで)あるため、
その継ぎ目の部分での熱抵抗が大きくなるという問題が
ある。
【0015】また、パソコン筐体の表面から放熱する場
合に、その表面温度は或る程度高い方が放熱効果の点で
好ましいが、筐体表面温度が45゜Cを超えると、低温
やけどの恐れがあるという問題がある。
【0016】我々は、既に特開平7−124995号公
報の「電子機器筐体の製造方法」において、アルミニウ
ムなどの金属基板をベースに樹脂を溶融接着して、軽量
かつ高強度で放熱性のよい電子機器筐体を製造するイン
モールド法を開示している。
【0017】そこで、このインモールド法を応用するこ
とにより、パソコン筐体を例にして、本体部筐体内の高
発熱体と表示部筐体の放熱部とを直接接続した熱伝導経
路を備える電子機器筐体を提案する。
【0018】
【0019】上記問題点に鑑み、発熱量の大きな本体部
筐体の内部の熱を発熱量の小さな表示部筐体の放熱部へ
表示部筐体の開閉に支障なく移動し、自然対流により外
部に熱放散する電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パ
ス部材を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電子機器筐体の請求項1においては、発熱
体を有する第1の筐体(前記本体部筐体に対応)と、該
第1の筐体に対しヒンジ部により開閉する第2の筐体
(前記表示部筐体に対応)とで構成される電子機器筐体
において、前記第2の筐体の一部として一体構成され、
金属基板を基材にして該金属基材の周縁に樹脂で成形し
た側枠を備えて外部に熱放散する放熱部と、該放熱部の
一端に接続され、前記第1の筐体と第2の筐体とに跨が
って配置される熱伝導パス部と、該熱伝導パス部に接続
されて前記第1の筐体の内部で発生する熱を前記第1の
筐体内で受熱する受熱部とが前記金属基材の一部を延在
して形成され、前記放熱部と前記熱伝導パス部と前記受
熱部とが一体で形成されて構成する。
【0021】これにより、第1の筐体で発生する熱を第
2の筐体の放熱部へ直接移動する熱伝導経路である受熱
部及び熱伝導パス部をインモールド法により継ぎ目なく
一体で製作しているため、熱伝導経路の熱抵抗を継ぎ目
のある熱伝導経路より小さくできる。したがって、受熱
部は、第1の筐体の内部の主にMPUなどの高発熱体が
発生する熱を受熱(集熱)し、熱伝導パス部を経由させ
て放熱部に効率よく直接、熱伝導し放熱できる。
【0022】しかも、熱伝導パス部を湾曲可能にするこ
とにより、第2の筐体の開閉に差支えることはない。ま
た、放熱部は第2の筐体の大部分を占める面積にするこ
とにより、熱を広く拡散できて外部に効率よく熱放散で
きる。
【0023】さらに、放熱部は、金属基板を基材にして
金属基板の周縁に樹脂で成形した側枠を備えるととも
に、熱伝導パス部及び受熱部は、放熱部の金属基板の一
部を延在して形成されることにより、電子部品の発生す
る熱を熱伝導性のよい銅やアルミニウムなどの金属基板
を通して効率よく伝導できる。また、金属基板面を外気
面に露出することで外部に効率よく熱放散できる。
【0024】
【0025】また、請求項においては、熱伝導パス部
は、前記金属基板の表面が樹脂で被覆されことによ
り、熱伝導パス部の表面温度を低く抑えることができ、
熱伝導パス部の下方に配設されたプリント配線板や電子
部品などに及ぼす熱影響を軽減でき、その温度上昇を少
なくすることができる。また、使用者に体裁上の不快感
を与えないという効果がある。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した各実施例に基
づいて本発明の要旨を詳細に説明する。なお、従来の図
19及び図20と同じ構成部品には同一符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0040】先ず、第1の実施例のパソコン筐体の放熱
構造について説明する。
【0041】パソコン筐体は、先の図19に示したと同
様に、MPUなどを搭載したプリント配線板、HDD、
PCMCIAカード、電池、キーボードなどを組み込ん
だ本体部筐体と、主にLCDを搭載した表示部筐体とで
構成され、本体部筐体と表示部筐体とをヒンジ部で開閉
可能に結合する。なお、この場合のヒンジ部は、ピンと
ピン孔が係合して回動する周知の一般のヒンジ構造であ
る。
【0042】パソコン筐体の放熱構造は、発熱量の大き
な本体部筐体の内部の熱を発熱量の小さな表示部筐体へ
移動し効率的に放熱するため、本体部筐体に内設された
高発熱体と表示部筐体の放熱部とを結ぶ熱伝導経路を一
体化する。
【0043】それにより、熱伝導経路の熱抵抗は小さく
なって、本体部筐体の内部で発生する熱は、熱伝導経路
を通って表示部筐体の放熱部に直接、効率よく伝導され
て拡散し、放熱部全体から自然対流により外部に熱放散
される。
【0044】図1に示すように、底の浅い箱型の表示部
筐体20は、表示部筐体20の底部の大部分を構成する
放熱部21と、この放熱部21の一端から舌片状に延在
させた熱伝導パス部22と、熱伝導パス部22から更に
延在させて本体部筐体24内で発生する熱を受熱(集
熱)して熱伝導パス部22に熱伝導する受熱部23とで
一体で備える。
【0045】放熱部21は、熱伝導パス部22を通って
移動した熱を受熱して広く拡散し、外部に自然対流によ
り熱放散する。そのため、放熱部21は、できるだけ広
い面積にして放熱効果を大きくする。
