JP3532742B2 - X線リソグラフィ装置およびx線露光方法 - Google Patents

X線リソグラフィ装置およびx線露光方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はX線を用いたリソグ
ラフィ技術に係わり、特にパターン転写における歪み補
正(や倍率補正)機能を有したX線リソグラフィ装置お
よびこれを用いたX線露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスのデザインルール
が微細化、高精度の一途を辿っている。光露光技術にお
いては位相シフトマスク、エキシマレーザを用いた超解
像露光技術等の先端リソグラフィ技術が提案されている
が要求はますます厳しくなる一方、光の波長による本質
的な限界が見えてきている。特に露光用マスクの寸法規
格(短寸法・長寸法精度)、合わせ精度に厳しい要求が
されている。このような要求は、0.15μm以下の露
光技術として解像力およびスループットの点から先端リ
ソグラフィの一つとして有望視されているX線リソグラ
フィ技術に対しても同様である。一般にX線リソグラフ
ィ技術では、光露光技術のように効率の良い屈折光学系
あるいは反射光学系の実現が困難であるために、縮小転
写方式は現在のところ実用レベルになく、1対1の等倍
露光方式が主に開発されている。この等倍X線リソグラ
フィ技術では近接露光法によりマスク上に形成されたパ
ターンを被露光基板にほぼ等倍に転写するために、マス
ク上のパターンの短寸法・長寸法精度の向上、高解像の
パターン転写技術、マスクと被露光基板およびプロセス
基板間でのパターン重ね合わせ精度の向上等が重要開発
項目になっている。このため、特にキーテクノロジーと
なるX線マスクパターンの短寸法および長寸法精度向上
に関して従来より様々な検討がされている。たとえば、
X線吸収体パターンやX線透過性薄膜の低応力化、応力
や膜厚の均一化、パターン描画精度の向上やエッチング
技術の開発が進められている。しかしながら0.15μ
m以下のリソグラフィ手段として考えた場合には、未だ
実用レベルの精度をもつマスクを作製できておらず、さ
らに露光装置を含むリソグラフィシステムは構築されて
いない。ところで、先端リソグラフィでは精度ばかりで
なく、既存のリソグラフィプロセスに十分に対応できる
機能が要求されている。例えばLSI等においては十枚
以上の微細なマスクパターンを互いに重ね合わせる複雑
かつ多様な工程が数十乃至百以上のステップ数続けられ
ることが一般的である。このLSIの製造工程において
は光ステッパとX線ステッパとの組み合わせのような異
機種のステッパを用いて互いにマスクパターンを重ね合
わせる場合が生じる。この異機種ステッパが用いられる
場合においては露光フィールドサイズ・方向、プリアラ
イメント方式等の露光シーケンス、スペックとの整合が
取られている必要があり、各種ステッパに応じて自由に
組み合わせて運用できることが前提になる。特に従来リ
ソグラフィである光露光方式で形成された基板には、レ
ンズ歪による露光フィールドの転写歪やプロセスにおけ
る倍率の違い等が含まれていることが一般的である。こ
の従来リソグラフィにより下層の回路パターンを形成し
た基板に対して所定の精度内で上層の回路パターンを重
ね合わせるためには補正可能な歪は出来る限り補正して
露光する機能が最低限必要になってくる。この補正機能
は、X線リソグラフィの露光方法においても当然必要と
なってくる技術であるが、従来より検討されてきたもの
は未だ実用レベルに達していないのが現状である。これ
までに補正機能により転写精度を達成する手段として提
案されているものに、例えば特開昭62−12226号
公報(メンブレンの伸縮)や特開平2−16864号公
報、特開平4−66095号公報(マスクの伸縮)、特
開平5−67562号公報(マスクリンクの伸縮)、特
開平6−208942号公報(基板変形)、特開平7−
263316号公報(マスクの曲げ変形)等がある。し
かしながら、いずれもマスク或いは被露光基板の一部或
いは全体を物理的に伸縮や変形させて、所望のパターン
位置精度を得るものであり、マスク作製プロセスの複雑
さや高コストを招く恐れがあった。その他、露光装置の
ステージ機構の複雑さを招く問題もある。特開平7−2
63316号公報を除く他の方法では、制御精度不足の
ために所望の精度を得にくい問題が顕在化している。ま
た物理的な変形作用を施すために高速に機能しにくく、
スループット低下の問題やマスクの耐久性(疲労破壊)
が懸念されていた。
【0003】一方、X線リソグラフィ装置のビームライ
ンやX線反射ミラーに関する従来の提案では、露光強度
の均一性を向上するものや露光領域を拡大する方法とし
て、ミラーの揺動や駆動、ミラー形状に関するものが大
多数である。たとえば特開平2−46717号公報(露
光の均一化)、特開平3−120714号公報(露光領
域の拡大)、特開平3−133120号公報(露光領域
の拡大)、特開平4−139716号公報(露光の均一
化)、特開平6−97027号公報(露光領域の拡大、
均一化)、特開平6−120121号公報(ミラー形
状)等が知られている。ミラー形状に関する提案では、
露光領域を一括で拡大するものや、露光強度の均一性を
向上するものに限定されている。この他の提案ではX線
の発散を低減する技術とX線の平行性を高めるものが主
であり、例えば特開平4−1732号公報(露光の均一
化)、特開平7−78755号公報(露光の均一化)に
代表される技術が知られている。唯一、特開平7−78
755号公報では、2枚のX線反射ミラーの構成で、第
2のX線反射ミラーを直線状にシフトしている間に第2
のX線反射ミラーのグレージング角を変えて露光フィー
ルドの垂直方向の位相誤差を変えることのできる露光装
置の提案がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のX線露光技術で
は、露光フィールドの拡大と共に露光量の均一性の確保
は一応実現可能になりつつあるが、一旦作成したX線マ
スク上のパターンは、作成時の位置歪を伴った形のまま
露光されるために、被露光基板との合わせ精度を十分に
得られない問題があった。完全に所望する精度でX線マ
スクパターンが形成され、平行性の極めて高いX線を用
いて露光する場合であっても、LSI製品プロセスの違
いによって半導体基板(半導体チップ)毎に下層の露光
フィールドの形状が異なっている場合には、これらに対
応して上層のパターンの合わせる精度を得ることは事実
上実現できていない。また、特開平7−78755号公
報が開示する技術においても、その露光装置を適用すれ
ば露光フィールドの垂直方向の位置歪を低減して露光は
できるが、水平方向の歪を低減することはできない問題
がある。さらに直交度補正等の複雑な位置歪を改善する
ことも不可能であった。
【0005】このように、従来のX線露光技術は水平方
向および垂直方向の位置歪を同時に低減、あるいは補正
して露光することは不可能である。例えば前述したよう
に物理的な作用をX線マスクに加えてパターン位置や露
光フィールドの形状を変化させない限り、各種基板やチ
ップ毎に所望の重ね合わせ精度を達成できていなかっ
た。またX線は完全に平行でなく、ある有限の発散角を
有するが、この発散角は固定値であるために、これに起
因して生じる転写歪も問題になっている。現時点では、
これを解決する方法にはあらかじめマスクパターンを描
画、形成する際に、X線の発散による転写ずれを補正し
ておく方法が提案されている。しかしながら、各種LS
I基板に応じて製造プロセス歪みやX線の発散による転
写歪を補正して、その都度X線マスクパターンを設計・
作成する方法では、LSI製造プロセスが変更された場
合や、X線露光機やそのビームラインが変更された場合
には、個々に適用できなくなる問題があった。
【0006】上記特開平8−55785号公報は、全体
の倍率補正をプロキシミティギャップ変化や温調によっ
て行い、X線ビームの走査に同期して半導体ウエハとX
線マスクを相対的に微小移動させることで走査方向の倍
率補正を行い、縦方向と横方向を独立して転写率補正を
可能としている。この方法によれば、水平方向、垂直方
向の倍率補正を別々に行うことが可能である。しかしな
がら、先述したように、プロセスの違いによって基板や
チップ毎に下層の露光フィールドの形状が異なっている
場合には、これらに応じて温度調節で基板を伸縮させて
フィールドサイズを変更するか、ギャップを変更する必
要があるために、処理時間を要し処理速度が低下する問
題が生じる。熱を利用した基板収縮は、熱源のコントロ
ールや露光雰囲気を一定温度に保つのが困難になってい
る。ギャップを変更する方法では、キャップ変更時に薄
膜構造であるX線マスクの上面と下面に圧力差が生じマ
スクのX線透過性薄膜が機械的(物理的)に撓む現象が
あるために、その制御が困難になっている問題がある。
【0007】さらに、露光による熱、振動、ギャップの
変動等でマスク自身が変形した場合には、応答性の問題
から、所定の位置精度で下地形状に合わせて転写するこ
とが困難であるという問題点もあった。
【0008】本発明は上記問題点を鑑みてなされたもの
で、その目的とするところはパターン転写における歪み
補正や倍率補正機能を有したX線リソグラフィ装置を提
供することにある。ここで「歪み補正」はたる形やトラ
ペゾイド(台形)等に対する補正のような高次の補正を
も含む概念である。
【0009】本発明の他の目的は異機種のリソグラフィ
装置を同一製造工程中で用いた場合であっても互いの露
光フィールドサイズ,形状の整合が容易に取れ、所定の
精度でのマスクパターンの重ね合わせが可能なX線リソ
グラフィ装置を提供することである。
【0010】本発明のさらに他の目的は、マスク作成プ
ロセスの複雑さや高コストを招くことなく所定の精度で
マスクパターンの重ね合わせが可能なX線リソグラフィ
装置を提供することである。
【0011】本発明のさらに他の目的はLSI製造工程
中のプロセスのばらつき、熱的効果や、多層構造に起因
する歪等により被露光基板の露光フィールド形状が変形
しても容易に高精度なマスクパターンの重ね合わせが可
能なX線リソグラフィ装置を提供することである。
【0012】本発明のさらに他の目的は水平方向、およ
び垂直方向の両方の倍率の制御が可能で、しかも露光フ
ィールドの縦の辺と横の辺とのなす直交度の補正や、直
交度の補正よりも高次のたる形やトラペゾイドに対する
補正が可能なX線リソグラフィ装置を提供することであ
る。
【0013】本発明のさらに他の目的は露光時間の短縮
が可能で、スループットの高い高精度のX線リソグラフ
ィ装置を提供することである。
【0014】本発明のさらに他の目的は転写パターンの
垂直・水平方向の拡大する量あるいは縮小する量をあら
かじめ見込んでマスクパターンを設計する必要のないX
線リソグラフィ装置を提供することである。
【0015】本発明のさらに他の目的は異機種のリソグ
ラフィ装置を同一製造工程中で用いた場合であっても互
いの露光フィールドサイズ,形状の整合が容易に取れ、
所定の精度でのマスクパターンの重ね合わせが可能なX
線露光方法を提供することである。
【0016】本発明のさらに他の目的は、マスク作製プ
ロセスの複雑さや高コストを招くことなく所定の精度で
マスクパターンの重ね合わせが可能なX線露光方法を提
供することである。
【0017】本発明のさらに他の目的はLSI製造工程
中の熱的効果、多層構造に起因する歪、あるいはエッチ
ング技術等のプロセスのばらつき等により被露光基板の
露光フィールド形状が変形しても容易に高精度なマスク
パターンの重ね合わせが可能なX線露光方法を提供する
ことである。
【0018】本発明のさらに他の目的は水平方向、およ
び垂直方向の両方の倍率の制御が可能で、しかも露光フ
ィールドの縦の辺と横の辺とのなす直交度の補正や直交
度の補正よりも高次のたるみ形やトラペゾイドに対する
補正が可能なX線露光方法を提供することである。
【0019】本発明のさらに他の目的は露光時間の短縮
が可能で、スループットの高い高精度のX線露光方法を
提供することである。
【0020】本発明のさらに他の目的は転写パターンの
垂直方向もしくは水平方向の拡大する量あるいは縮小す
る量をあらかじめ見込んでマスクパターンを設計する必
要のないX線露光方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明によるX線リソグラフィ装置はX線反射ミ
ラーにより反射されたX線を所定のマスク(X線マス
ク)に入射し、このマスクを透過したX線により被露光
基板上に所望のパターンを露光する装置であって、この
X線反射ミラーは面内位置によって反射特性が異なるよ
うに構成されており、さらにこのX線反射ミラーに、X
線反射ミラーに入射するX線の位置を変えるためのX線
反射ミラー駆動系が接続され、このX線反射ミラー駆動
系には、X線反射ミラー制御系を制御するためのX線反
射ミラー制御系が接続されていることを特徴とする。
【0022】より具体的には、本発明は露光光としてシ
ンクロトロン放射光(SOR光)を用いるX線リソグラ
フィ装置に係る。つまり指向性が高く高強度のSOR光
を発生するシンクロトロン・リングと、シンクロトロン
・リングよりX線を取り出すポートおよび超高真空に排
気されたビームラインと、ビームライン内に設置されX
線の領域を制限するアパーチャーと、X線を反射するX
線反射ミラーと、X線シャッタと、ビームラインを通過
したX線を用いて所望のパターンの形成されたX線マス
クの所定の部分を透過させ感光性レジストの塗布された
被露光基板(半導体ウェハ)上に近接露光して転写パタ
ーンを形成するX線露光室(露光チャンバー)とビーム
ライン側の超高真空雰囲気とX線露光室側の大気圧雰囲
気(通常はHeガスなどの所定のガス雰囲気とする)或
いは減圧雰囲気とを離隔してX線を取り出す離隔窓とを
少なくとも具備したX線リソグラフィ装置に係る。そし
て、ポートより取り出され光軸を中心として有限の発散
角を有するX線(SOR光)がX線反射ミラーに入射し
反射する際に、X線反射ミラー面内の所定の位置に所定
の角度でX線が入射するように、X線反射ミラー駆動系
によりX線反射ミラーの位置を移動することを特徴とす
る。X線の入射位置を移動することにより、X線反射ミ
ラーで反射したX線の発散角或いは平行性が被露光基板
上の露光フィールド形状に適合するようにX線マスクの
露光フィールド形状を成形して露光することができる。
このため被露光基板上の露光フィールド形状が種々の理
由で変形していても、この変形した露光フィールド形状
に適合するようにX線マスクの露光フィールドを補正で
きる。したがって、同一のLSI製造工程中に異機種の
ステッパを用いた場合や、LSI製造工程のバラツキや
熱処理効果等による下層のマスクパターンの変化が生じ
る場合においても高い精度でこの下層マスクパターンに
対し、上層のマスクパターンを合わせることが可能とな
る。X線反射ミラー駆動系としては6軸の自由度を有し
たマニピュレータ等を用いればよい。
【0023】ここで、X線反射ミラーは反射ミラーは所
定の軸方向に沿って幾何学的形状が変わるように構成す
ればよい。例えば所定の軸に沿って曲率半径が変わるよ
うに構成されていることが望ましい。(図3および図4
が代表的な構造である)。本発明のX線リソグラフィ装
置においてはX線反射ミラー駆動系およびX線ミラー制
御系はこの所定の軸方向に沿ってX線の入射位置が移動
するようにX線反射ミラーを駆動制御する。
【0024】具体的には、X線が入射し反射するX線反
射ミラーの面内位置とX線露光用マスクまでの距離を概
ね一定として、該X線反射ミラーを揺動する手段により
X線のX線反射ミラーへの入射角を所定量変化させて、
所望の領域を露光することが好ましい。つまり、X線反
射ミラー駆動系およびX線反射ミラー制御系によって、
X線反射ミラーを一定方向に移動し、水平方向のX線の
発散角を制御し、同時にX線反射ミラーを揺動して垂直
方向のX線の発散角を制御することができるのである。
あるいは、X線反射ミラーに対するX線の入射角および
反射角を概ね一定にして、X線が入射し反射するX線反
射ミラーの面内位置とX線露光用マスクまでの距離をX
線反射ミラー駆動系により変化させて、所望の領域を露
光してもよい。
【0025】より好ましくは、X線反射ミラーには、さ
らにX線反射ミラー走査機構を接続し、このX線反射ミ
ラー走査機構をX線反射ミラー制御系により制御してX
線反射ミラーをX線の光軸方向に平行移動すればよい。
つまりX線反射ミラー駆動系とX線反射ミラー走査機構
とにより、X線反射ミラーの姿勢を変化し、その位置を
移動させることにより垂直方向の発散角を制御し所望の
領域を露光することができる。X線反射ミラーを光軸方
向に移動することにより、例えば、垂直方向にパターン
が拡大することが補正できるので、X線マスクの設計に
際してあらかじめX線マスクの垂直方向の寸法を小さく
するような手間も不要となる。逆の場合についても同様
である。又、水平方向についても同様に言及できること
はもちろんである。なおX線反射ミラー走査機構とX線
反射ミラー駆動系とを物理的(機械的)に一体として構
成してもよく、互いに別体として構成してもよい。又こ
れらのX線反射ミラー走査機構又はX線反射ミラー駆動
系はその一部又は全部をビームライン中に配置してもよ
く、ビームラインの外部に配置してもよい。
【0026】さらに、より好ましくはX線反射ミラー
(第1のX線反射ミラー)により反射されたX線をさら
に反射する他のX線反射ミラー(第2のX線反射ミラ
ー)を有することである。具体的には、SOR光を発生
するシンクロトロン・リングと、このシンクロトロン・
リングよりX線を取り出すポートおよび超高真空のビー
ムラインと、ビームライン内に設置されX線の領域を制
限するアパーチャーと、X線を反射するX線反射ミラー
と、この第1のX線ミラーからのX線を受けて反射する
第2のX線反射ミラーと、ビームライン側の超高真空雰
囲気と露光室の大気圧雰囲気(或いはビームラインとは
異なる減圧雰囲気)とを離隔してX線を取り出す離隔窓
と、X線シャッタと、所望のパターンの形成されたX線
マスクおよび感光性レジストの塗布された被露光基板を
配置し、X線マスク上のパターンを被露光基板上に近接
露光し転写パターンを形成するX線露光室とを少なくと
も具備したX線リソグラフィ装置であることが好まし
い。このX線リソグラフィ装置ではX線が第1のX線反
射ミラーに入射し反射する際に、第1のX線反射ミラー
面内の所定の位置にX線が所定の角度で入射するよう
に、X線反射ミラー駆動系を用いて第1のX線反射ミラ
ーを移動する。この第1のX線反射ミラーの移動によっ
て、第1のX線反射ミラーで反射したX線の発散角或い
は平行性が変化するように成形され、さらにこのX線が
第2のX線反射ミラーに入射し反射し、さらにX線マス
クを介して被露光基板に達する。
【0027】この場合は第1のX線反射ミラーと第2の
X線反射ミラーとの役割を分担させることにより、それ
ぞれの位置や姿勢(角度)等の駆動・制御が容易とな
り、より正確な露光が可能となる。たとえば第1のX線
反射ミラーで所定の水平方向分散角で反射、成形された
X線を第2のX線反射ミラーに入射し、この第2のX線
反射ミラーへの入射X線の面内位置および第2のX線反
射ミラーとX線露光用マスクまでの距離を概ね一定とし
て、第2のX線反射ミラーを揺動して被露光基板上の所
望の領域を露光するようにすればよい。また、第1のX
線反射ミラーで所定の水平方向の分散角で反射、成形さ
れたX線を第2のX線反射ミラーに入射し、この第2の
X線反射ミラーに対するX線の入射角と入射面内位置を
概ね一定として、X線マスクと第2のX線反射ミラーま
