JP4298305B2 - 露光装置及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に露光装置に関し、より詳細には、半導体製造プロセス等でステージ装置を用いて露光処理を行うことに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造プロセス等に用いられる露光装置としては、ウエハ等の基板をステップ移動させながら基板上の複数の露光領域に投影光学系を介してマスクパターンを順次露光するステッパや、マスクと基板とを投影光学系に対して相対的に走査し、スリット上の露光光によって基板上にマスクパターンを走査露光する走査型の露光装置等が知られている。
【0003】
また、近年、より高精度で微細なパターンの露光を行うために、ステップ移動と走査露光とを繰り返すことによって、基板上の複数の露光領域に高精度で微細なパターンを露光転写するステップアンドスキャン型の露光装置が提案されている。この露光装置では、スリットによって照明エリアが制限されて、投影光学系の収差の小さい部分のみが使用されているとともに、投影光学系の倍率と、マスクと基板の相対走査倍率と、を独立に制御可能なため、より高精度で微細なパターンの露光が可能である。また、走査露光時には、マスクを搭載したマスクステージと、ウエハ等の基板を搭載したウエハステージと、を走査方向及びこれに直交する方向並びに回転方向に対して精密に制御しながら高速移動させるために、レーザー干渉計によってこれらのステージの位置や角度が計測されている。
【0004】
これらの露光装置では、解像力を向上させるために、短波長化が進められている。例えば、水銀ランプのi線(波長365nm)、エキシマレーザ(波長248nmや193nm)、及びF2レーザー(波長157nm)等が光源として利用されつつある。さらに、軟X線領域の光(波長5〜15nmであり、本明細書ではこの光を「EUV(Extreme UltraViolet)光」と呼ぶ。)を露光光として用いるEUV露光装置の開発が開始されており、EUV露光装置は、最小線幅100nmにおける次世代の露光装置の有力な候補として注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の露光装置は、デバイスの生産性向上とデバイスパターンの微細化に対応すべく、高速かつ高精度でステージを制御するよう求められているが、以下の理由でその両方を実現するのは困難である。
【0006】
まず、高速性を実現するためには、大きな駆動力を発生するアクチュエータを用いるか、或いは、可動質量の軽量化が必要である。しかし、大きな駆動力を発生するアクチュエーターを用いる場合には、ダイナミックレンジが限られるため、微小駆動時の分解能に制約が生じる。また、可動質量の軽量化は、可動部の剛性低下を引き起こし易い。さらに、制御精度を向上させるためには、高剛性の機構系を構成する必要があるために、可動重量が大きくなってしまい、高速化への妨げとなる。以上のように、両者はトレードオフの関係にあるために、いずれか一方を犠牲にしなければならない。
【0007】
また、従来のステップアンドスキャン型の露光装置では、ステップアンドスキャンを繰り返すマスクステージとウエハステージとの相対位置を同期制御する必要があるために、より高速・高精度なステージ制御が要求される。
【0008】
また、EUV光を光源にする場合には、EUV光が吸収されないようにするために、装置内を真空にする必要がある。そのため、真空ポンプから高周波の外乱振動が加わり、ウエハ上のマスク像のパターンのコントラストが低下してしまう。これによって、限界解像力や線幅精度の劣化が生じ、微細化が阻害される。
【0009】
さらに、いずれの光源を用いる場合でも、投影光学系や縮小系を用いた露光装置では、ウエハステージに比べて、マスクステージをその縮小比分だけより高速に移動させる必要がある。そのため、ステージの高速移動及び加減速の高速化が要求されるが、制御特性の劣化を伴うため、走査速度に限界が生じ、生産性が向上しないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、高速・高精度な露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原版のパターンを光学素子を介して基板に転写する露光装置に係り、原版を保持する第1ステージと、基板を保持する第2ステージと、前記第1および第2ステージの各々の位置を計測するセンサと、前記センサの計測結果に基づいて、前記パターンが前記基板上に転写されるように前記光学素子を駆動する駆動部と、前記光学素子の駆動による光学特性の変動をシミュレートするシミュレータを含み、該シミュレータの出力にもとづいて、前記光学素子を駆動したときに生じる光学特性の劣化を補償する手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。本発明は、原版のパターンを光学素子を介して基板に転写する露光装置に係り、原版を保持する第1ステージと、基板を保持する第2ステージと、第1および第2ステージの各々の位置を計測するセンサと、センサの計測結果に基づいて、パターンが基板に転写されるように光学素子を駆動する駆動部と、光学素子の駆動による光学特性の変動をシミュレートするシミュレータを含み、シミュレータの出力にもとづいて、光学素子を駆動したときに生じる光学特性の劣化を補償する手段と、を備えることを特徴とする。