【0046】熱伝導パス部22は、表示部筐体20と本
体部筐体24とに跨がって表示部筐体20の開閉にした
がって2つ折り状に湾曲し易くし(図6の符号22参
照)、受熱部23からの熱を表示部筐体20の放熱部2
1へ直接伝導する。
【0047】受熱部23は、本体部筐体24に内設され
た発熱体に密着して取り付けられた高熱伝導性の金属、
例えばアルミニウムで製作されたヒートスプレッダ(図
19の符号10参照)上にねじ止めなどにより固定し、
本体部筐体の内部で発生する熱、主としてMPUなどの
高発熱体の発生する熱を受熱する。なお、ヒートスプレ
ッダとの接触面は、熱伝導をよくするためにサーマルコ
ンパウンドを塗布する。
【0048】つぎに、表示部筐体の製造方法について説
明する。
【0049】図2に示すように、表示部筐体20の放熱
部21は、高熱伝導性の金属基板25を基材(心材)と
し、その裏面の周縁部Xの範囲を樹脂26で被覆し、更
にその外周を四角枠形に立ち上げた側枠27と図示しな
いヒンジ取付部及び必要に応じて備えるねじ孔用ボスや
補強リブなどとを同じ樹脂26で一体射出成形して形成
する。この金属基板25面は、樹脂26で被覆した周縁
部Xを除いて外部に露出する。
【0050】さらに、この放熱部21は、本体部筐体と
の熱伝導経路を一体で形成するために、基材である金属
基板25の一部を図1に示した本体部筐体24の高発熱
体の方に延在して熱伝導パス部22及び受熱部23を形
成する。
【0051】図3及び図4のそれぞれの(a),(b) 図は、
表示部筐体の射出成形工程を示す。
【0052】熱伝導及び放熱は、主として基材である金
属基板により行われるので、金属基板の材料としては、
銅(熱伝導率400W/mK)を用いると効果的であ
る。また、銅より熱伝導率は劣るがアルミニウム(熱伝
導率230W/mK)を用いると、表示部筐体を強化で
きる。
【0053】銅の場合には厚さを0.1〜0.3mmに
し、アルミニウムの場合には厚さを0.1〜0.6mm
程度にする。本実施例では、厚さ0.2mmの銅を用い
る。なお、銅は銅合金、アルミニウムはアルミニウム合
金でもよく、以下の銅、アルミニウムはそれらの合金も
含むものとする。
【0054】図3の(a)図において、基材となる金属
基板25は、脱脂、洗浄した後、成形時の溶融樹脂を接
着するため、裏面(紙面側)の周縁部にニトリルゴム系
の接着剤28をスクリーン印刷またはスプレーにて20
μmの厚さで均一に塗布し、つぎに図1に示した放熱部
21、熱伝導パス部22及び受熱部23を形成する形状
にプレス加工などにより姿抜きする。
【0055】また、金属基板25は、つぎの射出成形工
程において成形用金型に位置決めするための位置決め用
孔29を穿設する。なお、金属基板は先に姿抜きした
後、接着剤を塗布する逆順でもよい。
【0056】図3の(b)図において、金属基板25を
成形用金型30に位置決めセットする。
【0057】ここで使用する成形用金型30は、下金型
30aと上金型30bとで構成する。下金型30aは、
金属基板25の位置決め用孔29と対応する位置に穿設
したガイド孔31にスライド可能な段付きの固定ピン3
2を備え、固定ピン32の小径部に挿入されたコイルば
ね33により樹脂26の進入方向とは反対方向に付勢さ
れる。その付勢力は、樹脂26の注入圧力により押し戻
される程度に設計される。
【0058】下金型30aと対になる上金型30bは、
固定ピン32の同心上に樹脂26を注入するランナ34
を備える。また、樹脂26の注入圧力によって押し戻さ
れる固定ピン32を受け止めるストッパ35を備え、下
金型30aと上金型30bとを型締めすることによって
キャビティ36が形成される。
【0059】なお、放熱部から延出された図示しない熱
伝導パス部及び受熱部は、樹脂を同時に被覆成形しない
構成の場合、当然に成形用金型から外部に出される。
【0060】樹脂26は、熱可塑性で、例えばABS−
PC(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂
〔CF(Carbon Fiber)を20重量%充
填〕を使用する。射出成形条件は、樹脂溶融温度240
°C、射出圧力600kgf/cm2 、射出時間1.5
秒間である。
【0061】図4の(a)図において、樹脂26がラン
ナ34から注入されると、固定ピン32は樹脂26の注
入圧力により押し戻されてストッパ35に衝接する。こ
のとき、固定ピン32の上端面は、金属基板25の表面
に一致するように予め、設計される。
【0062】樹脂26がキャビティ36内に充満する
と、位置決め用孔29はその樹脂26によって塞がれる
こととなる。そのため、固定ピン用孔29を塞ぐ手段及
び工程は必要がなく成形が容易となり、成形用金型の構
造を簡素化できる。
【0063】図4の(b)図において、表示部筐体20
は、樹脂26を冷却硬化させた後、成形用金型を開いて
図示しないノックアウトピンにより離型して取り出す。
これらの工程により完成された表示部筐体20は、放熱
部21から延出した図示されない金属基板でなる熱伝導
パス部及び受熱部を一体で備えている。
【0064】このようにして製作された表示部筐体の放
熱効果を評価するため、図5及び図6に示すように、表
示部筐体20を本体部筐体24にヒンジ部37で結合し
てパソコンに組み上げ、パソコンを動作させて温度測定
を行った。
【0065】なお、パソコンの動作中の消費電力は、プ
リント配線板8.9W(MPUの5W分を含む)、電源
