JP3528940B2 - シラノール末端シルセスキオキサンラダーおよびその製造方法 - Google Patents

シラノール末端シルセスキオキサンラダーおよびその製造方法

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JP3528940B2 JP32119594A JP32119594A JP3528940B2 JP 3528940 B2 JP3528940 B2 JP 3528940B2 JP 32119594 A JP32119594 A JP 32119594A JP 32119594 A JP32119594 A JP 32119594A JP 3528940 B2 JP3528940 B2 JP 3528940B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シラノール末端シルセ
スキオキサンラダーオリゴマーおよびその製造方法に関
し、詳しくは、無触媒でシルセスキオキサンラダーポリ
シロキサンの硬化物を与えるシラノール末端シルセスキ
オキサンラダーオリゴマーおよびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ラダー型ポリシロキサンは耐熱性、電気
絶縁性に優れ、塗料やコーティング剤、電子機器のシー
リング材などに利用できる物として知られている。シラ
ノール末端のシルセスキオキサンとしては、ポリフェニ
ルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン
などが知られている。またメチル基、フェニル基、ビニ
ル基など複数のケイ素上置換基を持つシルセスキオキサ
ンも知られている。しかし、シラノール末端ポリフェニ
ルシルセスキオキサンはPhSiCl3 を加水分解した
時に、分子量数百〜数千程度のオリゴマーとして得られ
るが、これを用いて0.1mm厚以上の硬化物を作製す
ると非常に脆弱であり使用に耐えない。ケイ素上の置換
基がメチル、ビニルなどの脂肪族炭化水素基の場合に
は、シラノール末端を与えるRSiX3 タイプのモノマ
ーの反応性が高く、得られる加水分解−縮合物の分子量
はほとんどの場合1万以上となってしまう。そのため溶
媒への溶解性が悪く、該縮合物を溶解させるには大量の
溶媒が必要であり、コーティング用途などの薄膜は得ら
れるが、ある程度厚みを持った硬化物はクラックの発生
等のため得ることはできなかった。複数のケイ素上置換
基を有する低分子量のシルセスキオキサンオリゴマーも
知られているが、これは分子末端がアルコキシシリル基
になっており、硬化時の反応が遅く、そのために得られ
る硬化物の物性が使用目的によっては十分ではないこと
が問題であった、例えば、該硬化物の弾性率があまり高
くないことが問題であった。
【0003】ラダー型ポリシロキサンは、一般にオルガ
ノトリアルコキシシランまたはオルガノトリハロシラン
を加水分解・縮合反応させることにより合成される。オ
ルガノトリアルコキシシランを用いた場合には、一般に
生成するシルセスキオキサンラダーポリシロキサンの末
端がアルコキシシリル基となり、用途目的によっては硬
化時の反応性が十分でないという問題があった。一方、
フェニルトリクロロシラン以外に、アルキルトリクロロ
シランを併用もしくは単独で使用した場合には反応性が
高く、オルガノトリハロシランに水を、あるいは水にト
リハロシランを滴下する通常の方法ではゲル化しやすい
といった問題があった。
【0004】そこでゲル化を抑えるため、水と有機溶媒
の2相系にアルカリ金属カルボン酸塩と低級アルコール
を溶存させ、2相界面を乱さないように攪拌しながらオ
ルガノトリクロロシランを滴下してラダー型ポリシロキ
サンを合成する、という方法が提案されている(特開平
3−227321)。本発明者が検討したところ、この
方法により分子量分布の狭いラダー型ポリシロキサンが
得られるが、1分子中に4つある末端官能基のうち、2
つ以上が合成系中に存在するアルコールのためアルコキ
シ基に変換されてしまい、分子末端がすべてシラノール
基のラダー型ポリシロキサンを合成することはできない
ということがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複数