での距離を変化させて垂直方向の倍率を制御してもよ
い。より好ましくは第1のX線反射ミラーで所定の水平
方向の分散角で反射、成形されたX線を第2のX線反射
ミラーに入射するに際し、第2のX線反射ミラーへのX
線入射方向(光軸方向)と同一方向に第2のX線反射ミ
ラーを移動することである。このようにすれば、垂直方
向の露光フィールドの拡大を防止、あるいは垂直方向の
倍率を制御できる。この場合、第2のX線反射ミラーを
揺動させてもよいことはもちろんである。
【0028】さらに、X線反射ミラー制御系にはデータ
記憶部が接続され、データ記憶部に格納されたデータに
基づきX線反射ミラーの駆動・制御を行うことがより好
ましい。「データ記憶部が接続され」とは回路構成上接
続されという意であり、実際のデータ記憶部の配置位置
は問わない。つまりデータ記憶部はX線露光室内に配置
してもよく、X線反射ミラー制御系の内部に一体として
配置されていてもかまわない。この格納するデータとし
てはX線の発散角のデータ、被露光基板上の露光フィー
ルドにおける位置情報、マスクの位置情報あるいは露光
条件(ギャップ)等がある。これらの情報やデータを前
もって測定しておけば、露光中にこれらの発散角や位置
情報の検出は不要であるので、より短時間で露光が完了
し、スループットが向上する。
【0029】また、X線反射ミラー駆動系および前記X
線ミラー制御系を用いてX線反射ミラーを光軸のまわり
に回転又は傾けてX線の水平方向の発散角の右側と左側
の角度を異なるようにすることも可能である。右側と左
側の発散角を異なるようにすれば露光フィールドの直交
度、すなわち露光フィールドの縦の辺と横の辺のなす角
度の調整が可能となる。したがって平行四辺形の露光フ
ィールド形状を矩形に補正することが可能となる。さら
に、たる形、トラペゾイド等の歪も補正できる。また下
層のマスクパターンが平行四辺形ならば、この平行四辺
形に適合した露光フィールド形状を実現することも可能
となる。更に、たる形や台形等の高次の歪を伴った形状
をも補正し、所定の形状を実現することも可能である。
【0030】本発明の第2の特徴は、上記のX線リソグ
ラフィ装置を用いたX線露光方法に係る。すなわち面内
位置によって反射特性が異なるX線反射ミラーに対する
X線の入射位置を移動して、このX線反射ミラーにより
反射されたX線の発散角を制御し、このX線により所望
の露光パターンを得るX線露光方法であることを第2特
徴とする。
【0031】この第2の特徴によれば、下層のマスクパ
ターンの露光フィールドが光ステッパによる露光フィー
ルドである場合や、製造プロセス上の種々の理由でパタ
ーンの変形等が生じている場合であっても、これに適合
させて上層のパターンを転写できるので極めて高い精度
でマスク合わせが可能となる。ここで、X線反射ミラー
は、所定の軸方向に沿って曲率半径が変わるように構成
されたものを用いればよいことは第1の特徴での説明か
ら明らかであろう。
【0032】より具体的には、X線反射ミラーに入射す
るX線の位置を移動して水平方向のX線の発散角を制御
すると同時に、X線反射ミラーを揺動して垂直方向X線
の発散角を制御するようにすればよい。ここで、「X線
の位置を移動して」とは連続移動であっても遂次移動で
あってもかまわない。「遂次移動」とは制御により選択
的な位置に移動し、その位置に固定するようなステップ
移動の意である。
【0033】あるいは、X線反射ミラー内の一定の位置
にX線の入射位置を固定した状態で、あるいは入射位置
を連続的に変えながら、X線反射ミラーを光軸方向に平
行に移動し、X線マスクに対するX線の入射角度を制御
することが好ましい。X線反射ミラーを光軸方向に平行
に移動することで、垂直方向の露光倍率が調整できるの
で、X線マスク設計に際して、あらかじめX線マスクの
垂直方向の寸法を小さくするというような複雑な設計は
不要となる。
【0034】本発明の第2の特徴において、X線を上記
X線反射ミラー(第1のX線反射ミラー)とは異なる他
のX線反射ミラー(第2のX線反射ミラー)によってさ
らに反射させることが好ましい。第1および第2のX線
反射ミラーの役割を分担させることで、互いの位置移動
や回転等の自由度が増大し、露光フィールド形状の制御
が容易となる。
【0035】本発明の第2の特徴においてデータ記憶部
に格納された露光フィールド内のマスク位置との相対位
置情報、マスク位置情報、X線の発散角データの少なく
ともいずれかのデータに基づいて、X線反射ミラーの位
置又は角度を制御することが好ましい。露光中にX線の
発散角データや位置情報の検出が不要となるので、より
短時間で露光が完了し、スループットが向上する。
【0036】また、X線反射ミラーを光軸のまわりに回
転又は傾けてX線の水平方向の発散角を右と左で異なる
ようにしてもよい。こうすれば露光パターンの縦の辺と
横の辺とのなす直交度を補正できるので被露光基板上に
既に形成された露光フィールド形状が平行四辺形、たる
形、トラペゾイド形(台形)の場合、あるいは被露光基
板上の露光フィールド形状は矩形(長方形)であるがX
線マスクの露光フィールド形状が平行四辺形、たる形、
トラペゾイド形となるような場合でもX線マスクの露光
フィールド形状を補正して精度の高いマスク合わせが可
能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0038】[第1の実施の形態]図1は本発明の第1
の実施の形態に係るX線リソグラフィ装置の概略を示す
図である。本発明の第1の実施の形態においてはX線反
射ミラー805を制御してX線マスク812のパターン
を被露光基板814上に転写する。その際の転写歪みや
倍率補正を行うものである。図1に示すX線リソグラフ
ィ装置は、SOR(シンクロトン放射)光を発生するシ
ンクロトン・リング801とX線取出しポート802、
超高真空に排気されたビームライン803、X線の領域
を制限するアパーチャ804、X線反射ミラー805、
ビームライン側の超高真空雰囲気と露光室側の大気圧雰
囲気とを離隔する離隔窓806、X線検出器807、X
線シャッタ808、X線露光室809とを少なくとも有
して構成される。X線反射ミラー805には、そのX線
の入射位置およびミラーの姿勢と揺動を制御、駆動する
X線反射ミラー制御系810によって制御されるX線反
射ミラー駆動系811が接続している。X線反射ミラー
駆動系811はその一部又は全部をビームライン803
中に配置してもよく、ビームライン803の外部に配置
してもよい。X線検出器807は、X線反射ミラー80
5で反射して成形されたX線の水平方向、垂直方向の平
行度を2次元情報として測定するのに使用される。この
X線検出信号はX線反射ミラー制御系810に取り込ま
れ、X線反射ミラー805を駆動する際に使用される。
【0039】X線露光室809には、X線マスク812
がマスクステージ813に保持され、被露光基板814
がウエハステージ815に保持される。マスクステージ
813とウエハステージ815にはそれぞれマスクステ
ージ駆動系816,ウエハステージ駆動系817とこれ
らを制御するマスクステージ制御系818,ウエハステ
ージ制御系819が接続される。代表的なX線マスク8
12の断面図を図2に示す。X線マスク812は、タン
グステン・レニウム(W−Re)の合金からなるX線吸
収体パターン(0.4μm厚)202とケイ化炭素(S
iC)よりなるX線透過性薄膜(2μm厚)203、X
線透過性薄膜を支持するSi支持基板(600μm厚、
外径76mm)204、さらにこれらを補強する支持枠
SiO2ガラス(4mm厚、外径100mm、開口部6
0mm φ)205より構成されている。Si支持基板
204の一部はバックエッチングによって除去されX線
の透過する窓(42mm角)が形成されている。露光フ
ィールドは20mm×40mmの矩形領域であり、この
領域に所定のパターンが形成されている。X線マスク8
12は図1に示すように、X線リソグラフィ装置の主な
る構成要素であるX線露光室809中のマスクステージ
813に保持されている。また被露光基板814はウエ
ハステージ815に保持されている。X線露光室809
はX線マスク812と被露光基板814を各ステージの
駆動系816,817によって、所定のギャップに設定
できる。たとえば20μmのギャップに設定すればよ
く、この場合は露光フィールド領域において±0.2μ
mの平行度を達成できる。また、X線露光室809はス
テップアンドリピート方式による逐次露光が可能となる
ように構成されている。逐次露光を行うステッパにおい
てはアライメント光学系820によってX線マスク81
2のパターンと被露光基板814上の露光フィールドの
相対位置が検出され、この検出信号に基づいて、サーボ
機構によりクローズドループでマスクステージ813お
よびウエハスステージ815の駆動系が制御されてアラ
イメント露光される。
【0040】SOR光源801より取出されたX線は帯
状であり光軸を中心として水平方向に有限の発散角を有
するが、X線反射ミラー805に入射し反射することに
より集光され、概ね平行光に成形される。本発明で使用
されるX線反射ミラーの一例は図3および図4に示すよ
うに光軸上の位置により曲率半径が異なるように設計さ
れ、構成されている。したがってX線反射ミラーの面内
位置で集光の特性(反射特性)が異なり、X線の入射位
置によって連続的に水平方向の発散角が変えられるよう
になっている。図3に示したX線反射ミラーはトロイダ
ル系であり、面内位置A、B、Cの順に曲率半径が大き
くなっている。また図4に示したX線反射ミラーは面内
位置A、B、Cで曲率半径が異なり、位置Bでは曲率半
径が実質上無限大となり、位置AとBでは曲率の符号が
逆転している特徴を持つ。ここに例示した様な面内位置
で反射特性の異なるX線反射ミラーを採用し、X線反射
ミラーへのX線の入射位置を選択することによって、X
線の水平方向の平行度を自由に調整でき、これを用いて
露光する際にX線マスクパターンの水平方向の倍率を所
望の値に変化させて被露光基板814上に転写すること
が可能になる。被露光基板814上の露光フィールドの
垂直方向については、X線マスク812とX線反射ミラ
ー805の相対距離の調整とX線反射ミラー805の揺
動量によって、X線の発散角を変えることにより転写パ
ターンの倍率の制御が可能である。しかし、X線マスク
812とX線反射ミラー805の相対距離の調整を行う
場合には、X線マスク812と被露光基板814を一体
でX線反射ミラー805の方向へ移動する必要があり、
X線リソグラフィ装置が大掛かりになる問題点がある。
X線ミラー805を揺動する場合には、X線反射ミラー
805とX線マスク812の位置関係によって、垂直方
向の発散角が決定されるため転写パターンの垂直方向の
倍率は一定となる。そこで、発散角を一定にし、X線マ
スク812と被露光基板814のギャップを変更する
か、X線マスク812と被露光基板814を異なる速度
で垂直方向に相対的に移動する方法を採用することによ
って垂直方向の倍率を調整しやすい。図5(a)〜
(d)に、X線反射ミラー805とX線マスク812の
距離を一定にしてX線反射ミラー805を揺動する場合
について代表例を示す。図5(a)に示すように、X線
反射ミラー805の揺動に対応したX線の走査速度(円
周速度)に対して被露光基板812を垂直方向に相対的
に異なる速度で移動すれば垂直方向の倍率を変えて転写
可能である。また、図5(b)に示すように、X線マス
ク812と被露光基板814のギャップを変更すれば、
X線の水平方向の発散角と揺動量に応じて拡大率が変更
できる。図3および図4に示したように本発明において
はX線反射ミラー805の光軸上の位置により、反射さ
れたX線の水平方向の発散角が異なる。したがって図5
(c)に示すようにX線反射ミラー805の入射位置を
移動すると同時にX線反射ミラー805を揺動すること
によって、転写パターンの水平方向の倍率を変化させる
ことが可能である。入射位置の移動は連続的な移動でも
遂次移動でもよい。遂次移動とは制御により選択的な位
置に移動した後、その位置に固定するようなステップ移
動の意である。同様に図5(d)に示すようにX線反射
ミラー805への入射位置を移動させながら揺動するこ
とによって、X線の入射位置の変化に応じて被露光基板
814上の転写パターンの水平方向の倍率を変化させる
ことが可能である。
【0041】図1においてX線マスク812と被露光基
板814間のギャップの設定は、ギャップセンサ822
によりX線マスク812と被露光基板81を各ステージ
を駆動して走査した際に得られる形状情報信号に基づい
て調整、設定される。この時、X線マスク812は、X
線反射ミラー805の揺動の円弧の中心線に沿ったX線
がX線マスクのパターン面に垂直入射する様な姿勢に保
持した状態で、ギャップ設定がなされる。また、X線露
光室809にはX線マスク812と被露光基板814の
アライメント位置検出を行うアライメント光学系820
が搭載されている。アライメント光学系820にはアラ
イメント制御系821が接続されている。また、被露光
基板814上でのX線強度分布を調整可能なX線強度分
布調整手段823がX線反射ミラー805とX線露光室
809の間のビームライン803に設けられている。図
6(a)に示すように、X線マスク812の露光フィー
ルド220中には、デバイスパターンの他に合わせ評価
用のパターン901とアライメントマーク902が形成
されている。同様に図6(b)に示す被露光基板814
上の露光フィールド221中にも、デバイスパターンの
他に合わせ評価用のパターン903とアライメントマー
ク904が形成されている。被露光基板814上には図
6(b)に示すように全20個の露光フィールドが逐次
露光されて形成される。合わせ評価用パターン901と
903は、アライメント露光された際にボックス・イン
・ボックス(Box−in−box)のパターンになる
ように設計され、それぞれの露光フィールド220,2
21内に9×17点形成される。また、アライメントマ
ーク902と904はそれぞれの露光フィールド22
0,221の上下左右に配置され、特に左右のマークに
ついては一列に形成されている。
【0042】次に、本発明で行われる第1の実施の形態
に係るX線リソグラフィ装置を用いた露光シーケンスの
一例を図7に示すフローチャートを用いて説明する。本
発明の第1の実施の形態に係るX線露光方法は、図1に
示したアライメント光学系820によって検出されたX
線マスク812上のアライメントマーク902と被露光
基板814上のアライメントマーク904からの位置信
号に基づいてアライメント制御系821でX線マスクパ
ターン812の位置情報と被露光基板814上のパター
ンの位置情報が計算される。パターンの位置情報は各ス
テージの駆動制御系818,819に伝達され、これら
の制御系818,819によりアライメント動作が制御
される。同時に、アライメント制御系821からの位置
情報は、X線反射ミラー制御系810に伝達され、この
位置情報と、X線検出器807からの信号情報に基づい
て、X線反射ミラー805に対するX線の入射位置とX
線反射ミラー805の姿勢と揺動がX線反射ミラー駆動
系811によって設定される。この設定は、設定したX
線マスク812と被露光基板814間の所定のギャップ
の条件下において、X線マスクに入射されるX線の発散
角が水平方向、垂直方向共に所望の角度となり、しか
も、X線マスクと被露光基板との合わせ精度が計算上所
望規格以下となるように設定される。また、同時にX線
反射ミラー駆動系811によるミラー揺動は、SORリ
ングの蓄積電流値あるいはX線強度に応じて、所望の露
光量が得られるようにX線反射ミラー制御系810で揺
動速度が制御されて行われる。X線マスク812に入射
されるX線の発散角を最適化する場合は、X線シャッタ
808を開けて露光を開始する前に、X線検出器807
により検出されたX線の発散角が、対象とするX線マス
ク812と被露光基板814の露光フィールドに対して
所定の条件を満たしているかをX線反射ミラー制御系8
10で確認する。そしてX線反射ミラー制御系810で
の確認により、所定の条件が満たされるまでX線反射ミ
ラー805の設定が繰り返し行われる。また、露光中に
おいても、アライメント光学系820によってリアルタ
イムでX線マスク812中のアライメントマーク902
と露光中の被露光基板814上の露光フィールドのアラ
イメントマーク904から、露光フィールドの位置に応
じた位置信号が検出される。この信号に基づいてアライ
メント制御系821で形成されたX線マスクパターン8
12の位置情報と被露光基板814上のパターンの位置
情報は、X線反射ミラーの制御系810に伝達される。
この情報をリファレンスとして、X線検出器807によ
りリアルタイムで検出される信号情報に基づいて、X線
反射ミラー805に対するX線の入射位置とX線反射ミ
ラー805の姿勢が、X線マスク812に入射されるX
線の発散角が水平方向、垂直方向共に、所望の規格以下
となり、X線マスクと被露光基板の合わせ精度が計算上
所望規格内になるように制御する。すなわち所望規格値
以下となる条件を満たすように、X線反射ミラー駆動系
811によってリアルタイムで駆動されながら、X線反
射ミラー805の揺動に同期して、各ステージの駆動制
御系818,819によって順次アライメント動作が行
われ被露光基板814上に露光される。なお、容易にわ
かるようにシンクロトロン放射光は帯状のスリット形状
でありX線反射ミラー805の揺動による露光フィール
ドの拡大によっても成形されたX線は概ね水平方向に長
い帯状のスリット形状である。この帯状のスリット形状
のX線ビームが露光フィールドの垂直方向に走査されて
露光に用いられる。また、X線露光量の面内均一性を確
保する等、X線強度分布の調整必要な場合には、X線強
度分布調整手段823により行う。X線強度分布調整手
段823は膜厚と膜厚分布の異なる少なくとも1枚、好
ましくは4枚のSiN薄膜を組み合わせて構成すればよ
い。SiN薄膜のそれぞれの膜厚分布は、上下方向、左
右方向に向って徐々に厚くなるものと逆に薄くなるもの
とを用意する。各SiN薄膜の平均の厚さは0.3μm
である。これらをビームライン中で上下方向、左右方
向、上下左右方向、あるいは斜め方向に適宜組み合わせ
て露光フィールド領域でX線強度が概ね均一になるよう
に調整する。
【0043】[第2の実施の形態]本発明の第1の実施
の形態では、X線リソグラフィ装置の例として、X線反
射ミラー805に対するX線の入射位置とX線マスク8
12との間の距離を一定にしてX線反射ミラー805を
揺動する場合について説明した。X線反射ミラー805
を揺動して露光フィールドを拡大しているために、被露
光基板814上の転写パターンは必ずX線マスク上の露
光フィールドよりも垂直方向に拡大されて投影される。
このために、転写時に拡大する量をあらかじめ見込んで
マスクパターンを設計しなくてはならない。すなわち、
被露光基板上に形成される現実の露光フィールドサイズ
よりも小さいサイズから成る特殊なX線マスクパターン
を設計して、これを使用する必要がある。つまり第1の
実施の形態においては、X線マスク作製時にこのような
制限を設けなければならないのでマスク設計が煩雑かつ
複雑となり、X線マスク製作やその検査にも時間を要す
こととなる。これを避けて垂直方向の倍率を変更して露
光するには、X線マスク812と被露光基板814間の
ギャップを調整するか、被露光基板814をX線反射ミ
ラー805の揺動に対してずらしながら露光する必要が
ある。本発明の第2の実施の形態は、これらの事情を改
善するものである。
【0044】図8は本発明の第2の実施の形態に係るX
線リソグラフィ装置の概要図である。本発明の第2の実