上記駆動部は、第1ステージ及び第2ステージの少なくとも一方の位置のずれによって生じる基板上におけるパターンの位置ずれを補正するように光学素子を駆動することが効果的である。このような本発明は、具体的に図1〜図3に示す構成において、以下の実施形態に対応して実現できる。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の好適な第1の実施形態に係る露光装置の例を示す。図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係る露光装置10の構成を示す概念図である。露光装置10には、例えば、軟X線領域の露光光(波長5〜15nmであり、例えば、波長13.4nmまたは11.5nmの光であるEUV光等)を使用し、ステップアンドスキャン方式で露光を行う投影露光装置が用いられる。
【0014】
露光装置10は、減圧された空間を有する真空チャンバ24、EUV光を水平に射出する光源装置1、光源装置1から射出されたEUV光を反射してマスクのパターン面(図1におけるマスクステージ3の下面方向)に入射するようにEUV光を折り曲げる折り返しミラー2(照明光学系の一部)、マスクを保持するマスクステージ3、マスクのパターン面で反射されたEUV光をウエハの被露光面に投射する反射ミラー7a、7bを含む投影光学系4a、4b(図2(a)〜(d)を参照)、ウエハを保持するウエハステージ5、不図示のフォーカスセンサ及びアライメント光学系等を備える。露光装置10は、原版としての反射型マスクに描画された回路パターンの一部を、投影光学系4a、4bを介して、基板としてのウエハ上に投影する。具体的には、露光装置10は、マスクとウエハとを投影光学系4a、4bに対して1次元方向(図1ではY軸方向)に相対走査させることによって、ウエハ上にある複数のショット領域の各々にステップアンドスキャン方式でマスクの回路パターン全体を露光する。
【0015】
光源装置1は、レーザプラズマ光源、反射鏡、インテグレータ等の照明光学系を備える。投影光学系4a、4bは、図2にその構成の一部が一例として示される。図2(a)は、投影光学系4bの構成の一部をZ方向から見た図であり、図2(b)は、投影光学系4bの構成の一部をY方向から見た図である。また、図2(c)は、投影光学系4aの構成の一部をZ方向から見た図であり、図2(d)は、投影光学系4aの構成の一部をY方向から見た図である。投影光学系4a、4bは、表面が球面又は非球面で形成された光学素子としての反射ミラー7a、7bと、反射ミラー7a、7bを6自由度で駆動するための駆動系(例えば、リニアモータ等)と、反射ミラー7a、7bの位置を6自由度で計測するための計測系(例えば、レーザ干渉計等)とをそれぞれ含む。なお、投影光学系4a、4bは、概略的には同様の構成を有しているため、図2(a)〜(d)において、同様の構成に対しては同様の符号が用いられているが、本実施形態に係る投影光学系はこれに限られず、種々の構成を採用することができる。
【0016】
反射ミラー7a、7bは、ミラーベース25上に搭載され、その表面は、軟X線を反射できるように多層膜がコーティングされている。ミラーベース25は、6個のリニアモータ(Xリニアモータ17a、Y1リニアモータ17b、Y2リニアモータ17c、Z1リニアモータ17d、Z2リニアモータe、Z3リニアモータf)によって支持されている。ミラーベース25上に搭載された反射ミラー7a、7bは、その位置が6つのレーザー干渉計(Xレーザ干渉計23a、Y1レーザ干渉計23b、Y2レーザ干渉計23c、Z1レーザ干渉計23d、Z2レーザ干渉計23e、Z3レーザ干渉計(不図示))によって6箇所で計測されており、6自由度を有する。リニアモータ(Xリニアモータ17a、Y1リニアモータ17b、Y2リニアモータ17c、Z1リニアモータ17d、Z2リニアモータe、Z3リニアモータf)は、それぞれレーザー干渉計(Xレーザ干渉計23a、Y1レーザ干渉計23b、Y2レーザ干渉計23c、Z1レーザ干渉計23d、Z2レーザ干渉計23e、Z3レーザ干渉計(不図示))の計測結果に基づいて、パターンが基板の所定位置に転写されるように反射ミラー7a、7bを駆動することができる。
【0017】
なお、反射ミラー7a、7b及びミラーベース25上の自重は、コイルバネ6によって支持されており、自重の支持によってリニアモータが発熱することがないので、反射ミラー7a、7bの熱変形を回避することができる。また、コイルバネ6は、伸縮方向だけでなく、倒れ方向やねじれ方向の剛性を下げること(例えば、使用時のバネの長さを長くすること)によっても、リニアモータの駆動による反射ミラー7a、7bの変形を抑えることができる。反射ミラー7a、7bの初期位置は、突き当て等による機械精度では不十分なため、不図示の干渉計や像性能計測系等を用いてキャリブレーションすることによって、その精度が保証されている。
【0018】
