JP3525011B2 - インクジェット記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの駆動方法

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JP3525011B2
JP3525011B2 JP16772096A JP16772096A JP3525011B2 JP 3525011 B2 JP3525011 B2 JP 3525011B2 JP 16772096 A JP16772096 A JP 16772096A JP 16772096 A JP16772096 A JP 16772096A JP 3525011 B2 JP3525011 B2 JP 3525011B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばオンデマン
ド型のインクジェットプリンタに使用するインクジェッ
ト記録ヘッドの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、分極したPZTと呼ばれる圧電部
材で壁を形成したインク室を複数並べて設け、この各イ
ンク室の両壁内面に電極をそれぞれ配設し、この各電極
に駆動パルスを選択的に印加することで駆動すべきイン
ク室の両壁を変形させてインク室内のインクに圧力を与
え、インク滴をインク吐出口から吐出させて印刷を行う
インクジェット記録ヘッドとしては、例えば、特開昭6
3−252750号公報に開示されているものが知られ
ている。
【0003】この種の記録ヘッドは、隣接するインク室
間で圧電部材からなる壁を共有するため、あるインク室
を駆動すると隣接するインク室に圧力変動を引き起こ
す。従って、隣接するインク室が駆動したか否かにより
インク室内の圧力状態が変化し、それに伴いインク吐出
口からのインク滴の吐出速度が変化する。この吐出速度
の変化は用紙へのインク滴の着弾時間のずれ、すなわ
ち、ドット位置のずれとなり、印刷品質が悪くなる原因
となる。これはクロストークの問題として、一般にこの
種の記録ヘッドの重要な課題になっている。
【0004】以下、駆動パターンの違いにより各インク
室間で吐出速度に差が出る問題について述べる。例え
ば、図24の(a) は、インク室Cからのみインクを吐出
させる単ノズル駆動の場合を示している。なお、A〜E
はインク室を示し、P1 〜P6 は圧電部材からなる壁を
示している。この場合はインク室Cの電極に電圧を印加
し両壁P3 ,P4 を外側に開いてインク室Cにインクを
充填し、次に電圧印加を停止させて両壁P3 ,P4 を急
激に元の状態に復帰させてインク室Cの容積を縮小して
インク滴の吐出を行う。
【0005】また、図24の(b) は、1つおきのインク
室B,D,Fから同時にインクを吐出させる一種の複ノ
ズル駆動の場合を示している。なお、A〜Gはインク室
を示し、P1 〜P8 は圧電部材からなる壁を示してい
る。この場合はインク室B,D,Fの電極に電圧を印加
しインク室Bの両壁P2 ,P3 、インク室Dの両壁P4
,P5 、インク室Fの両壁P6 ,P7 を外側に開いて
それぞれインク室B,D,Fにインクを充填し、次に電
圧印加を停止させて各壁P2 ,P3 ,P4 ,P5 ,P6
,P7 を急激に元の状態に復帰させて各インク室B,
D,Fの容積を縮小してインク滴の吐出を行う。
【0006】図24の(a) の単ノズル駆動の場合は、壁
P3 ,P4 を元の状態に復帰させる際の隣接インク室
B,Dの状態を見ると、逆に壁P3 ,P4 が閉じた状態
から急激に開くことになるので、隣接インク室B,Dは
負圧になり、壁P3 ,P4 は閉じようとする方向と逆の
方向の力で引っ張られることになる。図24の(b) の複
ノズル駆動の場合は、例えばインク室Dの両隣のインク
室C,Eは両壁P3 ,P4 ,P5 ,P6 が閉じた状態か
ら急激に開くことになるので、隣接インク室C,Eは図
24の(a) の場合よりも大きな負圧となり、これにより
各壁が受ける力も大きくなる。従って、インク室Dは単
ノズル駆動の場合よりも圧力が上がらずインク室Dから
のインクの吐出速度は小さくなる。
【0007】また、インク室B,Fについては、内側に
隣接するインク室C,Eは大きな負圧となるが、外側に
隣接するインク室A,Gは単ノズル駆動の場合と同じで
あるためインク室B,Fの圧力上昇は単ノズル駆動の場
合よりも小さく、インク室Dよりも大きくなる。従っ
て、インク室からのインクの吐出速度は、単ノズル駆動
の場合が一番大きく、インク室B,D,Fの同時駆動で
のインク室Dの吐出速度が一番小さく、インク室B,F
の吐出速度がその中間ということになる。このように、
注目インク室に隣接したインク室が同時に駆動する場合
と駆動しない場合とで注目インク室からのインクの吐出
速度に差が生じる。
【0008】これを回避する駆動方法として、特開平4
−176653号公報に見られるように、各インク室を
2個おきに3つの組に分割し、各組単位でインク室を分
割駆動してインク滴の吐出を行う駆動方法が知られてい
る。これは図25に示すように、インク室A,B,C,
D,E,F,G,…に対して、先ず(a) ,(b) に示すよ
うにインク室A,D,G,…を駆動させ、次のタイミン
グで(c) ,(d) に示すようにインク室B,E,…を駆動
させ、次のタイミングで(e) ,(f) に示すようにインク
室C,F,…を駆動させ、次のタイミングで元に戻って
(a) ,(b) に示すようにインク室A,D,G,…を駆動
させるというように組単位でインク室を分割駆動する方
法である。
【0009】この場合、インクを吐出するインク室の両
隣のインク室は常に片側の壁のみが変形動作し、もう片
側の壁は変形動作しない。従って、駆動周波数を遅く
し、各吐出のタイミング間隔を充分に長く取って隣接イ
ンク室が駆動したときのインク室内の残留振動が完全に
減衰した状態において次のインク室の駆動を行えば、複
数のインク室を同時に駆動しても各インク室からのイン
クの吐出速度は同じとなり、かつ単ノズル駆動の場合と
差が生じないと考えられる。
【0010】しかしながら、2つおきに3つの組に分割
してインク室を分割駆動する場合において、図26に示
すような駆動パルスを使用して吐出実験を行ったとこ
ろ、単ノズル駆動の場合の吐出速度を100%としたと
きの2〜7ノズルの複ノズル駆動での吐出速度の比率は
図27に示す結果になった。なお、2〜7ノズル駆動と
は駆動に使用するインク室の数を示している。図26
は、例として、4ノズル駆動の場合の各電極に印加する
駆動パルス波形を示している。駆動電圧Vmは20V
で、徐々に電圧を高め、駆動パルス幅Tm=100μs
ecでパルスを遮断する。また、各インク室間の駆動周
期Tは5.5msecである。なお、駆動パルス幅Tm
に対して駆動周期Tは充分に長く隣接インク室が駆動し
たときの残留振動は完全に減衰しており、駆動するイン
ク室が隣接インク室の駆動による残留振動の影響を受け
ることはない。
【0011】図27から、単ノズル駆動に対し、複ノズ
ル駆動の場合の吐出速度が低下し、さらに複ノズル駆動
では駆動対象となるインク室(ノズル)の両端のインク
室(ノズル)の吐出速度に比べ中央部のインク室(ノズ
ル)の吐出速度が小さくなる傾向がある。この現象は圧
電部材の履歴による残留歪みに起因するものと推察され
る。図28は単ノズル駆動の例を示し、壁P1 〜P6 で
隔てられたインク室A〜Eに対してインク室Cのみを駆
動する場合を示している。この場合は、(a) 及び(b) に
示すように、インク室Cの電極に徐々に立上がる電圧を
印加して両壁P3 ,P4 を広げ、インク室Cにインクを
充填した後、電圧を切って両壁P3 ,P4 を元の状態に
復帰させ、これによりインク室Cの容積が縮小して内部
の圧力が高まり、インク室Cからインクが吐出する。そ
して、次のタイミングでも(c) 及び(d) に示すように、
インク室Cからインクを吐出させると、前回の吐出動作
において両壁P3 ,P4 は同じ方向に変形している。
【0012】また、図29は3ノズル駆動の例を示し、
壁P1 〜P6 で隔てられたインク室A〜Eに対してイン