施の形態はX線反射ミラー905をX線の光軸方向に平
行に移動する場合である。図8に示すX線リソグラフィ
装置は、SOR(シンクロトロン放射)光を発生するシ
ンクロトロン・リング801とX線取出しポート80
2、超高真空のビームライン803、X線の領域を制限
するアパーチャ804、X線反射ミラー805、ビーム
ライン側の超高真空雰囲気と露光室側の大気圧雰囲気を
離隔する離隔窓806、X線検出器807、X線シャッ
タ808、X線露光室809とを少なくとも有して構成
される。X線反射ミラー805には、その姿勢と揺動お
よびX線の入射位置を制御、駆動するX線反射ミラー駆
動系911が接続している。さらにX線反射ミラー80
5には、露光フィールドを拡大するために行われるX線
の光軸方向に平行に移動するX線反射ミラー走査機構9
12も備えられている。X線反射ミラー駆動系911と
X線反射ミラー走査機構912はX線反射ミラー制御系
910に接続され、このX線反射ミラー制御系910に
よりそれぞれ制御される。図8ではX線反射ミラー走査
機構912とX線反射ミラー駆動系911とは別体のよ
うに記載されているが、これはシステム構成としての模
式的表現であり、現実の物理的(機械的)構造におい
て、両者を一体として構成してもよいことはもちろんで
ある。一体として構成するか別体として構成するかはビ
ームラインの構造等に応じて任意に選択できる設計的事
項である。又、X線反射ミラー駆動系911又はX線反
射ミラー走査機構912の一部又は全部をビームライン
803中に配置するか、ビームライン803の外部に配
置するかも設計に応じて決定すればよい。X線検出器8
07は、X線反射ミラー805で反射して成形されたX
線の水平方向、垂直方向の平行度を2次元情報として測
定するのに使用される。このX線検出信号はX線反射ミ
ラー制御系910に取り込まれ、X線反射ミラー805
を駆動する際に使用される。
【0045】X線露光室809には、X線マスク812
がマスクステージ813に保持され、被露光基板814
がウエハステージ815に保持されている。マスクステ
ージ813とウエハステージ815にはそれぞれマスク
ステージ駆動系816,ウエハステージ駆動系817と
これらを制御するマスクステージ駆動系818,ウエハ
ステージ制御系819が接続されている。X線マスク8
12と被露光基板814はギャップが20μmに設定さ
れ、20mm×40mmの露光フィールド領域において
互いに±0.2μmの平行度になっている。X線マスク
812と被露光基板814間のギャップは、X線マスク
812と被露光基板814をこれらを搭載した各ステー
ジ813,815を駆動して走査した際に、ギャップセ
ンサ822により得られる形状情報信号に基づいて調
整、設定される。この時、X線マスク812は、X線反
射ミラー805からのX線が垂直入射する様に姿勢が決
められている。また、X線露光室809にはX線マスク
812と被露光基板814のアライメント位置検出を行
うアライメント光学系820が搭載され、アライメント
光学系820はアライメント制御系821に接続されて
いる。また被露光基板814上でのX線強度分布を調整
可能なX線強度調整手段823がX線反射ミラー805
とX線露光室809の間のビームライン803に設けら
れている。露光フィールド中のアライメントマークや評
価用のパターンは第1の実施の形態と同様である。すな
わち図6(a)に示すように、X線マスク812の露光
フィールド220には、デバイスパターンの他に合わせ
評価用パターン901とアライメントマーク902が形
成され、同様に被露光基板814上の露光フィールド2
21にも、デバイスパターンの他に合わせ評価用のパタ
ーン903とアライメントマーク904が形成されてい
る。合わせ評価用パターン901と903は、アライメ
ント露光された際にボックス・イン・ボックス(Box
−in−box)のパターンになるように設計され、露
光フィールド内に9×17点形成される。また、アライ
メントマーク902と904は、露光フィールドの上下
左右に配置され、特に左右のマークについては一列に形
成されている。
【0046】次に、図9(a)〜(b)に、X線反射ミ
ラー805をX線の光軸方向に平行に移動する場合につ
いて代表例を示す。ここでX線の光軸方向とは、X線の
X線反射ミラー805への入射方向と同じ方向を意味
し、X線反射ミラー805での反射後の進行軸ではな
い。図9(a)に示すようにX線のX線反射ミラー80
5への入射角、反射角を一定にしたまま、X線マスク8
12のパターン面に垂直にX線を入射する配置において
X線反射ミラー805を光軸方向に平行に移動すれば、
被露光基板814上の露光フィールドの垂直方向のX線
の発散を事実上ゼロにできる。また図9(b)および
(c)に示すように、X線反射ミラー805を揺動させ
X線反射ミラー805への入射角を変化させると共にX
線反射ミラー805を光軸方向に移動すれば、露光フィ
ールドの垂直方向への拡大、縮小が可能である。さらに
図9(d)に示すようにX線反射ミラーのX線軸上の入
射位置を変更すれば水平方向発散角を制御できる。した
がってX線反射ミラーの移動の方向を光軸方向と若干ず
らしてX線反射ミラー805を光軸方向に走査し、さら
に走査に応じてX線の入射角を変更することにより、露
光面上での転写パターンの水平、垂直方向の倍率を変化
させることが可能である。
【0047】次に図10に示すフローチャートを用いて
本発明の第2の実施の形態に係るX線露光方法の露光シ
ーケンスの一例を説明する。アライメント光学系820
によって検出されたX線マスク805のアライメントマ
ーク902と被露光基板のアライメントマーク904か
らの位置信号に基づいてアライメント制御系821でX
線マスクパターンの位置情報と被露光基板上のパターン
の位置情報が計算され、これらの位置情報は各ステージ
の制御系818,819に伝達される。X線マスクステ
ージ制御系818はX線マスクステージ駆動系816を
制御し、ウエハステージ制御系819はウエハステージ
駆動系を制御し、ステップ・アンド・リピート方式のア
ライメント動作が制御さつれる。また、制御系821か
らの位置情報は、X線反射ミラー制御系910に伝達さ
れる。X線反射ミラー制御系910は、この位置情報
と、X線検出器807からの信号情報に基づいて、X線
反射ミラー805に対するX線の入射位置と入射角度、
およびX線ミラー805の姿勢と光軸に平行な移動を制
御する。この制御は、設定されたX線マスク812と被
露光基板814間を所定のギャップに保ち、X線の発散
角が水平方向、垂直方向共に所望の角度となり、しかも
X線マスクと被露光基板の合わせ精度が計算上、所望の
規格値以下となるように、X線反射ミラー駆動系91
1,X線反射ミラー走査機構912を用いて設定され
る。ここでX線反射ミラー走査機構912による光軸に
平行な方向のミラー走査は、SORリングの蓄積電流値
あるいはX線強度に応じて、所望の露光量が得られるよ
うにX線反射ミラー制御系910により走査速度が制御
されて行われる。X線マスク812に入射されるX線の
発散角は、X線シャッタ808を開けて露光を開始する
前に、X線検出器807により検出されたX線の発散角
が、対象とするX線マスク812と被露光基板814の
それぞれの露光フィールドに対して所定の条件を満たし
ているか否かをX線反射ミラー制御系910で確認され
る。X線の発散角の最適化はこの所定の条件が満たされ
るまでX線反射ミラー805の設定を繰り返し行うこと
により達成される。また、露光中においても、アライメ
ント光学系820によってリアルタイムでX線マスク8
12の露光フィールド中のアライメントマーク902と
被露光基板814上の露光フィールドのアライメントマ
ーク904から、露光の位置に応じた位置信号が検出さ
れる。この信号に基づいてアライメント制御系821で
計算されたX線マスクパターンの位置情報と被露光基板
814上のパターンの位置情報は、X線反射ミラー制御
系910に伝達される。X線反射ミラー制御系910
は、この情報をリファレンスとして、X線検出器807
によりリアルタイムで検出される信号情報に基づいて、
X線反射ミラー805に対するX線の入射位置と入射角
度、およびX線反射ミラー805の姿勢を制御する。こ
の制御は、X線マスクに入射されるX線の発散角が水平
方向、垂直方向共に、所定の値となるように行なわれ
る。またX線マスク812と被露光基板814間の合わ
せ精度が計算上所望規格以下となる条件を満たすように
行われる。この際、X線反射ミラー駆動系911および
X線反射ミラー走査機構912によってリアルタイムで
X線反射ミラー805を駆動しながら、X線反射ミラー
805のX線の光軸方向への移動(走査)に同期して、
各ステージの制御系818,819は各ステージの駆動
系816,817を制御する。こうして各ステージを逐
次移動し、順次アライメント動作が行われ、被露光基板
814上に露光される。なお、アパーチャー804から
出たSOR光は概ね水平方向に長い帯状のスリット形状
を有している。したがって容易にわかるように、X線反
射ミラー805の光軸方向への移動(走査)による露光
フィールドの拡大では、成形されたX線同様に概ね水平
方向に長い帯状のスリット形状である。したがってこの
帯状のスリット形状のX線がX線マスク812の露光フ
ィールドの垂直方向に走査されて被露光基板814上へ
の露光に用いられる。また、露光量の面内均一性を確保
する等、X線強度分布の調整が必要な場合にはビームラ
イン803中に設けられたX線強度分布調整手段823
により行う。X線強度分布調整手段823は、膜厚と膜
厚分布の異なる少なくとも1枚、好ましくは4枚程度の
SiN薄膜を組み合わせて構成される。SiN薄膜のそ
れぞれの膜厚分布は、上下方向、左右方向に向って徐々
に厚くなるものと逆に薄くなるものを用意すればよい。
これらのSiN薄膜の平均の厚さは0.3μmである。
X線強度分布調整手段823はこれらを情況に応じて適
宜組み合わせて露光フィールド領域でX線強度が概ね均
一になるように調整する。
【0048】[第3の実施の形態]第1および第2の実
施の形態おいては、リアルタイムに露光フィールドの面
内位置に応じて、X線マスクや被露光基板の露光フィー
ルドのアライメント信号を順次検出して、相対位置関係
や絶対ずれ量に関する位置情報を基に、X線反射ミラー
等の必要な構成要素を種々駆動、制御しながらX線を走
査してアライメント露光を行う例を示した。このように
順次リアルタイムでフィールドの位置に応じて位置ずれ
を補正しながら露光しなくても、図11に示すようにX
線ミラー制御系810にデータ記憶部881を設け、デ
ータ記憶部にミラー駆動制御に関するデータを格納して
おけば、この格納されたデータに基づいて位置歪を補正
してアライメント精度を向上することが可能である。
【0049】図11に示すX線リソグラフィ装置は、S
OR(シンクロトロン放射)光を発生するシンクロトロ
ン・リング801とX線取出しポート802、超高真空
のビームライン803、X線の領域を制限するアパーチ
ャー804、X線反射ミラー805、ビームライン側の
超高真空と露光室側の雰囲気を離隔する離隔窓806、
X線検出器807、X線シャッタ808、X線露光室8
09とを少なくとも有して構成される。X線反射ミラー
805には、そのX線の入射位置と姿勢と揺動を制御、
駆動するX線反射ミラー制御系810によって制御され
るX線反射ミラー駆動系811が接続している。X線反
射ミラー制御系810にはミラー駆動制御に関するデー
タを格納しておくRAM等のデータ記憶部881が接
続、もしくは内蔵されている。このデータ記憶部881
には露光フィールド全面におけるマスク位置に対する相
対位置関係情報、マスク位置情報、X線の分散角のデー
タ、ギャップ等の露光条件のデータ等が格納できる。な
お、データ記憶部881の具体的な配置位置は問わな
い。たとえばX線露光室809の内部に配置してもかま
わない。X線検出器807は、X線反射ミラー805で
反射して成形されたX線の水平方向、垂直方向の平行度
を2次元情報として測定するのに使用される。この平行
度の2次元情報はX線反射ミラー制御系810に取り込
まれる。さらに、X線の平行度の2次元情報をデータ記
憶部881に記憶することも可能である。そしてこれら
の情報は、X線反射ミラー805を駆動する際に読み出
されて使用される。
【0050】X線露光室809は、第1および第2実施
の形態と同様であり、X線マスク812がマスクステー
ジ813に保持され、被露光基板814がウエハステー
ジ815に保持される。マスクステージ813とウエハ
ステージ815にはそれぞれマスクステージ駆動系81
6,ウエハステージ駆動系817とこれらを制御するマ
スクステージ駆動系818,ウエハステージ制御系81
9が接続されている。
【0051】本発明の第3の実施の形態においては図1
2および図13のフローチャートに露光シーケンスを示
すように、実際にX線の照射を開始する前に対象とする
露光フィールドについて、全面のアライメントマークか
らの位置ずれ情報を検出、算出し、そのデータをデータ
記憶部881に格納して、このデータに基づいて実際に
必要なX線反射ミラー駆動系の動作を制御して順次アラ
イメント露光していくことが可能である。また、図14
のフローチャートに示すように露光フィールドの全面の
位置情報を検出しなくても、実際にX線を照射して露光
しているフィールド位置(n番目の位置)に先行して、
次に走査する位置(n+1番目の位置)の情報をX線照
射する以前に順次検出、算出してデータ記憶部881に
格納する方法も有効である。ステップ・アンド・リピー
トする際に、次の走査位置の情報をデータ記憶部881
に格納し、このデータを基に必要な装置構成要素を駆動
制御してアライメント露光することが可能である。な
お、X線露光室809にX線マスク812や被露光基板
を搭載せずに、あらかじめ位置検査を行い、このデータ
をデータ記憶部881に格納し、このデータを基に露光
することも可能である。図12〜図14に示した3つの
露光シーケンスは、それぞれの一部或いは全てを図7或
いは図10に示した露光シーケンスと併用して実施する
ことにより、露光の対象に応じて適切な運用が可能にな
り、本発明の効果を、より顕著にすることができる。図
10に示した露光シーケンスと併用するためには図15
に示すように、X線反射ミラー制御系910にデータ記
憶部981を接続するか、データ記憶部をX線反射ミラ
ー制御系910に内蔵すればよい。そしてこのデータ記
憶部981に露光フィールド全面の相対的位置関係やX
線の平行度等の情報を記憶すればよい。あるいはステッ
プ・アンド・リピート露光においてn番目のフィールド
位置の露光時にn+1番目のフィールド位置のアライメ
ント位置信号を先行検出してこの情報をデータ記憶部9
81に格納すればよい。
【0052】また、ダイバイダイ方式のように、1つの
露光フィールド毎に位置情報を求め、フィールド毎にX
線反射ミラーの駆動制御を最適にしてアライメント露光
する方法のみでなく、グローバルアライメント方式のよ
うに、被露光基板内の特定の露光フィールドの位置情報
を基にX線反射ミラーの駆動制御を最適にして、これを
代表の制御様式として残りのフィールドをアライメント
露光することも可能である。この方法を採用することに
よって、さらに露光処理の高速化が実現可能になる。
【0053】またX線反射ミラーの形状については、図
3で示したものが本発明では適用し易いが、面内形状が
位置によって異なっている反射ミラーであれば、あらか
じめX線のミラー面内への入射位置と入射角に応じて成
形されるX線の発散角等のデータを測定し、これをデー
タ記憶部881,981に格納しておけばよい。この格
納されたデータをデータテーブルとして採用して本発明
の第3の実施の形態を適用すれば第1,第2の実施の形
態における種々の効果を損なうことなく合わせ精度の向
上が可能になり、さらに露光を短時間で処理できるメリ
ットがある。
【0054】[第4の実施の形態]図16は本発明の第
4の実施の形態に係るX線リソグラフィ装置の概要図で
ある。本発明の第4の実施の形態は第1のX線反射ミラ
ー885および第2のX線反射ミラー886とを用い、
第2のX線反射ミラー886を揺動する場合である。第
2のX線反射ミラー886とX線マスク812との間の
距離は実質的に一定にしておく。
【0055】すなわち、図8に示すX線リソグラフィ装
置は、SOR(シンクロトロン放射)光を発生するシン
クロトロン・リング801とX線取出しポート802、
超高真空のビームライン803、X線の領域を制限する
アパーチャー804、第1のX線反射ミラー885、第
2のX線反射ミラー886、X線検出器807、X線シ
ャッタ808、ビームライン側の超高真空と露光室側の
雰囲気とを離隔する離隔窓806、X線露光室809と
を主なる構成要素とする。第1のX線反射ミラー885
には、そのX線の入射位置とX線反射ミラーの姿勢を設
定する第1のX線反射ミラー駆動系871が接続してい
る。同様に第2のX線反射ミラー886にも第2のX線
反射ミラー駆動系872が接続されている。これらのX
線反射ミラー駆動系871,872はミラー制御系87
3で駆動、制御される。第1および第2のX線反射ミラ
ー駆動系871,872はその一部又は全部をビームラ
イン803中の内部に配置してもよく、外部でもよい。
X線検出器807は、第2のX線反射ミラー886で反
射したX線の水平方向、垂直方向の平行度を2次元情報
として測定するのに使用される。このX線検出信号はX
線反射ミラー制御系873に取り込まれ、2つのX線反
射ミラー885,886を駆動する際に使用される。図
16に示すようにシンクロトロン・リング801からの
SOR光をアパーチャー804を介して取り出し、この
SOR光(X線)をX線反射ミラーの揺動により露光フ
ィールドを拡大している。第1のX線反射ミラー885
で成形されたSOR光は概ね水平方向に長い帯状のスリ
ット形状である。帯状のスリット形状のSOR光は第2
のX線反射ミラー886を用いてフィールドの垂直方向
に走査されて露光に用いられる。露光量の面内均一性を
確保するためには、あらかじめ離隔窓809に特開平3
−237400号公報に示されている方法を適用しX線
強度分布の改善を行えばよい。この方法は、離隔窓の薄
膜のマスク側にネガ型レジストを塗布し、X線を走査し
照射した後に一端取出して現像し作製するものである。
【0056】X線露光室809には、X線マスク812
がマスクステージ813に保持され、マスクステージ駆
動系816とこれを制御するマスクステージ制御系81
8が接続される。X線マスク812は第1の実施の形態
において図2を用いて説明したものと同様の構造であ
る。すなわち、W−Reの合金からなるX線吸収体パタ
ーン(0.4μm厚)202とSiCよりなるX線透過
性薄膜(2μm厚)203、X線透過性薄膜を支持する
Si支持基板(600μm厚、外径76mm)204、
さらにこれらを補強する支持枠SiOガラス(4mm
厚、外径100mm、開口部60mm φ)205より
構成されている。Si支持基板204の一部はバックエ
ッチングによって除去されX線の透過する窓(42mm
角)が形成されている。露光フィールドは20mm×
40mmの矩形領域であり、この領域に所定のパターン
が形成されている。被露光基板814はウエハステージ
815に保持され、ウエハステージ駆動系817とこれ
を制御するウエハステージ制御系819が接続され、ス
テップ・アンド・リピート方式の逐次露光がなされる。
X線マスク812と被露光基板はギャップが20μmに
設定され、20mm×40mmの露光フィールド領域に
おいて±0.2μmの平行度になっている。ギャップの