マスクステージ3は、静電チャック等でマスクを吸着する。マスクステージ3の位置は、マスク位置計測レーザー干渉計8によって測定される。基準構造体18上には、マスク位置計測レーザー干渉計8の基準位置が投影光学系4a、4bを支持する基準構造体18となるように、マスク位置計測レーザー干渉計8又はリファレンスミラーが搭載されている。マスクステージ3は、3箇所の静圧パッドの周囲に差動排気溝が形成された真空内静圧パッドを介して、マスクステージガイド9上を移動可能なように構成されている。マスク位置計測レーザーヘッド(不図示)及びマスクステージガイド9は、構造体26上に載置されており、マスク位置計測レーザー干渉計8を含めた全体は、除振台11上に搭載された基準構造体18によって支持されている。
【0019】
さらに、マスクステージ3には、走査方向のストローク全域を移動可能な不図示のリニアモータがその両側に配置されている。マスクステージ3は、両側のリニアモータの駆動量に差を設けることによって、回転方向に駆動することができる。このリニアモータは、走査方向と直交する水平方向にも微小ストロークを有する。さらに、マスクステージ3の3個所の真空内静圧パッドには、直列に圧電素子が配置されている。このため、マスクステージ3も6自由度を有する。
【0020】
ウエハステージ5は、3個所の静圧パッドの周囲に差動排気溝が形成された真空内静圧パッドを介して、ウエハステージガイド9上をXY方向に移動可能なように構成されており、6自由度を有する。ウエハステージ5は、静電チャックでウエハを吸着し、その位置がウエハ位置計測レーザー干渉計12によって計測されるために、不図示のバーミラーを搭載している。ウエハステージ5も、その位置が基準構造体18からウエハ位置計測レーザー干渉計12によって計測されている。露光に際しては、ウエハの所定位置にマスクの像(パターン)が形成されるために、マスクとウエハとの相対位置を検出するための不図示のアライメント検出系がマスクの上部に配置されている。アライメント検出系によってマスクとウエハとの相対位置が検出された後、マスク位置計測レーザー干渉計8とウエハ位置計測レーザー干渉計12とを用いて、マスクとウエハとの位置が同期制御されて、走査露光が行われる。ここで、マスクとウエハとの走査速度の比は、投影光学系の縮小倍率比によって決定される。
【0021】
コントローラ13は、マスクステージ3及びウエハステージ5の各々の目標指令値発生器21に対して、これらのステージを駆動するための駆動指令を与える。この駆動指令は、演算器22によって、走査方向(並進方向)のY方向、及び走査方向に直交するX方向、並びにXY方向に垂直なZ方向の各々の駆動部(Xリニアモータ、Y1リニアモータ、Y2リニアモータ、Z1リニアモータ、Z2リニアモータ、Z3リニアモータ)に与えられる。これらの駆動部は、この駆動指令に応じて、制御対象としてのマスクステージ3及びウエハステージ5を、それぞれの駆動方向に駆動する。
【0022】
また、マスクステージ3及びウエハステージ5は、速度と時間の関係を示すグラフの形状が台形となるような駆動パターンで制御されてもよい。即ち、マスクステージ3及びウエハステージ5を加速させて一定速度に達したときに、ウエハステージ5とマスクステージ3とを同期整定させて走査露光を行い、走査露光が終了すると、マスクステージ3及びウエハステージ5を減速させてもよい。
【0023】
ウエハステージ5とマスクステージ3との間で同期誤差(制御誤差)が生じた場合には、コントローラ13は、上記同期誤差(制御誤差)によって生じる基板上のパターンの位置のずれを補正するように、目標指令値発生器21に対して、反射ミラー7a、7bへの駆動指令を与える。この駆動指令は、更に、演算器22によって反射ミラー7a、7bの駆動部に与えられる。駆動部によって反射ミラー7a、7bが駆動されることによって、同期誤差(制御誤差)が補正される。XY方向の並進とZ方向の並進は、異なる方向のミラー又は異なるミラーで駆動し、ωx(x軸廻り)とωy(y軸廻り)を更に別な場所のミラーで補正するように構成してもよい。コントローラ13は、駆動部によって反射ミラー7aが駆動されることによって、光学特性をシミュレートするシミュレータ26を内蔵しており、駆動による光学特性(収差、像歪、像面位置など)の劣化を補償するために、反射ミラー7bの駆動部に駆動指令を与える。本実施形態では、例えば、ウエハステージ5とマスクステージ3との同期誤差を、反射ミラー7aのXY方向並進駆動による結像位置のずれを反射ミラー7bのZ方向並進駆動で補正することによって、位置補正に伴う光学特性劣化を抑えることができるが、その駆動の組合せはこれに限定されず、シミュレータ26は、同期誤差と光学特性とを最適化することによって駆動の組合せを選択することができる。
【0024】
また、XY方向の同期誤差が最小線幅とオーバーレイ精度によって決まる許容値より小さく、Z方向の同期誤差のみを修正したい場合には、例えば、反射ミラー7a及び反射ミラー7bのいずれか一方をZ方向並進駆動することも可能である。この許容値は、半導体製造プロセスで決定される他の特性によって変更することも可能である。
【0025】
また、ミラー7のXリニアモータ17の位置に第4のZリニアモータ及び第4のZ4レーザー干渉計を併設することによって、反射ミラー17の曲率を変化させる構成をとることも可能である。その場合には、この曲率を変化させることによって補正可能な成分、例えば、焦点位置等を補正することも可能となる。
【0026】