2.8W、HDD2.5W、PCMCIA1.5Wで、
それぞれが相当する熱を発生する。
【0066】そして、放熱効果を比較するため、比較例
1を試作する。
【0067】図7に示すように、この比較例1の表示部
筐体40は、放熱部41を受熱部及び熱伝導パス部とは
一体で製作せずに、別体で製作したものを接続した構造
とする。即ち、放熱部41は、熱伝導パス部42及び受
熱部43を切り離した形状で、第1の実施例と同じイン
モールド法により製作する。
【0068】熱伝導パス部42及び受熱部43の方は、
別体の金属基板、厚さ0.2mmの銅で製作し、端部を
放熱部41の縁端の金属面に重ねてスチレンゴム系の接
着剤で接着する。
【0069】この表示部筐体40を、第1の実施例と同
じ本体部筐体24にヒンジ部37で結合してパソコンに
組み上げ、受熱部43を第1の実施例と同じようにヒー
トスプレッダに固着する。そうして、パソコンの動作中
の温度を測定した。
【0070】その結果、第1の実施例は、比較例1と比
べてMPUの温度が5°C低下し、表示部筐体の放熱部
の表面温度は最も高い熱流入部の近辺で35°Cを下回
り、パソコン筐体表面の温度基準である45°C以下を
達成できた。
【0071】比較例1は、熱伝導パス部が放熱部と接着
剤で接着・接続されているために熱抵抗が第1の実施例
より大きくなったもので、熱伝導経路を継ぎ目なく一体
化した第1の実施例の放熱構造の方が、比較例1より熱
伝導効率が優れていることが確認された。もちろん、比
較例1でも放熱部の表面温度は熱流入部の近辺で40°
Cを下回り、温度基準45°C以下を満足しているた
め、十分に実用できることは言うまでもない。
【0072】また、この第1の実施例での金属基板は、
厚さ0.2mmの銅でなく、厚さ0.4mmのアルミニ
ウムに代えてもほぼ同等の放熱効果が得られ、しかも表
示部筐体として十分な機械的強度を確保できることも追
認された。
【0073】また、放熱部、熱伝導パス部及び受熱部の
金属基板は、放熱部の外気側表面及び受熱部のヒートス
プレッダとの接続面を除く表裏面、あるいは受熱部のヒ
ートスプレッダとの接続面だけを除く表裏面に0.2m
mの樹脂を被覆し、受熱部の金属面を直接、ヒートスプ
レッダに接続する場合でも第1の実施例とほぼ同等の作
用、効果があることが確認された。
【0074】つぎに、第2の実施例を説明する。
【0075】図示を省略するが、この第2の実施例の表
示部筐体は、第1の実施例の金属基板の代わりに基材と
して厚さ0.1mmのグラファイトシートを使用し、第
1の実施例と同様にインモールド法により表示部筐体を
製作する。
【0076】なお、グラファイトシートは、放熱部、熱
伝導パス部及び受熱部の内面全面と熱伝導パス部の反対
面とを厚さ0.2mmの樹脂で被覆し、とくに縁端部が
裂けるのを防止する。また、受熱部は、グラファイトシ
ートのヒートスプレッダと接触する面に樹脂を被覆せ
ず、グラファイトシート面をヒートスプレッダに直接固
着する。
【0077】この表示部筐体を使用したパソコンの動作
中の温度を測定した。その結果、比較例1と比べて、M
PUの温度は7°C低下し、表示部筐体の放熱部の表面
温度は35°Cを下回った。
【0078】これは、グラファイトシートの面方向の熱
伝導率が600W/mK、厚さ方向の熱伝導率が5W/
mKで、熱伝導率において異方性があって銅やアルミニ
ウムよりも優れているためである。
【0079】このような面方向の異方性を利用して、異
方性方向を熱伝導方向に略一致させることにより、熱伝
導方向の熱抵抗を小さくできるため、本体部筐体の内部
のMPUなどの高発熱体が発生する熱を熱伝導経路に沿
って受熱部から熱伝導パス部を通って放熱部へと効果的
に熱伝導できる。
【0080】なお、ヒートスプレッダから受熱部への熱
伝導は、グラファイトシートの厚さが0.1mmと薄い
ため、グラファイトシートの厚さ方向の熱伝導よりヒー
トスプレッダ面に直接接触したグラファイトシートの面
方向を主にして行われる。
【0081】また、熱伝導パス部のグラファイトシート
は両面を樹脂で被覆し、グラファイトシート自体の厚さ
方向の熱伝導率が小さいため、熱伝導パス部の近辺にあ
る他の部品に対する熱影響が少なくなり、熱伝導パス部
の下方に配設されたプリント配線板の温度は第1の実施
例と比べ、約3°Cほど低下した。
【0082】つぎに、第3の実施例を説明する。
【0083】図8の(a),(b)図に示すように、表
示部筐体50は、第1の実施例とは熱伝導パス部52の
みが異なる。即ち、放熱部51から延出した金属基板で
構成する受熱部53は、第1の実施例と同じように金属
基板(銅)のままとし、熱伝導パス部52だけが、同図
の(b)図に示すように、金属基板である厚さ0.2m
mの銅(または厚さ0.4mmのアルミニウム)の両面
に、インモールド時とは別工程で厚さ50μmのPET
シート56(Polyethylene Tereph
thalete Sheet)を接着する。
【0084】この表示部筐体50を同図の(a)図に示
すように、パソコンに組み込み、動作中の温度を測定し
た。
【0085】その結果、比較例1と比べて、MPUの温
度が7°C低下し、表示部筐体の放熱部の表面温度が3
5°Cを下回り、第2の実施例の基材がグラファイトシ
ートの場合と同程度の放熱効果が得られた。
【0086】また、この第3の実施例では、熱伝導パス
部である金属基板の両面がPETシートが接着されてい
るため、第2の実施例と同じように熱伝導パス部の下方