のオルガノトリハロシランを原料とし、これらを特定の
混合溶媒中で共加水分解・縮合させることにより、製造
中にゲル化することなしに効率よく、複数種のケイ素上
有機置換基を持ち、4つの分子末端官能基すべてがシラ
ノールである低分子量のシルセスキオキサンラダーオリ
ゴマー、およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、水に対
し有機溶媒相を形成できる有機溶媒からなる有機溶媒相
と水相からなる2相系にアルカリ金属カルボン酸塩と、
非プロトン性極性有機溶媒を溶存させ、式(2):R 1
SiX 3 および式(3):R 2 SiX 3 (R 1 は炭素数
1〜3の1価の炭化水素基であり、R 2 は芳香族炭化水
素基であり、Xはハロゲン原子である。)で示されるオ
ルガノトリハロシランの混合物を添加して共加水分解・
縮合させることを特徴とする一般式(1)( 1 及びR 2
は、前記と同義であり、R 1 の個数がR1 およびR2
個数全体の20〜90%であり、l、m、nは0または
正の数で、これらの和の平均は≦l+m+n≦15で
ある。)で示される、数平均分子量500〜2000で
あるシラノール末端シルセスキオキサンラダーオリゴマ
の製造方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
【0009】本発明の式(1)で表されるシラノール末
端シルセスキオキサンラダーオリゴマーは、ケイ素上に
有機置換基を複数種待ち、分子末端のすべてがシラノー
ル基であることを特徴とする。R1 炭素数1〜3の
価の炭化水素基で、R2 は芳香族炭化水素基で、R1
全体の20〜90%であり、l、m、nは0または正の
数で、これらの和の平均は≦l+m+n≦15であ
る。
【0010】式(1)において、n個の繰り返し単位
(以下、この単位をn単位という)におけるR 2 はn単
位毎に同一でも異なっていてもよい。このことはm個の
繰り返し単位(以下、この単位をm単位という)のR1
についても同様であり、l個の繰り返し単位(以下、こ
の単位をl単位という)の 1 2 についても同様で
ある。また、n単位、m単位およびl単位はブロックで
あってもこれらが混在したランダムであってもよい。
【0011】R1 炭素数1〜3の1価炭化水素基であ
り、このような炭化水素基としては、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、
ビニル基、アリル基、クロロメチル基、トリクロロエチ
ル基、クロロプロピル基などが挙げられる。またR
2 は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ク
ロロフェニル基などが例示され、R1 が全体の20〜9
0%、好ましくは30〜80%である。またl、m、n
は0または正の数で、これらの和の平均は≦l+m+
n≦15、好ましくは3≦l+m+n≦10である。
【0012】本発明のシラノール末端シルセスキオキサ
ンラダーオリゴマー(以下、ラダー型ポリシロキサンと
もいう)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
による標準ポリスチレン換算の数平均分子量が500〜
2000、好ましくは、700〜1500である。本発
明のラダー型ポリシロキサンの製造方法における出発物
質のオルガノトリハロシランは式(2):R1 SiX3
および式(3):R2 SiX3 で示される。ここで、R
1 およびR2 は式(1)と同義である。Xはハロゲン原
子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子であるが、好ましくは、塩素原子、臭素原子で、最も
好ましくは、塩素原子である。
【0013】式(1)の化合物を得るには、式(2)の
化合物を少なくとも1種と式(3)の化合物を少なくと
も1種とを反応に用いるが、好ましくは各々1種、最も
好ましくは、メチルトリクロロシランとフェニルトリク
ロロシランとの組み合わせである。本発明の製造方法に
おける水の使用量は、オルガノトリクロロシラン1モル