設定は、ギャップセンサ822によりX線マスク812
と被露光基板814を各ステージを駆動して走査した際
に得れる形状情報信号に基づいて調整、設定される。こ
の時、X線マスク812は、第2のX線反射ミラー88
6の揺動によって形成される円弧の中心線に沿ったX線
がX線マスクのパターン面に垂直に入射する様に姿勢が
決められている。X線露光室809にはX線マスク81
2と被露光基板814のアライメント位置検出を行うア
ライメント光学系820が搭載されている。アライメン
ト光学系820にはアライメント制御系821が接続さ
れている。また、図6に示すように、X線マスク812
には、デバイスパターンの他に合わせ評価用のパターン
901とアライメントマーク902が形成され、同様に
被露光基板814にも、デバイスパターンの他に合わせ
評価用のパターン903とアライメントマーク904が
形成されている。合わせ評価用パターン901と903
は、アライメント露光された際にボックス・インボック
ス(Box−in−box)のパターンになるよう設計
され、露光フィールド内に9×17点形成されている。
また、アライメントマーク902と904は、露光フィ
ールドの上下左右に配置され、特に左右のマークについ
ては一列に形成されている。ステップ・アンド・リピー
ト方式の逐次露光においてはアライメント光学系820
によって、X線マスク812のパターンと被露光基板8
14の露光フィールドの相対位置が検出され、この検出
信号に基づいて、各ステージ813,815の駆動が制
御されクローズドループで露光される。
【0057】SOR光源より取出されたX線は帯状であ
り光軸を中心として水平方向に有限の発散角を有する
が、第1のX線反射ミラー885に入射し反射すること
により集光され、概ね成形される。本発明で使用される
第1のX線反射ミラー885は図3および図4に示すよ
うに面内位置により反射特性が異なり、X線の入射位置
によって連続的に水平方向の発散角が異なる構造体を用
いればよい。図3に示したX線反射ミラーはトロイダル
系であり、面内位置A、B、Cの順に曲率半径が大きく
なっている。また図4に示したX線反射ミラーは面内位
置A、B、Cで曲率半径が異なり、位置Bでは曲率半径
が実質上無限大となり、位置AとBでは曲率の符号が逆
転している特徴を持つ。図3又は図4に示した様な第1
のX線反射ミラー885を採用し、第1のX線反射ミラ
ー885への入射位置を選択することによって、X線の
水平方向の発散角を調整でき、これを用いて露光する際
にX線マスクパターンの水平方向の倍率を変化させて被
露光基板上に転写することが可能になる。露光フィール
ドの垂直方向については、第2のX線反射ミラー886
の揺動と走査によって行う。この時、第2のX線反射ミ
ラー886でX線を反射した後でも、第1のX線反射ミ
ラー886で調整されたX線の水平方向の発散角がほと
んど変更されずに露光できることが望ましい。このた
め、第2のX線反射ミラー886の形状は平面の方が発
散角を保存する上で使用し易い。露光領域の拡大を揺動
のみで行う場合には、第2のX線反射ミラー886とX
線マスク812の位置関係によって、垂直方向の発散角
が決定されるため転写パターンの垂直方向の倍率は一定
となる。そこで、前述したように、垂直方向の倍率を調
整するには、マスクと被露光基板のギャップを変更する
か、マスクと被露光基板を異なる速度で垂直方向に相対
的に移動する方法によって可能である。但し、ギャップ
を変更する場合にはX線透過性薄膜が撓む問題があるた
め、これを抑えるには制御系が複雑になる恐れがありこ
のましくない。第2のX線反射ミラー886を揺動する
場合について、代表例を図17(a)〜(c)に示す。
図17(a)は、第1のX線反射ミラー885で水平方
向の発散量を概ねゼロにして、水平方向の転写パターン
の倍率を変えない場合である。図17(b)は、第1の
X線反射ミラー885を移動してX線の発散角を大きく
して、水平方向の転写パターンのサイズを露光フィール
ドよりも大きくする場合である。さらに図17(c)
は、第1のX線反射885で水平方向の倍率を変えなが
ら、被露光基板をミラーの揺動に同期して徐々に移動し
て、垂直方向の倍率を縮めた場合である。
【0058】図17(a)〜(c)に明らかなように本
発明の第4の実施の形態に係るX線リソグラフィ装置の
構成の場合には、露光フィールド領域を確保するために
第2のX線反射ミラー886を揺動する都合上、露光フ
ィールドの垂直方向のX線の発散角が大きくなる。この
ため、転写した際にはパターンが垂直方向に拡大されて
投影されるので、拡大する量をあらかじめ見込んで被露
光基板のフィールドサイズよりも小さく作られたX線マ
スク812を採用する必要がある。但し、前述したよう
に、マスクと被露光基板のギャップを変更するか、ミラ
ーの揺動に対してマスクと被露光基板を異なる速度で垂
直方向に相対的に移動する方法によって垂直方向の倍率
を調整することも可能である。
【0059】次に図18に示すように、本発明で行われ
る適当な露光シーケンスの一例を以下に説明する。アラ
イメント光学系820によって検出されたX線マスクの
アライメントマーク902と被露光基板のアライメント
マーク904からの位置信号に基づいてアライメント制
御系821でX線マスクパターンの位置情報と被露光基
板上のパターンの位置情報が計算される。そしてこの位
置情報は、各ステージの駆動制御系818,819に伝
達され、アライメント動作が制御される。アライメント
制御系821からの位置情報は、X線反射ミラー制御系
873に伝達され、この位置情報と、X線検出器807
からの信号情報に基づいて、X線マスク812に入射さ
れるX線の水平方向の発散角が設定される。この発散角
の設定は対象となるX線マスク812と被露光基板81
4との間に設定した所定のギャップの条件下において、
X線マスク812と被露光基板814の合わせ精度が計
算上所望規格以下となる最適な条件になるように調整さ
れる。このように所望の合わせ精度を維持する条件のも
とで第1のX線反射ミラー885のX線の入射位置が第
1のX線反射ミラー駆動系871によって設定さされ
る。また、同時に第2のX線反射ミラー駆動系872に
よるミラー揺動は、SORリングの蓄積電流値あるいは
X線検出器807で得られるX線強度に応じて、所望の
露光量が得られるようにX線反射ミラー制御系873で
揺動速度が制御されて行われる。X線マスクに入射され
るX線の発散角を最適化する際には、X線シャッタ80
6を開けて露光を開始する前に、X線検出器807によ
り検出されたX線の発散角が、対象とするX線マスク8
12と被露光基板814のフィールドに対して条件を満
たしているかX線反射ミラー制御系873で確認がなさ
れる。このX線反射ミラー制御系873により所定の発
散角の条件が満たされるまで第1のX線反射ミラー88
5の設定が繰り返し行われる。また、露光中において
も、アライメント光学系820によってリアルタイムで
X線マスクのアライメントマーク902と露光中の被露
光基板のフィールドのアライメントマーク904から、
露光フィールドの位置に応じた位置信号が検出される。
この信号に基づいてアライメント制御系821で計算さ
れたX線マスクパターンの位置情報と被露光基板上のパ
ターンの位置情報は、X線反射ミラーの制御系873に
伝達される。この位置情報とX線検出器807によりリ
アルタイムで検出されるX線の情報に基づいて、X線マ
スクに入射されるX線の水平方向の発散角が調整され
る。この発散角の調整はX線マスク812と被露光基板
814の合わせ精度が計算上所望規格以下となる条件を
満たすようになされる。つまり第1のX線反射ミラー8
85へのX線の入射位置と姿勢を、X線反射ミラー駆動
系871によって、第2のX線反射ミラー886の揺動
に同期して、リアルタイムに調整する。そして各ステー
ジの駆動が制御系818,819によって制御され順次
アライメント露光される。
【0060】[第5の実施の形態]上記第4の実施の形
態では、第2のX線反射ミラーとX線マスクとの間の距
離を一定にして反射ミラーを揺動する場合について説明
した。X線反射ミラーを揺動して露光フィールドを拡大
しているために、転写パターンは必ずX線マスク上のフ
ィールドよりも垂直方向に拡大されて投影されるため
に、拡大する量をあらかじめ見込んで被露光基板のフィ
ールドサイズよりも小さいサイズから成るX線マスクパ
ターンを使用する必要がある。これを避けて垂直方向の
倍率を変更するには、X線マスクと被露光基板のギャッ
プを調整するか、被露光基板をX線反射ミラーの揺動に
対してずらしながら露光する必要がある。但し、ギャッ
プ調整した場合には、転写パターンのサイズが水平方
向、垂直方向に変更される。したがって2つ方向で別々
の倍率を所望する際には、水平方向の倍率を再度調整す
る必要があるために制御が複雑になる懸念がある。また
ギャップの変更量によっては、短寸法精度や寸法リニア
リティを得る上で露光マージンの低下を招き、その他、
X線マスクのX線透過性薄膜が撓む恐れがある等、制御
上困難な面が多い。これらの事情を改善するものとし
て、以下に示す第5の実施の形態を説明する。
【0061】図19は本発明の第5の実施の形態に係る
X線リソグラフィ装置の概要図である。本発明の第5の
実施の形態は第1のX線反射ミラー885と第2のX線
反射ミラー886とを用い、第2のX線反射ミラー88
6をX線の光軸方向に平行に移動する場合である。
【0062】図19に示すX線リソグラフィ装置は、S
OR(シンクロトロン放射)光を発生するシンクロトロ
ン・リング801とX線取出しポート802、超高真空
のビームライン803、X線の領域を制限するアパーチ
ャー804、第1のX線反射ミラー885、第2のX線
反射ミラー886、X線検出器807、X線シャッタ8
08、ビームライン側の真高真空と露光室側の雰囲気を
離隔する離隔窓806、X線露光室809とを少なくと
も具備している。第1のX線反射ミラー885には、そ
のX線の入射位置と姿勢と揺動する第1のX線反射ミラ
ー駆動系971が接続している。同様に第2のX線反射
ミラー886にも第2のX線反射ミラー駆動系972と
X線反射ミラー走査機構973が接続されている。第1
および第2のX線反射ミラー駆動系971,972およ
びX線反射ミラー走査機構973はX線反射ミラー制御
系970で駆動、制御される。図19では第2のX線反
射ミラー駆動系972とX線反射ミラー走査機構973
は互いに別体のように記載されているが、これは単にシ
ステム構成としての模式的表現上のことである。現実の
物理的又は機械的な構造としては両者を一体として構成
してもよいことはもちろんである。又互いに別体として
構成してもよい。さらに第1、第2のX線反射ミラー駆
動系971,972、又はX線反射ミラー走査機構97
3の一部又は全部をビームライン803の内部に配置す
るか外部に配置するかは設計に応じて選択すればよい。
X線検出器907は、第2のX線反射ミラー886で反
射したX線の水平方向、垂直方向の平行度を2次元情報
として測定するのに使用される。このX線検出信号はX
線反射ミラー制御系970に取り込まれ、第1および第
2の2つのX線反射ミラー885,886を駆動する際
に使用される。アパーチャー804を通過したSOR光
は水平方向に長い帯状のストリップ形状である。したが
って、容易にわかるように、X線反射ミラーの揺動によ
る露光フィールドの拡大した場合においても、成形され
たX線は概ね水平方向に長い帯状のスリット形状であ
る。本発明の第5の実施の形態においては、このX線
(SOR光)をフィールドの垂直方向に走査しステップ
・アンド・リピート方式の逐次露光に用いられる。
【0063】図19に示すようにX線露光室809の内
部には、X線マスク812がマスクステージ813に保
持されている。マスクステージ813はマスクステージ
駆動系816とこれを制御するマスクステージ制御系8
18が接続される。被露光基板814はウエハステージ
815に保持され、ウエハステージ815にはウエハス
テージ駆動系817とこれを制御するウエハステージ制
御系819が接続される。X線マスク812と被露光基
板814はギャップが20μmに設定され、20mm×
40mmの露光フィールド領域において±0.2μmの
平行度になっている。ギャップの設定は、ギャップセン
サ822によりX線マスク812と被露光基板814を
各ステージを駆動して走査した際に得れる形状情報信号
に基づいて調整、設定される。この時、X線マスク81
2は、第2のX線反射ミラー886からのX線がX線マ
スクのパターン面に垂直に入射するように姿勢が決めら
れている。X線露光室809には、X線マスク812と
被露光基板814のアライメント位置検出を行うアライ
メント光学系820が搭載されている。アライメント光
学系820はアライメント制御系821に接続されてい
る。また、X線マスク812と被露光基板814には、
図6に示したものと同様のデバイスパターン、合わせ評
価用パターンおよびアライメントマーク等が形成されて
いる。
【0064】本発明の第5の実施の形態においては、第
1のX線反射ミラー885に入射し反射する際に集光さ
れ、概ね平行光に成形される。本発明で使用される第1
のX線反射ミラー885は、図3および図4に示すよう
に面内位置で反射特性が異なり、X線の入射位置によっ
て連続的に水平方向の発散角が異なるように設計された
構造体を用いればよい。図3又は図4に示した様な第1
のX線反射ミラー885を採用し、第1のX線反射ミラ
ー885へのX線入射位置を選択することによって、X
線の水平方向の発散角を所望の角度に調整でき、これを
用いて露光する際にX線マスクパターンの水平方向の倍
率を変化させて被露光基板上に転写することが可能にな
る。露光フィールドの垂直方向については、第2のX線
反射ミラー886の揺動と走査によって行う。この時、
第2のX線反射ミラー886でX線を反射した後でも、
第1のX線反射ミラー886で調整されたX線の水平方
向の発散角がほとんど変更されずに露光できることが望
ましい。このため、第2のX線反射ミラー886の形状
は平面の方が発散角を保存する上で使用し易い。
【0065】図20(a)〜(c)に、本発明の第5の
実施の形態における第2のX線反射ミラー886をX線
の光軸方向に平行に移動する場合のX線の発散角につい
ての代表例を示す。ここでX線の光軸方向とは、第2の
X線反射ミラー886へのX線の入射方向と同じものを
意味し、第2のX線反射ミラー886の反射後のX線の
進行軸ではない。図20(a)は、第1のX線反射ミラ
ー885で水平方向の発散角を概ねゼロとして、次に第
2のX線反射ミラー886へのX線の入射角、反射角を
一定にしたまま、X線がマスクに対して垂直方向に入射
するように第2のX線反射ミラー886を光軸方向に平
行に走査して、転写パターンの水平、垂直方向の倍率を
変えない場合である。図20(b)は、第1のX線反射
885へのX線の入射位置を固定し、第2のX線反射ミ
ラー886を揺動すると共に位置を走査して、転写パタ
ーンを垂直方向へ縮小した場合である。また図20c
(c)は第1のX線反射ミラー885のX線入射位置を
変更しながら、更に第2のX線反射ミラー886を揺動
しながら第2のX線反射ミラー886を光軸方向に走査
することによって、面内で転写パターンの水平方向の倍
率を変化させ垂直方向の上部を拡大し下部を縮小した場
合である。
【0066】次に本発明の第5の実施の形態における露
光シーケンスの一例を図21を用いて説明する。アライ
メント光学系820によって検出されたX線アライメン
トマーク902と被露光基板のアライメントマーク90
4らの位置信号に基づいてアライメント制御系821で
X線マスクパターンの位置情報と被露光基板上のパター
ンの位置情報が計算される(アライメントマークについ
ては図6を参照されたい)。そしてこの位置情報は各ス
テージの駆動制御系818,819に伝達されてステッ
プ・アンド・リピート方式のアライメント動作が制御さ
れる。また、アライメント制御系821からの位置情報
は、X線反射ミラーの制御系970に伝達され、この位
置情報と、X線検出器807からの信号情報に基づい
て、第1と第2のX線反射ミラー885,886のX線
の入射位置、X線の入射角度とX線反射ミラーの姿勢、
さらには光軸に平行なミラー走査がそれぞれ調整され
る。この調整はX線マスク812に入射されるX線の発
散角が水平方向、垂直方向共に所定の角度になるように
なされる。さらにX線マスク812と被露光基板814
間の所定のギャップの条件下において、X線マスク81
2と被露光基板814の合わせ精度が計算上所望規格以
下となる最適な値になるように、行なわれる。これらの
調整に際しては第1のX線反射ミラー駆動系971、第
2のX線反射ミラー駆動系972、および第2のX線反
射ミラーの走査機構973により、X線反射ミラーの角
度とX線反射ミラーの走査が制御される。同時に、SO
Rリングの蓄積電流値あるいはX線強度に応じて、所望
の露光量が得られるようにX線反射ミラー制御系970
で第2のX線反射ミラー886の走査速度が制御され
る。X線マスクに入射されるX線の発散角の最適化に際
しては、X線シャッタ808を開けて露光を開始する前
に、X線検出器807により検出されたX線の発散角
が、対象とするX線マスク812と被露光基板814の
フィールドに対して条件を満たしているか否かをX線反
射ミラー制御系970で確認する。このX線反射ミラー
制御系970における確認により所定の条件が満たされ
るまで第1のX線反射ミラー885と第2のX線反射ミ
ラー886の設定が繰り返し行われる。また、露光中に
おいても、アライメント光学系820によってX線マス
ク812のアライメントマーク902と露光中の被露光
基板のフィールドのアライメントマーク904から、露
光フィールドの位置に応じた位置信号がリアルタイムで
検出される。この位置信号に基づいてアライメント制御
系821で計算されたX線マスクパターンの位置情報と
被露光基板上のパターンの位置情報は、X線反射ミラー
の制御系970に伝達される。この位置情報をリファレ
ンスとして、X線検出器807によりリアルタイムで検
出される信号情報に基づいて、第1と第2のX線反射ミ
ラー885,886のX線の入射位置、X線の入射角度
とX線反射ミラーの姿勢が、X線マスク812に入射さ
れるX線の発散角が水平方向、垂直方向共に、所定の値
となるように調整される。同時に、X線マスク812と
被露光基板814間の合わせ精度が計算上所望規格値以
下となるように、第2のX線反射ミラー886のX線の
光軸方向への走査に同期して、第1と第2のX線反射ミ
ラー885,886はそれぞれ第1,第2のX線反射ミ
ラー駆動系971,972およびX線反射ミラー走査機
構973によってリアルタイムで駆動される。さらにX
線マスク812と被露光基板814の位置が、各ステー
ジの駆動制御系818,819によって順次制御され、
ステップ・アンド・リピート方式の逐次露光がされる。
なお、SOR光は第2のX線反射ミラー886の光軸方
向への走査による露光フィールドの拡大によっても概ね
水平方向に長い帯状のスリット形状を維持している。そ
して、第2のX線反射ミラー886の光軸方向への走査
によって成形されたSOR光がフィールドの垂直方向に
走査されて露光に用いられる。また、露光量の面内均一
性を確保する等、ステージ強度分布の調整が必要な場合
には、第1〜第3の実施の形態で述べたものと同様なS
iN薄膜を用いたX線強度分布調整手段823により行
う。X線強度分布調整手段823のかわりに、第4の実
施の形態と同様に、離隔窓809にネガ型レジストを塗
布する方法を用いてもよい。
【0067】[第6の実施の形態]第4および第5の実
施の形態においては、リアルタイムに露光フィールドの
面内位置に応じて、X線マスクや被露光基板の露光フィ
ールドのアライメント信号を順次検出し、相対位置関係
や絶対ずれ量に関する位置情報を基に、X線反射ミラー
等の必要な構成要素を種々駆動、制御しながらX線を走
査してアライメント露光を行う例を示した。このように
順次リアルタイムでフィールドの位置に応じて位置ずれ
を補正しながら露光しなくても、図22に示すようにX
線ミラー制御系873にデータ記憶部874を設け、デ
ータ記憶部874にミラー駆動制御に関するデータを格
納しておけば、この格納されたデータに基づいて露光フ
ィールドの歪等を補正してアライメント精度を向上する
ことが可能である。
【0068】図22に示すX線リソグラフィ装置は、S
OR(シンクロトロン放射)光を発生するシンクロトロ
ン・リング801とX線取出しポート802、超高真空
のビームライン803、X線の領域を制限するアパーチ
ャー804、第1のX線反射ミラー886、第2のX線
反射ミラー886、ビームライン側の超高真空と露光室
側の雰囲気を離隔する離隔窓806、X線検出器80
7、X線シャッタ808、X線露光室809とが主なる
構成要素である。第1のX線反射ミラー885には、そ
のX線の入射位置とX線反射ミラーの姿勢を設定する第
1のX線反射ミラー駆動系871が接続している。同様
に第2のX線反射ミラー886にも第2のX線反射ミラ
ー駆動系872が接続されている。これらの駆動系87
1,872は、X線反射ミラー制御系873によって制
御される。X線反射ミラー制御系873にはミラー駆動
制御に関するデータを格納しておくRAM等のデータ記
憶部874が接続、もしくは内蔵されている。データ記
憶部874の具体的な配置位置はX線リソグラフィ装置
全体の設計仕様等によって決定すればよい。たとえばX
線露光室809の内部に配置してもかまわない。このデ
ータ記憶部874には露光フィールド全面におけるマス
ク位置に対する相対位置関係情報、マスク位置情報、ギ
ャップ等の露光条件データ等が格納できる。X線検出器
807は、X線反射ミラー805で反射して成形された
X線の水平方向、垂直方向の平行度を2次元情報として
測定するのに使用される。このX線の平行度の2次元情
報はX線反射ミラー制御系873に取り込まれる。X線
の平行度の2次元情報はデータ記憶部874に記憶する
ことが可能である。そしてそれらの情報は、第1および
第2のX線反射ミラー885,886を駆動する際に読
み出されて使用される。
【0069】X線露光室809は、第1乃至第5の実施
の形態と実質的に同様であり、X線マスク812がマス
クステージ813に保持され、被露光基板814がウエ
ハステージ815に保持される。マスクステージ813
とウエハステージ815にはそれぞれマスクステージ駆
動系816,ウエハステージ駆動系817とこれらを制
御するマスクステージ駆動系818,ウエハステージ制
御系819が接続されている。
【0070】本発明の第6の実施の形態においては図2
3および図24のフローチャートに露光シーケンスを示
すように、実際にX線の照射を開始する前に対象とする
露光フィールドについて、全面のアライメントマークか
らの位置ずれ情報を検出、算出し、そのデータをデータ
記憶部874に格納して、このデータに基づいて実際に
必要な装置構成要素を駆動制御して順次アライメント露
光していくことが可能である。また、図25のフローチ
ャートに示すように露光フィールドの全面の位置情報を
検出しなくても、実際にX線を照射して露光しているフ
ィールド位置(n番目の位置)に先行して、次に走査す
る位置(n+1番目の位置)の情報をX線照射する以前
に順次検出、算出して、データ記憶部874に格納する
手法も可能である。次に走査する位置(n+1番目)の
情報をあらかじめ得て、このデータを基に必要な装置構
成要素を駆動制御してアライメント露光することにより
高速の逐次移動露光が可能である。なお、X線露光装置
809にX線マスク812や被露光基板を搭載せずにあ
らかじめ位置検査を行い、このデータをデータ記憶部8
74に格納し、このデータを基に露光することも可能で
ある。図23〜図25に示した3つの露光シーケンス
は、それぞれの一部或いは全てを図18或いは図21に
示した露光シーケンスと併用して実施することにより、
露光の対象に応じて適切な運用が可能になり、本発明の
効果をさらに高めることができる。図21に示した露光
シーケンスと併用するためには図26に示すように、X
線反射ミラー制御系970にデータ記憶部979を接続
するか、データ記憶部をX線反射ミラー制御系970に
内蔵すればよい。そしてこのデータ記憶部979に露光
フィールド全面の相対的位置関係やX線の平行度等の情
報を記憶すればよい。あるいはステップ・アンド・リピ
ート露光においてn番目のフィールド位置の露光時にn
+1番目のフィールド位置のアライメント位置信号を先
行検出してこの情報をデータ記憶部979に格納すれば
よい。
【0071】また、X線反射ミラーの形状については、
図3で示したものが本発明では適用し易いので好ましい
が、面内形状が位置によって異なっているX線反射ミラ
ーであれば、あらかじめX線のミラー面内への入射位置
と入射角に応じて成形されるX線の発散角等のデータを
測定し、これをデータ記憶部874,979に格納し
て、これをデータテーブルとして採用することができ
る。したがって、本発明の第6の実施の形態によれば、
第4、第5の実施の形態の効果を損なうことなく合わせ
精度の向上が可能になり、さらに露光を短時間で処理で
きるメリットがある。
【0072】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。ここで実施例1,2および4は本発明の第1の実
施の形態に係る実施例であり、実施例6〜10は本発明
の第2の実施の形態に係る実施例である。実施例3,5
および11は本発明の第3の実施の形態に係る実施例で
ある。実施例12は第4の実施の形態に、15〜17は
第5の実施の形態に、実施例13,14,18は第6の
実施の形態に係る。これらの実施例は被露光基板(シリ
コンウェハ)上に形成された下層のマスクパターンに対
してX線露光により、その上層のパターンを転写してマ
スク合わせ精度等を具体的に示すものである。
【0073】(実施例1)上述したように実施例1は本
発明の第1の実施の形態に係る。図1に示す本発明の第
1の実施の形態に係るX線リソグラフィ装置には、X線
反射ミラー805とX線マスク812をある所定の距離
に固定したまま、露光フィールド領域を確保する上でX
線反射ミラーを揺動するために,特に露光フィールドの
垂直方向のX線の発散角が大きくなる。このため、転写
した際にはパターンが垂直方向に拡大されて投影され、
合わせ精度を達成することが不可能になるので、拡大す
る量をあらかじめ見込んで被露光基板のフィールドサイ
ズよりも小さく作られたX線マスクを採用する必要があ
る。実施例1においては、露光フィールド20mm×4
0mm、X線反射ミラー805の揺動位置とX線マスク
812までの距離は約2000mmとして説明する。こ
の場合、計算上フィールドの垂直方向に200nmのパ
ターンずれが生じることになる。マスク合わせに使用し
た被露光基板に形成されている露光フィールドのサイズ
は、ほぼ設計サイズ(20mm×40mm)と同サイズ
の矩形に形成され、被露光基板上に形成された20個の
露光フィールド間のばらつきも測定精度以下であった。
はじめに、アライメント光学系820により測定された
X線マスクパターンの露光フィールド形状1と被露光基
板上の露光フィールド形状2の両者の位置ずれを検出し
た。その結果図27(a)に示すように、水平方向で5
8nm、垂直方向で210nmだけ、実線で示すX線マ
スクパターンの露光フィールド形状1の方が破線で示す
被露光基板の露光フィールド形状2のサイズよりも小さ
く、X線マスクパターンの露光フィールド形状1は概ね
矩形形状であった。次に、実際にX線マスクをアライメ
ント露光して、マスクパターンの被露光基板に対する合
わせずれを合わせ評価用マークで計測した結果、位置ず
れの平平均値は水平方向で−3nm、垂直方向で−15
nmであった。この位置ずれのデータは、図6に示よう
に露光フィールド内に配置した9×17点の合わせ評価
用パターン903の最外周の測定値から、水平方向につ
いては左右の2列の平均値を、垂直方向については上下
2行の平均値を得たものである。使用したX線反射ミラ
ーは図3に示した形状のタイプを使用したが、この時の
X線の発散角は、概ね水平方向で3mrad、垂直方向
で10mardと予測される。上記の得られた合わせず
れは、水平方向では問題のない精度であるが、垂直方向
では修正の必要がある値である。このためX線の水平方
向のX線マスクへの入射角をこのまま維持するために、
X線が入射するX線反射ミラー面内への位置を固定した
まま、図5(b)に示すようにX線マスク805から被
露光基板812を1μm離しギャップを21μmに設定
した。また、X線反射ミラー駆動系によるミラー揺動
は、X線強度に応じて、所望の露光量が得られるように
揺動速度を制御して行い露光した。この場合に得られた
合わせずれの結果は、平均で水平方向、垂直方向に測定
におけるばらつきの範囲(以下において「測定再現性」
という)と同程度であった。実施例1では、このように
X線のX線反射ミラーへの入射位置を維持したままマス
クと被露光基板の間隔を調整して、倍率を制御したこと
により、従来では規格外となるX線マスクを使用して
も、被露光基板に対して合わせ規格精度を達成すること
が可能になった。次に、寸法制御性をみるために得られ
た転写パターンの露光フィールド内での寸法ばらつきを
測定したところ、露光量不足に起因して周辺部の寸法が
規格の寸法に比べて10%小さくなっていることがわか
った。このためX線強度分布調整手段823により周辺
部の露光量が増加するように調整を行い、同様の露光を
行ったところ、露光フィールド内で6%の寸法均一性が
得られ、面内均一性の改善が可能になった。
【0074】(第2実施例)次の本発明の第1の実施の
形態に係る実施例2を図1および図27(b)を用いて
説明する。ここではX線反射ミラー805とX線マスク
812の距離を一定にしてX線反射ミラー805を揺動
する場合の第2の例として、X線反射ミラー805に入
射するX線の位置を変えて転写した場合を説明する。図
1に示す本発明の第1の実施の形態に係るX線リソグラ
フィ装置の構成の場合は、実施例1と同様の事情により
転写した際にパターンが拡大されて投影されるため、拡
大する量をあらかじめ見込んで被露光基板(シリコンウ
ェハ)814上のフィールドサイズよりも小さく作られ
ているX線マスク812を採用する必要がある。被露光
基板814は、実施例1と異なるレイアウトのデバイス
パターンと製造プロセスを採用して作製した。このた
め、被露光基板814上の露光フィールドサイズにばら
つきがみられ、特に水平方向のサイズには30nmの違
いがあった。はじめに、アライメント光学系820によ
り測定されたX線マスクの露光フィールド形状1と被露
光基板上の露光フィールド形状2との平均のフィールド
サイズのずれは、図27(b)に示すように、水平方向
で31nm、垂直方向で216nmと実線で示したX線
マスクの露光フィールド形状1の方が小さく、そのフィ
ールド形状は共に概ね矩形形状であった。そして、この
後実際にX線マスクをアライメント露光して、被露光基
板上に形成された下層のマスクパターンに対する合わせ
ずれを図6(b)に示す合わせ評価用パターン903で
計測した結果、被露光基板上に形成された全20露光フ
ィールドの平均の位置ずれは水平方向で+32nm,垂
直方向で−21nmであった。位置ずれのデータはま
ず、各露光フィールドについて、露光フィールド内に配
置した9×17点の合わせ評価用パターン903の最外
周の測定値から、水平方向のずれを左右の2列の平均値
から求め、垂直方向のずれを上下2行の平均値から求め
た。そして、さらにこのデータをそれぞれ被露光基板上
の露光フィールド20個すべてについて平均したもので
ある。この時のX線の発散角は、概ね水平方向で、3m
rad、垂直方向で10mradと予測されるので、露
光X線の水平方向のマスクへの入射角が約1.5mra
dになるように、X線反射ミラー面内のX線の入射位置
を調整し変更した(図3(b)〜(d)参照)。さらに
この入射位置を固定したまま、X線ミラーの揺動に対し
て被露光基板814を垂直方向にずらしながら露光し
た。露光中、ミラーの揺動は下から上へ向けて行い、被
露光基板814は下方向へ20nm移動した。次に各露
光フィールド毎に逐次露光していく際には、前述のよう
に調整したX線反射ミラーの設定をディフォルトとし
て、図7に示す露光シーケンスによって、アライメント
露光を行う。この際、フィールド毎のサイズの違いに応
じて得られるアライメントマークからの位置信号に基づ
いて、X線反射ミラーへのX線の入射位置を随時変更し
て、水平方向のX線の発散角を最適化しながらアライメ
ント露光を行った。X線の発散角を最適化する際には、
X線シャッタ808を開けて露光を開始する前えに、X
線検出器807により測定したX線の発散角が、対象と
するフィールドに対して条件を満たしていることを確認
後、露光を開始した。なお、X線反射ミラー駆動系81
1によるミラー揺動は、X線強度に応じて、所望の露光
量が得られるようにX線反射ミラー制御系810で揺動
速度を制御している。この場合に得られた合わせずれの
結果はステップ・アンド・リピート露光された全20個
の露光フィールドの平均で水平方向、垂直方向共に測定
再現性と同程度であった。またばらつきも本露光前にす
でに形成されている下層のパターンのばらつきに比して
1/3に低減した。この例では、被露光基板814上の
下層の露光フィールド間で水平方向のサイズのばらつき
があったために合わせずれが生じていた。しかし、この
下層のパターンにマスク合せするに際し、各露光フィー
ルド毎にX線のX線反射ミラーへの入射位置を最適にし
て、水平方向のパターンの倍率を制御して適宜アライメ
ント露光したことにより、露光後の各露光フィールド間
のばらつきによる合わせずれを低減し、合わせ規格精度
を達成することが可能になった。下層の露光フィールド
が変形している場合、従来ではX線マスクを各露光フィ
ールド毎に変形させてマスク合わせする方法で対応して
いたが、実施例2によればX線マスクの破損の懸念が無
く、X線リソグラフィ装置の機構を複雑にすることもな
い。また実施例2によればアライメント位置信号をもと
にX線反射ミラーをスピーディーに駆動、制御するため
に、露光処理速度も高速化できる。
【0075】(実施例3)次に本発明の第3の実施の形
態に係る実施例3を図11および図27(c)を用いて
説明する。実施例3ではX線反射ミラー805とX線マ
スク812の距離を一定にしてX線反射ミラー805を
揺動する場合の第3の例として、図3(b)〜(d)に
示すようにX線反射ミラーに入射するX線の位置を変え
ながら転写した場合を説明する。但し使用したX線反射
ミラーは、前述の実施例2のものと異なる。このため、
あらかじめX線反射ミラー805の面内のX線の入射位
置と入射角に応じて成形されるX線の発散角の測定を行
い、この測定により得られたデータを使用した。本発明
の第3の実施の形態に係るX線リソグラフィ装置の構成
の場合には、第1の実施の形態と同様に転写した際にパ
ターンが拡大されて投影されるため、拡大する量を予め
見込んで被露光基板814上に形成される現実の露光フ
ィールドサイズよりも小さく作られているX線マスクを
用意する必要がある。実施例3ではマスク合せの対象と
なる下層のパターンを有する被露光基板814は、実施
例1,2と異なるレイアウトのデバイスパターンと製造
プロセスを採用して作製した。この被露光基板814上
の露光フィールド形状は概ね樽形状であった。はじめ
に、アライメント光学系820を用いてX線マスクパタ
ーン812と被露光基板814の平均の露光フィールド
サイズのずれを検出した。その結果は図27(c)に示
すように、水平方向で最大32nm、垂直方向で208
nmだけX線マスクの露光フィールド形状1の方が被露
光基板上の露光フィールド形状2よりも小さく、X線マ
スクの露光フィールド形状1は被露光基板のものと異な
り矩形であった。次に、実際にX線マスクをアライメン
ト露光して、被露光基板上に形成されたマスクパターン
に対する上層のマスクパターンの合わせずれを計測した
結果、全20個の露光フィールドの平均の位置ずれは水
平方向でフィールドの中央で+28nm、上部で+55
nm、下部で+40nmであった。また垂直方向の位置
ずれは+5nmであった。このデータは、まず、各露光
フィールドについて、各露光フィールド内に配置した9
×17点の合わせ評価用パターンの最外周の測定値から
求め、さらにこの各露光フィールドについてのデータを
逐次移動露光された被露光基板上の20個の露光フィー
ルドについて平均化したものである。露光の際には、フ
ィールド内の位置による位置ずれに応じて得られるアラ
イメントマークからの位置信号と、X線反射ミラー80
5へのX線の入射位置をX線反射ミラー制御系810接
続されたデータ記憶部881に格納されている発散角の
データに基づいて、水平方向のX線の発散角をリアルタ
イムで最適化しながらアライメント露光を行った。この
露光では、X線検出器807によりX線の発散角を測定
しているが、この測定情報をデータ記憶部881に戻し
て、X線反射ミラー805を制御、駆動することは行っ
ていない。実施例3におけるX線の水平方向のX線マス
クへの入射角は、一つのフィールド内で、概ね下部で1
mrad、中央部で1.5mrad、上部でほぼ0mr
adになるように、データ記憶部881に格納されてい
る発散角のデータから、X線の入射するX線反射ミラー
の面内位置が選択されている。また、X線反射ミラー駆
動系811によるミラー揺動は、あらかじめ得られた測
定強度分布を基に所望の露光量が得られるように計算し
て求めておき、この計算値を基礎にしてX線反射ミラー
の揺動速度を制御して行った。この場合に得られた合わ
せずれの結果は、全20個の露光フィールドの平均で水
平方向と垂直方向で測定再現性と同程度であった。この
例では、被露光基板の814上における下層の露光フィ
ールド形状と上層のマスクパターンを有したX線マスク
の露光フィールド形状とが異なるために生じる合わせず
れの問題を、あらかじめ測定したX線反射ミラーの面内
位置におけるX線の入射位置と入射角に応じて形成され
るX線の発散角のデータを使用して、水平方向の倍率を
制御することにより解決している。この際、各露光フィ
ールドの位置に対応したアライメントマークからの位置
信号に応じて、X線反射ミラーへのX線の入射位置が順
次、最適になるように選択されてX線の水平方向の発散
角が制御される。このように実施例3では水平方向のパ
ターンの倍率を制御してアライメント露光したことによ
り、下層のパターンと上層のマスクパターンの合わせ精
度の向上が可能になった。なお、実施例1,2において
も同様であるが、実施例3では、事前にX線反射ミラー
の設定を最適にしない状態でアライメント露光している
が、リアルタイムて露光する場合には必ずしも、事前に
露光する必要は無い。このように、露光フィールド内の
位置に応じたアライメント位置信号をもとにX線反射ミ
ラーを最適に駆動、制御するために、単純な倍率補正だ
けでなく種々のLSI製造工程を経て、複雑な形状とな
った下層の露光フィールドに対してもアライメント露光
が可能となった。
【0076】(実施例4)次に本発明の第1の実施の形
態に係る実施例4を図1を用いて説明する。ここではX
線反射ミラー805とX線マスク812の距離を一定に
してX線反射ミラー805を揺動する場合の第4の例と
して、X線反射ミラー805の姿勢をX線の光軸のまわ
りに傾けて転写して露光パターンの直交度補正をする場
合を説明する。
【0077】実施例4は図1に示すX線リソグラフィ装
置を用いて、リアルタイムで水平方向のX線の発散量を
制御してアライメント露光を行う。本発明の第1実施の
形態に係るX線リソグラフィ装置の構成の場合には、実
施例1〜実施例3と同様にパターンが拡大されて投影さ
るため、拡大する量をあらかじめ見込んで被露光基板8
14上の露光フィールドサイズよりも小さく作られてい
るX線マスクを用意する必要がある。被露光基板814
は、先の実施例1と同じデバイスプロセスを経たシリコ
ンウェハであるが、異なるレイアウトのデバイスパター
ン(LSIパターン)を採用する。所定のデバイスプロ
セスを経た被露光基板内の露光フィールド形状は概ね矩
形であった。露光前にX線マスクの露光フィールド形状
1を検査した結果、被露光基板上の平均の露光フィール
ド形状2のサイズとのずれは、図27(d)に示すよう
に、水平方向で最大32nm、垂直方向で203nmだ
けX線マスクの露光フィールド形状1の方が小さく、そ
のフィールド形状は概ね平行四辺形であった。X線マス
クの露光フィールド1の縦方向の辺は基準点から水平方
向に最大で+30nm右方向にずれて傾斜していた。実
際の露光の際には、露光フィールド内の位置によるサイ
ズの違いに応じて得られるアライメントマークからの位
置信号に基づいて、X線反射ミラーへのX線の入射位置
をリアルタイムで変更して、水平方向のX線の発散角を
最適化しながらアライメント露光を行った。実施例4に
おいてはX線反射ミラーの駆動を図28および図29に
示すようにX線の光軸方向を中心に傾斜させることによ
り、X線の左右での発散角を変えた。図28または図2
9に示すように、X線反射ミラー805をミラー揺動に
同期して傾斜駆動して行い、露光フィールドの下部で左
の発散角をほぼ0mrad、右を1.5mradとし、
中央部で左右共に0.75mradとし、上部で左を
1.5mrad、右をほぼ0mradなるように制御し
た。なお所望の露光量が得らるようにX線反射ミラー制
の揺動速度を制御して露光した。この場合に得らた合わ
せずれの結果は、平均で水平方向、垂直方向共に測定再
現性と同程度であった。この例では、実施例3と同様
に、各露光フィールドの位置に応じてのX線反射ミラー
へのX線の入射位置を順次最適化して、水平方向のパタ
ーンの倍率を制御してアライメント露光したことによ
り、合わせ精度の向上が可能になった。特に実施例4で
はX線反射ミラーをX線の光軸方向の周りに傾斜駆動し
て、水平方向の左右の発散角を変えることによって露光
フィールド形状の縦の辺と横の辺とのなす角の直交度補
正することが可能となった。
【0078】なお、上記説明から明らかなように単純な
直交度補正でなく、たる形やトラペゾイド形(台形)等
のより高次な歪も補正できることはもちろんである。
【0079】(実施例5)本発明の第3の実施の形態に
係る実施例5においては、図11に示すX線露光装置に
搭載する前に検査して得られたX線マスクと被露光基板
の露光フィールドのパターン位置情報をX線反射ミラー
制御系810に接続されたデータ記憶部881に格納し
ている。そしてこの格納さたデータに基づいてX線マス
クの転写パターンが対象とする被露光基板のフィールド
形状2とサイズが合うようにX線反射ミラー805を駆
動制御して、順次アライメント露光をした。実施例4と
同一のX線マスク812と被露光基板814を用いて得
らた合わせずれの結果は、実施例4のリアルタイムで露
光した場合とほぼ同等であった。しかし、厳密にはX線
リソグラフィ装置に搭載した状態での位置情報でないた
めに、ステージへの保持等に起因する歪によって、合わ
せ精度が10%程度低下していた。実施例5のように、
あらかじめ得られた位置データに基づいて露光する方法
では、精度は多少低下する恐れはあるが、露光中に逐次
位置情報を検出しX線反射ミラー駆動系等を制御する一
連の繰り返し動作を必要としないために、より短時間で
露光を終了することができるメリットがある。
【0080】(実施例6)実施例6は本発明の第2の実
施の形態に係る。実施例6において使用した被露光基板
814上の露光フィールドのサイズは、ほぼ設計サイズ
(20mm×40mm)と同サイズの矩形に形成され、
被露光基板上での露光フィールド間ばらつきは10nm
以下であった。アライメント検出系により測定されたX
線マスクパターンと被露光基板の両者の露光フィールド
形状1,2の位置ずれは、図30(a)に示すように、
水平方向で30nm、垂直方向で10nmとX線マスク
の露光フィールド形状1の方が被露光基板上の露光フィ
ールド形状2のサイズよりも大きく、そのフィールド形
状は概ね矩形形状であった。実際に図8に示したX線リ
ソグラフィ装置を用いて、X線反射ミラー805へのX
線の入射角度を固定してX線反射ミラーを光軸方向に走
査し、X線マスク812に入射する垂直方向の入射角と
入射位置を一定に維持した状態で、マスクをアライメン
ト露光した。この時のマスクパターンの被露光基板に対
する合わせずれを合わせ評価用マークで計測した結果、
位置ずれの平均値は水平方向で+48nm、垂直方向で
+10nmであった。合わせずれのデータは、フィール
ド内に配置した9×17点の合わせ評価用パターンの最
外周の測定値から、水平方向については左右2列の平均
値、垂直方向については上下2行の平均値として求めた
ものである。この時のX線の発散角は、概ね水平方向で
1mrad、垂直方向でほぼ0mradと予測される。
得られた合わせずれは水平方向ではX線が1mradの
発散角を有しているために、X線マスクのフィールドサ
イズよりも20nm程度大きく、垂直方向では被露光基
板に比べてX線マスクのフィールドサイズの大きい分ず
れている。水平方向の合わせずれを低減するためにX線
の水平方向のX線マスクへの入射度角が−1.5mra
dとなるように、X線反射ミラー面内へのX線の入射位
置を選択し、X線反射ミラーをX線の光軸方向に走査し
て露光フィールドを確保して合わせて露光を行った。こ
の際、垂直方向のずれについては、10nm程度のため
補正を行わなかった。また、X線反射ミラー走査機構9
12によるミラー走査は、SORリング801の蓄積電
流値を参照して、所望の露光量が得られるようにX線反
射ミラー制御系で走査速度を制御した。この場合に得ら
れた合わせずれの結果は、平均で水平方向、垂直方向共
に測定再現性程度であった。この例では、使用するX線
マスクのフィールドサイズが、垂直方向では被露光基板
のフィールドサイズと同程度に形成されている。このた
め、垂直方向の合わせずれが生じないように、X線のX
線マスクへの入射角を維持してミラー走査し、垂直方向
に倍率が変化しないように露光した。水平方向について
は、X線のX線反射ミラー805への入射位置を最適に
調整して水平方向に倍率を制御したことにより、従来で
は規格外となるX線マスクを使用しても、被露光基板に
対して合わせ規格精度を達成することが可能になった。
次に、寸法制御性をみるために得られた転写パターンの
露光フィールド内での寸法ばらつきを測定したところ、
実施例1の場合にに比べて、X線強度分布に起因した寸
法変化量は小さく、規格の寸法に比べて7%小さくなっ
ている程度であった。このためX線強度分布調整手段8
23を使用しなくても、寸法の面内均一性を良好に得ら
れることがわかった。なお、X線強度分布調整手段82
3により調整を行い同様の露光を行ったところ、さらに
寸法均一性は向上し、露光フィールド内で5%の均一性
が得られた。
【0081】(実施例7)次に本発明の第2の実施の形
態に係る実施例7を図8および図30(b)を用いて説
明する。ここではX線反射ミラー805をX線の光軸方
向に平行に移動する場合の第2の例として、X線マスク
812に入射するX線の角度を変えて転写した場合を説
明する。実施例7において使用X線マスク812は実施
例6と同じもので、被露光基板814も実施例6と同じ
パターンレイアウトのものを採用した。但し被露光基板
814の製造プロセスを変更して作製したため、露光フ
ィールド形状は矩形に形成されてはいるが、アライメン
ト検出系により測定されたX線マスクパターンと被露光
基板の両者の位置ずれは、図30(b)に示すように、
水平方向30nm、垂直方向で40nmだけX線マスク
の露光フィールド形状1よりも被露光基板上の露光フィ
ールド形状2のサイズの方が小さくなっていた。これら
のX線マスクと被露光基板に対して、図8に示したX線
リソグラフィ装置を用いて、X線反射ミラー805に対
するX線の入射角度を固定し、X線の入射位置を選択し
て、X線マスク812に対する水平方向の入射角を−
1.5mradとして、さらにX線マスクに入射するX
線の入射角をX線マスク面の垂直方向に対してほぼ0m
radと一定に維持した状態で露光する。図8において
X線反射ミラー805をX線の光軸の方向に走査してア
ライメント露光した場合には、垂直方向で40nm程度
のずれが生じると推測される。そこで垂直方向の合わせ
ずれを低減するためには、X線の反射ミラーへの入射位
置を選択された最適位置に固定して水平方向のX線の発
散角は維持しつつ、X線のX線マスクへの垂直方向の入
射角が最適になるように調整しながら露光する必要があ
る。推測される合わせずれは、露光フィールドの上下部
で垂直方向に40nm広がっているため、これを低減す
るには、露光フィールドが上下で縮むようにX線マスク
へのX線の入射角を制御して露光する必要がある。実際
には、X線マスクへのX線の入射角をフィールドの上部
を露光する際にX線マスク面の垂直方向に対して−2m
rad、中央部で0mrad、下部で2mradになる
ように、ミラー走査に同期して連続的にX線のX線マス
クへの入射角を変化させてアライメント露光をした。ミ
ラー走査は、SORリング801の蓄積電流値を参照し
て、所望の露光量が得られるようにX線反射ミラー制御
系910で走査速度を制御している。この場合の合わせ
ずれは、垂直方向でも測定誤差以下であった。実施例7
では、使用するX線マスクの露光フィールド形状1のサ
イズが、被露光基板上の露光フィールド形状2のサイズ
よりも大きく形成された場合についての例を説明した。
しかし水平方向については、X線のX線反射ミラーへの
入射位置を調整してX線マスクに入射するX線の水平方
向の発散角を最適に制御し、同時に垂直方向についても
入射角度を制御して、X線マスクパターンを所望量縮小
して転写し、より高精度な被露光基板に対して合わせ規
格精度を達成することができることはもちろんである。
【0082】(実施例8)次に本発明の第2の実施の形
態に係る実施例8を図8および図30(c)を用いて説
明する。ここではX線反射ミラー805をX線の光軸方
向に平行に移動する場合の第3の例として、X線反射ミ
ラー805に入射するX線の位置と入射角度を変えて転
写した場合を説明する。実施例8において使用したX線
マスク812は実施例6と同じもので、被露光基板81
4も実施例6と同じパターンレイアウトのものを採用し
た。但し被露光基板814は製造プロセスを変更して作
製したため、露光フィールド形状は矩形に形成されては
いるが、事前に測長検査をしたところ、設計サイズと比
べて上部で30nm広がり、下部で−20nm縮んでい
た。図30(c)に示すように被露光基板の露光フィー
ルド形状2はX線マスクの露光フィールド形状1のサイ
ズに比べて、水平方向で10nm小さくなっていた。ま
た被露光基板の露光フィールド形状2は垂直方向では上
部で40nm大きく、下部で30nm小さくなってい
た。露光フィールドの形状1の上部を拡大して、下部を
縮むようにX線マスクへのX線の入射角を制御して露光
すれば、合わせずれが低減される。実際の露光の際に
は、図10に示す露光シーケンスによって、露光フィー
ルド内の位置によるサイズの違いに応じて得られるアラ
イメントマークからの位置信号に基づいて、X線の発散
角を最適化しながら露光を行う。すなわち水平方向につ
いてはX線反射ミラーへのX線の入射位置をリアルタイ
ムで変更して、X線マスクに入射するX線の水平方向の
発散角を最適化する。同時に、垂直方向については、X
線反射ミラーへのX線の入射角をX線反射ミラーのX線
の光軸方向への走査に同期してリアルタイムで変更し
て、X線マスクに入射するX線の垂直方向の入射角を最
適に制御しながら順次アライメント露光を行う。リアル
タイムでX線の発散角を最適化しアライメント露光する
都合上、X線検出器807により測定したX線の発散角
が、対象とする露光フィールドの位置に対する条件から
逸脱しない範囲となるように駆動した。露光中において
は、X線の水平方向のX線マスクへの入射角はフィール
ド内で、X線マスク面に垂直方向に対し、概ね−0.5
mradに、垂直方向については概ねフィールドの上部
で2mrad、中央部で0mrad、下部で1.5mr
adに保たれるように、X線反射ミラー805の走査に
同期して連続的にX線のX線反射ミラーへの入射角が変
化していた。この場合の合わせずれは、水平方向,垂直
方向共に測定再現性以下であった。実施例8では、被露
光基板上の露光フィールド形状が、X線マスクの露光フ
ィールド形状と異なるために合わせずれが生じる問題
を、露光フィールドの位置に応じた位置信号に基づい
て、X線反射ミラーへのX線の入射角度を順次最適化し
て露光することにより、所定の合わせ規格精度が達成で
きることがわかった。すなわち実施例8では垂直方向の
転写パターンおよび水平方向のパターンの倍率を一方で
拡大し、他方で縮小するように最適値に制御して、アラ
イメント露光することにより、被露光基板に対して合わ
せ規格精度を達成することが可能になった。
【0083】(実施例9)次に本発明の第2の実施の形
態に係る実施例9を図8および図30(d)を用いて説
明する。ここではX線反射ミラー805をX線の光軸方
向に平行に移動する場合の第4の例として、X線マスク
805に入射するX線の位置と入射角度を変えて転写し
た場合を説明する。実施例9においては使用したX線マ
スク812と被露光基板814を事前に測長検査をした
ところ、図30(d)に示すように、X線マスク812
の露光フィールド形状1は被露光基板上の露光フィール
ド2と比べて露光フィールドの上部においては水平方向
と垂直方向に共に34nm広がっていた。一方、中央部
で水平方向に20nm広がり、下部で水平方向と垂直方
向に22nm縮んでいた。これに対し被露光基板上の露
光フィールド形状2はほぼ設計サイズ通りに形成された
矩形形状であった。これらを合わせるには、転写パター
ンのフィールドの上部を水平方向と垂直方向に34nm
縮め、中央部の水平方向を20nm縮め、さらに下部を
水平方向と垂直方向に22nm拡大する必要がある。こ
のようにX線マスクのフィールド形状が台形の場合であ
っても、図10に示す露光シーケンスによって、フィー
ルド内の位置によるサイズの違いに応じて得られるアラ
イメントマークからの位置信号に基づいてリアルタイム
でX線の発散角やX線マスクに対するX線の入射角を制
御して、高精度なアライメント露光が可能である。具体
的には水平方向についてはX線反射ミラーへのX線の入
射位置をリアルタイムで変更して、X線マスクに入射す
るX線の発散角を被露光基板上の露光フィールドの位置
に応じて適宜最適化しながら逐次移動露光する。さら
に、垂直方向についても、X線反射ミラーへのX線の入
射角をX線反射ミラーのX線の光軸方向への走査に同期
してリアルタイムで変更して、X線マスクに入射するX
線の垂直方向の入射角を露光フィールドの位置に応じて
制御しながら逐次移動露光する。このように実施例9に
おいては、X線の発散角もしくはX線マスクに対するX
線の入射角を適宜最適に制御しながらアライメント露光
することによって、合わせずれを低減することが可能で
ある。実施例9においては、被露光基板上の露光フィー
ルド形状に対して、X線マスク露光フィールド形状が異
なるために生じる合わせずれを、露光フィールドの位置
に応じた位置信号に基づいて、X線反射ミラーへのX線
の入射位置と入射角度を順次最適化にしながらアライメ
ント露光することにより改善している。
【0084】(実施例10)次に本発明の第2の実施の
形態に係る実施例10を図8,28,29を用いて説明
する。実施例10はX線反射ミラーをX線の光軸方向に
平行に移動す場合の第5の例である。図28および図2
9に示すように、X線反射ミラー805の姿勢をX線の
光軸まわりに傾けて露光し、転写パターンの直交度を補
正する場合を説明する。実施例10では実施例4で用い
たX線マスク812と被露光基板814と同じものを図
8に示すX線リソグラフィ装置に適用して直交度補正を
行う。実施例10においてはX線マスクの露光フィール
ドの形状1は被露光基板の平均の露光フィールド形状2
に比べて、水平方向で最大32nm,垂直方向で203
nm小さくなった平行四辺形であった。また露光フィー
ルドの縦方向の辺は水平方向に最大+30nmシフトし
た傾斜した線を形成していた。図10に示す露光シーケ
ンスによって、フィールド内の位置によるサイズの違い
に応じ得られるアラインメントマークからの位置信号に
基づいて、X線の発散角もしくはX線のX線マスクに対
する入射角を制御しながらアライメント露光する。具体
的には水平方向についてはX線反射ミラー805へのX
線の入射位置をリアルタイムで変更して、X線マスクに
入射するX線の発散角をフィールドの位置に応じて適宜
最適に駆動制御しながら露光する。これと同時に、垂直
方向についてもX線反射ミラー805へのX線の入射角
をX線反射ミラーのX線の光軸方向への走査に同期して
リアルタイムで変更して、X線マスクに入射するX線の
垂直方向の入射角をフィールドの位置に応じて適宜最適
に制御しながら露光する。ここでX線反射ミラーの駆動
は図28又は図29に示すようにX線の光軸方向を中心
に傾斜させることによりX線の左右での発散角を変え
た。このようにして実施例10によれば、X線反射ミラ
ーの揺動をミラーの走査に同期して行い、露光フィール
ド下部で水平方向の左の発散角をほぼ0mrad、右を
1.5mradとし、中央部で、左右共に0.75mr
adとし、上部で左を1.5mrad、右をほぼ0mr
adになるように制御できる。また、露光フィールド下
部の垂直方向については、X線マスクに入射するX線の
入射角を調整してパターンを拡大して転写し、同様に露
光フィールドの上部では+10nmとして拡大する。図
8に示すX線反射ミラー走査機構912によるX線の光
軸方向へのミラー走査は、X線強度に応じて、所望の露
光量が得られるようにX線反射ミラー制御系910で走
査速度を制御する。この場合に得られた合わせずれの結
果は、平均で水平方向、垂直方向に測定再現性と同程度
であった。以上説明したように実施例10によればX線
反射ミラー805をX線の光軸方向に平行に走査して、
露光フィールドを拡大して露光する本発明の第2の実施
形態においても、X線反射ミラー805をX線の光軸方
向の周りに傾斜駆動すれば水平方向の左右の発散角を互
いに異なる値に変えることによって、容易に露光フィー
ルド形状の縦の辺と横の辺との直交度を補正できること
がわかる。
【0085】(実施例11)次に図15に示すX線リソ
グラフィ装置を用いた本発明の第3の実施の形態に係る
実施例11について説明する。実施例11は実施例10
と同一のX線マスク812と被露光基板814を用いて
いる。実施例11においては図15に示すX線リソグラ
フィ装置に搭載する前に検査して得られたX線マスクと
被露光基板の露光フィールドのパターン位置情報をX線
ミラー制御系910に接続されたデータ記憶部981に
格納し、この格納されたデータに基づいてX線マスク8
12の転写パターンが対象とする被露光基板の露光フィ
ールド形状とそのサイズが合うように露光する。あるい
は上記露光フィールドのパターン位置情報を用いて露光
フィールドの形状とサイズを最適化するための所定の計
算を行いこの計算結果をデータ記憶部981に格納し、
これを用いてアライメント露光をする。得られた合わせ
ずれの結果は、全露光フィールドによる平均で上述の実
施例10に示したリアルタイムで露光した場合と同等の
精度が得られた。このように、実施例11ではあらかじ
め得られた位置データに基づいて、X線反射ミラーの駆
動制御方法を計算しておき、このデータをデータ記憶部
981に格納し、格納されたデータを読み出して露光す
ることができる。したがって露光中に常時位置情報を検
出しX線反射ミラー等の各装置を制御する一連のX線繰
り返し動作を必要としないために、より短時間で露光を
終了することがきるメリットがある。
【0086】(実施例12)次に本発明の第4の実施の
形態に係るX線リソグラフィ装置の実施例12を図16
および図31(a)を用いて説明する。実施例12は第
1のX線反射ミラー885に入射するX線の位置を変え
て転写した場合である。図16に示す本発明の第4の実
施の形態に係るX線リソグラフィ装置の構成では、転写
した際にパターンが拡大されて投影されるため、拡大す
る量をあらかじめ見込んで被露光基板814の露光フィ
ールドサイズよりも小さく作られたX線マスク812を
採用する必要がある。実施例12においては、露光フィ
ールド20mm×40mm、第2のX線反射ミラー88
6の揺動位置とX線マスク812までの距離は約200
0mmとして説明する。このとき、計算上、X線マスク
812と被露光基板814との間のギャップ20μmで
はフィールド値の垂直方向に200nmのパターンずれ
が生じることになる。実際に使用したマスク合せの対象
となる下層のパターンを有した被露光基板814は各露
光フィールド毎のサイズにばらつきがられ、特に水平方
向のサイズには30nmの違いがあった。アライメント
検出係820により測定されたX線マスクパターン81
2と被露光基板814上に形成された20個の平均の露
光フィールドサイズのずれは、図31(a)に示すよう
に、水平方向で30nm、垂直方向で170nmだけX
線マスクの露光フィールド形状1の方が被露光基板上の
露光フィールド形状2よりも小さく、フィールド形状は
共に概ね矩形形状であった。実際にX線マスク812を
アライメント露光して、被露光基板814上のマスクパ
ターンに対する合わせずれを合わせ評価用パターンで計
測した結果、全20個の露光フィールドの平均の位置ず
れは水平方向で+32nm、垂直方向で+34nmであ
った。データは、各露光フィールドについて、フィール
ド内に配置した9×17点の合わせ評価用パターンの最
外周の測定値から求めた(図6参照)。この場合水平方
向のずれは左右の2列の合わせ評価用のパターンの平均
値を求め、垂直方向のずれを上下2行の合わせ評価用パ
ターンの平均値を求め、これらをそれぞれ被露光基板8
14上に配置された20個の露光フィールドについて平
均したものである。この時のX線の発散角は、概ね水平
方向で3mrad、垂直方向で10mradと予測され
る。露光X線の水平方向のX線マスクへの入射角が約
1.5mradになるように、第1のX線反射ミラー8
85の面内のX線の入射位置を調整した。垂直方向につ
いてはミラー揺動に伴い、被露光基板814を揺動方向
と逆向きに徐々に70nm移動しながら露光を行った。
次に各フィールド毎に逐次露光していく際には、前述の
ように調整した2つのX線反射ミラー885,886の
設定をディフォルトとして、図18で説明した露光シー
ケンスによって、フィールド毎のサイズの違いに応じて
得られるアライメントマークからの位置信号に基づい
て、第1のX線反射ミラー885へのX線入射位置を随
時変更して、水平方向のX線の発散角を最適にしながら
アライメント露光を行った。また、第2のX線反射ミラ
ー駆動系872によるミラー揺動は、X線の強度に応じ
て、所望の露光量が得られるようにX線反射ミラー制御
系873で揺動速度を制御した。この場合に得られた合
わせずれの結果は全20個の露光フィールドの平均で水
平方向、垂直方向共に測定再現性と同程度であった。露
光フィールド間ばらつきも露光前の下層のパターンにお
けるばらつきに比して1/3に低減した。実施例12で
は、被露光基板上に形成された下層のパターンの露光フ
ィールド間で水平方向のサイズのばらつきがあったこと
と、転写パターンが被露光基板の露光フィールドのサイ
ズに比べて大きかったために合わせずれが生じていた。
その後各露光フィールド毎に第1のX線反射ミラーへの
X線入射位置を最適にして水平行方向の転写パターンの
倍率を制御し、垂直方向には被露光基板814を移動し
ながら、転写パターンを所定量縮小して露光したことに
より、合わせ規格精度を達成することが明らかになっ
た。
【0087】(実施例13)次に本発明の第6の実施の
形態に係るX線リソグラフィ装置の実施例13を図16
および図31(b)を用いて説明する。実施例13では
第1のX線反射ミラー885に入射するX線の位置を変
えながら転写した場合を説明する。但し、使用した第1
と第2のX線反射ミラー885,886は、前述の実施
例12と同じであるが、あらかじめ第1のX線反射ミラ
ー885の面内におけるX線の入射位置に応じて成形さ
れるX線の水平方向の発散角の測定を行い、この測定に
より得られたデータをデータ記憶部874に格納して使
用した。本実施例で使用したX線リソグラフィ装置の構
成の場合には、実施例12と同様の事情により転写した
際にパターンが拡大されて投影されるため、拡大する量
をあらかじめ見込んで被露光基板814のフィールドサ
イズよりも小さく作られたX線マスクを採用する必要が
ある。被露光基板814は、実施例12とは異なるレイ
アウトのデバイスパターンと製造プロセスを採用して作
製した。被露光基板814上のフィールドサイズのばら
つきは測定精度内の値程度であったが、フィールド形状
は概ね樽形状であった。アライメント光学系820によ
り測定されたX線マスクパターン812と被露光基板8
14の平均の露光フィールドサイズのずれは、図31
(b)に示すように、水平方向で最大32nm、垂直方
向で50nmだけ被露光基板上の露光フィールド形状2
よりもX線マスクの露光フィールド形状1の方が小さ
く、フィールド形状は矩形であった。実際にX線マスク
をアライメント露光して、マスクパターンの被露光基板
に対する合わせずれを計測した結果、全20個の露光フ
ィールドの平均の位置ずれは水平方向についてはフィー
ルドの中央で+28nm、上部で+55nm、下部で+
40nmであった。垂直方向は上部で+140nm、下
部で+145nmであった。露光の際には、図24に示
した露光シーケンスによって、露光フィールド内の位置
による水平方向のサイズの違いに応じて第1のX線反射
ミラー885の面内のX線入射位置をデータ記憶部87
4に格納された発散角のデータに基づいて変更した。ま
た垂直方向については第2のX線反射ミラー886の揺
動方向と同じ向きに被露光基板814を280nm移動
しながらアライメント露光をした。この露光では、X線
検出器807によりX線の発散角を測定はしているが、
この測定情報をX線反射ミラー制御系873に戻して、
X線反射ミラー885,886を制御、駆動することは
行っていない。この時のX線の水平方向のX線マスクへ
の入射角は、X線マスク面の垂直方向に対し一つのフィ
ールド内で、概ね下部で1.5mrad、中央部で1.
5mrad、上部でほぼ0mradになるように調整さ
れる。この調整はデータ記憶部874に格納されている
データから、第1のX線反射ミラー885へのX線の入
射位置を選択して行う。また、X線反射ミラー駆動系8
72による第2のX線反射ミラー886の揺動は、X線
強度に応じて、所望の露光量が得られるようにX線反射
ミラー制御系873で揺動速度を制御して行い露光され
た。この場合に得られた合わせずれの結果は、全露光フ
ィールドの平均で水平方向、垂直方向で測定再現性と同
程度であった。なお、実施例12も同様であるが実施例
13では、事前にX線反射ミラーの設定を最適にしない
状態でアライメント露光しているが、リアルタイムで露
光する場合には必ずしも、事前に露光する必要は無い。
露光フィールド内の位置に応じたアライメント位置信号
をもとにX線反射ミラーを最適に駆動、制御するため
に、単純な倍率補正だけでなく複雑な形状の露光フィー
ルドに対してもアライメント露光が可能である。
【0088】(実施例14)実施例14は本発明の第6
の実施の形態に係る。実施例14においては、実施例1
3と同一のX線マスク812と被露光基板814を用い
ている。図22に示すX線露光装置に搭載する前に所定
の方法で検査してから得られたX線マスクと被露光基板
の露光フィールドのパターン位置情報のデータをデータ
記憶部874に格納して、このデータに基づいてX線マ
スクの転写パターンが対象とする被露光基板上の露光フ
ィールドと形状とサイズが合うように第1のX線反射ミ
ラーを駆動制御して、順次アライメント露光をした。得
られた合わせずれの結果は実施例13のリアルタイムで
露光した場合と同等であった。但し、X線装置に搭載し
た状態での位置情報でないために、ステージへの保持等
に起因する歪によって、合わせ精度の低下が若干生じて
いる。あらかじめ得られた位置データをデータ記憶部に
格納し、これに基づいて露光する方法では、露光中に常
時位置情報を検出しX線反射ミラー等の各装置を制御す
る一連の繰り返し動作を必要としない。したがって、よ
り短時間で露光を終了することができるメリットがあ
る。
【0089】(実施例15)実施例15は本発明の第5
の実施の形態に係る。実施例15で使用した被露光基板
814の露光フィールドのサイズは、ほぼ設計サイズ
(20mm×40mm)と同サイズの矩形に形成され、
被露光基板814上の20個の露光フィールド間のばら
つきも測定精度程度であった。アライメント光学系82
0により測定されたX線マスクの露光フィールド形状1
と被露光基板上の露光フィールド形状2との間の位置ず
れは、図32(a)に示すように、水平方向で30n
m、垂直方向で10nmとX線マスクの露光フィールド
形状1の方が被露光基板上の露光フィールド形状2のサ
イズよりも大きく、露光フィールド形状は概ね矩形形状
であった。実際に図19に示したX線リソグラフィ装置
を用いて、第2のX線反射ミラー886によるX線の垂
直方向の反射角をX線マスクパターンに対するX線の入
射角が90°となるように固定した状態で、第2のX線
反射ミラー886を光軸方向に走査してアライメント露
光した。この時のマスクパターンの被露光基板814に
対する合わせずれは水平方向で+48nm、垂直方向で
+8nmであり、X線の発散角は概ね水平方向で1mr
ad、垂直方向でほぼ0mradと予測される。得られ
た合わせずれは水平方向ではX線が1mradの発散角
を有しているために、X線マスクのフィールドサイズよ
りも20nm程度大きく、垂直方向では被露光基板に比
べてX線マスクの露光フィールドのサイズの大きい分ず
れている。水平方向の合わせずれを低減するためにX線
の水平方向のX線マスクへの入射角が−1.5mrad
となるように、第1のX線反射ミラー885の面内への
X線の入射位置を選択した。そして第2のX線反射ミラ
ー886の姿勢はそのままにして光軸方向に走査し、マ
スク合わせ(露光)を行った。この際、垂直方向のずれ
は8nmと測定誤差範囲内の小さな値であったので、補
正を行わなかった。また第2のX線反射ミラー886の
光軸方向の走査は、SORリングの蓄積電流値を参照し
て、所望の露光量が得られるようにX線走査速度を制御
した。この場合に得られた合わせずれは、平均で水平方
向、垂直方向で測定誤差程度であった。実施例15で
は、使用するX線マスクの露光フィールドのサイズが、
垂直方向では被露光基板のフィールドサイズと同程度に
形成されている。したがって、垂直方向への合わせずれ
が生じないように、X線マスクへのX線入射角を維持し
てミラー走査し、垂直方向に倍率が変化しないように露
光した。水平方向については、第1のX線反射ミラー8
85へのX線の入射位置を最適に調整して倍率を制御し
た。このことにより、従来では規格外となるX線マスク
を使用しても、被露光基板に対して合わせ規格精度を達
成することが可能になった。次に、寸法制御性をみるた
めに得られた転写パターンの露光フィールド内での寸法
ばらつきを測定したところ、実施例13の場合に比べて
X線強度分布に起因した寸法変化量は小さく、寸法の面
内均一性も良好であった。
【0090】(実施例16)本発明の第5の実施の形態
に係る実施例16を図19および図32(b)を用いて
説明する。実施例16では第2のX線反射ミラー886
をX線の光軸方向に平行に移動する場合の実施例とし
て、第1のX線反射ミラー885に入射するX線位置と
第2のX線反射ミラー886へのX線の入射角を変えて
転写した場合を説明する。実施例16では使用したX線
マスク812と被露光基板814を事前に測長検査をし
たところ、図32(b)に示すように、X線マスクの露
光フィールド形状1は被露光基板上の露光フィールド形
状2のサイズと比べてフィールドの上部で水平方向と垂
直方向に34nm広がり、中央部で水平方向に24nm
広がり、下部で水平方向と垂直方向に30nm縮んだ台
形形状であった。これに対し被露光基板のフィールド形
状2はほぼ設計サイズ通りに形成され矩形形状であっ
た。これらを合わせるには、転写パターンのフィールド
の上部水平方向と垂直方向に43nm縮め、中央部の水
平方向を24nm縮め、さらに下部を水平方向と垂直方
向に30nm拡大する必要がある。このようにX線マス
クのフィールド形状が台形の場合であっても、図21に
示す露光シーケンスによって、フィールド内の位置によ
るサイズの違いに応じて得られるアライメントマークか
らの位置信号に基づいて、アライメント露光する。この
場合、水平方向については第1のX線反射ミラー885
へのX線の入射位置をリアルタイムで変更して、X線マ
スクに入射するX線の水平方向発散角をフィールドの位
置に応じて適宜最適化しながらアライメント露光する。
さらに、垂直方向についても、第2のX線反射ミラー8
86を揺動し、第2のX線反射ミラー886に対するX
線の入射角を第2のX線反射ミラー886のX線の光軸
方向への走査に同期してリアルタイムで変更し、X線マ
スクに入射するX線の垂直方向入射角をフィールド位置
に応じて適宜最適に制御しながらアライメント露光す
る。このようなアライメント露光によって、合わせずれ
を測定精度以下に低減することが可能であった。実施例
16では、被露光基板上の露光フィールド形状2に対し
て、X線マスクの露光フィールド形状が異なるために合
わせずれが生じる問題を、露光フィールドの位置に応じ
た位置信号に基づいて、X線のX線反射ミラーへの入射
位置と入射角度を順次最適値に変更しながらアライメン
ト露光して改善している。
【0091】(実施例17)実施例17は本発明の第5
実施の形態に係る。実施例17では第2のX線反射ミラ
ー886をX線の光軸方向に平行に移動する場合の他の
例として、図28および図29に示すように、X線反射
ミラー885の姿勢をX線の光軸まわりに傾けて転写し
た場合を説明する。実施例17においてはX線マスクの
露光フィールド形状1は被露光基板上の露光フィールド
形状2の平均に比べて、図32(c)示すように、水平
方向で最大33nm、垂直方向については上部で52n
m、下部で40nmと小さく、平行四辺形の形状であっ
た。この平行四辺形の縦の辺は基準点から最大で水平方
向に平均で+30nm傾斜した斜線であった。図21に
示す露光シーケンスによって、露光フィールド内の位置
によるサイズの違いに応じて得られるアライメントマー
クからの位置信号に基づいてアライメント露光を行っ
た。この際、水平方向については第1のX線反射ミラー
885のX線への入射位置を変更して、X線マスク81
2に入射するX線の発散角を露光フィールドの位置に応
じて適宜最適に制御した。さらに、垂直方向について
も、第2のX線反射ミラー886へのX線の入射角を第
2のX線反射ミラー886のX線の光軸方向への走査に
同期してリアルタイムで適宜最適に制御しながら露光し
た。ここで第1のX線反射ミラー885は、図28又は
図29に示すようにX線の光軸方向を中心に傾斜させる
ことによりX線の左右での発散角を変えた。このように
して第1のX線反射ミラー885の駆動を第2のX線反
射ミラー886の走査に同期して行い、露光フィールド
の下部で水平方向の左発散角をほぼ0mrad、右発散
角を1.5mradとし、中央部で、左発散角、右発散
角共に0.75mradとし、上部で左発散角を1.5
mrad、右発散角をほぼ0mradになるように制御
した。また、フィールド上部の垂直方向については、X
線マスクに入射するX線の発散角を2.5mradとし
てパターンを拡大して転写し、同様に下部では2mra
dとして拡大した。X線反射ミラー走査機構973によ
る第2のX線反射ミラー886の光軸方向への走査は、
X線強度に応じて所望の露光量が得られるように走査速
度を制御した。この場合に得られた合わせずれの結果
は、平均で水平方向、垂直方向共に8nmと測定再現性
と同程度であった。実施例17により第2のX線反射ミ
ラー886をX線の光軸方向に平行に走査して、露光フ
ィールドを拡大して露光する装置構成に於いても、第1
のX線反射ミラー885を光軸方向の周りに傾斜駆動し
て、水平方向の左右の発散角を変えれば直交度を補正し
たアライメント露光が可能であることが示された。
【0092】なお、実施例17の手法をさらに拡大適用
すれば単純な直交度補正だけでなくたる形やトラペゾイ
ド形等のより高次の歪も補正できることはもちろんであ
る。
【0093】(実施例18)実施例18は本発明の第6
実施の形態に係る。まず、実施例17と同一のX線マス
ク812と被露光基板814を用いて、あらかじめ、X
線リソグラフィ装置に搭載する前にX線マスク812と
被露光基板814の露光フィールドのパターン位置情報
を検査し、第1のX線反射ミラー885の姿勢とX線の
入射位置に応じて第2のX線反射ミラー886で反射し
た後に成形されるX線の水平方向の発散角の測定を行
う。これらのデータを図26に示すデータ記憶部979
に格納する。格納されたデータに基づいてX線マスクの
転写パターンが対象とする被露光基板のフィールド形状
とサイズが合うように第1と第2のX線反射ミラー88
5,886の駆動方法を計算して求め、データテーブル
としてまとめる。露光実行時には、このデータテーブル
から引用した駆動データにより、各X線反射ミラーの駆
動を制御してアライメント露光を行う。得られた合わせ
ずれの結果は、平均で水平方向、垂直方向共に実施例1
7のリアルタイムで露光した場合と同等であった。実施
例18によれば、あらかじめ得られた位置データとX線
の発散角のデータを一度データ記憶部979に格納し、
露光時にこれらのデータを読み出すことによっても高度
なアライメント露光をすることができる。
【0094】上記のように、本発明は第1乃至第6の実
施の形態および実施例1乃至実施例18によって記載し
たがこの開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限
定するものであると理解すべきではない。この開示から
当業者には様々な代替実施の形態、代替実施例及び運用
技術が明らかとなろう。たとえば、上記の実施の形態お
よび実施例では露光フィールドサイズが20mm×40
mmと一定として説明したが、露光フィールドサイズは
任意に選択され、露光フィールドサイズの変更があった
場合でも本発明を適用できることはもちろんである。ま
た、水平方向と垂直方向が入れ替わって40mm×20
mmになった場合でも、各装置構成のサイズや駆動範囲
等、装置の許容範囲内であれば垂直方向のX線反射ミラ
ーの走査範囲を制御することにより所望の領域を露光可
能である。また、スキャン方式のリソグラフィ装置によ
って被露光基板上のデバイスパターンが形成されている
場合には、本発明のX線リソグラフィ装置での露光フィ
ールド上での走査方向と異なる方向にスキャンされてパ
ターンが形成されていることがある。このように露光方
式の異なる装置間でミックス・アンド・マッチ(Mix
& Match)露光を行う場合には、しばしば両者
の露光光のスキャン方向を同じにする必要が出てくる
が、このような要請に対しては被露光基板をステージに
保持する際に露光フィールドとの方向を合わせれば対処
できる。また面内の露光フィールドによって、露光光の
スキャン方向が異なる場合には、スキャン方向に応じて
本発明のX線反射ミラーの揺動方向あるいは走査方向を
合わせて露光すればよい。
【0095】さらに、実施例1乃至18を組み合わせて
使用しても構わない。上記の実施例ではX線マスクパタ
ーンを転写する際に被露光基板の露光フィールドに合う
ように倍率補正や歪補正する場合について記述したが、
例えばX線の走査に応じて発生するX線マスクおよび被
露光基板の温度上昇や損傷等に起因した位置歪を、リア
ルタイムでフィードバックし順次修正しながら露光、転
写して精度を向上することが可能であり、その他の原因
による転写パターンの精度低下を改善するために本発明
を適用しても構わない。この際にも、第3および第6の
実施の形態で説明したようにあらかじめ補正すべき位置
歪に対して必要なX線反射ミラーの揺動や走査のデータ
ベースを計算しておき、この結果を基に露光すれば、リ
アルタイムにX線反射ミラーを制御するための計算を行
うことが省略でき、処理速度が速くなるメリットがあ
る。
【0096】本発明のX線反射ミラー駆動系およびX線
反射ミラー走査機構等は公知の6軸ゴニオメーター等の
駆動機構を用いればよい。たとえば図33に示すような
X線反射ミラー走査機構の上部にX線反射ミラー駆動系
が搭載された構造を用いてもよい。図33(a)はX線
反射ミラー駆動系およびX線反射ミラー走査機構がビー
ムライン803の壁面上に設置された状態を横から見た
模式図、図33(b)はその上面図、図33(c)はX
線露光室側から見た横面図である。図33においてX線
反射ミラー走査機構はガイドレール42に対して設けら
れたスクリューガイドネジ21をステップモータ等の直
線駆動部モータ33で駆動し、X線反射ミラー駆動系が
搭載されたガイドレール41をX線の光軸方向に移動す
る。X線反射ミラー駆動機構はガイドレール41に対し
て設けられたスクリューガイドネジ22を直線駆動部モ
ータ32で駆動し光軸方向の直線移動を行う。図27又
は図28に示す光軸に対して垂直方向又は傾斜方向の駆
動は水平駆動部モータ31とスクリューガイドネジ24
および押しばね23により行う。さらにX線反射ミラー
805を固定したミラー保持部81はミラー姿勢・揺動
駆動部のアクチュエータ71,72により上下移動、揺
動をすることが可能である。図33は一例であり、本発
明のX線反射ミラー駆動系あるいはX線反射ミラー走査
機構等として種々の代替機構を用いることが可能であ
る。特に精密な位置制御が必要な場合は摩擦力がその制
御を困難にすることが知られており、磁気浮上により無
摩擦(フリクション・レス)の駆動を行えばナノメータ
・オーダの位置制御が可能となる。この場合粗動をスク
リューガイドネジを使い、微動を電磁駆動するのも好ま
しい方法である。また、図33に示す機械的な押しばね
23の代わりに磁力による吸引、反発力を用いた、「磁
気ばね」を使うことも好ましい。その他本発明のX線リ
ソグラフィ装置に用いる各構成要素は公知の種々の代替
手段を用いることが可能であることはもちろんである。
さらに本発明に適用できるX線マスクの構造や材料、パ
ターンレイアウト等は上記実施の形態や実施例に限定さ
れるものでなく、X線リソグラフィシステムの各装置構
成や構造は、本発明を逸脱しない限り種々変形して適用
することが可能である。このように、本発明はここでは
記載していない様々な実施の形態および実施例等を包含
するということを理解すべきである。したがって本発明
はこの開示から妥当な特許請求の範囲記載に係る発明を
特定するために必要と認められる事項によってのみ限定
されるものである。
【0097】
【発明の効果】上記発明によれば、パターン転写におけ
る歪補正(や倍率補正)機能を有したX線リソグラフィ
装置およびX線露光方法を提供することが可能となる。
【0098】本発明によれば異機種のリソグラフィ装置
を同一製造工程中で用いた場合であっても互いの露光フ
ィールドサイズ,形状の整合が容易に取れ、所定の精度
でのマスクパターンの重ね合わせが可能となる。
【0099】本発明によれば、マスク作製プロセスの複
雑さや高コストを招くことなく所定の精度でマスクパタ
ーンの重ね合わせが可能となる。
【0100】本発明によればLSI製造工程中の種々の
工程の面内分布やばらつき、熱的効果、あるいは多層構
造に起因する歪等により被露光基板の露光フィールド形
状が変形した場合であっても高精度なマスクパターンの
重ね合わせが容易に実現できる。さらに、マスク自身が
転写熱歪、保持歪などにより変形した場合でも、被露光
基板のフィールド形状に重ね合わせることが可能とな
る。
【0101】本発明によればX線露光における水平方
向、および垂直方向の両方の倍率の制御が互いに独立し
て可能となる。しかも、露光フィールドの縦の辺と横の
辺とのなす直交度の補正が可能である。また、倍率、直
交度のような単純な補正ばかりでなく、さらに高次のた
る形や台形(トラペゾイド)のような歪の補正も可能で
ある。
【0102】本発明によれば露光に必要なデータを前も
って格納しておくことも可能なので露光時間の短縮が可
能である。したがって、スループットの高い高精度のX
線リソグラフィ装置およびX線露光方法を提供すること
である。
【0103】本発明によれば転写パターンの垂直・水平
方向の拡大する量、あるいは縮小する量をあらかじめ見
込んでマスクパターンを設計する必要がないのでX線マ
スクパターンの設計や検査が容易となる。このためX線
マスクが短時間かつ安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るX線リソグラ
フィ装置を示す概略構成図である。
【図2】X線マスクの断面図である。
【図3】本発明に用いるX線反射ミラーの一例を示す概
略図である。
【図4】本発明に用いるX線反射ミラーの他の例を示す
概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るX線反射ミラ
ーの揺動を説明する図である。
【図6】本発明に用いるX線マスクと被露光基板上のパ
ターンレイアウトを説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るX線リソグラ
フィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るX線リソグラ
フィ装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るX線反射ミラ
ーの光軸方向に沿った移動を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィ装置を示す概略構成図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態の変形例に係るX
線リソグラフィの露光シーケンスを示すフローチャート
である。
【図14】本発明の第3の実施の形態の他の変形例に係
るX線リソグラフィの露光シーケンスを示すフローチャ
ートである。
【図15】本発明の第3の実施の形態の変形例に係るX
線リソグラフィ装置を示す概略構成図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィ装置を示す概略構成図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る第1および
第2のX線反射ミラーの動作を説明する図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図19】本発明の第5の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィ装置を示す概略構成図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る第1および
第2のX線反射ミラーの動作を説明する図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィ装置を示す概略構成図である。
【図23】本発明の第6の実施の形態に係るX線リソグ
ラフィの露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図24】本発明の第6の実施の形態の変形例に係るX
線リソグラフィの露光シーケンスを示すフローチャート
である。
【図25】本発明の第6の実施の形態の他の変形例に係
るX線リソグラフィの露光シーケンスを示すフローチャ
ートである。
【図26】本発明の第6の実施の形態の変形例に係るX
線リソグラフィ装置を示す概略構成図である。
【図27】X線マスクの露光フィールド形状と被露光基
板上の露光フィールド形状の関係を示す図である。
【図28】X線の水平方向の発散角を左と右とで異なる
ようにする場合のX線反射ミラーの動作を説明する図で
ある。
【図29】X線の水平方向の発散角を左と右とで異なる
動作の他の例を説明する図である。
【図30】X線マスクの露光フィールド形状と被露光基
板上の露光フィールド形状の関係を示す図である。
【図31】X線マスクの露光フィールド形状と被露光基
板上の露光フィールド形状の関係を示す図である。
【図32】X線マスクの露光フィールド形状と被露光基
板上の露光フィールド形状の関係を示す図である。
【図33】本発明に用いるX線反射ミラー駆動系および
X線反射ミラー走査機構の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 X線マスクの露光フィールド形状 2 被露光基板上の露光フィールド 21,22,24 スクリューガイドネジ 23 押しばね 31,32,33 駆動部モータ 41,42 ガイドレール 71,72 ミラー姿勢、揺動駆動部アクチュエーター 81 ミラー保持部 202 X線吸収パターン 203 X線透過性薄膜 204 Si支持基板 205 支持枠 801 シンクロトロン・リング 802 X線取出しポート 803 ビームライン 804 アパーチャー 805 X線反射ミラー 806 離隔窓 807 X線検出器 808 X線シャッタ 809 X線露光室(露光チャンバー) 810,873,910,970 X線反射ミラー制御
系 811,871,872,911,971,972 X
線反射ミラー駆動系 812 X線マスク 813 マスクステージ 814 被露光基板 815 ウエハステージ 816 マスクステージ駆動系 817 ウエハステージ駆動系 818 マスクステージ制御系 819 ウエハステージ制御系 820 アライメント光学系 821 アライメント制御系 822 ギャップセンサ 823 X線強度分布調整手段 874,881,979,981 データ記憶部 885 のX線反射ミラー 886 第2X線反射ミラー 901 合わせ評価用パターン(X線マスク) 902 アライメントマーク(X線マスク) 903 合わせ評価用パターン(被露光基板) 904 アライメントマーク(被露光基板) 912,973, X線反射ミラー走査機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20 - 7/24

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面内入射位置が異なることにより反射し
    X線の水平方向の発散角が異なるように、曲率半径を
    一定の軸方向に沿って空間的に変化させたX線反射ミラ
    ーと、 前記面内入射位置を前記X線に対して変えるため、前記
    X線反射ミラーの位置を移動するとともに、前記X線の
    垂直方向の発散角を異ならせるため、前記X線反射ミラ
    ーを揺動するX線反射ミラー駆動系と、 前記X線マスク上のパターンと、前記ウェハ上のパター
    ンとの相対位置情報を露光中に取得する相対位置情報取
    得手段と、 前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を2次元情報
    として露光中に取得する2次元情報取得手段と、 前記X線の露光中における前記相対位置情報及び前記2
    次元情報に基づき、前記X線反射ミラー駆動系をリアル
    タイムでフィードバック制御し、前記X線の水平方向及
    び垂直方向の発散角を制御するX線反射ミラー制御系と
    からなり、X線を所定のマスクに入射し、該マスクを透
    過したX線により被露光基板上に塗布されたレジストに
    対し、所望のパターンを露光することを特徴とするX線
    リソグラフィ装置。
  2. 【請求項2】前記相対位置情報取得手段は、 前記X線マスク上のアライメントマーク及び前記ウェハ
    上のアライメントマークからの位置信号を検出するアラ
    イメント光学系と、 検出された前記位置信号に基づいて、前記X線マスク上
    のパターンと前記ウェハ上のパターンとの相対的位置関
    係を計算するアライメント制御装置とからなることを特
    徴とする請求項1記載のX線リソグラフィ装置。
  3. 【請求項3】 前記2次元情報取得手段は、 前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を検出するX
    線検出器と、 該X線検出器からの検出信号を用いて、前記X線反射ミ
    ラーで反射して成形された前記X線の水平方向、垂直方
    向の平行度を前記2次元情報として演算する前記アライ
    メント制御装置とからなることを特徴とする請求項2記
    載のX線リソグラフィ装置。
  4. 【請求項4】 前記X線反射ミラー駆動系、およびX線
    反射ミラー制御系は前記軸方向に沿って前記面内入射が
    移動するように前記X線反射ミラーをフィードバック制
    御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記
    載のX線リソグラフィ装置。
  5. 【請求項5】 前記X線反射ミラー駆動系およびX線反
    射ミラー制御系は、前記X線反射ミラーを一定方向に移
    動し、水平方向のX線の発散角をフィードバック制御
    し、 同時に前記X線反射ミラーを揺動して垂直方向のX線の
    発散角をフィードバック制御することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項記載のX線リソグラフィ装置。
  6. 【請求項6】 面内入射位置が異なることにより反射し
    X線の水平方向の発散角が異なるように、曲率半径を
    一定の軸方向に沿って空間的に変化させたX線反射ミラ
    ーと、 前記面内入射位置を前記X線に対して変えるため、前記
    X線反射ミラーの位置を移動するとともに、前記X線の
    垂直方向の発散角を異ならせるため、前記X線反射ミラ
    ーを揺動するX線反射ミラー駆動系と、 前記X線マスク上のパターンと、前記ウェハ上のパター
    ンとの相対位置情報を露光前に取得する相対位置情報取
    得手段と、 前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を2次元情報
    として露光前に取得する2次元情報取得手段と、 前記相対位置情報及び前記2次元情報を格納するデータ
    記憶部と、 前記データ記憶部に格納された前記相対位置情報及び前
    記2次元情報に基づき、前記X線反射ミラー駆動系を制
    御し、前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を制御
    するX線反射ミラー制御系とからなり、X線を所定のマ
    スクに入射し、該マスクを透過したX線により被露光基
    板上に塗布されたレジストに対し、所望のパターンを露
    光することを特徴とするX線リソグラフィ装置。
  7. 【請求項7】 前記2次元情報取得手段は、 前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を検出するX
    線検出器と、 該X線検出器からの検出信号を用いて、前記X線反射ミ
    ラーで反射して成形された前記X線の水平方向、垂直方
    向の平行度を前記2次元情報として演算する前記アライ
    メント制御装置とからなることを特徴とする請求項6記
    載のX線リソグラフィ装置。
  8. 【請求項8】 前記相対位置情報取得手段は、所定露
    光フィールドをN分割し(n=1〜N)、実際にX線を
    照射して露光しているフィールド位置(n番目の位置)
    に先行して、次に走査する位置(n+1番目の位置)の
    2次元情報を検出し、この2次元情報を格納することを
    特徴とする請求項6記載のX線リソグラフィ装置。
  9. 【請求項9】X線マスク上のパターンと、ウェハ上のパ
    ターンとの相対位置情報を露光中に取得するステップ
    と、 X線の水平方向及び垂直方向の発散角を2次元情報とし
    て露光中に取得するステップと、 前記相対位置情報及び前記2次元情報に基づき、面内入
    射位置において反射したX線の水平方向の発散角が異な
    X線反射ミラーの前記面内入射位置を移動し、前記X
    線の水平方向の発散角を制御し、前記X線マスク上のパ
    ターンと、前記ウェハ上のパターンとの相対的な位置ず
    れを、リアルタイムで補正するステップとからなり、前
    記X線マスクを透過した前記X線により前記ウェハ上に
    塗布されたレジストを露光することを特徴とするX線露
    光方法。
  10. 【請求項10】 X線マスク上のパターンと、ウェハ上
    のパターンとの相対位置情報を露光前に取得するステッ
    プと、 前記X線の水平方向及び垂直方向の発散角を2次元情報
    として露光前に取得するステップと、 前記相対位置情報及び前記2次元情報を記録するステッ
    プと、 前記記録された相対位置情報及び前記2次元情報を読み
    出し、面内入射位置において反射したX線の水平方向の
    発散角が異なるX線反射ミラーの前記面内入射位置を移
    動し、前記X線の水平方向の発散角を制御し、前記X線
    マスク上のパターンと、前記ウェハ上のパターンとの相
    対的な位置ずれを補正するステップとからなり、前記X
    線マスクを透過した前記X線により前記ウェハ上に塗布
    されたレジストを露光することを特徴とするX線露光方
    法。
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