のプリント配線板や電子部品に対する熱影響が軽減さ
れ、プリント配線板の温度が第1の実施例と比べ、約3
°Cほど低下した。
【0087】つぎに、第4の実施例を説明する。
【0088】図6に示したように熱伝導パス部22は、
表示部筐体20と本体部筐体24とに跨がって配設され
ているため、表示部筐体20の開閉にしたがって繰り返
し湾曲される。
【0089】そのため、つぎのように表示部筐体の繰り
返し開閉評価を行った。
【0090】図示を省略するが、熱伝導パス部が厚さ
0.2mmの銅板を基材にした場合と、厚さ0.1mm
のグラファイトシートの両面に絶縁シート、例えば厚さ
0.1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シ
ートを接着した場合とで繰り返し湾曲試験を行った。
【0091】その結果、PETシートを両面に接着した
グラファイトシートの場合は、表示部筐体の繰り返し開
閉回数が銅基材の場合と比べて、2割ほど改善され、1
万回以上の開閉に耐えることが確認できた。
【0092】つぎに、表示部筐体の静荷重強度と放熱性
を評価するための第5の実施例を説明する。
【0093】図9に示すように、表示部筐体60は、第
1の金属基板65である厚さ0.4mmのアルミニウム
(板)を基材にして放熱部61をインモールド法により
射出成形し、第1の金属基板65は延出して図示しない
熱伝導パス部と受熱部とを一体形成する点では第1の実
施例と同様である。
【0094】但し、この第5の実施例ではとくに、放熱
部61の基材である第1の金属基板65の内面に被覆さ
れた厚さ0.2mmの樹脂66の上に第2の金属基板6
7の厚さ0.1mmの銅をエポキシ樹脂系の接着剤で接
着した構造とし、第1の金属基板65の表面を外気面と
する点が異なる。
【0095】比較例2として、図示を省略するが、内面
に銅を接着しない表示部筐体を製作し、静荷重強度を比
較した。測定は、表示部筐体の長辺両端部を支持し、中
央部に上から折り曲げ荷重を加えていき、そのときの中
央部の撓み寸法で比較する。
【0096】その結果、内面に厚さ0.2mmの銅を接
着した表示部筐体は、比較例2の銅を接着していない表
示部筐体と比べて、撓み量が1/3以下になり、銅によ
って十分な補強効果が得られることが判明した。
【0097】また、温度測定では、比較例2と比べて、
MPUの温度が10°C低下し、表示部筐体の表面温度
は35°Cを下回った。
【0098】つぎに、第6の実施例を説明する。
【0099】図10に示すように、表示部筐体70は、
第1,第2の金属基板75,76である厚さ0.4mm
のアルミニウムを、平均直径0.2mmのスペーサを兼
ねる球状の金属粒子77aを混ぜたエポキシ系の接着剤
77で接着してほぼ0.2mmの空気層78を有する空
間を形成したものを基材とし、第1の金属基板75を外
気面側にして第1の実施例と同様にインモールド法によ
り製作する。この場合、熱伝導パス部及び受熱部は、図
示を省略するが内側の第2の金属基板76だけが放熱部
71から延出されて一体形成される。
【0100】なお、空気層78は、第1の金属基板75
の接着面に接着剤を予め、所定寸法の間隔と帯幅とで一
方向に塗布した後、第2の金属基板76を圧着して形成
される。また、射出成形時の空気抜き孔79が、内側と
なる第2の金属基板76の適切な位置に設けられてい
る。
【0101】この表示部筐体をパソコンに組み込んで、
動作中の温度を測定した。放熱部に空気層を設けたこと
により、熱伝導パス部から伝導された熱は、放熱部の全
面に一層拡散されることとなり、表示部筐体の表面温度
は32°Cを下回った。
【0102】つぎに、第7の実施例を説明する。
【0103】図11に示すように、表示部筐体80は、
それぞれが厚さ0.4mmと0.2mmの第1,第2の
金属基板85,86であるアルミニウムと銅を約0.5
mmの空間を有して重ね、この空間に厚さ0.2mmの
アルミニウム製の金属網87を入れて形成したものを基
材とし、第1の金属基板85を外気面側にして第1の実
施例と同様にインモールド法により製作する。なお、金
属網87は銅でもよい。
【0104】この場合、図示を省略するが、熱伝導パス
部及び受熱部は、内側の第2の金属基板86だけが放熱
部81から延出されて一体形成される。また、図11の
ように、射出成形時の空気抜き孔89が、内側の第2の
金属基板86の適切な位置に設けられている。
【0105】そして更に、成形後、金属網87の隙間空
間に、空気抜き孔89から冷却液88として純水あるい
はフロン134aまたは142bを内部容積の10%を
封入する。
【0106】この表示部筐体をパソコンに組み込んで、
動作中の温度を測定した。空間に入れた冷却液が温度上
昇によって空間内を対流し冷却されることによって熱の
対流が発生することにより、MPUの温度が12°C低
下し、表示部筐体の表面温度は35°Cを下回り、さら
に放熱部表面の温度分布が均一化した。
【0107】ところで、上記説明の各実施例は、本体部
筐体の内部で発生する熱を直接、熱伝導経路を通して表
示部筐体の放熱部に伝導し外部に熱放散したが、以下に
本体部筐体から表示部筐体の放熱部への熱伝導経路を、
熱を移動中継可能な回動手段に代えたパソコンの放熱構
造について説明する。
【0108】先ず、第8の実施例について説明する。
【0109】図12は、一実施例の回動手段を含む放熱
構造を示す平面図、図13は、図12における回動手段