ク室D、B、Cの順に駆動する場合を示している。この
場合は、(a) 及び(b) に示すように、インク室Dの電極
に徐々に立上がる電圧を印加して両壁P4 ,P5 を広
げ、インク室Dにインクを充填した後、電圧を切って両
壁P4 ,P5 を元の状態に復帰させ、これによりインク
室Dの容積が縮小して内部の圧力が高まり、インク室D
からインクが吐出する。そして、次のタイミングでは
(c) 及び(d) に示すように、インク室Bの電極に徐々に
立上がる電圧を印加して両壁P2 ,P3 を広げ、インク
室Bにインクを充填した後、電圧を切って両壁P2 ,P
3 を元の状態に復帰させ、これによりインク室Bの容積
が縮小して内部の圧力が高まり、インク室Bからインク
が吐出する。
【0013】さらに次のタイミングでは(e) 及び(f) に
示すように、インク室Cの電極に徐々に立上がる電圧を
印加して両壁P3 ,P4 を広げ、インク室Cにインクを
充填した後、電圧を切って両壁P3 ,P4 を元の状態に
復帰させ、これによりインク室Cの容積が縮小して内部
の圧力が高まり、インク室Cからインクが吐出する。こ
の場合において、インク室Cからインクを吐出させよう
とする場合は、前のインク室D及びBからのインクの吐
出動作において壁P3 ,P4 は逆の方向に変形してい
る。
【0014】ところで圧電部材には履歴現象があり、電
界をかけると圧電部材に歪みが生じ、電界を取り除くと
歪みは元の位置には戻らず残留歪みが存在する。従っ
て、吐出する前に壁が同じ方向に変形した場合と逆方向
に変形した場合とで残留歪みにより壁の初期状態が異な
ることになり、逆方向に変形した場合には負の残留歪み
があるため、その状態で同じ電界をかけたときに壁の変
位量は同じ方向に変形した場合に比べて小さくなる。
【0015】例えば、図30は7ノズル駆動の例を示
し、壁P1 〜P10で隔てられたインク室A〜Iに対し
て、先ず、(a) 、(b) に示すようにインク室B、E、H
を同時に駆動し、次のタイミングで(c) 、(d) に示すよ
うにインク室C、Fを同時に駆動し、さらに次のタイミ
ングで(e) 、(f) に示すようにインク室D、Gを同時に
駆動し、次のタイミングで元のインク室B、E、Hの同
時駆動に戻る。
【0016】この場合、駆動対象となるインク室の両端
のインク室B、Hは、その吐出動作の前には外側の壁P
2 、P9 は同じ方向に変形している。これに対して中央
部のインク室C,D,E,F,Gは、その吐出動作の前
には両壁とも逆の方向に変形している。このことは3ノ
ズル駆動、4ノズル駆動、5ノズル駆動、6ノズル駆動
の場合も同様である。また、単ノズル駆動の場合は常に
両壁とも同じ方向に変形している。従って、図27に示
したように、複ノズル駆動の場合、単ノズル駆動に比べ
て吐出速度が小さくなり、また、駆動対象となるインク
室における両端のインク室(ノズル)よりも中央部のイ
ンク室(ノズル)の吐出速度が小さくなる。
【0017】次に、図26とは異なる駆動パルスを使用
して吐出実験を行った場合について述べる。2つおきに
3つの組に分割してインク室を分割駆動する場合におい
て、図31に示すような駆動パルスを使用して吐出実験
を行ったところ、単ノズル駆動の場合の吐出速度を10
0%としたときの2〜7ノズルの複ノズル駆動での吐出
速度の比率は図32に示す結果になった。図31は、例
として、4ノズル駆動の場合の各電極に印加する駆動パ
ルス波形を示している。この例ではメインパルスの電圧
Vmは3V、パルス幅Tmは18μsec、サブパルス
の電圧Vsは−19.5V、パルス幅Tsは36μse
cに設定した。メインパルスで壁を少し広げてからサブ
パルスで壁を狭めてインクを吐出させる。また、各イン
ク室間の駆動周期Tは5.5msecとなっており、パ
ルス幅Tm、Tsに対して駆動周期Tは充分に長く隣接
インク室が駆動したときの残留振動の影響を無くしてい
る。
【0018】図32から、図27の場合とは逆に単ノズ
ル駆動に対して複ノズル駆動の場合の吐出速度が増加
し、駆動対象となるインク室(ノズル)の両端のインク
室(ノズル)の吐出速度に比べ中央部のインク室(ノズ
ル)の吐出速度が大きくなる傾向がある。この現象も圧
電部材の履歴による残留歪みに起因するものと推察され
る。図33は単ノズル駆動の例を示し、壁P1 〜P6 で
隔てられたインク室A〜Eに対してインク室Cのみを駆
動する場合を示している。この場合は、(a) 〜(c)に示
すように、メインパルスによりインク室Cの電極に駆動
電圧Vmを印加して両壁P3 ,P4 を広げ、インク室C
にインクを充填した後、今度はサブパルスによりインク
室Cの電極に駆動電圧Vsを印加して両壁P3 ,P4 を
狭め、これによりインク室内の圧力を高めてインク滴を
吐出させる。そして、電圧を切って両壁P3 ,P4 を元
の状態に復帰させる。
【0019】次のタイミングでも(d) 〜(f) に示すよう
に、同様にメインパルスとサブパルスを印加してインク
室Cからインクを吐出させる。このとき(b) に示す前回
の吐出動作において両壁P3 ,P4 は逆の方向に変形し
ている。
【0020】また、図34は3ノズル駆動の例を示し、
壁P1 〜P6 で隔てられたインク室A〜Eに対してイン
ク室D、B、Cの順に駆動する場合を示している。この
場合は、(a) 〜(c) に示すように、メインパルスにより
インク室Dの電極に駆動電圧Vmを印加して両壁P4 ,
P5 を広げ、インク室Dにインクを充填した後、今度は
サブパルスによりインク室Dの電極に駆動電圧Vsを印
加して両壁P4 ,P5を狭め、これによりインク室Dの
圧力を高めてインク滴を吐出させる。そして、次のタイ
ミングでは(d) 〜(f) に示すように、インク室Bの電極
に駆動電圧Vmを印加して両壁P2 ,P3 を広げ、イン
ク室Bにインクを充填した後、今度はサブパルスにより
インク室Bの電極に駆動電圧Vsを印加して両壁P2 ,
P3 を狭め、これによりインク室Bの圧力を高めてイン
ク滴を吐出させる。
【0021】さらに次のタイミングでは(g) 〜(i) に示
すように、インク室Cの電極に駆動電圧Vmを印加して
両壁P3 ,P4 を広げ、インク室Cにインクを充填した
後、今度はサブパルスによりインク室Cの電極に駆動電
圧Vsを印加して両壁P3 ,P4 を狭め、これによりイ
ンク室Cの圧力を高めてインク滴を吐出させる。この場
合において、インク室Cからインクを吐出させようとす
る場合は、前のインク室D及びBからのインクの吐出動
作において壁P3 ,P4 は同じ方向に変形している。
【0022】このように正のメインパルスと負のサブパ
ルスを使用して駆動する場合は、単ノズル駆動、複ノズ
ル駆動共にインク吐出前の壁の状態が図28、図29に
示したものと逆になっており、従って、圧電部材の履歴
現象による残留歪みの影響により、単ノズル駆動の場合
に対して複ノズル駆動の場合の方が吐出速度が大きく、
また、駆動対象となるインク室における両端のインク室
(ノズル)よりも中央部のインク室(ノズル)の吐出速
度が大きくなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】このように従来におい
ては、壁を構成する圧電部材の履歴現象により、単ノズ
ル駆動と複ノズル駆動とでインク室からのインク滴の吐
出速度が変化し、また、複ノズル駆動における両端イン
ク室と中央部のインク室とでもインク室からのインク滴
の吐出速度が変化し、この吐出速度の違いがインク滴の
用紙への付着時間のずれ、すなわち、ドット位置のずれ
となって現れ、充分な印刷品質の向上を図ることができ
なかった。
【0024】そこで、発明は、壁を構成する圧電部材
の履歴現象によるインク室からのインク滴の吐出速度の
ずれを補正することでドット位置のずれを防止でき、こ
れにより印刷品質の向上を充分に図ることができるイン
クジェット記録ヘッドの駆動方法を提供する。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
インク室を複数並べて設け、各インク室の内壁に電極を
配設し、この各電極に駆動パルスを選択的に印加するこ
とで圧電部材を変形させて駆動すべきインク室内のイン