に対して最低1.5モル必要であるが、Xが塩素原子の
場合概ねオルガノトリクロロシラン100重量部に対し
て100〜500重量部で、好ましくは、200〜40
0重量部である。
【0014】本発明で使用する有機溶媒は、水に対して
多少溶解しても差し支えないが、水に対し有機溶媒相を
形成できるものである。具体的にはベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテル等が挙げられる。本発明におけるこの
有機溶媒の使用量は、トリハロシラン100重量部に対
して、100〜500重量部で、好ましくは200〜4
00重量部である。有機溶媒の使用量が100重量部未
満であると生成したラダー型ポリシロキサンを溶解する
のに不十分であり、生成したラダー型ポリシロキサンが
高分子量化するためである。また、500重量部を越え
るとトリハロシランの加水分解が十分に起こらなくなる
ほか、不経済であるたである。
【0015】さらに、本発明の製造方法で、反応系中に
存在させる非プロトン性極性有機溶媒は、水と実質的に
任意の割合で混ざり合うものであり、水と有機溶媒の共
溶媒として働き、トリハロシランと水とを穏やかに接触
させ徐々に加水分解できるようにするために使用され
る。具体的には、アセトン、テトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等が挙げら
れるが、好ましくはアセトンを使用する。アルコール類
は、生成するラダー型ポリシロキサンの末端シラノール
がアルコキシ化してしまうため、使用できない。本発明
におけるこの有機溶媒の使用量は、水100重量部に対
して1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜5
0重量部である。これは、1重量部未満であると生成し
たラダー型ポリシロキサンがゲル化してしまうためであ
る。また100重量部を越えると、反応後の水洗時に有
機相と水相の分離が悪くなり、精製が困難となるためで
ある。
【0016】本発明で使用するアルカリ金属カルボン酸
塩はオルガノトリハロシランの加水分解によって生成す
るハロゲン化水素を捕捉する働きをする。また、この反
応により副成するカルボン酸がアルカリ金属カルボン酸
塩と共に緩衝液を形成し、生成するラダー型ポリシロキ
サンが高分子量化するのを抑える働きをする。使用でき
るアルカリ金属カルボン酸塩としては、例えば、蟻酸ナ
トリウム、蟻酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン
酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムなどが挙げられる
が、好ましくは酢酸ナトリウムである。本発明におい
て、アルカリ金属カルボン酸塩の使用量は、水100重
量部に対してアルカリ金属カルボン酸塩20〜100重
量部の範囲であり、好ましくは40〜60重量部であ
る。これはアルカリ金属カルボン酸塩が20重量部未満
であるとオルガノトリハロシランが加水分解して副成す
るハロゲン化水素を十分に捕捉することができないだけ
でなく、ポリシロキサンが高分子量化し、ゲル状の不溶
物を生成してしまうためである。また、80重量部を越
えるとアルカリ金属カルボン酸塩の水に対する溶解性の
問題がでるだけでなく、不経済である。
【0017】オルガノトリハロシランの加水分解時の攪
拌速度は、水相と有機相との2相界面が保持できる程度
に調製する必要がある。攪拌速度が速すぎると界面が乱
れ、水と有機溶媒の懸濁状態となり、溶媒可溶のシルセ
スキオキサンが生成せずゲル化してしまうためである。
反応温度は0〜60℃であるが、好ましくは5〜10℃
である。これは、0℃以下では反応系中の水が凍り攪拌
が困難となるためで、60℃を越えると生成するシルセ
スキオキサンが高分子化するためである。
【0018】オルガノトリハロシランの2相系への添加
方法は、特に制限はないが滴下等の徐々に添加する方法
が好ましい。該滴下速度は、オルガノトリハロシラン1
0g当たり1時間程度かけるのがよい、滴下速度が速す
ぎると反応系の温度が上昇し、温度制御が困難となるた
めである。反応時間は、滴下終了後1〜3時間で、好ま