の組立側断面図である。
【0110】図示するように、本体部筐体24と表示部
筐体40は、回動可能な左右2個のヒンジ部37と回動
手段90とで結合する。本発明の回動手段90は右側
で、左側のヒンジ部37は周知の一般のヒンジ構造でそ
の説明を省略する。
【0111】本発明の回動手段90は、その両側に外径
約4mmの第1,第2のヒートパイプ91,92を接続
する。ここで用いるヒートパイプは、例えば古河電気工
業株式会社製の市販品で、前述のように一端の高温部か
ら他端の低温部へ熱を移動(輸送)することができる。
【0112】第1のヒートパイプ91は、高温部を本体
部筐体24に内設されたMPUなどの高発熱体に固着さ
れたヒートスプレッダ10(図19参照)に密着させて
固定するとともに、中間部をヒートスプレッダ10を介
して高発熱体に無理な力が加わらないように、また軸心
を兼ねるため図示しない締付け具を用いて本体部筐体の
適切な位置に堅固に固定する。その反対側の低温部は、
回動手段90の回動側を構成する回動体93の軸心に挿
入して中心軸を兼ねる。
【0113】第2のヒートパイプ92は、第1のヒート
パイプ91を軸心にして回動する回動体93にその高温
部を挿入する。その反対側の低温部は、表示部筐体40
の放熱部41(図7に示した別体で形成の熱伝導パス部
42及び受熱部43が付属されていないもの)に密着さ
せて図示しない締付け具を用いて堅固に固定する。
【0114】つぎに、回動手段の構造を詳細に説明す
る。
【0115】図13に示すように、回動手段90は、高
熱伝導性の回動体93と軸受94とで構成する。
【0116】回動体93は、外径約20mm、長さ約4
0mmの円柱状で、内径10mmの中空孔93aを軸心
に開け、中空孔93aの底面の中心に第1のヒートパイ
プ91の低温部に形成された円錐体状の尖端部91aを
支持するための錐揉み孔93bと、後端部に第2のヒー
トパイプ92の高温部を固着する挿入孔93dを備え
る。
【0117】軸受94は、対角寸法が20mmの六角形
の頭部を有する六角ボルトの形状をしており、第1のヒ
ートパイプ91の低温部を挿通して回動可能に軸支する
軸孔94aを軸心に備え、おねじ部94bを中空孔93
aに設けためねじ部93cにねじ込んで固定する。
【0118】回動体93の錐揉み孔93bは、軸孔94
aに軸支された第1のヒートパイプ91の低温部の尖端
部91aをセンタリングして支持するとともに回動摩擦
抵抗を小さくする。
【0119】回動体93及び軸受94は、高熱伝導性金
属、例えば銅やアルミニウムなどを用いた場合、回動手
段90の熱抵抗は何れも8°C/W以下で、MPUの温
度を4°Cほど低下できた。
【0120】また更に、回動手段90の熱抵抗を下げる
ため、回動体93の中空孔93aに挿入される第1のヒ
ートパイプ91の低温部に高熱伝導性金属、例えば銅や
アルミニウム製の複数(図は4枚を例示)の円板状のフ
ィン95を嵌着する。このフィン95は、例えば外径9
mm、厚さ1mmとする。
【0121】このように、フィン95を追加することに
より、回動手段90の熱抵抗は5°C/W以下になり、
MPUの温度を6°Cほど低下できた。
【0122】また更に、回動体93の中空孔93a内の
熱伝導を促進するため、中空孔93a内に熱伝導性流体
96として流動性のよいシリコングリースを封入する。
なお、熱伝導性流体96の漏れを防止するため、軸受9
4の軸孔94aの内面に環溝を設け、Oリング97を挿
着する。
【0123】このように、中空孔93a内に熱伝導性流
体(シリコングリース)96を追加封入することによ
り、回動手段90の熱抵抗は1°C/W以下になり、M
PUの温度を10°Cほど低下できた。
【0124】あるいは、シリコングリースを液体金属9
8のインジウム−ガリウムに代えることにより、回動手
段90の熱抵抗は1°C/W以下になり、MPUの温度
を13°Cほど低下できた。
【0125】このように構成された回動手段は、表示部
筐体に固設した第2のヒートパイプの高温部を回動体に
結合・固定しているため、表示部筐体は第1のヒートパ
イプの低温部を中心軸として回動開閉できる。
【0126】また、本体部筐体に内設された高発熱体の
熱を第1のヒートパイプによって回動手段へ移動し、第
1のヒートパイプの低温部から放熱フィン及び熱伝導性
流体を介して高熱伝導性の回動体へ効率よく熱伝導す
る。
【0127】さらに、回動体に移動した熱は、第2のヒ
ートパイプを移動して表示部筐体の放熱部へ伝導されて
拡散し、放熱部の広い放熱面から外部に自然対流により
熱放散するため、高発熱体及び本体部筐体の内部の温度
上昇を抑えることができる。
【0128】つぎに、前述したように熱伝導パス部は、
表示部筐体と本体部筐体とに跨がって配設されているた
め、表示部筐体の開閉にしたがって繰り返し湾曲される
ため、熱伝導パス部が繰り返し湾曲により疲労するため
表示部筐体の開閉回数にある程度限度がある。これを改
善するため、熱伝導パス部と受熱部とを一緒にした別体
の熱伝導パス部材を製作した。
【0129】図14は、熱伝導パス部材の第1の実施例
の斜視図で、図15は、図14の展開図で、図15の
(a)図は平面図、(b)図はそのD−D断面図であ
る。
【0130】図14及び図15に示す第1の実施例の熱
伝導パス部材12、即ち12−1は、1枚の長方形のグ
ラファイトシート12aの一端部を中心から切り割いて
それぞれを外部に接続するための接続部12a−1〔図
15の(a)図の斜線部分参照〕とし、この接続部12