クに圧力を与え、インク滴をインク吐出口から吐出させ
て印刷を行うインクジェット記録ヘッドにおいて、各イ
ンク室をn個おきに(n+1)組に分割し、各組単位で
インク室を分割駆動してインク滴の吐出を行う場合に、
駆動すべきインク室について、前回駆動してから今回駆
動するまでの間に隣接する両インク室が駆動したか否か
を判定し、圧電部材の歪み履歴によるインク滴の吐出速
度の変化を補正するように、判定結果により異なった
動パルスの波形を印加することにある。
【0026】
【0027】
【0028】請求項記載の発明は、請求項記載のイ
ンクジェット記録ヘッドの駆動方法において、駆動パル
スの波形を、電圧の値を変えることで異なった駆動パル
スの波形にすることにある。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。 (第1の実施の形態) 1はインクジェット記録ヘッドの構成を示す一部切欠
した分解斜視図で、1はセラミック材からなる基板で、
この基板1上の前方側に2枚の長方形状の圧電部材2,
3をエポキシ樹脂接着剤で接着固定している。前記各圧
電部材2,3には、切削加工により、一定の間隔で平行
に同じ幅で、同じ深さ、同じ長さの複数の長溝4,4,
…を形成している。前記各長溝4,4,…の側面と底面
には電極5,5,…を形成し、さらに各長溝4,4,…
の後端から前記圧電部材3の後部上面に延出した引出し
電極6,6,…を形成している。これらの電極5,5,
…、6,6,…は無電解ニッケルメッキにより形成して
いる。
【0034】前記基板1上の後方側にPC板7を接着固
定している。前記PC板7の上に駆動回路を内蔵したド
ライブIC8を搭載するとともにこのドライブIC8に
接続した導電パターン9,9,…を形成している。そし
て、前記各導電パターン9,9,…と前記各引出し電極
6,6,…をワイヤボンディングにより導線10,1
0,…で結合している。
【0035】前記圧電部材3の上には、セラミック材か
らなる天板11をエポキシ樹脂接着剤で接着固定してい
る。また、前記各圧電部材2,3の先端に複数のインク
吐出口12,12,…を設けたノズルプレート13を接
着剤で接着固定している。これにより、前記各長溝4,
4,…は上部を前記天板11で覆うわれ、先端をノズル
プレート13で塞がれることになり、それぞれインク室
を形成することになる。前記天板11には共通インク室
14を形成しており、前記各長溝4,4,…で形成した
インク室の後端部がこの共通インク室14に連通してい
る。そして、前記共通インク室14はインク供給部(図
示せず)に連通している。
【0036】図2は図1の構成の記録ヘッドをX−X線
に沿って断面したときの部分断面図で、前記各長溝4,
4,…で形成したインク室15,15,…にはインクが
充填してある。前記各圧電部材2,3は、例えば圧電セ
ラミックからなるピエゾ素子からなり、それぞれ図中矢
印で示すように板厚方向で互いに対向する方向に分極し
ている。
【0037】図3は、この記録ヘッドの駆動方法を説明
するための図で、例えば圧電部材2,3からなる壁P1
,P2 ,P3 ,P4 で隔てられた3つのインク室15
A,15B,15Cに着目し、今、中央のインク室15
Bからインク滴を吐出させるとすると、図3の(a) の定
常状態からインク室15Bの電極5に正の電圧を印加し
て徐々に大きくし、T時間後に+Vまで高める。すなわ
ち、図4に示す三角波の駆動電圧を印加する。このとき
隣接するインク室15A,15Cの電極5は接地電位の
ままにする。なお、時間Tを可変することで電圧Vを可
変できる。
【0038】これにより、インク室15Bの各壁P2 ,
P3 にかかる電界方向は各圧電部材2,3の分極方向と
は直角となり、各壁P2 ,P3 は圧電厚みすべりによる
シェアモード変形によって図3の(b) に示すようにイン
ク室15Bを広げるようにそれぞれ外側に変形する。こ
のインク室15Bの広がりにより共通インク室14から
インク室15Bにインクの補充が行われる。この状態で
インク室15Bの電極5に印加する電圧を接地電位に落
とすと、各壁P2 ,P3 は図3の(c) に示すように元の
状態に復帰するので、インク室15B内のインクが急激
に加圧され、対応するインク吐出口12からインク滴が
吐出する。
【0039】このような記録ヘッドは、壁の変形を利用
するので隣接したインク室を同時に駆動することはでき
ず、互いに隣接しないインク室を1つの組として、2つ
の組みあるいは3つの組みに分けて分割駆動する。ここ
では3つの組みに分けて分割駆動する例について述べ
る。図5はインク室15Bの電極5に駆動電圧を印加す
る駆動回路を示し、この駆動回路は各インク室の電極毎
に設けてある。この駆動回路は、インク室15Bの電極
5をPNP形の第1のトランジスタ21を逆方向に介
し、さらに電流調整用抵抗22を介して+Vm端子に接
続するとともにNPN形の第2のトランジスタ23を順
方向に介して接地している。
【0040】前記第1のトランジスタ21はベースを定
電流用トランジスタであるPNP形の第3のトランジス
タ24のコレクタに接続するとともに抵抗25を介して
+Vm端子に接続している。前記第3のトランジスタ2
4は、エミッタを+Vm端子に接続するとともにベース
を抵抗26を介して前記第1のトランジスタ21のエミ
ッタに接続し、コレクタを抵抗27を介してNPN形の
第4のトランジスタ28のコレクタに接続している。前
記第4のトランジスタ28は、エミッタを接地し、ベー
スを抵抗29を介して接地するとともに抵抗30を介し
て信号入力端子s1 に接続している。前記第2のトラン
ジスタ23は、エミッタを接地し、ベースを抵抗31を
介して接地するとともに抵抗32を介して信号入力端子
s2 に接続している。
【0041】前記信号入力端子s1 にはメインパルス信
号MPを供給し、前記信号入力端子s2 にはグランド信
号GPを供給するようになっている。非駆動時の定常状
態では、メインパルス信号MPはL(ロー)レベルに、
グランド信号GPはH(ハイ)レベルになっており、第
2のトランジスタ23がオン、第1、第4のトランジス
タ21,28がオフとなり、電極5は接地電位にある。
【0042】そして、メインパルス信号MPがHレベル
に、グランド信号GPがLレベルになると、第4のトラ
ンジスタ28がオンとなって第1のトランジスタ21が
オンし、第2のトランジスタ23がオフとなる。これに
より電極5には+Vmが電流調整用抵抗22、第1のト
ランジスタ21を介して印加される。このとき、電流調
整用抵抗22はその両端が第3のトランジスタ24のベ
ース、エミッタ間に接続されているので第3のトランジ
スタ24のベース、エミッタ間の電位に維持されて一定
の電流が流れ、これにより電極5の印加電圧は徐々に上
昇する。
【0043】そして、メインパルス信号MPのHレベル
印加時間がT時間になると電極5の印加電圧はVmに達
する。そして、直ちに、メインパルス信号MPがLレベ
ルに、グランド信号GPがHレベルになるので、第2の
トランジスタ23がオン、第1、第4のトランジスタ2
1,28がオフとなり、電極5はグランドに接続される
ため電極5の電荷が瞬時に放電して接地電位となる。こ
の一連の動作は他のインク室の電極も同様である。
【0044】次に駆動方法について述べる。圧電部材
2,3の履歴現象で壁の残留歪みによって生じるクロス
トークを補正するために、図6に駆動パルス波形を示す
ように、これから駆動しようとするインク室(ノズル)
nについて、前回駆動してから今回駆動するまでの間に
両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1が駆動された
か否かを判定する。
【0045】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は駆
動され、また、図中ロの駆動パルスで駆動されるときは
前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接インク室
(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハの駆動
パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動す
るまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1
は全く駆動されていない。
【0046】従って、図中イの駆動パルスの通電時間T
1 を図中ハの駆動パルスの通電時間T3 よりも長く設定
し、図中ロの駆動パルスの通電時間T2 をT1 とT3 の
中間に設定する。すなわち、T1 >T2 >T3 に設定す
る。従って、各駆動パルスのピーク電圧V1 ,V2 ,V
3 もV1 >V2 >V3 となる。
【0047】このような駆動パルスの通電制御を行うに
は、図7に示すように、演算装置41、記憶装置42、
通電パルス発生回路43を設け、駆動電圧をV1 ,V2
,V3 の3種類に可変できるようにメインパルス信号
MPの通電時間T1 ,T2 ,T3 を設定するデータを記
憶装置42に格納しておく。そして、印刷データを演算
装置41が受け取ると、演算装置41は前回駆動してか
ら今回駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n
−1、n+1が駆動されたか否かを判定して前記記憶装
置42から適切な通電時間データを読出して前記通電パ
ルス発生回路43に供給する。前記駆動パルス発生回路
43は通電時間データから適切な駆動パルスを発生して
ヘッド駆動回路44に供給し、これによりヘッド駆動回
路44は記録ヘッド45を駆動する。このようにインク
室の両壁を一旦開いてから元の状態に復帰することでイ
ンク室からインクを吐出する、いわゆる、引き打ち駆動
の場合は、前のタイミングで隣接したインク室が駆動し
たときに壁が一度逆方向に変形するため、圧電部材の履
歴現象により負の残留歪みが残る。その状態から次の吐
出動作で壁を開く場合、壁の変形量が小さくなり吐出速
度が小さくなるので、それを補正するために大きな駆動
電圧を印加する。
【0048】すなわち、図6のイの駆動パルスは電圧を
V1 まで高め、ロの駆動パルスは電圧をV2 まで高める
ことで、インク室nが前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室n−1、n+1が全く駆動され
ていない場合のインク吐出速度に合わせることができ
る。従って、壁を構成する圧電部材の履歴現象によるイ
ンク室からのインク滴の吐出速度のずれを補正でき、こ
れによりドット位置のずれを防止でき印刷品質の向上を
充分に図ることができる。
【0049】(第2の実施の形態) お、記録ヘッドの構成は第1の実施の形態と同様であ
る。
【0050】図8は、記録ヘッドの駆動方法を説明する
ための図で、圧電部材2,3からなる壁P1 ,P2 ,P
3 ,P4 で隔てられた3つのインク室15A,15B,
15Cに着目し、今、中央のインク室15Bからインク
滴を吐出させるとすると、図8の(a) の定常状態からイ
ンク室15Bの電極5に正の電圧Vmを所定時間Tm印
加する。これにより、図8の(b) に示すように壁P2 ,
P3 が外側に変形してインク室15Bの容積が急激に拡
大しインクの補充が行われる。Tm時間後に今度はイン
ク室15Bの電極5に負の電圧−Vsを所定時間Ts印
加する。これにより、図8の(c) に示すように壁P2 ,
P3 が内側に変形してインク室15Bの容積が急激に縮
小してインクが加圧され、インク室15Bからインクが
吐出する。Ts時間後にインク室15Bの電極5は接地
電位となり、インク室15Bは図8の(d) に示すように
元の状態に復帰する。すなわち、インク室15Bの電極
5は図9に示す駆動電圧波形を印加され、これによりイ
ンク室15Bからインクが吐出することになる。
【0051】図10はインク室15Bの電極5に駆動電
圧を印加する駆動回路を示し、この駆動回路は各インク
室の電極毎に設けてある。この駆動回路は、インク室1
5Bの電極5をPNP形の第1のトランジスタ51を逆
方向に介して+Vm端子に接続するとともにNPN形の
第2のトランジスタ52を順方向に介して−Vs端子に
接続している。また、前記インク室15Bの電極5をダ
イオード53を逆方向に介し、さらにPNP形の第3の
トランジスタ54を逆方向に介して接地するとともにダ
イオード55を順方向に介し、さらにNPN形の第4の
トランジスタ56を順方向に介して接地している。
【0052】前記第1のトランジスタ51は、ベースを
抵抗57を介し、さらにNPN形の第5のトランジスタ
58を介して接地するとともにベース、エミッタ間に抵
抗59を接続している。前記第2のトランジスタ52
は、ベースを抵抗60を介し、さらにNPN形の第6の
トランジスタ61を介して接地するとともにベース、エ
ミッタ間に抵抗62を接続している。
【0053】前記第3のトランジスタ54は、ベースを
抵抗63を介して+Vs端子に接続するとともにPNP
形の第7のトランジスタ64を逆方向に介して+5V端
子に接続している。前記第5のトランジスタ58は、ベ
ースを抵抗65を介して接地するとともに抵抗66を介
して信号入力端子s1 に接続している。前記第6のトラ
ンジスタ61は、ベースを抵抗67を介して接地すると
ともに抵抗68を介して信号入力端子s2 に接続してい
る。前記第7のトランジスタ64は、ベースを抵抗69
を介して信号入力端子s3 に接続するとともにベース、
エミッタ間に抵抗70を接続している。前記第4のトラ
ンジスタ56は、ベースを抵抗71を介して接地すると
ともに抵抗72を介して前記信号入力端子s3 に接続し
ている。
【0054】前記信号入力端子s1 にはメインパルス信
号MPを供給し、前記信号入力端子s2 にはサブパルス
信号SPを供給し、前記信号入力端子s3 にはグランド
信号GPを供給するようになっている。そして、非駆動
時の定常状態では、メインパルス信号MP及びサブパル
ス信号SPはL(ロー)レベルに、グランド信号GPは
H(ハイ)レベルになっており、第1、第2、第5、第
6のトランジスタ51,52,58,61がオフ、第
3、第4、第7のトランジスタ54,56,64がオン
となり、電極5は接地電位にある。
【0055】この状態でサブパルス信号SPはLレベル
のまま、メインパルス信号MPがT1 時間Hレベルに、
また、グランド信号GPがLレベルになると、第1、第
5のトランジスタ51,58がオンとなって電極5は+
Vm端子に接続する。そして、T1 時間が経過するとメ
インパルス信号MPがLレベル、サブパルス信号SPが
T2 時間Hレベルになり、第1、第5のトランジスタ5
1,58がオフ、第2、第6のトランジスタ52,61
がオンとなって今度は電極5は−Vs端子に接続する。
そして、T2 時間が経過するとサブパルス信号SPがL
レベル、グランド信号GPがHレベルになり、元の状態
に戻って電極5は接地電位になる。この一連の動作は他
のインク室の電極も同様である。
【0056】この駆動方式では、メインパルス信号MP
の通電時間Tmを可変することによりインク室からのイ
ンクの吐出速度が図11に示すように変化する。これは
インク室内の圧力状態が時間とともに変動するためであ
り、その周期は圧力波がインク室の長手方向の端から端
まで反射して戻ってくる時間である。従って、この半分
の時間がインク室の長手方向の端から端まで片道伝搬す
るに要する時間で、インク室の長さをL、インク中の音
速をaとすればこの圧力伝搬時間はL/aとなる。
【0057】電極5にメインパルス電圧Vmを印加して
両壁が急激に広げられるとインク室内は負圧となり、ち
ょうど圧力伝搬時間が経過するとインク室内は正圧に反
転し、このときに負のサブパルス電圧−Vsを印加して
両壁を急激に狭めることによって、より高い吐出圧力が
得られ、従って、メインパルスの通電時間Tmをこの圧
力伝搬時間に設定することで吐出速度はピークとなる。
また、メインパルス電圧Vmを印加してから圧力伝搬時
間の2倍の時間が経過すると、インク室内の圧力は負圧
から正圧にさらにまた負圧に反転するので、このときに
負のサブパルス電圧−Vsを印加して両壁を急激に狭め
ると、今度は高い吐出圧力が得られず、従って、メイン