また、コントローラ13は、マスクステージ3及びウエハステージ5の各々の回転方向については、それぞれの演算器22から、走査方向のY軸まわりのωy方向、走査方向に直交するX軸まわりのωx方向方向、及び光軸方向のZ軸まわりのωz方向へ、同期誤差(制御誤差)が0になるようにそれぞれの駆動部に駆動指令を与えることによって、制御対象としてのマスクステージ3及びウエハステージ5の同期誤差(制御誤差)をゼロ目標に保つことができる。
【0027】
目標指令値発生器21及び演算器22を含むコントローラ13は、高い精度、高速性、同時性、各種の補正動作、及び安定性等が求められるため、デジタル制御が適用されるのが好ましい。ここで、演算器22では、座標演算及び各々の軸の制御演算がそれぞれ行われているが、演算量が多い場合は、制御サイクルが制限されて制御特性が劣化する。例えば、回転誤差の制御は、他の成分を発生させないようにすること、角度を位置指令に換算すること等、その演算が並進方向に比べて複雑であるため、演算量が増大する。そこで、コントローラ13は、回転誤差の制御については、同期制御を行わずに、マスクステージ3とウエハステージ5とをそれぞれ独立で制御してもよい。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、センサの計測結果に基づいて、パターンが基板の所定位置に転写されるように光学素子を駆動することによって、大きな駆動力を発生するアクチュエータ、可動質量の軽量化、高剛性の機構系等を要しないので、高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【0029】
また、マスクステージ及びウエハステージの少なくとも一方の位置のずれによって生じる基板上のパターンの位置のずれを補正するように光学素子を駆動することによって、マスクステージ及びウエハステージの高速駆動を実現しながらも、加速力がかからないので、ステージ駆動によって上記ずれを補正するよりも、制御特性が良く、マスクステージ及びウエハステージの重ね合わせ精度、解像性能、及び線幅精度の向上を図ることができる。
【0030】
また、光学素子として、光源から出射された露光光を反射する反射ミラーを用いることによって、ウエハステージやマスクステージが大きく移動するためのストロークを必要とせず、加速力がかからないため、制御性が向上し易く、制御周波数も高くすることができる。従って、ステージでは追従できないような高周波の外乱振動(例えば、EUV光を光源にする場合に用いられる真空排気用のポンプに起因する振動等)によっても、ウエハ上に結像したマスクのパターンのコントラストが低下するようなことがなく、限界解像力及び線幅精度の向上を図ることができる。
【0031】
また、マスクステージ3及びウエハステージ5は、基板が走査露光されるように同期制御されることによって、ステージを高速移動させながら高精度に制御誤差を補正することができるので、高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【0032】
また、上記同期制御における並進方向及び回転方向の少なくとも1つの制御誤差は、光学素子の駆動によって補正されるので、並進方向及び回転方向の少なくとも1つにおいて高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【0033】
また、光学素子を6自由度で駆動するための駆動系と、光学素子の位置を6自由度で計測するための計測系とを更に有することによって、6自由度において高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の好適な第2の実施形態に係る露光装置の例を示す。図3は、本発明の好適な第2の実施形態に係るステップアンドスキャン露光装置20の構成を示す概念図である。マスクステージ3及びウエハステージ5は、構造体26’によって支持され、その位置は、それぞれマスク位置計測レーザー干渉計8、ウエハ位置計測レーザー干渉計12によって計測される。照明系27からの光は、コリメータレンズ28を通して、マスクステージ3上のマスクに照射される。マスクを通った光は、レンズ15を通して、基板としてのウエハ30上に焦点を結ぶ。このようにして、マスクのパターンがウエハ30の所定位置に転写される。
【0035】
コントローラ13は、ウエハ位置計測レーザー干渉計12によって計測されたマスクステージ3及びウエハステージ5の相対位置の誤差分を補正すべく、駆動部としてのレンズ駆動系16に駆動指令を与える。
【0036】
レンズ駆動系16は、この駆動指令に応じて、投影光学系4’の光学素子であるレンズ15を駆動する。レンズ15が駆動されることによって、マスクステージ3及びウエハステージ5の制御誤差によって生じる基板上に投影されるパターンの位置のずれを補正することができる。投影光学系4’の光学素子としては、更に、投影光学系4’の下部に配置されたシートガラスが配置される。
【0037】
コントローラ13は、投影光学系4’の下部に配置されたシートガラス14を傾けるようにレンズ駆動系16に駆動指令を与える。また、コントローラ13に内蔵される光学シミュレータ26は、複数枚のレンズ15をシフトさせたり、回転させたりするように、レンズ駆動系16に駆動指令を与える。さらに、投影光学系が屈折系の場合には、不図示の光源の波長を変化させて光学特性の補償を行ってもよい。
【0038】
本実施形態では、ステップアンドスキャン露光装置を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施形態は、ステップアンドリピート露光を行うステッパにも適用されうる、その場合には、マスクは固定されているので、ウエハステージ5の位置偏差を補正するように、レンズ15やシートガラス14等の光学素子を駆動したり、光源の波長を変化させたりることができる。
【0039】
次に、この露光装置を利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図4は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク作製)では設計した回路パターンに基づいてマスクを作製する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記のマスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ5によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、ステップ7でこれを出荷する。
【0040】
上記ステップ4のウエハプロセスは以下のステップを有する。ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を成膜するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打ち込みステップ、ウエハに感光剤を塗布するレジスト処理ステップ、上記の露光装置によって回路パターンをレジスト処理ステップ後のウエハに転写する露光ステップ、露光ステップで露光したウエハを現像する現像ステップ、現像ステップで現像したレジスト像以外の部分を削り取るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト剥離ステップ。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、光学素子には、光源から出射された露光光を縮小投影するレンズ及び/又はシートガラスが用いられることによって、ウエハステージやマスクステージが大きく移動するために設けられるストロークを必要とせず、加速力がかからないため、制御性が向上し易く、制御周波数も高くすることができる。従って、ステージでは追従できないような高周波の外乱振動によっても、ウエハ上に結像したマスクのパターンのコントラストが低下するようなことがなく、限界解像力及び線幅精度の向上を図ることができる。
【0042】
また、光学素子には、更に、シートガラスが用いられることによって、シートガラスを傾けるだけでウエハステージやマスクステージの制御誤差を補正することができるので、高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【0043】
以下に本発明に係る実施態様を列挙する。
【0044】
[実施態様1] 原版のパターンを光学素子を介して基板に転写する露光装置であって、
原版を保持する第1ステージと、
基板を保持する第2ステージと、
前記第1、第2ステージの位置を計測するセンサと、
前記センサの計測結果に基づいて、前記パターンが前記基板の所定位置に転写されるように前記光学素子を駆動する駆動部と、
前記光学素子を駆動することによって劣化する光学特性を補償する手段と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【0045】
[実施態様2] 前記駆動部は、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の位置のずれによって生じる前記基板上における前記パターンの位置のずれを補正するように前記光学素子を駆動または変形させることを特徴とする実施態様1に記載の露光装置。
【0046】
[実施態様3] 前記光学素子は、光源から出射された露光光を反射する反射ミラーを含むことを特徴とする実施態様1に記載の露光装置。
【0047】
[実施態様4] 前記光学素子は、光源から出射された露光光を縮小投影するためのレンズを含むことを特徴とする実施態様1に記載の露光装置。
【0048】
[実施態様5] 前記光学素子は、更に、シートガラスを含むことを特徴とする実施態様4に記載の露光装置。
【0049】
[実施態様6] 前記第1ステージ及び前記第2ステージは、前記基板が走査露光されるように同期制御されることを特徴とする実施態様1乃至実施態様5のいずれか1つに記載の露光装置。
【0050】
[実施態様7] 前記同期制御における並進方向及び回転方向の少なくとも1つの制御誤差は、前記光学素子を駆動することによって補正されることを特徴とする実施態様6に記載の露光装置。
【0051】
[実施態様8] 前記光学素子を6自由度で駆動するための駆動系と、前記光学素子の位置を6自由度で計測するための計測系とを更に有することを特徴とする実施態様1乃至実施態様7のいずれか1つに記載の露光装置。
【0052】
[実施態様9] 前記光学特性を補償する手段は、原版を基板に転写する投影光学系の反射ミラー又はレンズを、光軸に対して並進又は光軸に直交する軸廻りに回転させることを特徴とする実施態様1乃至実施態様8のいずれか1つに記載の露光装置。
【0053】