a−1の外部(相手側)との接続面を除く片面に絶縁シ
ート12bを接着剤12cで接着して貼り合わせ、この
貼り合わせ部分を渦巻き筒状に複数回巻いた巻回部13
を備えて構成する。
【0131】なお、図14及び図15に示す絶縁シート
12bをグラファイトシート12aの片面に貼り合わせ
ているが、両面がよい。また、必ずしも絶縁シート12
bを貼り合わせずに重ねて巻いてもよいが、巻くときの
作業性やグラファイトシートを補強する上で貼り合わせ
が望ましい。
【0132】このグラファイトシート12aは、例えば
厚さが10μmで熱伝導に対し面方向の異方性を有し、
その異方性方向を熱伝導する方向、即ち巻き方向に一致
させる。
【0133】絶縁シート12bは、例えば厚さが10μ
m(この程度の厚さは巻き易い)のポリエチレンテレフ
タレートシートまたはポリイミドシートを用い、かつそ
の幅はグラファイトシートの幅より大きくして耳端部か
ら例えば、0.5mm程度はみ出させ、耳端部を保護す
る。接着剤12cは、ホットメルト接着剤またはスチレ
ン系接着剤を用いる。
【0134】このように、熱伝導パス部材は、グラファ
イトシート(絶縁シートを含む)を渦巻き筒状に複数回
巻いて積層することにより、その厚さを実質的に厚くし
ているため、熱伝導断面積を拡大できて熱抵抗を小さく
できる。
【0135】さらに、従来同様にグラファイトシートの
異方性方向を熱伝導する方向(巻き方向)に一致させて
いるため、熱伝導方向の熱抵抗はより小さくなって熱伝
導パス部材は一方の接続部から他方の接続部へ効果的に
熱伝導できる。
【0136】また、熱伝導パス部材を、巻回部を中心に
繰り返し湾曲させる場合、湾曲によって生じる曲げ応力
を巻回部全体に分散して熱伝導パス部材を長寿命化でき
る。
【0137】また、グラファイトシートは絶縁シートを
貼り合わせることにより補強されてさらに湾曲による疲
労を軽減できる。
【0138】さらに、貼り合わせる絶縁シートの幅をグ
ラファイトシートの幅より大きくしてグラファイトシー
トの耳端部を保護しているため、耳端部から発生する亀
裂による破損も防止できる。
【0139】つぎの図16は、熱伝導パス部材の第2の
実施例の斜視図である。
【0140】この第2の実施例の熱伝導パス部材12、
即ち12−2は、複数枚(図は3枚を示す)のグラファ
イトシート12aを用いることと、巻回部13が円柱形
の巻心14または円筒形の巻心15〔図は円筒形の巻心
(パイプ)を示す〕に巻かれている点が第1の実施例の
熱伝導パス部材12−1と異なり、外部との接続部12
a−1及び絶縁シート12bの貼り合わせは第1の実施
例の熱伝導パス部材12−1と同様である。
【0141】なお、複数枚のグラファイトシート12a
は、互いに接着により貼り合わせてもよく(ホットメル
ト接着剤またはスチレン系接着剤による)、貼り合わせ
ずに重ね合わせてもよい。
【0142】円柱形または円筒形の巻心14,15の材
料は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リイミドなどの樹脂材を用い、電気的絶縁と断熱を確保
する。なお、巻心14,15の外径寸法は約5mm、円
筒形の巻心(パイプ)15の場合の中空孔径寸法は配線
が挿通可能な約4mm程度にする。
【0143】グラファイトシートは巻心の利用で円筒形
に巻き易くなり、とくに複数枚のグラファイトシートは
巻き易くなって巻径寸法が精度よく抑られて、巻いた後
の形状くずれを防止できる。勿論、第1の実施例の熱伝
導パス部材においても巻心を利用してもよい。
【0144】また、円筒形の巻心(パイプ)を用いた場
合は、巻心の中空孔に配線などを通して省スペース化で
きる。
【0145】つぎに、上記熱伝導パス部材の一使用例
を、図17に示す図16を組み込んだパソコン筐体の平
面図及び図18に示す図17のE−E側断面図を用いて
説明する。なお、図19及び図20の従来のパソコン筐
体と同じ構成部品には同一符号を付し、その説明を省略
する。
【0146】熱伝導パス部材12の巻回部13から延出
した一方の接続部12a−1は、本体部筐体24内で最
も大きな発熱量をもつ発熱体24a(図18参照)、即
ちMPUの上面に接触させて、発生する熱を受熱(集
熱)する高熱伝導性金属板(例えば、アルミニウム板ま
たはその合金板など)でなるヒートスプレッダ10に例
えば、押さえ板16aで押さえてねじ止めする。
【0147】他方の接続部12a−1は、表示部筐体1
00と共に高熱伝導性金属板(例えばアルミニウム板ま
たはその合金板など)を基材にしてインモールド法によ
り一体成形された放熱部101(図1の熱伝導パス部2
2及び受熱部23のない形状のもの)の一端に押さえ板
16bでねじ止め(またはねじ止めできない基材の場
合、銅箔接着テープで接着)により接続する。なお、接
続面にはサーマルコンパウンドを塗布しておくとよい。
【0148】そのとき、熱伝導パス部材12の巻回部1
3の巻回軸心は、ヒンジ部37の回動中心に略一致する
ように配置する。
【0149】これにより、表示部筐体の開閉に伴う巻回
部の渦巻き状の巻径が拡縮変位して曲げ応力を巻回部全
体に分散されるため、表示部筐体の開閉に伴う熱伝導パ
ス部材の疲労を軽減する。
【0150】つぎに、このパソコンの筐体の放熱効果を
評価するため、パソコンを実際に動作させて温度測定を
行った。なお、パソコンの動作中の消費電力は、プリン
ト配線板8.9W(MPUの5W分を含む)、電源2.