パルスの通電時間Tmをこの圧力伝搬時間の2倍の時間
に設定することでインクの吐出速度は小さくなる。この
ように、通電時間Tmを適切な値に設定することで吐出
速度を補正することができる。
【0058】次に駆動方法について述べる。圧電部材
2,3の履歴現象で壁の残留歪みによって生じるクロス
トークを補正するために、図12に駆動パルス波形を示
すように、これから駆動しようとするインク室(ノズ
ル)nについて、前回駆動してから今回駆動するまでの
間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1が駆動さ
れたか否かを判定する。
【0059】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0060】従って、図中イの場合はメインパルスの通
電時間をT1 に、図中ロの場合はメインパルスの通電時
間をT2 に、図中ハの場合はメインパルスの通電時間を
T3に設定する。なお、図11のメインパルス通電時間
Tmと吐出速度vの関係より、T1 は吐出速度v1 が最
大値となるように圧力伝搬時間に設定され、T2 ,T3
は吐出速度v2 ,v3 が、v3 (T3 )<v2 (T2 )
<v1 (T1 )となるように設定する。
【0061】このように両壁を開いてから狭めることで
吐出動作を行う駆動方法の場合には、吐出動作を終え、
次の吐出動作を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)
が両方とも駆動しない場合は、壁は前の吐出動作で狭ま
る方向に変形するため、圧電部材の履歴現象により、負
の残留歪みが残る。その状態から次の吐出動作で壁を開
いて狭める場合、壁の変形量が小さくなるので吐出速度
は低下する。これに対し、吐出動作を終え次の吐出動作
を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が駆動する場
合は、壁が一度逆の方向(開く方向)に変形するため、
圧電部材の履歴現象により、正の残留歪みが残る。その
状態から次の吐出動作で壁を開いて狭める場合には隣接
インク室(ノズル)が両方とも駆動しないときに比べて
壁の変形量は大きくなり、吐出速度が大きくなる。
【0062】そこで、通電時間を変化させることで、す
なわち、圧力変動のタイミングをずらすことで吐出速度
の差を補正することができる。従って、壁を構成する圧
電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の吐出
速度のずれを補正でき、これによりドット位置のずれを
防止でき印刷品質の向上を充分に図ることができる。 (第3の実施の形態) の実施の形態は前述した第2の実施の形態の変形例
で、第2の実施の形態では通電時間Tmを可変して吐出
速度の補正を行ったが、この実施の形態では電圧を可変
して吐出速度の補正を行っている。 図13に駆動パル
ス波形を示すように、これから駆動しようとするインク
室(ノズル)nについて、前回駆動してから今回駆動す
るまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1
が駆動されたか否かを判定する。
【0063】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0064】従って、図中イの場合はメインパルスとサ
ブパルスとの電位差Vm−(−Vs)をV1 に、図中ロ
の場合は電位差Vm−(−Vs)をV2 に、図中ハの場
合は電位差Vm−(−Vs)をV3 に設定する。なお、
V1 、V2 、V3 は、V1 >V2 >V3 の関係になって
いる。
【0065】両壁を開いてから狭めることで吐出動作を
行う駆動方法の場合には、吐出動作を終え、次の吐出動
作を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも
駆動しない場合は、吐出動作を終え次の吐出動作を行う
までの間に隣接インク室(ノズル)が駆動する場合に比
べて吐出速度が小さくなるので、その分電圧を高くして
吐出速度を補正する。
【0066】このように電圧を変化させることでも吐出
速度の差を補正することができる。従って、壁を構成す
る圧電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の
吐出速度のずれを補正でき、これによりドット位置のず
れを防止でき印刷品質の向上を充分に図ることができ
る。
【0067】(第4の実施の形態) この実施の形態も前述した第2の実施の形態の別の変形
例である。第2の実施の形態では通電時間Tmを可変し
て吐出速度の補正を行ったが、この実施の形態ではメイ
ンパルスに第1の実施形態の駆動パルス波形制御を適用
したもので、メインパルスの通電時間Tmを可変し、そ
れにより電圧を可変して吐出速度の補正を行っている。
図14に駆動パルス波形を示すように、これから駆動
しようとするインク室(ノズル)nについて、前回駆動
してから今回駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズ
ル)n−1、n+1が駆動されたか否かを判定する。
【0068】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0069】従って、図中イの場合はメインパルスの通
電時間TmをT1 にすることでメインパルスの電圧をV
1 まで高め、図中ロの場合はメインパルスの通電時間T
mをT2 にすることでメインパルスの電圧をV2 まで高
め、図中ハの場合はメインパルスの通電時間TmをT3
にすることでメインパルスの電圧をV3 まで高めてい
る。なお、T1 ,T2 ,T3 は、T1 >T2 >T3 、V
1 、V2 、V3 は、V1>V2 >V3 の関係になってい
る。
【0070】両壁を開いてから狭めることで吐出動作を
行う駆動方法の場合には、吐出動作を終え、次の吐出動
作を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも
駆動しない場合は、吐出動作を終え次の吐出動作を行う
までの間に隣接インク室(ノズル)が駆動する場合に比
べて吐出速度が小さくなるので、その分メインパルスの
電圧を高くして吐出速度を補正する。
【0071】このように電圧を変化させることでも吐出
速度の差を補正することができる。従って、壁を構成す
る圧電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の
吐出速度のずれを補正でき、これによりドット位置のず
れを防止でき印刷品質の向上を充分に図ることができ
る。
【0072】(第5の実施の形態) の実施の形態は前述した第2の実施の形態の駆動パル
ス波形からメインパルス波形を除いてサブパルス波形の
みでインク室を駆動するものである。すなわち、これは
インク室を定常状態から両壁を急激に狭める側に変形さ
せることでインクの吐出動作を行うもので、いわゆる、
押し打ち駆動と呼ばれる駆動方法である。
【0073】図15に駆動パルス波形を示すように、こ
れから駆動しようとするインク室(ノズル)nについ
て、前回駆動してから今回駆動するまでの間に両隣接イ
ンク室(ノズル)n−1、n+1が駆動されたか否かを
判定する。
【0074】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0075】従って、図中イの場合は駆動電圧をV1 に
設定し、図中ロの場合は駆動電圧ををV2 に設定し、図
中ハの場合は駆動電圧をV3 に設定する。なお、V1 、
V2、V3 の絶対値は、V1 >V2 >V3 の関係になっ
ている。
【0076】両壁を急激に狭めることで吐出動作を行う
駆動方法の場合にも、吐出動作を終え、次の吐出動作を
行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも駆動
しない場合は、吐出動作を終え次の吐出動作を行うまで
の間に隣接インク室(ノズル)が駆動する場合に比べて
吐出速度が小さくなるので、その分駆動電圧を高くして
吐出速度を補正する。