[実施態様10] 前記光学特性を補償する手段は、光源の波長を変化させることを特徴とする実施態様1乃至実施態様9のいずれか1つに記載の露光装置。
【0054】
[実施態様11] 前記光学特性を補償する手段は、光学素子を変形させ、その変形量を計測する手段を有することを特徴とする実施態様1乃至実施態様8のいずれか1つに記載の露光装置。
【0055】
[実施態様12] 半導体デバイスの製造方法であって、
基板に感光材を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で前記感光材が塗布された前記基板に実施態様1乃至実施態様11のいずれか1つに記載の露光装置を利用してパターンを転写する露光工程と、前記露光工程で前記パターンが転写された前記基板の前記感光材を現像する現像工程と、
を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、高速・高精度な露光処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態に係る露光装置の構成を示す概念図である。
【図2】投影光学系の構成の一部を示す図である。
【図3】ステップアンドスキャン型の露光装置に本発明を適用した図である。
【図4】半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。

Claims (12)

  1. 原版のパターンを光学素子を介して基板に転写する露光装置であって、
    原版を保持する第1ステージと、
    基板を保持する第2ステージと、
    前記第1および第2ステージの各々の位置を計測するセンサと、
    前記センサの計測結果に基づいて、前記パターンが前記基板上に転写されるように前記光学素子を駆動する駆動部と、
    前記光学素子の駆動による光学特性の変動をシミュレートするシミュレータを含み、該シミュレータの出力にもとづいて、前記光学素子を駆動したときに生じる光学特性の劣化を補償する手段と、
    を備えることを特徴とする露光装置。
  2. 前記駆動部は、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の位置のずれによって生じる前記基板上における前記パターンの位置のずれを補正するように前記光学素子を駆動または変形させることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記光学素子は、光源から出射された露光光を反射する反射ミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  4. 前記光学素子は、光源から出射された露光光を縮小投影するためのレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. 前記光学素子は、更に、シートガラスを含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
  6. 前記第1ステージ及び前記第2ステージは、前記基板が走査露光されるように同期制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の露光装置。
  7. 前記同期制御における並進方向及び回転方向の少なくとも1つの制御誤差は、前記光学素子を駆動することによって補正されることを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
  8. 前記光学素子を6自由度で駆動するための駆動系と、前記光学素子の位置を6自由度で計測するための計測系とを更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の露光装置。
  9. 前記光学特性を補償する手段は、原版を基板に転写する投影光学系の反射ミラー又はレンズを、光軸に対して並進又は光軸に直交する軸廻りに回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の露光装置。
  10. 前記光学特性を補償する手段は、光源の波長を変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の露光装置。
  11. 前記光学特性を補償する手段は、光学素子を変形させ、その変形量を計測する手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の露光装置。
  12. 半導体デバイスの製造方法であって、
    基板に感光材を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で前記感光材が塗布された前記基板に請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の露光装置を利用してパターンを転写する露光工程と、
    前記露光工程で前記パターンが転写された前記基板の前記感光材を現像する現像工程と、
    を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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