8W、HDD2.5W、PCMCIA1.5Wで、それ
ぞれの電力に相当する熱を発生する。
【0151】そして、放熱効果を比較するため、前述し
た従来の放熱部と一体成形の熱伝導パス部を備えたパソ
コンを比較例として同様に動作させ温度測定を行った。
【0152】その結果、本発明の熱伝導パス部材で接続
した場合は、比較例に比べてMPUの温度が10°C低
下し、表示部筐体の表面温度は40°Cを下回り、パソ
コン筐体表面の温度基準である45°C以下を達成で
き、比較例に劣らない十分な放熱効果が確認できた。
【0153】また、熱伝導パス部材の絶縁シートである
ポリエチレンシートの幅をグラファイトシートの幅より
大きくして、グラファイトシートの耳端部を絶縁シート
で保護しているため、耳端部に亀裂が生じにくくなる。
【0154】表示部筐体の繰り返し開閉評価によれば、
熱伝導パス部材は表示部筐体の少なくとも2万回の開閉
に耐えられることが確認できた。
【0155】つぎに、図示はしないが、巻回部を円柱状
の巻心(素材はポリイミド樹脂)に巻いた熱伝導パス部
材を同様にパソコンに組み込み、動作試験を行った。
【0156】その結果、前記比較例に比べてMPUの温
度が15°C低下し、表示部筐体の表面温度は40°C
を下回り、パソコン筐体表面の温度基準である45°C
以下を達成でき、巻心を用いても放熱効果が低下しない
ことが確認された。
【0157】また、巻回部を巻心に巻いたことにより、
グラファイトシートの巻き形状のくずれを防止でき、巻
回部の内径寸法を精度よく確保できた。
【0158】また、巻回部を円筒状の巻心(パイプ)に
巻いた熱伝導パス部材でも同程度の放熱効果が得られ
た。
【0159】さらに、円筒形の巻心の中空孔に配線を通
すことができるため、パソコン筐体の内部空間が有効利
用されて省スペース化できる。
【0160】なお、表示部筐体の放熱部と共にインモー
ルド法により一体製作する熱伝導パス部及び受熱部に比
べて、図14及び図16の熱伝導パス部材は別体(単
体)で製作するので巻回部を設けることは容易となる。
【0161】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
本体部筐体(第1の筐体)に内設された主に高発熱体と
表示部筐体(第2の筐体)の放熱部とを結ぶ熱伝導経路
(熱伝導パス部と受熱部)を表示部筐体の一部として一
体構成する放熱部に継ぎ目なく一体形成することによ
り、熱伝導経路の熱抵抗をより小さくでき、本体部筐体
の内部で発生した熱を放熱部に効果的に伝導できるた
め、MPUなどの高発熱体に対して大きな冷却効果が得
られ、その温度上昇を少なくすることができる。
【0162】また、熱伝導パス部の金属基板の表面を樹
脂で覆った場合は、表面の温度上昇が抑えられてその下
側に配設されたプリント配線板や電子部品に対する熱影
響を軽減でき、使用者に感覚的の不快感を与えないとい
う効果がある。
【0163】
【0164】
【0165】さらに、第2の筐体は、外気と接する面を
アルミニウム板にすることで銅板より軽量化されて機械
的に補強でき、放熱効果を向上できる。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1の実施例の平面図
【図2】 図1に示す放熱部のB−B断面図
【図3】 図1の第2の筐体の製造工程を示す図
【図4】 図3に続く製造工程を示す図
【図5】 図1をパソコンに組み込んだ平面図
【図6】 図5のC−C側断面図
【図7】 図1との比較例1を示す平面図
【図8】 本発明による第3の実施例の平面図及び熱伝
導パス部の断面図
【図9】 本発明による第5の実施例の放熱部の部分断
面図
【図10】 本発明による第6の実施例の放熱部の部分
断面図
【図11】 本発明による第7の実施例の放熱部の部分
断面図
【図12】 本発明による一実施例の回動手段を含む放
熱構造を示す平面図
【図13】 図12における回動手段の組立側断面図
【図14】 本発明による熱伝導パス部材の第1の実施
例の斜視図
【図15】 図14の展開図
【図16】 本発明による熱伝導パス部材の第2の実施
例の斜視図
【図17】 図16を組み込んだパソコン筐体の平面図
【図18】 図17のE−E側断面図
【図19】 従来技術によるノート型パソコンを示す平
面図
【図20】 図19のA−A側断面図
【符号の説明】
10:ヒートスプレッダ 11:表示パネル 12,12−1,12−2:熱伝導パス部材 12a:グラファイトシート 12a−1:接続部 12b:絶縁シート 12c:接着剤 13:巻回部 14:円柱形の巻心 15:円筒形の巻心(パイプ) 16a,16b:押さえ板 20,40,50,60,70,80,100:第2の
筐体(表示部筐体) 21,41,51,61,71,81,101:放熱部 22,42,52:熱伝導パス部 23,43,53:受熱部 24:第1の筐体(本体部筐体) 24a:発熱体 25:金属基板 26:樹脂 27:側枠 28:接着剤 29:位置決め用孔 30:成形用金型 30a:下金型 30b:上金型 31:ガイド孔 32:固定ピン 33:コイルばね 34:ランナ 35:ストッパ 36:キャビティ 37:ヒンジ部 56:PETシート 65,75,85:第1の金属基板 66:樹脂 67,76,86:第2の金属基板 77:接着剤 77a:金属粒子 78:空気層 79:空気抜き孔 87:金属網 88:冷却液 89:空気抜き孔 90:回動手段 91:第1のヒートパイプ 91a:尖端部 92:第2のヒートパイプ 93:回動体 93a:中空孔 93b:錐揉み孔 93c:めねじ部 93d:挿入孔 94:軸受 94a:軸孔 94b:おねじ部 95:フィン 96:熱伝導性流体 97:Oリング 98:液体金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原田 元信 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (72)発明者 名取 勝英 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−97347(JP,A) 特開2000−10661(JP,A) 特開 平11−259181(JP,A) 特開2000−124643(JP,A) 特開 平11−177264(JP,A) 特開 平7−22576(JP,A) 特開 平6−334070(JP,A) 特開 平10−126081(JP,A) 特開 平10−98287(JP,A) 特開 平6−90069(JP,A) 特開 平8−124756(JP,A) 特開 平10−187284(JP,A) 特開 平8−204373(JP,A) 特開 平9−293985(JP,A) 特開 昭61−58860(JP,A) 特開 平11−144771(JP,A) 特開 平11−354951(JP,A) 特開 平11−201668(JP,A) 実開 平5−11475(JP,U) 実開 昭63−18892(JP,U) 実開 昭62−32592(JP,U) 実開 平3−97993(JP,U) 特表 平9−501016(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 7/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱体を有する第1の筐体と、該第1の
    筐体に対しヒンジ部により開閉する第2の筐体とで構成
    される電子機器筐体において、 前記第2の筐体の一部として一体構成され、金属基板を
    基材にして該金属基材の周縁に樹脂で成形した側枠を備
    えて外部に熱放散する放熱部と、 該放熱部の一端に接続され、前記第1の筐体と第2の筐
    体とに跨がって配置される熱伝導パス部と、該熱伝導パ
    ス部に接続されて前記第1の筐体の内部で発生する熱を
    前記第1の筐体内で受熱する受熱部とが前記金属基材の
    一部を延在して形成され前記放熱部と前記熱伝導パス部と前記受熱部とが 一体で
    形成されることを特徴とする電子機器筐体。
  2. 【請求項2】 前記熱伝導パス部は、前記金属基板の表
    面が樹脂で被覆されることを特徴とする請求項1記載の
    電子機器筐体。