しくは2時間である。これは1時間未満では加水分解・
縮合が十分に進行しないためであり、3時間を越えると
生成するシルセスキオキサンが高分子量化するためであ
る。反応後は水相を除去し、有機相を水で洗浄水が中性
になるまで洗浄した後、硫酸マグネシウム等で脱水し、
溶媒を留去し、シラノール末端シルセスキオキサンラダ
ーオリゴマーを得る。
【0019】本発明のシラノール末端シルセスキオキサ
ンラダーオリゴマーは、特定の割合で調製したアルカリ
金属カルボン酸塩、水、有機溶媒、非プロトン性極性溶
媒の混合物の攪拌下に、該オルガノトリハロシランを滴
下するという上記のような製造法により収率よく得るこ
とがきる。
【0020】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をより一層明ら
かにするが、本発明は実施例により何ら限定されるもの
ではない。尚、本実施例に示す分子量は、GPC及びN
MRで測定した。 実施例1 攪拌器、滴下ロート、温度計を備えた反応容器に、水3
4.0gと酢酸ナトリウム17.2gを入れて混合し
た。次に、トルエン30.9gとテトラヒドロフラン
6.7gを加えて混合した。静置すると水相、有機相の
2相を形成した。この2相界面を保持できる程度に攪拌
速度を調整し、ここにメチルトリクロロシラン4.23
gとフェニルトリクロロシラン6.02gの混合物を滴
下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了時には反
応混合物の温度は50℃に達したが、その後、攪拌を続
けると徐々に室温まで低下した。滴下後2時間攪拌し、
反応溶液を分液ロートに移し、水相を除去した。有機相
を30gの水で6回洗浄し、洗浄水が中性になったこと
を確認した。有機相に硫酸マグネシウムを加えて一晩乾
燥し、次にこれを濾過して除き、溶媒を減圧除去、さら
に40℃で5時間真空乾燥することにより、無色固体と
してシラノール末端を持つラダー型ポリシロキサンのオ
リゴマー5.18gを得た。
【0021】得られた生成物の数平均分子量(Mn)
は、GPCによると標準ポリスチレン換算で1530で
あり、分子量分布(Mw/Mn,Mwは重量平均分子
量)は6.63であった。生成物の1H-NMRをCDCl3
中で測定したところ、0.14ppm付近にSiMe、
6.8〜7.8ppmにSiPhによる幅広のピークが
現れ、1.64ppmにSiOHと水によると思われる
ピークが現れた。このオリゴマーの1H-NMRをジメチルス
ルホキシド−d6 中で測定すると、この1.64ppm
のピークが消失し、新たに3.23ppmに水によるピ
ークが現れ、6.8〜7.8ppmのピークはSiOH
のシグナルが重なり大きくなった。このことからCDC
3 中での1.64ppmのピークはSiOHと水によ
るものと裏ずけれられた。また、積分比から生成オリゴ
マー中のSi置換基の比はMe:Ph=10:7であ
り、Meの方が若干優先的に導入される。尚、Meはメ
チル基、Phはフェニル基である。
【0022】実施例2 実施例1と同様に、水34.0g、酢酸ナトリウム1
7.2g、トルエン30.9g、1,4−ジオキサン
6.7gを加えて混合した。静置すると水相、有機相の
2相を形成した。この2相界面を保持できる程度に攪拌
速度を調整し、ここにメチルトリクロロシラン4.23
gとフェニルトリクロロシラン6.02gの混合物を1
時間かけて滴下し、2時間攪拌した。滴下終了時には反
応溶液の温度は45℃になったが、その後徐々に室温ま
で低下した。実施例1と同様の処理を行い、無色固体
5.42gを得た。実施例1と同じ方法で生成物を分析
したところ、数平均分子量1200、分子量分布7.2
0であった。生成オリゴマー中のSi置換基の比はM
e:Ph=10:7であった。
【0023】実施例3 実施例1と同様に、水34.0g、酢酸ナトリウム1
7.2g、トルエン30.9g、1,2−メトキシエタ
ン6.7gを加えて混合した。静置すると水相、有機相
の2相を形成した。この2相界面を保持できる程度に攪
拌速度を調整し、ここにメチルトリクロロシラン4.2
3gとフェニルトリクロロシラン6.02gの混合物を
1時間かけて滴下し、2時間攪拌した。滴下終了時には
反応溶液の温度は45℃になったが、その後徐々に室温
まで低下した。実施例1と同様の処理を行い、無色固体
5.07gを得た。実施例1と同じ方法で生成物を分析
したところ、数平均分子量1320、分子量分布6.4
7であった。生成オリゴマー中のSi置換基の比はM
e:Ph=10:7であった。
【0024】実施例4 実施例1と同様に、水34.0g、酢酸ナトリウム1
7.2g、トルエン30.9g、アセトン6.7gを加
えて混合した。静置すると水相、有機相の2相を形成し
た。この2相界面を保持できる程度に攪拌速度を調整
し、ここにメチルトリクロロシラン4.23gとフェニ
ルトリクロロシラン6.02gの混合物を1時間かけて
滴下し、2時間攪拌した。滴下終了時には反応溶液の温
度は50℃になったが、その後徐々に室温まで低下し
た。実施例1と同様の処理を行い、無色固体5.10g
を得た。実施例1と同じ方法で生成物を分析したとこ
ろ、数平均分子量1070、分子量分布4.90であっ
た。生成オリゴマー中のSi置換基の比はMe:Ph=
10:6であった。
【0025】実施例5 実施例1と同様に、水34.0g、酢酸ナトリウム1
7.2g、トルエン30.9g、テトラヒドロフラン
6.7gを加えて混合し、静置して水相、有機相の2相
を形成した。この2相界面を保持できる程度に攪拌速度
を調整し、氷水浴で冷却して内温を5〜10℃に保ちな
がら、ここにメチルトリクロロシラン4.23gとフェ
ニルトリクロロシラン6.02gの混合物を滴下し、2
時間攪拌した。実施例1と同様の処理を行い、無色固体
5.29gを得た。実施例1と同じ方法で生成物を分析
したところ、数平均分子量1000、分子量分布3.9
7であった。生成オリゴマー中のSi置換基の比はM
e:Ph=10:7であった。反応温度を低くすること
により、分子量、分子量分布とも抑えることができた。
【0026】比較例1 実施例1と同様に、水34.0g、酢酸ナトリウム1
7.2g、トルエン30.9g、iso−プロパノール
6.7gを加えて混合し、静置して水相、有機相の2相
を形成した。この2相界面を保持できる程度に攪拌速度
を調整し、ここにメチルトリクロロシラン4.23gと
フェニルトリクロロシラン6.02gの混合物を1時間
かけて滴下し、さらに2時間攪拌した。実施例1と同様
の処理を行い、無色固体5.49gを得た。
【0027】得られた生成物の数平均分子量は、GPC
によると標準ポリスチレン換算で702、分子量分布は
1.61であった。また生成物の1H-NMRをCDCl3
で測定したところ、0.20ppm付近にSiMe、
6.8〜7.9ppmにSiPhによる幅広のピークが
現れ、積分比から生成オリゴマー中のSi置換基の比は
Me:Ph=10:6であった。また、iso−プロピ
ル基によるシグナルが1.2ppm(CH3 )と4.2
ppm(CH)付近に現れた。13C−NMRからもis
o−プロピル基が含まれていることが確認された。GP
Cから得られた分子量と1H-NMRの積分比から、このオリ
ゴマー1分子当たり平均2個のiso−プロピル基が含
まれていることがわかった。
【0028】応用例1 実施例4のアセトンを添加した系で得られたシルセスキ
オキサンラダーオリゴマーを用いて硬化物を作製した。
このラダーオリゴマー2gをテトラヒドロフランに溶解
させた。これをポリイミドフィルムを両面テープで貼り
付けた円筒形の缶(直径45mm、深さ8mmに流し込
み、蓋をして50℃/40時間、80℃/10時間、1
00℃/100時間、150℃/100時間という順に
加熱硬化させた。この結果、厚さ0.8〜0.9mmの
無色透明の硬化物が得られた。この硬化物の曲げ試験を
JIS規格(K7203)の小型試験片による曲げ試験
方法に準じて行った。測定条件は、スパン:15mm、
圧子:5R、支点:2R、テストスピード:0.5mm
/minである。この結果、得られた硬化物の曲げ弾性
率は2.68GPa、最大強度53.9MPaであっ
た。
【0029】比較例2 昭和電工(株)より入手したグラスレジンGR−100
(Me/Ph=2/1、Mn=950であり、分子末端
はエトキシ基または水素のポリシルセスキオキサンラダ
ーオリゴマー)を用いて、応用例1と同様に加熱硬化さ
せて硬化物を作製した。この硬化物の曲げ弾性率は1.
54GPa、最大強度30.9MPaであった。
【0030】
【発明の効果】本発明のシルセスキオキサンラダーオリ
ゴマーは、数平均分子量が500〜2000で、複数種
のケイ素上有機置換基を持ち、1分子中4つある末端官
能基のすべてがシラノールであるため、各種有機溶媒に
可溶であり、これを用いると無触媒で耐熱性で、弾性率
の高いシルセスキオキサン硬化物が得られるという特徴
を有する。また、本発明の製造方法はこの様なシルセス
キオキサンラダーオリゴマーを、製造中にゲル化するこ
となしに効率良く製造することができるという特徴を有
する。
フロントページの続き (72)発明者 広瀬 俊文 兵庫県神戸市須磨区神の谷7−2−3 (56)参考文献 特開 昭59−129230(JP,A) 特開 昭50−111198(JP,A) 特開 平6−200030(JP,A) 特開 平3−227321(JP,A) 特開 平1−92224(JP,A) 特開 平5−125187(JP,A) 特開 平5−39357(JP,A) 特開 平2−107638(JP,A) 特開 平3−207719(JP,A) 特開 昭60−258518(JP,A) 特開 昭55−145694(JP,A) 特開 昭58−59222(JP,A) 特開 平8−143578(JP,A) 特開 平8−143577(JP,A) 特開 平8−225648(JP,A) 特開 平8−225647(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 77/00 - 77/62 C07F 7/02 - 7/21 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に対し有機溶媒相を形成できる有機溶
    媒からなる有機溶媒相と水相からなる2相系にアルカリ
    金属カルボン酸塩と、非プロトン性極性有機溶媒を溶存
    させ、式(2):R 1 SiX 3 および式(3):R 2
    iX 3 (R 1 は炭素数1〜3の1価の炭化水素基であ
    り、R 2 は芳香族炭化水素基であり、Xはハロゲン原子
    である。)で示されるオルガノトリハロシランの混合物
    を添加して共加水分解・縮合させることを特徴とする
    般式(1)( 1 及びR 2 は、前記と同義であり、R 1
    個数がR1 およびR2 の個数全体の20〜90%であ
    り、l、m、nは0または正の数で、これらの和の平均
    ≦l+m+n≦15である。)で示される、数平均
    分子量500〜2000であるシラノール末端シルセス
    キオキサンラダーオリゴマーの製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 R1 がメチル基であり、R2 がフェニル
    基である請求項1記載のシラノール末端シルセスキオキ
    サンラダーオリゴマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 は塩素原子または臭素原子である請求
    1または2記載のシラノール末端シルセスキオキサン
    ラダーオリゴマーの製造方法。
  4. 【請求項4】 Xは塩素原子である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のシラノール末端シルセスキオキサンラ
    ダーオリゴマーの製造方法。
  5. 【請求項5】 数平均分子量が700〜1500である
    請求項1〜のいずれか1項に記載のシラノール末端シ
    ルセスキオキサンラダーオリゴマーの製造方法。
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