【0077】このように電圧を変化させることでも吐出
速度の差を補正することができる。従って、壁を構成す
る圧電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の
吐出速度のずれを補正でき、これによりドット位置のず
れを防止でき印刷品質の向上を充分に図ることができ
る。
【0078】(第6の実施の形態) の実施の形態は前述した第2の実施の形態の駆動パル
ス波形の前段にプリパルスを設けてインク室を駆動する
ものである。プリパルスを設けてインクの吐出速度を変
化させる場合、プリパルスの通電時間を可変して行う場
合とプリパルスと駆動パルスとの間の間隔を可変して行
う場合の2通りがある。
【0079】図16はプリパルスと駆動パルスとの間の
間隔を一定にしてプリパルスの通電時間を可変したとき
のパルス波形とそのパルス波形によるインク室内の時間
的な圧力変化状態を示している。図16の(a) ,(b) は
共に、プリパルスと駆動パルスとの間の間隔を圧力伝搬
時間L/aに設定し、また、駆動パルスにおけるメイン
パルスの幅も圧力伝搬時間L/aに設定している。そし
て、図16の(a) はプリパルスの通電時間を圧力伝搬時
間L/aに設定し、図16の(b) はプリパルスの通電時
間を圧力伝搬時間の半分のL/2aに設定している。
【0080】図16の(a) に示すようにプリパルスの通
電時間を圧力伝搬時間L/aに設定した場合、プリパル
スの通電でインク室の両壁を急激に開くとインク室内の
圧力は負圧となり、ちょうど圧力伝搬時間L/aが経過
するとインク室内の圧力は反転して正圧となる。この状
態でインク室の両壁を元の状態に戻すとインク室内の圧
力は正圧が増加され、さらにこのプリパルスによって生
じた残留圧力は圧力伝搬時間L/aが経過すると反転し
て負圧となる。この状態で今度は駆動パルスの通電で両
壁が急激に開くとインク室内の圧力は負圧が増加され、
その後圧力伝搬時間L/aが経過したときインク室内の
圧力が反転して正圧となり、さらにインク吐出のために
両壁を閉じると吐出圧力は先のプリパルスの残留圧力が
加わるのでプリパルスが無いときに比べて大きくなり、
比較的大きな吐出速度でインクが吐出することになる。
【0081】これに対し、図16の(b) に示すようにプ
リパルスの通電時間を圧力伝搬時間の半分L/2aに設
定した場合、プリパルスの通電でインク室の両壁を急激
に開くとインク室内の圧力は負圧となり、ちょうど圧力
伝搬時間の半分L/2aが経過するとインク室内の圧力
は略ゼロとなる。この状態でインク室の両壁を元の状態
に戻すとインク室内の圧力は正圧となるが、図16の
(a) のときのように増加することはない。従って、この
プリパルスによって生じた残留圧力は図16の(a) のと
きよりも小さいので、次の駆動パルスによる吐出圧力も
小さくなり、結果として吐出速度が小さくなる。すなわ
ち、この場合は比較的小さい吐出速度でインクが吐出す
ることになる。
【0082】このように駆動パルスの前にプリパルスを
設け、このプリパルスの通電時間を変化させることで吐
出速度を可変できるので、このプリパルスの通電時間を
調整することで各インク室間の吐出速度の差を補正する
ことができる。従って、壁を構成する圧電部材の履歴現
象によるインク室からのインク滴の吐出速度のずれを補
正でき、これによりドット位置のずれを防止でき印刷品
質の向上を充分に図ることができる。
【0083】図17はプリパルスの通電時間を一定にし
てプリパルスと駆動パルスとの間の間隔を可変したとき
のパルス波形とそのパルス波形によるインク室内の時間
的な圧力変化状態を示している。図17の(a) ,(b) は
共に、プリパルスの通電時間を圧力伝搬時間L/aに設
定し、また、駆動パルスにおけるメインパルスの幅も圧
力伝搬時間L/aに設定している。そして、図17の
(a) はプリパルスと駆動パルスとの間の間隔を圧力伝搬
時間L/aに設定し、図17の(b) はプリパルスと駆動
パルスとの間の間隔を圧力伝搬時間の半分のL/2aに
設定している。
【0084】図17の(a) の場合は、図16の(a) の場
合と同様、プリパルスの通電でインク室の両壁を急激に
開くとインク室内の圧力は負圧となり、ちょうど圧力伝
搬時間L/aが経過するとインク室内の圧力は反転して
正圧となる。この状態でインク室の両壁を元の状態に戻
すとインク室内の圧力は正圧が増加され、さらにこのプ
リパルスによって生じた残留圧力は圧力伝搬時間L/a
が経過すると反転して負圧となる。この状態で今度は駆
動パルスの通電で両壁が急激に開くとインク室内の圧力
は負圧が増加され、その後圧力伝搬時間L/aが経過し
たときインク室内の圧力が反転して正圧となり、さらに
インク吐出のために両壁を閉じると吐出圧力は先のプリ
パルスの残留圧力が加わるのでプリパルスが無いときに
比べて大きくなり、比較的大きな吐出速度でインクが吐
出することになる。
【0085】これに対し、図17の(b) に示すようにプ
リパルスと駆動パルスとの間の間隔を圧力伝搬時間の半
分のL/2aに設定した場合、プリパルスによる残留圧
力はちょうど圧力伝搬時間の半分L/2aが経過した状
態で略ゼロとなるので、この状態で駆動パルスを通電さ
せるとインクの吐出圧力は図17の(a) のときよりも小
さくなり、吐出速度が小さくなる。すなわち、この場合
は比較的小さい吐出速度でインクが吐出することにな
る。
【0086】このように駆動パルスの前にプリパルスを
設け、このプリパルスと駆動パルスとの時間間隔を変化
させることで吐出速度を可変できるので、この時間間隔
を調整することで各インク室間の吐出速度の差を補正す
ることができる。従って、壁を構成する圧電部材の履歴
現象によるインク室からのインク滴の吐出速度のずれを
補正でき、これによりドット位置のずれを防止でき印刷
品質の向上を充分に図ることができる。
【0087】なお、この実施の形態で使用するプリパル
スはインク室からインクが吐出しない程度の小さい電圧
に設定してあり、従って圧電部材の履歴現象もほとんど
なく、インク室の両壁の残留歪みの状態はプリパルスが
あってもなくてもほとんど変わりはない。
【0088】図18はプリパルスの通電時間を一定にし
てプリパルスと駆動パルスとの間の間隔を可変する場合
のインク室の電極に印加するパルス波形例を示し、これ
から駆動しようとするインク室(ノズル)nについて、
前回駆動してから今回駆動するまでの間に両隣接インク
室(ノズル)n−1、n+1が駆動されたか否かを判定
する。
【0089】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0090】従って、図中イの場合はプリパルスと駆動
パルスとの間の時間間隔をT1 に、図中ロの場合はプリ
パルスと駆動パルスとの間の時間間隔をT2 に、図中ハ
の場合はプリパルスと駆動パルスとの間の時間間隔をT
3 に設定する。なお、T1 ,T2 ,T3 の関係は、T1
>T2 >T3 となっている。そして、T1 のときの吐出
速度をv1 、T2 のときの吐出速度をv2 、T3 のとき
の吐出速度をv3 とすると、v1 ,v2 ,v3 の関係
は、v1 >v2 >v3 となる。
【0091】このように吐出動作を終え、次の吐出動作
を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも駆
動しない場合は、壁は前の吐出動作で狭まる方向に変形
するため、圧電部材の履歴現象により、負の残留歪みが
残る。その状態から次の吐出動作で壁を開いて狭める場
合、壁の変形量が小さくなるので吐出速度は低下する。
従って、この場合はプリパルスと駆動パルスとの間の時
間間隔をT1 と大きくして吐出速度を高める補正を行
う。
【0092】これに対し、吐出動作を終え次の吐出動作
を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも駆
動する場合は、壁が一度逆の方向(開く方向)に変形す
るため、圧電部材の履歴現象により、正の残留歪みが残
る。その状態から次の吐出動作で壁を開いて狭める場合
には隣接インク室(ノズル)が両方とも駆動しないとき
に比べて壁の変形量は大きくなり、吐出速度が大きくな
る。従って、この場合はプリパルスと駆動パルスとの間
の時間間隔をT3 と小さくして吐出速度を低下させる補
正を行う。
【0093】このようにプリパルスの通電時間を調整す
ることで吐出速度の差を補正することができる。従っ
て、壁を構成する圧電部材の履歴現象によるインク室か
らのインク滴の吐出速度のずれを補正でき、これにより
ドット位置のずれを防止でき印刷品質の向上を充分に図
ることができる。
【0094】図19はプリパルスと駆動パルスとの間の
間隔を一定にしてプリパルスの通電時間を可変する場合
のインク室の電極に印加するパルス波形例を示し、これ
から駆動しようとするインク室(ノズル)nについて、
前回駆動してから今回駆動するまでの間に両隣接インク
室(ノズル)n−1、n+1が駆動されたか否かを判定
する。
【0095】インク室(ノズル)nが図中イの駆動パル
スで駆動されるときは前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1は全
く駆動されず、また、図中ロの駆動パルスで駆動される
ときは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハ
の駆動パルスで駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1共駆動されている。
【0096】従って、図中イの場合はプリパルスの通電
時間をT1 に、図中ロの場合はプリパルスの通電時間を
T2 に、図中ハの場合はプリパルスの通電時間をT3 に
設定する。なお、T1 ,T2 ,T3 の関係は、T1 >T
2 >T3 となっている。そして、T1 のときの吐出速度
をv1 、T2 のときの吐出速度をv2 、T3 のときの吐
出速度をv3 とすると、v1 ,v2 ,v3 の関係は、v
1 >v2 >v3 となる。
【0097】このように吐出動作を終え、次の吐出動作
を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも駆
動しない場合は、壁は前の吐出動作で狭まる方向に変形
するため、圧電部材の履歴現象により、負の残留歪みが
残る。その状態から次の吐出動作で壁を開いて狭める場
合、壁の変形量が小さくなるので吐出速度は低下する。
従って、この場合はプリパルスと駆動パルスとの間の時
間間隔をT1 と大きくして吐出速度を高める補正を行
う。
【0098】これに対し、吐出動作を終え次の吐出動作
を行うまでの間に隣接インク室(ノズル)が両方とも駆
動する場合は、壁が一度逆の方向(開く方向)に変形す
るため、圧電部材の履歴現象により、正の残留歪みが残
る。その状態から次の吐出動作で壁を開いて狭める場合
には隣接インク室(ノズル)が両方とも駆動しないとき
に比べて壁の変形量は大きくなり、吐出速度が大きくな
る。従って、この場合はプリパルスと駆動パルスとの間
の時間間隔をT3 と小さくして吐出速度を低下させる補
正を行う。
【0099】このようにプリパルスと駆動パルスとの間
の時間間隔を調整することで吐出速度の差を補正するこ
とができる。従って、壁を構成する圧電部材の履歴現象
によるインク室からのインク滴の吐出速度のずれを補正
でき、これによりドット位置のずれを防止でき印刷品質
の向上を充分に図ることができる。
【0100】以上、本発明の各種実施の形態について述
べたが、本発明の適用はこれらのみに限定するものでな
い。例えば、記録ヘッドのインク室を引き打ち駆動する
場合、第1の実施の形態では三角波の駆動電圧を印加し
て行ったが必ずしもこれに限定するものではない。例え
ば、図20に示すように電圧の異なる矩形波の駆動電圧
を使用してもよい。すなわち、これから駆動しようとす
るインク室(ノズル)nについて、前回駆動してから今
回駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−
1、n+1が駆動されたか否かを判定する。
【0101】インク室(ノズル)nが図中イの駆動電圧
V1 で駆動されるときは前回駆動してから今回駆動する
までの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1共
駆動され、また、図中ロの駆動電圧V2 で駆動されると
きは前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イン
ク室(ノズル)n−1のみが駆動され、また、図中ハの
駆動電圧V3 で駆動されるときは前回駆動してから今回
駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、
n+1は全く駆動されない。各駆動電圧V1 、V2 、V
3 の関係は、V1 >V2 >V3 となっている。従って、
インク室(ノズル)nが図中イの駆動電圧V1 で駆動さ
れるときは図中ハの駆動電圧V3 で駆動されるときに比
べて吐出速度は高くなる方向に補正される。このように
引き打ち駆動する場合に、矩形波の駆動電圧を調整する
ことによっても第1の実施の形態と同様の作用効果は得
られる。
【0102】また、図21に示すように通電時間の異な
る矩形波の駆動電圧を使用してもよい。すなわち、これ
から駆動しようとするインク室(ノズル)nについて、
前回駆動してから今回駆動するまでの間に両隣接インク
室(ノズル)n−1、n+1が駆動されたか否かを判定
する。
【0103】そして、前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1共駆
動されるときにはインク室(ノズル)nに印加する駆動
電圧の通電時間を図中イに示すようにT1 に設定する。
また、前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣接イ
ンク室(ノズル)n−1のみが駆動したときにはインク
室(ノズル)nに印加する駆動電圧の通電時間を図中ロ
に示すようにT2 に設定する。また、前回駆動してから
今回駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズル)n−
1、n+1が全く駆動されないときにはインク室(ノズ
ル)nに印加する駆動電圧の通電時間を図中ハに示すよ
うにT3 に設定する。各駆動電圧の通電時間T1 、T2
、T3 の関係は、T1 >T2 >T3 となっている。
【0104】このように、駆動電圧の通電時間を変化さ
せることで、インク室を急激に広げた後のインク室内に
生じる圧力状態の時間的変化に応じて両壁を閉じるタイ
ミングを変化させることによってもインクの吐出速度を
変化できる。すなわち、インク室(ノズル)nが図中イ
の通電時間がT1 の駆動電圧で駆動されるときは図中ハ
の通電時間がT3 の駆動電圧で駆動されるときに比べて
吐出速度は高くなる方向に補正される。このように引き
打ち駆動する場合に、矩形波の駆動電圧の通電時間を調
整することによっても第1の実施の形態と同様の作用効
果は得られる。
【0105】さらに、引き打ち駆動する場合において、
図22及び図23に示すように矩形波の駆動パルスの前
にプリパルスを設けてもよい。図22は、プリパルスと
駆動パルスとの間の時間間隔を変化させる場合で、これ
から駆動しようとするインク室(ノズル)nについて、
前回駆動してから今回駆動するまでの間に両隣接インク
室(ノズル)n−1、n+1が駆動されたか否かを判定
する。
【0106】そして、前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1共駆
動されるときにはインク室(ノズル)nに印加するプリ
パルスと駆動パルスとの時間間隔を図中イに示すように
T1 に設定する。また、前回駆動してから今回駆動する
までの間に隣接インク室(ノズル)n−1のみが駆動し
たときにはインク室(ノズル)nに印加するプリパルス
と駆動パルスとの時間間隔を図中ロに示すようにT2 に
設定する。また、前回駆動してから今回駆動するまでの
間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1が全く駆
動されないときにはインク室(ノズル)nに印加するプ
リパルスと駆動パルスとの時間間隔を図中ハに示すよう
にT3 に設定する。各時間間隔T1 、T2 、T3 の関係
は、T1>T2 >T3 となっている。なお、この場合も
時間間隔T1 は吐出速度が最大値となるように圧力伝搬
時間L/aに設定する。
【0107】このように、引き打ち駆動する場合に、駆
動パルスの前にプリパルスを設け、このプリパルスと駆
動パルスとの時間間隔を変化させても吐出速度の差を補
正することができる。従って、壁を構成する圧電部材の
履歴現象によるインク室からのインク滴の吐出速度のず
れを補正でき、これによりドット位置のずれを防止でき
印刷品質の向上を充分に図ることができる。
【0108】また、図23は、プリパルスの通電時間を
変化させる場合で、これから駆動しようとするインク室
(ノズル)nについて、前回駆動してから今回駆動する
までの間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1が
駆動されたか否かを判定する。
【0109】そして、前回駆動してから今回駆動するま
での間に両隣接インク室(ノズル)n−1、n+1共駆
動されるときにはインク室(ノズル)nに印加するプリ
パルスの通電時間を図中イに示すようにT1 に設定す
る。また、前回駆動してから今回駆動するまでの間に隣
接インク室(ノズル)n−1のみが駆動したときにはイ
ンク室(ノズル)nに印加するプリパルスの通電時間を
図中ロに示すようにT2に設定する。また、前回駆動し
てから今回駆動するまでの間に両隣接インク室(ノズ
ル)n−1、n+1が全く駆動されないときにはインク
室(ノズル)nに印加するプリパルスの通電時間を図中
ハに示すようにT3 に設定する。各時間間隔T1 、T2
、T3 の関係は、T1 >T2 >T3 となっている。な
お、この場合も時間間隔T1 は吐出速度が最大値となる
ように圧力伝搬時間L/aに設定する。このように、引
き打ち駆動する場合に、駆動電圧の前にプリパルスを設
け、このプリパルスの通電時間を変化させても吐出速度
の差を補正することができる。従って、壁を構成する圧
電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の吐出
速度のずれを補正でき、これによりドット位置のずれを
防止でき印刷品質の向上を充分に図ることができる。な
お、本発明を適用する記録ヘッドの駆動としては、3分
割駆動に限定するものではなく、要は、各インク室をn
個おきに(n+1)組に分割し、各組単位でインク室を
分割駆動するものであれば適用できる。
【0110】
【発明の効果】以上、発明によれば、壁を構成する圧
電部材の履歴現象によるインク室からのインク滴の吐出
速度のずれを補正することでドット位置のずれを防止で
き、これにより印刷品質の向上を充分に図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるインクジェ
ット記録ヘッドの構成を示す一部切欠した分解斜視図。
【図2】同実施の形態における記録ヘッドの部分断面
図。
【図3】同実施の形態における記録ヘッドの駆動方法を
説明するための図。
【図4】同実施の形態におけるインク室の電極に印加す
る駆動電圧波形図。
【図5】同実施の形態におけるインク室の電極に駆動電
圧を印加する駆動回路の構成を示す回路構成図。
【図6】同実施の形態におけるインク室の電極に印加す
る駆動電圧波形例を示す図。
【図7】同実施の形態における記録ヘッド制御部全体の
構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施の形態における記録ヘッド
の駆動方法を説明するための図。
【図9】同実施の形態におけるインク室の電極に印加す
る駆動パルス波形図。
【図10】同実施の形態におけるインク室の電極に駆動
パルスを印加する駆動回路の構成を示す回路構成図。
【図11】同実施の形態におけるメインパルス信号の通
電時間とインクの吐出速度との関係を示すグラフ。
【図12】同実施の形態におけるインク室の電極に印加
する駆動パルス波形例を示す図。
【図13】本発明の第3の実施の形態におけるインク室
の電極に印加する駆動パルス波形例を示す図。
【図14】本発明の第4の実施の形態におけるインク室
の電極に印加する駆動パルス波形例を示す図。
【図15】本発明の第5の実施の形態におけるインク室
の電極に印加する駆動パルス波形例を示す図。
【図16】本発明の第6の実施の形態におけるインク室
の電極に印加するパルス波形とインク室内の時間的な圧
力変化状態の一例を示す図。
【図17】同実施の形態におけるインク室の電極に印加
するパルス波形とインク室内の時間的な圧力変化状態の
他の例を示す図。
【図18】同実施の形態においてプリパルスと駆動パル
スとの間の間隔を可変する場合のインク室の電極に印加
するパルス波形例を示す図。
【図19】同実施の形態においてプリパルスの通電時間
を可変する場合のインク室の電極に印加するパルス波形
例を示す図。
【図20】本発明において使用する駆動電圧の他の例を
示す図。
【図21】本発明において使用する駆動電圧の他の例を
示す図。
【図22】本発明において使用する駆動電圧の他の例を
示す図。
【図23】本発明において使用する駆動電圧の他の例を
示す図。
【図24】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図25】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図26】従来において記録ヘッドのインク室の電極に
印加する駆動パルス波形例を示す図。
【図27】従来における複ノズル駆動の課題を説明する
ための図。
【図28】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図29】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図30】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図31】従来において記録ヘッドのインク室の電極に
印加する駆動パルス波形例を示す図。
【図32】従来における複ノズル駆動の課題を説明する
ための図。
【図33】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【図34】従来の記録ヘッドの動作を説明するための
図。
【符号の説明】
2,3…圧電部材 5…電極 12…インク吐出口 15…インク室
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/08 B41J 2/175

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク室を複数並べて設け、前記各イン
    ク室の内壁に電極を配設し、この各電極に駆動パルスを
    選択的に印加することで圧電部材を変形させて駆動すべ
    きインク室内のインクに圧力を与え、インク滴をインク
    吐出口から吐出させて印刷を行うインクジェット記録ヘ
    ッドにおいて、 前記各インク室をn個おきに(n+1)組に分割し、各
    組単位でインク室を分割駆動してインク滴の吐出を行う
    場合に、駆動すべきインク室について、前回駆動してか
    ら今回駆動するまでの間に隣接する両インク室が駆動し
    たか否かを判定し、圧電部材の歪み履歴によるインク滴
    の吐出速度の変化を補正するように、前記判定結果によ
    り異なった駆動パルスの波形を印加することを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  2. 【請求項2】 駆動パルスの波形を、電圧の値を変える
    ことで異なった駆動パルスの波形にすることを特徴とす
    請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方
    法。
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