JP12856799A 1998-12-10 1999-05-10 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材 Expired - Fee Related JP3533987B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12856799A JP3533987B2 (ja) 1998-12-10 1999-05-10 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-351479 1998-12-10
JP35147998 1998-12-10
JP12856799A JP3533987B2 (ja) 1998-12-10 1999-05-10 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004013794A Division JP3912382B2 (ja) 1998-12-10 2004-01-22 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000232284A JP2000232284A (ja) 2000-08-22
JP3533987B2 true JP3533987B2 (ja) 2004-06-07

Family

ID=26464181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12856799A Expired - Fee Related JP3533987B2 (ja) 1998-12-10 1999-05-10 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3533987B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3713706B2 (ja) * 2001-09-28 2005-11-09 日本電気株式会社 放熱構造、パッケージ組立体、及び、放熱用シート
EP1562230B1 (en) 2002-11-12 2017-07-05 Fujitsu Limited Packaging structure
US7292441B2 (en) * 2003-11-25 2007-11-06 Advanced Energy Technology Inc. Thermal solution for portable electronic devices
US6982874B2 (en) * 2003-11-25 2006-01-03 Advanced Energy Technology Inc. Thermal solution for electronic devices
JP4847879B2 (ja) * 2007-01-17 2011-12-28 ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー 放熱構造体及び携帯端末
JP5187142B2 (ja) * 2008-10-31 2013-04-24 ソニー株式会社 電子機器及び電子機器の放熱方法
ES2673192T3 (es) 2008-12-30 2018-06-20 Ultradent Products, Inc. Lámpara de polimerización dental que tiene un diseño de una pieza que actúa de disipador térmico
JP2013157219A (ja) * 2012-01-30 2013-08-15 Toyota Motor Corp 非水電解質二次電池
JP2017022296A (ja) * 2015-07-14 2017-01-26 千代田インテグレ株式会社 熱伝導部材
JP2018019001A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 株式会社カネカ フィルム状熱伝導部材及び電子機器筐体
JP6913306B2 (ja) * 2019-04-01 2021-08-04 カシオ計算機株式会社 外装部材、ケースおよび時計
CN113015399B (zh) * 2021-01-27 2023-05-09 深圳盈达信息科技有限公司 电子装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000232284A (ja) 2000-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3533987B2 (ja) 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材
US7480145B2 (en) Thin, passive cooling system
JP3701841B2 (ja) ヒートパイプを有するヒンジ構成及び方法
JP4144983B2 (ja) 熱拡散プレートを有する薄型電磁妨害シールド
US6392883B1 (en) Heat exchanger having phase change material for a portable computing device
US6870736B2 (en) Heat sink and package surface design
US6026888A (en) Molded heat exchanger structure for portable computer
JP4126046B2 (ja) 電子機器の冷却構造
US20100142154A1 (en) Thermally Dissipative Enclosure Having Shock Absorbing Properties
WO2003043397A1 (en) Electronic apparatus
US6031716A (en) Computer incorporating heat dissipator with hinged heat pipe arrangement for enhanced cooling capacity
JP2001284865A (ja) ヒートシンク及びその製造方法、並びに、当該ヒートシンクを有する電子機器
JP2007067007A (ja) 放熱基材とそれを応用した放熱構造
JP3912382B2 (ja) 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材
JP2009193350A (ja) 電子装置
JPH10256764A (ja) 放熱材
JP4730180B2 (ja) 冷却装置
JPH09126670A (ja) ヒートパイプ式ヒートシンク
JPH1195871A (ja) 電子機器の放熱構造
JPH09293985A (ja) 電子機器
JP2018019001A (ja) フィルム状熱伝導部材及び電子機器筐体
JPH09115279A (ja) 磁気ディスク装置及びそれを実装した電子装置
JP2000349482A (ja) 電子機器
JPH08286783A (ja) 情報機器における電子部品の放熱構造
US20100251536A1 (en) Heat-dissipating structure on case of industrial computer and manufacturing method thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080319

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090319

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100319

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100319

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110319

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110319

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees