JP3531906B2 - 磁気記録媒体用結晶化ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用結晶化ガラス基板の製造方法

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  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体用結晶
化ガラス基板の製造方法に関し、より詳しくは、表面欠
陥が少なく且つ表面粗さが極端に低いスムーズな表面を
有する磁気記録媒体用結晶化ガラス基板を生産できる製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク記録装置の大容量化に伴っ
て、記録密度向上のために磁気ヘッド浮上量の低減が図
られており、そのためには表面平滑性に優れており、し
かも表面欠陥の少ない磁気記録媒体用基板が必要とされ
ている。
【0003】表面平滑性に優れた磁気記録媒体用基板と
して、従来は、アルミニウム合金にNi−Pメッキを施
し、そのメッキした主表面を多段に研磨して得た基板が
主として使用されている。
【0004】しかし、近年は、ノート型パソコン等の携
帯できるパソコンにも磁気ディスク記録装置が採用され
てきており、それで耐衝撃性の高い磁気記録媒体用基板
が必要とされてきており、また、磁気ディスク記録装置
の応答速度を高めるために磁気記録媒体用基板を100
00rpm以上で高速回転させる必要から高強度な磁気
記録媒体用基板が必要とされてきており、これらの必要
性を満たすものとしてガラス基板が用いられてきてい
る。
【0005】このガラス基板として、化学強化によって
強度アップした強化ガラス基板が主として採用されてい
るが、更に、高強度を容易に達成することができる結晶
化ガラス基板も有力なものとして挙げることができる。
【0006】この結晶化ガラスは、例えば70〜80%
の結晶相と20〜30%のアモルファス相とが共存する
混合相から構成されており、例えば、溶融成形して得ら
れたアモルファス状のガラスを600〜800℃の高温
に長時間保持することによって作られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな結晶化ガラス基板を、周知技術に従って平均粒径が
0.5〜2μm程度のCeO2 系の研磨材を数%程度含
有する研磨液を用いて研磨しても、結晶相とアモルファ
ス相との物性(硬度)の違いから結晶相は比較的研磨さ
れにくく、アモルファス相は比較的研磨され易いので表
面に凹凸が形成されてしまい、中心線平均粗さRaで8
Å程度が限度であり、スムーズな表面とすることが困難
である。
【0008】本発明の課題は、表面欠陥が少なく且つ表
面粗さが極端に低いスムーズな表面を有する磁気記録媒
体用結晶化ガラス基板を効率よく生産できる製造方法を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて鋭意検討した結果、従来周知の方法に従って磁気
記録媒体用結晶化ガラス基板を所定の板厚になるように
ラッピング加工し、必要に応じてポリッシング加工した
後の仕上げポリッシング工程において、極微細なCeO
2 系研磨材を極低濃度で含有し、添加剤として脂肪酸石
鹸を含有する研磨液を用いると、予想外にも、結晶化ガ
ラス基板を従来の両面研磨機を用いてアモルファスガラ
ス基板と同程度に容易に研磨でき、しかも結晶化ガラス
基板の表面欠陥を少なくし且つ表面粗さを容易に低くで
きることを見出し、本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明の磁気記録媒体用結晶化ガラ
ス基板の製造方法は、磁気記録媒体用結晶化ガラス基板
の仕上げポリッシング工程において、平均粒径D50
0.5μm以下のCeO2系研磨材を . 重量%以下含
有し、添加剤として脂肪酸石鹸を含有する研磨液及び研
磨布を用いて研磨することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明の製造方法で使用する研磨材は、平均粒
径D50が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、
より好ましくは0.2μm以下のCeO2 系微粒子であ
る。平均粒径が0.5μmよりも大きい研磨材を含有す
る研磨液を用いて結晶化ガラス基板を研磨すると、表面
粗さが大きくなり、本発明で目的としているような表面
欠陥が少なく且つ表面粗さが極端に低いスムーズな表面
を有する結晶化ガラス基板を生産することができない。
【0012】本発明の製造方法で使用できるCeO2
研磨材として、高純度のCeO2 、CeO2 と希土類元
素酸化物との混合物、CeO2 とSiO2 との混合物、
特開平9−132770号公報に開示されているような
酸化セリウムと酸化ケイ素とからなる固溶体等を挙げる
ことができる。このような固溶体は所望の極微細粒子と
して入手でき、且つ水中への分散性が良好であるので本
発明で用いるのに特に適している。このような固溶体は
酸化セリウム100重量部と酸化ケイ素0.1〜10重
量部とからなる固溶体であることが好ましい。
【0013】本発明の製造方法で使用する研磨液は、上
記のCeO2 系研磨材を1重量%以下,好ましくは0.
5重量%以下含有するものである。CeO2 系研磨材の
濃度が . 5重量%を超える研磨液、特に1重量%を超
える研磨液を用いて結晶化ガラス基板を研磨すると、表
面粗さが大きくなり、本発明で目的としているような表
面欠陥が少なく且つ表面粗さが極端に低いスムーズな表
面を有する結晶化ガラス基板を生産することができな
い。CeO2 系研磨材の濃度を極めて低くした研磨液を
用いて研磨することにより結晶化ガラス基板表面の表面
粗さが極端に低くなる理由については、現時点では解明
にまでは至っていないが、おそらく、研磨加工に有効に
作用するのに必要な研磨材の濃度は実際には非常に低
く、しかも研磨液中に過剰量の研磨材が存在すると表面
粗さを悪くする方に作用するためであると考えられる。
【0014】本発明の製造方法においては、研磨液中の
研磨材の濃度が低いため研磨中の研磨抵抗、加工抵抗が
大きくなるが、それらの抵抗を下げるために、従来技術
と同様に研磨液に高分子添加剤や界面活性剤を含有させ
ることができる。このような高分子添加剤としてセルロ
ース、グリセリン等を用いることができ、また界面活性
剤としてアニオン系、カチオン系、非イオン系の界面活
性剤を用いることができる。しかし、脂肪酸系界面活性
である脂肪酸石鹸を用いると、単に研磨抵抗、加工抵
抗が低下するだけでなく、表面粗さが極端に低いスムー
ズな表面を有する結晶化ガラス基板の生産が更に容易に
なる。
【0015】本発明の製造方法においては、公知の両面
研磨機を用い、研磨布を用いて結晶化ガラス基板を研磨
するが、この際、メカノ−ケミカル作用のうちメカノ作
用を高めるため、硬めの研磨布を用いることが好まし
く、このような硬めの研磨布としては、例えば硬質の発
泡ウレタン等を挙げることができる。
【0016】本発明の製造方法において、上記以外の研
磨条件、例えば研磨圧力、回転数、研磨時間について
は、普通に研磨加工が可能である限りは特には制限され
ない。しかしながら、研磨圧力が高過ぎるとキシミ音が
発生したり、結晶化ガラス基板の破損が発生したりする
こともあるので、好ましくは100g/cm2 未満、よ
り好ましくは80g/cm2 以下で実施する。回転数に
ついては遅過ぎるとキシミ音が発生ことがあり、早過ぎ
ると研磨抵抗、加工抵抗が大きくなり過ぎることがある
ので、15〜60rpm程度であることが好ましい。ま
た、研磨時間については、回転数と関連するが、短過ぎ
ると表面粗さの改善が不十分である傾向があり、長くな
ってもそれに見合った効果が得られないので、研磨時間
(分)×回転数(rpm)で150〜1000程度にな
ることが好ましい。
【0017】
【実施例】以下に、実施例及び比較例によって本発明を
更に具体的に説明する。比較例1 通常の磁気記録媒体用結晶化ガラス基板の作製手順に従
って、リチウムシリケート結晶化ガラス板(株式会社オ
ハラ製:TS−10SX、石英・クリストバライトが7
0〜80%、残りがアモルファス)を内外径加工し、ラ
ッピング加工して、外径65mm、内径20mm、板厚
0.68mmの多数のドーナツ状基板を作製した。
【0018】次に、上記のドーナツ状基板100枚を浜
井株式会社製の16B両面研磨機にセットし、研磨材と
して三井金属鉱業株式会社製のミレーク801(CeO
2 系研磨材、平均粒径D50=1.5μm)を用い、研磨
布としてロデールニッタ製のMHC15A(発砲ウレタ
ン)を用いて削減厚さが片面15μmとなるように研磨
して、本発明で研磨処理する結晶化ガラス基板を作製し
た。
【0019】上記で得た結晶化ガラス基板100枚を浜
井株式会社製の16B両面研磨機にセットし、研磨材と
して三井金属鉱業株式会社製のCEP(酸化セリウム1
00重量部と酸化ケイ素1重量部とからなる固溶体、平
均粒径D50=0.2μm)を用い、この研磨材を0.5
重量%含有する研磨液を用い、研磨布としてロデールニ
ッタ製のMHC14E(発砲ウレタン)を用い、研磨圧
力60g/cm2 、回転数30rpm、研磨時間20分
間の研磨条件で結晶化ガラス基板の両面を研磨した。研
磨後の結晶化ガラス基板の表面の表面粗さ(Ra 及びR
max )をA.F.M.(Atomic Force Microscope) で2
μm×2μmの面積で観察した。その結果を第1表に示
す。
【0020】比較例 比較例1 で用いたCEP研磨材の代わりに三井金属鉱業
株式会社製のミレークSO(平均粒径D50=1.0μ
m;CeO2 70%)を用いた以外は、比較例1と同様
の処理を施し、研磨後の結晶化ガラス基板の表面の表面
粗さを比較例1と同様に観察した。その結果を第1表に
示す。
【0021】
【0022】第1表のデータからも明らかなように、従
来、普通に用いられている平均粒径1.0μmよりも小
さい(D50が0.5μm以下の)CeO2 系研磨材を低
濃度( . 重量%以下)で用いて研磨することにより
結晶化ガラス基板表面の表面粗さを低くすることができ
る。
【0023】
【0024】
【0025】実施例1〜5及び比較例3〜4 比較例1 で用いたCEP研磨材の濃度を第表に示すよ
うに変更し、また添加剤として脂肪酸石鹸(協同油脂
製;MKP−98)を第表に示す濃度で添加した(無
添加の場合もある)以外は、比較例1と同様の処理を施
し、研磨後の結晶化ガラス基板の表面の表面粗さを比較
例1と同様に観察した。その結果を比較例1のデータと
共に第表に示す。
【0026】
【0027】第2表のデータからも明らかなように、研
磨液中の研磨材の濃度が . 5質量%よりも高い場合、
特に1重量%よりも高い場合には、研磨後の結晶化ガラ
ス基板の表面の表面粗さが悪いが、極めて低濃度である
ときには研磨後の結晶化ガラス基板表面の表面粗さを低
くすることができ、また、添加剤として脂肪酸石鹸を加
えるとその潤滑作用により更に表面粗さを低くすること
ができる。
【0028】
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の製造方
法に従って結晶化ガラス基板を製造することにより、表
面粗さを極めて低いスムーズな表面を有する磁気記録媒
体用結晶化ガラス基板を容易に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録媒体用結晶化ガラス基板の仕上げ
    ポリッシング工程において、平均粒径D50が0.5μm
    以下のCeO2 系研磨材を . 重量%以下含有し、添
    加剤として脂肪酸石鹸を含有する研磨液及び研磨布を用
    いて研磨することを特徴とする磁気記録媒体用結晶化ガ
    ラス基板の製造方法。
  2. 【請求項2】平均粒径D50が0.3μm以下のCeO2
    系研磨材を0.5重量%以下含有する研磨液を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用結晶化ガ
    ラス基板の製造方法。
  3. 【請求項3】CeO2 系研磨材が酸化セリウム100重
    量部と酸化ケイ素0.1〜10重量部とからなる固溶体
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録
    媒体用結晶化ガラス基板の製造方法。
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